(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003311
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】路盤材
(51)【国際特許分類】
E01C 3/00 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
E01C3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102354
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000181354
【氏名又は名称】鹿島道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000431
【氏名又は名称】弁理士法人高橋特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】神下 竜三
(72)【発明者】
【氏名】田口 翔大
(72)【発明者】
【氏名】好見 一馬
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA05
2D051CA09
2D051CA10
(57)【要約】
【課題】安定材を添加した路盤材であって、雨水が路盤に浸透しても十分な強度を有し、二酸化炭素吸収材の流出を防止し、二酸化炭素吸収能力を維持するとともに、雨水を地下に涵養することができ、更に、二酸化炭素を吸収しても200℃未満に加熱することで、吸収した二酸化炭素を放出し、二酸化炭素吸収能力が回復する性質を有する路盤材の提供。
【解決手段】本発明の路盤材は、アスファルト系安定材(フォームドアスファルト或いはアスファルト乳剤)と、常温常圧で二酸化炭素(CO
2)を吸収し、200℃未満に加熱されると二酸化炭素(CO
2)を放出する二酸化炭素吸収材(CO
2吸収材)を包含する。前記CO
2吸収材は、ナトリウムフェライト、炭酸カリウムの何れかであるのが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧で二酸化炭素を吸収し、200℃未満に加熱されると二酸化炭素を放出し二酸化炭素吸収能力を回復する二酸化炭素吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有することを特徴とする路盤材。
【請求項2】
安定材はアスファルト系安定材であり、フォームドアスファルト或いはアスファルト乳剤である請求項1の路盤材。
【請求項3】
二酸化炭素吸収材は、炭酸カリウム、ナトリウムフェライトのいずれかである請求項1、2の何れかの路盤材。
【請求項4】
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧で二酸化炭素を吸収し、200℃未満に加熱されると二酸化炭素を放出し二酸化炭素吸収能力を回復する二酸化炭素吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有し、
セメント及び/又は消石灰を包含することを特徴とする路盤材。
【請求項5】
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧で二酸化炭素を吸収し、200℃未満に加熱されると二酸化炭素を放出し二酸化炭素吸収能力を回復する二酸化炭素吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する路盤材を製造する方法において、
新規な材料のみか、二酸化炭素吸収材を含まない再生材か、或いは、二酸化炭素吸収能力を再生させた再生材のみを用い、
これ等の何れかの材料或いはこれ等の材料の何れか複数を組み合わせて製造設備で混合することを特徴とする方法。
【請求項6】
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧で二酸化炭素を吸収し、200℃未満に加熱されると二酸化炭素を放出し二酸化炭素吸収能力を回復する二酸化炭素吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する路盤材を製造する方法において、
新規な材料のみか、二酸化炭素吸収材を含まない再生材か、或いは、二酸化炭素吸収能力を再生させた再生材のみを用い、
これ等の何れかの材料或いはこれ等の材料の何れか複数を組み合わせて製造設備で混合し、混合された材料を路上まで運搬し、路上において当該路盤材料では不足している分量の二酸化炭素吸収材、水、アスファルト系安定材を混合することを特徴とする方法。
【請求項7】
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧で二酸化炭素を吸収し、200℃未満に加熱されると二酸化炭素を放出し二酸化炭素吸収能力を回復する二酸化炭素吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する路盤材を製造する方法において、
既設路盤上の領域或いは既設路盤上のアスファルト層までの領域における現位置材料に、当該現位置材料では不足している分量の二酸化炭素吸収材と、水を散布し、
アスファルト系安定材を混合することを特徴とする方法。
【請求項8】
セメント及び/又は消石灰を混合する請求項5~7の何れか1項の方法。
【請求項9】
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧で二酸化炭素を吸収し、200℃未満に加熱されると二酸化炭素を放出し二酸化炭素吸収能力を回復する二酸化炭素吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する路盤材であって、二酸化炭素吸収能力が喪失或いは二酸化炭素吸収能力が低下した二酸化炭素吸収路盤材の二酸化炭素吸収能力を再生する方法において、
二酸化炭素吸収能力が喪失或いは二酸化炭素吸収能力が低下した二酸化炭素吸収路盤材を200℃未満に加熱し、二酸化炭素を放出させて二酸化炭素吸収能力を回復させ、加熱した際に放出される二酸化炭素を回収することを特徴とする方法。
【請求項10】
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧で二酸化炭素を吸収し、200℃未満に加熱されると二酸化炭素を放出し二酸化炭素吸収能力を回復する二酸化炭素吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する路盤材であって、二酸化炭素吸収能力が喪失或いは二酸化炭素吸収能力が低下した二酸化炭素吸収路盤材の二酸化炭素吸収能力を再生する方法において、
二酸化炭素吸収能力が喪失或いは二酸化炭素吸収能力が低下した二酸化炭素吸収路盤材を現位置で破砕し、或いは破砕せずに、当該既設二酸化炭素吸収路盤材を200℃未満に加熱し、二酸化炭素を放出させて二酸化炭素吸収能力を回復させ、加熱した際に放出される二酸化炭素を回収することを特徴とする方法。
【請求項11】
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧で二酸化炭素を吸収し、200℃未満に加熱されると二酸化炭素を放出し二酸化炭素吸収能力を回復する二酸化炭素吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する二酸化炭素吸収路盤材であって、二酸化炭素吸収能力が低下した二酸化炭素吸収路盤材を用いて二酸化炭素吸収能力を有するアスファルト混合物を製造する方法において、
二酸化炭素吸収能力が喪失或いは二酸化炭素吸収能力が低下した二酸化炭素吸収路盤材の二酸化炭素吸収能力を、アスファルト混合物製造設備で200℃未満に加熱して再生し、二酸化炭素吸収能力を再生した路盤材料に、アスファルト混合物として当該路盤材料では不足している分量の二酸化炭素吸収材と、骨材と、不足している分量のアスファルトを、アスファルト混合物製造設備で混合することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舗装の路盤に関し、より詳細には、安定材を添加した材料を用いて形成された安定処理路盤に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素排出量の低減対策の一つとして、舗装路盤に二酸化炭素吸収能力を有する物質(二酸化炭素吸収材)を混合し、舗装路盤で二酸化炭素を吸収させることにより、排出量を抑制することが考えられる。
二酸化炭素吸収材は、二酸化炭素を限界まで吸収すると、それ以上は二酸化炭素を吸収する能力が喪失してしまうことが知られている。そして、二酸化炭素吸収材には、吸収した二酸化炭素を熱や圧力等の何らかの外力を与えることにより吸収と放出を繰り返すものが存在することも知られている。
【0003】
その他の従来技術として、路盤に水酸化カルシウム又はカルシウムシリケート水和物を含むコンクリート廃材を用いて、二酸化炭素を吸収する技術が提供されている(例えば特許文献1参照)。
ここで、路盤が二酸化炭素を吸収するためには、路盤の上の層が空気を通す性質を有する(通気性を有する)ことが必要である。その様な空気を通す層(通気性を有する層)としては、ポーラスアスファルトコンクリート舗装、ポーラスコンクリート舗装、木質系舗装等がある。
しかし、空気を通す層(通気性を有する層)は、空気を通すだけではなく、雨水も通してしまう。雨水が路盤に浸透すると、路盤に混合された二酸化炭素吸収材が、浸透した雨水によって流出してしまうので、二酸化炭素吸収能力が喪失する。それと共に、浸透した雨水によって舗装が弱体化して、舗装に損傷が生じてしまう。
路盤への雨水の浸透を防止するため、上述した従来技術(特許文献1)では、路盤層の直上に不透水性を有する層を設けることが開示されている。しかし、不透水性を有する層を設けた場合、雨水が地下に涵養されないという問題が存在する。
【0004】
また、上述した従来技術(特許文献1)において二酸化炭素吸収能力を有する物質として提案されている水酸化カルシウムやカルシウムシリケート水和物は、一度限界まで二酸化炭素を吸収し、二酸化炭素吸収能力が喪失した場合に、喪失した二酸化炭素吸収能力を回復させるためには、825℃以上の高温で加熱する必要がある。すなわち、水酸化カルシウムやカルシウムシリケート水和物を用いる技術文献1では、二酸化炭素吸収能力を回復させるのに、大量のエネルギー或いは燃料が消費される、という問題が存在する。
さらに、路盤材には、コンクリート構造物等を壊したコンクリートの破片(コンクリートガラ)を破砕した材料等を用いた再生路盤材が存在する。再生路盤材に包含されているコンクリートは、300℃を超えて加熱すると強度が著しく低下し、600℃程度まで加熱すると爆裂、劣化、変色してしまうため、再生路盤材として用いることができなくなる。
再生路盤材の製造設備には、アスファルト混合物製造設備が併設されていることが多く、このアスファルト混合物製造設備で二酸化炭素吸収能力が喪失した二酸化炭素吸収材を混合した路盤材(二酸化炭素吸収路盤材)の二酸化炭素吸収能力を回復することができれば、輸送手間等が削減できるため、好適である。しかしながら、アスファルト混合物製造設備で加熱できる温度は200℃程度であり、水酸化カルシウムやカルシウムシリケート水和物を用いた二酸化炭素吸収路盤の二酸化炭素吸収能力を回復することはできない。
これ等の理由から、二酸化炭素吸収能力を有する物質として水酸化カルシウムやカルシウムシリケート水和物を用いる従来技術(特許文献1)は、再生利用の観点では二酸化炭素吸収路盤材としては不適当である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、安定材を添加した路盤材であって、雨水が路盤に浸透しても十分な強度を有し、二酸化炭素吸収材の流出を防止し、二酸化炭素吸収能力を維持するとともに、雨水を地下に涵養することができ、更に、二酸化炭素を吸収しても200℃未満に加熱することで、吸収した二酸化炭素を放出し、二酸化炭素吸収能力が回復する性質を有する路盤材の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の路盤材は、安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧で二酸化炭素を吸収し、200℃未満に加熱されると二酸化炭素を放出し二酸化炭素吸収能力を回復する二酸化炭素吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有することを特徴としている。
本発明において、安定材はアスファルト系安定材(フォームドアスファルト或いはアスファルト乳剤)であるのが好ましい。
また、本発明において、加熱により二酸化炭素を放出する温度は、例えば60~200℃未満であることが好ましい。舗装路面温度が屋外の供用環境では60℃程度になることから、自然環境下の空気中から二酸化炭素を効率的に吸収するためである。
なお、加熱による二酸化炭素の放出開始温度は、本発明が適用される場所において自然環境から受ける温度より高い温度であれば良い(例えば地表面より下に構築される路盤では60℃より低い温度である)。そのため、二酸化炭素の放出下限温度(開始温度)は60℃に限定されない場合も存在する。
【0008】
前記二酸化炭素吸収材(CO2吸収材)には、アルカリ金属炭酸塩(炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等)、酸化セリウム、ナトリウムフェライト等があり、本発明においては、炭酸カリウム、ナトリウムフェライトの何れかであることが好ましい。
本発明の路盤材は、骨材及び水を含み、骨材は、未だ使用されていない新規材料或いは再生材(コンクリート構造物を壊したコンクリートガラを破砕した材料、或いは路盤材として使用されていた材料等)であるのが好ましい。
また本発明の路盤材は、セメント及び/又は消石灰を含むことができる。
さらに、本発明の路盤材に包含されるCO2吸収材は、本発明の路盤材を製造する過程(材料混合工程)においてアスファルト系安定材で被覆されることが好ましく、また事前にアスファルトで被覆させることができる。
【0009】
また、本発明の路盤材の製造方法(請求項1~4の何れか1項の路盤材の製造方法)は、
アスファルト系安定材、骨材、水、CO2吸収材を混合する工程を含み、
前記CO2吸収材は常温常圧でCO2を吸収し、200℃未満に加熱されるとCO2を放出するのが好ましい。
【0010】
本発明の路盤材の製造方法は、
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧でCO2を吸収し、200℃未満に加熱されるとCO2を放出しCO2吸収能力を回復するCO2吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する路盤材(好ましくは請求項1~4の何れかの路盤材)を製造する方法において、
新規な材料のみか、CO2吸収材を含まない再生材か、或いは、CO2吸収能力を再生させた再生材のみを用い、
これ等の何れかの材料或いはこれ等の材料の何れか複数を組み合わせて製造設備で混合することを特徴としている。
また、本発明の製造する方法は、
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧でCO2を吸収し、200℃未満に加熱されるとCO2を放出しCO2吸収能力を回復するCO2吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する路盤材(好ましくは請求項1~4の何れかの路盤材)を製造する方法において、
新規な材料のみか、CO2吸収材を含まない再生材か、或いは、CO2吸収能力を再生させた再生材のみを用い、
これ等の何れかの材料或いはこれ等の材料の何れか複数を組み合わせて製造設備で混合し、混合された材料を路上まで運搬し、路上において当該路盤材料では不足している分量のCO2吸収材、水、アスファルト系安定材を混合することを特徴としている。
或いは、本発明の製造する方法は、
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧でCO2を吸収し、200℃未満に加熱されるとCO2を放出しCO2吸収能力を回復するCO2吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する路盤材(好ましくは請求項1~4の何れかの路盤材)を製造する方法において、
既設路盤上の領域或いは既設路盤上のアスファルト層までの領域における現位置材料(原位置材料)に、当該現位置材料では不足している分量のCO2吸収材と、水を散布し、
アスファルト系安定材を混合することを特徴としている。
本発明の製造する方法において、セメント及び/又は消石灰を混合することができる。
【0011】
また、CO2吸収能力を喪失或いはCO2吸収能力が低下したCO2吸収路盤材のCO2吸収能力を再生(回復)する本発明の方法は、
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧でCO2を吸収し、200℃未満に加熱されるとCO2を放出しCO2吸収能力を回復するCO2吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する路盤材(好ましくは請求項1~4の何れかの路盤材)であって、CO2吸収能力が喪失或いはCO2吸収能力が低下したCO2吸収路盤材(使用済路盤材)のCO2吸収能力を再生する方法において、
CO2吸収能力が喪失或いはCO2吸収能力が低下したCO2吸収路盤材を200℃未満に加熱し、CO2を放出させてCO2吸収能力を回復させ、
加熱した際に放出されるCO2を回収することを特徴としている。
また、安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧でCO2を吸収し、200℃未満に加熱されるとCO2を放出しCO2吸収能力を回復するCO2吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する路盤材(好ましくは請求項1~4の何れかの路盤材)であって、CO2吸収能力が喪失或いはCO2吸収能力が低下したCO2吸収路盤材のCO2吸収能力を再生する方法において、
CO2吸収能力が喪失或いはCO2吸収能力が低下したCO2吸収路盤材を現位置(原位置)で破砕し、或いは破砕せずに、
当該既設CO2吸収路盤材を200℃未満に加熱し、CO2を放出させてCO2吸収能力を回復させ、
加熱した際に放出されるCO2を回収することを特徴としている。
【0012】
そして本発明の再生する方法は、
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧でCO2を吸収し、200℃未満に加熱されるとCO2を放出しCO2吸収能力を回復するCO2吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有するCO2吸収路盤材であって、CO2吸収能力が喪失或いはCO2吸収能力が低下したCO2吸収路盤材(好ましくは請求項1~4の何れかの路盤材)を用いて本発明のCO2吸収路盤材を製造する方法において、
CO2吸収能力が喪失或いはCO2吸収能力が低下したCO2吸収路盤材のCO2吸収能力を、路上の現位置で200℃未満に加熱して再生し、
CO2吸収能力を再生した現位置の路盤材料に、当該路盤材料では不足している分量のCO2吸収材と、水を現位置に散布し、
不足している分量のアスファルト系安定材を混合することが出来る。
或いは、本発明の再生する方法は、
安定材と、骨材と、水を含み,
常温常圧でCO2を吸収し、200℃未満に加熱されるとCO2を放出しCO2吸収能力を回復するCO2吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有するCO2吸収路盤材であって、CO2吸収能力が喪失或いはCO2吸収能力が低下したCO2吸収路盤材(好ましくは請求項1~4の何れかの路盤材)を用いて本発明のCO2吸収路盤材を製造する方法において
CO2吸収能力が喪失或いはCO2吸収能力が低下したCO2吸収路盤材のCO2吸収能力を、製造設備(例えば再生設備50)で200℃未満に加熱して再生し、
CO2吸収能力を再生した路盤材料に、当該路盤材料では不足している分量のCO2吸収材と、水と、不足している分量のアスファルト系安定材を、製造設備(例えば路盤材製造設備)で混合することが出来る。
【0013】
本発明の二酸化炭素吸収能力が喪失或いは二酸化炭素吸収能力が低下した二酸化炭素吸収路盤材の二酸化炭素吸収能力を現位置(原位置)で再生する方法において、前記加熱装置は路面ヒータ(70A)であり、前記回収装置(70C)は路面ヒータ(70A)に連通しており、舗装路盤破砕攪拌装置(70B)を備え、
前記再生工程では、路盤(RC)を舗装路盤破砕撹拌装置(70B)により破砕撹拌しつつ、加熱装置(70A)により200℃未満に加熱して、路盤(RC)を構成する路盤材が吸収したCO2を放出させて、路盤材のCO2吸収能力を再生することが出来る。
また、CO2吸収能力を喪失或いはCO2吸収能力が低下した本発明の路盤材のCO2吸収能力を再生する方法において、
既設路盤を破砕攪拌することなく表面から加熱する工程を有することが出来る。
或いは、CO2吸収能力を喪失或いはCO2吸収能力が低下した本発明の路盤材のCO2吸収能力を再生する方法において、
既設路盤を切削或いは破砕して、発生した前記路盤材をCO2吸収能力再生設備まで搬送する工程と、
CO2吸収能力再生設備で前記路盤材を加熱してCO2吸収性能を再生する工程を有することが出来る。
さらに、前記再生工程は、アスファルト混合物製造設備で行うことも出来る。すなわち、アスファルト混合物を製造する本発明の方法は、
安定材と、骨材と、水を含み、
常温常圧で二酸化炭素を吸収し、200℃未満に加熱されると二酸化炭素を放出し二酸化炭素吸収能力を回復する二酸化炭素吸収材を含み、
雨水を浸透させることが可能な性質を有する二酸化炭素吸収路盤材であって、二酸化炭素吸収能力が低下した二酸化炭素吸収路盤材を用いて二酸化炭素吸収能力を有するアスファルト混合物を製造する方法において、
二酸化炭素吸収能力が喪失或いは二酸化炭素吸収能力が低下した二酸化炭素吸収路盤材の二酸化炭素吸収能力を、アスファルト混合物製造設備で200℃未満に加熱して再生し、二酸化炭素吸収能力を再生した路盤材料に、アスファルト混合物として当該路盤材料では不足している分量の二酸化炭素吸収材と、骨材と、不足している分量のアスファルトを、アスファルト混合物製造設備で混合することを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
上述の構成を具備する本発明の路盤材は、常温常圧でCO2を吸収するCO2吸収材を包含しているので、従来技術に係る路盤材(CO2吸収材を包含しない路盤材)を使用した場合に比較して、本発明の路盤材により構成された路盤を有する道路はより多くのCO2を吸収して、大気中のCO2量を低減することが出来る。
ここで、前記CO2吸収材をナトリウムフェライト、炭酸カリウムの何れかで構成すれば、ナトリウムフェライト、炭酸カリウムは200℃未満に加熱すると吸収したCO2を放出する性質を有するので、路盤材のCO2吸収能力を復活(再生)しても、安定材のアスファルトや再生材のコンクリートを劣化させる恐れがない。
本発明の路盤材は安定材(例えばアスファルト系安定材)を含有しているので、安定材(例えばアスファルト系安定材)がCO2吸収材等の比表面積が大きい細粒分を被覆し骨材に固着するため、路盤へ雨水が浸透しても、CO2吸収材が流失し難く、そのため、CO2吸収能力が低下しない。
また、CO2吸収材等の比表面積が大きい細粒分を被覆した安定材(例えばアスファルト系安定材)が骨材同士を結合させるため、路盤に雨水が浸透しても、路盤としての所要強度が得られ、支持力低下による舗装体の破損が生じない。
さらに、安定材(例えばアスファルト系安定材)がCO2吸収材等の比表面積が大きい細粒分を被覆することで、水により分解される性質があるナトリウムフェライトなども水に直接触れることが防止できるため、CO2吸収材として使用できる。
それに加えて、雨水を浸透させることが可能な性質を有しているので、雨水を地下へ涵養することが可能である。
【0015】
本発明の製造方法及びCO2吸収能力を再生する方法では、上述した本発明の路盤材を使用することが出来る。そして、本発明の路盤材を用いて道路を舗装した後に所定期間が経過して、本発明の路盤材がCO2吸収能力を喪失し或いはCO2吸収能力が低下しても、CO2吸収能力を再生して再利用することが可能である。
CO2吸収能力を再生して再利用する方法は、本発明の使用済路盤を切削或いは破砕して、発生した使用済路盤材をCO2吸収能力再生設備まで搬送し、当該CO2吸収能力再生設備で前記路盤材を加熱する本発明の方法によっても、CO2吸収能力を喪失或いはCO2吸収能力が低下した路盤材のCO2吸収能力を再生することが出来る。
或いは、本発明の使用済路盤を舗装路盤破砕攪拌装置(70B)により破砕攪拌しつつ加熱する方法や、本発明の使用済路盤を破砕攪拌することなく表面から加熱する本発明の方法によっても、CO2吸収能力を喪失あるいはCO2吸収能力を低下した本発明の路盤材のCO2吸収能力を再生して再利用することができる。
【0016】
本発明に係る路盤材を再利用する場合において、使用済の路盤材を加熱してCO2を吸収する能力を復活(再生)した際に放出されたCO2や、CO2を吸収する能力を有する路盤材で構成された路盤を舗装路盤破砕攪拌装置(70B)により破砕攪拌しつつ加熱する場合、或いは、本発明の使用済路盤を破砕攪拌することなく表面から加熱する場合に放出されたCO2は、本発明における回収する工程により回収することが出来るので、放出されたCO2が大気中に拡散してCO2の排出量が増加することを防止出来る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態の路盤材の適用形態を示す説明図である。
【
図2】新規材料のみで路盤材を製造する製造設備を示す説明図である。
【
図3】
図2の製造設備にCO
2吸収能力再生材以外の再生材の供給系を加えた製造設備を示す説明図である。
【
図4】CO
2吸収能力再生材と、新規材料で路盤材を製造する製造設備を示す説明図である。
【
図5】
図4の製造設備にCO
2吸収能力再生材以外の再生材の供給系を加えた製造設備を示す説明図である。
【
図6】製造設備で新材と水のみを混合して現場で敷き均した後、新規CO
2吸収材等を散布して路上で混合する態様の説明図である。
【
図7】
図6の製造設備にCO
2吸収能力再生材以外の再生材の供給系を加えた態様の説明図である。
【
図8】製造設備で新材と水及びCO
2吸収能力再生材のみを混合し、現場で敷き均した後、新規CO
2吸収材等を散布して路上で混合する態様の説明図である。
【
図9】
図8の製造設備にCO
2吸収能力再生材以外の再生材の供給系を加えた態様の説明図である。
【
図10】一次破砕された既設路盤材に新規CO
2吸収材等を散布して路上で混合する路盤製造の態様を示す説明図である。
【
図12】敷設された路盤材を破砕、攪拌し,加熱してCO
2を回収する態様を示す説明図である。
【
図13】敷設された路盤材を加熱してCO
2を回収する態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1(A)では、空隙を有し通気性のある舗装材2と、舗装材2の下方における路盤1が積層されている。路盤1を構成する路盤材(CO
2吸収路盤材)はCO
2吸収材を包含している。また、空隙を有し通気性のある舗装材は、例えば、開粒度アスファルト混合物、ポーラスコンクリート、木質系(ウッドチップ)等が選択可能である。ここで、舗装体としての更なるCO
2吸収性能向上を図るために、舗装材2は、CO
2吸収材を混合したものとすることが出来る。
図1(B)に示す構成では、CO
2吸収材を包含する路盤材で構成された路盤1(CO
2吸収路盤材)の上層(
図1(B)の上方)には、薄い層3が積層されており、層3は、シールコートや砂で構成されている。
図1(B)で示す構造は、簡易舗装、仮設道路等に適用される。ここで、層3を構成するシールコートや散布砂(図示しない)にCO
2吸収材を混合することが出来る。
【0019】
路盤材におけるCO2吸収材の含有量は、例えば、重量比で1%~30%である。含有量が1重量%未満となるとCO2吸収量が少なくなり、CO2吸収材が少な過ぎて均一な材料とならない。一方、CO2吸収材の含有量が30重量%を超える場合は、施工性が低下し品質確保の観点から好ましくない。
路盤材の安定材は、フォームドアスファルトあるいはアスファルト乳剤であり、添加量は一般的には1~10重量%の範囲内である。当該範囲よりも安定材が多い場合は、アスファルト量が過多となり、路盤の塑性変形が生じやすくなる。一方、前記範囲よりも安定材含有量が少ない場合は、強度不足、練り混ぜ時の均一性を確保できない等の不具合がある。
さらに、路盤の強度を確保することを目的に、路盤材にはセメント或いは消石灰等の安定材を添加することができ、添加量は一般的には1重量%~10重量%の範囲内である。当該範囲よりも安定材が多い場合は強度過多、すなわちセメント量が過多となり、収縮量が増大する。また、環境負荷が大きくなる。一方、前記範囲よりも安定材含有量が少ない場合は、強度不足、練り混ぜ時の均一性を確保できない等の不具合がある。
【0020】
図示の実施形態に係る路盤材(CO2吸収路盤材)は二酸化炭素(CO2)を吸収する材料(CO2吸収材)を包含している。
CO2吸収材は、常温常圧でCO2を吸収し、200℃未満(例えば、60℃~200℃未満)に加熱すると吸収したCO2を放出し、路盤材のCO2吸収能力を復活(再生)する性質を有している。その様なCO2吸収材としては、ナトリウムフェライト、炭酸カリウムがある。
係るCO2吸収材は常温常圧でCO2を吸収する性質を持つため、当該CO2吸収材を包含する路盤を有する舗装路は、通常の自然環境下において、CO2を吸収することが出来る。
また、200℃未満でCO2を放出する性質を持つため、当該CO2吸収材を包含する路盤材は、アスファルト混合物の製造設備或いは道路で加熱処理すれば、CO2吸収能力の再生が可能である。その際、CO2吸収能力を回復するための加熱温度は200℃未満で良いので、安定材であるアスファルトや、コンクリート構造物等を壊したコンクリートガラを破砕した材料に含まれるコンクリートが劣化することはない。そのため、路盤材の再利用が可能である。
発明者の実験によれば、実施形態に係る路盤材(CO2吸収路盤材)により構成された路盤を有する舗装路は、通常の路盤材(CO2を吸収する材料を包含しない路盤材)で構成された路盤を有する舗装路に比較して、CO2吸収量が有意に多かった。そのため、道路のCO2吸収能力を向上するという本発明の目的に合致した。
【0021】
実施形態に係る路盤材(CO2吸収路盤材)はアスファルト系安定材を包含しており、アスファルト系安定材はフォームドアスファルト或いはアスファルト乳剤の何れかである。
アスファルト系安定材を含有することにより、アスファルト系安定材によりCO2吸収材が路盤材に固着するので、上層に空隙を有する舗装構造の場合、CO2吸収路盤材を簡易舗装の表層として用いた場合において、雨水の浸透により、CO2吸収材が流失してしまうことが防止される。
ここで、アスファルト系安定材がフォームドアスファルトの場合、アスファルトは比表面積が大きい細粒分を被覆するので、CO2吸収材も被覆(コーティング)される。発明者の実験によれば、アスファルト乳剤においても同様である。
また、CO2吸収材としてナトリウムフェライトを選択した場合、ナトリウムフェライトは水に触れると分解する性質を有している。これに対して、ナトリウムフェライトをアスファルトで被覆(コーティング)すれば、ナトリウムフェライトが水と接触して分解することが防止出来る。
【0022】
アスファルト系安定材には舗装用石油アスファルト(ストレートアスファルト)、ポリマー改質アスファルト、セミブローンアスファルト、硬質アスファルト、石油アスファルト乳剤、改質アスファルト乳剤、高浸透性アスファルト乳剤、高濃度アスファルト乳剤等があり、これらの何れかが使用される。必要に応じて、消石灰或いはセメントを添加する場合が存在する。
アスファルト系安定材を含有することにより、路盤に雨水が浸透しても、路盤としての所要強度が得られるため、支持力低下による舗装体の破損が生じない。
また、雨水が地下に涵養されることにより、地下水資源の確保、浸水被害の抑制、地表温度の上昇抑制に貢献できる。
【0023】
ここで、路盤を強化する安定材として、アスファルト系安定材とセメント系安定材とがあり、本発明の実施形態においては両者を用いることができる。ただし、安定材にセメントを使用した場合(セメント安定処理路盤の場合)は、セメントが一度固化した後は、安定材としての再利用ができない。そのため、再利用に際しては新規な(未だに、目的物を構成する材料として用いられていないこと)セメント(新たなセメント)を混合する必要がある。
それに対して、アスファルト系安定材を使用してCO2吸収路盤材を構成した場合には、200℃未満の加熱によりCO2吸収性能を再生することが出来るので、アスファルト系安定材が劣化して安定材としての機能を失うことがない。そのため、アスファルト系安定材は、その様なCO2吸収性能の再生処置を行ったCO2吸収性能再生材に含まれるアスファルト安定材がCO2吸収路盤として不足する場合のみ、その必要量を追加すればよい。
なお、図示の実施形態において、安定材としてアスファルト系安定材を使用した場合に、セメント或いは消石灰を追加することがある。
【0024】
次に、実施形態に係るアスファルト系安定材を用いたCO
2吸収路盤材の製造について、
図2~
図7を参照して説明する。
図2は製造設備(製造プラント)で路盤材を構成する材料の混合を行う場合であって、新規な材料(新材料或いは新規材料)だけを用いる場合を示している。
ここで、「新規な材料」、「新規材料」或いは「新材料」という文言は、未だに目的物を構成する材料として用いられておらず(施工で用いられておらず)、路盤を構成していない材料であることを意味しており、或いは、再生材料ではないことを意味している。
図2において、全体を符号10で示す製造プラントは、その内部に、新規なCO
2吸収材を貯蔵する新CO
2吸収材貯蔵装置12と、CO
2吸収材以外の新規な材料を貯蔵する新材貯蔵装置14と、新規なアスファルト系安定材を貯蔵するアスファルト系安定材貯蔵装置16と、セメント貯蔵装置17と、水貯蔵装置18と、混合装置20(ミキサー)を有している。
【0025】
新CO2吸収材貯蔵装置12には図示しないCO2吸収材供給系統から新規なCO2吸収材(例えばナトリウムフェライト、炭酸カリウム)が供給され、経路L1を経由して新規なCO2吸収材がミキサー20に供給される。ここで、CO2吸収材は、アスファルトにより被覆されたものを用いることも可能である。
新材貯蔵装置14には図示しない新材供給系統から、CO2吸収材以外の新規な材料(新材:例えば砂等の骨材)が供給され、経路L2を経由して新材はミキサー20に供給される。
アスファルト系安定材貯蔵装置16には図示しないアスファルト系安定材供給系統からアスファルト系安定材が供給され、経路L3を経由してアスファルト系安定材がミキサー20に供給される。
水貯蔵装置18には図示しない水供給系統から水(例えば水道水)が供給され、経路L4を経由して水がミキサー20に供給される。
図示はされていないが、路盤材の仕様に対応して、セメント(或いは新規の消石灰等)がミキサー20に供給される。セメント或いは消石灰は、セメント貯蔵装置17において貯蔵され、経路L6を経由してミキサー20に供給される。
明確には図示されていないが、経路L1~L4、L6は、管路やコンベヤ等、公知の供給設備で構成することが出来る。
【0026】
ミキサー20において、CO2吸収材、新材、アスファルト系安定材、水、セメント(或いは消石灰)が混合され、混合物すなわちCO2吸収路盤材が経路L5を介して、運搬車両22(ダンプトラック)の荷台23に積載される。
車両22はCO2吸収路盤材を施工するべき現場まで移動し(矢印A1)、車両22で運搬されたCO2吸収路盤材は現場で施工される。
【0027】
ここで、製造設備では、新規な材料のみを混合するのではなく、再生材(CO
2吸収能力再生材以外の再生材)を混合することが可能である。その様な製造設備の一例を、
図3を参照して説明する。
図3において、製造設備10Aでは、CO
2吸収材以外の新規材料が新材貯蔵装置14から経路L2を経由してミキサー20に供給されるのに加えて、再生材(CO
2吸収能力再生材以外の再生材)が、再生材貯蔵装置19から経路L7を経由して、ミキサー20に供給される。
再生材貯蔵装置19には、再生材(CO
2吸収能力再生材以外の再生材)の供給系統(図示せず)と連通している。
なお、
図3の製造設備においては、CO
2吸収材や水以外の新材料を全く使用しないことも可能である。
図3の製造設備10Aのその他の構成及び作用効果については、
図2の製造設備10と同様である。
【0028】
また、CO
2吸収材を包含する上述した路盤材であって、CO
2吸収能力を喪失或いはCO
2吸収能力が低下した路盤材を再生処理することにより、CO
2吸収能力再生材と、新規な材料を混合することも可能である。その様な製造設備の一例を、
図4を参照して説明する。
図4において、製造設備10Bは、貯蔵設備40と、再生設備50と、CO
2吸収能力再生材貯蔵装置60と組み合わされている。
貯蔵設備40は貯蔵装置42を有し、貯蔵装置42には、CO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材であって、図示しない方法で路面から撤去、運搬された路盤材が貯蔵される。貯蔵装置42に貯蔵されたCO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材は、経路L11を介して再生設備50に供給される。
【0029】
再生設備50は破砕装置52を有しており、破砕装置52は、経路L11を介して搬送されたCO2吸収性能を喪失し或いはCO2吸収性能が低下した路盤材を、例えば最大粒径40mm程度に破砕する。そして、経路L13を介して加熱装置54に供給する。
加熱装置54では、破砕された前記路盤材(CO2吸収性能を喪失し或いはCO2吸収性能が低下した路盤材)を200℃未満で加熱し、以て、CO2吸収材におけるCO2吸収能力を回復させる。CO2吸収材を加熱する際に放出されたCO2が大気中に拡散されない様に、放出されたCO2はCO2回収ラインL17を介してCO2回収装置56で回収される。
【0030】
加熱され、CO
2吸収能力が再生したCO
2吸収能力再生材は、経路L12を介してCO
2吸収能力再生材貯蔵装置60に供給される。そして、CO
2吸収能力再生材貯蔵装置60から、CO
2吸収能力再生材は、経路L15を介して製造設備10Bのミキサー20に供給される。
図4では明示されていないが、CO
2吸収能力再生材は、CO
2吸収能力再生材貯蔵装置60から製造設備10Bのミキサー20に供給される際に、冷却後、必要に応じて再破砕される。
CO
2吸収能力を喪失或いはCO
2吸収能力が低下した路盤材におけるCO
2吸収性能を再生する再生工程は、全国に存在するアスファルト混合物製造所において容易に実施することができる。
【0031】
図2の製造設備10と同様に、
図4の製造設備10Bにおいても、新規のCO
2吸収材と、CO
2吸収材以外の新材料(骨材等)と、新規のアスファルト系安定材と、水と、セメントがミキサー20に投入され、混練される。それに加えて、経路L15を介して、CO
2吸収能力再生材がミキサー20Cに投入される。
【0032】
CO2吸収能力再生材の中のCO2吸収材の含有量が必要量に対して不足している場合に、不足量に相当する新規CO2吸収材が経路L1を介してミキサー20に供給される。従って、CO2吸収能力を喪失或いはCO2吸収能力が低下した路盤材を再生処理することにより、新規に供給されるCO2吸収材の使用量を節減することが可能である。
新規のアスファルト系安定材についても、再生処理されてCO2吸収性能を回復した再生材におけるアスファルト系安定材の含有量が必要量よりも少なく、製造される路盤材の強度等の性能、品質が満足しない場合には、必要量に対する不足分に相当する量だけ新規のアスファルト系安定材を経路L3を介して供給することが出来る。換言すれば、再生処理されてCO2吸収性能を回復した再生材におけるアスファルト系安定材の含有量が、路盤材としての必要量を充足していれば、新規のスファルト系安定材を供給する必要は無い。
さらに、新規のCO2吸収材、アスファルト系安定材以外の新材料も同様に、製造される路盤材の強度等の性能、品質が満足しない場合には、必要量に対する不足分に相当する量のみ供給される。
【0033】
ミキサー20で混練された再生材を用いたCO
2吸収路盤材は、経路L5を介して運搬車両22(好ましくはダンプトラック)の荷台23に投入され、施工現場に運搬されて、施工される(矢印A3)。
図4の実施形態ではCO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材を用いているので、CO
2吸収性能を再生したCO
2吸収材が再利用され、新規CO
2吸収材の使用量を節減することが出来る。また、CO
2吸収材以外の新材料(骨材等)の使用量を節減することが出来る。
このため、新材料のみで本発明の路盤材を製造する場合と比較して、CO
2排出量を削減することができる。
発明者が別途行った実験によれば、CO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材のCO
2吸収能力を再生する再生処理を複数回実行しても、CO
2吸収能力を再生することが出来た。
図4におけるその他の構成及び作用効果は、
図2と同様である。
【0034】
図4ではCO
2吸収能力再生材と新材料により路盤材を製造しているが、新規材料と、CO
2吸収能力再生材と、再生材(CO
2吸収能力再生材以外の再生材)により路盤材を製造する場合がある。
図5を参照して、新規材料と、CO
2吸収能力再生材と、再生材(CO
2吸収能力再生材以外の再生材)で路盤材を製造する態様について説明する。
図5において、製造設備10Cでは、CO
2吸収材以外の新材料が新材貯蔵装置14から経路L2を経由してミキサー20に供給されるのに加えて、再生材(CO
2吸収能力再生材以外の再生材)が、再生材貯蔵装置19から経路L7を経由して、ミキサー20に供給される。再生材貯蔵装置19には、再生材(CO
2吸収能力再生材以外の再生材)の供給系統(図示せず)と連通している。
そして、再生設備50で加熱されたCO
2吸収能力再生材が、CO
2吸収能力再生材貯蔵装置60から、経路L15を介してミキサー20に供給される。
その結果、製造設備10Cでは、CO
2吸収能力再生材と、再生材(CO
2吸収能力再生材以外の再生材)の双方をミキサー20に供給して、路盤材を製造する。
図5におけるその他の構成及び作用効果については、
図4と同様である。
なお、
図5の製造設備においては、水以外の新材料を全く使用しないことも可能である。
【0035】
明確に示されていないが、
図4、
図5において、新材貯蔵装置14から新規骨材をミキサー20に供給し、CO
2吸収能力再生材貯蔵装置60からCO
2吸収能力再生材をミキサー20に供給して、路盤材を製造することが可能である。
また、
図5では前記に加えて再生材をミキサー20に供給し、路盤材を製造することも出来る場合がある。
【0036】
製造設備でCO
2吸収材を添加してしまうと、その後、現場で施工されるまでの間に、CO
2吸収材がCO
2を吸収してしまい、その吸収した分だけ施工現場で吸収出来るCO
2量が減少する恐れがある。
係る問題は、
図6~
図9で示す実施形態により対処することが出来る。
最初に
図6の実施形態を説明する。
図6の実施形態では、製造設備10Dで新材(骨材)と水を混合し、ダンプトラック22の荷台23に積載して施工現場30まで搬送する。ここで
図6の製造設備10Dにおいては、ミキサー20には新材(骨材)と水のみが供給される。
図6では、現場30は点線で囲われた領域として示している。
【0037】
現場30において、製造設備10Dから運搬された新材を荷下ろしした後、その位置にて敷き均し、符号32で示す新規のCO
2吸収材、符号34で示す新規のセメント(或いは消石灰:セメント、消石灰は不要の場合が有る)を散布し、
図6において符号8で示す水は、各種材料を散布するに際して、適宜散布される。
散布が完了した後、アスファルト系安定材36の散布装置を具備したスタビライザーにより、符号36で示す新規のアスファルト系安定材を散布するのと同時に混合する。係る混合(路上混合)は
図6において符号RMで示されている。路上混合RMにより、CO
2吸収路盤材が路上において製造される。
ここで、製造設備10Dから運搬された新材と既設路盤材(既設道路にある材料であり、既設路盤の上方に積層している層の一部の材料が含まれることもある)とを混合してCO
2吸収路盤材を製造する場合においては、現場30における既設路盤材は、CO
2吸収材を包含しない路盤材であっても良いし、CO
2吸収材を包含する路盤材であっても良い。
【0038】
図6の実施形態によれば、CO
2吸収材は施工現場30において現位置に散布されるため、CO
2吸収材の散布からCO
2吸収路盤製造までの時間は、例えば
図2で示す実施形態に比較して、製造設備10Dから施工現場30まで搬送される分だけ短縮され、施工されていないCO
2吸収材がCO
2を吸収してしまう時間も短縮される。そのため、
図6で示す実施形態であれば、
図2の実施形態に比較して、道路で吸収可能なCO
2量は増加する。
本明細書において、例えば
図2で示す様に、CO
2吸収路盤材を製造するために材料を混合する工程を製造設備(10D)で実行する態様を「中央混合方式」と呼称し、例えば
図6で示す様に、CO
2吸収路盤材を製造するための材料を散布して混合する工程を路上で実行する態様を「路上混合方式」と呼称する場合がある。
【0039】
図6の路上混合方式において、製造設備10Dのミキサー20は新材(骨材)と水のみを混合しているが、
図7の実施形態では、製造設備10Eにおいて、新材と水に加えて、再生材(CO
2吸収能力再生材以外の再生材)が、再生材貯蔵装置19から経路L7を経由して、ミキサー20に供給されている。
なお、
図7の製造設備10Eにおいては、新材を全く使用しないことも可能である。
図7におけるその他の構成と作用効果は、
図6と同様である。
【0040】
図6、
図7の実施形態では、CO
2吸収材は新規吸収材のみを使用しているが、
図8で示す様に、路上混合方式においても、CO
2吸収能力再生材を用いることが出来る。
図8において、貯蔵設備40と、再生設備50と、CO
2吸収能力再生材貯蔵装置60については、
図4で説明したのと同様である。
CO
2吸収能力再生材貯蔵装置60に貯蔵されたCO
2吸収能力再生材は、CO
2吸収能力を再生したCO
2吸収材を含有しており、当該CO
2吸収能力再生材は経路L15を介して製造設備10Fのミキサー20に供給される。
図4で説明した通り、CO
2吸収能力を喪失或いはCO
2吸収能力が低下した路盤材に含有されるCO
2吸収材を再生するため、CO
2吸収能力再生材貯蔵装置60に貯蔵されたCO
2吸収能力再生材は加熱装置54で加熱されている。加熱後、冷却されたCO
2吸収能力再生材は、再利用方法に従って、再破砕される場合がある。
【0041】
再び
図8において、新材(骨材)、水、経路L15を介して供給されたCO
2吸収能力再生材はミキサー20で混合された後、ダンプトラック22により現場30に運搬され、新規CO
2吸収材32、新規セメント34(或いは消石灰:セメント、消石灰は不要の場合が有る)、水38が散布され、スタビライザー(図示せず)により新規アスファルト系安定材36が散布されるのと同時に、混合(RM:路上混合)されて、路盤材が製造される。
ここで、例えば加水機能付きスタビライザーを用いることにより、スタビライザーの混合と同時に水を散布することも出来る。
新規CO
2吸収材32、新規セメント34(或いは消石灰:セメント、消石灰は不要の場合が有る)、新規アスファルト系安定材36、水38を散布するのは、CO
2吸収能力再生材に包含されているCO
2吸収材、セメント、水、アスファルト系安定材が路盤材における必要量に対して不足している場合に、当該不足量を補填するためである。
なお、
図8の製造設備10Fにおいては、新材を全く使用しないことも可能である。
図8における路上混合RMについては、
図6と同様である。
【0042】
図9の実施形態では、製造設備10Gのミキサー20には、新材(CO
2吸収材以外の材料の新規材料)、水、経路L15Dを介して供給されたCO
2吸収能力再生材に加えて、再生材(CO
2吸収能力再生材以外の再生材)が再生材貯蔵装置19から経路L7を経由して、ミキサー20に供給される。
再生材貯蔵装置19には、CO
2吸収材以外の再生材の供給系統(図示せず)と連通している。
なお、
図9の製造設備10Gにおいては、新材を全く使用しないことも可能である。
図9におけるその他の構成及び作用効果は、
図8と同様である。
【0043】
図10は路上混合方式のさらに別の態様を示している。
図6~
図9の実施形態では、製造設備で混合された材料をダンプトラック22により現場30に運搬しているが、
図10の実施形態では製造設備からダンプトラック22で運搬することを行っていない。
図10において、現場30(符号省略)である道路の路面Sの路盤上方に積層されている層の全て或いは一部を切削装置(図示せず)で切削し、その後,車両62の破砕装置66で破砕している。破砕装置66で破砕した結果、路面Sから剥ぎ取られた路盤材が一次破砕される。
なお、切削装置と破砕装置は、1つの車両で同時に行うこともある。
路面Sから剥ぎ取られ、一次破砕された路盤材には、符号32で示す新規CO
2吸収材、符号34で示す新規セメント或いは消石灰、符号38で示す水が散布され、符号36で示す新規アスファルト系安定材が散布されるのと同時に、スタビライザー(図示せず)により混合されて、路盤材が製造される。
ここで、新規CO
2吸収材32、新規セメント34(或いは消石灰:セメント、消石灰は不要の場合がある)、新規アスファルト系安定材36、新規水38が散布されるのは、路面から剥ぎ取られて一次破砕された路盤材においては、CO
2吸収材、セメント或いは消石灰、水、新規アスファルト系安定材が、当該発明であるCO
2吸収路盤材として必要な量に対して不足しているからである。
また、新規CO
2吸収材32、新規セメント34(或いは消石灰:セメント、消石灰は不要の場合がある)、新規アスファルト系安定材36、新規水38の散布量は、路面Sから剥ぎ取られて一次破砕された路盤材において、(前記散布される材料が)CO
2吸収路盤材として不足している分量である。
【0044】
CO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材を加熱して再生するとCO
2が放出される。放出されたCO
2を大気中に開放すると、CO
2排出量が増加してしまう。そのため、図示の実施形態では、
図11で示す様に、放出されたCO
2を回収する構成を具備している。
図11は、
図4、
図5、
図8、
図9における再生設備50を示している。
図4を参照して上述した通り、
図11において、再生設備50は破砕装置52を有しており、破砕装置52は、経路L11を介して搬送されたCO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材を、例えば最大粒径40mm程度に破砕する。そして、経路L13を介して加熱装置54に供給する。
【0045】
加熱装置54では、破砕された前記路盤材(CO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材)を200℃未満となるように加熱し、以て、CO
2吸収材におけるCO
2吸収能力を回復させる。CO
2吸収材を加熱する際に放出されたCO
2はCO
2回収ラインL17を介してCO
2回収装置56で回収されるので、大気中には拡散しない。
この様に、図示の実施形態では、CO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材を再生する際に放出されるCO
2について、大気中に拡散することなく回収している。ここで、CO
2回収装置56は、例えば吸着材等でCO
2を吸着して、貯蔵する。CO
2回収装置56により回収、貯蔵されたCO
2は、図示しない公知技術により再利用することができる。
図11で示す装置におけるその他の構成及び作用効果は、
図4と同様である。
【0046】
図11で再生されたCO
2吸収性能再生材は、
図4、
図5、
図8、
図9の設備におけるCO
2吸収路盤材の製造のみに用いられる訳ではない。アスファルト混合物製造設備において、アスファルト混合物として不足する分の骨材(新材、再生材)、アスファルトなどとCO
2吸収性能再生材を加熱、混合することにより、CO
2吸収性能を有したCO
2吸収アスファルト混合物を製造することができる。
【0047】
図11では、CO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材を加熱して再生する際に放出されるCO
2について対処している。
しかし、放出されたCO
2の回収は、CO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材の再生処理においてのみ行われる訳ではない。
図12、
図13で示す様に、既に敷設されたCO
2吸収路盤材からCO
2を放出して回収することが可能である。
【0048】
図12は、CO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材が敷設された状態で、CO
2吸収性能を再生する際に放出されたCO
2を回収する態様を示している。ここで、路盤の上方に積層された舗装材は、図示しない装置により路盤材から既に撤去されているか、或いは、上方に積層された舗装材が薄い層として残存しているが、当該薄い層は
図12では図示を省略している。なお、残存する舗装材は、構築しようとしているCO
2吸収路盤厚さの50%以下の厚さ寸法で、路盤上方に積層されることが望ましい。
図12では、全体を符号70で示す路上路盤材再生車両がCO
2吸収路盤RC(実施形態に係るCO
2吸収路盤材で構成された路盤)上を走行している。
路上路盤材再生車両70は、加熱装置70A(路面ヒータ)と破砕攪拌装置70BとCO
2吸収装置70C(回収装置)を有している。
図12における符号Fは路上路盤材再生車両70の進行方向を示している。
【0049】
加熱装置70A(路面ヒータ)は、路上路盤材再生車両70の走行中に、敷設されたCO2吸収路盤RCの温度が200℃未満となる様に、路盤RCの表面S(路面)に熱風(矢印B1)を吹き付けて加熱する機能を有している。
上述した様に、図示の実施形態に係るCO2吸収路盤材は200℃未満に加熱されると吸収したCO2を放出するので、CO2吸収路盤RCの温度が200℃未満となればCO2が放出され、CO2吸収路盤RCのCO2吸収能力が再生される。
【0050】
図12において、破砕攪拌装置70Bは、路上路盤材再生車両70の走行中に、敷設されたCO
2吸収路盤RCの表面近傍を破砕攪拌する機能を有している。
図12における符号RCは、破砕攪拌装置70Bにより、破砕攪拌された路盤RCの表面近傍の領域を示している。
破砕攪拌装置70Bにより、CO
2吸収路盤RCの表面近傍を掻き剥がし、破砕撹拌することで、CO
2吸収路盤RCの表面よりも下方の領域からもCO
2が放出される。
加熱装置70Aで加熱されることにより放出されたCO
2は、CO
2吸収装置70C(回収装置)により吸引、回収される(矢印B2)。
加熱装置70A、破砕攪拌装置70B、回収装置70Cについては、従来公知の構造を用いることが出来る。
【0051】
路上路盤材再生車両70の加熱装置70Aから熱風(矢印B1)を吹き付けられてCO2を放出したCO2吸収路盤RCは、CO2吸収能力が回復する(再生する)。
そして、CO2吸収路盤RCから放出されたCO2は、路上路盤材再生車両70のCO2吸収装置70C(回収装置)により回収され、貯蔵されるので、大気中に排出されてしまうことはない。路上路盤材再生車両70の回収装置70Cにより回収、貯蔵されたCO2は、図示しない公知技術により再利用することができる。
路上路盤材再生車両70が破砕攪拌装置70Bを作動させながらCO2吸収路盤RCを走行した後、図示しない路面改修車両でCO2吸収路盤RCに舗装材を積層し、或いは、CO2吸収路盤RCの表面を改修、整備することが出来る。
【0052】
図12では明示されていないが、加熱してCO
2を回収した後に、CO
2吸収材、セメント(或いは消石灰:セメント、消石灰は不要の場合が有る)、水、アスファルト系安定材を散布し、例えばスタビライザー(図示せず)により混合することが出来る。
この場合、CO
2吸収材、セメント、水、アスファルト系安定材を散布し、路上混合した後、当該路盤に舗装材を積層することも出来る。
なお、ここで散布されるCO
2吸収材、セメント或いは消石灰、水、アスファルト系安定材は、路盤材の強度等の性能、品質が満足しない場合に、必要量に対する不足分に相当する量のみ加えられる。
【0053】
図12の実施形態では敷設された路盤材を剥ぎ取り、破砕している。それに対して
図13では、路盤材を剥ぎ取ることなく、敷設された状態で、CO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤材のCO
2吸収能力を再生している。
図13において、路上路盤材再生車両70-1は、加熱装置70AとCO
2吸収装置70Cを有しているが、破砕攪拌装置70Bは具備していない。
敷設された路盤RC上を路上路盤材再生車両70-1が走行して、CO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤に対して、加熱装置70Aから熱風(矢印B1)が吹き付けられて、路盤材の温度が200℃未満となる様に加熱される。CO
2吸収性能を喪失し或いはCO
2吸収性能が低下した路盤は、加熱されることによりCO
2を放出し、CO
2吸収能力が再生する。
【0054】
加熱装置70Aで加熱された路盤材が放出したCO
2は、CO
2吸収装置70Cにより吸引、回収され(矢印B2)、貯蔵される。回収され、貯蔵されたCO
2は、従来公知の技術により再利用され、大気に拡散されることはない。そのため、CO
2排出量は増加しない。
なお、
図13においても、加熱装置70A、回収装置70Cについては、従来公知の構造を用いることが出来る。そして、加熱してCO
2を回収した後に、CO
2吸収材、セメント(或いは消石灰:セメント、消石灰は不要の場合が有る)、水、アスファルト系安定材を散布し、例えばスタビライザー(図示せず)により混合することが出来る。そして、CO
2吸収材、セメント、水、アスファルト系安定材を散布して路上混合した後に、当該路盤に舗装材を積層することも出来る。
なお、ここで散布されるCO
2吸収材、セメント或いは消石灰、水、アスファルト系安定材は、路盤材の強度等の性能、品質が満足しない場合に、必要量に対する不足分に相当する量のみ加えられる。
図13の実施形態におけるその他の構成及び作用効果は、
図12と同様である。
【0055】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではないことを付記する。
【符号の説明】
【0056】
10、10A、10C、10D・・・製造設備(製造プラント)
12、12A、12D・・・新規なCO2吸収材貯蔵装置
14・・・骨材貯蔵装置
16、16D・・・アスファルト系安定材貯蔵装置
18・・・水貯蔵装置
20、20C、20D・・・混合装置(ミキサー)
22・・・車両
23・・・荷台
30、30D・・・施工現場
40・・・貯蔵設備
42・・・使用済路盤材貯蔵装置
50・・・再生設備
52・・・破砕装置
60・・・CO2吸収能力再生材貯蔵装置
70、70-1・・・路上路盤材再生車両
70A・・・路面ヒータ(加熱装置)
70B・・・破砕攪拌装置
70C・・・CO2吸収装置(回収装置)
RC・・・CO2吸収路盤