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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033035
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】回収デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 50/36 20160101AFI20240306BHJP
   A61B 17/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61B50/36
A61B17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136392
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】早川 浩一
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM32
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シート状物質を円滑に体外に回収するための装置を提供する。
【解決手段】回収デバイス10は、生体内のシート状物質200を生体外に回収する。回収デバイスは、シャフト18と、シャフトの先端部に設けられたシート状の支持部20を有する。支持部は、シート状物質を載置するための支持面38を有するベース部26と、第2突出部32とを有する。第2突出部は、シート状物質を支持面に載置した状態でベース部との間で挟んで固定できるようにベース部から突出している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内のシート状物質を生体外に回収するための回収デバイスであって、
シャフトと、
前記シャフトの先端部に設けられたシート状の支持部と、を有し、
前記支持部は、
前記シート状物質を載置するための支持面を有するベース部と、
前記シート状物質を前記支持面に載置した状態で前記ベース部との間で挟んで固定できるように前記ベース部から突出した突出部と、を有する、回収デバイス。
【請求項2】
請求項1記載の回収デバイスであって、
前記ベース部は、前記支持部の基端から先端まで延在し、
前記支持部は、前記ベース部の幅方向の両側部から突出した一対の前記突出部を有する、回収デバイス。
【請求項3】
請求項2記載の回収デバイスであって、
一対の前記突出部は、前記ベース部から前記支持面が向く方向に向かって前記ベース部の幅方向内方に傾斜するように突出している、回収デバイス。
【請求項4】
請求項2記載の回収デバイスであって、
前記シャフトが挿通される内腔を有して前記シート状物質を収納するための外筒を含み、
前記支持部は、前記支持面に前記シート状物質を載置すると共に前記シャフトを前記外筒に対して基端方向に移動させることにより前記シート状物質と共に前記外筒内に収納される、回収デバイス。
【請求項5】
請求項4記載の回収デバイスであって、
前記支持部は、前記ベース部に前記シート状物質を載置すると共に前記シャフトを前記外筒に対して基端方向に移動させることにより一対の前記突出部が互いに接触するように湾曲変形した状態で前記外筒内に収納される、回収デバイス。
【請求項6】
請求項4記載の回収デバイスであって、
前記支持部のうち一対の前記突出部よりも基端方向に位置する部分の両側辺は、基端方向に向かって幅方向内方にテーパー状に傾斜している、回収デバイス。
【請求項7】
請求項1記載の回収デバイスであって、
前記シャフトは、管状に形成され、
前記回収デバイスは、前記シャフトの内腔に挿通されて前記シート状物質を把持するための把持部材を備える、回収デバイス。
【請求項8】
請求項7記載の回収デバイスであって、
前記支持部には、前記シート状物質が前記シャフトの前記内腔に進入することを阻止するためのストッパが設けられている、回収デバイス。
【請求項9】
請求項8記載の回収デバイスであって、
前記ストッパは、前記突出部に対して前記ベース部の幅方向に隣接する位置にある、回収デバイス。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の回収デバイスであって、
前記ストッパは、
前記ベース部の幅方向に間隔を空けて配置されて前記支持面が向く方向に向かって先端方向に傾斜するように延出した一対の延出部と、
前記一対の延出部の延出端を互いに連結する連結部と、を有する、回収デバイス。
【請求項11】
請求項10記載の回収デバイスであって、
前記ストッパには、前記把持部材が挿通可能な貫通孔が形成されている、回収デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回収デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、可撓性を有するシート状物質を生体内の処置対象部に貼付するためのデバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2022/080459号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート状物質は、生体内の処置対象部に移送された後で、生体外に回収されることがある。この場合、シート状物質を円滑に体外に回収する必要がある。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、生体内のシート状物質を生体外に回収するための回収デバイスであって、シャフトと、前記シャフトの先端部に設けられたシート状の支持部と、を有し、前記支持部は、前記シート状物質を載置するための支持面を有するベース部と、前記シート状物質を前記支持面に載置した状態で前記ベース部との間で挟んで固定できるように前記ベース部から突出した突出部と、を有する。
【0007】
(2)項目(1)記載の回収デバイスであって、前記ベース部は、前記支持部の基端から先端まで延在し、前記支持部は、前記ベース部の幅方向の両側部から突出した一対の前記突出部を有することが好ましい。
【0008】
(3)項目(2)記載の回収デバイスであって、一対の前記突出部は、前記ベース部から前記支持面が向く方向に向かって前記ベース部の幅方向内方に傾斜するように突出していることが好ましい。
【0009】
(4)項目(2)又は(3)に記載の回収デバイスであって、前記シャフトが挿通される内腔を有して前記シート状物質を収納するための外筒を含み、前記支持部は、前記支持面に前記シート状物質を載置すると共に前記シャフトを前記外筒に対して基端方向に移動させることにより前記シート状物質と共に前記外筒内に収納されることが好ましい。
【0010】
(5)項目(4)記載の回収デバイスであって、前記支持部は、前記ベース部に前記シート状物質を載置すると共に前記シャフトを前記外筒に対して基端方向に移動させることにより一対の前記突出部が互いに接触するように湾曲変形した状態で前記外筒内に収納されることが好ましい。
【0011】
(6)項目(4)又は(5)に記載の回収デバイスであって、前記支持部のうち一対の前記突出部よりも基端方向に位置する部分の両側辺は、基端方向に向かって幅方向内方にテーパー状に傾斜していることが好ましい。
【0012】
(7)項目(1)~(6)のいずれか1つに記載の回収デバイスであって、前記シャフトは、管状に形成され、前記回収デバイスは、前記シャフトの内腔に挿通されて前記シート状物質を把持するための把持部材を備えることが好ましい。
【0013】
(8)項目(7)記載の回収デバイスであって、前記支持部には、前記シート状物質が前記シャフトの前記内腔に進入することを阻止するためのストッパが設けられていることが好ましい。
【0014】
(9)項目(8)記載の回収デバイスであって、前記ストッパは、前記突出部に対して前記ベース部の幅方向に隣接する位置にあることが好ましい。
【0015】
(10)項目(8)又は(9)に記載の回収デバイスであって、前記ストッパは、前記ベース部の幅方向に間隔を空けて配置されて前記支持面が向く方向に向かって先端方向に傾斜するように延出した一対の延出部と、前記一対の延出部の延出端を互いに連結する連結部と、を有することが好ましい。
【0016】
(11)項目(8)~(10)のいずれか1つに記載の回収デバイスであって、前記ストッパには、前記把持部材が挿通可能な貫通孔が形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シート状物質をベース部の支持面に載せた状態でベース部と突出部との間に当該シート状物質を挟んで固定できるため、シート状物質が支持面から滑り落ちることを抑制できる。よって、シート状物質を円滑に体外に回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る回収デバイスの斜視図である。
図2図2は、図1の回収デバイスの分解斜視図である。
図3図3は、図2のキャリア部材及び外筒の一部省略平面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線に沿った縦断面図である。
図5図5は、図3のV-V線に沿った横断面図である。
図6図6は、図1の回収デバイスの使用方法を示すフローチャートである。
図7図7は、把持工程の説明図である。
図8図8は、載置工程の説明図である。
図9図9は、離し工程の説明図である。
図10図10は、収納工程の説明図である。
図11図11は、図10のXI-XI線に沿った横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る回収デバイス10は、生体内のシート状物質200を体外に回収するための医療機器である。回収デバイス10は、例えば、腹腔内の臓器(例えば、消化器)の表面の処置対象部に載置されたシート状物質200の回収に使用される。ただし、回収デバイス10は、例えば、虚血性心疾患による重症心不全の治療に使用してもよい。具体的に、回収デバイス10は、バルーンカテーテル又はステントを用いた冠動脈インターベンションでは治療が困難である冠微小血管機能障害(CMD:Coronary microvascular dysfunction)の治療に使用してもよい。この場合、回収デバイス10は、心臓の処置対象部に載置されたシート状物質200を体外に回収する。
【0020】
シート状物質200は、例えば、体内で薬剤を放出するための医療物質である。すなわち、シート状物質200は、薬剤を含む。医療物質は、液体(ゾルを含む)、固体(ゲルを含む)又は気体であってもよい。医療物質は、例えば、医薬品、医療機器及び再生医療等製品を含む。再生医療等製品は、細胞及びエクソソーム等を含む。具体的に、再生医療等製品としては、例えば、シート状細胞培養物又はスフェロイド等が挙げられる。
【0021】
シート状細胞培養物は、フィブリン等を塗布して補強されてもよい。シート状細胞培養物は、自家細胞又は他家細胞を培養して形成することができる。シート状細胞培養物は、例えば、骨格筋由来の細胞シートである。シート状細胞培養物は、組織接着剤及び局所麻酔剤を含んでもよい。シート状細胞培養物の厚さは、例えば、約100μmであり、シート状細胞培養物の直径は、例えば、40mmである。ただし、シート状細胞培養物の厚さ及び直径は、適宜設定可能である。シート状物質200は、シート状の止血剤であってもよい。
【0022】
図1及び図2に示すように、回収デバイス10は、キャリア部材12、把持部材14及び外筒16を備える。キャリア部材12は、シャフト18及び支持部20を有する。シャフト18は、一方向(矢印X方向)に延在している。シャフト18は、内腔18aを有する円管部材である。内腔18aは、シャフト18の先端(矢印X1方向の端)に開口すると共にシャフト18の基端(矢印X2方向の端)に開口する。
【0023】
シャフト18は、例えば、樹脂材料によって構成されている。シャフト18の構成材料としては、特に限定されないがポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド等が挙げられる。シャフト18は、金属材料によって構成されてもよい。
【0024】
支持部20は、可撓性を有する。支持部20は、例えば、樹脂材料によって構成されている。支持部20の構成材料としては、特に限定されないがポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂等が挙げられる。
【0025】
支持部20は、シート状に形成されている。支持部20の肉厚は、特に限定されないが、例えば、100μm以上200μm以下に設定されるのが好ましい。
【0026】
図3及び図4に示すように、支持部20は、接合部22及び支持本体24を有する。支持部20は、シート材を折り曲げることにより所定形状に形成される。図4において、接合部22は、シャフト18の先端部の内周面に接着剤によって接着されている。接着剤としては、特に限定されないが、例えば、UV接着剤、瞬間接着剤(例えば、シアノアクリレート系瞬間接着剤)等が挙げられる。接合部22は、シャフト18の内周面に熱融着されてもよい。接合部22をシャフト18の先端部の内周面に接合する場合、シャフト18の外周面に接合部22による段差が形成されないため、シャフト18を外筒16内に円滑に挿入させることができる。なお、接合部22は、シャフト18の先端部の外周面に接合されてもよい。
【0027】
図3に示すように、支持本体24は、ベース部26、基端支持部28、一対の第1突出部30、一対の第2突出部32、一対の第3突出部34及びストッパ36を有する。ベース部26は、一方向に延在している。ベース部26は、シート状物質200を載置するための支持面38を含む。支持面38は、厚さ方向に沿った図5に示す断面視で、平坦に延在している(図4参照)。ただし、支持面38は、厚さ方向に沿った図5に示す断面視で、円弧状に湾曲してもよい。
【0028】
図3に示すように、基端支持部28は、ベース部26と接合部22とを互いに繋ぐ。基端支持部28は、接合部22から先端方向に向かって幅広に形成されている。すなわち、基端支持部28の両側辺39は、基端方向に向かって幅方向内方にテーパー状に傾斜している。基端支持部28は、ベース部26から基端方向に向かって支持面38が向く方向に傾斜している(図4参照)。
【0029】
図2及び図3において、一対の第1突出部30は、基端支持部28の両側部から上方に突出している。図5に示すように、一対の第2突出部32は、ベース部26の幅方向の両側部から支持面38が向く方向に向かって幅方向内方に傾斜するように突出している。第2突出部32とベース部26とのなす角度θ1は、90°未満である。当該なす角度θ1は、0°以上60°以下に設定されるのが好ましい。なお、なす角度θ1は、図3のV-V線に沿った断面(図5)の位置での第2突出部32とベース部26とのなす角度をいう。
【0030】
図2及び図3において、一対の第2突出部32は、一対の第1突出部30の先端にそれぞれ繋がっている。一対の第2突出部32は、一対の第1突出部30に繋がらずに離間してもよい。一対の第2突出部32は、ベース部26の延在方向の中央とベース部26の基端部との間に位置する(図3参照)。
【0031】
一対の第2突出部32は、これら第2突出部32とベース部26との間でシート状物質200を挟んで固定できるように構成されている。本実施形態では、第2突出部32とベース部26のなす角度θ1が90°未満であるため、第2突出部32の少なくとも根元部分とベース部26との間にシート状物質200を挟んで固定することができる。
【0032】
一対の第3突出部34は、ベース部26の幅方向の両側部から支持面38が向く方向に向かってベース部26の幅方向外方に傾斜するように突出している。一対の第3突出部34は、一対の第2突出部32の先端からベース部26の延在方向の中央部からベース部26の先端部まで延在している。
【0033】
図2図5において、ストッパ36は、シート状物質200がシャフト18の内腔18aに進入することを阻止する。ストッパ36は、一対の第2突出部32の間に位置する(図3参照)。換言すれば、ストッパ36は、第2突出部32に対してベース部26の幅方向に隣接する位置にある。ストッパ36は、U字形状を有する。ストッパ36は、支持部20を構成するシート材に切り込みを入れ、切り込みによって囲まれた部分を厚さ方向に折り曲げることによって形成される。つまり、ストッパ36とベース部26とは、一体成形されている。
【0034】
ストッパ36は、一対の延出部40と連結部42とを有する。延出部40は、ベース部26から支持面38が向く方向に向かって先端方向に傾斜するように延出している。一対の延出部40は、ベース部26の幅方向に間隔を空けて配置されている。連結部42は、一対の延出部40の延出端を互いに連結する。連結部42は、延出部40の延出方向に円弧状に突出している(図3参照)。
【0035】
ストッパ36は、把持部材14を通すための貫通孔44を有する。貫通孔44は、ベース部26の幅方向の中央に位置している。換言すれば、貫通孔44は、シャフト18の先端開口の先端方向に位置する。
【0036】
ベース部26とストッパ36とのなす角度θ2は、鋭角であって、10°以上60°以下に設定するのが好ましい。なす角度θ2が10°以上であると、シート状物質200をベース部26とストッパ36との間に挿入させ易くなる。なす角度θ2が60°以下であると、ベース部26とストッパ36との間に挿入されたシート状物質200がストッパ36を基端方向に押し曲げて乗り越え難くなる。なす角度θ2は、30°以上45°以下に設定するのが一層好ましい。なお、なす角度θ2は、ストッパ36の矢印X方向の中央部の位置におけるベース部26とストッパ36とのなす角度をいう。
【0037】
図1及び図2に示すように、把持部材14は、シート状物質200を把持する。把持部材14は、把持シャフト46及び把持本体48を含む。把持シャフト46は、一方向(矢印X方向)に延在している。把持シャフト46の先端部(矢印X1方向の端部)には、把持本体48が接続されている。把持シャフト46の基端部(矢印X2方向の端部)には、把持本体48の動きを操作するための図示しない操作部が設けられている。
【0038】
把持本体48は、一対の把持片50を有する。一対の把持片50は、把持部材14の操作部の操作により開閉する。把持部材14は、一対の把持部を閉じることによりシート状物質200を挟持できる。また、把持部材14は、一対の把持片50が開くことによりシート状物質200を離すことができる。
【0039】
外筒16は、内腔16aを有する円筒部材である。内腔16aは、外筒16の先端(矢印X1方向の端)に開口すると共に外筒16の基端(矢印X2方向の端)に開口する。外筒16は、樹脂材料又は金属材料によって構成されている。
【0040】
外筒16の内周面の円周長さは、支持部20のベース部26の幅W(図3参照)と同一(実質的に同一)である。ただし、幅Wは、外筒16の内周面の円周長さよりも大きくても小さくてもよい。
【0041】
次に、回収デバイス10を用いて生体内のシート状物質200を回収する方法について説明する。ここでは、消化器の処置対象部に配置されたシート状物質200を回収する方法について説明する。なお、シート状物質200の回収を実施する直前において、支持部20は、湾曲変形した状態で外筒16の内腔16aに収納される。図6に示すように、本実施形態に係る回収方法は、挿入工程、展開工程、把持工程、載置工程、離し工程、収納工程及び抜去工程を含む。
【0042】
まず、挿入工程(ステップS1)において、例えば、腹部の切開創から腹腔内に支持部20が収納された外筒16を挿入する。この時、消化器の処置対象部の近くに外筒16の先端を位置させる。
【0043】
続いて、展開工程(ステップS2)において、支持部20を外筒16から展開させる。具体的に、展開工程では、シャフト18を外筒16に対して先端方向に移動させる。そうすると、外筒16の先端開口から露出した支持部20は、復元力によって元の形状(外筒16に収納される前の形状)に復帰する。
【0044】
その後、把持工程(ステップS3)において、図7に示すように、把持部材14を用いてシート状物質200を把持する。具体的に、シャフト18の基端からシャフト18の内腔18a及びストッパ36の貫通孔44に把持部材14を挿通させた状態で、把持部材14の一対の把持片50によりシート状物質200を把持する。
【0045】
そして、載置工程(図6のステップS4)において、図8に示すように、シート状物質200をベース部26の支持面38に載置する。すなわち、シート状物質200を把持した把持部材14をシャフト18に対して基端方向に移動させる。そうすると、シート状物質200は、ベース部26の支持面38の上を基端方向に移動する。この時、シート状物質200は、一対の第2突出部32によって支持部20の幅方向に位置決めされる。すなわち、シート状物質200が支持部20から幅方向外方に位置ずれして支持面38から脱落することが阻止される。また、シート状物質200は、一対の第2突出部32とベース部26との間に挟まれて固定される。
【0046】
さらに、シート状物質200は、支持部20とストッパ36との間に挿入される。そして、把持片50がストッパ36の貫通孔44を基端方向に通過する時に、シート状物質200は、ストッパ36の一対の延出部40に当接する。これにより、シート状物質200がシャフト18の内腔18aに引き込まれることが防止される。
【0047】
載置工程において、シート状物質200は、支持部20とストッパ36とによって挟持されてもよい。この場合、シート状物質200の支持部20に対する位置ずれが抑制される。
【0048】
次いで、離し工程(図6のステップS5)において、図9に示すように、シート状物質200を支持面38に載せた状態で、シート状物質200から把持部材14を離す。その後、把持部材14をシャフト18に対して基端方向に移動させることにより、把持部材14をシャフト18の基端から抜去する。なお、この時、把持部材14をシャフト18から抜去することなく把持部材14の先端をシャフト18の内腔18aに位置させてもよい。
【0049】
続いて、収納工程(ステップS6)において、図10に示すように、シート状物質200及び支持部20を外筒16内に収納する。具体的に、キャリア部材12を外筒16に対して基端方向に移動させる。そうすると、基端支持部28が外筒16の先端開口から基端方向に引き込まれる。この時、支持部20のテーパー状の両側辺39が外筒16の先端面に接触することにより、基端支持部28には、基端支持部28を外筒16の周方向に沿って丸まろうとする力が作用する。そのため、基端支持部28は、丸まりながら外筒16内にスムーズに引き込まれる。
【0050】
基端支持部28が変形すると、ベース部26に外筒16の周方向に沿って丸まろうとする力が作用するため、ベース部26は、丸まりながら外筒16内に引き込まれる。そうすると、図11に示すように、一対の第2突出部32の外面が互いに接触すると共にベース部26が外筒16の内周面に沿って円筒状に変形する。この時、支持部20は、一対の第2突出部32の変形に追従して一対の第3突出部34の外面が互いに接触するように変形する。なお、第2突出部32及び第3突出部34の各々の突出端面は、ベース部26に接触しない。収納工程は、シート状物質200及び支持部20が外筒16内に完全に挿入されることにより完了する。
【0051】
その後、抜去工程(図6のステップS7)において、回収デバイス10を体外に抜去する。なお、上述した方法において、離し工程(ステップS5)は、実施しなくてもよい。この場合、収納工程では、シート状物質200を把持部材14で把持した状態でシート状物質200及び支持部20を外筒16内に収納する。そのため、収納工程時にシート状物質200が支持部20から脱落することを把持部材14によって抑えることができる。
【0052】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0053】
本実施形態によれば、シート状物質200をベース部26の支持面38に載せた状態でベース部26と第2突出部32との間に当該シート状物質200を挟んで固定できるため、シート状物質200が支持面38から滑り落ちることを抑制できる。よって、シート状物質200を円滑に体外に回収することができる。
【0054】
ベース部26は、支持部20の基端から先端まで延在している。支持部20は、ベース部26の幅方向の両側部から突出した一対の第2突出部32を有する。
【0055】
このような構成によれば、一対の第2突出部32によってシート状物質200が支持面38から滑り落ちることを一層抑制できる。また、シート状物質200を支持面38に載せる時に一対の第2突出部32によってシート状物質200をベース部26に対して当該ベース部26の幅方向に位置決めできる。そのため、シート状物質200を支持面38に円滑に載せることができる。
【0056】
一対の第2突出部32は、ベース部26から支持面38が向く方向に向かってベース部26の幅方向内方に傾斜するように突出している。
【0057】
このような構成によれば、簡単な構成によりベース部26と一対の第2突出部32との間にシート状物質200を挟むことができる。
【0058】
回収デバイス10は、シャフト18が挿通される内腔16aを有してシート状物質200を収納するための外筒16を含む。支持部20は、支持面38にシート状物質200を載置すると共にシャフト18を外筒16に対して基端方向に移動させることによりシート状物質200と共に外筒16内に収納される。
【0059】
このような構成によれば、支持部20及びシート状物質200を外筒16内に収納した状態で生体外に移送できるので、移送途中でシート状物質200が支持面38から滑り落ちることをより一層抑制できる。
【0060】
支持部20は、ベース部26にシート状物質200を載置すると共にシャフト18を外筒
16に対して基端方向に移動させることにより一対の第2突出部32が互いに接触するように湾曲変形した状態で外筒16内に収納される。
【0061】
このような構成によれば、外筒16の外径を小さくできるため、外筒16を通す切開創を小さくできる。よって、低侵襲によりシート状物質200を生体外に回収できる。
【0062】
支持部20のうち一対の第2突出部32よりも基端方向に位置する部分の両側辺39は、基端方向に向かって幅方向内方にテーパー状に傾斜している。
【0063】
このような構成によれば、シャフト18を外筒16に対して基端方向に移動させることにより、テーパー状の両側辺39が外筒16の先端面に当たるため支持部20に外筒16の周方向に丸まろうとする力を効率よく作用させることができる。これにより、支持部20を外筒16内に収容し易くなる。
【0064】
シャフト18は、管状に形成されている。回収デバイス10は、シャフト18の内腔18aに挿通されてシート状物質200を把持するための把持部材14を備える。
【0065】
このような構成によれば、把持部材14によってシート状物質200を把持した状態でベース部26まで引き寄せることができる。
【0066】
支持部20には、シート状物質200がシャフト18の内腔18aに進入することを阻止するためのストッパ36が設けられている。
【0067】
このような構成によれば、把持部材14によってシート状物質200を引き寄せる時に当該シート状物質200がシャフト18の内腔18aに進入することをストッパ36によって抑制できる。
【0068】
ストッパ36は、第2突出部32に対してベース部26の幅方向に隣接する位置にある。
【0069】
このような構成によれば、シート状物質200を第2突出部32と支持面38との間に挟んで固定すると共にシート状物質200がシャフト18の内腔18aに進入することをストッパ36によって阻止できる。
【0070】
ストッパ36は、ベース部26の幅方向に間隔を空けて配置されて支持面38が向く方向に向かって先端方向に傾斜するように延出した一対の延出部40と、一対の延出部40の延出端を互いに連結する連結部42と、を有する。
【0071】
このような構成によれば、シート状物質200を一対の延出部40に当てることによってシート状物質200のシャフト18の内腔18aへの進入を阻止できる。また、一対の延出部40の延出端を連結部42によって互いに連結するため、シート状物質200が一対の延出部40に当たる時に当該一対の延出部40が基端方向に折れ曲がることを抑制できる。
【0072】
ストッパ36には、把持部材14が挿通可能な貫通孔44が形成されている。
【0073】
このような構成によれば、把持部材14によってシート状物質200をベース部26の支持面38に載せる時に、把持部材14がストッパ36に干渉することを抑えることができる。
【0074】
本実施形態は、上述した構成に限定されない。支持部20は、第2突出部32を1つだけ有していてもよい。すなわち、一対の第2突出部32のうちの1つは省略されていてもよい。ストッパ36は、連結部42を有しなくてもよい。すなわち、ストッパ36は、一対の延出部40のみによって構成されてもよい。この場合、延出部40の数は、1つ又は3つ以上であってもよい。回収デバイス10は、ストッパ36を有しなくてもよい。
【0075】
回収デバイス10は、把持部材14を備えなくてもよい。この場合、載置工程において、キャリア部材12を操作してシート状物質200の下方に支持部20を滑り込ませることによりシート状物質200を支持面38に載置できる。
【0076】
なお、本発明は、上述した開示に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0077】
10…回収デバイス 14…把持部材
16…外筒 16a…外筒の内腔
18…シャフト 18a…シャフトの内腔
20…支持部 26…ベース部
32…第2突出部(突出部) 36…ストッパ
38…支持面 40…延出部
42…連結部 44…貫通孔
200…シート状物質
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