(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033080
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】汎用コンバインの掻込リール構造
(51)【国際特許分類】
A01D 57/02 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A01D57/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136466
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 大
【テーマコード(参考)】
2B081
【Fターム(参考)】
2B081AA03
2B081CC45
2B081FA20
(57)【要約】
【課題】軸受とリール軸をコンパクトに覆い茎稈の巻付きを防止し、刈取収穫作業を連続的に行うことができる汎用コンバインの掻込リール構造を提供する。
【解決手段】リールアーム11に設けられる軸受12と軸支されるリール軸10の軸支側とを、下向きコ字状の上側カバー15と下側カバー16によって覆い、両カバー15、16の内側端部を軸受側リールプレート13に近接させた状態で外側端部側をリールアーム11側に取付けることにより、前記上側カバー15と下側カバー16とにより長辺カバー面と短辺カバー面とからなる側面視で長方形状断面を有する巻付き防止部18を構成する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植立茎稈を掻込む掻込リール(2)のリール軸(10)を、刈取部(6)に昇降可能に支持するリールアーム(11)に設けられる軸受(12)に軸支するに、該掻込リール(2)の軸受側リールプレート(13)と軸受(12)との間でリール軸(10)への刈取茎稈の巻付きを防止する巻付き防止部(18)を備える汎用コンバインの掻込リール構造において、
前記リールアーム(11)に設けられる軸受(12)と該軸受(12)に軸支されるリール軸(10)の軸支側とを、下向きコ字状の上側カバー(15)によって上方から覆い、該上側カバー(15)の内側端部を前記軸受側リールプレート(13)に近接させた状態で外側端部側をリールアーム(11)側に取付けると共に、前記リール軸(10)の軸支側に近接させて下方から覆う下側カバー(16)を前記上側カバー(15)に対し着脱可能に取付けることにより、前記上側カバー(15)と下側カバー(16)とにより長辺カバー面と短辺カバー面とからなる側面視で長方形状断面を有する巻付き防止部(18)を構成したことを特徴とする汎用コンバインの掻込リール構造。
【請求項2】
前記リールアーム(11)側に取付けられて軸受(12)とリール軸(10)の軸支側とを覆う上側カバー(15)を、掻込リール(2)側に設けられる軸受側リールプレート(13)に対し遠近調節可能に取付ける請求項1記載の汎用コンバインの掻込リール構造。
【請求項3】
前記上側カバー(15)を、リールアーム(11)に着脱自在に設けられる軸受(12)に重ねた状態で、リールアーム(11)にボルト(12a)を通して共締めする請求項1又は2記載の汎用コンバインの掻込リール構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汎用コンバインの掻込リール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、茎稈作物を刈取収穫する汎用コンバインは、植立茎稈を掻込む掻込リールのリール軸を、刈取部に昇降可能に支持されるリールアームに取付けられる軸受に軸支するに、掻込み刈取りされた茎稈が掻込リールの軸受側リールプレートと軸受との間で、リール軸に巻付くことを防止する巻付き防止部(巻付き防止体)を設ける掻込リール構造にすることが既に公知である。(例えば、特許文献1)
上記特許文献1に示される汎用コンバインは、巻付き防止体をスラットアーム(軸受側リールプレート)との間に、リール軸芯周りに円筒状の巻付き防止体となして設けるに、この円筒状の巻付き防止体の形状を、外周長が刈り取られた茎稈長より長い大径部材によって構成している。
そして、大径部材からなる巻付き防止体は、円筒内部でリール軸固定具から突設する複数の放射状部材に保持している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に示される汎用コンバインは、掻込リールのスラットアームとリールアームとの間に形成される茎稈侵入間隔内に設ける巻付き防止体を、円筒の外周長が刈り取られた茎稈長より長い大径部材で構成するため、刈取茎稈の一部が茎稈侵入間隔内に侵入した初期では茎稈の円筒巻付き防止体への巻付きを防止できる利点がある。
然しながら、長時間の刈取収穫作業において逐次侵入して重なる刈取茎稈に対しては、上記径大円筒型の巻付き防止体は侵入茎稈を除去するスクレーパー作用を有しないため、多数の茎稈が堆積し茎稈侵入間隔に詰まりを生じ易いこと、及び堆積する茎稈の一部が巻付き状態でスラットアームに摺接し掻込リールに大きな回転負荷を生じさせること、並びに径大円筒状の巻付き防止体は堆積茎稈との接当圧により変形し易く、煩雑なメンテナンス作業を要し連続作業を困難にするなどの問題がある。
一方、上記変形トラブルの回避には、円筒部材を厚肉鉄板にしたり、円筒内部でリール軸固定具に設ける放射状部材の強度及び加工精度をあげる必要があるため、掻込リール構造が大重量になったり煩雑なプレス成形型を要して製造コストが高くなる欠点がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、第1に、植立茎稈を掻込む掻込リール2のリール軸10を、刈取部6に昇降可能に支持するリールアーム11に設けられる軸受12に軸支するに、該掻込リール2の軸受側リールプレート13と軸受12との間でリール軸10への刈取茎稈の巻付きを防止する巻付き防止部18を備える汎用コンバインの掻込リール構造において、
前記リールアーム11に設けられる軸受12と該軸受12に軸支されるリール軸10の軸支側とを、下向きコ字状の上側カバー15によって上方から覆い、該上側カバー15の内側端部を前記軸受側リールプレート13に近接させた状態で外側端部側をリールアーム11側に取付けると共に、前記リール軸10の軸支側に近接させて下方から覆う下側カバー16を前記上側カバー15に対し着脱可能に取付けることにより、前記上側カバー15と下側カバー16とにより長辺カバー面と短辺カバー面とからなる側面視で長方形状断面を有する巻付き防止部18を構成したことを特徴としている。
第2に、前記リールアーム11側に取付けられて軸受12とリール軸10の軸支側とを覆う上側カバー15を、掻込リール2側に設けられる軸受側リールプレート13に対し遠近調節可能に取付けることを特徴としている。
第3に、前記上側カバー15を、リールアーム11に着脱自在に設けられる軸受12に重ねた状態で、リールアーム11にボルト12aを通して共締めすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明によれば、植立茎稈を掻込む掻込リール2のリール軸10を、刈取部6に昇降可能に支持するリールアーム11に設けられる軸受12に軸支するに、該掻込リール2の軸受側リールプレート13と軸受12との間でリール軸10への刈取茎稈の巻付きを防止する巻付き防止部18を備える汎用コンバインの掻込リール構造において、前記リールアーム11に設けられる軸受12と該軸受12に軸支されるリール軸10の軸支側とを、下向きコ字状の上側カバー15によって上方から覆い、該上側カバー15の内側端部を前記軸受側リールプレート13に近接させた状態で外側端部側をリールアーム11側に取付けると共に、前記リール軸10の軸支側に近接させて下方から覆う下側カバー16を前記上側カバー15に対し着脱可能に取付けることにより、前記上側カバー15と下側カバー16とにより長辺カバー面と短辺カバー面とからなる側面視で長方形状断面を有する巻付き防止部18を構成したことにより、
前記軸受12とリール軸10の軸支側とを、下向きコ字状に形成される上側カバー15によって上方から覆いながら、その内側端部を軸受側リールプレート13に近接させて外側端部側をリールアーム11側の適所に取付けると共に、取付固定された上側カバー15側に下側カバー16を取付けるだけで、長辺カバー面と短辺カバー面とからなる側面視で長方形状断面を有する巻付き防止部18を、簡単で安価な構成によって剛構造に製作できて軽量化を図ることができる。
そして、掻取収穫作業時に前記茎稈侵入間隔内に入り巻付き防止部18に巻付こうとする茎稈を、長辺カバー面と短辺カバー面とによって生じさせるスクレーパー作用によって効率よく除去して掻込リール2による掻込み作業を連続的に行うことができる。
請求項2に係る発明によれば、前記リールアーム11側に取付けられて軸受12とリール軸10の軸支側とを覆う上側カバー15を、掻込リール2側に設けられる軸受側リールプレート13に対し遠近調節可能に取付けることにより、
上側カバー15と下側カバー16とにより長方形状断面の巻付き防止部18と軸受側リールプレート13で形成される巻付き防止間隙の調整をする際に、リールアーム11側に取付けられる上側カバー15の固定を緩めて左右に位置調節をするだけで下側カバー16も同時調節できるので、前記軸受側リールプレート13の側面に対し茎稈屑類の侵入を防ぐ適正間隙を精度よく簡単に形成することができ、また長期の使用において巻付き防止間隙内に侵入した茎稈屑類の除去などのメンテナンス作業を速やか容易にすることができる。
請求項3に係る発明によれば、前記上側カバー15を、リールアーム11に着脱自在に設けられる軸受12に重ねた状態でリールアーム11にボルト12aを通して共締めすることにより、
ボルト12aは、上側カバー15と軸受12に通してリールアーム11に同時に共締めできるので、軸受カバー構造を簡潔で安価に製作できると共に、上側カバー15と軸受12の交換や上側カバー15の巻付き防止間隙の調整などのメンテナンス作業を能率よく速やかにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明に係る掻込リール構造を備える汎用型コンバインを示す全体側面図である。
【
図2】掻込リールと巻付き防止部の構成を示す左斜視図である。
【
図3】掻込リールの巻付き防止部の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明を適用した汎用型コンバイン1の全体側面図、
図2は本発明に係る掻込リール2の左前方斜視図である。
このコンバイン1は、クローラ式の走行装置3に支持される走行機体4に、前部で植立茎稈の刈取作業を行う前処理部6を昇降可能に支持し、該前処理部6の後方右側に操行操作を行う操縦部7と、該操縦部7の後方にグレンタンク8を配設し、両者の左側に前処理部6で刈取られた穀稈の脱穀作業を行う脱穀装置9と、該脱穀装置9の後端側から藁屑等を処理排出する排藁処理部9a等を配設している。
【0009】
上記前処理部6は、機体の進行にともない回転する掻込リール2が掻込タイン部2aによって植立茎稈の上部側を後方に掻き込み、後方倒れ姿勢の茎稈基部を刈刃6aで刈取らせたのち、刈取茎稈を横送りオーガで左右方向から中央部に纏めて後方搬送するフィーダ6bによって脱穀装置9の供給口内に供給する。
脱穀装置9は、供給口内に供給される刈取茎稈を脱穀処理する過程で、一番物をグレンタンク8内に搬送供給すると共に、脱穀済みの茎稈類を排藁処理部9aの細断処理を経て機体後方の地表へ排出する。
【0010】
この処理部6の掻込リール2は
図3、
図4に示すように、回転中心に設けられるリール軸10を走行機体4側から上下昇降可能に支持される左右のリールアーム11に設ける合成樹脂製の軸受12に回転自在に軸支される。図示する軸受12は上下に分割して形成される合せ型軸受であり、各合せ型軸受で軸端を挟んだ状態で両者の軸受部前後に上下方向に形成される通し孔12aに対し、ボルト12bを上方から挿入してリールアーム11側のボルト孔に締結固定するようにしている。
【0011】
この掻込リール2は
図2に示すように、リール軸10に左右の掻込み間隔を有して立設している側面視三角形状の軸受側リールプレート13と、該軸受側リールプレート13の頂部内面側にボルト13a・ナット13bなどからなる締結手段によって取付固定される左右のリール側面フレーム2bと、左右のリール側面フレーム2bの外周に等間隔に配設される前記掻込タイン部2aとから構成される。
上記掻込リール2のリール側面フレーム2bは、前記軸受側リールプレート13に挿入孔を有して締結されるリングプレート2cと、その外側面に回転周方向の掻込み間隔を有して放射状に突出して掻込タイン部2aを支持するリールスポーク2dとからなる。
【0012】
リール側面フレーム2bは、前記軸受側リールプレート13にボルト13a・ナット13bを介して取付支持されるリングプレート2cに6本のリールスポーク2dを突設しその先端に掻込タイン部2aを着脱可能に取付けている。
そして、リングプレート2cの外側面に固設される各リールスポーク2dは、棒状のスポーク基部端を軸受側リールプレート13に近接するように設けている。
【0013】
この構成により、各リールスポーク2dは、基部端の突出幅によってリール軸10に巻付こうとする茎稈を回転方向に向けて掻き落して除去するように作用する。
そして、上側カバー15と下側カバー16とからなる後述する巻付き防止部18の軸受カバー構造に巻付こうとする茎稈類を除去するスクレーパー作用を発揮させるようにしている。
また軸受側リールプレート13の外側面頂部に固設されて突出するナット13bは、前記アーム基部端と同様に、この部に巻付こうとする茎稈を回転方向側に引っ掛けて掻取り除去するスクレーパー作用を奏する。
【0014】
次に、本発明に係る軸受カバー構造について
図2、3、4を参照し説明する。図示する掻込リール2の軸受カバー構造は、前記リールアーム11に設けられる軸受12と、該軸受12に軸支されるリール軸10の軸支側とを左右方向のカバー長さLを有して上方から覆う上側カバー15と、該上側カバー15の下部内側に左右方向のカバー長さlを有して取付けられる下側カバー16とから構成される。
図示例の上側カバー15は、側面視で下向きコ字状に形成することにより上方から軸受12に外嵌でき且つリール軸10の軸支側を覆うと共に、コ字状カバーの左右方向における内方端部を前記軸受側リールプレート13に遠近調節を可能にする左右長さにしている。
【0015】
そして、上側カバー15は、下向きコ字状のカバー上壁面の外側寄りで前記軸受12を取付けるボルト17、17の挿入位置に対し、長孔状の取付孔15aを穿設している。
また上側カバー15は前後のカバー側壁面になる前壁面と後壁面の下部側に対し、前記上向きコ字状の下側カバー16を内嵌した状態でボルト17aを挿入して取付ける取付孔15bを設けている。
【0016】
一方、上向きコ字状に形成される下側カバー16は、そのカバー長さlを上側カバー15のコ字状カバーの内方端部と面一状態になして軸受側リールプレート13に近接させ、且つ軸受12を下側から近接させて囲う形状にしている。
また上向きになる前後の側壁面には、前記上側カバー15に内嵌した位置で前記ボルト17aを挿入して締結可能にするネジ孔付きの取付孔16aを設けている。
【0017】
上記構成からなる掻込リールの軸受カバー構造によれば、まず下向きコ字状の上側カバー15をリール軸10を軸支している軸受12に上方から外嵌した状態で、前後のボルト17を長孔状の取付孔15aを介し軸受12のボルト孔12aに通してリールアーム11に共締め状態で締結する。
これによりボルト17は、上側カバー15と軸受12とを同時に共締めでき、取付部品を共用しながら軸受カバー構造を簡潔安価に製作可能にする。
【0018】
そして、上側カバー15や軸受12の交換並びに巻付き防止間隙の調整などのメンテナンス作業を、リールアーム11の広い外方から能率よく速やかに行うことができる。
従って、コ字状のカバー内方端部を取付孔15aの長孔を介し左右に移動調節することで、前記軸受側リールプレート13の側面に対し茎稈屑類の侵入を防ぎながら巻付きを防止する適正間隙を精度よく簡単に形成することができる。
これによりカバー内方端部が、軸受側リールプレート13に付着する茎稈や屑類を、スクレーパー作用によって逐次除去してカバー内への侵入を防止し、掻込リール2によるスムーズな掻込み作業を連続的に行うことができる。
【0019】
次いで、リールアーム11と軸受側リールプレート13との間に形成される軸支間隔(茎稈侵入間隔)を介し、下方から下側カバー16を差し入れて上向きになる前後の側壁面を上側カバー15の前後の側壁面内に嵌合したのち、両者の各取付孔15bと取付孔16aにボルト17aを挿入して締結する。
これにより前記軸支間隔において、リール軸10の外周を剛性を有しコンパクトに覆う巻付き防止部18を簡潔で安価な構成によってメンテナンス容易に製作する。
【0020】
この巻付き防止部18は、下側カバー16がコ字状の内側端部を上側カバー15の内側端部と面一にした状態で強度を高め合い、適正な巻付き防止間隙を有して上側カバー15と共に巻付き防止部18を構成し、茎稈や藁状の屑類の内部侵入を防ぎリール軸10側への巻付きを防止する。
そして、掻込リール組立時や分解修理時又は長期間の使用において上記巻付き防止間隙を左右方向に調整する場合には、前記ボルト12aのみを緩めた状態で上側カバー15を移動調節すると下側カバー16も一体的に同時調節することができる。
また小型で軽量な下側カバー16は、下向きコ字状の上側カバー15に下方からから簡単に嵌合接合できるので、必要により圃場で行う巻付き防止部18の分解修理などのメンテナンス作業も容易にする。
【0021】
一方、上側カバー15は軸受12に上方から嵌めるとき、その横幅(前後長さ)Hを前後の側壁面が軸受12の前後面と接当又は近接させるように広幅状にしている。
これによる上側カバー15は、過大な巻付き負荷やスクレーパー作用による巻付き除去負荷を受けたとしても、側壁面が剛体構造の軸受12の側面に接当してリールアーム11側に固定支持されるため、大きな変形や破損を抑止できる丈夫な軸受カバー構造になって長期の使用を可能にする。
【0022】
即ち、上記巻付き防止部18は
図2、3、4に示すように、前記軸受12を前後方向に広く覆う横幅Hとなし軸受側リールプレート13のナット13b及びリールスポーク2dの下端に近接して臨ませる軸受カバー構造にしている。
そして、上側カバー15の上壁面と下側カバー16の下壁面との両壁面をリール軸10に近接させ、軸受カバー構造の縦幅(高さ)hを前記横幅Hの半分程度の小幅となし、横幅Hと縦幅hを大きく異ならせた方形状(長方形)の異径断面にして茎稈類の巻付きを防止するようにしている。
【0023】
ここで実施形態の方形状異径断面のカバー構造は、前記横幅H(前後方向幅)をなす前後の壁面側を長辺カバー面と言い、前記縦幅h(上下方向幅)をなす上下の壁面側を短辺カバー面と言う。
つまり、上側カバー15と下側カバー16とを接合してリール軸10を方形状に囲う軸受カバー構造は、横幅Hと縦幅hを大きく異ならせた方形状の異径断面にした上下の長辺カバー面と前後の短辺カバー面を有して内側端部側を形成しカバー上壁面の外側寄りをリールアーム11側に固定している。
【0024】
以上のように構成される掻込リール構造によれば、掻込リール2が回転に伴ない植立茎稈を掻込んで刈取茎稈を後方に向け回転送りをする。このとき、前記リール側面フレーム2bのリールスポーク2dや軸受側リールプレート13と軸受12を有するリールアーム11との間(茎稈侵入間隔)に入り込む刈取茎稈や屑類(以下単に侵入茎稈と言う)が、リールスポーク2dによって下方に巻き込まれながら巻付き防止部18に巻付こうとするものが生じる。
【0025】
この場合に、巻付こうと移動する茎稈類(以下単に巻付き茎稈と言う)は、リール軸10を中心にリールスポーク2dによって
図2に太2点鎖線で示すように、リールアーム11側に回動不能に固定されている巻付き防止部18に対し、下方から下側カバー16に接当したのち長辺カバー面(後壁面)側に接当しながら短辺カバー面(上側壁)に至ったのち、前方の長辺カバー面(前壁面)に至るため、掻込リール2とカバー構造とによる変化を伴うスクレーパー作用によって除去されて、巻付き難く巻付き茎稈の頑固な巻付きを防止できる。
【0026】
即ち、前記茎稈侵入間隔内で掻込リール2のリールスポーク2dなどによって持ち回り誘導される侵入茎稈は、先ず下側の長辺カバー面に接当して引き伸ばされた状態で後方移動し、短辺カバー面に至るとき折れ曲がり姿勢になって引張り伸ばしをされ上側の長辺カバー面に至り緊張が緩められる。
次いで、巻付き茎稈は緊張緩和状態になったとき回転により直近に至るリールスポーク2dの下端又はナット13bなどの突起物との接当により引き抜き方向に引かれるので、巻付き茎稈は徒に持ち回しされることなく長辺カバー面と短辺カバー面とによって生じさせる変化あるスクレーパー作用によって効率よく除去されて掻込リール2による掻込み作業を連続的に行うことができる。
【0027】
さらに、軸受側リールプレート13に近接した固定姿勢の上側カバー15と下側カバー16の長辺カバー面の内端が、回転する軸受側リールプレート13に付着して持ち回しされる巻付き茎稈や屑類をプレート面から剥離させるなどのスクレーパー作用によって除去するので、これら巻付き茎稈や付着屑などの頑固な付着を防止できる。
【0028】
そして、長方形状断面の巻付き防止部18を構成するに、上側カバー15と下側カバー16とは共に合わせ接合可能なコ字状断面形状にしているため、湾曲面を形成するコスト高で煩雑な曲げ型を要することなく折り曲げプレス加工によって簡単安価に能率よく製造できる。
一方、長期の使用にともないカバー変形などの修理を行うときも、分解組付けが簡単にできると共に、手加工による変形補修が圃場でも容易にできて刈取収穫作業の続行を容易にすることができる等の利点がある。
【0029】
尚、巻付き防止部18のカバー構造は、実施形態では前後方向に長い長方形の筒状断面を示したが、これに限ることなく例えば、蒲鉾状の湾曲断面又はへ字状断面の上側カバー15に対し、平坦状の下側カバー16を着脱可能に取付けて構成してもよく、さらに、上側カバー15と下側カバー16によって楕円形状の断面にしてもよい。また上側カバー15は、軸受12に限ることなくリールアーム11側に直接的に取付けることもできる。
【符号の説明】
【0030】
1 汎用コンバイン
2 掻込リール
4 走行機体
10 リール軸
11 リールアーム
12 軸受
13 軸受側リールプレート
15 上側カバー
17 ボルト
18 巻付き防止部