(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033111
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
H02K 33/18 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
H02K33/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136505
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(74)【代理人】
【識別番号】100196140
【弁理士】
【氏名又は名称】岩垂 裕司
(72)【発明者】
【氏名】羽多野 慎司
【テーマコード(参考)】
5H633
【Fターム(参考)】
5H633BB08
5H633GG02
5H633HH02
5H633HH05
5H633JA01
(57)【要約】
【課題】アクチュエータの磁石とコイルとのギャップを狭くし、且つ、接続体の厚さを確保する。
【解決手段】アクチュエータ1は、コイルホルダ17に保持されるコイル10とヨーク8に固定される磁石7とがZ方向で対向し、コイル10に通電してX方向に可動体5を振動させる。コイルホルダ17は、コイル10のY方向の両側を囲む板部171を備える。板部171は、コイル10の外縁に沿うコイル保持部173と、コイル保持部173よりもZ方向の板厚が薄い接続体固定部174を備える。ヨークは、コイル10にZ方向から対向する第1対向部801と、コイル10にZ方向から対向する第2対向部802を備える。接続体4は、第1対向部801と接続体固定部174とを接続する第1接続体9Aと、第2対向部802と接続体固定部174とを接続する第2接続体9Bを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体と、
コイルホルダを備える支持体と、
前記可動体および前記支持体に接続される接続体と、
前記コイルホルダに保持されるコイルおよび前記コイルに第1方向で対向する磁石を備え、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向に交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を有し、
前記コイルホルダは、前記コイルの少なくとも一部を囲む板部を備え、
前記可動体は、前記磁石を保持するヨークを備え、
前記ヨークは、前記コイルに前記第1方向の一方側から対向する第1対向部、および、前記コイルに前記第1方向の他方側から対向する第2対向部を備え、前記第1対向部と前記第2対向部の少なくとも一方に前記磁石が固定され、
前記板部は、前記コイルの外縁に沿うコイル保持部と、前記コイル保持部よりも前記第1方向の板厚が薄い接続体固定部と、を備え、
前記接続体は、前記第1対向部と前記接続体固定部とを接続する第1接続体、および、前記第2対向部と前記接続体固定部とを接続する第2接続体の少なくとも一方を備えることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
前記第1方向と交差し且つ前記第2方向と交差する方向を第3方向とするとき、
前記コイル保持部は、前記コイルの前記第3方向の一方側、および前記コイルの前記第3方向の他方側を囲んでおり、
前記接続体固定部は、前記コイルに対して前記第3方向の一方側に設けられた一方側固定部、および、前記コイルに対して前記第3方向の他方側に設けられた他方側固定部を備え、
前記一方側固定部および前記他方側固定部は、それぞれ、前記第1接続体および前記第2接続体を介して前記第1対向部および前記第2対向部に接続されることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記板部には、前記第1方向の他方側に凹む第1凹部、および、前記第1凹部に対して前記第1方向で反対側において前記第1方向の一方側へ凹む第2凹部が設けられ、
前記接続体固定部は、前記第1凹部の底面および前記第2凹部の底面を表面とする薄肉部であり、
前記第1接続体は、前記第1対向部と前記第1凹部の底面とを接続し、
前記第2接続体は、前記第2対向部と前記第2凹部の底面とを接続することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記支持体は、前記コイルおよび前記コイル保持部に前記第1方向の一方側から重なる金属製の第1プレートと、前記コイルおよび前記コイル保持部に前記第1方向の他方側から重なる金属製の第2プレートと、を備え、
前記接続体固定部は、前記第1プレートおよび前記第2プレートから露出することを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記第1プレートは、前記第2方向の両端から前記第1方向の他方側に屈曲して前記コイル保持部の前記第2方向の側面に係止される第1固定部を備え、
前記第2プレートは、前記第2方向の両端から前記第1方向の一方側に屈曲して前記コイル保持部の前記第2方向の側面に係止される第2固定部を備えることを特徴とする請求項4に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記第1方向と交差し且つ前記第2方向と交差する方向を第3方向とするとき、
前記コイルホルダは、前記コイルに対して前記第3方向の一方側に配置される第1ホルダ部材と、前記コイルに対して前記第3方向の他方側に配置される第2ホルダ部材と、を備え、
前記コイル保持部は、前記第1ホルダ部材の前記第3方向の他方側の端部に設けられた第1コイル保持部と、前記第2ホルダ部材の前記第3方向の一方側の端部に設けられた第2コイル保持部と、を備え、
前記接続体固定部は、前記第1コイル保持部の前記第3方向の一方側に設けられた一方側固定部と、前記第2コイル保持部の前記第3方向の他方側に設けられた他方側固定部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記第1方向と交差し且つ前記第2方向と交差する方向を第3方向とするとき、
前記コイルホルダは、前記第3方向の一方側の端部において前記第1方向に延びる第1ホルダ側板部を備え、前記第1ホルダ側板部に基板が固定され、
前記板部には、前記コイルから引き出されたコイル線が配置される溝が設けられ、
前記溝は、前記コイル保持部および前記接続体固定部の表面を経由して、前記第1ホルダ側板部を前記第1方向に切り欠いた切欠き部まで延びていることを特徴とする請求項1に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動体を振動させるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、磁石を備えた可動体と、コイルを備えた支持体とを備え、コイルに駆動電流を流すことにより、可動体を支持体に対して振動させるアクチュエータが開示される。この種のアクチュエータは、支持体と可動体とを接続する接続体として弾性体や粘弾性体を用いる。特許文献1のアクチュエータでは、接続体として、シリコーンゲルなどのゲル状部材を用いる。
【0003】
特許文献1では、支持体は、アクチュエータの外形を規定する金属製のケースと、樹脂製のコイルホルダを備える。コイルは空芯コイルであり、コイルホルダの板部に設けられたコイル配置穴に配置される。可動体は、コイルに厚さ方向の一方側から対向する第1ヨークと、コイルに第1ヨークとは反対側から対向する第2ヨークを備えており、第1ヨークおよび第2ヨークは、それぞれ、コイルと対向する面に磁石が固定される。
【0004】
特許文献1では、コイルホルダには、コイル配置穴が形成された板部を板厚方向の一方側から覆う第1プレートと、板部を板厚方向の他方側から覆う第2プレートが取り付けられている。接続体は、第1プレートと第1ヨークとが対向する箇所、および、第2プレートと第2ヨークとが対向する箇所に配置される。コイルに通電すると、可動体は、コイルと磁石が対向する方向と交差する方向に振動する。このとき、第1プレートと第1ヨークとを接続する接続体、および、第2プレートと第2ヨークとを接続する接続体は、せん断方向に変形する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アクチュエータにおいて、可動体が振動する際の加速度を大きくするため、磁石とコイルとのギャップを小さくしたいという要望がある。しかしながら、特許文献1の構造では、磁石とコイルとのギャップを小さくすると接続体(ゲル状部材)の厚さも小さくなってしまう。ゲル状部材がせん断変形する場合、ゲル状部材の厚さを小さくしすぎると、安定して振動させることができないおそれがある。例えば、ゲル状部材の厚さが可動体の振幅よりも小さい場合、ゲル状部材が接合面から剥がれるおそれがある。
【0007】
本発明の課題は、以上の問題点に鑑みて、磁石とコイルとのギャップを小さくすることができ、且つ、接続体の厚さを確保できるアクチュエータの構成を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明のアクチュエータは、可動体と、コイルホルダを備える支持体と、前記可動体および前記支持体に接続される接続体と、前記コイルホルダに保持されるコイルおよび前記コイルに第1方向で対向する磁石を備え、前記可動体を前記支持体に対して前記第1方向に交差する第2方向に振動させる磁気駆動回路と、を有し、前記コイルホルダは、前記コイルの少なくとも一部を囲む板部を備え、前記可動体は、前記磁石を保持するヨークを備え、前記ヨークは、前記コイルに前記第1方向の一方側か
ら対向する第1対向部、および、前記コイルに前記第1方向の他方側から対向する第2対向部を備え、前記第1対向部と前記第2対向部の少なくとも一方に前記磁石が固定され、前記板部は、前記コイルの外縁に沿うコイル保持部と、前記コイル保持部よりも前記第1方向の板厚が薄い接続体固定部と、を備え、前記接続体は、前記第1対向部と前記接続体固定部とを接続する第1接続体、および、前記第2対向部と前記接続体固定部とを接続する第2接続体の少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、アクチュエータの支持体を構成するコイルホルダは、コイルを囲む板部を備えており、板部は、コイルの外縁に沿うコイル保持部よりも板厚が薄い接続体固定部を備えている。可動体と支持体とを接続する接続体は、板厚が薄い接続体固定部とヨークとが対向する箇所に配置される。このように、接続体が配置される個所の板厚を薄くすると、ヨークに固定される磁石とコイルとのギャップを小さくした場合でも、接続体固定部の厚さを薄くした分、接続体の厚さが小さくなることを抑制でき、接続体の厚さを確保できる。よって、磁石とコイルとのギャップを小さくすることにより可動体が振動する際の加速度を大きくでき、且つ、接続体の厚さが小さくなりすぎて安定して振動できなくなることを回避できる。
【0010】
本発明において、前記第1方向と交差し且つ前記第2方向と交差する方向を第3方向とするとき、前記コイル保持部は、前記コイルの前記第3方向の一方側、および前記コイルの前記第3方向の他方側を囲んでおり、前記接続体固定部は、前記コイルに対して前記第3方向の一方側に設けられた一方側固定部、および、前記コイルに対して前記第3方向の他方側に設けられた他方側固定部を備え、前記一方側固定部および前記他方側固定部は、それぞれ、前記第1接続体および前記第2接続体を介して前記第1対向部および前記第2対向部に接続されることが好ましい。このようにすると、コイルホルダは、第3方向の両端部分が、それぞれ、第1方向の両側から接続体を介してヨークに接続される。従って、可動体を安定して支持できる。
【0011】
本発明において、前記板部には、前記第1方向の他方側に凹む第1凹部、および、前記第1凹部に対して前記第1方向で反対側において前記第1方向の一方側へ凹む第2凹部が設けられ、前記接続体固定部は、前記第1凹部の底面および前記第2凹部の底面を表面とする薄肉部であり、前記第1接続体は、前記第1対向部と前記第1凹部の底面とを接続し、前記第2接続体は、前記第2対向部と前記第2凹部の底面とを接続することが好ましい。このようにすると、板部の第1方向の両側において、それぞれ、凹部の深さの分だけヨークとの第1方向の間隔が広がる。従って、コイルに第1方向の一方側から対向する磁石とのギャップ、および、コイルに第1方向の他方側から対向する磁石とのギャップをいずれも狭くした場合でも、接続体の厚さが小さくなりすぎて安定して振動できなくなることを回避できる。
【0012】
本発明において、前記支持体は、前記コイルおよび前記コイル保持部に前記第1方向の一方側から重なる金属製の第1プレートと、前記コイルおよび前記コイル保持部に前記第1方向の他方側から重なる金属製の第2プレートと、を備え、前記接続体固定部は、前記第1プレートおよび前記第2プレートから露出することが好ましい。このようにすると、第1プレートと第2プレートによってコイルを保護できるので、磁石とコイルとのギャップを狭くした場合でも、磁石との衝突によりコイルが損傷するおそれが少ない。また、接続体固定部は第1プレートおよび第2プレートから露出しているので、接続体の配置スペースの第1方向の高さが低くなることはない。従って、接続体の厚さを確保できる。
【0013】
本発明において、前記第1プレートは、前記第2方向の両端から前記第1方向の他方側に屈曲して前記コイル保持部の前記第2方向の側面に係止される第1固定部を備え、前記第2プレートは、前記第2方向の両端から前記第1方向の一方側に屈曲して前記コイル保
持部の前記第2方向の側面に係止される第2固定部を備えることが好ましい。このようにすると、第1プレート、第2プレート、コイルホルダ、およびコイルを組み立ててコイル組として取り扱うことができる。従って、コイルホルダを2部材に分割する際に、アクチュエータ1の組立容易性の低下を抑制できる。
【0014】
本発明において、前記第1方向と交差し且つ前記第2方向と交差する方向を第3方向とするとき、前記コイルホルダは、前記コイルに対して前記第3方向の一方側に配置される第1ホルダ部材と、前記コイルに対して前記第3方向の他方側に配置される第2ホルダ部材と、を備え、前記コイル保持部は、前記第1ホルダ部材の前記第3方向の他方側の端部に設けられた第1コイル保持部と、前記第2ホルダ部材の前記第3方向の一方側の端部に設けられた第2コイル保持部と、を備え、前記接続体固定部は、前記第1コイル保持部の前記第3方向の一方側に設けられた一方側固定部と、前記第2コイル保持部の前記第3方向の他方側に設けられた他方側固定部と、を備えることが好ましい。このように、コイルホルダを2部材に分割することにより、コイルの第2方向の両側を覆う部分を省略できる。これにより、可動体の第2方向のサイズを小さくすることができ、アクチュエータの第2方向のサイズの小型化を図ることができる。
【0015】
本発明において、前記第1方向と交差し且つ前記第2方向と交差する方向を第3方向とするとき、前記コイルホルダは、前記第3方向の一方側の端部において前記第1方向に延びる第1ホルダ側板部を備え、前記第1ホルダ側板部に基板が固定され、前記板部には、前記コイルから引き出されたコイル線が配置される溝が設けられ、前記溝は、前記コイル保持部および前記接続体固定部の表面を経由して、前記第1ホルダ側板部を前記第1方向に切り欠いた切欠き部まで延びていることが好ましい。このようにすると、コイル線を基板まで引き回す際に接続体と干渉せずに引き回すことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アクチュエータの支持体を構成するコイルホルダは、コイルを囲む板部を備えており、板部は、コイルの外縁に沿うコイル保持部よりも板厚が薄い接続体固定部を備えている。可動体と支持体とを接続する接続体は、板厚が薄い接続体固定部とヨークとが対向する箇所に配置される。このように、接続体が配置される個所の板厚を薄くすると、ヨークに固定される磁石とコイルとのギャップを小さくした場合でも、接続体固定部の厚さを薄くした分、接続体の厚さが小さくなることを抑制でき、接続体の厚さを確保できる。よって、磁石とコイルとのギャップを小さくすることにより可動体が振動する際の加速度を大きくでき、且つ、接続体の厚さが小さくなりすぎて安定して振動できなくなることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明を適用したアクチュエータをZ2方向およびZ1方向から見た斜視図である。
【
図2】アクチュエータを長手方向に切断した場合の断面図(
図1(a)のA-A位置で切断した断面図)である。
【
図3】アクチュエータを長手方向と直交する方向に切断した場合の断面図(
図1(a)のB-B位置で切断した断面図)である。
【
図4】Z2方向から見た可動体およびコイル組の分解斜視図である。
【
図5】Z1方向から見た可動体およびコイル組の分解斜視図である。
【
図6】コイル組の組立方法を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したアクチュエータの実施形態を説明する。
【0019】
(全体構成)
図1(a)は、本発明を適用したアクチュエータ1をZ2方向から見た斜視図である。
図1(b)は、本発明を適用したアクチュエータ1をZ1方向から見た斜視図である。
図2は、アクチュエータ1を長手方向に切断した場合の断面図であり、
図1(a)のA-A位置で切断した断面図である。
図3は、アクチュエータ1を長手方向と直交する方向に切断した場合の断面図であり、
図1(a)のB-B位置で切断した断面図である。
図4は、Z2方向から見た可動体5およびコイル組13の分解斜視図である。
図5は、Z1方向から見た可動体5およびコイル組13の分解斜視図である。
図6は、コイル組13の組立方法を示す分解斜視図である。
図7は、コイル組13の斜視図である。
【0020】
アクチュエータ1は、振動によって情報を伝達する触覚デバイスとして用いられる。
図1(a)、
図1(b)に示すように、アクチュエータ1の外形は直方体形状である。アクチュエータ1は、その外形の短手方向に振動を発生させる。以下の説明では、振動が発生する短手方向をX方向(第2方向)、アクチュエータ1の長手方向であってX方向と直交する方向をY方向(第3方向)とし、アクチュエータ1の厚み方向(高さ方向)であって、X方向およびY方向と直交する方向をZ方向(第1方向)とする。また、X方向の一方側をX1方向、他方側をX2方向とする。Y方向の一方側をY1方向、他方側をY2方向とする。Z方向の一方側をZ1方向、他方側をZ2方向とする。
【0021】
図1、
図2、
図3に示すように、アクチュエータ1は、外形を規定するケース2を備える支持体3と、ケース2の内部に収容される可動体5を有する。また、アクチュエータ1は、支持体3と可動体5とを接続する接続体4と、可動体5を支持体3に対してX方向に相対移動させる磁気駆動回路6を備える。
【0022】
(支持体)
支持体3は、ケース2およびコイル組13を備える。
図4、
図5、
図6、
図7に示すように、コイル組13は、コイル10と、コイル10のY1側およびY2側を囲むコイルホルダ17と、コイル10にZ1方向から重なる第1プレート11と、コイル10にZ2方向から重なる第2プレート12を備える。第1プレート11および第2プレート12は、非磁性の金属からなる。
【0023】
図2、
図3に示すように、コイル10は、ケース2のZ方向の中央に位置する。コイル10は扁平な空芯コイルであり、その厚み方向をZ方向に向けている。
図4、
図5に示すように、コイル10は、Y方向に長い長円状であり、Y方向に平行に延びる一対の長辺部10a、10bを備える。一対の長辺部10a、10bの間には、Y方向に延びる中心穴10cが設けられている。
【0024】
(コイルホルダ)
図4、
図5に示すように、コイルホルダ17は、2部材に分割されている。コイルホルダ17は、コイル10のY1側に配置される第1ホルダ部材15と、コイル10のY2側に配置される第2ホルダ部材16を備える。第1ホルダ部材15および第2ホルダ部材16は、樹脂からなる。
【0025】
第1ホルダ部材15は、コイル10のY1側においてY方向に延びる第1板部151と、第1板部151のY1側の端からZ1方向およびZ2方向へ延びる第1ホルダ側板部152を備える。第2ホルダ部材16は、コイル10のY2側においてY方向に延びる第2板部161と、第2板部161のY2側の端からZ1方向およびZ2方向へ延びる第2ホルダ側板部162を備える。
【0026】
コイルホルダ17は、板厚方向がZ方向を向く板部171を備える。本形態では、コイルホルダ17が2部材に分割されており、第1板部151と第2板部161が板部171を構成する。板部171は、コイル10のY1側およびY2側においてコイル10の外縁を囲むコイル保持部173を備える。コイル保持部173は、第1板部151のY2側の端部に設けられた第1コイル保持部153と、第2板部161のY1側の端部に設けられた第2コイル保持部163を備える。コイル10は、第1コイル保持部153と第2コイル保持部163の間に配置される。第1コイル保持部153のY2側の端部、および、第2コイル保持部163のY1側の端部は、コイル10の外縁に沿う円弧形状である。
【0027】
コイル保持部173(第1コイル保持部153および第2コイル保持部163)は、Z方向の板厚がコイル10のZ方向の厚さよりも厚い。板部171は、コイル保持部173よりもZ方向の板厚が薄い接続体固定部174を備える。接続体固定部174は、Z方向の板厚がコイル10のZ方向の厚さよりも薄い。接続体固定部174は、第1コイル保持部153のY1側に設けられた一方側固定部154、および、第2コイル保持部163のY2側に設けられた他方側固定部164を備える。
【0028】
第1ホルダ部材15において、第1コイル保持部153のY1側には、Z1方向に凹む第1凹部155と、第1凹部155に対してZ方向で反対側においてZ2方向に凹む第2凹部156が設けられている。第1凹部155と第2凹部156のZ方向の深さは同一である。一方側固定部154は、第1凹部155の底面をZ2方向の表面とし、第2凹部156の底面をZ1方向の表面とする薄肉部である。
【0029】
第2ホルダ部材16において、第2コイル保持部163のY1側には、Z1方向に凹む第1凹部165と、第1凹部165に対してZ方向で反対側においてZ2方向に凹む第2凹部166が設けられている。第1凹部165と第2凹部166のZ方向の深さは同一である。他方側固定部164は、第1凹部165の底面をZ2方向の表面とし、第2凹部166の底面をZ1方向の表面とする薄肉部である。
【0030】
図2に示すように、接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)には、Z1方向およびZ2方向からヨーク8が対向する。後述するように、本形態では、接続体固定部174とヨーク8との間に配置される接続体4(第1接続体9Aおよび第2接続体9B)によって可動体5と支持体3とが接続される。
【0031】
(基板)
第1ホルダ部材15には、給電基板14が固定される。コイル10には、給電基板14を介して、電力が供給される。コイル10から引き出された2本のコイル線(図示省略)は、第1板部151のZ1方向の表面に形成された2本の溝141に配置され、第1ホルダ側板部152のX方向の中央部分をZ1方向に切り欠いた切欠き部158からY1方向に引き出され、切欠き部158のZ1方向に固定された給電基板14に接続される。
【0032】
本形態では、第1ホルダ部材15と第2ホルダ部材16は、同一形状であり、Y方向で逆向きに配置される。第2ホルダ側板部162には、第1ホルダ側板部152の切欠き部158と同一形状の切欠き部168が形成されており、第2板部161のZ1方向の表面には、2本の溝141が形成されている。そのため、コイル10からY2方向に引き出したコイル線を第2板部161の溝141に配置し、第1ホルダ側板部152でなく第2ホルダ側板部162に固定した給電基板14にコイル線を接続する構成を採用することも可能である。
【0033】
(プレート)
第1プレート11は、コイル10にZ1側から重なる第1板部111と、第1板部11
1のX方向の両端からZ2方向に屈曲した一対の第1曲げ部112を備える。第2プレート12は、コイル10にZ2側から重なる第2板部121と、第2板部121のX方向の両端からZ1方向に屈曲した一対の第2曲げ部122を備える。
【0034】
第1プレート11において、各第1曲げ部112のY1側およびY2側には、第1板部111からZ2方向に屈曲した第1固定部113が設けられている。第2プレート12において、各第2曲げ部122のY1側およびY2側には、第2板部121からZ1方向に屈曲した第2固定部123が設けられている。
【0035】
第1プレート11と第2プレート12を第1板部151および第2板部161に対してZ方向の両側から組み付けると、
図7に示すように、第1曲げ部112と第2曲げ部122は、コイル10の長辺部10a、10bをX方向の両側から覆う。また、第1曲げ部112と第2曲げ部122のY方向の両側において、第1プレート11の第1固定部113と第2プレート12の第2固定部123とが重なる。第1固定部113と第2固定部123は、Z方向に係止される。また、第1コイル保持部153の側面に設けられた爪部157と、第2コイル保持部163の側面に設けられた爪部167は、それぞれ、第1固定部113に設けられた切欠き部114、および、第2固定部123に設けられた切欠き部124に係止される。
【0036】
(コイル組の組立方法)
アクチュエータ1を製造する際、コイル10、第1プレート11、第2プレート12、第1ホルダ部材15、および第2ホルダ部材16からコイル組13を組み立てる。例えば、
図6に示すように、第1プレート11のY方向の両端において、一対の第1固定部113の間に、第1コイル保持部153および第2コイル保持部163をZ1側から嵌め込んで、第1固定部113の切欠き部114から爪部157、167をX方向の両側に突出させる。これにより、第1ホルダ部材15および第2ホルダ部材16が第1プレート11からY方向に抜けない状態に組み立てられる。
【0037】
しかる後に、第1コイル保持部153と第2コイル保持部163の間にコイル10を配置し、コイル線(図示省略)を溝141に配置して切欠き部158からY1側へ引き出す。そして、コイル10の中心穴10cに接着剤18(
図2、
図3参照)を入れた後に、第2プレート12をZ2側から被せる。このとき、第2プレート12のY方向の両端において、一対の第2固定部123の間に一対の第1固定部113を嵌め込んで、第2固定部123の切欠き部124から爪部157、167をX方向の両側に突出させる。
【0038】
図7に示すように、コイル組13を組み立てたとき、コイルホルダ17の板部171は、コイル保持部173(第1コイル保持部153および第2コイル保持部163)が第1プレート11および第2プレート12によって覆われ、接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)は露出する。一方側固定部154は、第1プレート11および第2プレート12のY1側に延びており、他方側固定部164は、第1プレート11および第2プレート12のY2側に延びている。
【0039】
(可動体)
可動体5は、磁石7およびヨーク8を備える。
図2、
図3に示すように、磁石7は、コイル10とZ方向で対向する。コイル10と磁石7とは、磁気駆動回路6を構成する。可動体5は、磁石7として、第1磁石71および第2磁石72を備える。第1磁石71は、コイル10のZ1方向に位置する。第2磁石72は、コイル10のZ2方向に位置する。第1磁石71および第2磁石72は、X方向で2つに分極されている。
図3に示すように、可動体5と支持体3とを組み立てると、コイル10の長辺部10a、10bには、Z1方向で第1磁石71が対向し、Z2方向で第2磁石72が対向する。
【0040】
ヨーク8は磁性材料からなる。
図3に示すように、ヨーク8は、コイル10に対してZ1方向から対向する第1対向部801と、コイル10に対してZ2方向から対向する第2対向部802を備える。第1対向部801には、第1磁石71が固定される。第2対向部802には、第2磁石72が固定される。また、ヨーク8は、コイル10のX方向の両側においてZ方向に延びる一対の接続部803を備える。一対の接続部803は、第1対向部801と第2対向部802とを接続する。
【0041】
ヨーク8を組み立てる際、第1対向部801のX方向の両端からZ2方向に延びる一対の連結板部804の内側に、第2対向部802のX方向の両端からZ1方向に延びる一対の連結板部805を圧入して固定する。これにより、一対の接続部803が形成され、ヨーク8は、コイル10、第1プレート11、および第2プレート12の外周側を囲む形状に組み立てられる。
図4、
図5に示すように、本形態では、連結板部805は、Y方向の長さが連結板部804よりも短い。
【0042】
図2、
図3、
図4、
図5に示すように、ヨーク8は、第1ヨーク81と第2ヨーク82を備える。第1ヨーク81は、コイル10にZ1方向から重なる第1内側部材83と、第1内側部材83にZ1方向から重なる第1外側部材84の2部材を接合して構成される。第1内側部材83には、第1磁石71が固定される。第1外側部材84は、第1内側部材83にZ1方向から重なる第1平板部87と、第1平板部87のX方向の両端からZ2方向へ延びる一対の連結板部804を備える。
【0043】
第2ヨーク82は、コイル10にZ1方向から重なる第2内側部材85と、第2内側部材85にZ1方向から重なる第2外側部材86の2部材を接合して構成される。第2内側部材85には、第2磁石72が固定される。第2外側部材86は、第2内側部材85にZ1方向から重なる第2平板部88と、第2平板部88のX方向の両端からZ1方向へ延びる一対の連結板部805を備える。
【0044】
ヨーク8の第1対向部801は、第1外側部材84の第1平板部87と第1内側部材83とをZ方向に積層して構成される。
図2に示すように、第1内側部材83は、Y方向の長さが第1磁石71と同一であり、且つ、第1外側部材84の第1平板部87よりも短い。第1平板部87のY方向の両端には、第1内側部材83および第1磁石71のY1側およびY2側へ延びる第1接続体固定部806が設けられている。2箇所の第1接続体固定部806は、それぞれ、コイル組13の接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)とZ方向に対向する。
【0045】
ヨーク8の第2対向部802は、第2外側部材86の第2平板部88と第2内側部材85とをZ方向に積層して構成される。
図2に示すように、第2内側部材85は、Y方向の長さが第2磁石72と同一であり、且つ、第2外側部材86の第2平板部88よりも短い。第2平板部88のY方向の両端には、第2内側部材85および第2磁石72のY1側およびY2側へ延びる第2接続体固定部807が設けられている。2箇所の第2接続体固定部807は、それぞれ、コイル組13の接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)とZ方向に対向する。
【0046】
アクチュエータ1を組み立てる際は、コイル組13を囲むように可動体5を組み立てるとともに、可動体5とコイル組13とを接続体4によって接続する。すなわち、Z方向に対向する第1接続体固定部806と接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)とを第1接続体9Aを介して接続するとともに、Z方向に対向する第2接続体固定部807と接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)とを第2接続体9Bを介して接続する。
【0047】
(接続体)
図2に示すように、接続体4は、第1接続体9Aおよび第2接続体9Bを備える。
図4、
図5に示すように、第1接続体9Aおよび第2接続体9Bは、X方向に長い直方体形状である。第1接続体9Aは、コイル10のZ1側に位置する。第2接続体9Bは、コイル10のZ2側に位置する。第1接続体9Aは、第1磁石71のY1側およびY2側の2箇所に配置されており、同一形状の2部材からなる。第2接続体9Bは、第2磁石72のY1側およびY2側の2箇所に配置されており、同一形状の2部材からなる。第1接続体9Aおよび第2接続体9Bは、それぞれ、弾性および粘弾性の少なくとも一方を備える。
【0048】
第1接続体9Aは、上記のように、コイル10のY方向の両側において、ヨーク8の第1対向部801とコイルホルダ17の接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)との間に挟まれている。第1接続体9Aは、第1対向部801と接続体固定部174との間でZ方向に圧縮される。第2接続体9Bは、上記のように、コイル10のY方向の両側において、ヨーク8の第2対向部802と接続体固定部174との間に挟まれている。第2接続体9Bは、第2対向部802と接続体固定部174との間でZ方向に圧縮される。
【0049】
本形態では、第1接続体9Aおよび第2接続体9Bは、シリコーンゲルからなるゲル状部材である。より具体的には、ゲル状部材のZ1方向およびZ2方向の表面には、ゲル状部材自身の粘着性によってPETシートなどの可撓性フィルムが貼りつけられており、ゲル状部材は、PETシートを介して可動体5および支持体3に接合されている。なお、PETシートを省略することもできる。シリコーンゲルは、伸縮方向に変形する際のばね定数が、せん断方向に変形する際のばね定数の3倍程度になる粘弾性体である。粘弾性体は、厚さ方向と交差する方向(せん断方向)に変形する場合、引っ張られて伸びる方向の変形であるため、非線形の成分よりも線形の成分が大きい変形特性を備える。また、厚さ方向に押圧されて圧縮変形する際は、線形の成分よりも非線形の成分が大きい伸縮特性を備える一方、厚さ方向に引っ張られて伸びる場合は、非線形の成分よりも線形の成分が大きい伸縮特性を備える。
【0050】
あるいは、第1接続体9Aおよび第2接続体9Bとして、天然ゴム、ジエン系ゴム(例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム等)、非ジエン系ゴム(例えば、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴム、エチレン・プロピレン・ジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム等)、熱可塑性エラストマー等の各種ゴム材料及びそれらの変性材料を用いてもよい。
【0051】
(ケース)
図1、
図2、
図3に示すように、ケース2は、Z方向に重ねられた第1ケース部材30および第2ケース部材40を備える。第1ケース部材30は、Z1方向からコイル組13に組み付けられている。第2ケース部材40は、Z2方向からコイル組13および第1ケース部材30に組み付けられている。
【0052】
第1ケース部材30は、コイル10にZ1方向から対向する略長方形の第1端板部31と、第1端板部31の外縁からZ2方向へ延びる第1側板部32を備える。第2ケース部材40は、コイル10にZ1方向から対向する略長方形の第2端板部41と、第2端板部41の外縁からZ1方向へ延びる第2側板部42を備える。
【0053】
コイル組13および可動体5をケース2に収容する際、
図2に示すように、コイル組13は、第1ホルダ側板部152のZ1方向の先端、および、第2ホルダ側板部162のZ
1方向の先端が第1端板部31にZ1方向から当接する。これにより、第1ケース部材30に対してコイル組13がZ方向に位置決めされる。
【0054】
図4、
図5に示すように、コイル組13は、第1ホルダ側板部152のY1側の表面からY1方向に突出する第1受け部159、および、第2ホルダ側板部162のY2側の表面からY2方向に突出する第2受け部169を備える。第1ケース部材30、コイル組13、および可動体5に対して第2ケース部材40をZ2方向から被せる際、
図2に示すように、第2ケース部材40の第2側板部42を第1受け部159と第2受け部169にそれぞれZ2方向から当接させる。これにより、第2ケース部材40は、コイル組13を介して、第1ケース部材30に対してX方向に位置決めされる。
【0055】
(本形態の主な作用効果)
以上のように、本形態のアクチュエータ1は、可動体5と、コイルホルダ17を備える支持体3と、可動体5および支持体3に接続される接続体4と、コイルホルダ17に保持されるコイル10およびコイル10にZ方向(第1方向)で対向する磁石7を備え、可動体5を支持体3に対してZ方向に交差するX方向(第2方向)に振動させる磁気駆動回路6と、を有する。コイルホルダ17は、コイル10のY1方向(第3方向の一方側)の端部、およびコイル10のY2方向(第3方向の他方側)の端部を囲む板部171(第1板部151および第2板部161)を備える。可動体5は、磁石7を保持するヨーク8を備え、ヨーク8は、コイル10にZ1方向(第1方向の一方側)から対向する第1対向部801、および、コイル10にZ2方向(第1方向の他方側)から対向する第2対向部802を備える。磁石7は、第1対向部801に固定される第1磁石71と、第2対向部802に固定される第2磁石72を備える。コイルホルダ17の板部171は、コイル10のY1方向の端部の外縁、および、コイル10のY2方向の端部の外縁に沿うコイル保持部173(第1コイル保持部153および第2コイル保持部163)と、コイル保持部173よりもZ方向の板厚が薄い接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)を備える。接続体4は、第1対向部801と接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)とを接続する第1接続体9A、および、第2対向部802と接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)とを接続する第2接続体9Bを備える。
【0056】
本形態では、コイルホルダ17とヨーク8とがZ方向に対向する箇所に接続体4が配置される。コイルホルダ17は、コイル10の外縁に沿うコイル保持部173よりも、接続体4が配置される接続体固定部174の方がZ方向の板厚が薄い。従って、ヨーク8に固定される磁石7とコイル10とのギャップを小さくした場合でも、接続体固定部174の厚さを薄くした分、接続体4の厚さが小さくなることを抑制でき、接続体4の厚さを確保できる。よって、磁石7とコイル10とのギャップを小さくすることにより可動体5が振動する際の加速度を大きくでき、且つ、接続体4の厚さが小さくなりすぎて安定して振動できなくなることを回避できる。接続体4の厚さを可動体5の振幅以上の寸法にすることで、可動体5を安定して支持でき、安定した振動特性が得られる。本形態では、接続体4の厚さを可動体5の振幅の倍以上としている。
【0057】
本形態では、コイル保持部173(第1コイル保持部153および第2コイル保持部163)は、コイル10のY1方向およびY2方向を囲んでおり、接続体固定部174は、コイル10に対してY1方向に設けられた一方側固定部154、および、コイル10に対してY2方向に設けられた他方側固定部164を備える。一方側固定部154および他方側固定部164は、それぞれ、第1接続体9Aおよび第2接続体9Bを介して第1対向部801および第2対向部802に接続される。このように、コイルホルダ17のY1方向の両端部分が、それぞれ、Z方向の両側から接続体4(第1接続体9Aおよび第2接続体9B)を介してヨーク8に接続されることにより、可動体5を安定して支持できる。
【0058】
本形態では、コイルホルダ17の板部171には、Z2方向に凹む第1凹部(第1板部151の第1凹部155,および、第2板部161の第1凹部165)が設けられるとともに、第1凹部155に対してZ方向で反対側においてZ2方向に凹む第2凹部156、および、第1凹部165に対してZ方向で反対側においてZ2方向に凹む第2凹部166が設けられている。接続体固定部174は、第1凹部155の底面および第2凹部156の底面を表面とする薄肉部である一方側固定部154、および、第1凹部165の底面および第2凹部166の底面を表面とする薄肉部である他方側固定部164である。第1接続体9Aは、第1対向部801と第1凹部155、165の底面とを接続する。第2接続体9Bは、第2対向部802と第2凹部156、166の底面とを接続する。このように、板部171のZ方向の両面にそれぞれ凹部を形成することにより、板部171のZ方向の両側において、それぞれ、凹部の深さの分だけヨーク8とのZ方向の間隔が広がる。従って、コイル10にZ1方向から対向する第1磁石71とのギャップ、および、コイル10にZ2方向から対向する第2磁石72とのギャップをいずれも狭くした場合でも、接続体4(第1接続体9Aおよび第2接続体9B)の厚さが小さくなりすぎて安定して振動できなくなることを回避できる。
【0059】
本形態では、支持体3は、コイル10およびコイル保持部173(第1コイル保持部153および第2コイル保持部163)にZ1方向から重なる金属製の第1プレート11と、コイル10およびコイル保持部173にZ2方向から重なる金属製の第2プレート12を備える。接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)は、第1プレート11および第2プレート12から露出する。従って、第1プレート11と第2プレート12によってコイル10を保護できるので、磁石7とコイル10とのギャップを狭くした場合でも、磁石7との衝突によりコイル10が損傷するおそれが少ない。また、接続体固定部174(一方側固定部154および他方側固定部164)は第1プレート11および第2プレート12から露出しているので、接続体4(第1接続体9Aおよび第2接続体9B)の配置スペースのZ方向の高さが低くなることはなく、接続体4の厚さを確保できる。
【0060】
本形態では、第1プレート11は、X方向(第2方向)の両端からZ方向に屈曲してコイル保持部173(第1コイル保持部153および第2コイル保持部163)のX方向の側面に係止される第1固定部113を備える。第2プレート12は、X方向(第2方向)の両端からZ方向に屈曲してコイル保持部173(第1コイル保持部153および第2コイル保持部163)のX方向の側面に係止される第2固定部123を備える。これにより、第1プレート11、第2プレート12、コイルホルダ17、およびコイル10を組み立ててコイル組13として取り扱うことができるので、コイルホルダ17を第1ホルダ部材15と第2ホルダ部材16の2部材に分割する際に、アクチュエータ1の組立容易性の低下を抑制できる。
【0061】
本形態では、コイルホルダ17は、コイル10に対してY1方向に配置される第1ホルダ部材15と、コイル10に対してY2方向に配置される第2ホルダ部材16を備える。コイル保持部173は、第1ホルダ部材15のY2方向の端部に設けられた第1コイル保持部153と、第2ホルダ部材16のY1方向の端部に設けられた第2コイル保持部163を備える。接続体固定部174は、第1コイル保持部153のY1方向に設けられた一方側固定部154と、第2コイル保持部163のY2方向に設けられた他方側固定部164を備える。このように、コイルホルダ17を2部材に分割することにより、コイル10のX方向の両側を覆う部分を省略できる。これにより、可動体5のX方向のサイズを小さくすることができ、アクチュエータ1のX方向のサイズの小型化を図ることができる。
【0062】
本形態では、コイルホルダ17は、Y1方向の端部においてZ方向に延びる第1ホルダ
側板部152を備え、第1ホルダ側板部152に給電基板14が固定される。板部171には、コイル10から引き出されたコイル線が配置される溝141が設けられ、溝141は、第1コイル保持部153および一方側固定部154の表面を経由して、第1ホルダ側板部152をZ方向に切り欠いた切欠き部158まで延びている。従って、コイル線を給電基板14まで引き回す際に接続体4(第2接続体9B)と干渉せずに引き回すことができる。
【0063】
(変形例)
(1)上記形態は、コイルホルダ17を第1ホルダ部材15と第2ホルダ部材16の2部材に分割しているが、コイルホルダ17を1つの部材で構成してもよい。例えば、コイル10のX方向の両側においてY方向に延びて第1ホルダ部材15と第2ホルダ部材16を接続する部分を設けて、コイル10の全周をコイルホルダ17が囲む構成にすることができる。
【0064】
(2)上記形態のコイルホルダ17は、コイルのY1側およびY2側を囲むように構成されているが、他の部位を囲むようにコイルホルダ17を構成してもよい。例えば、コイルのX1側およびX2側を囲む形状としてもよい。また、上記形態では、接続体固定部174は、コイルのY1側およびY2側の2箇所に配置されているが、他の位置に接続体固定部174を配置してもよい。例えば、コイル10のX1側およびX2側に接続体固定部174を配置することもできる。
【0065】
(3)上記形態は、コイルホルダ17の板部171にZ1方向に凹む第1凹部155、165と、Z2方向に凹む第2凹部156、166を設けることにより、板部171のZ方向の両側において接続体4が配置されるスペースの高さを大きくしたものであるが、第1凹部155、165のいずれか一方、および、第2凹部156、166のいずれか一方のみを設ける構成としてもよい。
【0066】
(4)上記形態では、磁石7として第1磁石71と第2磁石72を備えているが、第1磁石71と第2磁石72の一方のみを備えている構成であってもよい。
【0067】
(5)上記形態では、接続体4として第1接続体9Aおよび第2接続体9Bを備えているが、第1接続体9Aと第2接続体9Bの一方のみが設けられている構成であってもよい。また、第1接続体9Aおよび第2接続体9Bは、それぞれ、2箇所に配置されているが、1箇所、もしくは、3箇所以上に配置してもよい。
【0068】
(6)上記形態では、ヨーク8は、第1ヨーク81と第2ヨーク82がそれぞれ、内側部材と外側部材を積層して構成されているが、第1ヨーク81と第2ヨーク82のそれぞれを外側部材のみで構成することができる。
【符号の説明】
【0069】
1…アクチュエータ、2…ケース、3…支持体、4…接続体、5…可動体、6…磁気駆動回路、7…磁石、8…ヨーク、9A…第1接続体、9B…第2接続体、10…コイル、10a、10b…長辺部、10c…中心穴、11…第1プレート、12…第2プレート、13…コイル組、14…給電基板、15…第1ホルダ部材、16…第2ホルダ部材、17…コイルホルダ、30…第1ケース部材、31…第1端板部、32…第1側板部、40…第2ケース部材、41…第2端板部、42…第2側板部、71…第1磁石、72…第2磁石、81…第1ヨーク、82…第1ヨーク、83…第1内側部材、84…第1外側部材、85…第2内側部材、86…第2外側部材、87…第1平板部、88…第2平板部、111…第1板部、112…第1曲げ部、113…第1固定部、114…切欠き部、121…第2板部、122…第2曲げ部、123…第2固定部、124…切欠き部、141…溝、1
51…第1板部、152…第1ホルダ側板部、153…第1コイル保持部、154…一方側固定部、155…第1凹部、156…第2凹部、157…爪部、158…切欠き部、159…第1受け部、161…第2板部、162…第2ホルダ側板部、163…第2コイル保持部、164…他方側固定部、165…第1凹部、166…第2凹部、167…爪部、168…切欠き部、169…第2受け部、171…板部、173…コイル保持部、174…接続体固定部、801…第1対向部、802…第2対向部、803…接続部、804…連結板部、805…連結板部、806…第1接続体固定部、807…第2接続体固定部