(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033038
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
H04L 51/02 20220101AFI20240306BHJP
G06F 40/56 20200101ALI20240306BHJP
【FI】
H04L51/02
G06F40/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136397
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】兼保 和弘
【テーマコード(参考)】
5B091
【Fターム(参考)】
5B091CA21
5B091EA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電子メールに対する返信に係る業務の効率化を実現するとともに当該返信を迅速に行う情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】情報処理装置としての返信メール作成支援サーバ11及び担当者端末13がネットワークNWを介して通信可能に接続されて構築されている情報処理システム10において、返信メール作成支援サーバ11の制御部は、1の端末が受信した受信メールを取得する受信メール取得部と、前記受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成部と、して機能する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1の端末が受信した受信メールを取得する受信メール取得部と、
前記受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記学習モデルは、前記受信メールの本文の宛名、名乗り、挨拶、締め及び署名以外の部分である内容部分を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの内容部分の文案を出力するように機械学習がなされており、
前記返信文面案生成部は、前記受信メールの本文から前記内容部分を抽出し、当該抽出された前記内容部分を前記学習モデルに入力して、前記受信メールに対する返信メールの内容部分を用いて前記文面案を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記学習モデルは、受信メールの内容を複数の種類のいずれかに分類した内容種別を示す情報と、前記受信メールの本文の少なくとも一部と、を入力すると、前記受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされており、
前記返信文面案生成部は、前記受信メールの内容種別を取得し、当該取得された前記内容種別を示す情報と、前記受信メールの本文の少なくとも一部とを前記学習モデルに入力して、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記学習モデルは、前記受信メールの送信者の所属又は肩書を示す情報と、前記受信メールの本文の少なくとも一部と、を入力すると、前記受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされており、
前記返信文面案生成部は、前記受信メールの本文の名乗り、署名又は送信元のメールアドレスに基づいて前記受信メールの送信者の所属を特定し、前記所属を示す情報と、前記受信メールの本文の少なくとも一部とを前記学習モデルに入力して、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記学習モデルは、受信メールの送信者と受信者との関係を示す情報と、前記受信メールの本文の少なくとも一部と、を入力すると、前記受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされており、
前記返信文面案生成部は、前記受信メールの宛名、名乗り、締め、署名又は送信元のメールアドレスに基づいて前記受信メールの送信者と受信者との関係を特定し、前記送信者と受信者との関係を示す情報と、前記受信メールの本文の少なくとも一部とを前記学習モデルに入力して、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記学習モデルは、前記受信メールの本文を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文の文案を出力するように機械学習がなされており、
前記返信文面案生成部は、前記受信メールの本文を前記学習モデルに入力し、前記受信メールに対する返信メールの本文の文案を前記文面案として生成することを特徴とする請求項1及び請求項3乃至5のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記学習モデルは、各々が受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされ、かつ、各々が受信メールの内容を複数の種類に分類した複数の内容種別の各々に対応付けられた複数の内容別学習モデルを含み、
前記返信文面案生成部は、前記受信メールの内容種別を取得し、当該取得された内容種別に対応する内容別学習モデルを前記複数の内容別学習モデルの中から選択して、当該選択した内容別学習モデルに、前記受信メールの本文の少なくとも一部を入力し、前記受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を用いて前記文面案を生成することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
受信した受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成部を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項9】
サーバ装置を含み、1の端末が受信メールを受信した際に、当該受信メールに対する返信メールの文面案を生成するための情報処理を行う情報処理システムであって、
前記サーバ装置が、
前記受信メールを前記1の端末から取得する受信メール取得ステップと、
受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該電子メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成ステップと、
前記返信文面案生成ステップにおいて生成された文面案を前記1の端末に送信する文面案送信ステップと、
を実行することを特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、
1の端末が受信した受信メールを取得する受信メール取得ステップと、
前記受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成ステップと、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項11】
コンピュータを備える情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、前記コンピュータに、
1の端末が受信した受信メールを取得する受信メール取得ステップと、
前記受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成ステップと、
を実行させるための情報処理プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の情報処理プログラムを格納したことを特徴とする、コンピュータが読取可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子メールに関する情報処理を行う情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な仕事において、電子メールによる連絡は必須のものとなっている。しかしながら、例えば、問い合わせメールのような返信の必要なメールの量が多いと、それに対する返信のメールの作成に割かれる時間が多くなり、メールの作成作業が業務を圧迫してしまうことで業務効率が低下してしまう。このような問題に鑑みて、メール返信作業の増大による業務効率の低下を防ぐ観点から、返信メール作成にかかる時間を短縮することが望まれている。
【0003】
例えば、特許文献1には、インプットメールのメール種別や返信の目的等に基づいて、回答事例マスタを参照して当該インプットメールに対する回答事例を特定し、当該回答事例を含むアウトプットメールを作成する返信メール作成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような返信メール作成装置において、予め用意された回答事例の中から、メールの種別等に基づく最適な回答事例を選択するだけでは、柔軟な対応が困難な場合もあることが課題となっていた。
【0006】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、電子メールに対する返信に係る業務の効率化を実現し得るとともに当該返信を迅速に行うことを可能にする情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、1の端末が受信した受信メールを取得する受信メール取得部と、前記受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の情報処理システムは、サーバ装置を含み、1の端末が受信メールを受信した際に、当該受信メールに対する返信メールの文面案を生成するための情報処理を行う情報処理システムであって、前記サーバ装置が、前記受信メールを前記1の端末から取得する受信メール取得ステップと、受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該電子メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成ステップと、前記返信文面案生成ステップにおいて生成された文面案を前記他の端末に送信する文面案送信ステップと、を実行することを特徴とする。
【0009】
本発明の情報処理方法は、情報処理装置によって実行される情報処理方法であって、1の端末が受信した受信メールを取得する受信メール取得ステップと、前記受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成ステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の情報処理プログラムは、コンピュータを備える情報処理装置によって実行される情報処理プログラムであって、前記コンピュータに、1の端末が受信した受信メールを取得する受信メール取得ステップと、前記受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、前記受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成ステップと、を実行させるための情報処理プログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1に係る情報処理システムの構成を示す図である。
【
図2】実施例1に係る情報処理システムにおいて取り扱われる受信メールの構成の一例を示す図である。
【
図3】実施例1に係る情報処理システムにおいて取り扱われる返信メールの構成の一例を示す図である。
【
図4】実施例1に係る返信メール作成支援サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】実施例1に係る学習モデルの一例を示す図である。
【
図6】実施例1に係る担当者端末によって実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図7】実施例1に係る返信メール作成支援サーバによって実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図8】実施例1に係る学習モデルの他の一例を示す図である。
【
図9】実施例2に係る返信メール作成支援サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図10】実施例2に係る学習モデルの一例を示す図である。
【
図11】実施例2に係る返信メール作成支援サーバによって実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図12】実施例3に係る返信メール作成支援端末の構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】実施例3に係る返信メール作成支援端末によって実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図14】実施例3に係る返信メール作成支援端末によって実行されるルーチンの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符号を付している。
【実施例0013】
図1は、本発明の実施例1に係る情報処理システム10の構成を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム10は、情報処理装置としての返信メール作成支援サーバ11及び担当者端末13がネットワークNWを介して通信可能に接続されて構築されているシステムである。ネットワークNWは、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信及び有線通信を介したインターネット通信により構築され得る。
【0014】
情報処理システム10は、担当者端末13が、問い合わせ等の返信の必要な電子メールを受信した際に、担当者端末13のユーザによる返信メールの作成を返信メール作成支援サーバが支援・補助するシステムである。返信メール作成支援サーバ11は、担当者端末13が受信した受信メールまたはその一部を取得し当該受信メールに対する返信メールの文面案を生成することで、当該ユーザによる返信メールの作成を補助する。
【0015】
本明細書において、返信メールの文面案とは、返信メールの本文の全部又は一部の文案を指す。例えば、文面案は、返信メールの下書きとして担当者端末13のユーザに提示可能なテキストデータである。
【0016】
返信メール作成支援サーバ11は、上記した返信メールの文面案を生成するための学習済みモデルを有する。返信メール作成支援サーバ11は、受信メールの本文の少なくとも一部を学習済みモデルに入力して、当該学習済みモデルから出力される文案を含む情報に基づいて、返信メールの文面案を生成する。
【0017】
担当者端末13は、例えば、関連部署からの問い合わせに対応する部署の職員が操作する端末であり、例えばPCである。例えば、担当者端末13は、企業内の部署内に複数設置されている担当者端末のうちの1つである。なお、担当者端末13は、タブレット又はスマートフォン等の携帯型端末でもよい。
【0018】
本実施例において、例えば、担当者端末13は、多数の問い合わせメールを受信する部署に設置されている。担当者端末13には、担当者端末13においてメールを送受信するためのメールアプリケーション(いわゆるメーラー)に加えて、返信メール作成支援サーバ11と連携して返信メールの作成を補助するための補助アプリケーションがインストールされている。なお、メールアプリケーションへのアドインの形で補助アプリケーションの機能が実現されてもよい。
【0019】
例えば、担当者端末13は、ユーザから任意の返信メールの文面案を自動的に作成する操作を受け付けると、ユーザが指定した指定受信メールを返信メール作成支援サーバ11に送信する。また、担当者端末13は、返信メール作成支援サーバ11が作成した返信メールの文面案を返信メール作成支援サーバ11から受信してユーザに提示する。
【0020】
まず、
図2及び
図3を参照し、以下の実施例で処理される受信メールと返信メールの構成について説明する。
【0021】
図2は、担当者端末13によって受信されて例えば担当者端末13のディスプレイに表示されたメーラーのウィンドウ13Aに表示された受信メールの構成の一例を示す図である。
図2に示すように、受信メールは、ヘッダ21と、本文23とからなる。ヘッダ21には、当該受信メールの件名と、送信元及び宛先のメールアドレスとが含まれている。
【0022】
本文23は、いわゆる本文テキストである。実際はメール本文には、本文テキスト、イメージまたは添付ファイルを含み得るが、ここでは、本文23が本文テキストであるとして説明する。本文23は、例えば、複数の構成要素からなる。
図3に示すように、本文23は、相手の肩書及び名前等の宛名が記載されている宛名部分25、挨拶及び名乗りを含む書き出し部分27、用件が記載されている内容部分29、締め又は結びの言葉が記載されている締め部分31、及び送信者の氏名や連絡先等の送信者に関する情報が記載された署名部分33を含んで構成されている。
【0023】
本文23の構成要素のうち、宛名部分25、書き出し部分27、締め部分31及び署名部分33は、形式的な部分であるといえる。言い換えれば、本文23の内容部分29は、形式的な部分以外の部分であるといえる。
【0024】
図3は、ウィンドウ13Aに表示された
図2の受信メールに対する返信メールの構成の一例を示す図である。
図3に示すように、返信メールは、上記した受信メールと同様にヘッダ部35と、本文37とから構成されている。ヘッダ部には、例えば、当該返信メールの件名と、宛先のメールアドレスが記載されている。
【0025】
受信メールの本文37は、例えば、受信メールと同様の複数の構成要素からなる。具体的には、返信メールの本文37は、宛名部分39、名乗り及び書き出し部分41、内容部分43、締め部分45及び署名部分47を含んで構成されている。
【0026】
返信メールにおいても、宛名部分39、書き出し部分41、締め部分45及び署名部分47は形式的な部分であり、内容部分43は、形式的な部分以外の部分であるといえる。
【0027】
情報処理システム10は、担当者端末13が受信した
図2のような構成を有する受信メールに対して、
図3のような構成を有する返信メールの文案を担当者端末13に提供するシステムである。
【0028】
図4は、返信メール作成支援サーバ11の構成の一例を示すブロック図である。例えば、返信メール作成支援サーバ11は、システムバスを介して、通信部15と、制御部17と、大容量記憶装置19とが協働している装置である。
【0029】
通信部15は、制御部17の指示に従って外部機器とのデータの送受信を行う通信装置である。例えば、返信メール作成支援サーバ11をネットワークNWに接続するためのNIC(Network Interface Card)である。
【0030】
通信部15は、返信メール作成支援サーバ11をネットワークNWに接続しており、返信メールの文面案の生成に関わる種々のデータを返信メール作成支援サーバ11と担当者端末13との間で送受信する。
【0031】
制御部17は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPUが、ROMや大容量記憶装置19に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0032】
制御部17は、返信メール作成支援サーバ11が、担当者端末13が受信した受信メールを担当者端末13から取得して、当該受信メールに対する返信メールの文面案を生成する機能を実現する。
【0033】
制御部17は、例えば、担当者端末13が受信した受信メールを取得する受信メール取得部として機能する。
【0034】
制御部17は、例えば、担当者端末13が受信した受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文の少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、当該受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成部として機能する。
【0035】
返信文面案生成部としての制御部17は、例えば、学習モデルから出力された当該受信メールに対する返信メールの本文の少なくとも一部の文案を用いて当該返信メールの文面案を生成する機能を有する。
【0036】
大容量記憶装置19は、例えば、ハードディスク装置及びSSD(solid state drive)等により構成されている記憶装置であり、返信メール作成支援サーバ11が返信メールの文面案を生成するための各種プログラムを記憶する。
【0037】
各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、大容量記憶装置19に記憶される各種プログラムは、ネットワークを介して伝送可能であるし、また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0038】
また、大容量記憶装置19は、学習モデルM1を含んでいる。学習モデルM1は、受信メールの本文の少なくとも一部を入力として、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力とするように機械学習がなされた学習済みモデル(以下、単に学習モデルとも称する)である。学習モデルM1は、例えばディープラーニング(深層学習)の手法を用いて構築された数理モデルである。
【0039】
図5を参照しつつ、大容量記憶装置19に記憶されている学習モデルM1及びその入力と出力並びに当該出力を用いた文案の提供について説明する。
図5は、大容量記憶装置19に記憶されている学習モデルの一例である学習モデルM1を模式的に示す図である。
【0040】
図5に示す学習モデルM1は、ディープラーニングによって構築されたニューラルネットワークである。当該ニューラルネットワークは、入力層、2つ又は3つ以上の中間層(隠れ層)及び出力層から構成されている。当該入力層には、例えば、返信メール作成支援サーバ11が受信メールに基づいて前処理を行って生成したデータが入力される。
【0041】
図5の学習モデルM1では、一例として、上記した受信メールの内容部分のテキストデータである内容部分データ、受信メールの本文の内容部分の内容の種別である内容種別ID、受信メールの差出人の所属によって決まる所属種別ID(例えば、同部署、他部署、社外等)、受信メールの受取人である担当者端末13のユーザからみた受信メールの送信者との関係性(例えば、差出人が上司、部下、同僚(言い換えれば、役職、地位が同じ人)社外のクライアント等)を示す関係種別IDを入力としている。
【0042】
また、
図5の学習モデルM1では、受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案が出力される。例えば、学習モデルM1の出力として返信メールの内容部分の文案のテキストデータである内容部分データが出力される。
【0043】
例えば、制御部17は、学習モデルM1から出力された返信メールの内容部分の文案に、宛名部分39、名乗り及び書き出し部分41、締め部分45及び署名部分47といった形式的部分を追加して
図4に示す返信メールの本文部分全体を生成して、担当者端末13に提供する。なお、この返信メールの形式的部分は、受信メールの形式的部分に基づいて生成される。
【0044】
なお、返信メール作成支援サーバ11は、学習済みモデルM1から出力された返信メールの内容部分のみ担当者端末13に提供してもよい。この場合、担当者端末13では、
図4の表示例の内容部分43の部分に返信メールの内容部分の文案が表示され、その他の部分が空欄として表示されてもよい。また、担当者端末13の方で、返信メールの本文の形式的部分を自動で生成して内容部分に追加することで、返信メールの本文部分全体が完成されてもよい。
【0045】
ここで、学習モデルM1の入力の各々について説明する。
【0046】
[内容部分データ]
受信メールの内容部分データは、例えば、受信メールの内容部分29に含まれる文字列を区切った単語等の最小の構成単位の各々を数値化した数値によって構成されている。
【0047】
[内容種別]
例えば、受信メールの内容に応じた返信メールの文面案をより適切に生成するために、受信メールを内容によって区別して取り扱うことが考えられる。そこで、返信メール作成支援サーバ11は、担当者端末13が受信した受信メールを、内容ごとに複数の種別に分類して、1の受信メールがどの種別に該当するかを示す情報として、内容種別ID(例えば数値)を取得して、学習モデルの入力とすることができる。
【0048】
内容種別IDは、例えば、受信メールのヘッダ部に含まれる件名又は件名に含まれるキーワードに基づいて特定される。また、内容種別IDは、例えば、受信メールの内容部分29に基づいて取得されてもよい。例えば、内容種別IDは、担当者端末13を介したユーザによる選択に基づいて取得されてもよい。
【0049】
[所属種別]
例えば、受信メールの送信者の属性に応じた返信メールの文面案をより適切に生成するために、例えば、受信メールの送信者が所属する部署等の組織内の所属、又は送信者の役職等の肩書によって受信メールを区別して取り扱うことが考えられる。そこで、返信メール作成支援サーバ11は、担当者端末13が受信した受信メールを、送信者の所属又は肩書ごとに複数の種別に分類して、1の受信メールがどの種別に該当するかを示す情報として、所属種別ID(例えば数値)を取得して、学習モデルの入力とすることができる。
【0050】
所属種別IDは、例えば、受信メールの本文23の書き出し部分27又は署名部分33に基づいて特定される。なお、所属種別IDは、例えば、受信メールのヘッダ21に記載されている送信者のメールアドレスから特定されてもよい。
【0051】
[関係種別]
例えば、受信メールの送信者と受信者との関係によって、適切な返信メールの文面が異なる場合がある。例えば、受信メールの送信者が受信者からみて、社内の人物か社外の人物か、或いは上司か部下かによって、返信メールにおける言葉遣いが異なることが考えられる。そこで、返信メール作成支援サーバ11は、担当者端末13が受信した受信メールを、受信メールの送信者と受信者との関係に基づいて複数の種別に分類して、1の受信メールがどの種別に該当するかを示す情報として、関係種別ID(例えば数値)を取得して、学習モデルの入力とすることができる。
【0052】
関係種別IDは、例えば、受信メールの形式的部分、すなわち宛名部分、書き出し部分、締め部分及び署名部分に基づいて取得される。関係種別IDは、例えば、担当者端末13を介したユーザによる選択に基づいて取得されてもよい。なお、例えば、関係種別IDは、予め作成された名簿に基づいて取得されるようにしてもよい。
【0053】
なお、
図5において、例えば、内容種別、所属種別、及び関係種別の各種別が数値で表されている場合は、その数値が各種別IDとして入力層に入力される。各種別が数値以外の文字を含んでいる場合は、各種別を数値に変換したものが種別IDとして入力層に入力されるようにしてもよい。
【0054】
[学習モデルの構築]
学習モデルM1は、例えば以下のような教師あり学習によって機械学習がなされて構築される。例えば、学習に用いるデータとして、過去に実際に受信した受信メールと、当該受信メールに対して実際に送信された返信メールと、を用いる。
【0055】
例えば、当該学習用の受信メールの本文を各構成要素に分割し、当該受信メールの内容部分を抽出する。また、当該学習用の受信メールについての、件名又は内容部分に基づいて内容種別IDを取得する。さらに、当該学習用の受信メールの形式的部分に基づいて所属種別ID及び関係種別IDを取得する。
【0056】
上記のようにして、学習用の受信メールに基づいて取得された内容部分、内容種別ID、所属種別ID及び関係種別IDと、当該学習用の受信メールに対して実際に送信された返信メールの内容部分と、を教師データとする。より詳細には、学習用の受信メールに基づいて取得された内容部分、内容種別ID、所属種別ID及び関係種別IDを入力データとし、当該学習用の受信メールに対して実際に送信された返信メールの内容部分を正解データとする。
【0057】
入力データである受信メールの内容部分、内容種別ID、所属種別ID及び関係種別IDを複数の中間層を有するニューラルネットワークに入力して、出力が正解データの返信メールの内容部分となるように、ニューラルネットワークのパラメータを誤差逆伝搬法によって更新しながら学習を行う。このような学習を過去に実際に受信した多数の受信メールについて行うことで、学習済みモデルM1を構築することができる。
【0058】
例えば、複数の担当者端末13において過去に送受信された受信メールと返信メールとの組をメールサーバにおいて多数蓄積しておき、当該蓄積された多数の受信メールと返信メールとの組を教師データとして、学習モデルM1を構築する。例えば、当該メールサーバは、返信メール作成支援サーバ11を兼ねていてもよく、新たに蓄積された受信メールと返信メールとの組を教師データとして、学習済みモデルM1の学習をさらに行ってもよい。それによって、例えば、学習の繰り返し回数が増大し、学習済みモデルM1から出力される、返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案、例えば内容部分の文案の精度が向上することが期待できる。
【0059】
例えば、問い合わせに対する返信の業務に熟達した担当者の担当者端末に限定して、受信メールと返信メールとの組を蓄積し、当該蓄積されたデータを教師データとして学習済みモデルM1の学習を行ってもよい。それによって、より適切な文案を出力させることができる。
【0060】
なお、学習モデルM1について、受信メールの内容部分データとともに、内容種別ID、所属種別ID及び関係種別IDを入力とする例について説明したが、これに限られない。例えば、学習モデルM1において、各種別については、内容種別ID、所属種別ID及び関係種別IDのうちの少なくとも1つを入力とすることとしてもよい。また、例えば、学習モデルM1について、各種別については入力しないように構築してもよい。言い換えれば、受信メールの本文の各構成要素のうちの内容部分のみを抽出して学習モデルM1に入力すると、返信メールの本文の内容部分の文案を出力するように学習を行ってもよい。
【0061】
以下、返信メールの文面案の自動生成を実現するために、情報処理システム10において実行される制御ルーチンについて説明する。
【0062】
図6は、担当者端末13によって実行される返信メール送信ルーチンRT1を示すフローチャートである。例えば、担当者端末13は、担当者端末13において本実施例の補助アプリケーションが追加されたメールアプリケーションが起動されると、返信メール送信ルーチンRT1を開始する。なお、例えば、担当者端末13において受信メールが受信されると、返信メール送信ルーチンRT1が開始されてもよい。
【0063】
担当者端末13は、返信メール送信ルーチンRT1を開始すると、返信メールの自動生成操作が受け付けられたか否かを判定する(ステップS101)。ステップS101において、例えば、担当者端末13において、メールアプリケーション上で、受信メールについての「返信ボタン」が押された場合に、自動生成操作が受け付けられたと判定される。
【0064】
例えば、メールアプリケーションにおいて、通常の返信ボタンとは別に、返信メールの文面案を自動生成する際に選択するための「自動返信ボタン」が設けられていてもよい。その場合は、ステップS101において、当該「自動返信ボタン」が押された場合に、自動生成操作が受け付けられたと判定される。
【0065】
ステップS101において、自動生成操作が受け付けられていないと判定する(ステップS101:NO)と、担当者端末13は、返信メール送信ルーチンRT1を終了し、新たに返信メール送信ルーチンRT1を開始する。
【0066】
ステップS101において、自動生成操作が受け付けられたと判定する(ステップS101:YES)と、担当者端末13は、当該自動生成操作によって指定された指定受信メールを返信メール作成支援サーバ11に送信する(ステップS102)。
【0067】
ステップS102において、指定受信メールは、担当者端末13が受信した受信メールのうち、返信文面案の自動生成の対象となる受信メールを指す。例えば、担当者端末13のユーザが1の受信メールを開いた状態で返信ボタンを押すと、当該1の受信メールが指定受信メールとなる。
【0068】
ステップS102の実行後、担当者端末13は、返信メールの文面案を所定時間待機し(ステップS103)、文面案を返信メール作成支援サーバ11から受信したか否かを判定する(ステップS104)。
【0069】
ステップS104において、担当者端末13は、文面案を受信していないと判定する(ステップS104:NO)と、ステップS103に戻り、文面案を再び待機する。
【0070】
ステップS104において、担当者端末13は、文面案を受信したと判定する(ステップS104:YES)と、当該文面案を返信メールの形式で表示画面に表示する(ステップS105)。ステップS105において、例えば、
図4に例示したような、返信メールの本文の内容部分43及びその他の形式的部分がヘッダとともに表示される。なお、ステップS105において、例えば、返信メールの本文の形式的部分については、空欄として表示されてもよい。
【0071】
ステップS105の実行後、担当者端末13は、表示している返信メールについてのユーザによる修正操作を受け付ける(ステップS106)。
【0072】
ステップS106の実行後、担当者端末13は、送信操作が成されたか否かを判定する(ステップS107)。ステップS107において、例えば、メールアプリケーション上で、「送信」ボタンが押されると、送信操作が成されたと判定される。
【0073】
ステップS107において、送信操作が成されていないと判定すると、担当者端末13は、ステップS106に戻り、ユーザによる修正操作を再び受け付ける。
【0074】
ステップS107において、送信操作が成されたと判定すると、担当者端末13は、返信メールを当該返信メールの宛先に送信する(ステップS108)。
【0075】
ステップS108の実行後、担当者端末13は、返信メール送信ルーチンRT1を終了し、新たに返信メール送信ルーチンRT1を開始する。
【0076】
図7は、返信メール作成支援サーバ11の制御部17によって実行される返信文面案生成ルーチンRT2を示すフローチャートである。制御部17は、例えば、返信メール作成支援サーバ11に電源が投入されると、返信文面案生成ルーチンRT2を開始する。
【0077】
制御部17は、返信文面案生成ルーチンRT2を開始すると、担当者端末13から指定受信メールを受信したか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201において、制御部17は、例えば通信部15を介して新たにメールを受信すると、指定受信メールを受信したと判定する。ステップS201において、制御部17は、1の端末が受信した受信メールを取得する受信メール取得ステップを実行する受信メール取得部として機能する。
【0078】
ステップS201において、指定受信メールを受信していないと判定する(ステップS201:NO)と、制御部17は、返信文面案生成ルーチンRT2を終了し、新たに返信文面案生成ルーチンRT2を開始する。
【0079】
ステップS201において、指定受信メールを受信したと判定する(ステップS201:YES)と、制御部17は、受信した指定受信メールの本文を各構成要素に分割する(ステップS202)。ステップS202において、例えば、
図2に例示したように、指定受信メールの本文23が、宛名部分25、名乗り及び挨拶を含む書き出し部分27、内容部分29、締め部分31及び署名部分33に分割される。言い換えれば、指定受信メールの本文は、内容部分29とその他の形式的部分に分割される。
【0080】
ステップS202の実行後、制御部17は、指定受信メールをその内容に基づいて分類した内容種別を取得する(ステップS203)。ステップS203において、例えば、上述したように、指定受信メールの件名又は本文の内容部分に基づいて、内容種別が特定される。また、ステップS203において、担当者端末13を介したユーザによる選択に基づいて内容種別が取得されてもよい。
【0081】
ステップS203の実行後、制御部17は、当該指定受信メールの送信者の所属又は肩書ごとに複数の種別に分類した所属種別及び当該指定受信メールの送信者と受信者との関係を示す関係種別を取得する(ステップS204)。ステップS204において、例えば、上述したように、指定受信メールの本文の形式的部分に基づいて、所属種別及び関係種別が取得される。
【0082】
ステップS204において、例えば、指定受信メールの本文23の書き出し部分27、署名部分33、又は受信メールのヘッダ21に含まれる送信者のメールアドレスに基づいて、所属種別及び関係種別が取得される。
【0083】
ステップS204において、例えば、指定受信メールの本文23の宛名部分25、書き出し部分27、締め部分31及び署名部分33に基づいて関係種別が取得される。なお、関係種別IDは、例えば担当者端末13を介したユーザによる選択又は予め作成された名簿に基づいて取得されてもよい。
【0084】
ステップS204の実行後、制御部17は、ステップS202において分割した指定受信メールの本文の内容部分と、ステップS203及びステップS204において取得した各種別を大容量記憶装置19に記憶されている学習モデルM1に入力する(ステップS205)。
【0085】
ステップS205において、例えば、制御部17は、指定受信メールの内容部分を数値データに変換した内容部分データと、内容種別を示す内容種別IDと、所属種別を示す所属種別IDと、関係種別を示す関係種別IDと、を
図5に示した学習モデルM1に入力する。
【0086】
ステップS205の実行後、制御部17は、学習モデルM1からの出力を用いて、返信メールの文面案を生成する(ステップS206)。ステップS206において、例えば、制御部17は、学習モデルM1から出力された返信メールの内容部分の文案に、指定受信メールの形式的部部分に基づいて生成した返信メールの形式的部分の文案を追加して、返信メールの文面案を生成する。
【0087】
制御部17は、ステップS202~ステップS206において、受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成ステップを実行する返信文面案生成部として機能する。
【0088】
ステップS206において、例えば、制御部17は、受信メールの書き出し部分及び署名部分に基づいて、返信メールの宛名部分を生成して追加する。ステップS206において、例えば、制御部17は、受信メールの宛名部分に基づいて、返信メールの署名部分を生成して追加する。
【0089】
ステップS206において、例えば、制御部17は、ステップS204において取得した関係種別に基づいて、返信メールの締め部分を生成して追加する。なお、ステップS206において、締め部分として定型文が挿入されてもよく、例えば、関係種別に基づいて複数の定型文から選択された定型文が締め部分として挿入されてもよい。
【0090】
ステップS206の実行後、制御部17は、ステップS206において生成した返信メールの文面案を担当者端末13に送信する(ステップS207)。
【0091】
ステップS207の実行後、制御部17は、返信文面案生成ルーチンRT2を終了し、新たに返信文面案生成ルーチンRT2を開始する。
【0092】
なお、返信文面案生成ルーチンRT2において、学習モデルM1を用いて文面案を生成する例について説明したが、これに限られない。制御部17は、学習モデルM1とは異なる入力又は出力となるように構築された学習モデルを用いて返信メールの文面案を生成してもよい。ステップS205において、学習モデルの構成に合った入力がなされればよい。
【0093】
例えば、本文の構成要素に関しては、ステップS202において分割した各構成要素のうち、学習モデルが入力としている構成要素をステップS205において入力すればよい。例えば、構成要素とともに入力する各種別に関しては、ステップS203及びステップS204において、内容種別、所属種別及び関係種別のうち、学習モデルの構成に応じて必要な種別が取得されればよい。
【0094】
具体的には、例えば、受信メールの内容部分及び内容種別を入力とし、返信メールの内容部分を出力するように機械学習がなされている学習モデルを用いる場合には、ステップS204を実行しなくともよく、所属種別及び関係種別を取得しないようにしてもよい。
【0095】
また、例えば、受信メールの内容部分を入力とし、返信メールの内容部分を出力するように機械学習がなされている学習モデルを用いる場合には、返信文面案生成ルーチンRT2のステップS203及びステップS204を実行しなくともよく、内容種別、所属種別及び関係種別を取得しなくともよい。
【0096】
図8、大容量記憶装置19に記憶されている学習モデルの他の一例である学習モデルM2を模式的に示す図である。
図8示すように、学習モデルM2は、受信メールの内容部分及び形式的部分を含む本文の全構成要素のデータと、各種別IDと、を入力すると、返信メールの本文の内容部分データ及び形式的部分データを含む全構成要素のデータを出力するように構築されている。
【0097】
具体的には、学習モデルM2は、受信メールの内容部分データに加えて、受信メールの形式的部分データとして、宛名部分データ、書き出し部分データ、締め部分データ、及び署名部分データを入力とする。また、学習モデルM2は、内容種別ID、所属種別ID、及び関係種別IDを入力とする。
【0098】
学習モデルM2の出力層からは、返信メールの内容部分データに加えて、返信メールの形式的部分データとして、宛名部分データ、書き出し部分データ、締め部分データ、及び署名部分データが出力される。
【0099】
図8示す学習済みモデルM2は、学習モデルM1と同様に、ディープラーニングによって構築されたニューラルネットワークである。当該ニューラルネットワークは、入力層、2つ又は3つ以上の中間層(隠れ層)及び出力層から構成されている。
【0100】
上述したように、受信メールの内容部分データは、例えば、受信メールの内容部分を区切った単語等の最小の構成単位の各々を数値化した数値によって構成される。
【0101】
例えば、受信メールの形式的部分データである宛名部分データ、書き出し部分データ、締め部分データ及び署名部分データについても同様に、各々の部分を構成する文字列を区切った最小の構成単位を示す数値によって構成される。
【0102】
入力層への入力がなされると、出力層では、受信メールに対する返信メールの本文の全構成要素のデータが出力される。
【0103】
学習モデルM2は、学習モデルM1と同様に、例えば以下のような教師あり学習によって機械学習がなされて構築される。
【0104】
例えば、学習用の受信メール及び返信メールの本文を各構成要素に分割する。また、当該学習用の受信メールについての、件名又は内容部分に基づいて内容種別IDを取得する。さらに、当該学習用の受信メールの形式的部分に基づいて所属種別ID及び関係種別IDを取得する。
【0105】
上記のようにして、学習用の受信メールに基づいて取得された本文の各構成要素及び各種別IDと、当該学習用の受信メールに対して実際に送信された返信メールの各構成要素と、を教師データとする。より詳細には、学習用の受信メールに基づいて取得された本文の内容部分及び形式的部分、内容種別ID、所属種別ID及び関係種別IDを入力データとし、当該学習用の受信メールに対して実際に送信された返信メールの内容部分及び形式的部分を正解データとする。
【0106】
入力データである受信メールの各構成要素及び各種別IDを複数の中間層を有するニューラルネットワークに入力して、出力が正解データの返信メールの本文の内容部分及び形式的部分、すなわち全ての構成要素からなる文案となるように、ニューラルネットワークのパラメータを誤差逆伝搬法によって更新しながら学習を行う。このような学習を過去に実際に受信した多数の受信メールについて行うことで、学習済みモデルM2を構築することができる。
【0107】
なお、学習モデルM1と同様に、学習モデルM2についても、内容種別ID、所属種別ID及び関係種別IDのうちの少なくとも1つを入力とするように構築してもよい。
【0108】
また、学習モデルM2についても、各種別については入力しないように構築してもよい。すなわち、受信メールの本文の全構成要素を入力すると、返信メールの本文の全構成要素の文案を出力するように、学習モデルM2を構築してもよい。
【0109】
例えば、学習モデルM2の入力のうちの、受信メールの本文の形式的部分については、宛名部分データ、書き出し部分データ、締め部分データ、及び署名部分データの少なくとも一つを入力とするようにしてもよい。例えば、所属種別IDの代わりに、署名部分データを入力してもよい。
【0110】
また、例えば、返信メールの本文の内容部分のみの文案を出力するように学習モデルM2を構築してもよい。
【0111】
制御部17は、学習モデルM2を用いる場合にも、返信文面案生成ルーチンRT2を実行して返信メールの本文の文面案を生成することができる。制御部17は、学習モデルM2を用いる場合は、返信文面案生成ルーチンRT2のステップS205において、指定受信メールの内容部分に加えて、形式的部分も入力学習モデルM2に入力する。
【0112】
以上、詳細に説明したように、本実施例の情報処理システム10における情報処理装置としての返信メール作成支援サーバ11は、1の端末が受信した受信メールを取得する受信メール取得部と、受信メールの本文の少なくとも一部を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの本文のうちの少なくとも一部の文案を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、受信メールに対する返信メールの文面案を生成する返信文面案生成部と、を有する。
【0113】
このような構成により、過去に同じ内容の問い合わせメールの例が無い場合であっても、理想的な回答に近い文面案を生成することが可能となる。例えば、担当者端末13のユーザは、自動生成した返信メールの文面案をみて、必要に応じて修正してから返信メールを送信する際に、簡単な修正で済み、短時間で返信メールを作成することができる。また、メールを受信してから短時間で返信メールを送信することができる。
【0114】
例えば、返信メール作成支援サーバ11は、受信メールの本文の宛名、名乗り、挨拶、締め及び署名を含む形式的部分以外の内容部分を入力すると、当該受信メールに対する返信メールの内容部分を出力するように機械学習がなされた学習モデルを用いて、返信メールの文面案を生成することができる。この場合、例えば、返信メール作成支援サーバ11は、当該学習モデルから出力された返信メールの内容部分に、形式的部分を追加して、返信メールの文面案を生成することができる。
【0115】
このように、形式的部分を除いて内容部分について学習モデルを用いた推論を行うことで、例えば、問い合わせのメールに対する返信メールの文面案における回答の内容の精度を高くすることができる。
【0116】
さらに、返信メール作成支援サーバ11は、例えば、受信メールの内容を分類した内容種別、受信メールの送信者の所属を示す所属種別、及び受信メールの送信者と受信者との関係を示す関係種別のうちの少なくとも1つを、受信メールの本文の少なくとも一部とともに学習モデルに入力することができる。それによって、学習モデルによる推論の精度がさらに向上し、学習モデルから出力される返信メールの本文の少なくとも一部の文案がより適切なものとなり、理想的な回答に限りなく近い文面案をユーザに提示することが可能となる。それによって、ユーザによる修正に係る時間が大幅に短縮され、ユーザはより短時間で返信メールを送信することができる。
【0117】
従って、本実施例の情報処理システム10における返信メール作成支援サーバ11によれば、電子メールに対する返信に係る業務の効率化を実現し得るとともに当該返信を迅速に行うことを可能にする情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラム及び記録媒体を提供することができる。
例えば、内容種別IDが「1」の学習用の複数の受信メールと返信メールとの組のうちの1つについて、本文を各構成要素に分割し、教師データとする。より詳細には、当該1つの組のうちの受信メールを分割した各構成要素の全てを入力データとし、返信メールを分割した各構成要素の全てを正解データとする。
入力データとした受信メールの全構成要素を複数の中間層を有するニューラルネットワークに入力して、出力が正解データの返信メールの全構成要素となるように、ニューラルネットワークのパラメータを誤差逆伝搬法によって更新しながら学習を行う。
学習モデルM11が、受信メールの本文の全ての構成要素を入力として、返信メールの本文の全ての構成要素を出力とする場合に限られず、本文の構成要素の少なくとも1つを入力又は出力としてもよい。例えば、学習モデルM11の入力は少なくとも本文の内容部分を含み、出力についても、少なくとも本文の内容部分を含むようにしてもよい。
また、内容種別ごとに学習モデルを構築する場合に限られず、実施例1において説明した所属種別又は関係種別を用いて、所属種別ごと、又は関係種別ごとに、別々の学習モデルを構築してもよい。
返信文面案生成ルーチンRT3は、ステップS301からステップS303までは返信文面案生成ルーチンRT2のステップS201~S203と同様に進行する。制御部17は、担当者端末13から指定受信メールを受信すると(ステップS301)、指定受信メールの本文を各構成要素に分割し(ステップS302)、当該指定受信メールの内容種別を取得する(ステップS303)。
その後、制御部17は、ステップS303において取得した内容種別に基づいて、大容量記憶装置19に記憶されている複数の学習モデルの中から、返信メールの文面案の生成に用いる学習モデルを選択する(ステップS304)。ステップS304において、例えば、指定受信メールの内容種別に対応する内容種別について構築された学習モデルが選択される。例えば、指定受信メールの内容種別IDが「1」である場合、内容種別ID「1」の内容種別について構築された学習モデルM11が選択される。
ステップS304の実行後、制御部17は、選択した学習モデルに、ステップS302において分割した指定受信メールの本文の各構成要素を入力する(ステップS305)。ステップS305において、例えば、学習モデルの構成に応じて、指定受信メールの本文の構成要素の全部又は一部が入力される。
その後、制御部17は、学習モデルから出力された返信メールの本文の少なくとも一部の文案を用いて文面案を生成し(ステップS306)、文面案を担当者端末13に送信する(ステップS307)。