(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033045
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】電子機器及び電子時計
(51)【国際特許分類】
G04G 21/00 20100101AFI20240306BHJP
【FI】
G04G21/00 304B
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136406
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 振也
【テーマコード(参考)】
2F002
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002AB01
2F002AC01
2F002AC02
2F002BA04
(57)【要約】
【課題】耐衝撃性が向上する電子機器及び電子時計を提供する。
【解決手段】電子機器は、固定端となる開口部(141)から第1の方向に延在する第1板ばね(1431)と、第1板ばね(1431)の延在方向の途中から分岐し、第1板ばね(1431)の第1の方向の先端である第2位置(S)よりも先まで第1の方向に伸びている第2板ばね(1432)と、押しボタンスイッチの押下動作に応じて第1板ばね(1431)が押下された場合に第2板ばね(1432)と接触する電極を有し、かつ押しボタンスイッチの押下動作によって第1板ばね(1431)とは接触しない基板(11)と、を備える。第2板ばね(1432)は、平面視で、第2位置(S)よりも先で第1の方向とは異なる第2の方向に基板(11)と重なる位置まで広がっている先端部を有し、先端部が押しボタンスイッチの押下動作に応じて電極と接触する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定端から第1の方向に延在する第1板ばねと、
前記第1板ばねの延在方向の途中から分岐し、前記第1板ばねの前記第1の方向の先端よりも先まで前記第1の方向に伸びている第2板ばねと、
押しボタンスイッチの押下動作に応じて前記第1板ばねが押下された場合に前記第2板ばねと接触する電極を有し、かつ前記押しボタンスイッチの押下動作によって前記第1板ばねとは接触しない基板と、
を備え、
前記第2板ばねは、前記押しボタンスイッチの押下方向から見た平面視で、前記第1板ばねの前記第1の方向の先端よりも先で、前記第1の方向とは異なる第2の方向に前記基板と重なる位置まで広がっている先端部を有し、当該先端部が前記押しボタンスイッチの押下動作に応じて前記電極と接触する
電子機器。
【請求項2】
前記第2の方向は、前記第1の方向に垂直な方向である請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1板ばねは、前記固定端から前記第1の方向に延在して、前記押しボタンスイッチのシャフトと接触する第1位置を通って第2位置まで伸びており、
前記電極は、前記押しボタンスイッチの押下動作に応じて前記第1板ばねの前記第1位置が前記シャフトによりある距離以上押下された場合に前記第2板ばねと接触して当該第2板ばねと導通し、
前記基板は、前記押しボタンスイッチが最大限押下されても前記第1板ばねとは接触せず、
前記第2板ばねの前記先端部は、前記シャフトの押下方向から見た平面視で、前記第1の方向について前記第2位置よりも先端側で前記第2の方向に前記基板と重なる位置まで広がっている
請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2板ばねは、前記先端部に前記電極の側への湾曲部を有し、前記押しボタンスイッチの押下動作に応じて当該湾曲部が前記電極に接触する請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記電極は、前記湾曲部に対応して湾曲した形状の凹部を有する前記基板の当該凹部に沿って位置する請求項4記載の電子機器。
【請求項6】
前記基板を挟んだ両側にそれぞれ支持部材を備え、
前記第1板ばね及び前記第2板ばねは、前記基板及び前記支持部材の積層方向に沿って並び、
前記電極は、前記基板の側面に位置し、
前記支持部材は、前記第1板ばねと接しない
請求項5記載の電子機器。
【請求項7】
前記基板及び前記支持部材は、前記第1板ばねの押下方向に沿って窪み部を有し、
前記窪み部は、前記凹部よりも内側に位置している
請求項6記載の電子機器。
【請求項8】
押下動作に応じて前記第1板ばねの前記第1位置を押下するシャフトを有する押しボタンスイッチを備える請求項3記載の電子機器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の電子機器を備える電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器及び電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
押しボタンスイッチを有する携帯型の電子機器には、押しボタンスイッチの押下に伴いそのシャフトが導電性部材の板ばねを押して変形させるものがある。変形した板ばねが基板の電極と接触することで導通が図られ、押しボタンスイッチの押下操作が検出される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような押しボタンスイッチは、電子機器を落下させたときの衝撃などにより意図せず急激に押下されることがある。内部に伝わった衝撃の度合によっては、電子機器では、内部構造が破損したり動作にトラブルを生じたりする場合がある。板ばねは、このような衝撃を緩和する一方で、際限なく板ばねを伸ばしていくのは難しいという課題がある。
【0005】
この発明の目的は、板ばねによる耐衝撃性を向上させることのできる電子機器及び電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、
固定端から第1の方向に延在する第1板ばねと、
前記第1板ばねの延在方向の途中から分岐し、前記第1板ばねの前記第1の方向の先端よりも先まで前記第1の方向に伸びている第2板ばねと、
押しボタンスイッチの押下動作に応じて前記第1板ばねが押下された場合に前記第2板ばねと接触する電極を有し、かつ前記押しボタンスイッチの押下動作によって前記第1板ばねとは接触しない基板と、
を備え、
前記第2板ばねは、前記押しボタンスイッチの押下方向から見た平面視で、前記第1板ばねの前記第1の方向の先端よりも先で、前記第1の方向とは異なる第2の方向に前記基板と重なる位置まで広がっている先端部を有し、当該先端部が前記押しボタンスイッチの押下動作に応じて前記電極と接触する
電子機器である。
【発明の効果】
【0007】
本発明に従うと、電子機器の耐衝撃性を向上させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】電子機器の筐体内部に収容されるモジュールを裏面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態の電子機器の筐体内部に収容されるモジュール100を裏面側から見た斜視図である。
電子機器は、例えば、腕時計型の電子時計である。モジュール100は、円筒状の筐体及び/又は外装部材(以降まとめて筐体と記す)の内部に収容され、表示画面が露出される上面側(上端)が透明な風防ガラス、腕に接する下面側(裏面側、下端)が裏蓋によりそれぞれ封止される。特には限られないが、裏蓋が導電性部材であって筐体接地面の一部をなしていてもよい。モジュール100は、基板11と、第1ハウジング12と、第2ハウジング13と、押さえ部材14などを備える。
【0010】
基板11は、電子時計の各種動作を行うための電子部品及びこれらを接続する電子回路(電極を含む)などを有する板状部材である。電子部品には、例えば、マイコン、外付けの記憶部(フラッシュメモリなど)、大容量のコンデンサ、通信や計測などの各種機能動作に係るモジュール、水晶振動子などが含まれ得る。基板11には、バッテリBから電力供給がなされ、各電子部品などを動作させる。例えば、マイコンは、水晶振動子の発振に応じたクロック信号を利用して時刻(日付情報を含んでいてもよい)を計数する。また、マイコンは、風防ガラス下に位置する表示画面に時刻などの表示を行わせる。基板11は、複数層を有する積層基板であってもよい。基板11の側面には、電極11cが位置して露出している。
【0011】
第1ハウジング12は、基板11の上面側に位置し、上記表示画面及び上記電子部品のうち上記基板11の上面に外付けされて位置するものなどを収容する。外付けされる電子部品としては、例えば、通信(受信のみのものを含む)に係るモジュールや大容量のコンデンサなどが含まれ得る。
【0012】
第2ハウジング13は、基板11の下面側に位置し、第1ハウジング12とともに基板11を挟持する。第2ハウジング13は、略中央にバッテリBを収容する。バッテリBの一方の面(例えば下面側)は筐体接地面に接続され、他方の面(上面側)の出力(電圧、電流)が基板11へ供給される。
【0013】
押さえ部材14は、導電性部材、ここでは金属部材であり、第2ハウジング13の下面側に沿って環状に位置している部分を有する。また、押さえ部材14は、一部が上記環状部分からモジュール100の側面に伸びて、その開口部141(固定端)が第1ハウジング12の爪部121と係合されて固定されている。これにより押さえ部材14は、基板11を第1ハウジング12及び第2ハウジング13(まとめて支持部材)により両側から挟んだ状態でこれらを一体的に保持している。
【0014】
押さえ部材14は、上記バッテリBの下面側と接続されて筐体接地されている。また、押さえ部材14は、当初の状態で下方に伸びた板ばね142を有する。板ばね142は、裏蓋と接触して当該裏蓋を接地電位とする。
【0015】
側面の開口部141から両側に当該側面に沿った周回方向(第1の方向)へ板ばね143が延在している。板ばね143は、図示略の押しボタンスイッチ(操作部材)の押下動作を検出するためのものである。図示略の押しボタンスイッチは、筐体を貫通して電子時計の側面に位置する。その根元部分であるシャフトは、少なくとも押しボタンスイッチが押下された状態では板ばね143に接触する。なお、押しボタンスイッチが押下されていない状態では、シャフトは板ばね143と接触していなくてもよい。
【0016】
図2は、モジュール100の板ばね143を含む側面図である。
図3は、基板11に沿った断面の一部を示す図である。
図2に示すように、開口部141の両側に伸びる板ばね143は、直線状の短い第1板ばね1431(シャフト板ばね)と、当該第1板ばね1431の延在方向の途中から分岐して第1板ばね1431よりも先まで伸びる第2板ばね1432(コンタクト板ばね)とを有する。
【0017】
第1板ばね1431の先端付近である第1位置Cは、押しボタンスイッチのシャフトが接触する位置である。押しボタンスイッチは、押下されると第1位置Cで第1板ばね1431にモジュール100の内側向き、すなわち図面垂直方向奥向きの力を加える。
【0018】
第2板ばね1432は、第1板ばね1431から下側、すなわち第2ハウジング13の側に分岐して、第1板ばね1431とスリットを挟んで平行に伸びている。スリットは第1板ばね1431と第2板ばね1432との対向部分が接触しない範囲で十分に狭くてよい。第2板ばね1432の長さは、スリットの根元Rから第1板ばね1431の先端である第2位置Sまでの長さよりも長い。すなわち、第2板ばね1432は、第2位置Sよりも更に先まで伸びている。第2板ばね1432は、第2位置Sよりも先で上向きに(第1の方向に垂直な第2の方向)に幅が広がり、押しボタンスイッチ(シャフト)の押下方向を見た平面視(側面視)で当該基板11と重なる位置まで伸びている。すなわち、第2板ばね1432は、先端付近でL字状に折れ曲がっている。
【0019】
押しボタンスイッチの押下に応じて第1板ばね1431がモジュール100の内側に向けて曲がると、これに伴って当初、第2板ばね1432も同方向に略同一の角度で曲がる。第2板ばね1432を押しボタンスイッチの基板11の側面であって第2板ばね1432と接触し得る範囲には、上記のように電極11cが露出している。したがって、第1板ばね1431がある距離(以上)押下されることで、第2板ばね1432が電極に接触する。第2板ばね1432と電極11cとが接触することで、電極が筐体接地されている押さえ部材14と導通する。基板11が電極11cの導通を検出する構成を有することで、押しボタンスイッチの押下状態が検出される。
【0020】
なお、スリットの根元Rから第1位置Cまでの距離が短いほど、押しボタンスイッチの押下距離が短くても大きな曲がり変形が生じ、押下動作に対する応答性が向上する。一方で、この距離が短すぎると、変形を生じさせるために必要な応力が大きくなるので、第1板ばね1431を細くする必要がある。その結果、大きな応力がかかった場合に第1板ばね1431が不可逆的な変形になりやすい。
【0021】
また、上記距離に比してスリットの根元Rから第2板ばね1432が電極11cに接する位置までの距離が長いと、第1板ばね1431の曲げ変形量に比して第2板ばね1432の曲げ変形量が大きくなる。したがって、このような板ばね143では、当該板ばね143の弾性変形の範囲内で効率よく第2板ばね1432を電極に接触させることができる。ここでは例えば、スリットの根元Rから第2板ばね1432が電極11cに接する位置までの距離は、スリットの根元Rから第1位置Cまでの距離の2倍以上とされる。
【0022】
図3に示すように、第2板ばね1432の幅が広がった先端(先端部)は、モジュール100の内側に向けて湾曲した形状の湾曲部1432aを有する。基板11は、この湾曲部1432aに対応した凹部11aを有し、この凹部11aに沿って電極11cが位置する。ここでいう「対応した」とは、同一の形状であることを意味しない。この凹部11aは、湾曲部1432aが容易に進入可能に湾曲部1432aよりも若干大きく及び/又は浅いものであってもよい。一点鎖線Lsに沿って押しボタンスイッチのシャフトが第1板ばね1431を押下する。これに伴って第2板ばね1432が内側に曲がると、二点鎖線で示した位置で湾曲部1432aが凹部11aに接する。
【0023】
基板11及び第2ハウジング13の側面は、第1板ばね1431の範囲に沿って更にモジュール100の内側方向への局所的な窪み部11bを有する。窪み部11bは、凹部11aよりもモジュール100の内側方向に位置する。
図3には示されていない第1ハウジング12についても第1板ばね1431の範囲について窪み部を有する。これにより第1板ばね1431は、押しボタンスイッチが最大限押下されても、二点鎖線で示すように基板11、第1ハウジング12及び第2ハウジング13に接触しない。押しボタンスイッチの押下動作は、ユーザによる意図的な押下操作に限られない。電子時計が落下した際の床面などとの衝突による押下などもあり得る。
【0024】
落下の衝撃などによる押しボタンスイッチの急激かつ大きな押下が生じると、第2板ばね1432が電極11cに接するだけに留まらず、第1板ばね1431はさらに押しボタンスイッチのシャフトにより内側へ押し下げられる。なお、このとき第2板ばね1432は、根元R(第1板ばね1431からの分岐位置)と湾曲部1432aとの間では、第1板ばね1431と第2板ばね1432との間の位置ずれに応じた歪みが生じる。歪みが小さいと、第2板ばね1432の湾曲部1432aと電極11c(基板11)との間にかかる力が大きくなる。一方で、歪みが大きいと、第2板ばね1432が元の状況に復元不可能になり得る。これらを考慮して、第1板ばね1431の延在方向に垂直な方向(上下方向)の太さと、第2板ばね1432の上記方向についての太さ、及びこれらの比が適切に設定される。
【0025】
またこのとき、第2板ばね1432の先端がL字状に第1板ばね1431の延長線上にまで伸びていることで、第1板ばね1431に過剰な力がかかった場合に第2板ばね1432が電極11cと接する面積が広くなり、局所的に大きな力がかかりにくくなる。また同時に、第1板ばね1431が更に押下された場合でも、第2板ばね1432がねじれにくくなる。
このように、第2板ばね1432の先端は、第1板ばね1431の延長線上にL字状に伸びているので、電極11cと接触する第2板ばね1432の長さを一直線状に長くしなくても、十分な板ばね143の長さが得られる。したがって、電子機器は、その耐衝撃性を向上させることができる。
【0026】
以上のように、本実施形態の電子機器は、第1板ばね1431と、第2板ばね1432と、基板11とを備える。第1板ばね1431は、爪部121による固定端である開口部141から側面に沿った第1の方向に延在する。第2板ばね1432は、第1板ばね1431の延在方向の途中から分岐し、第1板ばね1431の第1の方向の先端である第2位置Sよりも先まで第1の方向に伸びている。基板11は、押しボタンスイッチの押下動作に応じて第1板ばね1431が押下された場合に第2板ばね1432と接触する電極を有し、かつ押しボタンスイッチの押下されても第1板ばね1431とは接触しない。第2板ばね1432は、第1の方向についての先端(第2位置S)よりも先で第1の方向とは異なる(垂直な)第2の方向(上向き)について第1板ばね1431の範囲を少なくとも一部含む範囲まで広がっている先端部を有し、当該先端部が押しボタンスイッチの押下動作に応じて電極と接触する。
この電子機器によれば、第1板ばね1431自体は押しボタンスイッチが過剰に押下されても基板11に接触しないで曲がっていく。したがって、電子機器は、落下などの大きな衝撃によって押しボタンスイッチが過剰に押下されたような場合でも、基板11などにかかる衝撃を抑制することができる。さらに、第2板ばね1432が直線状ではなく、折れ曲がって長くかつ幅広く基板11に接することができるので、衝撃が分散される。よって、電子機器は、耐衝撃性が向上する。これにより、意図しない落下などによる急激な押しボタンスイッチの押し込みのし過ぎを防ぐための突起形状などを、外装部材において押しボタンスイッチの周囲などに設けなくてもよくなる。したがって、電子機器(電子時計)のデザインの自由度が向上する。また、電極が第2の方向について適宜な位置であっても第2板ばね1432と接触可能となる。よって電子機器の設計自由度が向上する。また、スリットの根元(第2板ばね1432の分岐位置)から第1位置Cまでよりも当該スリットの根元から第2板ばね1432の電極と接触する位置の方が遠いので、押しボタンスイッチの押下操作に対して板ばね143の弾性変形の範囲内で効率よく押しボタンスイッチの操作検出がなされる。
【0027】
また、第2の方向は、第1の方向に垂直な方向である。特に、第2板ばね1432の先端部が第1の方向に垂直な方向に伸び広がることで、より安定して衝撃を受けて、これを分散させることができる。
【0028】
また、第1板ばね1431は、開口部141から側面に沿った第1の方向に延在して、押しボタンスイッチのシャフトと接触する第1位置Cを通って第2位置Sまで伸びている。電極は、押しボタンスイッチの押下動作に応じて第1板ばね1431の第1位置Cがシャフトによりある距離以上押下された場合に第2板ばね1432と接触して当該第2板ばね1432と導通する。基板11は、押しボタンスイッチが最大限押下されても第1板ばね1431とは接触しない。第2板ばね1432の先端部は、平面視で、第1の方向について第2位置Sよりも先端側で、第2の方向(上向き)について基板11と重なる位置まで広がっている。
この電子機器によれば、第1板ばね1431が変形により衝撃を吸収するとともに、第2板ばね1432が幅広く基板11に接することができる。したがって、電子機器では、基板や電子部品などへの衝撃がより適切に抑制される。よって、電子機器(板ばね143)は、その耐衝撃性が向上する。また、電極が第2の方向について適宜な位置であっても第2板ばね1432と接触可能となる。よって電子機器の設計自由度が向上する。
【0029】
また、第2板ばね1432は、先端部に電極の側への湾曲部1432aを有する。第2板ばね1432は、押しボタンスイッチの押下動作に応じてこの湾曲部1432aが電極に接触する。突出した部分が電極と接触するので、電子機器では、押しボタンスイッチの動作検出がより確実に行われる。
【0030】
また、電極は、湾曲部1432aに対応して湾曲した形状の凹部11aを有する基板11の当該凹部11aに沿って位置する。このように電極の側も第2板ばね1432の湾曲部1432aと対応する形状なので、電子機器は、接触の確実性を維持しつつ前記電極11cと接触する。これにより電極11cの側の接触位置も安定して同一位置付近となりやすくなる。また、シャフトから板ばね143が過大な衝撃を受けた場合に、第2板ばね1432が凹部11aの範囲から外れにくい。
【0031】
また、電子機器は、基板11を挟んだ両側にそれぞれ第1ハウジング12及び第2ハウジング13を備える。第1板ばね1431及び第2板ばね1432は、基板11、第1ハウジング12及び第2ハウジング13の積層方向に沿って並び、電極11cは、基板11の側面に位置する。第1ハウジング12及び第2ハウジング13は、押しボタンスイッチが最大限押下されても第1板ばね1431と接しない。すなわち、第1板ばね1431は、過大に曲げられても基板11に限らずモジュール100の他の部分に接触しない。したがって、第1板ばね1431は、押しボタンスイッチからの衝撃を適切に分散し、電子機器の故障などの発生を抑制することができる。
【0032】
また、基板11、第1ハウジング12及び第2ハウジング13は、第1板ばね1431の押下方向に沿って窪み部11bを有する。この窪み部11bは、凹部11aよりもモジュール100(電子機器)の内側に位置している。これにより、上記のように第1板ばね1431が過大に押下されてもこれら基板11、第1ハウジング12及び第2ハウジング13に接触しない。また、基板11を必要以上に小さくしないので、他の回路や電子部品の配置などへの影響を最小限とすることができる。
【0033】
また、電子機器は、押下動作に応じて第1板ばね1431の第1位置Cを押下するシャフトを有する押しボタンスイッチを備える。この電子機器によれば、落下などによる押しボタンスイッチへの衝撃などによる悪影響を効果的に低減させつつ操作を受け付けることができる。
【0034】
また、本実施形態の電子時計は、上記の電子機器を備える。このような電子時計は、落下などに対する耐衝撃性を向上させることができる。
【0035】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、第2板ばね1432は、側面に沿って第2位置Sより先の一箇所で幅が広くなる、すなわち、上向きに90度折れ曲がるL字形状により長さを延長するのではなくてもよい。第2板ばね1432は、第1の方向から直角以外の方向に折れ曲がって第2の方向に伸び広がって第2板ばね1432の長さを得ていてもよい。また、折れ曲がりは1回のみではなくてもよい。例えば、第2板ばね1432は、L字状ではなくJ字状に折れ曲がっていてもよい。J字状の先端は、側面視で第1板ばね1431の範囲よりも上側に位置していてもよい。すなわち、第2板ばね1432が第1板ばね1431の先端の第2位置Sを3方向から囲む形状であってもよい。あるいは、第2板ばね1432は、第2位置Sよりも先で曲線状に向きが変わってもよい。
また、第2板ばね1432は、第2位置Sより先のある位置から徐々に又は段階的に幅が上方に広がっていってもよい。また、上下に広がる先端部は、下面側(第2板ばね1432が第1板ばね1431から分離した側)よりも上面側で太くなっていてもよい。
いずれにせよ、第2板ばね1432は、その先端が第1板ばね1431の先端を回り込むような形状を有することで、耐衝撃性を向上させることができる。
【0036】
また、上記実施の形態では、第2板ばね1432の先端部全体がU字形に湾曲しているものとして説明したが、これに限られない。V字形などの他の形状で下向きに突出していてもよいし、J字型程度であってもよい。あるいは、第2板ばね1432の先端部は、電極と接する一部のみが下向きに突出していてもよい。あるいはそもそも先端部が突出した形状を有していなくてもよい。
【0037】
また、上記実施の形態では、基板11の電極が基板11の側面における湾曲した凹部内に位置するものとして説明したが、これに限られない。凹部は箱状であってもよい。あるいは、凹部は、階段状のものであってもよい。
【0038】
また、上記実施の形態では、第1板ばね1431と接触しないように基板11、第1ハウジング12及び第2ハウジング13が窪み部11bを有するものとして説明したが、これに限られない。例えば、もともと突出していた凸部や頂点をカットするだけで第1板ばね1431と接触しないようにすることが可能であれば、これらが凹部とまでされる必要はない。
【0039】
また、上記実施の形態では、基板11を第1ハウジング12及び第2ハウジング13で挟んでいる場合について説明した。この構成の場合では、中央に来る基板と第1板ばね1431とが側面視で重なりやすい。したがって、本実施形態の第2板ばね1432の先端部により適切に第1板ばね1431の押下に応じて第2板ばね1432と基板11の側面の電極とを接触させることができる。しかしながら、このような構成に限られるものではない。基板11の両側にハウジングが位置しているのではなくてもよい。あるいは、基板11、第1ハウジング12及び第2ハウジング13以外の板状/層状の構成が含まれていてもよい。
【0040】
上記実施の形態では、押しボタンスイッチが電子機器の側面に位置しているものとして説明したが、これに限られない。押しボタンスイッチが正面(上面)や底面(下面)に位置していてもよい。また、押しボタンスイッチの形状は特に限られない。
【0041】
また、上記実施の形態では、腕時計型の電子時計であるものとして説明したが、これに限られない。腕に装着されるのではない携帯型の電子時計などであってもよい。また、電子機器には、ユーザが装着したり携帯したりするもの、例えば、スマートウォッチ、アクティビティ計測計やバイタルの計測計などを含み得る。
その他、上記実施の形態で示した具体的な構成、構造及び位置関係などは、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。本発明の範囲は、特許請求の範囲に記載した発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0042】
11 基板
11a 凹部
11b 窪み部
11c 電極
12 第1ハウジング
121 爪部
13 第2ハウジング
14 押さえ部材
100 モジュール
141 開口部
142、143 板ばね
1431 第1板ばね
1432 第2板ばね
1432a 湾曲部
B バッテリ
C 第1位置
R 根元
S 第2位置