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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033077
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】設置物の取付け具
(51)【国際特許分類】
   E04D 13/00 20060101AFI20240306BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20240306BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20240306BHJP
【FI】
E04D13/00 K
E04D13/18
H02S20/23 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136462
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000200323
【氏名又は名称】JFE鋼板株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和泉 直樹
【テーマコード(参考)】
2E108
【Fターム(参考)】
2E108KK01
2E108KS06
2E108MM06
2E108NN07
(57)【要約】
【課題】構造の簡素化、軽量化が可能であり、常に安定した姿勢のもとに建屋の屋根や壁に固定できる取付け具を提案する。
【解決手段】鉤状片を有し前記屋根または壁の一部分を挟み込む一対の脚部と、該一対の脚部の上端部にそれぞれ設けられた一対のホルダーと、該一対のホルダーの相互間に配置され、貫通ボルトを介して該一対のホルダーに挟持、固定される中駒とを備えた構成において、前記中駒を、設置物の載置面を形成する天壁と、該天壁において開放端が形成され、該脚部に向けて伸延する少なくとも1の凹部と、該開放端を通り抜けて該凹部内に配置され、該天壁に載置された設置物を該天壁に固定する設置物固定用ボルトとを有するものとし、前記一対のホルダーを、該脚部の上端部から立ち上がり、該中駒の端面に当接可能な起立壁部と、該起立壁部の幅方向の両縁部にそれぞれつながり、該中駒の側面に位置する一対のサイド壁部からなるものとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建屋の屋根または壁に設置物を設置、固定する取付け具であって、
鉤状片を有し前記屋根または壁の一部分を両側において挟み込む一対の脚部と、該一対の脚部の上端部にそれぞれ設けられた一対のホルダーと、該一対のホルダーの相互間に配置され、貫通ボルトを介して該一対のホルダーに挟持、固定される中駒とを備え、
前記中駒は、設置物の載置面を形成する天壁と、該天壁において開放端が形成され、該ホルダーに向けて伸延する少なくとも1の凹部と、該開放端を通り抜けて該凹部内に配置され、該天壁に載置された設置物を該天壁に固定する設置物固定用ボルトとを有し、
前記一対のホルダーは、それぞれ、該脚部の上端部から立ち上がり、該中駒の端面に当接可能な起立壁部と、該起立壁部の幅方向の両縁部にそれぞれつながり、該中駒の側面に位置する一対のサイド壁部からなることを特徴とする設置物の取付け具。
【請求項2】
前記凹部は、その両端部が開放され、前記設置物固定用ボルトを引き抜け不能かつ、スライド可能に保持する溝状ガイドであることを特徴とする請求項1に記載した設置物の取付け具。
【請求項3】
前記凹部は、その底部に、両端部が開放され、前記ホルダーに向けて伸延する溝部を有することを特徴とする請求項1または2に記載した設置物の取付け具。
【請求項4】
前記一対のホルダーは、それぞれ、前記貫通ボルトを通す開孔を有し、前記中駒は、該開孔に面して設けられ、前記貫通ボルトを保持する連通孔を有することを特徴とする請求項1または2に記載した設置物の取付け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池パネルや大型配電盤等の設置物や雪止め等を屋根や壁に固定、保持するのに好適な設置物の取付け具に関するものである。以下、設置物として太陽電池パネルを用い、これを建屋の屋根に設置する場合を例にして説明する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池パネル等の設置物は、屋根板材に直接固定可能な取付け具を介して固定するのが一般的であり、これに関連する先行技術としては、一対の脚部材と、一対の脚部材同士を連結固定する中駒部材と、該脚部材の上面に形成された一対の支持面に固定された載置部材と、屋根設置型構造物の側縁部を載置部材との間で挟持固定する固定部材とによって構成された、例えば、特許文献1に開示された折板屋根用取付け金具が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-52178号公報
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示された取付け金具は、部品点数が多く組付け作業に時間を要することから効率的な施工を行うのが困難であり、取付金具そのものの重量が重くなり取扱いがよいとはいえないものであった。また、かかる取付け金具は、ボルトを締め込んで固定する場合に、金具がねじれてがたつくことがあり、金具を安定して固定することができないことも懸念された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、構造の簡素化、軽量化が可能であり、常に安定した姿勢のもとに建屋の屋根や壁に固定、保持できる設置物の取付け具を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、建屋の屋根または壁に設置物を設置、固定する取付け具であって、鉤状片を有し前記屋根または壁の一部分を両側において挟み込む一対の脚部と、該一対の脚部の上端部にそれぞれ設けられた一対のホルダーと、該一対のホルダーの相互間に配置され、貫通ボルトを介して該一対のホルダーに挟持、固定される中駒とを備え、前記中駒は、設置物の載置面を形成する天壁と、該天壁において開放端が形成され、該ホルダーに向けて伸延する少なくとも1の凹部と、該開放端を通り抜けて該凹部内に配置され、該天壁に載置された設置物を該天壁に固定する設置物固定用ボルトとを有し、前記一対のホルダーは、それぞれ、該脚部の上端部から立ち上がり、該中駒の端面に当接可能な起立壁部と、該起立壁部の幅方向の両縁部にそれぞれつながり、該中駒の側面に位置する一対のサイド壁部からなることを特徴とする設置物の取付け具である。
【0007】
上記の構成からなる取付け具において、前記凹部は、その両端部が開放され、前記設置物固定用ボルトを引き抜け不能かつ、スライド可能に保持する溝状ガイドであること、また、前記凹部は、その底部に、両端部が開放され、前記ホルダーに向けて伸延する溝部を有すること、さらに、前記一対のホルダーは、それぞれ、前記貫通ボルトを通す開孔を有し、前記中駒は、該開孔に面して設けられ、前記貫通ボルトを保持する連通孔を有すること、が課題解決のための具体的手段として好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、取付け具を、ホルダーが設けられた脚部と、貫通ボルトを介してホルダーに挟持、固定される中駒とで構成したため、部品点数がすくなくてすみ、構造の簡素化、軽量化が可能である。
【0009】
また、本発明によれば、貫通ボルトの締め込みに際してホルダーは、中駒の端面(両端面)のみならず、側面の複数個所に密着した状態で保持されるため、取付け具の固定姿勢が安定化する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明にしたがう取付け具の外観斜視図である。
図2図1に示した取付け具を分解状態で示した外観斜視図である。
図3図1に示した取付け具の正面図である。
図4図3に示した取付け具の平面図である。
図5図3に示した取付け具の底面図である。
図6図3に示した取付け具の左側面図である。
図7図3に示した取付け具の右側面図である。
図8】(a)~(d)は、中駒の平面、正面、底面、側面をそれぞれ示した図である。
図9】本発明にしたがう取付け具を、複数枚の建材パネルで構成された屋根に取り付けた状態を模式的に示した図である。
図10図9の要部を拡大して示した図である。
図11】本発明にしたがう取付け具の設置要領の説明図である。
図12】本発明にしたがう取付け具に雪止め金具を装着した他の実施の形態を示した図であり、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、(b)の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明にしたがう取付け具の外観斜視図であり、図2は、図1に示した取付け具を分解状態で示した外観斜視図である。また、図3は、図1に示した取付け具の正面図であり、図4は、図3に示した取付け具の平面図であり、図5は、図3に示した取付け具の底面図である。また、図6は、図3に示した取付け具の左側面図であり、図7は、図3に示した取付け具の右側面図であり、図8(a)~(d)は、中駒の平面、正面、底面、側面をそれぞれ示した図であり、図9は、本発明にしたがう取付け具を、複数枚の建材パネルで構成された屋根に取り付けた状態を示した図であり、図10は、図9の要部を拡大して示した図である。
【0012】
なお、本発明にしたがう取付け具において、脚部、ホルダーは、厚さ2.0~3.2mm程度のSPHC(熱間圧延軟鋼板)やステンレス鋼板、アルミニウムの板材を適用することができ、中駒は、アルミニウム製部材の押出し成形品を用いることができる。材料が異種金属接触となる場合は、腐食を防止するために、いずれか一方もしくは両方に絶縁処理を施して接合を行う。絶縁処理を行う対象が鋼板である場合には、塗装を、アルミニウムである場合には、アルマイト処理を施すのが望ましい。また、本発明にしたがう取付け具は、幅方向の両端部にそれぞれ継手が設けられた建材パネルの複数枚を、横並び状態に配列するとともに各建材パネルの継手相互間にカバーキャップを配設して該カバーキャップを介して建材パネルを相互に連係させることによって構築された屋根や壁に適用することができるが、取付け具の脚部によって屋根あるいは壁の一部分を挟持することが可能であれば他の屋根や壁に適用してもよく、図示のものに限定されない。
【0013】
図1図10における符号1は、屋根の一部、例えば、建材パネルTの継手S相互間に配置されるカバーキャップCを両側において挟み込むことができる一対の脚部である。脚部1は、カバーキャップCの幅方向の下縁に引っ掛かる鉤状片1aを有している(図9図10図11参照)。
【0014】
また、図1図10における符号2は、一対の脚部1の上端部にそれぞれ設けられた一対のホルダー、3は、一対のホルダー2の相互間に配置され、貫通ボルト4を介して該一対のホルダー2に挟持、固定される中駒である。
【0015】
ホルダー2としては、該脚部1の上端部から立ち上がり、中駒3の端面3aに当接可能な板状の起立壁部2aと、該起立壁部2aの幅方向の両縁部にそれぞれつながり、該中駒3の側面3bに位置する一対の板状のサイド壁部2bとを備えたもので構成することができる。ホルダー2と脚部1との相互間には、部分的に外方へ突出させて曲げ強度を高めるために補強部Mを設けてもよい。
【0016】
また、中駒3としては、設置物の載置面を形成する天壁3cと、該天壁3cにおいて開放端3dが形成され、ホルダー2の起立壁部2aに向けて伸延する少なくとも1の凹部3eと、該開放端3dを通り抜けて該凹部3e内に配置され、該天壁3cに載置された設置物(図示せず)を該天壁3cに固定する設置物固定用ボルト3fとを有するもので構成される。天壁3cの幅方向の端縁には、ホルダー2のサイド壁部2bの上端面に下面が当接して中駒3のホルダー2に対する位置決めを行うフランジ部3c1を設けておくことができる。
【0017】
中駒3の凹部3eは、その両端部が開放され、設置物固定用ボルト3fを引き抜け不能かつ、スライド可能に保持する溝状ガイドとすることができ、その底部には、雨水の効率的な排出を可能とするために、両端部が開放され、ホルダー2の起立壁部2aに向けて伸延する溝部3gが形成されている。凹部3eは、設置物固定用ボルト3fを凹部3eに沿って適宜移動させることを可能とするものであって、設置物固定用ボルト3fの位置が設置物のベースに設けられた固定用孔(図示せず)からずれていたとしても、凹部3eに沿う設置物固定用ボルト3fの移動による微調整にて該設置物固定用ボルト3fを、設置物のベースに設けられた固定用孔に確実に挿通させることができる。
【0018】
凹部3eは、ホルダー2の起立壁部2aに向けて伸延するものがとりわけ好適であり、これによれば、開放端3dも凹部3eと同じようにホルダー2の起立壁部2aに向けて伸延することになるため、本発明にしたがう取付け具を建屋の屋根に適用した場合にあっては、設置固定用ボルト3fの軒乃至棟方向の動きを規制することができ、建屋の壁に適用した場合にあっては、設置固定用ボルト3fの上下方向の動きを規制することができ、いずれにおいても流れ方向の荷重を、取付け具の本体で負担することが可能となる。
【0019】
また、図1図10における符号5は、ホルダー2のそれぞれに設けられ、貫通ボルト4を通す開孔、6は、中駒3に設けられた連通孔である。連通孔6は、開孔5に面して設けられたものであって、開孔5を通り抜けた貫通ボルト4を中駒3において保持するものである。
【0020】
幅方向の両端部にそれぞれ継手Sが設けられた建材パネル(金属製の板材にて構成された外皮材と内皮材とを備え、それら外皮材、内皮材の間に断熱層が設けられたサンドイッチタイプのパネル等)Tの複数枚を、横並び状態に配列するとともに各建材パネルTの継手Sの相互間にカバーキャップCを配設して該カバーキャップCを介して建材パネルTを相互に連係させることによって構築された、図9図10に示すような建屋の屋根において、本発明にしたがう取付け具を設置するには、図11の上図に示すように、貫通ボルト4のナットを緩めて脚部1の鉤状片1aの相互間隔LをカバーキャップCの幅寸法Wよりも大きくしておき、その状態を維持したまま、図11の下図に示すように、取付け具をカバーキャップCの天板C1に設置し、次いで、ホルダー2の起立壁部2aが中駒3の端面3aに当接するまで貫通ボルト4のナットを締め込んでいく。
【0021】
貫通ボルト4のナットの締め込みによりホルダー2の起立壁部2aが中駒3の端面3aに当接すると、脚部1の鉤状片1aの相互間隔LがカバーキャップCの幅寸法Wよりも小さくなるとともに、中駒3のストッパー機能によりナットはそれ以上、締め込むことできず、取付け具は、一定の挟持力のもとでカバーキャップCに固定保持されることになり、ナットの過剰な締め込みにより構成部材の変形や損傷を起こすことはない。
【0022】
しかも、この時、中駒3は、その端面3a、側面3bで、ホルダー2の起立壁部2a、サイド壁部2bに都合6面で密着することとなるため、取付け具の姿勢は安定化する。
【0023】
中駒3は、アルミニウムの押出し成形品を用いることができるが、各部材を溶接等により接合して構成された組み立て構造体を適用することも可能であり、アルミニウムbの押出し成形品に限定されることはない。
【0024】
本発明の取付け具は、基本的には、ホルダーが設けられた一対の脚部と、貫通ボルトを介してホルダーに挟持、固定される中駒(設置物固定用ボルト3fを含む(とで構成されるものであって、従来構造の取付け具よりも部品点数が少なくてすみ、取付け具そのものの構造の簡素化、軽量化を図ることが可能であるだけでなく、取付け具の設置作業時おける取り扱いも容易となる。
【0025】
図12(a)~(c)は、本発明にしたがう取付け具に雪止め金具7を装着した他の実施の形態を示した図であり、(a)は、平面図、(b)は、正面図、(c)は、(b)の右側面図である。
【0026】
かかる雪止め金具7は、中駒3の天壁3cに設置物固定用ボルト3fを介して固定される板状のベース7aと、該ベース7aの両側において伸延する鉤形形状をなすブレード7bと該ブレード7bの下端縁にベース7aと平行に一体連結するフィン7cとで構成されたものであって、本発明の取付け具によれば、雪止め金具7を簡単に装着し得る。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明によれば、構造の簡素化、軽量化が可能で、常に安定した姿勢のもとに建屋の屋根や壁に固定、保持可能な設置物の取付け具が提供できる。
【符号の説明】
【0028】
1 脚部
1a 鉤状片
2 ホルダー
2a 起立壁部
2b サイド壁部
3 中駒
3a 端面
3b 側面
3c 天壁
3c1 フランジ部
3d 開放端
3e 凹部
3f 設置物固定用ボルト
3g 溝部
4 貫通ボルト
5 開孔
6 連通孔
7 雪止め金具
7a ベース
7b ブレード
7c フィン
S 継手
T 建材パネル
C カバーキャップ
C1 天板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12