(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033105
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】パイプ、主パイプに分岐枝を形成する方法
(51)【国際特許分類】
F16L 41/02 20060101AFI20240306BHJP
F16L 41/10 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F16L41/02
F16L41/10
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136496
(22)【出願日】2022-08-30
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】521445247
【氏名又は名称】株式会社ラコワールド
(74)【代理人】
【識別番号】110002114
【氏名又は名称】弁理士法人河野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100128624
【弁理士】
【氏名又は名称】穂坂 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138483
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 晃一
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 利信
【テーマコード(参考)】
3H019
【Fターム(参考)】
3H019AA01
3H019AB01
3H019BA02
3H019BD03
3H019DA08
(57)【要約】
【課題】
主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝が備わるパイプであって、分岐枝が主パイプから立ち上がる部位にねじ切りに必要かつ充分な立ち上がりの高さ、肉厚を持つ分岐枝を得ることを課題とする。
【解決手段】
主パイプ10の側壁の分岐枝を形成する箇所に孔を穿つ。次に主パイプ10と金型20を密着させ、主パイプ10の内側にコマ40を配置させる。金型20は、コマを通す上下方向に貫く開口を備える。また金型20は、左右方向の壁22において、分岐枝が主パイプから立ち上がる形体と合うよう成型されている。コマ40が主パイプ10の内側から外側に向けて抜け出る過程で、主パイプ10の側壁のうち、側壁に穿った孔の周囲を構成する部位を変形させて、主パイプ10に分岐枝15が形成される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主パイプと、
主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝とを備え、
前記分岐枝は前記主パイプの側壁のうち前記側壁に穿った孔の周囲を構成する部位の変形により形成されたものであり、
前記変形はバーリング加工によるものであり、
前記変形は、前記分岐枝が前記主パイプから立ち上がる立ち上がり部位の形体と合うよう構成された金型に沿ってされたパイプ。
【請求項2】
前記分岐枝の内壁に雌ねじが形成されていることを特徴とする請求項1に記載のパイプ。
【請求項3】
前記主パイプの厚みが2.2mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のパイプ。
【請求項4】
前記雌ねじの内径が9mm以上であることを特徴とする請求講1から請求項3のいずれかに記載のパイプ。
【請求項5】
前記金型は、前記主パイプのほぼ全体を外から覆うことを特徴とする請求項1に記載のパイプ。
【請求項6】
主パイプと、主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝とを備え、
前記分岐枝は前記主パイプの側壁のうち前記側壁に穿った孔の周囲を構成する部位の変形により形成されたものであり、
前記分岐枝は、JIS規格R1/4、R3/8、R1/2、R3/4、又はR1のテーパネジのネジ切を施したパイプ。
【請求項7】
主パイプと、主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝とを備え、
前記分岐枝は前記主パイプの側壁のうち前記側壁に穿った孔の周囲を構成する部位の変形により形成されたものであり、
前記主パイプの厚みが2.2mm以上であるパイプ。
【請求項8】
主パイプに主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝を形成する方法であって、
側壁の前記分岐枝を形成する箇所に孔を穿った主パイプと、コマを通す上下方向に貫く開口を備えかつ左右方向の壁は分岐枝が主パイプから立ち上がる形体と合うよう成型された金型とを、主パイプの前記孔が前記金型の開口の中央に位置するように配置し、
主パイプの内側に配置したコマを、主パイプの孔から挿入し、金型の上方の開口を介してコマを金型の下方の開口に向けて移動させて金型の下方の開口から引き抜き、
主パイプの内側に配置されたコマが主パイプの壁に穿った孔の周囲の壁を金型との間で密着して挟みつつ主パイプの内側から主パイプの外側に向けて抜け出る過程で、主パイプの側壁のうち側壁に穿った孔の周囲を構成する部位を変形させて、主パイプに分岐枝を形成する方法。
【請求項9】
主パイプに主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝を形成する方法であって、
コマを通す軸方向に貫く貫通孔を備えかつ周方向の壁は分岐枝が主パイプから立ち上がる形体と合うよう成型された金型Aと、
主パイプの形体と合うよう成型された金型Bとの間に、
側壁の前記分岐枝を形成する箇所に孔を穿った主パイプを、
主パイプの前記孔が前記金型Aの前記貫通孔の中央に位置するように配置して密着嵌合し、
主パイプの内側に配置したコマを、金型Aの貫通孔の壁面に密着させつつ軸方向に移動させて前記パイプの外側に引き抜き、
主パイプの内側に配置されたコマが主パイプの壁に穿った孔の周囲の壁を金型Aとの間で密着して挟みつつ主パイプの内側から主パイプの外側に向けて抜け出る過程で、主パイプの側壁のうち側壁に穿った孔の周囲を構成する部位を変形させて、主パイプに分岐枝を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
内部を流体が流通するパイプであって、主パイプの壁面から周方向外方に向けて立ち上がる分岐用の「立ち上がり」を備えたパイプに関する。
【背景技術】
【0002】
内部に流体が流通するパイプにおいて、主パイプの壁面に分岐用の「立ち上がり」を設けることが必要になるケースが多々みられる。例えば、食品や医薬品等の生産工場で、主パイプを流れる流体を、次の工程のために複数に分岐させて流すケース等である。そのような工場の装置のみならず、例えば複数のシャワールームに湯を流すケースで、主パイプから分岐させて個々のシャワールームに湯を流す場合のような小規模な利用もある。主パイプの壁面から分岐用の「立ち上がり」を設けることが必要になるケースは、あらゆる分野でみられる。
【0003】
分岐用の「立ち上がり」には、分岐先の用途に応じて、例えば他のパイプを取り付けたり、シャワーヘッドを取り付けたり、立ち上がりを閉じるためのキャップを取り付けたり、といったように、様々な部品を取り付けるためのねじ部を設ける必要がある。
【0004】
従来、「立ち上がり」を設けるための手段として、
図10に示すとおり、主パイプ100に差込孔101を穿ち、差込孔101にねじパイプ102を差し込んで溶接する手段が用いられている。この手段による場合、溶接の熱によって主パイプにひずみが生じるため、溶接後にひずみを是正する作業が必要であった。また熱による変色を取り去る作業も必要であった。これらの工程のための費用が加算されるため、立ち上がりを備えたパイプは高額とならざるを得なかった。さらに、溶接による場合、主パイプ100の内部に突出するねじパイプ102の足や溶接部位に残る溶接の凹凸が、流体物の流通に抵抗を生ぜしめる、溶接部位に汚れがたまる、といった問題もあった。
【0005】
「立ち上がり」を設ける手段として、特許文献1に示す手段もある。特許文献1に記載のバーリング管では、ボルトを用いて行うバーリング加工によって、主パイプ110から突出する分岐枝111を得ている。特許文献1には、上記手段により、厚み2.1mmのステンレス鋼に、JIS規格R1/8(旧JIS規格PT1/8)のタップによる雌ねじの加工ができた旨記載されている(特許文献1の明細書[0009]及び[0012])。ここで、JIS規格表示をメートル法に換算すると、次の表のとおりである。
【0006】
【0007】
すなわち、特許文献1で加工ができた旨記載されているJIS規格R1/8の雌ねじは、内径約8.6mmである。
【0008】
特許文献1に記載の厚み2.1mmのステンレス鋼に、内径約8.6mmの雌ねじを備えた分岐枝であれば、ステンレス鋼の厚みが比較的薄く、また分岐枝の直径が比較的小さいため、そのような分岐枝の加工が可能かもしれない。
【0009】
ここに、
図12によりバーリング加工について説明する。バーリング加工では、板材120に孔121を穿ち、コマ125を孔121に向けてねじ込み、強い力で引きぬいて、分岐枝128を得る。すなわち、分岐枝128は、板材120の延びる方向が、コマの移動に追従して90度変更させられることにより、材料が伸びて形成される。このため、板材の厚みが厚くなると、材料の変形抵抗が大きくなり、板材120の孔121の周囲が立ち上がって分岐枝128を形成するにあたり、かど部位129は大きな曲率をもつ曲線を形成し、大きく変形することにより肉厚も減少する。このため、ネジ切加工に必要かつ充分な高さと肉厚を備えた立ち上がりを形成することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝が備わるパイプであって、分岐枝の溶接の熱による主パイプのひずみや変色が生じないものを得ることを課題とする。
【0012】
主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝が備わるパイプであって、分岐枝の溶接による溶接部の周辺の凹凸や分岐枝の突出のないものを得ることを課題とする。
【0013】
主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝が備わるパイプであって、分岐枝が主パイプから立ち上がる部位にねじ切りに必要かつ充分な立ち上がりの高さ、肉厚を持つ分岐枝を得ることを課題とする。
【0014】
主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝が備わるパイプであって、分岐枝は溶接により設けたものではなく、かつ、JIS規格R1/4、R3/8、R1/2、R3/4、又はR1のテーパネジのネジ切を施した分岐枝が備わるパイプを得ることを課題とする。
【0015】
主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝が備わるパイプであって、分岐枝は溶接により設けたものではなく、かつ、主パイプの厚みが2.2mm以上であるパイプを得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)主パイプと、主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝とを備え、前記分岐枝は前記主パイプの側壁のうち前記側壁に穿った孔の周囲を構成する部位の変形により形成されたものであり、前記変形はバーリング加工によるものであり、前記変形は、前記分岐枝が前記主パイプから立ち上がる立ち上がり部位の形体と合うよう構成された金型に沿ってされたパイプによって課題を解決する。
(2)前記分岐枝の内壁に雌ねじが形成されていることを特徴とする(1)に記載のパイプによって課題を解決する。
(3)前記主パイプの厚みが2.2mm以上であることを特徴とする(1)に記載のパイプによって課題を解決する。
(4)前記雌ねじの内径が9mm以上であることを特徴とする(2)に記載のパイプによって課題を解決する。
(5)前記金型は、前記主パイプのほぼ全体を外から覆うことを特徴とする(1)に記載のパイプによって課題を解決する。
(6)主パイプと、主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝とを備え、前記分岐枝は前記主パイプの側壁のうち前記側壁に穿った孔の周囲を構成する部位の変形により形成されたものであり、前記分岐枝は、JIS規格R1/4、R3/8、R1/2、R3/4、又はR1のテーパネジのネジ切を施したパイプによって課題を解決する。
(7)主パイプと、主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝とを備え、前記分岐枝は前記主パイプの側壁のうち前記側壁に穿った孔の周囲を構成する部位の変形により形成されたものであり、前記主パイプの厚みが2.2mm以上であるパイプによって課題を解決する。
(8)主パイプに主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝を形成する方法であって、側壁の前記分岐枝を形成する箇所に孔を穿った主パイプと、コマを通す上下方向に貫く開口を備えかつ左右方向の壁は分岐枝が主パイプから立ち上がる形体と合うよう成型された金型とを、主パイプの前記孔が前記金型の開口の中央に位置するように配置し、主パイプの内側に配置したコマを、主パイプの孔から挿入し、金型の上方の開口を介してコマを金型の下方の開口に向けて移動させて金型の下方の開口から引き抜き、主パイプの内側に配置されたコマが主パイプの壁に穿った孔の周囲の壁を金型との間で密着して挟みつつ主パイプの内側から主パイプの外側に向けて抜け出る過程で、主パイプの側壁のうち側壁に穿った孔の周囲を構成する部位を変形させて、主パイプに分岐枝を形成する方法によって課題を解決する。
(9)主パイプに主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝を形成する方法であって、コマを通す軸方向に貫く貫通孔を備えかつ周方向の壁は分岐枝が主パイプから立ち上がる形体と合うよう成型された金型Aと、主パイプの形体と合うよう成型された金型Bとの間に、側壁の前記分岐枝を形成する箇所に孔を穿った主パイプを主パイプの前記孔が前記金型Aの前記貫通孔の中央に位置するように配置して密着嵌合し、パイプの内側に配置したコマを、金型Aの貫通孔の壁面に密着させつつ軸方向に移動させて前記パイプの外側に引き抜き、主パイプの内側に配置されたコマが主パイプの壁に穿った孔の周囲の壁を金型Aとの間で密着して挟みつつ主パイプの内側から主パイプの外側に向けて抜け出る過程で、主パイプの側壁のうち側壁に穿った孔の周囲を構成する部位を変形させて、主パイプに分岐枝を形成する方法によって課題を解決する。
【0017】
分岐枝は前記主パイプの側壁のうち前記側壁に穿った孔の周囲を構成する部位の変形により得られたものであり、分岐枝用のパイプを溶接することにより得られたものではない。このため分岐枝を主パイプに溶接する工程がない。溶接工程がないため、主パイプのひずみや変色が生じない。また、前記分岐枝が前記主パイプから立ち上がる立ち上がり部位に、凹凸等が生じない。
【0018】
主パイプの側壁のうち側壁に穿った孔の周囲を構成する部位の変形は、主パイプの内側に配置されたコマが、この金型との間に主パイプの壁に穿った孔の周囲の壁を密着して挟みつつ、主パイプの内側から主パイプの外側に向けて抜け出ることによりされる。従って、金型は、分岐枝が主パイプから立ち上がる立ち上がり部位の形体と合うよう成型されるとともに、コマが通過するための上下方向に貫通する開口を備えている。分岐枝が主パイプから立ち上がる立ち上がり部位の形体と合うよう成型された個所は、金型のうち、コマが通過する際に通る通路に設けられる。
【0019】
分岐枝の内壁に、タップ加工によって雌ねじを形成する。
【発明の効果】
【0020】
主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝が備わるパイプを、分岐枝の溶接によらずに得ることができる。このため、主パイプのひずみや変色が生じず、分岐枝の溶接による溶接部の周辺の凹凸や分岐枝の突出がないものを得ることができる。このため作業工程が削減できる。また、分岐部分をあらゆる流体物にとって抵抗の少ないものとすることができ、性能の高いパイプを得ることができる。
【0021】
主パイプの側壁から周方向外方に向けて立ち上がる分岐枝が備わるパイプであって、分岐枝が主パイプから立ち上がる部位に大きな曲率をもつカーブがなく、立ち上がりの高さ、肉厚がねじ切りに充分な分岐枝を得ることができる。これにより、雌ねじの内径が9mm以上の分岐枝を設けることができる。また、雄ねじの外形が10mm以上の分岐枝を設けることができる。また、JIS規格R1/4、R3/8、R1/2、R3/4、又はR1のテーパネジのネジ切を施した分岐枝を設けることができる。また、主パイプの厚みが2.2mm以上のものにおいても分岐枝を設けることができる。
【0022】
主パイプのひずみが生じないことから、分岐枝を設ける位置、分岐枝の大きさ、主パイプの形体、の観点で、自由度が高い。この結果、複雑な設計の製品に用いるパイプに対応できる。製品設計の自由度が飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照し説明する。
【実施例0025】
実施例1を
図1から
図8に示す。
図1を参照して、主パイプ10の壁の、分岐枝を設ける位置に、下穴11を穿つ。パイプはステンレス製で成る。金型20は、上下方向に貫く開口を持つ。また金型20は、パイプ合わせ面21と分岐枝合わせ面22を備える。パイプ合わせ面21は、金型20にパイプの外形と合うよう成型されている。分岐枝合わせ面22は主パイプ10と主パイプから突出する分岐枝の外形と合うよう成型されている。パイプ合わせ面21と分岐枝合わせ面22は、なだらかにつながっている。分岐枝合わせ面22は、金型の上下方向に貫く開口の上の開口と下の開口の間に形成された壁面でもある。
【0026】
台30は、中央部に孔31を備える。
【0027】
図1及び
図2を参照して、台30に金型20を載せる。その際、金型20の分岐合わせ面22の下方の開口が、台30の孔31の中央付近に位置するようにする。主パイプ10を、下穴11を下に向けて金型20のパイプ合わせ面21に載せる。主パイプ10の下穴11の位置を、分岐枝合わせ面22の上方の開口の中央付近に合わせる。
【0028】
図2と
図3を参照して、コマ40を、主パイプ10の開口12からパイプの内側に差し入れる。図示しないが、コマ40は下方にネジ穴を備えバー45の先端とネジ留めによりつながるようにされている。コマ40を主パイプ10の下穴11のある位置に配置する。バー45の先端を、台の孔31から差し入れ、金型の下方の開口とパイプの下穴11を介してコマ40と合わせ、バー45とコマ40とをネジ留めしてつなげる。
【0029】
図3及び
図4を参照して、バー45を、油圧シリンダ等を用いて強い力で下方に引く。コマ40が主パイプ10の内側から下方に抜け出る際、主パイプの下穴11の周りは金型の分岐枝合わせ面22に沿って伸び、分岐枝15が立ち上がる。この際、パイプの下穴11の周りは金型の分岐枝合わせ面22に沿って伸びるため、分岐枝15の立ち上がるきわであるかど部14は、大きな曲率のカーブとならない。分岐枝15はねじ切りを施すための充分な高さ、厚みを備える。
【0030】
次に、タップ加工により、分岐枝15の内壁にネジ切16を施す。
図5に示す通り、充分な高さを備え、内壁にネジ切16を備えた分岐枝15が得られる。
【0031】
図6に示す通り、主パイプ10に、分岐枝15を多数設けることができる。本願の技術による場合、分岐枝15を主パイプの端部のネジ切18のごく近い箇所に設けることができる。従来の分岐枝を溶接によって取り付ける手段による場合には、溶接の熱によってパイプにひずみが生じるため、主パイプのネジ切18のごく近い箇所に分岐枝15を設けることができなかった。しかし、本願の手段によると、溶接の工程がなく主パイプのひずみが生じないため、主パイプのネジ切18に近い位置に分岐枝15を設けることができる。
【0032】
図7に示す通り、本願の技術による場合、分岐枝(15,17)を設ける位置の自由度が高い。分岐枝生成のための金型を配置する空所を確保でき、かつ、主パイプの強度に問題が生じない限り、主パイプ10に分岐枝を設けることができる。
【0033】
図8に、主パイプ18が曲線を描く形状を成している。本願の技術による場合、分岐枝生成のための金型を配置する空所を確保でき、かつ、主パイプの強度に問題が生じない限り、曲線を描く形状の主パイプであっても分岐枝19を設けることができる。
金型70には、主パイプの外形との合わせ面が備わる。金型60には、主パイプの外形との合わせ面に加えて分岐枝合わせ面が備わる。分岐枝合わせ面は、主パイプと主パイプから突出する分岐枝の外形と合うよう成型されている。主パイプの外形との合わせ面と分岐枝合わせ面は、なだらかにつながっている。分岐枝合わせ面は、コマをぬく軸方向に貫く開口(貫通孔61)のうちコマの入口と出口の間に形成された壁面の一部でもある。
(a)に示す通り、まず、金型70を、主パイプの外形との合わせ面を上方に向けて台(図示せず)にセットする。次に、主パイプ10を、下穴11が真上に位置するように配置して金型70に載せる。
次に、枠体80に、金型60を固着する。枠体80は油圧シリンダ(図示せず)によって上下移動可能にされている。次に、金型70に載せた主パイプ10のさらに上方に金型60を載せる。この際、主パイプ10の下穴11が金型60の貫通孔61の中央に位置するよう、主パイプの位置を合わせる。次に、枠体80を介して、金型60と金型70と主パイプ10を油圧シリンダ(図示せず)で圧着させる。
次に、コマ40を主パイプ10の開口から主パイプの内部に挿入する。次に、バー45を金型60の貫通孔61から挿入し、バー45の一端を、枠体80に設けられた油圧シリンダ81に取り付け、バー45の他端にコマ40を取り付ける。次に、油圧シリンダ81による強い力でバー45を上方に引く。コマ40が金型60の貫通孔61を通過する過程で、(b)に示すとおり主パイプ10の側壁に周方向外方に立ち上がる分岐枝15が形成される。