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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033094
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】分注システム及び分注方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 4/00 20060101AFI20240306BHJP
   G01G 23/00 20060101ALI20240306BHJP
   G01G 17/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B01J4/00 104
G01G23/00 Z
G01G17/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136484
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石川 宏典
(72)【発明者】
【氏名】久保 祐治
(72)【発明者】
【氏名】川島 健太
(72)【発明者】
【氏名】岸 優輔
【テーマコード(参考)】
4G068
【Fターム(参考)】
4G068AA01
4G068AB11
4G068AC17
4G068AD47
4G068AE05
4G068AF40
(57)【要約】
【課題】揮発性液体の分注において、高精度の秤量を可能とした分注システム及び分注方法を提供する。
【解決手段】秤量面20Sに載置された秤量対象を秤量する秤量部20と、秤量面20Sに載置された容器3に揮発性液体Lを吐出する吐出部13と、秤量部20を支持する支持面2S1を備える支持台2と、支持面2S1に載置され、秤量部20及び容器3を覆う第1カバー30と、を備え、支持台2は、支持面2S1の下方に位置する空洞部2Bと、支持面2S1から空洞部2Bまで延びる連通孔2Cと、を備え、第1カバー30の内部が空洞部2Bの内部に連通孔2Cを介して繋がっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
秤量面を備え、前記秤量面に載置された秤量対象を秤量する秤量部と、
前記秤量面に載置された容器に揮発性を有した液体を吐出する吐出部と、
前記秤量部を支持する支持面を備える支持台と、
前記支持面に載置され、前記秤量部及び前記容器を覆う第1カバーと、を備え、
前記支持台は、前記支持面の下方に位置する空洞部と、前記支持面から前記空洞部まで延びる連通孔と、を備え、
前記第1カバーの内部が前記空洞部の内部に前記連通孔を介して繋がっている
分注システム。
【請求項2】
前記空洞部の内部において、前記支持面に沿う方向に気流を発生させる気流発生部を備える
請求項1に記載の分注システム。
【請求項3】
前記第1カバーは、前記第1カバーの上壁に位置する窓部と、前記窓部が開放された状態と前記窓部が閉塞された状態とを切り換え可能なシャッターと、を備える
請求項1または2に記載の分注システム。
【請求項4】
前記吐出部は、開放された状態の前記窓部を通じて、前記第1カバーの内外を移動可能に構成される
請求項3に記載の分注システム。
【請求項5】
前記第1カバーの内部において、前記秤量面を覆う第2カバーをさらに備え、
前記第2カバーは、前記秤量面に前記容器を載置可能な大きさの孔部を備える
請求項1または2に記載の分注システム。
【請求項6】
前記第1カバーの内部において、前記秤量面を覆う第2カバーをさらに備え、
前記第2カバーは、前記秤量面に前記容器を載置可能な大きさの孔部を備える
請求項3に記載の分注システム。
【請求項7】
前記第1カバーの内部において、前記秤量面を覆う第2カバーをさらに備え、
前記第2カバーは、前記秤量面に前記容器を載置可能な大きさの孔部を備える
請求項4に記載の分注システム。
【請求項8】
支持台が備える支持面に載置される秤量部及び第1カバーであって、前記第1カバーの内部に位置する前記秤量部が備える秤量面に容器を設置し、
前記支持台における前記支持面の下方に位置する空洞部であって、前記支持台が備える連通孔を介して前記第1カバーの内部と繋がった前記空洞部において、前記支持面に沿う方向に気流を発生させ、
前記容器に揮発性を有した液体を吐出し、
前記容器に吐出した前記液体を秤量する
分注方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注システム及び当該分注システムを用いた分注方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化学薬品を用いる研究開発では、有機溶剤などの人体に有害な物質を取り扱うことがあることから、研究員の保護や実験室環境汚染の防止のために局所排気設備を用いて実験が行われる。例えば、特許文献1には、実験台が備える天板の一部に凹部を設けるとともに、凹部の垂直壁に排気口を設けた局所排気装置付の実験台が記載されている。
【0003】
また、化学薬品の分注が必要な実験では、研究員の保護や作業性の観点から電気的な駆動による分注を行う分注システムを用いる場合がある。分注システムは、例えば、電動ピペットや分注した液体を秤量する電子天秤などを備える。分注システムを使用する場合では、通電による揮発性ガスの引火を予防するため、揮発性ガスの滞留を抑制するための気流環境の構築が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6-142529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、分注システムによって液体を分注する際には、その用途によっては高精度な秤量が必要となる場合がある。この場合、揮発性ガスの滞留を抑制するための気流が、分注装置における高精度の秤量を妨げるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための分注システムは、秤量面を備え、前記秤量面に載置された秤量対象を秤量する秤量部と、前記秤量面に載置された容器に揮発性を有した液体を吐出する吐出部と、前記秤量部を支持する支持面を備える支持台と、前記支持面に載置され、前記秤量部及び前記容器を覆う第1カバーと、を備え、前記支持台は、前記支持面の下方に位置する空洞部と、前記支持面から前記空洞部まで延びる連通孔と、を備え、前記第1カバーの内部が前記空洞部の内部に前記連通孔を介して繋がっている。
【0007】
上記課題を解決するための分注方法は、支持台が備える支持面に載置される秤量部及び第1カバーであって、前記第1カバーの内部に位置する前記秤量部が備える秤量面に容器を設置し、前記支持台における前記支持面の下方に位置する空洞部であって、前記支持台が備える連通孔を介して前記第1カバーの内部と繋がった前記空洞部の内部において、前記支持面に沿う方向に気流を発生させ、前記容器に揮発性を有した液体を吐出し、前記容器に吐出した前記液体を秤量する。
【0008】
上記構成もしくは上記方法によれば、第1カバーによって、秤量部の周囲に位置する空気の揺らぎを抑制できる。そして、支持台が備える連通孔によって、液体が揮発したガスを第1カバーの内部から排出できる。したがって、第1カバーの内部において、液体が揮発したガスの滞留を抑制しつつ、高精度の秤量が可能となる。
【0009】
上記分注システムにおいて、前記空洞部の内部において、前記支持面に沿う方向に気流を発生させる気流発生部を備えてもよい。上記構成によれば、気流発生部が発生させる気流によって、第1カバーの内部から空洞部に排出されたガスを、空洞部から好適に排出できる。したがって、空洞部のうち連通孔の近傍の位置にガスが滞留することを抑制できる。結果として、第1カバーの内部に位置するガスと、空洞部に位置する空気との交換が積極的に行われることから、第1カバーの内部におけるガスの滞留を好適に抑制できる。
【0010】
上記分注システムにおいて、前記第1カバーは、前記第1カバーの上壁に位置する窓部と、前記窓部が開放された状態と前記窓部が閉塞された状態とを切り換え可能なシャッターと、を備えてもよい。上記構成によれば、例えば、秤量の前後に窓部を開放することで、第1カバー内の空気を窓部から換気できる。したがって、蒸気比重が1より小さい第1カバー内の気体を上方から排出できる。
【0011】
上記分注システムにおいて、前記吐出部は、開放された状態の前記窓部を通じて、前記第1カバーの内外を移動可能に構成されてもよい。上記構成によれば、例えば、液体を容器に吐出した後には、吐出部を第1カバーの外部に移動できるため、液体が揮発したガスに吐出部が曝される時間を短くできる。これにより、液体が揮発したガスによる吐出部の汚染を抑制できる。
【0012】
上記分注システムにおいて、前記第1カバーの内部において、前記秤量面を覆う第2カバーをさらに備え、前記第2カバーは、前記秤量面に前記容器を載置可能な大きさの孔部を備えてもよい。上記構成によれば、秤量面を第2カバーによって覆うことで、液体が揮発したガスが秤量面上で滞留することを抑制できる。これにより、ガスによる秤量部の汚染を抑制できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、揮発性液体の分注において、高精度の秤量を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1実施形態の分注システムを模式的に示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の分注システムを模式的に示す側面図である。
図3図3は、支持台が空洞部及び連通孔を備えていない場合の側面図である。
図4図4は、第1カバーを備えていない場合の側面図である。
図5図5は、第1実施形態の分注システムの変更例を示す斜視図である。
図6図6は、第2実施形態の分注システムを模式的に示す斜視図である。
図7図7は、第2実施形態の分注システムにおいて、貯蔵タンクから揮発性液体を吸引する状態を表す側面図である。
図8図8は、第2実施形態の分注システムにおいて、揮発性液体を容器に吐出する状態を表す側面図である。
図9図9は、第2実施形態の分注システムの変更例を示す斜視図である。
図10図10は、第2実施形態の分注システムの変更例を示す斜視図である。
図11図11は、第3実施形態の分注システムを模式的に示す斜視図である。
図12図12は、第3実施形態の分注システムを模式的に示す側面図である。
図13図13は、第4実施形態の分注システムを模式的に示す斜視図である。
図14図14は、第4実施形態の分注システムの変更例を示す側面図である。
図15図15は、第4実施形態の分注システムの変更例を示す側面図である。
図16図16は、第5実施形態の分注システムを模式的に示す斜視図である。
図17図17は、第5実施形態の分注システムを模式的に示す側面図である。
図18図18は、各実施例及び各比較例の構成及び評価結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1実施形態の分注システム]
以下、分注システムの第1実施形態について図1図5を参照して説明する。なお、各実施形態の分注システムは、一例として、研究開発における実験のなかで揮発性の液体を分注するために用いられる。
【0016】
図1に示すように、第1実施形態の分注システム1Aは、支持台2、吐出装置10、秤量部20、及び第1カバー30を備える。支持台2は、一例として、矩形状を有する。支持台2は、上方に面する支持面2S1を備える。第1カバー30は、支持面2S1上に配置される。吐出装置10及び秤量部20は、第1カバー30の内部に位置する。
【0017】
分注システム1Aでは、第1カバー30の内部において、秤量部20上に容器3が配置される。吐出装置10は、容器3に揮発性液体Lを吐出する。秤量部20は、容器3に吐出された揮発性液体Lを秤量する。
【0018】
分注システム1Aにおいて分注される揮発性液体Lは、例えば、有機溶媒である。なお、揮発性液体Lは、複数の種類の液体が混合されて構成されてもよい。揮発性液体Lは、一例として、気体の状態で蒸気比重が1より大きい成分を1種類以上含む。揮発性液体Lは、例えば、エタノール、メタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルからなる群から選択される少なくとも1種である。
【0019】
吐出装置10は、本体部11と、スライダ12と、吐出部13とを備える。本体部11は、揮発性液体Lを保持するための内蔵タンクを備える。スライダ12は、本体部11に対して上下方向(一次元方向)に移動可能な状態で取り付けられる。吐出部13は、スライダ12の下端に取り付けられる。吐出部13は、スライダ12が本体部11に対して上下方向に移動することで、容器3に対して上下方向に移動する。スライダ12を駆動するモータは、吐出部13を容器3に対して移動させる吐出部移動機構の一例であって、制御装置100によってその動作が制御される。吐出部13は、電動のピペットやディスペンサ、シリンジポンプである。吐出部13は、内蔵タンクに充填された揮発性液体Lを容器3に吐出する。吐出装置10において、吐出部13の動作を電気的に制御することで、揮発性液体Lの吐出量が制御される。
【0020】
秤量部20は、例えば、電子天秤である。秤量部20は、秤量対象を載置する秤量面20Sを備える。秤量部20は、秤量面20Sに載置された秤量対象を秤量する。秤量面20Sには、容器3が載置される。秤量部20は、秤量面20Sに空の容器3が載置された状態を基準として、吐出装置10から揮発性液体Lが吐出された状態の容器3の重量を測定することで、揮発性液体Lの吐出量を秤量する。容器3は、例えば、上部に開口を有したビーカー、瓶、またはボトルなどである。容器3は、ガラス製であってもよいし、樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。
【0021】
吐出装置10及び秤量部20は、例えば、制御装置100に接続される。制御装置100は、秤量部20の測定値を受信するとともに、吐出装置10の各部の動作を制御する。制御装置100は、例えば、制御部と、記憶部とを備える。制御部は、吐出装置10の各部の動作を制御する。制御部は、例えば、秤量部20の測定値に応じて、吐出装置10の各部の動作を制御する。制御部は、一例として、CPUである。記憶部は、一例として、吐出装置10の各部の動作を制御するためのプログラムを記憶する。記憶部は、一例として、HDDである。
【0022】
第1カバー30は、一例として、中空の直方体状を有する。第1カバー30は、吐出装置10及び秤量部20を覆う。第1カバー30は、ガラスや樹脂などで構成される。第1カバー30は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよいし、不透明であってもよい。
【0023】
第1カバー30は、底壁31を有する。底壁31には、吐出装置10及び秤量部20が配置される。なお、第1カバー30は、底壁31が割愛されてもよい。底壁31が割愛される場合、第1カバー30は、支持面2S1上に配置された吐出装置10及び秤量部20を覆うように配置される。
【0024】
第1カバー30は、吐出装置10及び秤量部20の周囲を四方から囲む4つの側壁32を備える。第1カバー30は、吐出装置10及び秤量部20の上方に位置する上壁33を備える。なお、第1カバー30は、第1カバー30を構成する側壁32もしくは上壁33の一部が開閉可能に構成された開閉部を備えてもよい。
【0025】
第1カバー30が秤量部20を覆うことで、秤量部20の周囲における空気の揺らぎを抑制した状態で秤量を行うことができる。したがって、秤量部20で精密に値を測る場合に、外部環境における僅かな空気の揺らぎなどによって、秤量部20による測定値のばらつきや、秤量部20による測定ができなくなるといった不具合を防ぐことができる。
【0026】
支持台2は、4つの側面2S2と、開口2Aと、空洞部2Bとを備える。開口2Aは、一例として、各側面2S2に1つずつ位置する。空洞部2Bは、支持台2の内部に位置する空間であって、支持面2S1の下方に位置する空間である。空洞部2Bは、各側面2S2に位置する開口2A同士を繋ぐ1つの空間である。空洞部2Bは、少なくとも秤量部20の下方及びその周囲に位置する部分を含む。
【0027】
支持台2は、支持面2S1から空洞部2Bまで延びる連通孔2Cを備える。図1では、連通孔2Cが設けられる部分にドットを付す。連通孔2Cは、1つでもよいし、複数でもよいが、支持面2S1のうち秤量部20を支持する部分の周囲に少なくとも一部が位置する。また、連通孔2Cは、支持面2S1のうち第1カバー30の外周よりも内側に位置することが好ましいが、第1カバー30の外周と同じ位置、もしくは、第1カバー30の外周よりも外側に位置する部分があってもよい。連通孔2Cは、例えば、支持面2S1が網目状に構成された部分の孔部でもよいし、支持面2S1が格子状に構成された部分の孔部でもよい。なお、支持面2S1のうち秤量部20を支持する部分には、連通孔2Cが位置してもよいし、連通孔2Cが位置していなくてもよい。
【0028】
例えば、連通孔2Cは、グレーチングによって構成される。グレーチングは、所定の1方向に間欠的に並ぶリブを備える。もしくは、グレーチングが備えるリブが格子状であってもよい。この場合、連通孔2Cは、リブによって区画される孔部である。また、リブは、支持台2の支持面2S1の一部を構成する。
【0029】
図2に示すように、第1カバー30の底壁31は、換気口31Aを備える。換気口31Aは、例えば、底壁31のうち秤量部20が載置されておらず、かつ、連通孔2Cと上下に重なる位置に設けられる。第1カバー30の内部は、換気口31A及び連通孔2Cを介して空洞部2Bの内部に繋がっている。なお、図2では、支持台2の内部構造を模式的に示している。また、第1カバー30が底壁31を備えない場合、第1カバー30の内部の空間と空洞部2Bの内部とが連通孔2Cを介して繋がる。
【0030】
揮発性液体Lは、常温、常圧の環境下において、揮発してガスGに変化する。ガスGは、容器3内に充満するとともに容器3から溢れる。このとき、ガスGの蒸気比重が1よりも大きいことから、容器3から溢れたガスGは、第1カバー30の内部において、下方に向かって流れる。そして、ガスGは、秤量部20の周囲に配置された連通孔2Cを介して、空洞部2B内の空気と入れ替わるようにして、空洞部2Bに排出される。したがって、第1カバー30の内部において、第1カバー30の内部にガスGが滞留することなく、高精度の秤量を行いながら分注を行うことができる。
【0031】
支持面2S1のうち連通孔2Cを含む部分の開口率は、一例として、30%以上85%以下である。ここでの開口率とは、支持面2S1のうち秤量部20の外周から周囲10cmの範囲において、単位面積あたりに含まれる「連通孔2Cの面積」を、単位面積あたりに含まれる「連通孔2Cの面積」と「支持面2S1」との和で除した値である。開口率を30%以上とすることで、第1カバー30内で発生したガスGを好適に空洞部2Bに排出できる。開口率を85%以下とすることで、支持面2S1のうち秤量部20を支持する部分の強度が過剰に低下することを抑制できる。
【0032】
分注システム1Aは、気流発生部40を備える。気流発生部40は、一例として、支持台2が備える1つの開口2Aから空洞部2Bの内部の空気を吸引することで、空洞部2Bの内部に気流Aを発生させる。このとき、気流発生部40が配置されている開口2Aは、排気口として機能する。また、気流発生部40が配置されていない開口2Aは、給気口として機能する。これにより、第1カバー30の内部から空洞部2Bに向かって流れたガスGを気流Aによって外部に排出できる。
【0033】
したがって、空洞部2Bに気流Aを発生させることで、例えば、連続的な分注などによって多くのガスGが発生する場合に、空洞部2Bのうち連通孔2Cの近傍の位置にガスGが滞留することを抑制できる。結果として、第1カバー30の内部に位置するガスGと、空洞部2Bに位置する空気との交換が積極的に行われることから、第1カバー30の内部におけるガスGの滞留を好適に抑制できる。また、気流Aは、第1カバー30の内部を通過しないため、秤量部20の周囲の空気の揺らぎを抑制した状態で秤量を行うことができる。なお、気流Aは、ガスGの揮発が過剰に促進されない程度、かつ、ガスGが滞留しない程度の流速である。
【0034】
支持台2は、厚さ方向の大きさが、支持面2S1の各辺よりも小さい偏平な形状を有する。そのため、気流発生部40は、空洞部2Bにおいて、支持面2S1に沿う方向、すなわち水平方向に気流Aを発生させることが好ましい。これにより、気流Aが流れる際の流路断面積が小さくなるため、所望の流速を達成するために必要な気流発生部40の出力を小さくすることができる。空洞部2Bにおいて、気流Aが進む方向と直交する流路断面積は、例えば、10000mm以上40000mm以下である。
【0035】
例えば、空洞部2Bを流れる気流Aの影響で第1カバー30内の空気が乱れることに伴って、秤量部20の測定値にばらつきが生じることを抑制する観点から、連通孔2Cの深さが1mm以上であることが好ましい。なお、連通孔2Cの深さは、支持面2S1から空洞部2Bまでの距離に相当する。また、連通孔2Cの深さを10mm以下とすれば、支持台2の大型化を抑制できる。
【0036】
ここで、図3を参照して、分注システム1Aが第1カバー30を備える一方で、支持台2が空洞部2B及び連通孔2Cを備えない場合について説明する。この場合、第1カバー30があることで、外部環境における僅かな空気の揺らぎなどによる秤量部20による測定値のばらつきや、秤量部20による測定ができなくなるといった不具合を防ぐことができる。一方、揮発性液体Lから発生したガスGが第1カバー30内で滞留してしまう。
【0037】
また、図4を参照して、分注システム1Aが第1カバー30を備えず、かつ、支持台2が空洞部2B及び連通孔2Cを備えない場合について説明する。この場合、揮発性液体Lから発生したガスGが第1カバー30内で滞留することがないものの、外部環境における僅かな空気の揺らぎなどによって、秤量部20による測定値のばらつきや、秤量部20による測定ができなくなるといった不具合が発生する。この不具合は、秤量部20で行う測定が精密であるほど、より発生し易くなる。
【0038】
この点、分注システム1Aでは、第1カバー30によって、秤量部20の周囲に位置する空気の揺らぎを抑制しつつ、支持台2が備える連通孔2Cによって、揮発性液体Lが揮発したガスGを第1カバー30の内部から排出できる。
【0039】
[第1実施形態の分注方法]
分注システム1Aを用いた分注方法は、まず、第1カバー30の内部において、秤量面20S上に容器3を設置する。容器3の設置は、例えば、第1カバー30が備える開閉部を通じて行われる。そして、気流発生部40によって気流Aを発生させる。なお、容器3を設置する前から気流発生部40によって気流Aを発生させてもよい。
【0040】
その後、制御装置100は、待機時間が経過した後に、吐出装置10を駆動して分注を開始する。待機時間は、容器3の設置や第1カバー30が備える開閉部の開閉に伴う秤量部20の周囲に位置する空気の揺らぎによる秤量部20の測定値の揺らぎが収まるために必要な時間である。待機時間は、例えば、第1カバー30が備える開閉部が閉じられたときから起算して、5秒以上10秒以下の範囲から選択される一定の時間である。もしくは、待機時間は、例えば、第1カバー30が備える開閉部が閉じられたときから起算して、秤量部20の測定値が揺らぐ範囲が所定の範囲内に収まることを制御装置100が検知するまでの時間である。
【0041】
なお、制御装置100は、分注を開始する際に、気流発生部40が作動しているか否かを判定したうえで、気流発生部40が作動していることを条件として分注を開始させてもよい。これにより、気流発生部40が作動していない状態で意図せず分注が開始されることを防止できる。また、制御装置100は、分注を開始する際に、第1カバー30が備える開閉部が閉じられているか否かを判定したうえで、第1カバー30が備える開閉部が閉じられていることを条件として分注を開始させてもよい。これにより、分注が開始された後に、秤量部20の周囲に位置する空気の揺らぎによって秤量部20の測定値がばらつくことを防止できる。
【0042】
待機時間が経過した後、吐出装置10は、スライダ12を駆動して吐出部13を容器3に近づけた状態で、秤量部20によって容器3の揮発性液体Lを測定しながら、所望の量の揮発性液体Lが容器3内に溜まるまで容器3に揮発性液体Lを吐出する。例えば、秤量部20の測定値が所望量に達するまで、吐出部13から揮発性液体Lを吐出するように、制御装置100によって吐出部13を駆動する。このとき、容器3に吐出された揮発性液体Lの一部が揮発してガスGに変化する。ガスGは、連通孔2Cを介して空洞部2Bに排出される。そして、空洞部2Bに位置するガスGは、気流Aによって外部に排出される。
【0043】
その後、スライダ12を駆動して吐出部13を容器3に遠ざける。以上の手順により、揮発性液体Lの分注が完了する。揮発性液体Lが分注された容器3は、例えば、第1カバー30が備える開閉部を通じて取り出される。
【0044】
[第1実施形態の効果]
上記第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1-1)第1カバー30によって、秤量部20の周囲に位置する空気の揺らぎを抑制できる。そして、支持台2が備える連通孔2Cによって、揮発性液体Lが揮発したガスGを第1カバー30の内部から排出できる。したがって、ガスGの滞留を抑制しつつ高精度の秤量が可能となる。
【0045】
(1-2)気流発生部40が発生させる気流Aによって、第1カバー30の内部から空洞部2Bに排出されたガスGを、空洞部2Bから好適に排出できる。したがって、空洞部2Bのうち連通孔2Cの近傍の位置にガスGが滞留することを抑制できる。結果として、第1カバー30の内部に位置するガスGと、空洞部2Bに位置する空気との交換が積極的に行われることから、第1カバー30の内部におけるガスGの滞留を好適に抑制できる。
【0046】
[第1実施形態の変更例]
なお、上記第1実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・第1カバー30の内部に、複数の吐出装置10と、複数の秤量部20とを備えてもよい。この場合、各秤量部20の秤量面20Sに容器3を設置して、各容器3に対して揮発性液体Lを並行して分注してもよい。
【0047】
・吐出部13は、スライダ12に対して電動で移動するのではなく、準備の段階で予め所定の位置に手動で移動されてもよい。また、吐出装置10は、スライダ12を備えなくてもよい。この場合、吐出部13は、本体部11に対して所定の位置に固定される。
【0048】
図5に示すように、分注システム1Aは、吐出装置10の本体部11が内蔵タンクを備えるのではなく、吐出装置10とは別に貯蔵タンク4を備えてもよい。貯蔵タンク4は、例えば、ビーカー、瓶、または、ボトルである。貯蔵タンク4は、一例として、第1カバー30の内部に位置するが、第1カバー30の外部に位置してもよい。貯蔵タンク4は、揮発性液体Lを保持するとともに、搬送パイプ4Aを介して吐出装置10に揮発性液体Lを供給する。貯蔵タンク4は、揮発性液体Lの揮発を防止する観点から、気密に構成されていることが好ましい。貯蔵タンク4は、ステージSに配置されてもよいし、底壁31に配置されてもよい。
【0049】
[第2実施形態の分注システム]
以下、分注システムの第2実施形態について図6図10を参照して説明する。
図6に示すように、第2実施形態の分注システム1Bは、第1実施形態の吐出装置10とは異なる吐出装置50を備える。吐出装置50の動作は、吐出装置10と同様に制御装置100によって制御される。
【0050】
分注システム1Bでは、第1カバー30の内部に貯蔵タンク4が配置される。貯蔵タンク4は、例えば、第1カバー30の内部に配置されたステージS上に載置される。ステージSは、例えば、秤量面20Sと同じ程度の高さになるように構成される。貯蔵タンク4は、上部に開口を有した有底筒状を有する。貯蔵タンク4は、揮発性液体Lを保持する。なお、分注システム1Bにおいて、上記以外の部分については、第1実施形態の分注システム1Aと同様の構成を有する。
【0051】
吐出装置50は、2つの支柱51と、レール部52と、スライダ53と、吐出部54とを備える。2つの支柱51は、第1カバー30の外部において、支持台2に固定される。2つの支柱51は、上下方向に延びる。レール部52は、第1カバー30の側壁32を貫通するとともに、2つの支柱51の上端近傍を繋ぐ。
【0052】
スライダ53は、レール部52に吊り下げ支持される。スライダ53は、例えば、モータ駆動によって、レール部52に対して上下方向、及び水平方向のそれぞれに移動可能に構成される。スライダ53が水平移動する際の移動経路は、レール部52の配置によって決定されればよく、例えば、一次元方向であってもよいし、二次元方向であってもよい。
【0053】
吐出部54は、スライダ53の先端に設けられる。吐出部54は、レール部52に対するスライダ53の移動によって、二次元方向または三次元方向に移動する。換言すると、レール部52、及びレール部52に対してスライダ53を駆動するモータは、吐出部移動機構の一例である。吐出部54は、吐出部13と同様に電動のピペットやディスペンサである。吐出部54は、貯蔵タンク4内の揮発性液体Lを吸引する。吐出部54は、吸引した揮発性液体Lを容器3に吐出する。
【0054】
[第2実施形態の分注方法]
図7に示すように、第2実施形態の分注システム1Bを用いた分注方法は、まず、第1カバー30の内部において、秤量面20S上に空の容器3を設置する。さらに、ステージS上に貯蔵タンク4を設置する。容器3及び貯蔵タンク4の設置は、例えば、第1カバー30が備える開閉部を通じて行われる。このとき、貯蔵タンク4の内部の揮発性液体Lは、揮発してガスGに変化する。ガスGは、貯蔵タンク4内に充満するとともに貯蔵タンク4から溢れる。ガスGの蒸気比重が1よりも大きいことから、貯蔵タンク4から溢れたガスGは、連通孔2Cを介して空洞部2Bに排出される。そして、空洞部2Bに位置するガスGは、気流Aによって外部に排出される。
【0055】
次いで、気流発生部40によって気流Aを発生させることで、第1カバー30の内部のガスGを第1カバー30の外部に排出する。なお、容器3及び貯蔵タンク4を設置する前から気流発生部40によって気流Aを発生させてもよい。
【0056】
そして、レール部52に沿ってスライダ53を貯蔵タンク4の上方に移動させた後、吐出部54が貯蔵タンク4内の揮発性液体Lと接する位置までスライダ53を下方に移動させる。その後、吐出部54によって必要量の揮発性液体Lを吸引した後、再びスライダ53を上方に移動させる。
【0057】
図8に示すように、続いて、レール部52に沿ってスライダ53を容器3の上方に移動させた後、スライダ53を下方に移動させることで容器3と吐出部54とを近づける。その後、吐出部54は、秤量部20によって容器3の揮発性液体Lを測定しながら、所望の量の揮発性液体Lが容器3内に溜まるまで、吸引した揮発性液体Lを吐出する。最後に、再びスライダ53を上方に移動させる。以上の手順により、揮発性液体Lの分注が完了する。揮発性液体Lが分注された容器3は、例えば、第1カバー30が備える開閉部を通じて取り出される。なお、図7図8では、支持台2の内部構造を模式的に示している。
【0058】
制御装置100は、第1実施形態と同様に、待機時間が経過した後に吐出装置10を駆動して容器3への揮発性液体Lの吐出を開始させてもよい。また、制御装置100は、気流発生部40が作動しているか否かを判定したうえで、気流発生部40が作動していることを条件として、貯蔵タンク4内の揮発性液体Lを吸引する動作を開始させてもよい。また、制御装置100は、第1カバー30が備える開閉部が閉じられているか否かを判定したうえで、第1カバー30が備える開閉部が閉じられていることを条件として、貯蔵タンク4内の揮発性液体Lを吸引する動作を開始させてもよい。
【0059】
[第2実施形態の効果]
上記第2実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(2-1)第2実施形態の分注システム1Bは、吐出部54を上下方向及び水平方向の少なくとも二次元方向に移動するための吐出部移動機構を備える。これにより、吐出部54によって貯蔵タンク4から揮発性液体Lを吸引した後、吐出部54を移動させて容器3に揮発性液体Lを吐出するような動作が可能となる。また、分注システム1Bにおいても、上記(1-1),(1-2)に準じた効果を得ることができる。
【0060】
[第2実施形態の変更例]
なお、上記第2実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
図9に示すように、吐出装置50は、その全体が第1カバー30の内部に位置していてもよい。このような構成であれば、レール部52が第1カバー30を貫通する必要がないため、第1カバー30の構成を簡素化できる。
【0061】
図9に示すように、第2実施形態の分注システム1Bは、複数の秤量部20を備えてもよい。この場合、各秤量部20に容器3を設置してもよい。このような構成であれば、吐出部54が貯蔵タンク4から揮発性液体Lを吸引した後、複数の容器3に揮発性液体Lを分注できる。また、第1カバー30の外部に貯蔵タンク4を配置したうえで、貯蔵タンク4から吐出部54に揮発性液体Lするための搬送チューブをレール部52及びスライダ53に沿って設けてもよい。この場合、吐出部54が貯蔵タンク4から揮発性液体Lを吸引する工程を省略しつつ、さらに、複数の容器3に揮発性液体Lを分注できる。
【0062】
・第2実施形態の分注システム1Bは、複数の貯蔵タンク4を備えてもよい。この場合、各貯蔵タンク4は、異なる種類の揮発性液体Lを保持してもよい。このような構成であれば、1つの容器3に複数種類の揮発性液体Lを混合した状態で分注できる。なお、第2実施形態の分注システム1Bが複数の容器3と複数の貯蔵タンク4とを備える構成であってもよい。この場合、例えば、各容器3に異なる種類の揮発性液体Lを分注することができる。
【0063】
図10に示すように、第2実施形態の分注システム1Bは、吐出装置50に代えて、アーム部61を有した吐出装置60を備えてもよい。アーム部61の先端には、吐出部62が設けられる。アーム部61は、吐出部62が貯蔵タンク4から揮発性液体Lを吸引した後に、吐出部62が容器3に揮発性液体Lを吐出できるように、三次元方向に移動可能に構成される。アーム部61は、吐出部移動機構の一例である。吐出装置60の動作は、吐出装置50と同様に制御装置100によって制御される。このような構成であっても、上記(2-1)の効果を得ることができる。また、吐出部62が容器3に揮発性液体Lを吐出した後に、吐出部62の先端を容器3の内周面などに接触させることで、吐出部62の先端に残留した揮発性液体Lが予期せず落下することを防止することができる。これにより、秤量精度の更なる向上や吐出部62の移動間における揮発性液体Lの落下による装置内汚染を防ぐことができる。
【0064】
[第3実施形態の分注システム]
以下、分注システムの第3実施形態について図11図12を参照して説明する。
図11に示すように、第3実施形態の分注システム1Cは、第1実施形態と同様の吐出装置10、秤量部20、第1カバー30、及び気流発生部40を備える。分注システム1Cでは、第1カバー30の内部に位置するステージS上に容器3と貯蔵タンク4とが設置される。なお、第1実施形態と同様の構成についての説明は割愛する。
【0065】
分注システム1Cは、さらに、容器3を移動する容器搬送機構の一例である搬送装置70を備える。搬送装置70は、アーム部71と、アーム部71の先端に位置する保持部72とを備える。アーム部71は、三次元方向に移動可能に構成される。保持部72は、容器3を掴んで保持する動作、及び容器3の保持を解除する動作のそれぞれを電気的な制御によって実行する。搬送装置70は、保持部72が容器3を保持した状態で、アーム部71を駆動して保持部72を移動させた後、保持部72が容器3の保持を解除することで、容器3を移動させる。なお、保持部72は、容器3と同様に貯蔵タンク4を移動可能な構成とされる。搬送装置70の動作は、制御装置100によって制御される。
【0066】
[第3実施形態の分注方法]
図12に示すように、第3実施形態の分注システム1Cを用いた分注方法は、まず、第1カバー30の内部において、ステージS上に空の容器3と貯蔵タンク4とを設置する。容器3及び貯蔵タンク4の設置は、例えば、第1カバー30が備える開閉部を通じて行われる。次いで、気流発生部40によって気流Aを発生させる。なお、容器3及び貯蔵タンク4を設置する前から気流発生部40によって気流Aを発生させてもよい。そして、搬送装置70によって貯蔵タンク4を秤量面20Sに移動させた後、吐出装置10を駆動して吐出部13によって貯蔵タンク4内の揮発性液体Lを吸引する。その後、再び搬送装置70によって貯蔵タンク4をステージS上に移動させる。なお、貯蔵タンク4をステージSから移動させるのではなく、秤量面20Sに直接設置して揮発性液体Lを吸引した後、貯蔵タンク4をステージS上に移動させてもよい。
【0067】
続いて、搬送装置70によって空の容器3を秤量面20Sに移動させた後、吐出装置10を駆動して吐出部13から容器3に揮発性液体Lを吐出する。その後、再び搬送装置70によって揮発性液体Lを含む容器3をステージS上に移動させる。以上の手順により、揮発性液体Lの分注が完了する。揮発性液体Lが分注された容器3は、例えば、第1カバー30が備える開閉部を通じて取り出される。なお、予めステージS上に複数の容器3を設置したうえで、複数の容器3を秤量面20Sに順次設置して分注を行ってもよい。なお、図12では、支持台2の内部構造を模式的に示している。
【0068】
制御装置100は、第1実施形態と同様に、待機時間が経過した後に、吐出装置10を駆動して容器3への揮発性液体Lの吐出を開始させてもよい。また、制御装置100は、気流発生部40が作動しているか否かを判定したうえで、気流発生部40が作動していることを条件として、貯蔵タンク4内の揮発性液体Lを吸引する動作を開始させてもよい。また、制御装置100は、第1カバー30が備える開閉部が閉じられているか否かを判定したうえで、第1カバー30が備える開閉部が閉じられていることを条件として、貯蔵タンク4内の揮発性液体Lを吸引する動作を開始させてもよい。
【0069】
[第3実施形態の効果]
上記第3実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(3-1)第3実施形態の分注システム1Cが搬送装置70を備えることで、第1カバー30の内部において、容器3及び貯蔵タンク4を移動させることができる。また、分注システム1Cにおいても、上記(1-1),(1-2)に準じた効果を得ることができる。
【0070】
[第3実施形態の変更例]
なお、上記第3実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・第1カバー30の内部に貯蔵タンク4を設置する構成を例示したが、貯蔵タンク4に代えて吐出装置10の本体部11に揮発性液体Lを保持する内蔵タンクを設けてもよい。この場合、保持部72は、少なくとも容器3を保持できる構成であればよい。
【0071】
・第3実施形態の分注システム1Cは、第2実施形態の変更例と同様に、複数の容器3を備えてもよい。この場合、吐出部13が貯蔵タンク4から揮発性液体Lを吸引した後、複数の容器3に揮発性液体Lを分注できる。また、分注システム1Cは、複数の貯蔵タンク4を備えてもよい。この場合、各貯蔵タンク4は、異なる種類の揮発性液体Lを保持してもよい。このような構成であれば、1つの容器3に複数種類の揮発性液体Lを混合した状態で分注できる。なお、分注システム1Cが複数の容器3と複数の貯蔵タンク4とを備える構成であってもよい。この場合、例えば、各容器3に異なる種類の揮発性液体Lを分注することができる。
【0072】
[第4実施形態の分注システム]
以下、分注システムの第4実施形態について図13図15を参照して説明する。
図13に示すように、第4実施形態の分注システム1Dは、第2実施形態と同様の秤量部20、気流発生部40、及び吐出装置50を備える。分注システム1Dにおいて、第1カバー30は、第1カバー30の上壁33に位置する窓部35と、窓部35を塞ぐシャッター36とを備える。窓部35は、例えば、秤量面20Sの直上に位置する。窓部35は、スライダ53及び吐出部54が挿通可能な大きさを有する。シャッター36は、窓部35が開放された状態と窓部35が閉塞された状態とを切り換え可能に構成される。シャッター36による窓部35の開閉は、一例として、電動による一次元方向のスライドであるが、蝶番などを用いた回動でもよい。第1カバー30が窓部35とシャッター36とを備えることで、例えば、秤量の前後に窓部35を開放することで、第1カバー30内の空気を窓部35から換気できる。
【0073】
分注システム1Dでは、第1カバー30の内部に位置する秤量部20の秤量面20Sに容器3が設置される。分注システム1Dでは、第1カバー30の外部に位置するステージS上に貯蔵タンク4が設置される。分注システム1Dでは、吐出装置50は、開放された状態の窓部35を通じて、吐出部54が第1カバー30の内外を移動可能に構成される。なお、第2実施形態と同様の構成についての説明は割愛する。
【0074】
[第4実施形態の分注方法]
図14に示すように、第4実施形態の分注システム1Dを用いた分注方法は、まず、第1カバー30の内部において、秤量面20S上に空の容器3を設置する。容器3の設置は、例えば、第1カバー30が備える開閉部を通じて行われる。次いで、気流発生部40によって気流Aを発生させる。なお、容器3を設置する前から気流発生部40によって気流Aを発生させてもよい。そして、シャッター36を移動させて窓部35を開放した状態とされる。その状態で、スライダ53を駆動して貯蔵タンク4から揮発性液体Lを吸引した後、スライダ53及び吐出部54を窓部35から第1カバー30の内部に挿通する。続いて、吐出部54から容器3に揮発性液体Lを吐出する。その後、再びスライダ53を駆動してスライダ53及び吐出部54を窓部35から第1カバー30の外部に移動させる。最後に、シャッター36を移動させて窓部35を閉塞することで、揮発性液体Lの分注が完了する。なお、図14では、支持台2の内部構造を模式的に示している。
【0075】
ところで、窓部35を開放した状態では、窓部35から第1カバー30の内部に空気が流入することによって秤量部20の測定精度が低下する場合がある。この場合、吐出部54を揮発性液体Lの吐出後に窓部35から第1カバー30の外部に移動させた後、シャッター36によって窓部35を閉塞した状態で容器3に所望の揮発性液体Lが分注されたことを確認してもよい。この場合、シャッター36によって窓部35を閉塞してから、第1実施形態の待機時間と同等の時間が経過した後に、秤量部20の測定値を再度確認すればよい。また、第1カバー30の外部に位置する貯蔵タンク4内の揮発性液体Lから生じるガスGが滞留しないよう、第1カバー30の外部において、貯蔵タンク4の外周に連通孔2Cを設ける構成でもよい。
【0076】
なお、制御装置100は、気流発生部40が作動しているか否かを判定したうえで、気流発生部40が作動していることを条件として、容器3への揮発性液体Lの吐出する動作を開始させてもよい。また、制御装置100は、第1カバー30が備える開閉部が閉じられているか否かを判定したうえで、第1カバー30が備える開閉部が閉じられていることを条件として、貯蔵タンク4内の揮発性液体Lを吸引する動作を開始させてもよい。
【0077】
[第4実施形態の効果]
上記第4実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(4-1)第1カバー30が窓部35とシャッター36とを備えることで、秤量の前後における第1カバー30内の空気の換気を好適に行うことができる。そして、第1カバー30内に存在する蒸気比重が1より小さい気体を上方から排出できる。また、分注システム1Dにおいても、上記(1-1),(1-2)、及び(2-1)に準じた効果を得ることができる。
【0078】
(4-2)吐出部54が、開放された状態の窓部35を通じて第1カバー30の内外を移動可能に構成されることで、揮発性液体Lを容器3に吐出した後には、吐出部54を第1カバー30の外部に移動できる。これにより、揮発性液体Lが揮発したガスGに吐出部54が曝される時間を短くすることができる。これにより、ガスGによる吐出部54の汚染を抑制できる。
【0079】
[第4実施形態の変更例]
なお、上記第4実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・吐出部54が第1カバー30の外部に位置する貯蔵タンク4から揮発性液体Lを吸引する構成を例示したが、貯蔵タンク4から吐出部54に揮発性液体Lするための搬送チューブをレール部52及びスライダ53に沿って設けてもよい。この場合、吐出部54が貯蔵タンク4から揮発性液体Lを吸引する工程を省略できる。
【0080】
図15に示すように、第1カバー30は、複数の窓部35及び複数のシャッター36を備えてもよい。例えばステージS及び貯蔵タンク4を第1カバー30の内部に配置するとともに、貯蔵タンク4の上部にも窓部35及びシャッター36を設けている。このような構成の場合、貯蔵タンク4の上部に位置する窓部35から吐出部54を第1カバー30の内部に移動させることで、吐出部54によって貯蔵タンク4が保持する揮発性液体Lを吸引する。そして、容器3の上部に位置する窓部35から吐出部54を第1カバー30の内部に移動させることで、吐出部54によって容器3に揮発性液体Lを吐出する。このような構成であっても、(4-1)、(4-2)と同様の効果を得ることができる。なお、図15では、支持台2の内部構造を模式的に示している。
【0081】
・分注システム1Dにおいて、吐出装置50に代えて、第1カバー30の内部に配置された吐出装置10を用いてもよい。この場合、吐出装置10は、吐出部13が窓部35を通じて第1カバー30の内外を移動する構成を備えない。このような構成であっても、上記(4-1)の効果を得ることができる。
【0082】
・第4実施形態の分注システム1Dは、第2実施形態の変更例と同様に、複数の容器3を備えてもよい。この場合、吐出部54が貯蔵タンク4から揮発性液体Lを吸引した後、複数の容器3に揮発性液体Lを分注できる。また、分注システム1Dは、複数の貯蔵タンク4を備えてもよい。この場合、各貯蔵タンク4は、異なる種類の揮発性液体Lを保持してもよい。このような構成であれば、1つの容器3に複数種類の揮発性液体Lを混合した状態で分注できる。なお、分注システム1Dが複数の容器3と複数の貯蔵タンク4とを備える構成であってもよい。この場合、例えば、各容器3に異なる種類の揮発性液体Lを分注することができる。
【0083】
[第5実施形態の分注システム]
以下、分注システムの第5実施形態について図16図17を参照して説明する。
図16に示すように、第5実施形態の分注システム1Eは、第1実施形態と同様の吐出装置10、秤量部20、第1カバー30、及び、気流発生部40を備える。分注システム1Eは、さらに、第1カバー30の内部において、秤量部20を覆う第2カバー80を備える。
【0084】
第2カバー80は、秤量部20の側面を覆う側壁81と、秤量面20Sを覆う上壁82と、を備える。上壁82は、秤量面20Sよりも上方、かつ、容器3の上部に位置する開口よりも下方において、秤量面20Sと離間した状態で位置する。上壁82は、秤量面20Sに容器3を載置可能な大きさの貫通孔である孔部82Aを備える。容器3は、孔部82Aを通じて秤量面20Sに載置される。秤量面20Sは、容器3が載置される部分を空けて上壁82によって覆われる。
【0085】
連通孔2Cは、第1カバー30の外周よりも内側、かつ第2カバー80の外周よりも外側に少なくとも一部が位置する。連通孔2Cは、第1カバー30の外周よりも外側に位置する部分があってもよいし、第2カバー80の外周よりも内側に位置する部分があってもよい。
【0086】
図17に示すように、揮発性液体Lが揮発したガスGの比重が大きい場合、容器3から溢れたガスGは、下方に位置する秤量面20Sに向かって流れる。このとき、秤量面20Sを第2カバー80によって覆うことで、秤量面20S上でのガスGの滞留を抑制できる。これにより、秤量部20がガスGによって汚染されることを抑制できる。さらに、揮発性液体Lの飛沫や液滴、または、塵などの他の異物が秤量面20Sに付着することを抑制できる。加えて、ガスGが秤量面20S上に滞留することに伴って生じる秤量部20の測定結果のばらつきなどの秤量への悪影響を抑制できる。また、秤量部20は、第2カバー80によって秤量部20を側方及び上方から覆うことで、第1カバー30の内部で気流Aが生じさせる空気の揺らぎによる測定値のばらつきなどが生じにくくなる。なお、図17では、支持台2の内部構造を模式的に示している。
【0087】
[第5実施形態の効果]
上記第5実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(5-1)秤量面20Sを第2カバー80によって覆うことで、秤量部20がガスGによって汚染されることを抑制できる。さらに、揮発性液体Lの飛沫や液滴、または、塵などの他の異物が秤量面20Sに付着することを抑制できる。また、ガスGや気流Aが生じさせる空気の揺らぎに伴う秤量部20の秤量への悪影響を抑制できる。また、分注システム1Eにおいても、上記(1-1),(1-2)に準じた効果を得ることができる。
【0088】
[第5実施形態の変更例]
なお、上記第5実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・第5実施形態では、第1実施形態の分注システム1Aの構成に加えて、さらに、第2カバー80を備える構成を例示したが、第2~第4実施形態においても第2カバー80の構成は適用可能である。また、第1カバー30の内部に配置される電子機器に対しても、当該電子機器を覆うためのカバー部材を設けてもよい。
【0089】
・第2カバー80は、側壁81に代えて、上壁82を支持する複数の支持部を備えてもよい。このような構成であっても、上壁82によって秤量面20Sを覆うことで、秤量面20S上でのガスGの滞留を抑制できる。
【0090】
[第1~第5実施形態の変更例]
上記第1~第5実施形態は、以下のように変更して実施することができる。
・気流発生部40は割愛されてもよい。この場合でも、ガスGが連通孔2Cを介して空洞部2B内の空気と入れ替わるようにして空洞部2Bに排出されることから、第1カバー30の内部にガスGが滞留することを防止できる。
【0091】
・気流発生部40は、支持台2が備える1つの開口2Aから空洞部2Bの内部に空気を送り込むことで気流Aを発生させてもよい。このような構成でも、上記(1-1)、(1-2)と同様の効果を得ることができる。また、気流発生部40が空洞部2Bの内部に空気を送り込むことで、空洞部2Bの内部が陽圧になる。そのため、例えば、空洞部2B内の空気が吸引されて空洞部2Bの内部が陰圧になった場合よりも揮発性液体Lの揮発が相対的に抑制される。なお、空洞部2B内の空気が吸引されることによって、気流Aを生じさせる場合は、第1カバー30内の空気が積極的に排出される構成となることから、より確実にガスGを第1カバー30から排出できる。
【0092】
・気流発生部40は、支持台2と一体でもよいし、別体でもよい。また、支持台2が備える複数の側面2S2は、少なくとも空洞部2B内の空気を排気するための排気口として機能する開口2Aと、空洞部2B内に空気を給気するための給気口として機能する開口2Aとを備えていればよい。すなわち、開口2Aの数は限定されず、支持台2が備える複数の側面2S2の全てに開口2Aが設けられていなくてもよい。
【0093】
・支持台2は、矩形状でなくてもよく、例えば、上面視で円形状もしくは楕円形状を有した偏平な板体であってもよい。この場合、支持台2の側面は、少なくとも空洞部2B内の空気を排気するための排気口として機能する開口2Aと、空洞部2B内に空気を給気するための給気口として機能する開口2Aとを備えていればよい。なお、開口2Aの数は限定されない。
【0094】
・第1カバー30の大きさや形状は、直方体状に限定されず任意の形状でよい。例えば、第1カバー30は、中空の円筒状であってもよいし、半球状などのドーム状でもよい。
・揮発性液体Lは、ガスGの状態で蒸気比重が1以下の成分が含まれていてもよい。例えば、蒸気比重が1以下のガスGが、不活性もしくは不燃性である場合であれば引火や機器の劣化等が生じない。
【0095】
[実施例]
以下、図18を参照して、実施例及び比較例について説明する。なお、以下の実施例は、上記実施形態の効果を説明するための一例であって、本発明を限定するものではない。
【0096】
[実施例1]
実施例1では、支持台2上に秤量部20として精密電子天秤(製品名:MS304S、メトラー・トレド株式会社製)を設置した。また、秤量面20S上に容器3としてビーカーを設置した。そして、秤量部20及び容器3の前後、左右、上部を覆うようにアクリル板製の第1カバー30を設置した。第1カバー30の外形は、400×400×400(mm)とした。支持台2には、連通孔2Cを構成するグレーチングを設けた。グレーチングの開口率は、60%とした。連通孔2Cの深さを1mmとした。また、支持台2には、空洞部2Bを設けた。空洞部2Bを水平方向に直線状に延びる構成としたうえで、気流Aが進む方向と直交する流路断面積を100×350(mm)とした。この状態でビーカー内にドライアイス(蒸気比重:1.6g/cm)を入れた後、水を注ぐことで白色気体を発生させた。このときの白色気体の滞留の有無と、秤量部20で得られる測定値の振れ幅の大きさとを評価した。
【0097】
秤量部20の測定値の振れ幅は、振れ幅が0.02g未満で振れ幅小(○)、0.02以上で振れ幅大(×)の判定とした。白色気体の滞留の有無は、ドライアイスから発生した気体が秤量部20及び容器3の周囲から換気された場合を「○」と判定した。また、ドライアイスから発生した気体が秤量部20及び容器3の周囲に滞留した場合を「×」と判定した。実施例1~7及び比較例1~3の評価結果を表1に示す。
【0098】
[実施例2]
実施例2では、連通孔2Cを構成するグレーチングの開口率を85%とした。それ以外の条件を実施例1と同様にした上で、実施例1と同様に評価を行った。
【0099】
[実施例3]
実施例3では、連通孔2Cを構成するグレーチングの開口率を30%とした。それ以外の条件を実施例1と同様にした上で、実施例1と同様の評価を行った。
【0100】
[実施例4]
実施例4では、実施例1の構成に加えて、空洞部2B内に気流Aを発生させるための気流発生部40を設けた。気流Aの水平方向の流速を0.45m/Secとした。それ以外の条件を実施例1と同様にした上で、実施例1と同様の評価を行った。
【0101】
[実施例5]
実施例5では、実施例1の構成に加えて、空洞部2B内に気流Aを発生させるための気流発生部40を設けた。気流Aの水平方向の流速を0.9m/Secとした。それ以外の条件を実施例1と同様にした上で、実施例1と同様の評価を行った。
【0102】
[実施例6]
実施例6では、実施例1の構成から連通孔2Cを構成するグレーチングの開口率を85%としたうえで、さらに、空洞部2B内に気流Aを発生させるための気流発生部40を設けた。気流Aの水平方向の流速を0.9m/Secとした。それ以外の条件を実施例1と同様にした上で、実施例1と同様の評価を行った。
【0103】
[実施例7]
実施例7では、実施例1の構成から連通孔2Cを構成するグレーチングの開口率を30%としたうえで、さらに、空洞部2B内に気流Aを発生させるための気流発生部40を設けた。気流Aの水平方向の流速を0.9m/Secとした。それ以外の条件を実施例1と同様にした上で、実施例1と同様の評価を行った。
【0104】
[比較例1]
比較例1では、支持台2に空洞部2B及び連通孔2Cを設けなかった。それ以外の条件を実施例1と同様にした上で、実施例1と同様の評価を行った。
【0105】
[比較例2]
比較例2では、第1カバー30を設けずに、それ以外の条件を実施例1と同様にした上で、実施例1と同様の評価を行った。
【0106】
[比較例3]
比較例3では、第1カバー30を設けずに、気流発生部40で気流Aを発生させた。それ以外の条件を実施例1と同様にした上で、実施例1と同様の評価を行った。
【0107】
[評価]
図18に示すように、実施例1~7では、何れも、白色気体が連通孔2Cから排出されることで、白色気体の滞留が発生していなかった(○)。また、実施例1~3,7では、秤量部20の測定値の振れ幅は、0.002g程度であった(○)。実施例4では、秤量部20の測定値の振れ幅は、0.004g程度であった(○)。実施例5では、秤量部20の測定値の振れ幅は、0.008g程度であった(○)。実施例6では、秤量部20の測定値の振れ幅は、0.01g程度であった(○)。
【0108】
実施例1~7では、支持面2S1における連通孔2Cの開口率が大きくなるほど、白色気体が第1カバー30の内部から排出される速度が速くなることが確認された。一方で、支持面2S1における連通孔2Cの開口率が大きくなるほど、秤量部20の測定値の振れ幅が大きくなる傾向が確認された。また、気流発生部40の有無で比較すると、開口率が同じでも、気流発生部40を配置した場合の方が、白色気体が第1カバー30の内部から排出される速度が速くなることが確認された。そのため、連続的な分注の場合など、大量のガスGが発生する場合には、気流発生部40を設けることで、第1カバー30のガスGと空洞部2B内の空気とを効率的に置換できるといえる。
【0109】
これに対して、比較例1では、第1カバー30内で白色気体の滞留が発生した(×)が、秤量部20の測定値の振れ幅は、0.002g程度であった(○)。比較例2,3では、白色気体が連通孔2Cから排出されることで、白色気体の滞留が発生していなかった(○)が、秤量部20の測定値の振れ幅は、0.1g程度であった(×)。
【0110】
以上より、比較例1~3では滞留の発生もしくは秤量値の振れ幅の増大の何れかが発生した。したがって、第1カバー30と、空洞部2B及び連通孔2Cを備える支持台2とを用いた分注であれば、第1カバー30の内部にガスGが滞留することを防止しつつ、高精度の秤量を行うことができることが確認された。
【符号の説明】
【0111】
A…気流
G…ガス
L…揮発性液体
S…ステージ
1A,1B,1C,1D,1E…分注システム
2…支持台
2B…空洞部
2C…連通孔
2S1…支持面
3…容器
4…貯蔵タンク
10,50,60…吐出装置
13,54,62…吐出部
20…秤量部
20S…秤量面
30…第1カバー
35…窓部
36…シャッター
40…気流発生部
70…搬送装置
80…第2カバー
100…制御装置
図1
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