IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ モレックス インコーポレイテドの特許一覧

<>
  • 特開-コネクタ及びコネクタ対 図1
  • 特開-コネクタ及びコネクタ対 図2
  • 特開-コネクタ及びコネクタ対 図3
  • 特開-コネクタ及びコネクタ対 図4
  • 特開-コネクタ及びコネクタ対 図5
  • 特開-コネクタ及びコネクタ対 図6
  • 特開-コネクタ及びコネクタ対 図7
  • 特開-コネクタ及びコネクタ対 図8
  • 特開-コネクタ及びコネクタ対 図9
  • 特開-コネクタ及びコネクタ対 図10
  • 特開-コネクタ及びコネクタ対 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033060
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】コネクタ及びコネクタ対
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/03 20060101AFI20240306BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20240306BHJP
【FI】
H01R13/03 D
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136439
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】591043064
【氏名又は名称】モレックス エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100116207
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100096426
【弁理士】
【氏名又は名称】川合 誠
(72)【発明者】
【氏名】杉水流 誉司
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB41
5E223AB77
5E223AC17
5E223AC18
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB31
5E223CB38
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB11
5E223DB25
5E223DB33
5E223DB36
5E223EA03
5E223EB38
(57)【要約】
【課題】はんだバリアを形成することなく、はんだ濡れ性を適度に維持し、基板接続部の接続強度を向上させつつ、接点部における接触抵抗を低減することができ、構造が簡素で、コストが低く、信頼性が高くなるようにする。
【解決手段】導電部材は、本体部と、本体部の一端側に位置する基板接続部と、本体部の他端側に位置する接点部とを含み、本体部、基板接続部及び接点部は、それぞれ、ハウジングから露出した露出面を含み、本体部、基板接続部及び接点部は、それぞれ、金属基材と、金属基材の上に形成された第1~第3層を含み、第1層は、ニッケル又はニッケル合金のめっき層であり、第2層は、白金族金属又は白金族金属合金のめっき層であり、第3層は、金又は金合金のめっき層であり、第2層の厚さは2~200〔nm〕であり、第3層の厚さは0.2~15〔nm〕である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ハウジングと、導電部材とを備えるコネクタであって、
(b)前記導電部材は、本体部と、該本体部の一端側に位置する基板接続部と、前記本体部の他端側に位置する接点部とを含み、
(c)前記本体部、基板接続部及び接点部は、それぞれ、前記ハウジングから露出した露出面を含み、
(d)前記本体部、基板接続部及び接点部は、それぞれ、金属基材と、該金属基材の上に形成された第1~第3層を含み、
(e)前記第1層は、ニッケル又はニッケル合金のめっき層であり、前記第2層は、白金族金属又は白金族金属合金のめっき層であり、前記第3層は、金又は金合金のめっき層であり、前記第2層の厚さは2~200〔nm〕であり、前記第3層の厚さは0.2~15〔nm〕であることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第3層の厚さは0.5~8〔nm〕である請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記白金族金属はパラジウム又はパラジウム合金である請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1~第3層は、前記導電部材の延伸面に形成される請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記露出面の各々は、互いに連続して形成され、1つの露出面を形成する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記本体部、基板接続部及び接点部は、嵌合方向に延在する同一の横断平面上に位置する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記基板接続部及び接点部は、嵌合方向に延在する同一の直線上に位置する請求項1に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記導電部材は板状部材であり、前記基板接続部及び接点部は前記板状部材の延伸面に形成される請求項1に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記基板接続部の領域は、前記接点部の領域よりも広い請求項1に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記導電部材は前記コネクタの周りを囲むシールド部材である請求項1に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記導電部材は電源用端子又は信号用端子である請求項1に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記導電部材は補強金具である請求項1に記載のコネクタ。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のコネクタと、該コネクタと嵌合する相手方コネクタとを有するコネクタ対。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ及びコネクタ対に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の平行な回路基板同士を電気的に接続するために、基板対基板コネクタが使用されている。このようなコネクタは、それぞれ、導電部材である端子を複数本ずつ備え、各端子の基板接続部が回路基板上に形成された配線パターン等にはんだ付によって接続されており、コネクタ同士が嵌合し、対応する端子の接点部同士が互いに接触すると、一対の回路基板の対応する配線パターン同士が互いに導通する。そして、各端子には、溶融したはんだが基板接続部から接点部にまで這上がってしまうことを防止するために、はんだバリアが形成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図11は従来の端子を示す図であって、(a)は側面図、(b)は断面図である。
【0004】
図において、861は、図示されないコネクタのハウジングに取付けられる端子であり、細長い帯状の導電性の金属板を屈曲させて形成された部材であり、細長い本体部861cと、該本体部861cの一端側に形成され、相手方の端子と接触する接点部861aと、前記本体部861cの他端側に形成され、図示されない回路基板上に形成された配線パターン等にはんだ付によって接続される基板接続部861bとを備えている。
【0005】
そして、前記接点部861a及び基板接続部861bにおいては、図11(b)に示されるように複数のめっき層が形成されている。図において、862は金属基材であり、例えば、ベリリウム銅等の銅合金から成る。また、863aは、金属基材862の上に形成された下地層としてのニッケルめっき層であり、その厚さは2〔μm〕程度である。さらに、863bは、ニッケルめっき層863aの上に形成されたパラジウムめっき層であり、例えば、Pd-Ni合金等のパラジウム合金から成り、その厚さは0.1〔μm〕以上であることが望ましい。さらに、863cは、パラジウムめっき層863bの上に形成された金めっき層であり、例えば、Au-Co合金等の金合金から成り、その厚さは0.3〔μm〕以上であることが望ましい。
【0006】
これにより、前記接点部861aにおいては、電気抵抗を低減させるとともに硬度及び耐摩耗性を向上させることができ、良好な接触信頼性を得ることができる。また、前記基板接続部861bにおいては、良好な耐食性及びはんだ濡れ性を保ちつつ、硬度及び耐摩耗性を向上させることができる。さらに、前記本体部861cにおいては、ニッケルめっき層863a、及び、該ニッケルめっき層863a上のパラジウムめっき層863bが形成されているものの、金めっき層863cは存在しないようになっている。
【0007】
このように、金めっき層863cよりもはんだ濡れ性が悪いパラジウムめっき層863bが表面に形成されているので、前記本体部861cは、はんだバリアとして機能し、溶融したはんだが基板接続部861bから接点部861aにまで這上がってしまうことを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006-294420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来のコネクタにおいては、基板接続部861bと接点部861aとの間にはんだバリアを形成する必要があり、しかも、はんだが基板接続部861bから接点部861aまで這上がってしまうことを確実に防止するためには、はんだバリアを広範囲に亘って形成する必要があるが、そうすると、基板接続部861bから接点部861aまでの距離が長くなり、端子861が大型化してしまう。近年では、特に、基板対基板コネクタの小型化及び低背化が進んでいるので、端子861を大型にして基板接続部861bから接点部861aまでの距離を長くすることは困難である。そもそも、基板対基板コネクタの小型化及び低背化に伴って端子861も小型化されているので、基板接続部861bから接点部861aまでの間に、はんだバリアを形成すること自体が非常に困難である。
【0010】
ここでは、前記従来の問題点を解決して、はんだバリアを形成することなく、はんだ濡れ性を適度に維持し、基板接続部の接続強度を向上させつつ、接点部における接触抵抗を低減することができ、構造が簡素で、コストが低く、信頼性の高いコネクタ及びコネクタ対を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そのために、コネクタにおいては、ハウジングと、導電部材とを備えるコネクタであって、前記導電部材は、本体部と、該本体部の一端側に位置する基板接続部と、前記本体部の他端側に位置する接点部とを含み、前記本体部、基板接続部及び接点部は、それぞれ、前記ハウジングから露出した露出面を含み、前記本体部、基板接続部及び接点部は、それぞれ、金属基材と、該金属基材の上に形成された第1~第3層を含み、前記第1層は、ニッケル又はニッケル合金のめっき層であり、前記第2層は、白金族金属又は白金族金属合金のめっき層であり、前記第3層は、金又は金合金のめっき層であり、前記第2層の厚さは2~200〔nm〕であり、前記第3層の厚さは0.2~15〔nm〕である。
【0012】
他のコネクタにおいては、さらに、前記第3層の厚さは0.5~8〔nm〕である。
【0013】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記白金族金属はパラジウム又はパラジウム合金である。
【0014】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記第1~第3層は、前記導電部材の延伸面に形成される。
【0015】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記露出面の各々は、互いに連続して形成され、1つの露出面を形成する。
【0016】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記本体部、基板接続部及び接点部は、嵌合方向に延在する同一の横断平面上に位置する。
【0017】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記基板接続部及び接点部は、嵌合方向に延在する同一の直線上に位置する。
【0018】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記導電部材は板状部材であり、前記基板接続部及び接点部は前記板状部材の延伸面に形成される。
【0019】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記基板接続部の領域は、前記接点部の領域よりも広い。
【0020】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記導電部材は前記コネクタの周りを囲むシールド部材である。
【0021】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記導電部材は電源用端子又は信号用端子である。
【0022】
更に他のコネクタにおいては、さらに、前記導電部材は補強金具である。
【0023】
コネクタ対においては、本開示のコネクタと、該コネクタと嵌合する相手方コネクタとを有する。
【発明の効果】
【0024】
本開示によれば、コネクタは、はんだバリアを形成することなく、はんだ濡れ性を適度に維持し、基板接続部の接続強度を向上させつつ、接点部における接触抵抗を低減することができる。また、構造を簡素化し、コストを低減することができるとともに、信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施の形態における嵌合前の第1コネクタと第2コネクタとの位置関係を示す第1コネクタ側から観た斜視図である。
図2】第1の実施の形態における第2コネクタの分解図である。
図3】第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合を解除する際の横断面図である。
図4】第1の実施の形態におけるめっき層の構成を示す第2端子の表面近傍の模式断面図である。
図5】第1の実施の形態におけるはんだ濡れ広がり実験の結果を示す図である。
図6】第1の実施の形態における第2及び第3層の厚さを変化させた実験の結果を示す表である。
図7】第2の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合前の斜視図である。
図8】第2の実施の形態における第2コネクタの斜視図である。
図9】第2の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した状態の平面図である。
図10】第2の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した状態の断面図であって、(a)は図9のA-A矢視断面図、(b)は図9のB-B矢視断面図、(c)は図9のC-C矢視断面図である。
図11】従来の端子を示す図であって、(a)は側面図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0027】
図1は第1の実施の形態における嵌合前の第1コネクタと第2コネクタとの位置関係を示す第1コネクタ側から観た斜視図、図2は第1の実施の形態における第2コネクタの分解図、図3は第1の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合を解除する際の横断面図である。
【0028】
図において、101は本実施の形態におけるコネクタであって、コネクタ対である一対の基板対基板コネクタの一方としての第2コネクタである。該第2コネクタ101は、実装部材としての図示されない基板である第2基板の表面に実装される表面実装型のコネクタであって、相手方コネクタとしての第1コネクタ1と互いに嵌合される。また、該第1コネクタ1は一対の基板対基板コネクタの他方であり、実装部材としての図示されない基板である第1基板の表面に実装される表面実装型のコネクタである。
【0029】
なお、本実施の形態における第1コネクタ1及び第2コネクタ101は、好適には、基板としての第1基板及び第2基板を電気的に接続するために使用するものであるが、他の部材を電気的に接続するためにも使用することができる。前記第1基板及び第2基板は、例えば、電子機器等に使用されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル(FFC)、フレキシブル回路基板(FPC)等であるが、いかなる種類の基板であってもよい。
【0030】
また、本実施の形態において、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記第1コネクタ1及び第2コネクタ101の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0031】
そして、前記第1コネクタ1は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された相手方ハウジングとしての第1ハウジング11を有する。該第1ハウジング11は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備え、第2コネクタ101が嵌入される側、すなわち、嵌合面11a側(Z軸正方向側)には、周囲が囲まれた概略長方形の凹部であって、第2コネクタ101の第2ハウジング111と嵌合する凹部が形成されている。前記第1コネクタ1は、例えば、縦(X軸方向の寸法)約6〔mm〕、横(Y軸方向の寸法)約2〔mm〕及び厚さ(Z軸方向の寸法)約0.6〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。そして、前記凹部内には第2コネクタ101の凹溝部113と嵌合する中島としての第1凸部が第1ハウジング11と一体的に形成され、また、前記第1凸部の両側(Y軸正方向側及び負方向側)には該第1凸部と平行に延在する側壁部が第1ハウジング11と一体的に形成されている。
【0032】
ここで、前記第1凸部の両側の側面には凹溝状の第1端子収容内側キャビティが形成されている。また、前記側壁部の内側の側面には凹溝状の第1端子収容外側キャビティが形成されている。そして、前記第1端子収容内側キャビティと第1端子収容外側キャビティとを統合的に説明する場合には、第1端子収容キャビティとして説明する。なお、該第1端子収容キャビティは、底板18を板厚方向(Z軸方向)に貫通するように形成される。
【0033】
本実施の形態において、第1端子収容キャビティは、第1ハウジング11の長手方向に並んで該第1ハウジング11の幅方向(Y軸方向)両側に形成されている。具体的には、第1凸部の両側に、所定のピッチ(例えば、約0.35〔mm〕。)で複数個(例えば、10個。)ずつ形成されている。なお、前記第1端子収容キャビティのピッチ及び数は適宜変更することができる。そして、第1端子収容キャビティの各々に収容されて第1ハウジング11に装填される端子としての第1端子61も、第1凸部の両側に、同様のピッチで複数個ずつ配設されている。
【0034】
前記第1端子61は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、本体部としての被保持部63と、該被保持部63の下端に接続された基板接続部としてのテール部62と、前記被保持部63の上端に接続された上側接続部67と、該上側接続部67の下端に接続され、前記被保持部63対向する第2の接点部としての第2接触部66と、該第2接触部66の下端に接続された下側接続部64と、該下側接続部64における第2接触部66と反対側の端に接続された内側接続部65とを備える。前記第1端子61は、第1ハウジング11の下面(Z軸負方向面)である実装面11bから、第1端子収容キャビティ内に嵌入され、被保持部63が側壁部の内側の側面に形成された第1端子収容外側キャビティの側壁によって両側から挟持されることにより、第1ハウジング11に固定される。
【0035】
そして、前記内側接続部65の上端には、上方に向って、かつ、第2接触部66に向って突出するように約180度湾曲した第1の接点部としての第1接触部65aが接続されている。また、前記上側接続部67は、上端から斜め下方に向って直線状に又は緩い曲面状に下降する傾斜部67aと、該傾斜部67aの下端において、第1ハウジング11の幅方向の内方を向いて突出する突出部67bとを含んでいる。第1端子61が第1ハウジング11に装填された状態において、前記第1接触部65aと第2接触部66とは、凹溝部の左右両側に位置し、互いに向合っている。
【0036】
なお、第1端子61は、金属板に加工を施すことによって一体的に形成された部材であるので、ある程度の弾性を備える。そして、その形状から明らかなように、互いに向合う第1接触部65aと第2接触部66との間隔は、弾性的に変化可能である。すなわち、第1接触部65aと第2接触部66との間に第2コネクタ101が備える第2端子161が挿入されると、それにより、第1接触部65aと第2接触部66との間隔は弾性的に伸長する。また、前記テール部62は、被保持部63に対して曲げて接続され、左右方向(Y軸方向)、すなわち、第1ハウジング11の幅方向の外方を向いて延出し、第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付によって接続される。なお、前記導電トレースは、典型的には、信号ラインであるが、電源ラインであってもよい。つまり、前記第1端子61は、信号用端子であってもよいし、電源用端子であってもよい。
【0037】
さらに、前記第1ハウジング11の長手方向両端には相手方嵌合ガイド部としての第1突出端部が各々配設されている。各第1突出端部には、嵌合凹部が形成されている。そして、該嵌合凹部内には、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、該第2コネクタ101が備える第2突出端部122が挿入される。
【0038】
また、前記第1突出端部には、第1ハウジング11に装填される相手方補強金具としての第1補強金具51が取付けられる。該第1補強金具51は、第1ハウジング11の長手方向の外方を向いて延出するテール部57cと接触腕部とを含んでおり、該接触腕部は、第2コネクタ101の第2補強金具151と接触し、前記テール部57cは、第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付によって接続される。なお、前記導電トレースは、典型的には、電力ライン又はグラウンドラインである。
【0039】
次に、第2コネクタ101の構成について説明する。
【0040】
本実施の形態におけるコネクタとしての第2コネクタ101は、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成されたハウジングとしての第2ハウジング111を有する。該第2ハウジング111は、図に示されるように、概略直方体である概略長方形の厚板状の形状を備える。そして、第2ハウジング111の第1コネクタ1に嵌入される側、すなわち、嵌合面111a側(Z軸負方向側)には、第2ハウジング111の長手方向(X軸方向)に延在する細長い凹溝部113と、該凹溝部113の外側を画定するとともに、第2ハウジング111の長手方向に延在する細長い凸部としての第2凸部112とが一体的に形成されている。該第2凸部112は、凹溝部113の両側に沿って、かつ、第2ハウジング111の両側に沿って形成されている。前記第2コネクタ101は、例えば、縦約5.2〔mm〕、横約1.9〔mm〕及び厚さ約0.5〔mm〕の寸法を備えるものであるが、寸法は適宜変更することができる。
【0041】
また、各第2凸部112には、端子である第2端子161が導電部材として配設されている。該第2端子161は、第1端子61に対応するピッチで、かつ、対応する数だけ配設されている。前記凹溝部113は、第2基板に実装される側、すなわち、実装面111b側(Z軸正方向側)が底板によって閉止されている。
【0042】
そして、前記第2ハウジング111の長手方向両端には嵌合ガイド部としての第2突出端部122が各々配設されている。該第2突出端部122は、第2ハウジング111の幅方向(Y軸方向)に延在し、両端が各第2凸部112の長手方向両端に接続された肉厚の部材であり、その上面は略長方形の形状を備える。そして、第2突出端部122は、第1コネクタ1及び第2コネクタ101が嵌合された状態において、前記第1コネクタ1が備える第1突出端部の嵌合凹部に挿入される挿入凸部として機能する。また、前記第2突出端部122には、補強金具としての第2補強金具151が取付けられる。
【0043】
なお、前記第2端子161及び第2補強金具151は、オーバーモールド成形(インサート成形)によって第2ハウジング111と一体化される部材であるから、第2ハウジング111から離間して存在するものではないが、説明の都合上、図2においては、第2ハウジング111から離間しているように描画されていることに留意されたい。
【0044】
導電部材である第2端子161は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であって、第2コネクタ101の嵌合方向に延伸する細長い曲線的部材であるから、その表面は延伸面であると言える。そして、前記第2端子161は、接点部としての接触部165と、該接触部165の上端に接続された接続部164と、該接続部164の外方端に接続された被保持部166と、該被保持部166の下端に接続された基板接続部としてのテール部162とを備える。なお、前記被保持部166及び接続部164を統合的に説明する場合には、本体部として説明する。
【0045】
前記テール部162は、第2ハウジング111の外方を向いて延出し、第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付によって接続される。なお、前記導電トレースは、典型的には、信号ラインであるが、電源ラインであってもよい。つまり、前記第2端子161は、信号用端子であってもよいし、電源用端子であってもよい。
【0046】
前記接続部164における接触部165側には、嵌合面111a側端から斜めに実装面111b側に向って、比較的長い直線又は緩い曲面を描くように下降する傾斜部164aが形成されている。また、前記接続部164における被保持部166側には、該被保持部166との境界部分に、第2ハウジング111の幅方向の外方を向いて突出する突出部164bが形成されている。
【0047】
また、テール部162、接触部165、接続部164及び被保持部166の表面が第2凸部112の各側面及び嵌合面111aに露出する。すなわち、少なくとも基板接続部であるテール部162、接点部である接触部165、並びに、本体部である突出部164b及び被保持部166は、第2ハウジング111から露出した露出面を含み、該露出面の各々は、互いに連続して形成され、1つの露出面を形成するようになっている。
【0048】
さらに、図3に示されるように、基板接続部であるテール部162、接点部である接触部165、及び、本体部である被保持部166は、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合方向に延在する横断平面上に位置する。
【0049】
前記第2補強金具151は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、第2突出端部122の外側を覆う本体部としての中央覆部157と、該中央覆部157の左右両端に接続された側方覆部153とを備える。
【0050】
前記中央覆部157は、第2ハウジング111の幅方向に延在して第2突出端部122の上面の過半を覆う突出端上カバー部157aと、該突出端上カバー部157aにおける第2突出端部122の外側端縁に約90度湾曲して接続された接続カバー部157bと、該接続カバー部157bの下端に曲げて接続され、前後方向(X軸方向)、すなわち、第2ハウジング111の長手方向の外方を向いて延出する基板接続部としてのテール部157cとを含んでいる。該テール部157cは、第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ等によって接続される。なお、前記導電トレースは、典型的には、電力ライン又はグラウンドラインである。なお、テール部157cは、第2ハウジング111の短手方向の外方を向いて延出するL字状の形状を有してもよい。
【0051】
また、前記側方覆部153は、突出端上カバー部157aの左右両端に約90度湾曲して接続された接続カバー部153aと、該接続カバー部153aの下端から下方に向けて延出する側方カバー部153bとを含んでいる。該側方カバー部153bの側面は、接点部として機能し、第1補強金具51の接触腕部と接触する。側方カバー部153bの下端は、第2基板の接続パッドにはんだ付等によって接続される。該接続パッドは、望ましくは、第2基板の導電トレースであって電力ライン又はグラウンドラインとして機能する導電トレースに連結されている。
【0052】
導電部材である第2補強金具151は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であって、第2コネクタ101の嵌合方向に延伸する部材であるから、その表面は延伸面であると言える。そして、前記第2補強金具151は、接点部としての側方カバー部153bの側面と、基板接続部としての側方カバー部153bの下端とを備える。なお、前記側方カバー部153bにおける第1補強金具51と接触する箇所から下端までの範囲を統合的に説明する場合には、本体部として説明する。
【0053】
次に、前記構成の第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合させる動作及び嵌合を解除する動作について説明する。
【0054】
まず、第1コネクタ1と第2コネクタ101とを嵌合させる場合、オペレータは、第1コネクタ1の第1ハウジング11の嵌合面11aと第2コネクタ101の第2ハウジング111の嵌合面111aとを対向させた状態とし、第2コネクタ101の第2凸部112の位置が第1コネクタ1の対応する凹溝部の位置と合致し、第2コネクタ101の第2突出端部122の位置が第1コネクタ1の対応する嵌合凹部の位置と合致すると、第1コネクタ1と第2コネクタ101との位置合せが完了する。
【0055】
この状態で、第1コネクタ1及び/又は第2コネクタ101を相手側に接近する方向、すなわち、嵌合方向(Z軸方向)に移動させると、第2コネクタ101の第2凸部112及び第2突出端部122が第1コネクタ1の凹溝部及び嵌合凹部内に挿入される。これにより、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合が完了すると、第1端子61と第2端子161とが導通した状態となる。
【0056】
具体的には、各第1端子61の第1接触部65aと第2接触部66との間に第2コネクタ101の第2端子161が挿入され、第1端子61の第1接触部65aと第2端子161の接触部165とが接触する。その結果、第1端子61のテール部62が接続された第1基板上の接続パッドに連結された導電トレースと、第2端子161のテール部162が接続された第2基板上の接続パッドに連結された導電トレースとが導通する。なお、第1端子61の突出部67bと第2端子161の突出部164bとが係合するので、第1端子61と第2端子161との結合が確実なものとなり、ひいては、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合状態が確実に維持される。
【0057】
また、嵌合凹部に第2突出端部122が挿入され、第1補強金具51の接触腕部と、第2突出端部122に取付けられた第2補強金具151の側方カバー部153bとが接触する。その結果、第1補強金具51のテール部57cが接続された第1基板上の接続パッドに連結された導電トレースと、第2補強金具151のテール部157cが接続された第2基板上の接続パッドに連結された導電トレースとが導通する。
【0058】
次に、互いに嵌合した第1コネクタ1及び第2コネクタ101の嵌合を解除する場合、第1コネクタ1の第1凸部の両側に沿って2列に並んだ第1端子61と、第2コネクタ101の凹溝部113の両側に沿って2列に並んだ第2端子161とが互いに確実に結合することによって、第1コネクタ1と第2コネクタ101とが確実に嵌合しているので、図3に示されるように、第1コネクタ1に対してX軸を中心に第2コネクタ101を回転させるように傾斜させ、第1端子61と第2端子161との結合を1列ずつ解除させることが望ましい。なお、図3は、第1コネクタ1と第2コネクタ101との嵌合方向に延在する横断平面を断面として示し、一方の列(図3における左側の列)の第1端子61と第2端子161との結合のみが解除された状態を示している。
【0059】
一方の列の第1端子61と第2端子161との結合が解除されてから、第1コネクタ1に対してX軸を中心に第2コネクタ101を更に回転させると、他方の列(図3における右側の列)における第2端子161は、第1端子61の突出部67bと係合している第2端子161の突出部164bを中心に(図3に示される例においては、時計回り方向)に回転することとなる。この際、第2端子161における接触部165が接続部164に接続されている部分は、第1端子61における第2接触部66に向って突出する第1接触部65aに押付けられた状態で、突出部164bを中心とした円弧上を移動するが、当該部分には比較的長い直線又は緩い曲線を描くような傾斜部164aが形成されているので、大きな抵抗を受けることなく、スムーズに移動することができる。したがって、他方の列の第1端子61と第2端子161との結合は、前記一方の列の第1端子61と第2端子161との結合よりも、弱い力を付与するだけで解除することができる。
【0060】
換言すると、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の嵌合を解除する場合に要する力の大きさには、一方の列の第1端子61と第2端子161との結合を解除する際に第1のピークが存在し、他方の列の第1端子61と第2端子161との結合を解除する際に第2のピークが存在するところ、本実施の形態においては、第2端子161が比較的長い直線又は緩い曲線を描くような傾斜部164aを含んでいるので、第2のピークが低くなっている。したがって、第1コネクタ1及び第2コネクタ101の嵌合を容易に解除することができる。
【0061】
次に、本実施の形態における導電部材である第2端子161及び第2補強金具151の表面である延伸面に形成されためっき層の構成について説明する。
【0062】
図4は第1の実施の形態におけるめっき層の構成を示す第2端子の表面近傍の模式断面図、図5は第1の実施の形態におけるはんだ濡れ広がり実験の結果を示す図、図6は第1の実施の形態における第2及び第3層の厚さを変化させた実験の結果を示す表である。
【0063】
本実施の形態において、導電部材である第2端子161の全体における表面近傍は、図4に示されるような層構造を有する。
【0064】
図において、91は、導電部材である第2端子161及び第2補強金具151を構成する導電性の金属基材であって、例えば、銅(Cu)又は銅合金から成る。
【0065】
また、92は、金属基材91の表面上に形成されためっき層であり、第1層92a、第2層92b及び第3層92cを含んでいる。
【0066】
前記第1層92aは、ニッケル(Ni)又はニッケル合金のめっき層であり、その厚さは、1~3〔μm〕であることが望ましい。なお、第1層92aは、金属基材91から第2層92b及び第3層92cへの銅の拡散を防止する機能を有する。
【0067】
前記第2層92bは、白金族金属又は白金族金属合金のめっき層であり、その厚さは、2〔nm〕以上であることが望ましい。なお、コスト等を考慮すると200〔nm〕以下であることが望ましいので、その厚さは2~200〔nm〕であることが望ましいと言える。さらに、第1層92aの金属と第3層92cの金属との相互拡散を十分に防止するという観点からは、その厚さは5~25〔nm〕であることがより望ましい。また、白金族金属としては、白金族に属するルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)及びプラチナ(Pt)のうちのいずれかを選択することができるが、最も望ましいのは、パラジウムである。さらに、白金族金属合金としては、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム及びプラチナのうちのいずれかを50〔%〕以上含有する合金であるが、より望ましくは、パラジウムを50〔%〕以上含有するパラジウム合金(例えば、PdNi等。)である。
【0068】
前記第3層92cは、金又は金合金のめっき層であり、その厚さは、0.2~15〔nm〕であることが望ましく、0.5~8〔nm〕であることがより望ましい。また、金合金としては、金を90〔%〕以上含有する金合金(例えば、AuCo、AuCu、AuNi、AuFe等。)であるが、金と白金族金属との合金の場合には、金を20〔%〕以上含有する金合金(例えば、AuPd、AuPt等。)であればよい。
【0069】
本実施の形態において、第2層92b及び第3層92cの厚さの数値範囲は、図6の表に示されるような実験結果(試験結果)に基づいて設定されている。図6において、横軸は第2層92bの厚さの数値〔nm〕を示し、縦軸は第3層92cの厚さの数値〔nm〕を示している。また、表の各セル(マス目)内には、接触抵抗(contact resistance)試験、実装強度(soldering strength)試験及びはんだ濡れ広がり(solder wettability)試験のそれぞれの試験結果の評価が、記号○、△及び×のいずれかによって示されている。記号○は良好を意味し、記号△はやや良好を意味し、記号×は不良を意味している。
【0070】
実験においては、まず、金属基材91から成る所定の大きさのテストピースの各々の表面に、第2層92b及び第3層92cの厚さが各セルに対応する数値となるようにしためっき層92を形成し、次に、各テストピースを使用して、接触抵抗試験、実装強度試験及びはんだ濡れ広がり試験を行った。なお、図6に示されるように、第2層92bの厚さは0~200〔nm〕の範囲で変化させ、第3層92cの厚さは0~20〔nm〕の範囲で変化させた。
【0071】
接触抵抗試験においては、各テストピースのめっき層92の表面の接触抵抗の大きさを測定し、接触抵抗が第1の閾値未満のものを良好、接触抵抗が第1の閾値より大きい第2の閾値未満のものをやや良好、接触抵抗が第2の閾値以上のものを不良と評価した。
【0072】
また、実装強度試験においては、各テストピースのめっき層92の表面に別のテストピースをはんだ付し、当該別のテストピースに引張力を付与し、はんだ付部分が破断する引張力の大きさを測定し、引張力が第1の閾値以上のものを良好、引張力が第1の閾値より小さい第2の閾値以上のものをやや良好、引張力が第2の閾値未満のものを不良と評価した。
【0073】
さらに、はんだ濡れ広がり試験においては、図5に示されるように、各テストピースのめっき層92の表面に数個のはんだボール(例えば、粒径が約0.6〔mm〕。)を置き、加熱装置(例えば、はんだリフロー炉等。)を使って加熱した後のはんだの広がり径を測定し、広がり径が第1の閾値未満のものを良好、広がり径が第1の閾値より大きい第2の閾値未満のものをやや良好、広がり径が第2の閾値以上のものを不良と評価した。
【0074】
図6に示されるように、実験の結果、第2層92bの厚さが2~200〔nm〕の範囲内、及び、第3層92cの厚さが0.2~15〔nm〕の範囲内であれば、試験結果の評価に不良が含まれていないので、導電部材である第2端子161として使用可能であることが分かった。さらに、第3層92cの厚さを0.5~8〔nm〕の範囲内に限定すると、試験結果の評価に不良もやや良好も含まれていない、すなわち、すべての試験結果の評価が良好となるので、より望ましいものとなることが分かった。なお、図6からは、第2層92bの厚さを200〔nm〕より大きな値としても、すべての試験結果の評価が良好となるであろうことが推測されるものの、コスト等を考慮すると200〔nm〕より大きな値とすることは、現実的でないので、ここでは、第2層92bの厚さの上限を200〔nm〕とした。
【0075】
図5に示されるように、金又は金合金のめっき層である第3層92cの厚さが薄いと、はんだの広がり径が小さく、はんだ濡れ性が低下する、すなわち、はんだが濡れ広がりにくくなるので、はんだ上がりを抑制することができ、接点部である接触部165まではんだが這上がることを防止することができる。一方、はんだ濡れ性が低下すると、テール部162のはんだ付が困難となり、はんだ付部分の強度が低下し、テール部162の第2基板表面への実装強度が低下する。また、金又は金合金のめっき層である第3層92cの厚さが薄いと接触抵抗が増加し、しかも、第3層92cが摩滅しやすくなる。しかし、第3層92cの下に、白金族金属又は白金族金属合金のめっき層である第2層92bを所定値以上の厚さで形成することによって、第3層92cの接触抵抗を低減し、しかも、摩滅を防止することができる。
【0076】
このように、第3層92cの厚さを0.2~15〔nm〕とするとともに、第3層92cの下の第2層92bの厚さを2~200〔nm〕とすることによって、はんだ濡れ性を適度に維持し、テール部162の接続強度を向上させつつ、はんだバリアを形成しなくても、はんだ上がりを抑制することができるとともに、接触部165の接触抵抗を低減することができる。
【0077】
なお、本実施の形態において、第2層92b及び第3層92cの厚さは、X線電子分光法、通称、XPSを用いて測定された。XPSは、試料の表層の成分を測定する方法であって、一般に、表層から0.2~6〔nm〕程度の深さにある物質を測定することができる。また、試料の表層は、イオンスパッタ(イオンを用いたスパッタエッチング)によって削られる。イオンスパッタによって、0.2~1〔nm〕程度を削ることができる。なお、削り量は調整可能である。
【0078】
本実施の形態において、測定は、XPSを用いて試料の表層物質を測定、イオンスパッタによって試料の表層を削る、XPSを用いて試料の表層物質を測定、という操作を繰返すことによって行われた。例えば、XPSを用いて表層である第3層92cを測定して金又は金合金を検出した後、イオンスパッタによって表層である第3層92cを0.2〔nm〕だけ削り、続いて、XPSを用いて測定し、金又は金合金を検出することができれば、金又は金合金から成る第3層92cの厚さは0.2〔nm〕以上である、と判定することができる。
【0079】
このように、本実施の形態において、第2コネクタ101は、第2ハウジング111と第2端子161とを備える。そして、第2端子161は、被保持部166及び接続部164と、被保持部166の一端側に位置するテール部162と、接続部164の他端側に位置する接触部165とを含み、被保持部166及び接続部164、テール部162、並びに、接触部165は、それぞれ、第2ハウジング111から露出した露出面を含み、被保持部166及び接続部164、テール部162、並びに、接触部165は、それぞれ、金属基材91と、金属基材91の上に形成された第1層92a、第2層92b及び第3層92cを含み、第1層92aは、ニッケル又はニッケル合金のめっき層であり、第2層92bは、白金族金属又は白金族金属合金のめっき層であり、第3層92cは、金又は金合金のめっき層であり、第2層92bの厚さは2~200〔nm〕であり、第3層92cの厚さは0.2~15〔nm〕である。
【0080】
これにより、はんだ濡れ性を適度に維持して、テール部162の接続強度を向上させつつ、テール部162と接触部165との間にはんだバリアを形成しなくても、はんだの這上がりを防止して、接触部165における接触抵抗を低減することができる。したがって、極めて小型で低背の第2コネクタ101に使用される微小寸法の第2端子161にはんだバリアを形成する必要がなくなるので、第2コネクタ101の構造を簡素化し、コストを低減することができるとともに、信頼性を向上させることができる。
【0081】
また、第3層92cの厚さは、より望ましくは、0.5~8〔nm〕である。さらに、白金族金属は、望ましくは、パラジウム又はパラジウム合金である。さらに、第1層92a、第2層92b及び第3層92cは、第2端子161の延伸面に形成される。さらに、露出面の各々は、互いに連続して形成され、1つの露出面を形成する。さらに、被保持部166及び接続部164、テール部162、並びに、接触部165は、嵌合方向に延在する同一の横断平面上に位置する。さらに、第2補強金具151の側方カバー部153bの側面及び下端は、嵌合方向に延在する同一の直線上に位置する。
【0082】
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略する。また、前記第1の実施の形態と同じ動作及び同じ効果についても、その説明を省略する。
【0083】
図7は第2の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとの嵌合前の斜視図、図8は第2の実施の形態における第2コネクタの斜視図、図9は第2の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した状態の平面図、図10は第2の実施の形態における第1コネクタと第2コネクタとが嵌合した状態の断面図である。なお、図10において、(a)は図9のA-A矢視断面図、(b)は図9のB-B矢視断面図、(c)は図9のC-C矢視断面図である。
【0084】
図において、201は、本実施の形態におけるコネクタ対である一対の基板対基板コネクタの一方としての第1コネクタである。該第1コネクタ201は、実装部材としての図示されない基板である第1基板の表面に実装される表面実装型のレセプタクルコネクタであって、相手方コネクタとしての第2コネクタ301と互いに嵌合される。また、該第2コネクタ301は一対の基板対基板コネクタの他方であり、実装部材としての図示されない基板である第2基板の表面に実装される表面実装型のプラグコネクタである。
【0085】
なお、本実施の形態におけるコネクタ対の第1コネクタ201及び第2コネクタ301は、好適には、基板としての第1基板及び第2基板を電気的に接続するために使用するものであるが、他の部材を電気的に接続するためにも使用することができる。前記第1基板及び第2基板は、例えば、電子機器等に使用されるプリント回路基板、フレキシブルフラットケーブル、フレキシブル回路基板等であるが、いかなる種類の基板であってもよい。
【0086】
また、本実施の形態において、コネクタ対の第1コネクタ201及び第2コネクタ301の各部の構成及び動作を説明するために使用される上、下、左、右、前、後等の方向を示す表現は、絶対的なものでなく相対的なものであり、前記第1コネクタ201及び第2コネクタ301の各部が図に示される姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0087】
そして、前記第1コネクタ201は、導電性の金属板に打抜き、絞り加工等の加工を施すことによって形成されたレセプタクルシールドである第1外側シールドとしての第1シールド250と、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された相手方ハウジングとしての第1ハウジング211とを有する。該第1ハウジング211は、平板状の底板218と、該底板218の上面から上方に向けて突出する一対の凸部としての第1凸部213とを有する。該第1凸部213は、全体として底板218の両側端よりも第1コネクタ201の幅方向(Y軸方向)の内側に位置する。
【0088】
各第1凸部213は、第1コネクタ201の長手方向(X軸方向)に延在する概略直方体状の部材であり、互いに対向する内側面から上面にかけては、所定(例えば、0.35〔mm〕。)のピッチで複数(図に示される例においては3つ)の第1端子収容キャビティ215が長手方向に並んで形成されている。なお、該第1端子収容キャビティ215のピッチ及び数は適宜変更することができる。そして、第1端子収容キャビティ215の各々に収容されて第1ハウジング211に装填される端子としての第1端子261も、各第1凸部213の両側に、同様のピッチで複数個ずつ配設されている。すなわち、前記第1端子261は、各第1凸部213に沿って複数ずつ配設され、並列する一対の端子群列を形成している。なお、第1端子収容キャビティ215は、前記底板218を板厚方向(Z軸方向)に貫通するように形成される。
【0089】
また、前記第1凸部213における長手方向両端近傍には、スリットとしてのシールド板収容スリットがそれぞれ形成され、該シールド板収容スリットに、第1内側シールドとしてのシールド板256が収容される。図に示される例において、シールド板収容スリットは、第1凸部213の上面から内側面及び外側面にかけて連続して延在し、さらに、前記内側面及び外側面から前記底板218を板厚方向に貫通するように形成される。なお、前記第1凸部213同士の間における底板218は、他の箇所より厚さ(Z軸方向の寸法)が厚い肉厚部となっているが、第1コネクタ201の長手方向に関して、前記シールド板収容スリットに対応する位置及びその近傍においては、板厚方向に貫通する開口が形成されている。
【0090】
また、第1凸部213における第1コネクタ201の幅方向外側には、前記シールド板収容スリットよりも長手方向中心寄りの範囲において、内側に凹入する外側凹部213aが形成されている。該外側凹部213aは、第1凸部213の上面から底板218の下面まで、上下方向(Z軸方向)に延在するように形成され、外側凹部213aより第1コネクタ201の幅方向外側に底板218が存在しないようになっている。
【0091】
さらに、第1コネクタ201の長手方向に関してシールド板収容スリットよりも外側においては、底板218の上面から上方に向けて突出する一対の支持部としての第1高周波端子支持部216が形成されている。該第1高周波端子支持部216は、上下方向に延在する高周波端子収容溝としての第1高周波端子収容溝を有する。そして、該第1高周波端子収容溝には、高周波端子としての第1高周波端子271が収容される。また、前記第1高周波端子収容溝の下方及びその前方においては、底板218を板厚方向に貫通する開口としての第1高周波端子収容開口が形成されている。
【0092】
さらに、底板218において、第1コネクタ201の長手方向及び幅方向に関して最外端には、第1シールド250と接続される接続端が存在する。前記第1シールド250はオーバーモールド乃至インサート成形によって第1ハウジング211と一体化される。すなわち、第1ハウジング211は、第1シールド250をあらかじめ内部にセットした金型のキャビティ内に合成樹脂等の絶縁性材料を充填することによって成形され、前記接続端において第1シールド250と一体的に接続される。
【0093】
該第1シールド250は、導電性の金属板に打抜き、絞り等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であって、上方から見て、すなわち、平面視において、概略矩形の枠状の部材であり、第1ハウジング211の周囲を囲繞する。そして、前記第1シールド250は、本実施の形態において、導電部材として機能する部材であって、第1コネクタ201の長手方向に直線的に延在する一対の長辺部250aと、第1コネクタ201の幅方向に直線的に延在する一対の短辺部250bと、前記長辺部250aの一端と短辺部250bの一端とを接続する略90度に湾曲した4つのコーナ部250cとを含んでいる。
【0094】
また、前記第1シールド250は、外壁252と、該外壁252の内側において前記外壁252とほぼ平行な内壁251と、前記外壁252の上端と内壁251の上端とを連結して一体化する連結部253とを含んでいる。前記外壁252は全周に亘って連続した壁であるのに対して、前記内壁251は、各コーナ部250cの両端に形成されたスリット部253aによって、直線部251aと曲線部251bとに分離されている。前記直線部251aは、平面視において直線状の部分であり、前記長辺部250a及び短辺部250bに対応する部分である。また、前記曲線部251bは、平面視において曲線状の部分であり、前記コーナ部250cに対応する部分である。なお、前記スリット部253aは、前記連結部253の上端から始まって内壁251を下方に向けて延在し、内壁251の下端で開放された切欠きである。そのため、前記連結部253においては、外壁252に隣接した一部分は全周に亘って連続しているが、内壁251に隣接した部分は、前記スリット部253aによって、長辺部250a及び短辺部250bに対応する部分と、コーナ部250cに対応する部分とに分離されている。なお、前記内壁251の長辺部250a、短辺部250b及びコーナ部250cに対応する部分によって周囲を囲繞された空間は、プラグコネクタである第2コネクタ301が挿入されて収容される収容部250dとなっている。
【0095】
そして、前記内壁251の直線部251aは、その下端に接続された湾曲端部251dと、該湾曲端部251dより上方に形成された係合凹部251cとを有する。前記湾曲端部251dは、その先端が収容部250dの内方斜め下を向くように湾曲した部分であり、その一部に底板218の接続端が接続される。つまり、前記直線部251aは第1ハウジング211と連結される。これに対して、曲線部251bは、湾曲端部251dを有しておらず、第1ハウジング211と連結されない。
【0096】
また、前記係合凹部251cは、接点部として機能し、第1コネクタ201と第2コネクタ301とが互いに嵌合されたときに、該第2コネクタ301が備える第2シールド350の外壁352に形成された係合凸部352cと係合して接触する部分であって、第1コネクタ201の長手方向又は幅方向に直線的に延在する。前述のように、各直線部251aは、その両端がスリット部253aによって他の部分から分離されているので、比較的柔軟性を有し、外壁252に接近又は離間する方向に弾性的に変形可能である。なお、前記係合凹部251cは、前記係合凸部352cと係合するように、凹状に形成されているが、前記内壁251の直線部251aの下端が、湾曲端部251dの上端まで延伸され、その延伸された領域が、前記係合凸部352cとの接点部として機能してもよい。反対に、第2シールド350の外壁352が前記係合凸部352cを備えない場合、前記係合凹部251cの代わりに、凸上の係合凸部を内壁251に形成し、前記外壁352との接点部として機能するようにしてもよい。
【0097】
前記外壁252の下端には、略90度に湾曲した湾曲部を介して、外方に延在する平面部としてのフランジ部254が接続されている。前記湾曲部及びフランジ部254は、全周に亘って連続して外壁252の下端に接続されている。
【0098】
前記フランジ部254は、基板接続部として機能し、その下面が第1基板の表面と平行であり、該表面の接続パッドにはんだ付等によって接続される部分である。前記接続パッドは、典型的には、グラウンドラインに接続されている。そして、前記外壁252は、それ自体が全周に亘って連続した壁であることに加え、その上端が連結部253に接続され、その下端がフランジ部254に接続されているので、比較的剛性が高く、変形しにくくなっている。本実施の形態においては、フランジ部254は全周に亘って連続して外壁252の下端に接続されている例を示したが、比較的高い剛性が必要とされない場合は、一部のみに接続されるようにしてもよい。
【0099】
導電部材である第1シールド250は、導電性の金属板に打抜き、絞り加工等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であって、第1コネクタ201の嵌合方向に延伸する曲線的部材であるから、その表面は延伸面であると言える。そして、前記第1シールド250は、接点部としての係合凹部251cと、該係合凹部251cが形成された内壁251の上端に接続された連結部253と、該連結部253に上端が接続された外壁252と、該外壁252の下端に接続された基板接続部としてフランジ部254とを備える。なお、前記内壁251における係合凹部251cから、連結部253を含んで、外壁252の下端までの範囲を統合的に説明する場合には、本体部として説明する。本実施の形態においては、導電部材である第1シールド250の延伸面には前述の第1、第2及び第3層92a、92b及び92cを含むめっき層92が形成されている。
【0100】
そして、第1ハウジング211が収容部250d内において第1シールド250と接続された状態では、前記収容部250d内は周囲が内壁251によって囲まれ、下方が底板218によって画定された凹部であって、第2コネクタ301と嵌合する第1凹部212が形成される。また、一対の第1凸部213同士の間には、第1凹部212の一部として、第1コネクタ201の長手方向に延在する細長い凹部である内凹溝部212aが形成される。さらに、各第1凸部213と内壁251との間には、第1凹部212の一部として、第1コネクタ201の長手方向に延在する細長い凹部である外凹溝部212cが形成される。さらに、第1コネクタ201の長手方向に関する第1凸部213の両端外方には、第1凹部212の一部として、嵌合凹部212bが形成される。
【0101】
前記第1端子261は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、被保持部と、該被保持部の下端に接続された基板接続部としてのテール部と、前記被保持部の上端に接続された上側接続部と、該上側接続部の下端に接続された下側接続部とを備える。また、前記上側接続の下端近傍には、第1コネクタ201の幅方向の内方に向って膨出するように湾曲した接触部265aが形成されている。該接触部265aは、接点部として機能し、第2コネクタ301が備える第2端子361と接触する部分である。
【0102】
なお、第1端子261は、必ずしも圧入によって第1ハウジング211に取付けられるものでなく、オーバーモールド乃至インサート成形によって第1ハウジング211と一体化されるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、被保持部が第1端子収容キャビティ215内に圧入されて保持されるものである場合について、説明する。
【0103】
また、前記テール部は、第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。なお、前記導電トレースは、電力を供給する電力ラインであってもよいが、典型的には、信号ラインである。また、該信号ラインは、高周波信号を伝達するものでなく、高周波信号よりも周波数の低い通常の周波数(例えば、周波数10〔GHz〕未満。)の信号を伝達するものであるとして、説明する。
【0104】
前記第1端子261は、第1コネクタ201の下面(Z軸負方向面)である実装面201b側から、第1端子収容キャビティ215内に圧入され、第1ハウジング211に固定される。この状態、すなわち、第1端子261が第1ハウジング211に装填された状態において、前記接触部265aは、各第1凸部213の内側面から内凹溝部212a内に突出して、互いに向合っている。
【0105】
前記第1高周波端子271は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、第1コネクタ201の嵌合方向に延伸する細長い曲線的部材であるから、その表面は延伸面であると言える。また、前記第1高周波端子271は、被保持部と、該被保持部の下端に接続された基板接続部としてのテール部と、前記被保持部の上端に接続された上側接続部とを備える。また、該上側接続部は、第1コネクタ201の長手方向から見て概略S字状に湾曲し、第1コネクタ201の幅方向の中心を向いて膨出するように湾曲した部分は、接触部275aとなっている。該接触部275aは、接点部として機能し、第2コネクタ301が備える第2高周波端子371と接触する部分である。
【0106】
なお、第1高周波端子271は、必ずしも圧入によって第1ハウジング211に取付けられるものでなく、オーバーモールド乃至インサート成形によって第1ハウジング211と一体化されるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、被保持部が第1高周波端子支持部216の第1高周波端子収容溝内に圧入されて保持されるものである場合について、説明する。
【0107】
また、前記テール部は、第1基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。なお、前記導電トレースは、信号ラインであって、典型的には、RF信号のような高い周波数(例えば、周波数10〔GHz〕以上。)の高周波信号を伝達するものであるとして、説明する。
【0108】
前記第1高周波端子271は、実装面201b側から、嵌合凹部212b内に位置する第1高周波端子支持部216の第1高周波端子収容溝内に圧入され、第1ハウジング211に固定される。この状態、すなわち、第1高周波端子271が第1ハウジング211に装填された状態において、一対の第1高周波端子271の接触部275a同士は、互いに反対方向を向いている。
【0109】
前記シールド板256は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、中央部258と、該中央部258の両側に接続された一対の側方部とを備える。そして、前記中央部258は、第1コネクタ201の長手方向外側に向けて膨出し、かつ、その先端が第1コネクタ201の長手方向外側に向けて膨出した外面は接触部258cを含んでいる。該接触部258cは、接点部として機能し、第2コネクタ301が備える第2シールド350の内壁351と接触する。また、前記側方部の下端は、基板接続部であるテール部として機能し、第1基板の接続パッドにはんだ付等によって接続される部分である。前記接続パッドは、典型的には、グラウンドラインに接続されている。
【0110】
なお、シールド板256は、必ずしも圧入によって第1ハウジング211に取付けられるものでなく、オーバーモールド乃至インサート成形によって第1ハウジング211と一体化されるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、シールド板256がシールド板収容スリット内に圧入されて保持されるものである場合について、説明する。
【0111】
導電部材であるシールド板256は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であって、第2コネクタ301の嵌合方向に延伸する部材であるから、その表面は延伸面であると言える。そして、前記シールド板256は、接点部としての接触部258cと、基板接続部としての下端とを備える。なお、前記シールド板256における接触部258cから下端までの範囲を統合的に説明する場合には、本体部として説明する。本実施の形態においては、導電部材であるシールド板256の延伸面には前述の第1、第2及び第3層92a、92b及び92cを含むめっき層92が形成されている。
【0112】
そして、前記第1コネクタ201は、実装面201b側にはんだシートとしての図示されない第1はんだシートが付与されて第1基板の表面上に載置され、加熱炉等によって前記第1はんだシートが加熱されて溶融することにより、第1基板の表面上に固定されて実装される。なお、第1シールド250、第1端子261、第1高周波端子271、シールド板256等を第1基板の接続パッド等に接続するための手段は、必ずしもはんだシートの付与でなく、はんだペーストの付与、クリームはんだの転写、ドブ漬け、噴流はんだ付等によるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、はんだシートを用いる場合について説明する。
【0113】
はんだシートは、第1コネクタ201の長手方向に直線的に連続して延在する細長い帯状の一対の長辺部分と、第1コネクタ201の幅方向に直線的に連続して延在する細長い帯状の一対の短辺部分とを含んでいる。そして、一対の長辺部分は、第1シールド250の長辺部250aに対応するフランジ部254の下面に付与され、一対の短辺部分は、第1シールド250の短辺部250bに対応するフランジ部254の下面に付与される。なお、第1端子261、第1高周波端子271、シールド板256等のはんだ付についての具体的な説明は、省略する。
【0114】
このようにして付与された第1はんだシートが加熱されて溶融することによって、第1コネクタ201が第1基板の表面上に実装されると、導電部材としての第1シールド250において全周に亘って連続している外壁252の下端に、全周に亘って連続して接続されているフランジ部254は、第1基板の表面の接続パッドに隙間なく接続される。したがって、第1基板の表面の接続パッドに接続された第1シールド250の強度は高いものとなり、ひいては、前記第1シールド250によって外周が囲まれた第1コネクタ201全体の強度が高いものとなる。また、第1基板の表面の接続パッドに隙間なく接続された第1シールド250が発揮する電磁気的なシールド効果は、非常に高いものとなり、前記第1シールド250によって外周が囲まれた第1コネクタ201は、非常に効果的に電磁気的にシールドされる。特に、フランジ部254の下面の平滑度が高いので、第1基板の表面の接続パッドに接続された第1シールド250の強度を極めて高くすることができ、第1基板の表面の接続パッドとの間に隙間が生じないので、電磁気的なシールド効果も極めて高くすることができる。また、フランジ部254の領域は、はんだ付による接続を確実なものとするために、広く設定され、接点部としての係合凹部251cの領域よりも広く設定されている。
【0115】
このように、第1コネクタ201は、強度が高く、かつ、電磁気的なシールド効果が高いので、小型低背化しても、高周波信号を伝達することができる。例えば、第1コネクタ201の長手方向、幅方向及び高さ方向の寸法を3.3〔mm〕以下、2.3〔mm〕以下、及び、0.6〔mm〕以下に設定しても、第1高周波端子271は、60〔GHz〕程度の高周波信号を伝達することができる。
【0116】
次に、第2コネクタ301の構成について説明する。
【0117】
本実施の形態における第2コネクタ301は、導電性の金属板に打抜き、絞り等の加工を施すことによって形成されたプラグシールドである第2外側シールドとしての第2シールド350と、合成樹脂等の絶縁性材料によって一体的に形成された相手方ハウジングとしての第2ハウジング311とを有する。該第2ハウジング311は、平板状の底板318と、第2コネクタ301の長手方向中央において底板318の上面から上方に向けて突出する凸部としての第2凸部312と、第2コネクタ301の長手方向(X軸方向)両端において底板318の上面から上方に向けて突出する一対の突出端部322とを有する。前記第2凸部312は、突出端部322より幅狭で、該突出端部322の両側端よりも第2コネクタ301の幅方向(Y軸方向)の内側に位置する。
【0118】
前記第2凸部312は、第2コネクタ301の長手方向に延在する概略直方体状の部材であり、幅方向中央には上面から下方に凹入する細長い溝状の中央スリット312bが形成され、該中央スリット312bの左右両側の部分は、相手方端子としての第2端子361を支持する端子支持壁となっている。前記第2端子361は、第1端子261に対応するピッチで、対応する数だけ、端子支持壁の外側面に配設されている。すなわち、前記第2端子361は、第2凸部312の両側に沿って複数ずつ配設され、並列する一対の端子群列(相手方端子群列)を形成している。
【0119】
各突出端部322は、第2凸部312の長手方向両端から離間している。そして、各突出端部322には、支持部としての第2高周波端子支持部316が形成されている。該第2高周波端子支持部316は、上下方向に延在する第2高周波端子収容溝を有し、上方から見た形状が概略U字状となっている。また、第2高周波端子支持部316同士は、それぞれの第2高周波端子収容溝の開口が反対方向を向くように配置され、しかも、上方から見て、すなわち、平面視において、第2コネクタ301の中心に関して点対称となるように、かつ、第2コネクタ301の幅方向の中心から離間して幅方向の外側に偏倚するように配置されている。そして、前記第2高周波端子収容溝には、高周波端子としての第2高周波端子371が収容される。また、前記第2高周波端子収容溝の下方及びその前方においては、底板318を板厚方向に貫通する開口としての第2高周波端子収容開口が形成されている。さらに、各突出端部322には、前記第2高周波端子収容溝の前方に、前記第2高周波端子収容開口から上面に至って該上面に開口する相手方端子収容凹部としての第1高周波端子収容凹部316cが形成されている。
【0120】
前記第2シールド350は、導電性の金属板に打抜き、絞り等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であって、平面視において、概略矩形の枠状の部材であり、第2ハウジング311の周囲を囲繞する。そして、前記第2シールド350は、本実施の形態において、導電部材として機能する部材であって、第2コネクタ301の長手方向に直線的に延在する一対の長辺部350aと、第2コネクタ301の幅方向に直線的に延在する一対の短辺部350bと、前記長辺部350aの一端と短辺部350bの一端とを接続する略90度に湾曲した4つのコーナ部350cとを含んでいる。
【0121】
また、前記第2シールド350は、外壁352と、第2内側シールドとしての内壁351と、上壁353とを含んでいる。そして、前記外壁352は全周に亘って連続した壁である。また、前記上壁353は、各短辺部350b、該短辺部350b両端のコーナ部350c、及び、各長辺部350aの両端近傍において、外壁352の上端に接続され、前記突出端部322の上面の少なくとも一部、望ましくは、過半を覆うように形成されている。なお、前記上壁353には、第1高周波端子収容凹部316cに対応する開口が形成されている。さらに、前記内壁351は、前記上壁353における第2コネクタ301の長手方向内側端にその上端が接続されて下方に延在し、前記突出端部322の内壁面の少なくとも一部、望ましくは、ほぼ全体を覆うように形成されている。
【0122】
なお、前記内壁351は、接点部として機能し、第1コネクタ201が備えるシールド板256の接触部258cと接触する。また、前記内壁351の上端には上壁353に接続される湾曲した上壁接続部が形成され、前記内壁351の下端には、先端が第2コネクタ301の長手方向内側を向くように湾曲した基板接続部としてのテール部351bが接続されている。該テール部351bは、その下面が第2基板の表面と平行であり、該表面の接続パッドにはんだ付等によって接続される部分である。前記接続パッドは、典型的には、グラウンドラインに接続されている。そして、一対の長辺部350aに対応する外壁352と一対の内壁351とによって周囲を囲繞された空間は、第1コネクタ201の第1凸部213が挿入されて収容される第2凹部313となっている。
【0123】
前記外壁352の下端には、略90度に湾曲した湾曲部を介して、平面部としてのフランジ部354が接続されている。前記湾曲部及びフランジ部354は、全周に亘って連続して外壁352の下端に接続されている。
【0124】
前記フランジ部354は、基板接続部として機能し、その下面が第2基板の表面と平行であり、該表面の接続パッドにはんだ付等によって接続される部分である。前記接続パッドは、典型的には、グラウンドラインに接続されている。そして、前記外壁352は、それ自体が全周に亘って連続した壁であることに加え、その下端がフランジ部354のように連続した部材であって、外壁352と直交する方向に延在する部材に接続されているので、比較的剛性が高く、変形しにくくなっている。本実施の形態においては、フランジ部354は全周に亘って連続して外壁352の下端に接続されている例を示したが、比較的高い剛性が必要とされない場合は、一部のみに接続されるようにしてもよい。
【0125】
また、長辺部350a及び短辺部350bに対応する外壁352は、外方に突出する係合凸部352cを有する。該係合凸部352cは、接点部として機能し、第1コネクタ201と第2コネクタ301とが互いに嵌合されたときに、前記第1コネクタ201が備える第1シールド250の内壁251に形成された係合凹部251cと係合して接触する部分であって、第2コネクタ301の長手方向又は幅方向に直線的に延在する。前述のように、係合凸部352cを省略して外壁352を平面状にすることもできる。
【0126】
なお、前記第2シールド350はオーバーモールド乃至インサート成形によって第2ハウジング311と一体化される。すなわち、第2ハウジング311は、第2シールド350をあらかじめ内部にセットした金型のキャビティ内に合成樹脂等の絶縁性材料を充填することによって成形され、突出端部322において第2シールド350と一体的に接続される。
【0127】
導電部材である第2シールド350は、導電性の金属板に打抜き、絞り加工等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であって、第2コネクタ301の嵌合方向に延伸する曲線的部材であるから、その表面は延伸面であると言える。そして、前記第2シールド350は、接点部としての係合凸部352cと、該係合凸部352cが形成された外壁352の下端に接続された基板接続部としてフランジ部254とを備える。なお、前記外壁352における係合凸部352cから、外壁352の下端までの範囲を統合的に説明する場合には、本体部として説明する。さらに、前記第2シールド350は、接点部としての内壁351と基板接続部としてのテール部351bとを備える。なお、前記内壁351における第1コネクタ201のシールド板256の接触部258cと接触する箇所から、内壁351の下端までの範囲を統合的に説明する場合には、本体部として説明する。そして、本実施の形態においては、導電部材である第2シールド350の延伸面には前述の第1、第2及び第3層92a、92b及び92cを含むめっき層92が形成されている。
【0128】
前記第2端子361は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、被保持部と、該被保持部の一端に接続された基板接続部としてのテール部と、前記被保持部の他端に接続され、上下方向(Z軸方向)に延在する下側接続部と、該下側接続部の上端に接続された上側接続部とを備える。なお、前記下側接続部の表面は、接点部として機能する接触部365aになっており、第1コネクタ201が備える第1端子261と接触する。
【0129】
そして、前記第2端子361はオーバーモールド乃至インサート成形によって第2ハウジング311と一体化される。すなわち、第2ハウジング311は、第2端子361をあらかじめ内部にセットした金型のキャビティ内に合成樹脂等の絶縁性材料を充填することによって成形される。
【0130】
また、前記テール部は、第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。なお、前記導電トレースは、電力を供給する電力ラインであってもよいが、典型的には、信号ラインである。また、該信号ラインは、高周波信号を伝達するものでなく、高周波信号よりも周波数の低い通常の周波数(例えば、周波数10〔GHz〕未満。)の信号を伝達するものであるとして、説明する。
【0131】
前記第2高周波端子371は、導電性の金属板に打抜き、曲げ等の加工を施すことによって一体的に形成された部材であり、第2コネクタ301の嵌合方向に延伸する細長い曲線的部材であるから、その表面は延伸面であると言える。また、前記第2高周波端子371は、被保持部と、該被保持部の下端に接続された基板接続部としてのテール部と、前記被保持部の上端に接続された上側接続部とを備える。また、該上側接続部は、第2コネクタ301の長手方向から見て概略S字状に湾曲し、第2コネクタ301の幅方向の中心を向いて膨出するように湾曲した部分は、接触部375aとなっている。該接触部375aは、接点部として機能し、第1コネクタ201が備える第1高周波端子271と接触する部分である。
【0132】
なお、第2高周波端子371は、必ずしも圧入によって第2ハウジング311に取付けられるものでなく、オーバーモールド乃至インサート成形によって第2ハウジング311と一体化されるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、被保持部が第2高周波端子支持部316の第2高周波端子収容溝内に圧入されて保持されるものである場合について、説明する。
【0133】
また、前記テール部は、第2基板の導電トレースに連結された接続パッドにはんだ付等によって接続される。なお、前記導電トレースは、信号ラインであって、典型的には、RF信号のような高い周波数(例えば、周波数10〔GHz〕以上。)の高周波信号を伝達するものであるとして、説明する。
【0134】
前記第2高周波端子371は、第2コネクタ301の下面(Z軸正方向面)である実装面301b側から、第2高周波端子支持部316の第2高周波端子収容溝内に圧入され、第2ハウジング311に固定される。この状態、すなわち、第2高周波端子371が第2ハウジング311に装填された状態において、一対の第2高周波端子371の接触部375a同士は、互いに反対方向を向いている。
【0135】
なお、図に示される例において、第2高周波端子371は、第1高周波端子271と同様の寸法及び形状を有するように形成されている。したがって、第1高周波端子271を第2高周波端子371として使用することができる。なお、第1高周波端子271のテール部と接触部275a、又は、第2高周波端子371のテール部と接触部375aは、第1ハウジング211、又は、第2ハウジング311から露出した露出面を含んでもよく、該露出面の各々は、互いに連続して形成され、1つの露出面を形成するようにしてもよい。また、前記テール部と接触部の各々は、各高周波端子の延伸面に形成されており、その延伸面には、前記第1の実施の形態と同様のめっき層92が形成されてもよい。
【0136】
そして、前記第2コネクタ301は、実装面301b側にはんだシートとしての図示されない第2はんだシートが付与されて第2基板の表面上に載置され、加熱炉等によって前記第2はんだシートが加熱されて溶融することにより、第2基板の表面上に固定されて実装される。なお、第2シールド350、第2端子361、第2高周波端子371等を第2基板の接続パッド等に接続するための手段は、必ずしもはんだシートの付与でなく、はんだペーストの付与、クリームはんだの転写、ドブ漬け、噴流はんだ付等によるものであってもよいが、ここでは、説明の都合上、はんだシートを用いる場合について説明する。
【0137】
はんだシートは、第2コネクタ301の長手方向に直線的に連続して延在する細長い帯状の一対の長辺部分と、第2コネクタ301の幅方向に直線的に連続して延在する細長い帯状の一対の短辺部分と、長辺が第2コネクタ301の幅方向に延在し、短辺が第2コネクタ301の長手方向に延在する矩形状の複数の短尺部分とを含んでいる。そして、一対の長辺部分は、第2シールド350の長辺部350aに対応するフランジ部354の下面に付与され、一対の短辺部分は、第2シールド350の短辺部350bに対応するフランジ部354の下面に付与され、短尺部分は、内壁351の各テール部351bの下面に付与される。
【0138】
このようにして付与されたはんだシートが加熱されて溶融することによって、第2コネクタ301が第2基板の表面上に実装されると、導電部材としての第2シールド350において全周に亘って連続している外壁352の下端に、全周に亘って連続して接続されているフランジ部354は、第2基板の表面の接続パッドに隙間なく接続される。したがって、第2基板の表面の接続パッドに接続された第2シールド350の強度は高いものとなり、ひいては、前記第2シールド350によって外周が囲まれた第2コネクタ301全体の強度が高いものとなる。また、第2基板の表面の接続パッドに隙間なく接続された第2シールド350が発揮する電磁気的なシールド効果は、非常に高いものとなり、前記第2シールド350によって外周が囲まれた第2コネクタ301は、非常に効果的に電磁気的にシールドされる。特に、フランジ部354の下面の平滑度が高いので、第2基板の表面の接続パッドに接続された第2シールド350の強度を極めて高くすることができ、第2基板の表面の接続パッドとの間に隙間が生じないので、電磁気的なシールド効果も極めて高くすることができる。さらに、フランジ部354の領域は、はんだ付による接続を確実なものとするために、広く設定され、接点部としての係合凸部352cの領域よりも広く設定されている。
【0139】
また、第2コネクタ301の長手方向両端の突出端部322の各々は、第2コネクタ301の長手方向外側及び幅方向両側を向く外壁面が第2シールド350の外壁352によって覆われ、第2コネクタ301の嵌合面301a側を向く上面が第2シールド350の上壁353によって覆われ、第2コネクタ301の長手方向内側を向く内壁面が第2シールド350の内壁351によって覆われて、周囲全体がシールドされた状態となっているので、突出端部322に形成された第2高周波端子支持部316によって支持されている第2高周波端子371は、非常に効果的に電磁気的にシールドされる。
【0140】
このように、第2コネクタ301は、強度が高く、かつ、電磁気的なシールド効果が高いので、小型低背化しても、高周波信号を伝達することができる。例えば、第2コネクタ301の長手方向、幅方向及び高さ方向の寸法を2.9〔mm〕以下、1.9〔mm〕以下、及び、0.6〔mm〕以下に設定しても、第2高周波端子371は60〔GHz〕程度の高周波信号を伝達することができる。
【0141】
次に、前記構成の第1コネクタ201と第2コネクタ301とを嵌合させる動作について説明する。
【0142】
第1コネクタ201と第2コネクタ301とを嵌合させる場合、オペレータは、図7に示されるように、第1コネクタ201の嵌合面201a(Z軸正方向面)と第2コネクタ301の嵌合面301a(Z軸負方向面)とを対向させた状態とし、第1コネクタ201の第1凸部213の位置が第2コネクタ301の第2凹部313の位置と合致し、第2コネクタ301の突出端部322の位置が第1コネクタ1の対応する嵌合凹部212bの位置と合致すると、第1コネクタ201と第2コネクタ301との位置合せが完了する。
【0143】
この状態で、第1コネクタ201及び/又は第2コネクタ301を相手側に接近する方向、すなわち、嵌合方向に移動させると、第2コネクタ301の第2シールド350が第1コネクタ201の第1シールド250の収容部250d内に挿入され、第1コネクタ201の第1凸部213が第2コネクタ301の第2凹部313内に挿入され、第2コネクタ301の突出端部322が第1コネクタ201の嵌合凹部212b内に挿入される。これにより、第1コネクタ201と第2コネクタ301との嵌合が完了し、第1端子261と第2端子361とが導通し、第1高周波端子271と第2高周波端子371とが導通した状態となる。
【0144】
具体的には、第2ハウジング311の第2凸部312が第1ハウジング211の内凹溝部212a内に挿入され、図10(b)に示されるように、第1凸部213の内側面から内凹溝部212a内に突出している第1端子261の接触部265aが、第2凸部312の外側面に露出している第2端子361の接触部365aに接触する。その結果、第1端子261のテール部が接続された第1基板上の接続パッドに連結された導電トレースと、第2端子361のテール部が接続された第2基板上の接続パッドに連結された導電トレースとが導通する。
【0145】
また、嵌合凹部212b内に位置する第1高周波端子支持部216が突出端部322の第1高周波端子収容凹部316c内に挿入され、図10(c)に示されるように、第1高周波端子271の接触部275aと第2高周波端子371の接触部375aとが接触する。その結果、第1高周波端子271のテール部が接続された第1基板上の接続パッドに連結された導電トレースと、第2高周波端子371のテール部が接続された第2基板上の接続パッドに連結された導電トレースとが導通する。
【0146】
さらに、第2コネクタ301の第2シールド350が第1コネクタ201の第1シールド250の収容部250d内に挿入されると、図10(a)及び(b)に示されるように、第2シールド350の外壁352に形成された係合凸部352cと第1シールド250の内壁251に形成された係合凹部251cとが係合して接触する。なお、該係合凹部251cが形成されている内壁251の直線部251aは、その両端がスリット部253aによって他の部分から分離され、比較的柔軟性を有しているので、第2シールド350の外壁352の係合凸部352cとの係合状態を確実に維持することができる。これにより、第1シールド250と第2シールド350とがロックされた状態となり、第1コネクタ201と第2コネクタ301との嵌合状態の解除が防止される。また、第1シールド250と第2シールド350との互いの接触状態が維持されて等電位を維持することができるので、電磁的なシールド性が向上する。
【0147】
さらに、嵌合凹部212b内に突出端部322が挿入されると、シールド板256の中央部258の接触部258cは、嵌合凹部212b内に突出しているので、図10(a)に示されるように、突出端部322の内壁面を覆う第2シールド350の内壁351に接触する。このように、シールド板256の接触部258cと第2シールド350の内壁351とが接触を維持するので、安定した等電位状態を維持することができ、高いシールド効果を発揮する。
【0148】
このように、互いに接触した第1高周波端子271及び第2高周波端子371は、その全周が第1シールド250の内壁251、外壁252及びシールド板256と、第2シールド350の内壁351及び外壁352とによって連続して囲繞され、しかも、二重に囲繞された状態となるので、極めて効果的にシールドされる。したがって、第1高周波端子271のテール部から第2高周波端子371のテール部までの信号の伝送線路のインピーダンスが安定し、良好なSI特性を得ることができる。
【0149】
なお、前記第1シールド250及び第2シールド350は、必ずしも第1コネクタ201及び第2コネクタ301の周りを切目なく連続して囲繞するものでなくともよく、多少の切目を含んでいても、第1コネクタ201及び第2コネクタ301の周りを概ね連続して囲繞している、実質的に連続して囲繞している、ないしは、連続しているとみなされる程度に囲繞しているものであればよい。
【0150】
また、本実施の形態における導電部材である第1シールド250、シールド板256及び第2シールド350の表面である延伸面には、前記第1の実施の形態と同様のめっき層92が形成されている。そして、前記第1シールド250、シールド板256及び第2シールド350の表面である延伸面に形成されためっき層92の構成は、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0151】
このように、本実施の形態において、第1コネクタ201のシールド板256の下端及び接触部258cは、嵌合方向に延在する同一の直線上に位置し、また、第2コネクタ301の係合凸部352c及びフランジ部354、並びに、内壁351及びテール部351bは、嵌合方向に延在する同一の直線上に位置する。さらに、第1シールド250は第1コネクタ201の周りを囲む少なくとも1つのシールド部材であり、第2シールド350は第2コネクタ301の周りを囲むシールド部材である。
【0152】
なお、本実施の形態おける第1コネクタ201及び第2コネクタ301のその他の点の構成及び動作は、前記第1の実施の形態と同様であるので、その説明を省略する。
【0153】
また、本明細書の開示は、好適で例示的な実施の形態に関する特徴を述べたものである。ここに添付された特許請求の範囲内及びその趣旨内における種々の他の実施の形態、修正及び変形は、当業者であれば、本明細書の開示を総覧することにより、当然に考え付くことである。
【産業上の利用可能性】
【0154】
本開示は、コネクタ及びコネクタ対に適用することができる。
【符号の説明】
【0155】
1、201 第1コネクタ
11、211 第1ハウジング
11a、111a、201a、301a 嵌合面
11b、111b、201b、301b 実装面
18、218、318 底板
51 第1補強金具
57c、62、157c、162、351b テール部
61、261 第1端子
63、166 被保持部
64 下側接続部
65 内側接続部
65a 第1接触部
66 第2接触部
67 上側接続部
67a、164a 傾斜部
67b、164b 突出部
91、862 金属基材
92 めっき層
92a 第1層
92b 第2層
92c 第3層
101、301 第2コネクタ
111、311 第2ハウジング
112、312 第2凸部
113 凹溝部
122 第2突出端部
151 第2補強金具
153 側方覆部
153a、157b 接続カバー部
153b 側方カバー部
157 中央覆部
157a 突出端上カバー部
161、361 第2端子
164 接続部
165、258c、265a、275a、365a、375a 接触部
212 第1凹部
212a 内凹溝部
212b 嵌合凹部
212c 外凹溝部
213 第1凸部
213a 外側凹部
215 第1端子収容キャビティ
216 第1高周波端子支持部
250 第1シールド
250a、350a 長辺部
250b、350b 短辺部
250c、350c コーナ部
250d 収容部
251、351 内壁
251a 直線部
251b 曲線部
251c 係合凹部
251d 湾曲端部
252、352 外壁
253 連結部
253a スリット部
254、354 フランジ部
256 シールド板
258 中央部
271 第1高周波端子
312b 中央スリット
313 第2凹部
316 第2高周波端子支持部
316c 第1高周波端子収容凹部
322 突出端部
350 第2シールド
352c 係合凸部
353 上壁
371 第2高周波端子
861 端子
861a 接点部
861b 基板接続部
861c 本体部
863a ニッケルめっき層
863b パラジウムめっき層
863c 金めっき層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11