(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033106
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】燃料電池ガス拡散層用炭素繊維織物
(51)【国際特許分類】
H01M 4/96 20060101AFI20240306BHJP
D01F 9/12 20060101ALI20240306BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20240306BHJP
D03D 15/275 20210101ALI20240306BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240306BHJP
【FI】
H01M4/96 B
D01F9/12
D03D1/00 Z
D03D15/275
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136498
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(71)【出願人】
【識別番号】322000041
【氏名又は名称】ENETEK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100192614
【弁理士】
【氏名又は名称】梅本 幸作
(74)【代理人】
【識別番号】100158355
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 明子
(72)【発明者】
【氏名】吉野 一郎
(72)【発明者】
【氏名】高木 順
(72)【発明者】
【氏名】犬山 久夫
【テーマコード(参考)】
4L037
4L048
5H018
5H126
【Fターム(参考)】
4L037CS03
4L037FA15
4L048AA05
4L048AA34
4L048AA48
4L048AA53
4L048AB01
4L048AB11
4L048AB12
4L048AC09
4L048AC14
4L048CA01
4L048CA06
4L048CA15
4L048DA24
5H018AA06
5H018BB01
5H018DD06
5H018EE05
5H018HH01
5H018HH03
5H018HH05
5H126BB06
(57)【要約】
【課題】燃料電池のガス拡散層として備えるべき導電性を維持し、生成水の拡散性を促進しながら、スタックの環境温度の変化に伴う高分子膜の伸び縮みにも追随できるクッション性に優れた燃料電池用ガス拡散層炭素繊維織物を提供する。
【解決手段】
紡績糸である経糸および緯糸が交織された燃料電池ガス拡散層用炭素繊維織物において、炭素繊維織物の単繊維の直径を8μm以下として、目付けを60g/m
2以下とする。また、経糸または緯糸の少なくとも一方が撚り糸である場合には撚り糸の撚り角を35°以下、経糸または緯糸の少なくとも一方が双糸である場合には双糸の撚り角を20°以下とすることもできる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紡績糸である経糸および緯糸が交織された燃料電池ガス拡散層用炭素繊維織物であって、前記炭素繊維織物の単繊維の直径が8μm以下であり、目付けが60g/m2以下であることを特徴とする燃料電池ガス拡散層用炭素繊維織物。
【請求項2】
前記経糸または緯糸の少なくとも一方が撚り糸であって、前記撚り糸の撚り角は35°以下であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池ガス拡散層用炭素繊維織物。
【請求項3】
前記経糸または緯糸の少なくとも一方が双糸であって、前記双糸の撚り角は20°以下であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池ガス拡散層用炭素繊維織物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、船舶、航空機等の交通機関に搭載される燃料電池ガス拡散層用炭素繊維織物に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用や車両用として主流である固体高分子形燃料電池(以下、燃料電池またはFCとする)は、高分子膜の両面に電極が接合された電解質膜・白金触媒接合層(以下、CCM層とする)、燃料ガス、酸化剤ガスを電極反応域に導くガス拡散層(以下、GDLとする)、ガス導入・排出溝を持つセパレータやシール材等からなる単位ユニット(以下、セルとする)が繰り返し積層された構造である。
【0003】
中でも、GDLは一般的に1mm以下の薄いシート状に形成された部材で、外部からの水素を含む燃料ガス、或いは酸素を含む酸化剤ガスの2つの反応ガスを電極触媒層に円滑に供給できる機能を有することが要求される。この他に、GDLの基本的な機能として、1)電気エネルギーを効率的に取り出すために十分に低い電気抵抗を有すること、2)大電流を取り出すための十分なガス透過性および電池で生成する生成水の排出性からなる良好な拡散性を有すること、3)積層部材の厚みのムラや厚みの変化を吸収できるクッション性(弾力性)を有すること、4)強酸性や強アルカリ性にも耐える耐腐食性を有すること、5)繰り返し圧縮応力を受けても元の形状へ復元できること、などが必要となる。
【0004】
従来のGDLは炭素繊維による抄紙構造(カーボンペーパ)であるため、大電流域におけるGDLの排水性能(水はけ性)が不十分であり、厚みの違いや温湿度の変化によるひずみを吸収するクッション性(弾力性)も低いという問題があった。そのため、炭素繊維織物製のGDLが数多く開発されてきた(特許文献1ないし3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-108188号公報
【特許文献2】特開2012-202003号公報
【特許文献3】国際公開2003-034519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近の燃料電池スタックは、CCM、ガス拡散層およびセパレータの3種類の部品からなる多数のセルを一定寸法のスタック枠内に組み込んでいる。このとき、スタックは環境温度や湿度の変化によって、電解質である高分子膜自体が厚み方向に伸び縮みする。そのため、ガス拡散層はこの伸び縮みを吸収し、各部材間に一定以上の押圧を確保して接触抵抗を維持する役割も担っている。ここで、セパレータは金属やグラファイトからなり厚み方向の伸び縮みを吸収する機能は持ち合わせていない。そのため、ガス拡散層は高分子膜自体が伸び縮みに対応できる柔軟性やクッション性が要求されている。
【0007】
カーボンペーパは短い炭素繊維を平面方向に分散させ、樹脂で紙状に結着しており、厚み方向のクッション性に乏しい。また、この結着樹脂の電気抵抗を下げるため、1000℃以上で炭化するため脆くなり、長期にわたり繰り返し圧縮応力やねじり応力を受けると結着部に微小クラックが発生する。
【0008】
その結果、カーボンペーパは厚み方向に徐々に薄くなり、押圧低下のため接触抵抗の低下を招き、スタック寿命を早める恐れがあった。つまり、カーボンペーパはスタックの温度や湿度変化に対応できるクッション性が乏しく、スタック内で繰り返しの圧縮応力が負荷される環境下において十分な耐久性が不足しているという問題がある。
【0009】
一方、前述の特許文献1~3に開示された炭素繊維織物は、従来の炭素繊維による抄紙構造(カーボンペーパ)に比べて、サインカーブ状の交織糸を有しておりクッション性(弾力性)は優れている。しかし、いずれも炭素繊維前駆体(耐炎化糸)を出発原料糸として織物にしているため、厚さも厚くなり、目付けも大きくならざるをえなかった。すなわち、炭素繊維の前駆体糸は蒸焼き処理しているために引張強度が低くなり、これを織物とするには糸の繊度と単繊維の直径大きくする必要があり、単繊維の直径が大きい燃料電池ガス拡散層用炭素繊維織物は実用上問題があった。
【0010】
そこで、本発明においては燃料電池のガス拡散層として備えるべき導電性を維持しながら、スタック内の環境温度の変化に伴う高分子膜の伸び縮みにも追随できる厚み方向のクッション性に優れ、かつ薄いために低抵抗で大電流域での発電性能が優れた燃料電池ガス拡散層用炭素繊維織物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決するために、本発明は紡績糸である経糸および緯糸が交織された燃料電池ガス拡散層用炭素繊維織物において、炭素繊維織物の単繊維の直径を8μm以下、目付けを60g/m2以下とする炭素繊維織物とした。経糸または緯糸の少なくとも一方が撚り糸の場合には撚り糸の撚り角を35°以下、経糸または緯糸の少なくとも一方が双糸である場合には、双糸の撚り角を20°以下とすることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の燃料電池ガス拡散層用炭素繊維織物は、単繊維直径を細くした炭素繊維織物構造により、厚み方向の電気抵抗が下がるとともに毛細管現象で糸束方向に生成水の拡散性を促し、大電流域の発電性能が良くなる。また交織糸の撚り角度を35°以下にすることにより強度が確保できる。ここで、燃料電池スタック内の温度や湿度が繰り返し変化して高分子膜が伸び縮みするが、その押圧力を調整する機構を補うクッション性を確保し、その繰り返し回数が多くなっても、厚み方向の減少量が少なく接触抵抗が低下しないという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】実施例2における比較材4の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明である燃料電池用ガス拡散層の炭素繊維織物の実施形態について説明する。本発明の炭素繊維織物は、紡績糸である経糸および緯糸が交織された織物である。経糸および緯糸を構成する単繊維の直径は8μm以下であり、織物の目付けが60g/m2以下である。経糸または緯糸の少なくとも一方が撚り糸である場合には、撚り糸の撚り角は35°以下とする。また、経糸または緯糸の少なくとも一方が双糸である場合には、双糸の撚り角は20°以下とする。ここで、炭素繊維織物の単繊維の直径は、顕微鏡等の拡大設備により2500倍に拡大した状態で任意の5箇所を測定し、それらの平均値として算出した。この直径が小さければ、これらの単繊維間で確保される空間の相当半径が小さくなり、毛細管効果が促進されて、発電時に生成する水の拡散性(排水性)がより向上する。
【実施例0015】
(実施例1)
炭素繊維織物を構成する単繊維の各種形態による引張強度への影響を確認するために引張試験をおこなった。炭素繊維織物の引張強度は、その製造方法により大幅に変化する。主として圧縮応力が作用する電極用途でも、最終の使用状態に至るまでの生産工程や使用条件に耐える引張強度を確保しているかを確認するため、炭素繊維織物構成要件と単糸の引張強度の関係を求めた。
【0016】
本引張試験で使用した試験片は、発明材1~8の8水準、比較品として比較材1~4の4水準で合計12種類として、以下の(1)~(5)の方法で製作した。
(1)市販のアクリル紡績原綿のうち、0.4~1.0dtexの単糸を選びだして紡績糸に製糸する。
(2)この紡績糸をインチ当たり36~90本の経糸と横糸の組み合わせとした上で、カバーファクターを930~1100の範囲の織物として、精錬した白布を得る。また、撚り角0度の織物とは、アクリル紡績糸の撚り数とほぼ同じ撚り数の消失繊維で撚り戻し、織布にしたのちに消失繊維を洗い落とし実質無撚りの白布としている。
(3)この白布を200~255℃の酸化雰囲気にて1~15時間の条件で耐炎化焼成する。
(4)この耐炎化布を所定の大きさにカットして、1250℃の窒素雰囲気にて10分間保持した後に冷却した。
(5)冷却後、炭素繊維織物となった発明品および比較品の縦糸もしくは横糸の方向を揃えた状態で型抜きにより、
図1に示す寸法の引張試験片を作製した。これらの炭素繊維織物の布タイプ、単繊維の直径、目付け、糸種(撚り糸、無撚り糸または双糸)、撚り角、糸巾等を表1から表3に示す。なお、糸巾ピッチ、糸巾、撚り角は顕微鏡により250倍に拡大した状態で経糸および横糸の各々5箇所を測定した平均値として算出した。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
引張試験は、引張試験機(ミニベアミツミ社製LTSシリーズ荷重測定器)を使用して、前述した引張試験片を毎秒0.2mmの引張速度で試験片が破断するまで行い、そのピーク強度を測定した。また、測定したピーク強度の値から下式を用いて単糸強度を算出した。発明材1~8および比較材1~4の布ピーク強度および引張強度を表4から表6に示す。
・引張応力σ(単位:N/mm2)=T/(0.785×d2×Nm×Ns)
・T:布ピーク強度(単位:N/cm幅)
・Nm:1cm単位巾当たりの糸束本数
・Ns:糸束当たりの単糸本数(キーエンス社製VHX7000にて2500倍に拡大し糸束カット断面を測定した)
・d(単位:mm):単糸直径(キーエンス社製VHX7000にて2500倍に拡大して測定した)
【0021】
【0022】
【0023】
【0024】
本引張試験の結果、撚り角が35°よりも小さい発明材1~8は、撚り角が35°を超えている比較材1~4の結果に比べて、単糸強度が高くなった。これは、発明材は焼成時の熱収縮による撚り締まりによる、内部欠陥の発生頻度が比較材よりも少なくなったことに起因していると考えられる。特に、発明材1および2は比較材4に比べて単糸径が細いにも関わらず、単糸強度が高くなった。
【0025】
(実施例2)
炭素繊維織物をガス拡散層として使用する際にセパレータによる押圧状況を想定して、当該織物において実用上の圧縮強度が確保できていることを押圧試験により確認した。本試験の試験片は、実施例1の場合と同様に発明材1~8の8水準、比較品は比較材1~4の4水準で合計12種類の炭素繊維織物製試験片を使用した。
【0026】
直径1cmより大きい寸法で作製した試験片を2枚の平行に配置された研磨板(直径1cm)で挟み込み、3MPaで押圧する。押圧後に研磨板を試験片から離間して、研磨板による押圧跡を拡大鏡により単糸の状態を観察した。実施例1の引張試験のように破壊試験でないため、圧縮強度が確保された試験片は合格品扱いとなり有利である。
【0027】
発明材1~8は、3MPaの押圧下でも押し跡部(当たり部)に単糸切れがなかった。一方、比較材1~3は、3MPaの押圧下での跡部に単糸切れが発生した。表面に単糸切れが確認された比較材4の顕微鏡写真(倍率:500倍)を
図2に示す。以上の試験結果より、一般的に炭素繊維製のガス拡散層を電極として使用する際の取り付け時の圧力は1MPaであるが、より高圧の3MPaが負荷された状態であっても発明材1~8は局部的に破損せず圧縮して、電極用途に使用可能であることがわかった。
【0028】
(実施例3)
炭素繊維製のガス拡散層は、燃料電池のスタックとして多数のセルを積層した状態で一定枠寸法にセットして使用される。この時、高分子膜が温度変化や湿度変化で伸縮しこの歪をガス拡散層が吸収する構造である。したがって、ガス拡散層は長年にわたり繰り返し圧縮応力を受けても元の形状へ戻る復元力を有して、一定以上の接触圧力を確保し接触電気抵抗が大きくならないようにする必要がある。繰り返し圧縮応力を受けても厚み方向に変形するか否かを見出すために繰返し押圧試験を実施した。
【0029】
すなわち、実稼働時の金属製セパレータによる押圧状況を想定して、当該織物が実用上の圧縮強度を確保できているかをしらべた。本試験の試験片は、実施例1の場合と同様に発明材4,6,8の3水準、比較品は比較材3、4の2水準で合計5種類の炭素繊維織物と比較材5のカーボンペーパの市販品を使用した。試験片への圧縮と復元の繰り返し回数が20,40,60,80,100サイクルにおける試験片の厚みを測定して、最初の厚みを基準にした場合の試験片の厚みの減少量(単位:μm)を表7に示す。
【0030】
【0031】
直径1cmより大きい寸法で作製した試験片を2枚の平行に配置された研磨板(直径1cm)で挟み込み、無負荷から2MPaまでを繰り返し押圧する。2サイクル後の無負荷時の厚みに対し、その後20サイクルごとの無負荷時の厚みの変化を厚み減少量として測定した結果を表4に示す。なお、発明材8は発明材6に目付け12g/m2でPTFEとカーボンブラックからなるMPL(マイクロポーラスレイヤ:微多孔質層)を塗布している。また、比較材3は表3の比較材3と同一材である。
【0032】
発明材4,6,8は、2MPaまでの繰り返し20サイクルの押圧により縦横糸が安定した配列となり初期的な厚み減少量が発生するが、その後の20サイクルごとの厚み減少量は増加することなく安定した厚みを保っている。一方、比較材3は撚り角が38°を超えており、焼成時の撚り締まりによる内部の微小な亀裂がこの繰り返し押圧試験により徐々に単糸切れが発生し、厚み減少量が漸増して押圧低下による電気抵抗の増加などにより、実用的に耐えられなくなる。
【0033】
また、市販されている炭素繊維織物の比較材4は、実施例1および2で使用したものと同一であり、
図2に示す様に押圧部分に単糸切れが発生している。これは単糸径が8.4μm、単糸数が350本、糸巾が472μm、目付けが130g/m
2もあり、押圧により単糸がずれて動けるだけの隙間が少なく、最も大きな破断応力がかかる単糸から順番に破断すると考えられる。
【0034】
また、市販されている比較材5はMPL(マイクロポーラスレイヤ:微多孔質層)付きのカーボンペーパである。この市販品も繰り返し押圧回数が多くなるに従い、厚み減少量が漸増して長期使用に課題を残している。この比較材の芯材である炭素繊維の強度は十分にあるが、その交点を節止めしている結着材は熱硬化性樹脂を炭化し脆くなっており、繰り返し押圧により徐々に内部微小亀裂が発生して、厚み減少量が増加するためと考えられる。一般的にガス拡散層を電極として使用する際に発生する圧力(面圧)は1MPaであり、2MPaの繰り返し押圧が負荷された状態であっても発明材4,6,8は使用可能であることがわかった。
【0035】
(実施例4)
製作した炭素繊維織物が実車の燃料電池に搭載されたことを想定し、発電試験を実施した。実施例1で使用した発明材7と実施例3で使用した比較材5の試験片を各々1cm角に各2枚カットして、発電テストのため1Dセルの正極と負極に各々1MPaの厚みになるよう発明材7は65μm、比較材5は200μmの厚みになるよう調整して試験片を組み立てた。ここで、両極のガス拡散層の試験片に挟持された電解質膜は厚さ25μmのナフィオン膜であり、この両面にはカーボンブラックに触媒としての白金微粒子が担持され、その量は0.5mg/cm2である。
【0036】
組み立てられた1Dセルを燃料電池試験装置に接続して、過加湿状態で電圧を0.9~0.2Vまで昇降させることで慣らし運転を完了後、水素側は毎分500cc、空気側は毎分1000ccの酸素1%窒素99%のガスを投入して電圧を0.9~0.1Vまで変化させたときの取り出し電流を実測した。発明材7および比較材5の電流測定結果を
図3に示す。なお、この評価基準は大電流域の発電性能をより際立たせる「自動車技術会学術講演会前刷集20133647 1Dセルを用いた燃料電池のガス拡散抵抗解析」に基づいて実施した。
【0037】
発電性能を比較した結果を
図3に示すとおり、例えば0.4Vの発電量は約2倍多くなる。比較材5は現状の燃料電池車に搭載されているカーボンペーパであり、発明材7のような織物構造の方が大電流域での発電性能がよく、毛細管現象の効果もあり生成水の水はけがよく、効率を大きく改善でき、軽量小型の燃料電池ユニットにできることが判明した。本願にて「目付け」とは、日本工業規格(JIS)L02028における「毛織物などの単位面積当たりの質量を表す単位で、1m
2当りのグラム数」と同義である。