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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033089
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】計量装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/18 20060101AFI20240306BHJP
   G01G 19/414 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G01G19/18 A
G01G19/414 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136478
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】横野 周作
(72)【発明者】
【氏名】臧 子赫
(72)【発明者】
【氏名】池谷 智
(57)【要約】
【課題】
従来の計量装置については店舗側と顧客側双方に扱いづらい問題があることに鑑みて、計量販売に適した使い勝手の良い計量装置を提供することを課題とする。
【解決手段】
計量部と、前記計量部から吊架される懸架部と、前記懸架部に接続され、容器を保持する容器保持部と、を備えることを特徴とする計量装置、特に、容器の内容物出口を支持する出口支持手段を有し、前記出口支持手段により、内容物出口が装置正面に位置されることを特徴とする計量装置によって、上記した課題を解決した。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計量部と、
前記計量部から吊架される懸架部と、
前記懸架部に接続され、容器を保持する容器保持部と、を備える
ことを特徴とする計量装置。
【請求項2】
前記容器保持部は、容器を傾斜した状態で保持する
ことを特徴とする請求項1に記載の計量装置。
【請求項3】
容器の内容物出口を支持する出口支持手段を有し、
前記出口支持手段により、内容物出口が装置正面に位置される
ことを特徴とする請求項1に記載の計量装置。
【請求項4】
前記容器保持部は、前記懸架部に対して揺動可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計量装置。
【請求項5】
前記計量部は、減算式質量計量装置により構成される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、計量装置、特に、計量販売に適した計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
購入する物品の重量を計量してその物品の単位重量当りの単価から値段を算出する電子秤が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6-50740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示したような従来の電子秤は、販売物品が置かれるスペースとは別に電子秤を設置するスペースも確保しなければならないことや、容器(風袋)重量を取引重量に含まないための風袋引き操作をしなければならない等の問題がある。このことから、従来の電子秤については店舗側と顧客側双方に扱いづらい問題があり、なお改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みて、計量販売に適した使い勝手の良い計量装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の計量装置は、少なくとも以下の構成を具備するものである。
計量部と、前記計量部から吊架される懸架部と、前記懸架部に接続され、容器を保持する容器保持部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係る計量装置の外観を示す図であって、図1(a)が正面図であり、図1(b)が上面図であり、図1(c)が前方右斜視図であり、図1(d)が後方右斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る計量装置のカバーを外した状態での概観を示す図であって、図2(a)が正面図であり、図2(b)が右斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る計量装置のカバーを外した状態での右側面図である。
図4】本発明の実施形態に係る計量装置における計量部の構成を示す図であって、図4(a)が計量部の電気的構成を、図4(b)が計量部の外観を示している。
図5】本発明の別の実施形態に係る計量装置のカバーを外した状態での概観を示す図であって、図5(a)が正面図であり、図5(b)が右斜視図であり、図5(c)が背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る計量装置の実施の形態の一例を図面に基づいて説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため、部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
(計量装置の構成)
図1は、本発明の実施形態に係る計量装置の外観を示す図であって、図1(a)が正面図であり、図1(b)が上面図であり、図1(c)が前方右斜視図であり、図1(d)が後方右斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る計量装置のカバーを外した状態での概観を示す図であって、図2(a)が正面図であり、図2(b)が右斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係る計量装置のカバーを外した状態での右側面図である。
【0010】
図1ないし図3に示す本発明の実施形態に係る計量装置100は、店舗に設置されるものであるが、販売物品の設置位置と同じスペースに据え付けられるものである。換言すれば、計量装置100内に、販売物品がその容器と共に収容可能とされている。ここで、販売物品は、小物体、粉体、液体等、販売物品の形態に適した容器に収容されているものであれば、任意の物品を対象とすることができる。
ここでの図示は省略するが、計量装置100は、同一の/又は異なる販売物品に対応させて複数の計量装置100,100、…100が店舗に設置されることがあり、その場合、複数の計量装置100,100、…100は、RS-485ケーブルによって、単一の表示印刷装置(不図示)と接続される。この際、計量装置100と表示印刷装置(不図示)の接続のさせ方としては、マルチドロップ式(連鎖式)、スター方式、リング方式といった適宜の接続形態を採用できる。また、無線通信(ワイヤレス通信)方式を採用してもよい。表示印刷装置(不図示)は、商品情報と各計量装置の識別番号を関連付けることで、商品を特定し、画面表示、紙媒体の発行、上位装置に対する販売実績情報の送信といった取引用データ出力に関する処理を行う。具体的には、各計量装置から識別番号が送信されることに起因して、紙媒体の発行処理等が実行されるが、このことについては、後述する。
【0011】
具体的な構造として、計量装置100は、計量部1、懸架部2、容器保持部3とから構成される。計量部1は、容器から排出される物品の重量を計測して、値段等を算出するものであり、そのための演算装置(不図示)や付随する表示部15や操作部16を備える電子秤である。懸架部2は、容器保持部3を吊り下げるために計量部1から吊架されるものであり、計量部1の台秤部14に被せる懸架用プレート21、懸架用プレート21から下方へ吊架される懸架柱22、容器保持部3からの鉛直方向の荷重を受ける梁部23を有する。容器保持部3は、販売物品の形態に適した各種容器の形状に応じて用意されるアタッチメント等の容器支持手段を介して、容器PTを適宜の態様で保持ないし支持するものである。
計量装置100は、図示されない構造骨格を介して、その全体が、前面パネルFP、背面パネルRP、左右の側面パネルや底面パネルから成るカバー体で覆われている。ただし、一部は、容器を交換する目的で、或いは、顧客が自身の物品充填容器を置くための目的で、開放されている。なお、図1(a)及び図2(a)の正面図において、容器PTの注ぎ口(内容物出口SP)を視認することができる。
計量装置100の全体、特に、計量部1がカバー体で覆われていることから、店舗等においてありがちな児童が台秤を押して遊ぶといった悪戯防止に有効に対処できる。
【0012】
図1及び図2において、略三角形状の4つの窓から視認できる箇所は、計量部1の計量機能を果たす台秤部14の載台の一部である。本実施形態において、計量部1から懸架部2が吊架される形態とされているが、秤は吊秤ではなく、物品を安定して保持できるように、台秤が使用されている。ただし、本発明から吊秤を排除するものではなく、物品の安定保持のための構造を用意して吊秤を用いることは可能である。
【0013】
図2からよく理解されるように、計量部1の計量機能を果たす台秤部14には、懸架部2の一部構成である懸架用プレート21が被せられており、懸架用プレート21からは4本の懸架柱22が吊架されている。ただし、吊架といっても、懸架用プレート21と4本の懸架柱22は適度な剛性をもって接続されているため、不用意に揺れ動くことがない。また、容器及び内容物の重心については、前後中心近傍に位置するようにされている。勿論、内容物が排出されることによって、重心位置は変化するものの、その変化による影響は、測定における許容誤差範囲内に収まるように設定されている。
左右二列について、前後に並んだ2本の懸架柱22の下端には、梁部23が架け渡されている。梁部23は、その中間位置において鉛直方向の荷重のみを受けるように、略ピン結合で容器保持部3を支持している。
これら、懸架用プレート21が台秤部14の載台に面としての拡がりを有して載置されている点、懸架柱22が適度な剛性を有している点、梁部23が鉛直方向荷重のみを受けるようにされている点等の構造的特徴から、台秤部14の載台への偏置荷重による測定誤差は極力排除されるようになっている。
【0014】
図2(a)及び図2(b)に示すように、本実施形態において、容器保持部3は、容器PTの注ぎ口(内容物出口SP)を下向きにしつつ、傾斜させた状態で、容器PTの背面及び容器PTの下面を、背面支持部31及び下面支持部32によって、支持している。本実施形態において、容器PTはポリタンク容器であり、注ぎ口(内容物出口SP)は回転させることによって開閉栓のできる通常の栓である。注ぎ口(内容物出口SP)は、容器保持部3からの支持とは別に、計量装置100の図示されない構造骨格の背面側部材から斜めに延びる板部材Bに設けられた出口支持手段4によって、注ぎ口(内容物出口SP)が装置正面に位置されるように支持されている。なお、図2(a)において、容器PTと内容物出口SPはチューブ状の部材で接続されているが、ポリタンクやペットボトルに対して首部が直接設けられる形態であってもよい。
【0015】
図3に示されるように、背面支持部31及び下面支持部32から成る容器保持部3は、普段は、蝶ナット33によって、懸架柱22に固定されており、起立させられた状態となっている。点線で示したように、蝶ナット33を外すと、図示されない背面側の適宜な壁部材に重量を預ける形で、容器保持部3は後方に倒れるようになる。計量装置100の内部に広く手が届くようになり、内容物が全て排出されて空となった場合等に、容器PTを交換する作業を行い易くすることを可能としている。
【0016】
(計量部の構成)
図4は、本発明の実施形態に係る計量装置における計量部1の構成を示す図であって、図4(a)が計量部の電気的構成を、図4(b)が計量部の外観を示している。
計量部1は、客による物品の取り出し前後における計量重量の減少分を当該客による物品の購入重量として算出する、いわゆる減算式質量計量装置により構成されている。計量部1は、顧客の操作(後述する操作部16の操作)に基づいて、ラベル(物品ラベル、商品ラベル、値付ラベルとも称する)の発行に用いられる情報(例えば、当該計量部1によって測定される質量から換算された購入重量(g等)、購入容量(ml等)や購入金額)を表示印刷装置(不図示)に送信する。固形物であれば、販売単位は重量とされるし、液体であれば、販売単位は容量が適することになるが、1カップといった単位での販売も可能である。
【0017】
計量部1は、図4(a)に示されているように、CPU11と、ROM12と、RAM13と、台秤部14と、表示部15と、操作部16と、通信部17とを備える。これらは、システムバスを介して互いに接続されている。
【0018】
CPU11は、ROM12に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、計量部1の動作を制御する。例えば、CPU11は、客による物品(容器PTに収容されている物品)の取り出し前後における計量重量の減少分を当該客による物品の購入重量として算出する。
【0019】
ROM12は、読み出し専用メモリであり、例えば、プログラムをはじめとしてCPU11が利用する種々の情報を記憶する。なお、プログラムには、後記する適正な計量操作を行うに資する実行手順も記憶されている。RAM13は、読み出し書き込みメモリであり、例えば、ROM12から読み出した情報、CPU11によって処理(演算、生成、更新等)された情報、上記処理においてCPU11によって参照される情報、通信部17を介して取得した情報、台秤部14によって得られた情報等種々の情報を記憶する。例えば、RAM13は、計量重量の減少分を算出するための基準重量(取引開始前における容器PTと容器PTに収容されている物品とを合わせた重量)や、容器PTに収容する物品の補充や容器PTに収容する物品の入れ替え等について報知するための警告重量や、通信部17を介して取得した物品の単価を記憶する。
【0020】
台秤部14は、載台の上に載せられた懸架用プレート21を介して、そこから吊架されている物品の重量を計量する。台秤部14は、圧縮型の重量検出方式で物品の重量を計量する。具体的には、圧縮型のロードセル等によって、容器PTと容器PTに収容されている物品とを合わせた重量を計量する。
【0021】
表示部15は、客に購入重量等を表示する。表示部15は、5つの表示器(表示器15a、表示器15b、表示器15c、表示器15d、表示器15e)から構成される。表示部15(表示器15a~表示器15e)は、例えば、液晶パネルであってもよい。
【0022】
表示器15aは、購入重量を表示する。なお、表示器15aは、容器保持部3から容器PTを取り外している状態等の計量重量が安定していない状態であるときには、表示準備中である旨の情報(例えば、破線「---」等)を表示してもよい。表示器15bは、物品(容器PTに収容されている物品)の単価を表示する。表示器15cは、購入重量分の物品の購入金額(購入価格、販売金額、販売価格)を表示する。なお、表示器15cは、容器保持部3から容器PTを取り外している状態等の計量重量が安定していない状態であるときには、表示準備中である旨の情報(例えば、破線「---」等)を表示してもよい。表示器15dは、計量重量を表示する。つまり、表示器15dは、容器PTと容器PTに収容されている物品とを合わせた重量を表示する。
【0023】
表示器15eは、当該計量部1の状態(ステータス)を表示する。例えば、表示器15eは、容器保持部3から容器PTを取り外している状態等の計量重量が安定していない状態であるときや、その後に、交換後の容器PTが取り付けられて計量重量が安定している状態であるときの別を、適宜のマークで表示する。
【0024】
操作部16は、顧客等の操作を受け付け、物品の購入に関する情報を入力する入力部として機能する。なお、本実施形態では、操作部16は、筐体に配置された1以上のハードボタン(押しボタン)であるが、操作可能に表示される1以上のソフトボタン(タッチボタン)であってもよい。つまり、表示部15及び操作部16は、客に購入重量等を表示したり、客の操作を受け付けたりするタッチパネルであってもよい。
また、表示部15と操作部16(入力部)とは、図4(b)に示されているように、客側に向けて配置される表示入力部を構成する。
【0025】
通信部17は、他の装置との間において情報を送受信する。例えば、通信部17は、操作部16の操作に基づいて、物品購入情報を図示されない表示印刷装置に送信する。
【0026】
計量部1は、計時部(計時機能)を備えてもよい。例えば、計量部1は、計時部により、現在時刻や、ある時間までの残時間や、ある状態となってからの経過時間を管理可能となるように構成してもよい。また、計量部1は、音声出力部を備えてもよい。例えば、計量部1は、状況に応じた音声(例えば、エラー音声や警告音声)を出力してもよい。また、計量部1は、人感センサを備えてもよい。例えば、計量部1は、人感センサにより、周囲に人が存在するか否かを判断してもよい。
【0027】
後記するとした、適正な計量操作を行うに資する実行手順を含む計量処理について説明する。実際に商品を購入する、すなわち、計量装置100によって、物品の計量を行う際の操作手順は、例えば、以下のようになる。
(1)操作者が、注ぎ口(内容物出口SP)の下に、自身の物品充填容器を用意して、開栓すると購入物品の液体が注がれ始める。
(2)計量部1のRAM13には、前の客が購入を終えた時の重量値が記憶されており、この値がスタート重量として利用される。液体が注がれている間、計量部1には、スタート重量から減少していく重量の情報が与えられることになる。スタート重量との差分から換算される購入重量ないし購入容量は、表示器15aに表示され、一方、表示器15cには購入金額が表示される。当然ながら、これらの数値は、次第に増加していく。購入重量(ないし購入容量)や購入金額を目安として、所望の内容物が充填されたと認識した操作者は、注ぎ口(内容物出口SP)を閉栓する。
(3)閉栓した後、操作者が、「確認」ボタンを押下すると、計量部1は、測定値が安定しているかを確認し、安定していなければ、安定するのを待ってから、少なくとも、当該計量装置の識別番号、重量(必要に応じて売価)を送信するための準備を行う。
(4)計量部1は、当該計量装置の識別番号と最終的に確定した重量(必要に応じて売価)を図示されない表示印刷装置に送信し、表示印刷装置は、それらの情報を画面に表示すると共に、情報が印字された紙媒体を印刷出力する。さらに、表示印刷装置が、上位装置に対して販売実績情報を送信するようにしてもよい。
なお、計量部1から重量のみを送信して、表示印刷装置側でマスタ情報中の単価情報から売価を算出するように構成してもよい。
上記工程(3)において、測定値が安定するのを待ってから、少なくとも重量値を記憶保持する処理がされている。上記工程(2)で説明したように、スタート重量として利用する他、記憶保持された重量値を、次のように有効に活用することができる。例えば、前の客が購入のための物品計量操作を終えて残総重量が確定したにもかかわらず、次の客が購入をする際に、意図した、しないにかかわらず、物品充填容器を注ぎ口に押し当てる等して、総重量が増加するようなことがあると、異常と判断する。総重量からの減少分を取引重量として出力するので、次回操作までに総重量が増加することは補充以外に想定できないから、そのような重量の増加は異常な値として検知し報知することができる。これら一連の処理がROM12に記憶されたプログラムによって実行される。
ここに示した手順は、飽くまで一例である。たとえば、物品充填容器を注ぎ口に押し当てないようにするための構造的な工夫を施したならば、購入開始時にスタート重量を設定・確定するように構成することも可能である。例えば、客が購入する意思を示すために、「購入」ボタンを押下すると、取引開始前における容器PTと容器PTに収容されている物品とを合わせた重量値をスタート重量として設定し、その後に、開栓するといった操作手順とすることが可能である。
【0028】
(他の実施形態)
図5は、本発明の別の実施形態に係る計量装置のカバーを外した状態での概観を示す図であって、図5(a)が正面図であり、図5(b)が右斜視図であり、図5(c)が背面図である。先に説明した実施形態は、ポリタンクやペットボトルなどの内容物が充填されているか否かに関わらず形状が変化しない容器であった。そのため、背面支持部31に加えて、容器PTの下面を下面支持部32によっても支えていた。これに対して、別の実施形態は、内容物が吐出されていくに従って容器の形状が変化するようなプラスチック容器を保持するのに適した構成とされている。
【0029】
図5において、略三角形状の4つの窓から視認できる箇所は、計量部1の計量機能を果たす台秤部14の載台の一部である。別の実施形態において、計量部1から懸架部2が吊架される形態とされていることは、先に説明した実施形態と同様である。秤は吊秤ではなく、物品を安定して保持できるように、台秤が使用されていることも先の実施形態と同様である。
【0030】
図5からよく理解されるように、計量部1の計量機能を果たす台秤部14には、懸架部2の一部構成である懸架用プレート21が被せられており、懸架用プレート21からは4本の懸架柱22が吊架されている。懸架用プレート21と4本の懸架柱22は適度な剛性をもって接続されているため、不用意に揺れ動くことがない。また、容器及び内容物の重心については、前後中心近傍に位置するようにされている。勿論、内容物が排出されることによって、重心位置は変化するものの、その変化による影響は、測定における許容誤差範囲となるように設定されている。
左右二列について、前後に並んだ2本の懸架柱22の下端には、梁部23が架け渡されている。梁部23は、その中間位置において鉛直方向の荷重のみを受けるように、略ピン結合で容器保持部3を支持している。
これら、懸架用プレート21が台秤部14の載台に面としての拡がりを有して載置されている点、懸架柱22が適度な剛性を有している点、梁部23が鉛直方向荷重のみを受けるようにされている点等の構造的特徴から、ロードセルへの偏置荷重による測定誤差は極力排除されるようになっている。
【0031】
図5(a)及び図5(b)に示すように、別の実施形態において、容器保持部3は、プラスチック保存容器VCの射出部EJを下向きにしつつ、傾斜させた状態で、プラスチック保存容器VCの背面を背面支持部31によって、支持している。ただし、先の本実施形態と異なり、下面を支持する下面支持部32はアタッチメント方式とされており、ここでは取り付けられていない。その代わりに、図5(c)に示されるように、別の実施形態では、プラスチック保存容器VCの上部を紐やロープ等で縛って固定し、紐等の先を上部で折り返して容器保持部3の背面側に回し込み、先端に接続した付勢手段34(図5(c)では、コイルバネ、すなわち、偏荷重バネが示されているが、引出した量により付勢力の変化しない定荷重バネを用いたり、簡易な紐で代用したりといったように、状況に応じて適切なものを選択することができる。)によって下方向に付勢することで、プラスチック保存容器VCを上部から吊り下げ支持するように構成されている。
プラスチック保存容器VCは、内容物が射出されるに従って、上下方向に伸びるように容器形状が変化するため、仮に、容器を下で支えてしまうと、内容物を最後まで出し切ることができなくなってしまい、無駄が生じてしまう。プラスチック保存容器VCを上部から吊り下げ支持することによって、内容物を最後まで無駄なく射出し終えることが可能となる。
ただし、プラスチック保存容器VCの吊り下げ支持の高さ位置を調整することによって、下面支持部31にプラスチック保存容器VCが触れないようにすれば、アタッチメント方式の下面支持部31を必ずしも取り外さずに、残置させたままとしておいても良い。こうすることで、射出部EJの位置合わせの目安とできるし、射出部EJがあらぬ方向に向いてしまう事態を防止する適宜の留め具等を、下面支持部31に設けることもできて、便利である。この留め具は、偏荷重バネを用いた場合に、空になるに従って上向きの力が大きくかかるようになる容器を、射出部EJを介して規制する機能も奏する。
【0032】
プラスチック保存容器VCの射出部EJは、容器保持部3からの支持とは別に、計量装置100の図示されない構造骨格の背面側部材から斜めに延びる板部材Bに設けられた出口支持手段4によって、射出部EJが装置正面に位置されるように、支持されている。図5(a)及び図5(b)において、プラスチック保存容器VCと射出部EJはチューブ状の部材で接続されている。プラスチック保存容器VCは、内容物が吐出されていくに従って容器の形状が変化するため、この構成は重要である。つまり、チューブ状部材は、容器形状が伸びる影響を、構造的に吸収できる。
【0033】
<実施形態の総括>
[技術分野]
本発明は、計量装置、特に、計量販売に適した計量装置に関する。
[背景技術]
購入する物品の重量を計量してその物品の単位重量当りの単価から値段を算出する電子秤が知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]実公平6-50740号公報
[発明の概要]
[発明が解決しようとする課題]
特許文献1に示したような従来の電子秤は、販売物品が置かれるスペースとは別に電子秤を設置するスペースも確保しなければならないことや、販売物品に応じた各種設定を行わなければならないこと等の問題がある。このことから、従来の電子秤については店舗側と顧客側双方に扱いづらい問題があり、なお改善の余地があった。
そこで、本発明は、このような事情に鑑みて、計量販売に適した使い勝手の良い計量装置を提供することを課題とする。
[課題を解決するための手段]
(1)以上説明したように、本実施形態の一態様は、計量部1と、前記計量部1から吊架される懸架部2と、前記懸架部2に接続され、容器を保持する容器保持部3と、を備えることを特徴とする計量装置100である。
【0034】
上記構成によれば、計量販売に適した使い勝手の良い計量装置を提供することが可能となる。
【0035】
(2)本実施形態の一態様は、(1)に記載の計量装置100において、前記容器保持部3は、容器を傾斜した状態で保持することを特徴とする。
【0036】
上記構成によれば、装置を大型化させない一方で、適度な重量バランスを維持することが可能となる。
【0037】
(3)本実施形態の一態様は、(1)に記載の計量装置100において、容器の内容物出口を支持する出口支持手段4を有し、前記出口支持手段4により、内容物出口が装置正面に位置されることを特徴とする。
【0038】
上記構成によれば、操作者が用意した容器への内容物の充填がし易く、また、内容物の吐出に応じて形状が変形する容器の場合であっても、常に同じ位置に容器の内容物出口が位置するため、便利である。
【0039】
(4)本実施形態の一態様は、(1)又は(2)に記載の計量装置100において、前記容器保持部3は、前記懸架部2に対して揺動可能であることを特徴とする。
【0040】
上記構成によれば、空になった容器の交換をし易い計量装置を提供できる。
【0041】
(5)本実施形態の一態様は、(1)又は(2)に記載の計量装置100において、前記計量部1は、減算式質量計量装置により構成されることを特徴とする。
【0042】
上記構成によれば、風袋引きが困難な液体の販売にも適した計量装置を提供できる。
【0043】
以上、本発明の実施形態に係る計量装置100について、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
例えば、実施形態において、計量部1は、圧縮型のロードセルが用いられていたが、両用型のロードセルを用いてもよい。また、ロードセル以外にも、電磁式質量検出器や音叉式質量検出器を用いても良い。さらに、台秤でなく、揺れに対しての対策を講じた上で、吊秤の形式としてもよい。
なお、実施形態として説明した醤油や酢、ワイン等の液体のみならず、白米や珈琲豆等の固形物の計量販売用の装置として用いることが可能であるし、その場合にも、プラスチック保存容器が使用できるものである。
また、容器保持部3の傾斜角度は、設置位置と交換位置の二段階位置を人の操作によって変更する態様であるが、多段階位置で角度変更ができるようにさせたり、さらには、動力によって自動的に角度変更させたりするように構成しても良い。例えば、容器内容物の残重量に応じて、傾斜がきつくなるように制御して、内容物の吐出が最後まで円滑に行われるように構成した態様なども、当然に本発明の技術的思想の範疇に属するものといえる。
【符号の説明】
【0044】
100 計量装置
1 計量部
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 台秤部
15 表示部
16 操作部
17 通信部
2 懸架部
21 懸架用プレート
22 懸架柱
23 梁部
3 容器保持部
31 背面支持部
32 下面支持部
33 蝶ナット
34 付勢手段
4 出口支持手段
FP 前面パネル
RP 背面パネル
B 板部材
PT 容器
SP 内容物出口
VC プラスチック保存容器
EJ 射出部
図1
図2
図3
図4
図5