(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033119
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】遠隔作業者見守りシステム及び遠隔作業者見守り方法
(51)【国際特許分類】
B66B 5/00 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136516
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國信 脩平
(72)【発明者】
【氏名】松本 良史
(72)【発明者】
【氏名】高橋 才明
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304BA01
3F304BA21
3F304EB15
(57)【要約】
【課題】エレベーターの昇降路内の点検作業を行う際に、作業者の作業を監視する管理者の負担を軽減する。
【解決手段】エレベーターの作業において作業者が装着しているカメラで撮影される画像を監視する遠隔作業者見守りシステムであって、かご上スイッチが投入された後、管理者が作業者による乗りかごの運転を許可した場合に、運転許可信号をエレベーター装置21へ出力するエレベーター運転許可部64と、作業者が装着しているカメラを遠隔で操作するための指令を出力することが可能なカメラ操作部62と、カメラが撮影した画像を表示する映像確認部63と、を有する。カメラ操作部62は、エレベーター運転許可部64が運転許可信号をエレベーター装置21へ出力したとき、カメラに録画開始の指令を出力し、映像確認部63は、カメラから送信される画像を表示する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの作業において作業者が装着しているカメラで撮影される画像を監視する遠隔作業者見守りシステムであって、
乗りかごの上に設けられて前記作業者が前記乗りかごの上で前記乗りかごの運転を行う前に投入されるかご上スイッチと、
前記エレベーターの運転を制御するエレベーター装置と、
作業者を管理する管理者が使用する管理端末と、を備え、
前記管理端末は、
前記かご上スイッチが投入された後、前記管理者が前記作業者による前記乗りかごの運転を許可した場合に、運転許可信号を前記エレベーター装置へ出力するエレベーター運転許可部と、
前記作業者が装着している前記カメラを遠隔で操作するための指令を出力することが可能なカメラ操作部と、
前記カメラが撮影した画像を表示する映像確認部と、を有し、
前記カメラ操作部は、前記エレベーター運転許可部が前記運転許可信号を前記エレベーター装置へ出力したとき、前記カメラに録画開始の指令を出力し、前記映像確認部は、前記カメラから送信される画像を表示する
遠隔作業者見守りシステム。
【請求項2】
前記カメラ操作部は、前記かご上スイッチが投入された後、前記乗りかご上の前記作業者が作業する前に、前記管理者の指示により前記カメラで写真を撮影する指令を出力し、
前記映像確認部は、前記カメラで撮影された写真を表示する
請求項1に記載の遠隔作業者見守りシステム。
【請求項3】
前記エレベーター運転許可部は、前記管理者による乗りかごの運転許可の確認がなされていない場合、前記かご上スイッチの投入後において前記作業者による前記乗りかごの運転を不可とする
請求項1に記載の遠隔作業者見守りシステム。
【請求項4】
前記作業に係る作業計画と前記カメラの識別情報と紐づいた前記画像により、前記作業計画に含まれる作業に対する前記作業者の履行を管理する
請求項1に記載の遠隔作業者見守りシステム。
【請求項5】
エレベーターの作業において作業者が装着しているカメラで撮影される画像を監視する遠隔作業者見守りシステムによる遠隔作業者見守り方法であって、
前記遠隔作業者見守りシステムは、乗りかごの上に設けられて前記作業者が前記乗りかごの上で前記乗りかごの運転を行う前に投入されるかご上スイッチと、
前記エレベーターの運転を制御するエレベーター装置と、
作業者を管理する管理者が使用する管理端末と、を備え、
前記管理端末は、
前記かご上スイッチが投入された後、前記管理者が前記作業者による前記乗りかごの運転を許可した場合に、運転許可信号を前記エレベーター装置へ出力するエレベーター運転許可部と、
前記作業者が装着している前記カメラを遠隔で操作するための指令を出力することが可能なカメラ操作部と、
前記カメラが撮影した画像を表示する映像確認部と、を有し、
前記カメラ操作部は、前記エレベーター運転許可部が前記運転許可信号を前記エレベーター装置へ出力したとき、前記カメラに録画開始の指令を出力し、
前記映像確認部は、前記カメラから送信される画像を表示する
遠隔作業者見守り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔作業者見守りシステム及び遠隔作業者見守り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターは、昇降路の上端や下端に設置された巻上機に主ロープを掛けるとともに、この主ロープの一端側に乗りかごを、他端側に釣合いおもりをそれぞれ吊り下げる。そして、巻上機を駆動して主ロープを巻き上げることにより、乗りかごと釣合いおもりが昇降路内を釣瓶式に昇降するように構成されている。
【0003】
例えば、エレベーターには、昇降路内の頂部に配置された機器や下部に配置された制御盤などがある。エレベーターの保全作業では、作業者が乗りかご上に乗り込んでこれらの機器や制御盤等に対する作業を実施することがある。作業者は乗りかご上に乗り込む際に命綱を取付けなればならないが、ウェアラブルカメラを使用して使用履歴を残す必要がある。乗りかご上で行う作業(以下「乗りかご上作業」と呼ぶ)は、実際に作業者がどのような作業を実施しているか作業者以外の者が把握することは難しい。このため、作業者のウェアラブルカメラの映像を管理者が随時確認することで、作業の不安全行動等を確認することが行われている。しかし、随時管理者が映像を確認することは、管理者への負担となり課題となっている。
【0004】
特許文献1には、現場の作業者のカメラ画像が遠隔地の管理端末に表示されることが記載されている。そして、特許文献1には、作業者のカメラ画像を管理者が共有することによって、作業の誤りや漏れを防止し作業品質の向上を図るとともに、作業現場の不安全要素を視覚化して危険を回避し有効な訓練を実施することができると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された技術は、作業者のカメラ画像を常に管理者が監視する必要があるため、管理者が不在の場合などに作業現場で発生した不安全行動などの把握が遅れる可能性がある。さらには、管理者が作業者のカメラ画像を常に監視するには管理者の熟練度や体力等も必要となるため、長時間の監視による注意力の散漫等で不安全行動を見逃す可能性が考えられる。
【0007】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、エレベーターの昇降路内の点検作業において、昇降路内に限定して監視が必要な危険作業を管理者が部分的に監視することで管理者への負担軽減を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様の遠隔作業者見守りシステムは、エレベーターの作業において作業者が装着しているカメラで撮影される画像を監視する遠隔作業者見守りシステムであって、乗りかごの上に設けられて作業者が乗りかごの上で乗りかごの運転を行う前に投入されるかご上スイッチと、エレベーターの運転を制御するエレベーター装置と、作業者を管理する管理者が使用する管理端末と、を備える。
上記管理端末は、かご上スイッチが投入された後、管理者が作業者による乗りかごの運転を許可した場合に、運転許可信号をエレベーター装置へ出力するエレベーター運転許可部と、作業者が装着しているカメラを遠隔で操作するための指令を出力することが可能なカメラ操作部と、カメラが撮影した画像を表示する映像確認部と、を有する。カメラ操作部は、エレベーター運転許可部が運転許可信号をエレベーター装置へ出力したとき、カメラに録画開始の指令を出力し、映像確認部は、カメラから送信される画像を表示する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一態様によれば、エレベーターの昇降路内の点検作業を行う際に、管理者がエレベーター点検作業を随時監視する必要がなく、管理者の負担を軽減することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】エレベーターの主要部を示す概略構成図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムの全体構成例の概要を示す図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムにおける管理端末画面例(1),(2)を示す図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムにおける管理端末画面例(3),(4)を示す図である。による遠隔見守り装置管理端末画面図。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムにおける管理端末画面例(5)~(7)を示す図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムを構成する各装置の内部構成例を示すブロック図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムを構成するカメラ以外の各装置が備える計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係るカメラを構成する計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態における作業者の行動例を示したフローチャートである。
【
図10】本発明の第1の実施形態における管理者の行動例を示したフローチャートである。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムによる遠隔作業者見守り処理の手順例を示すシーケンスチャートである。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムにおける管理端末画面例(1)~(3)を示す図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムにおける管理端末画面例(4),(5)を示す図である。による遠隔見守り装置管理端末画面図。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムにおける管理端末画面例(6)~(8)を示す図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムによる遠隔作業者見守り処理の手順例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と称する)の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において、同一の構成要素又は実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0012】
<第1の実施形態>
[昇降機(エレベーター)の概略構成]
まず、作業者が行う作業の対象である昇降機の例としてエレベーターについて説明する。
図1は、エレベーターの主要部を示した概略構成図である。
図1において、エレベーター1は、点検等の作業を実施する作業者20が作業計画に基づき、作業を実施する対象(作業現場)であるエレベーターの一例である。
【0013】
エレベーター1は、乗りかご2、乗りかご2が昇降する昇降路3、ロープ4を駆動するモーター5、モーター5用の制御盤6、乗りかご2とロープ4で接続された釣合いおもり7、ピット9、及び乗場ドア10などで構成されている。ピット9は、エレベーター下部に位置し、乗りかご2が停止したり、釣合いおもり7の緩衝器8が設置されたりする空間である。また、エレベーター1は、昇降路3の頂部に設けられた、図示しないシンブルロッド部やロープ張力ばらつき検出装置などの頂部機器11、及び乗りかご2の上(天井裏)に設けられたかご上運転盤12などを備える。なお、エレベーター1は、図示しない一個以上のプーリを備えていると考えてよい。
【0014】
作業者は、かご上運転盤12を操作することにより、乗りかご2の上に乗りながら乗りかご2を運転することができる。かご上運転盤12が作業者の操作に基づいて出力する信号は、エレベーター1の内部(例えば、昇降路3の頂部)に配置されたエレベーター装置21に入力される。エレベーター装置21は、かご上運転盤12からの指令や担当営業所管理端末23(
図2参照)からの指令に従い、エレベーター1(乗りかご2)の運転を制御する。
【0015】
本明細書では、乗りかご2の上にいる作業者20が乗りかご2を運転するために操作するかご上運転盤12のように、乗りかごを単に「かご」と呼ぶことがある。例えば、以降の説明では、かご上運転盤12に設けられた操作スイッチを「かご上スイッチ」と呼んでいる。
【0016】
[遠隔作業者見守りシステムの全体構成]
次に、本発明の第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムの全体構成について説明する。
図2は、本実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムの全体構成例の概要を示す図である。
図2に示す遠隔作業者見守りシステム100は、一例として、エレベーター装置21、エレベーター管制システム22、担当営業所管理端末23、カメラ25、データ管理サーバー24、及び作業者端末26から構成されている。これらの装置、端末及びカメラ間は、ネットワークにより通信可能に接続されている。ネットワークが同一の通信ネットワークであるか、又は異なる2以上の通信ネットワークであるかは問わない。
【0017】
作業者20は、作業状況の映像を取得するためのカメラ25を装着している。カメラ25は、映像を取得(撮影)する機能と、取得した映像を画像データとして保存する機能を有する端末で構成される。例えば、カメラ25は、ウェアラブルカメラやスマートフォンのカメラ機能などであり、作業者20の頭部(例えば、ヘルメット)等に装着できるものである。カメラ25は、担当営業所管理端末23にカメラ25を識別するためのID(Identification)情報(以下「カメラID」)を登録することで、担当営業所管理端末23と無線で通信することが可能となる。
【0018】
担当営業所管理端末23は、管理者Aの指示に従って、カメラIDが登録されたカメラ25を遠隔で操作することが可能である。例えば、担当営業所管理端末23は、カメラ25へ画像撮影(写真撮影)又は録画開始の指令を出力し、カメラ25が撮影した現場状況の画像を受信して表示する。また、担当営業所管理端末23は、担当営業所内にあるエレベーター1の運転(走行、停止など)を遠隔で制御することができる。さらに、担当営業所管理端末23は、作業者20によるエレベーター1の運転の許可/不許可を決定することができる。担当営業所管理端末23には、上述した管理者Aによる、現場状況の確認、カメラ25の遠隔操作、及び、乗りかご2上での運転操作の許可/不許可の決定を実現するための管理端末画面が表示される(後述する
図3~
図5参照)。
【0019】
エレベーター装置21は、乗りかご2の運転を制御するための制御装置である。エレベーター装置21は、エレベーター管制システム22と常時通信を行っており、エレベーター1の運転状態や、かご上スイッチ12aの状態といったエレベーター1の状態に関する情報(エレベーター情報)をエレベーター管制システム22へ送信する。
【0020】
エレベーター管制システム22は、エレベーター装置21からエレベーター情報を受信し、エレベーター1の運転状態やかご上スイッチ12aの状態といった、各種建物のエレベーター1の状態を把握することができる。また、エレベーター管制システム22には、作業者端末26を用いて、作業者20によるエレベーター1の作業計画が登録される。そして、エレベーター管制システム22は、エレベーター1のエレベーター情報及び作業計画を、ネットワークで接続された担当営業所管理端末23に送信する。さらに、エレベーター管制システム22は、担当営業所が管轄する地域のエレベーター1から故障情報や運転許可信号を受信した際に、担当営業所管理端末23へ即時発報する。
【0021】
データ管理サーバー24は、作業者20が装着しているカメラ25により取得された映像(録画データ)を記録して管理するためのサーバーである。データ管理サーバー24は、作業計画と紐づけて、建物のエレベーターごとに映像(録画データ)を管理する。例えば、作業計画には、作業対象の「現場名」、エレベーターの「識別情報」、「作業者名」、「作業予定日時」、「作業内容」などが登録される。エレベーターの識別情報は、一例として「製造番号」、若しくは「現場名」と「号機」の組合せである。その現場(施設)にあるエレベーターが一基だけのときは、「現場名」だけでもよい。
【0022】
作業者端末26は、作業者20が作業に従事する際に使用するアプリケーションソフトウェア(以下「作業用アプリ」)が組み込まれた端末である。作業者20は、作業用アプリを操作して、作業計画を登録したり、作業進捗を報告したりする。作業者端末26として、スマートフォンやタブレット端末などを利用することができる。
【0023】
[管理端末画面]
ここで、担当営業所管理端末23の表示装置に表示される管理端末画面について、
図3~
図5を参照して説明する。
図3は、遠隔作業者見守りシステム100における管理端末画面例(1),(2)を示す図である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステム100における管理端末画面例(3),(4)を示す図である。
図5は、本実施形態に係る遠隔作業者見守りシステム100における管理端末画面例(5)~(7)を示す図である。
【0024】
図3には、担当営業所管理端末23に表示される管理端末画面例(1),(2)として、管理端末画面110a,110bが示されている。管理端末画面には、建物ごとに、「現場名」、「製造番号」、「号機」、「作業内容」、「作業者名」、「カメラID」、「エレベーター状態」、及び「カメラ操作」の各項目が一覧表の形式で表示される。
【0025】
「現場名」は、作業計画に登録されている現場又は作業者が作業を実施する現場の名称である。現場の名称としては、例えば、エレベーターが設置されている建物の名称が挙げられる。
「製造番号」は、製造したエレベーターを管理するために、エレベーター製造会社がエレベーターごとに付与する番号である。製造番号は、エレベーターを一意に識別するための識別情報の一例である。なお、
図3のように「現場名」と「号機」がわかっていればエレベーターを特定できるため、製造番号がなくてもよい。
「号機」は、同一現場(施設)内に複数基のエレベーターがある場合にエレベーターを特定するための識別情報である。
【0026】
「作業内容」は、部品の点検、清掃、調整、交換といった作業者20による作業の内容を表す情報である。
「作業者名」は、作業者20の名前を表す情報である。作業者名は、作業者を識別できる情報であればよいため、従業員コードのような識別子でもよい。
「カメラID」は、作業者20が撮影に使用するカメラ25の識別情報である。
【0027】
「エレベーター状態」は、エレベーター装置21の現在の状態を表す情報である。例えば、管理端末画面110a,110bでは、「エレベーター状態」として、“保守運転”、“停止中”、“平常運転中”、“かご上スイッチ投入”が表示されている。
「カメラ操作」は、カメラ25に対する操作内容、又はカメラ25の現在の状態を表す情報である。例えば、管理端末画面110b,110dでは、「カメラ操作」として、“画像撮影ボタン”と“撮影中”が表示されている。
図4のように、画像撮影ボタンを、管理端末画面内にポップアップ表示してもよい。
【0028】
図3の例では、作業者20の見守りが必要なエレベーター(号機)がわかるように、該当するエレベーター(号機)の「エレベーター状態」を強調表示している。ここでは、該当するエレベーター(号機)のレコードの一部(「エレベーター状態」)を太線で強調表示しているが、レコード全体を強調表示してもよい。
【0029】
管理端末画面110aは、かご上運転盤12に設けられたかご上スイッチ12a(
図6参照)が投入される前の管理端末画面の例である。エレベーター1の運転モードは、作業者20又は担当営業所管理端末23による遠隔操作により、保守運転モードになっている。
【0030】
管理端末画面110bは、かご上スイッチ12aが投入(オン)されたことを表す“かご上スイッチ投入”と、管理者Aがカメラ25を遠隔で操作して撮影を行うための画像撮影ボタン111と、を表示した管理端末画面の例である。なお、後述するカメラ25によるリアルタイム配信を行う際に、録画を開始するための「録画開始」ボタンが表示されてもよい。
【0031】
図4には、担当営業所管理端末23に表示される管理端末画面例(3),(4)として、管理端末画面110c,110dが示されている。
管理端末画面110cは、管理端末画面上に、カメラ25で撮影された乗りかご2上の状況の画像(写真)を表示するかご上状況写真表示ウィンドウ112と、管理者Aが操作するかご運転許可ウィンドウ113と、をポップアップで表示した例である。かご運転許可ウィンドウ113には、作業者20による乗りかご2の運転を許可する場合に選択されるかご運転許可ボタン(「YES」ボタン)と、乗りかご2の運転を許可しない場合に選択されるかご運転不許可ボタン(「NO」ボタン)が表示される。なお、乗りかご2上の状況を確認するための画像は、動画でもよい。
【0032】
管理端末画面110dは、管理端末画面上に、かご上状況リアルタイム配信ウィンドウ114をポップアップで表示した例である。かご上状況リアルタイム配信ウィンドウ114は、作業者20が装着したカメラ25からリアルタイムに配信される、乗りかご2上の状況を撮影したカメラ画像(動画)を表示する。リアルタイム配信中は、「カメラ操作」の表示内容が“撮影中”に切り替わる。
【0033】
図5には、担当営業所管理端末23に表示される管理端末画面例(5)~(7)として、管理端末画面110e~110gが示されている。
管理端末画面110eは、管理端末画面110dにおいて、かご上スイッチ12aが復帰(オフ)したことを表す“かご上スイッチ復帰”を表示した例である。
【0034】
管理端末画面110fは、管理端末画面上に、カメラ25で撮影された乗りかご2上の状況の写真(静止画)を表示するかご上状況表示ウィンドウ115と、管理者Aが操作するかご上状況確認ウィンドウ116と、をポップアップで表示した例である。かご上状況表示ウィンドウ115には、カメラ25が撮影した動画から切り出した画像(静止画)が表示される。また、かご上状況確認ウィンドウ116には、管理者Aが乗りかご2上の状況に問題なしと判断した場合に選択される「OK」ボタンと、管理者Aが乗りかご2上の状況に問題ありと判断した場合に選択される「NG」ボタンが表示される。
【0035】
管理端末画面110gは、かご上スイッチ12aの復帰により“かご運転許可”が取り消されてエレベーター装置21が停止した状態であることを表す“停止中”と、「カメラ操作」に“録画停止”を表示した例である。“かご運転許可”が取り消されると、作業者20が乗りかご2上で乗りかご2の運転を実施することができなくなる。
【0036】
[遠隔作業者見守りシステムの各装置の内部構成]
次に、遠隔作業者見守りシステム100を構成する各装置の内部構成について、
図6を参照して説明する。
図6は、遠隔作業者見守りシステム100を構成する各装置の内部構成例を示すブロック図である。
【0037】
(カメラ)
カメラ25は、撮影部31と、操作部32と、通信部33と、ID情報部34を備える。
撮影部31は、作業者20の作業対象の映像を撮影(取得)する。例えば、撮影部31には、光学レンズを介して取り込んだ光を電気信号に変換することで画像データを得る撮像素子が用いられる。
【0038】
操作部32は、作業者20の入力操作に応じた操作信号を生成して撮影部31等へ出力するユーザインターフェースであり、シャッタボタンなどの押しボタンやタッチパネルを用いて構成される。また、操作部32は、担当営業所管理端末23のカメラ操作部62からの指令に基づく操作信号を生成して撮影部31へ出力する機能を備える。これにより、担当営業所管理端末23は、カメラ25を遠隔で操作することができる。
【0039】
通信部33は、ネットワークを介して、担当営業所管理端末23及びデータ管理サーバー24と通信するインタフェースである。通信部33は、撮影部31で撮影された画像をカメラIDともに、担当営業所管理端末23及びデータ管理サーバー24へ送信する。
【0040】
ID情報部34は、カメラ25のID情報(カメラID)を保存する。ID情報部34に保存されたカメラIDは、担当営業所管理端末23に送信される。
【0041】
(エレベーター装置)
エレベーター装置21は、運転制御部41と、かご上スイッチ判定部42と、状態情報通知部43を備える。
運転制御部41は、かご呼びや行先階登録などに基づいて、エレベーター1の乗りかご2の運転を制御する。また、運転制御部41は、かご上スイッチ12aの投入信号をかご上運転盤12から受信し、かつ、担当営業所管理端末23のエレベーター運転許可部64から運転許可信号を受信した場合に、作業者20のかご上運転盤12に対する操作に基づいて乗りかご2の運転を制御する。
【0042】
かご上スイッチ判定部42は、運転制御部41がかご上運転盤12から受信した信号に基づいて、かご上スイッチ12aの投入(オン状態)を検出したかどうかを判定する。かご上スイッチ判定部42が運転制御部2から受信する信号は、かご上運転盤12から出力された信号の波形を維持したものでもよいし、何らかの加工が施されたものでもよい。
【0043】
状態情報通知部43は、かご上スイッチ判定部42の判定結果を受けて、かご上スイッチ12aの状態(オン又はオフ)を示す情報を、エレベーター管制システム22へ通知する。また、状態情報通知部43は、エレベーター1の運転状態を示す情報をエレベーター管制システム22へ通知する。かご上スイッチ12aの状態を示す情報は、広い意味ではエレベーター1の運転状態を示す情報とも言える。
【0044】
(エレベーター管制システム)
エレベーター管制システム22は、エレベーター情報管理部51と、状況発信部52と、作業計画データベース53を備える。
エレベーター情報管理部51は、日本全国に設置しているエレベーター1に関する情報を管理する。エレベーター情報管理部51は、各エレベーター1が備えるエレベーター装置21の状態情報通知部43から、かご上スイッチ12aの状態やエレベーター1の運転状態を示す情報を受信する。また、エレベーター情報管理部51は、作業者端末26を用いて登録される作業者20の作業計画を受け付けて、その作業計画を作業計画データベース53に保存する。
【0045】
状況発信部52は、故障等のエレベーター1に関する情報を担当営業所管理端末23に発信する。ここで発信される情報は、エレベーター1の現在の状況である。
【0046】
作業計画データベース53は、作業者端末26等を用いて登録された作業者20の作業計画を保存するデータベースである。
【0047】
(担当営業所管理端末)
担当営業所管理端末23は、エレベーター情報管理部61と、カメラ操作部62と、映像確認部63と、エレベーター運転許可部64と、カメラID管理部65と、作業計画データベース66を備える。
【0048】
エレベーター情報管理部61は、エレベーター管制システム22のエレベーター情報管理部51とは違い、担当営業所が管轄するエレベーター1に関する情報を管理する。エレベーター情報管理部61は、エレベーター管制システム22の状況発信部52が発信するエレベーター1に関する情報を受信し、管理する。また、エレベーター情報管理部61は、担当営業所管理端末23から作業者20の作業計画を受信し、その作業計画を作業計画データベース66に保存する。
【0049】
カメラ操作部62は、作業者20に装着されるカメラ25を遠隔で操作するためのユーザインターフェース画面を備えたブロックである。カメラ操作部62は、管理者A(
図2参照)の指示に基づいて、現場のカメラ25を遠隔で操作するための指令を出力する。操作対象のカメラ25のID情報は、カメラID管理部65から取得する。
【0050】
映像確認部63は、作業者20が作業する現場の様子を管理者Aが確認するためのブロックであり、カメラ25の通信部33から出力された、カメラ25で撮影された画像(以下「カメラ画像」とも称する)を管理端末画面に表示する。カメラ画像は、写真又は動画である。また、映像確認部63は、カメラ25が撮影した動画から画像を切り出し、切り出した画像(静止画)を管理端末画面に表示する。
【0051】
エレベーター運転許可部64は、かご上スイッチ12aが投入されて管理者Aが映像確認部63で表示された映像から問題ないことを確認した際に操作する(例えば、押す)ユーザインターフェース画面を備えたブロックである。例えば、エレベーター運転許可部64は、管理端末画面に表示されたかご運転許可ウィンドウ113に相当する。エレベーター運転許可部64は、運転許可信号を許可対象エレベーターのエレベーター装置21の運転制御部41に送信する。
【0052】
カメラID管理部65は、カメラ25のID情報(カメラID)を管理する。例えば、カメラID管理部65は、カメラ25のID情報部34からカメラIDを取得し、そのカメラIDをカメラ操作部62及びデータ管理サーバー24の管理部72に提供する。
【0053】
作業計画データベース66は、エレベーター管制システム22から受信した作業者20の作業計画を保存するデータベースである。
担当営業所管理端末23は、カメラ25から受信したカメラIDに対応する作業計画を作業計画データベース66から抽出し、データ管理サーバー24に送信する。
【0054】
(データ管理サーバー)
データ管理サーバー24は、記録部71と、管理部72を備える。
記録部71は、カメラ25の通信部33から送られてくる、カメラ25で撮影された画像(録画データ)を、カメラIDが一致する作業計画と紐づけて記録する。
【0055】
管理部72は、記録部71で記録した画像(録画データ)を、担当営業所管理端末23から受信した作業計画を基に管理する。
【0056】
(作業者端末)
作業者端末26は、登録部81と、出力部82を備える。
登録部81は、作業者20がエレベーター管制システム22に作業計画を登録するためのユーザインターフェース画面を備えたブロックである。また、作業者20は、登録部81により作業者名と使用するカメラのID情報(カメラID)を、担当営業所管理端末23に登録することができる。
【0057】
出力部82は、作業者20が作業者名、カメラID、及び作業計画を登録するための登録画面を出力する。また、出力部82は、担当営業所管理端末23から受信した、管理者Aのかご運転許可ウィンドウ113(
図4)に対する許可/不許可の選択結果やかご上状況確認ウィンドウ116(
図5)の確認結果を出力する。出力方法は、画像表示に限らず、音声出力、若しくは、画像又は音声に振動を組合せた出力でもよい。
【0058】
なお、エレベーター管制システム22と担当営業所管理端末23が随時情報の共有を行い、エレベーター管制システム22又は担当営業所管理端末23のいずれかに作業計画、作業者名、及びカメラIDを登録することで、情報が共有(両方に登録)される構成としてもよい。また、上述した作業者端末26の機能をカメラ25に格納してもよい。あるいは、作業者端末26にカメラ25の機能を搭載してもよい。
【0059】
[遠隔作業者見守りシステムの各装置のハードウェア構成]
次に、遠隔作業者見守りシステム100におけるエレベーター装置21、エレベーター管制システム22、担当営業所管理端末23、データ管理サーバー24、カメラ25、及び作業者端末26が備える計算機120のハードウェア構成について、
図7及び
図8を参照して説明する。
【0060】
(カメラ以外の各装置)
図7は、遠隔作業者見守りシステム100を構成するカメラ25以外の各装置が備える計算機のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0061】
計算機120は、各装置が協働して遠隔作業者見守りシステム100として動作可能なコンピューターとして用いられるハードウェアの一例である。各装置は、各々の計算機120(コンピューター)がプログラムを実行することにより、
図6に示した各装置の機能ブロックが連携して行う遠隔作業者見守りシステム100(遠隔作業者見守り方法)を実現する。
【0062】
計算機120は、バスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)121、ROM(Read Only Memory)122、及びRAM(Random Access Memory)123を備える。さらに、計算機120は、表示装置124、入力装置125、不揮発性ストレージ126及びネットワークインターフェース127を備える。
【0063】
CPU121(制御部の一例)は、本実施形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM122から読み出してRAM123にロードし、実行する。RAM123には、CPU121の演算処理の途中で発生した変数やパラメーター等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメーター等がCPU121によって適宜読み出される。CPU121がROM122から読み出したプログラムコードを実行することで、各装置内の各機能ブロックの機能が実現される。ただし、CPU121に代えてMPU(Micro Processing Unit)等の他のプロセッサを用いてもよい。
【0064】
表示装置124は、液晶ディスプレイなどのモニタであり、GUI画面やCPU121で行われた処理の結果等を表示する。入力装置125は、利用者の入力操作に応じた操作信号を生成してCPU121へ出力する。入力装置125には、例えば、マウス、キーボードなどが用いられ、利用者は入力装置125を操作して情報や指示を入力することが可能である。表示装置124及び入力装置125は、タッチパネルとして一体に構成されてもよい。
【0065】
不揮発性ストレージ126としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、光ディスク、光磁気ディスク、又は不揮発性のメモリ等が用いられる。この不揮発性ストレージ126には、OS(Operating System)、各種のパラメーターの他に、計算機120を機能させるためのプログラムが記録されていてもよい。ROM122及び不揮発性ストレージ126は、CPU121が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機120によって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
【0066】
ネットワークインターフェース127には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NIC等の端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。例えば、エレベーター装置21の状態情報通知部43、及びエレベーター管制システム22の状況発信部52は、ネットワークフェース127を用いて構成される。
【0067】
上述した各装置の機能や使用目的に合わせて計算機120の各ブロックは取捨選択されてもよい。例えば、エレベーター装置21及びデータ管理サーバー24は、表示機能と入力機能が必要ない場合には、表示装置124及び入力装置125を削除することができる。
【0068】
(カメラ)
図8は、カメラ25が備える計算機130のハードウェア構成例を示すブロック図である。
計算機130は、コンピューターとして用いられるハードウェアの一例である。カメラ25は、計算機130(コンピューター)がプログラムを実行することにより、
図6に示したカメラ25の機能ブロックが連携して動作する。
【0069】
計算機130は、バスにそれぞれ接続されたCPU131、ROM132、及びRAM133を備える。さらに、計算機130は、表示装置134、入力装置135、不揮発性ストレージ136、ネットワークインターフェース137、及び撮像素子CAを備える。
【0070】
CPU13(制御部の一例)1、ROM132、RAM133、表示装置134、入力装置135、不揮発性ストレージ136、及びネットワークインターフェース137は、上述した計算機120が備える同じ名称のブロックと同様の機能を有する。
【0071】
撮像素子CAは、入力光を電気信号に変換することで画像データを得るデバイスである。撮影部31は、撮像素子CAにより構成される。
【0072】
エレベーター管制システム22、担当営業所管理端末23、作業者端末26、及びカメラ25は、音声出力部を備えていてもよい。
【0073】
[作業者の行動]
次に、作業者20がエレベーター1の乗りかご2の上で作業するための作業者20の行動について、
図9を参照して説明する。
【0074】
図9は、本実施形態における作業者20の行動例、すなわち乗りかご2の上で作業するための手順の例を示したフローチャートである。まず、作業者20は、作業者端末26の作業用アプリにより点検等の作業の計画を立てて、エレベーター管制システム22を介して担当営業所管理端末23の作業計画データベース53に登録する。作業計画を立てる際に、作業者20は、カメラ25のID情報部34が保持するID情報を作業者名とともに担当営業所管理端末23に送信し、担当営業所管理端末23のカメラID管理部65に登録する(S1)。作業用アプリを用いて作業計画を立てる方法については様々な方法が考えられるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
次いで、作業者20は、作業計画の対象とする現場へ移動し、現場にてカメラ25を使用できるように準備する。作業者20は、頭部(ヘルメット)にカメラ25を装着する(S2)。そして、作業者20は、カメラ25の装着が完了した後、カメラ25の電源を入れる(S3)。また、作業者20は、対象のエレベーターを保守運転モードに切り替える(例えば、管理端末画面110a参照(
図3上段))。管理者Aが担当営業所管理端末23により、遠隔から対象のエレベーターを保守運転モードに切り替えるようにしてもよい。
【0076】
次いで、作業者20は、作業を実施するエレベーター1の乗場ドア10の前に移動し、乗場ドア10を開錠する(S4)。例えば、基準階の乗場ドア10又はピット9に近い階床の乗場ドア10が開錠される。
【0077】
次いで、作業者20は、乗りかご2の上(天井裏)に上って乗りかご2の上に設置されたかご上運転盤12のかご上スイッチ12aを投入する(S5)。かご上スイッチ12aを投入すると、担当営業所管理端末23では、管理端末画面の「エレベーター状態」に“かご上スイッチ投入”が表示される。作業者20は、かご上スイッチ12aを投入後、撮影のために乗りかご2の天井裏や昇降路3を見る。
【0078】
担当営業所管理端末23を操作する管理者Aが、カメラ25で撮影した画像(写真)を基にエレベーター運転許可部64により乗りかご2上での運転を許可した場合、エレベーター装置21で運転許可信号を受信し乗りかご2上での運転が可能となる。作業者20は、携帯する作業者端末26の出力部82の表示内容を見て、かご上運転が許可されたことを確認する。カメラ25が音声出力することにより、かご上運転が許可されたことを作業者20が確認できるようにしてもよい。
【0079】
そして、作業者20は、作業計画を基に、該作業計画と紐づけて登録されているカメラIDに対応するカメラ25(すなわち頭部に装着したカメラ)によるリアルタイム配信を開始する。カメラ25は、担当営業所管理端末23から送信される録画開始の指令によりカメラ画像の配信を開始する。その後、作業者20は乗りかご2上で点検等の作業を開始する(S6)。
【0080】
作業者20は、目的の作業を実施するために、乗りかご2の上でかご上運転盤12により乗りかご2の運転を実施する(S7)。作業者20は、昇降路3内の予定された作業を実施し、乗りかご2上での作業を終了する(S8)。
【0081】
次いで、作業者20は、作業終了後にかご上スイッチ12aを遮断(復帰)する(S9)。これにより、作業者20は、乗りかご2上で乗りかご2の運転ができなくなる。
【0082】
次いで、管理者Aが担当営業所管理端末23の映像確認部63によって乗りかご2上(天井裏)の状況を確認後、作業者20は作業者端末26に管理者Aからかご上状況に問題がない旨の通知を受ける(S10)。また、かご上状況に問題がない旨の通知と並行して、カメラ25が担当営業所管理端末23から録画停止指令を受信し、カメラ25の録画が停止(撮影終了)する。なお、かご上状況に問題がない旨の通知は、カメラ25で受信してもよい。
【0083】
作業者20は、乗りかご2の上から下りて、乗りかご2への出入りに利用した乗場ドア10を閉める(S11)。そして、作業者20は、作業計画を基に作業を実施した現場から退出する(S12)。ステップS12が終了後、作業者20が作業を実施するための一連の行動が終了する。
【0084】
[管理者の行動]
次に、遠隔で作業者20の作業(特に、乗りかご2の上での作業)を管理する担当営業所の管理者Aの行動について、
図10を参照して説明する。
【0085】
図10は、本実施形態における管理者Aの行動例を示したフローチャートである。
作業計画が担当営業所管理端末23に登録されると、管理用アプリケーションソフトウェアにより作業計画が担当営業所管理端末23で出力可能となる。担当営業所の管理者Aは、作業者20が登録した作業計画と、該作業計画に紐づけられたカメラIDとを担当営業所管理端末23で確認し、問題がなければ作業計画を承認する(S21)。
【0086】
作業者20が作業計画を基に、登録した現場のエレベーター1のかご上スイッチ12aを投入すると、かご上スイッチ12aが投入されたことがエレベーター装置21によりエレベーター管制システム22へ発報される。そして、エレベーター管制システム22の状況発信部52から担当営業所管理端末23にエレベーター1の状態情報が送信され、管理者Aは、担当営業所管理端末23において作業計画に登録された現場からかご上スイッチ12aの投入信号を受信したことを確認する(S22)。
【0087】
管理者Aは、管理端末画面上で“かご上スイッチ投入”の表示(例えば、
図3下段の管理端末画面110b参照)を確認することで、乗りかご2の上に作業者20がいることを認識できる。かご上スイッチ12aは、乗りかご2の上にいる作業者20の存在を知らせることと、乗りかご2上で乗りかご2の運転許可を求めるという役割がある。
【0088】
次いで、管理者Aは、管理端末画面で画像撮影ボタン111を押下して、乗りかご2上の作業者20が装着したカメラ25を遠隔で操作し、乗りかご2の乗りかご2上の状況を撮影する(S23)。カメラ25は撮影した画像(写真)を担当営業所管理端末23へ送信する。
【0089】
次いで、管理者Aは、カメラ25で撮影した画像を管理端末画面で確認し、作業前のかご上状況に問題がないと判断した場合には、管理端末画面に表示しているかご運転許可ウィンドウ113のかご運転許可ボタン(「YES」ボタン)(例えば、
図4上段の管理端末画面110c参照)を押す(S24)。管理者Aは、作業者20が乗りかご2の上で作業を開始する準備を整えるまでは、かご運転許可ボタンを押さない。
【0090】
乗りかご2の上で作業を開始する準備が整っていない場合とは、例えば、作業者20が乗りかご2の上に上る準備ができていない場合(かご上運転盤12のかご停止スイッチが投入されていない等)や、乗りかご2の上に作業と関係ない物が置かれている場合などである。管理者Aは、作業前のかご上状況に問題があると判断した場合には、かご運転不許可ボタン(「NO」ボタン)を押してかご上状況に問題があることを作業者20へ通知し、遠隔で対応を指示する。
【0091】
次いで、管理者Aは、カメラ25が撮影した画像(例えば、
図4下段の管理端末画面110d参照)により作業者20の作業状況をリアルタイムで確認する(S25)。
【0092】
作業者20は、乗りかご2上での作業が完了後、かご上スイッチ12aを復帰(遮断)する。かご上スイッチ12aが復帰すると、エレベーター装置21からエレベーター管制システム22にかご上スイッチ12aの復帰信号が送信され、担当営業所管理端末23は、エレベーター管制システム22の状況発信部52からかご上スイッチ12aの復帰信号を受信する。そして、担当営業所管理端末23では、管理端末画面の「エレベーター状態」に“かご上スイッチ復帰”が表示される(例えば、
図5上段の管理端末画面110e参照)。このとき、例えば、管理端末画面の「カメラ操作」に画像撮影ボタン111(図示略)が表示される。
【0093】
次いで、管理者Aは、管理端末画面で画像撮影ボタン111を押下して、乗りかご2上の作業者20が装着したカメラ25を遠隔で操作し、乗りかご2上(天井裏)の状況を撮影する(S26)。ここでの管理者Aのカメラ25に対する操作は、カメラ25で撮影した動画から画像(静止画)を切り出す操作である。
【0094】
次いで、管理者Aは、カメラ25で撮影した動画から切り出した画像(静止画)を、管理端末画面(例えば、
図5中段の管理端末画面110f参照)で確認する。そして、管理者Aは、管理端末画面から作業後のかご上状況に問題がないと判断した場合には、管理端末画面に表示されたかご上状況確認ウィンドウ116の「OK」ボタンを押し、かご上状況に問題ないことを作業者20の作業者端末26へ通知する。かご上状況に問題がない旨の通知を、カメラ25へ送信してもよい。
【0095】
なお、作業後のかご上状況に問題がある場合としては、例えば、乗りかご2上の作業で点検灯がつけっ放しの場合や、機械室レスのエレベーター1であれば作業用の手すりが組み立てられたままの場合などが想定される。管理者Aは、作業後のかご上状況に問題があると判断した場合には、「NG」ボタンを押してかご上状況に問題があることを作業者20へ通知し、遠隔で対応を指示する。
【0096】
また、担当営業所管理端末23は、かご上状況に問題がない旨の通知と並行して、カメラ25に録画停止指令を送信し、カメラ25の録画を停止する(S27)。ステップS27が終了後、遠隔で作業者20の作業を見守るための一連の行動が終了する。
【0097】
[遠隔作業者見守りシステムによる遠隔作業者見守り処理]
次に、第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステム100による遠隔作業者見守り処理について、
図11を参照して説明する。
【0098】
図11は、第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステム100による遠隔作業者見守り処理の手順例を示すシーケンスチャートである。
前提として、作業者20が作業者端末26を用いて作業計画を立てて、エレベーター管制システム22へ該作業計画を登録し(S51)、登録された作業計画は担当営業所管理端末23へ送信される。エレベーター管制システム22において、エレベーター情報管理部51は、作業者端末26の登録部81から作業者20が作成した作業計画の登録を受け付けて作業計画データベース53に該作業計画を保存する。また、エレベーター情報管理部51は、該作業計画を担当営業所管理端末23のエレベーター情報管理部61に送信する。エレベーター情報管理部61は、エレベーター情報管理部51から送信された作業計画を作業計画データベース66に保存する。
【0099】
また、作業者20は、作業者端末26の登録部81により、作業者名と使用するカメラ25のカメラIDとを、担当営業所管理端末23のカメラID管理部55に登録する(S61)。なお、前述のステップS51とステップS61は順不同でもよい。
【0100】
次いで、作業計画に基づく現場(作業対象のエレベーター1)のエレベーター装置21のかご上スイッチ判定部42が、かご上スイッチ12aが投入されたことを検出すると、エレベーター装置21の状態情報通知部43は、エレベーター管制システム22のエレベーター情報管理部51へかご上スイッチ12aの投入信号を発報する(S41)。
【0101】
次いで、エレベーター管制システム22のエレベーター情報管理部51は、作業計画を基に、登録された現場を管轄する担当営業所管理端末23のエレベーター情報管理部61に、かご上スイッチ12aの投入信号を発報する(S52)。
【0102】
次いで、担当営業所管理端末23のエレベーター情報管理部61が、エレベーター管制システム22からかご上スイッチ12aの投入信号を受信すると、担当営業所管理端末23の映像確認部53は、管理端末画面の「エレベーター状態」に“かご上スイッチ投入”を表示する。また、映像確認部53は、管理端末画面の「カメラ操作」に画像撮影ボタン111(
図3下段参照)を表示する。
【0103】
次いで、担当営業所管理端末23のカメラ操作部52は、画像撮影ボタン111が押下されたことを検知すると、作業計画を基に現場にいる作業者20が装着しているカメラ25を遠隔で操作し(S62)、カメラ25で乗りかご2上の状況を撮影する(S31)。担当営業所管理端末23は、カメラ25のカメラIDと、作業者端末26又はカメラ25の接続情報(IPアドレス、MACアドレス、メールアドレス、又はメッセージアカウント等)との対応関係を、事前に把握しているものとする。また、カメラ25も、担当営業所管理端末23の接続情報を把握しているものとする。
【0104】
次いで、カメラ25は通信部33により、乗りかご2上の状況を撮影した画像(写真)を担当営業所管理端末23へ送信する。このとき、カメラ25は、画像(写真)とともに、少なくとも自身のカメラIDも送信する。そして、担当営業所管理端末23の映像確認部53が、管理端末画面のかご上状況写真表示ウィンドウ112(
図4上段参照)に表示する(S63)。
【0105】
担当営業所管理端末23の管理端末画面に乗りかご2上の状況を撮影した画像が表示された場合、エレベーター運転許可部54は、管理端末画面にかご運転許可ウィンドウ113のかご運転許可ボタン(「YES」ボタン)とかご運転不許可ボタン(「NO」ボタン)を表示する(S64)。すなわち、エレベーター運転許可部54は、かご運転許可ボタンとかご運転不許可ボタンの操作を有効にする。管理者Aは、ステップS31で取得したカメラ画像から作業前のかご上状況に問題ない場合は、かご運転許可ボタンを押下する。
【0106】
次いで、担当営業所管理端末23のエレベーター運転許可部55は、かご運転許可ボタンが押下されたことを検知すると、運転許可信号をエレベーター装置21へ送信する。これにより、作業者20は、現場のエレベーター1の乗りかご2の上で乗りかご2の運転操作が可能となる(S42)。さらに、担当営業所管理端末23のカメラ操作部62は、かご運転許可ボタンが押下されたことを検知すると、作業計画を基に作業者20が装着しているカメラ25を遠隔で操作し録画を開始する(S32)。
【0107】
作業者20は、乗りかご2の上で作業(
図9のステップS6~S8)を実施したのちに、かご上スイッチ12aを復帰(遮断)する。エレベーター装置21のかご上スイッチ判定部42が、かご上スイッチ12aが復帰したことを検出すると、エレベーター装置21の状態情報通知部43は、エレベーター管制システム22のエレベーター情報管理部51へかご上スイッチ12aの復帰信号を発報する(S43)。
【0108】
次いで、エレベーター管制システム22のエレベーター情報管理部51は、作業計画を基に、登録された現場を管轄する担当営業所管理端末23のエレベーター情報管理部61に、かご上スイッチ12aの復帰信号を発報する(S53)。
【0109】
次いで、担当営業所管理端末23のエレベーター情報管理部61が、エレベーター管制システム22からかご上スイッチ12aの復帰信号を受信すると、担当営業所管理端末23の映像確認部53は、管理端末画面の「エレベーター状態」に“かご上スイッチ復帰”を表示する。また、映像確認部53は、管理端末画面の「カメラ操作」に画像撮影ボタン111(
図3下段参照)を表示する。
【0110】
次いで、担当営業所管理端末23のカメラ操作部52は、画像撮影ボタン111が押下されたことを検知すると、作業計画を基に現場にいる作業者20が装着しているカメラ25を遠隔で操作し(S65)、カメラ25は乗りかご2上の状況の静止画を撮影する(S33)。本実施形態では、カメラ25が、撮影した動画から画像(静止画)を切り出して出力する。
【0111】
次いで、カメラ25は通信部33により、乗りかご2上の状況を撮影した画像(静止画)を担当営業所管理端末23へ送信する。そして、担当営業所管理端末23の映像確認部53が、管理端末画面のかご上状況表示ウィンドウ115(
図5中段参照)に表示する(S66)。さらに、担当営業所管理端末23の映像確認部53は、管理端末画面に乗りかご2上の状況を撮影した画像を表示するとともに、管理端末画面にかご上状況確認ウィンドウ116(
図5中段参照)を表示する。
【0112】
管理者Aは、ステップS33で取得したカメラ画像から作業後のかご上状況に問題ない場合は、かご上状況確認ウィンドウ116の「OK」ボタンを押下する。これにより、担当営業所管理端末23の映像確認部53は、「OK」ボタンの押下を検知すると、作業後のかご上状況に問題ないことを、作業者端末26(又はカメラ25)へ通知する(S67)。
【0113】
また、担当営業所管理端末23は、かご上状況確認ウィンドウ116の「OK」ボタンが押下されたとき、かご上状況に問題がない旨の通知と並行して、カメラ25に録画停止指令を送信し、遠隔操作によりカメラ25の録画を終了する(S34)。
【0114】
カメラ25は、録画データをデータ管理サーバー24へ送信する。そして、データ管理サーバー24では、カメラ25から受信した録画データを、作業計画及びカメラIDと紐づけて記録及び管理する。作業計画とカメラIDは、それぞれ担当営業所管理端末23に登録されたタイミング(例えば、ステップS51,S61)でデータ管理サーバー24に保存される。そして、カメラ25の録画終了時に、データ管理サーバー24内の作業計画及びカメラIDの情報が保存された領域に録画データが格納される。
【0115】
なお、本実施形態では、担当営業所管理端末23がかご上スイッチ12aの復帰信号を受信した後、管理者Aが現場の作業者20が装着しているカメラ25を遠隔で操作する構成を説明したがこの例に限らない。例えば、担当営業所管理端末23がかご上スイッチ12aの復帰信号を受信した後、担当営業所管理端末23の映像確認部53がカメラ25から送信される動画(録画データ)から静止画を切り出してかご上状況表示ウィンドウ115に表示するようにしてもよい。
【0116】
なお、本実施形態では、担当営業所管理装置23が、エレベーター管制システム22からエレベーター1に関する情報(状態情報)と作業計画を取得していたが、この例に限らない。例えば、担当営業所管理装置23が、エレベーター管制システム22を介さずに、エレベーター1に関する情報と作業計画を取得する構成も考えられる。
【0117】
以上のとおり、本実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムは、エレベーターの作業において作業者が装着しているカメラで撮影される画像を監視する遠隔作業者見守りシステムであって、乗りかごの上に設けられて作業者が乗りかごの上で乗りかごの運転を行う前に投入されるかご上スイッチと、エレベーターの運転を制御するエレベーター装置と、作業者を管理する管理者が使用する管理端末と、を備える。
管理端末は、かご上スイッチが投入された後、管理者が作業者による乗りかごの運転を許可した場合に、運転許可信号をエレベーター装置へ出力するエレベーター運転許可部と、作業者が装着しているカメラを遠隔で操作するための指令を出力することが可能なカメラ操作部と、カメラが撮影した画像を表示する映像確認部と、を有する。カメラ操作部は、エレベーター運転許可部が運転許可信号をエレベーター装置へ出力したとき、カメラに録画開始の指令を出力し、映像確認部は、カメラから送信される画像を表示するように構成されている。
【0118】
上記構成の本実施形態によれば、エレベーターの昇降路内の点検作業を行う際、かご上スイッチの投入情報に応じて管理者が作業者のカメラを遠隔操作するため、管理者がエレベーター点検作業を随時監視する必要がなく、管理者の負担を軽減することができる。さらに、本実施形態によれば、危険作業を作業者に委ねるのではなく、管理者の確認のもとにエレベーター運転許可等も行えるため、管理者と作業者による二重で現場作業の安全管理が可能である。
【0119】
また、本実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムでは、カメラ操作部は、かご上スイッチが投入された後、乗りかご上の作業者が作業する前に、管理者の指示によりカメラで写真を撮影する指令を出力し、映像確認部は、カメラで撮影された写真を表示するように構成されている。
【0120】
また、本実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムでは、エレベーター運転許可部は、管理者による乗りかごの運転許可の確認がなされていない場合、かご上スイッチの投入後において作業者による乗りかごの運転を不可とするように構成されている。
【0121】
また、本実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムでは、作業に係る作業計画とカメラの識別情報と紐づいた画像により、作業計画に含まれる作業に対する作業者の履行を管理するように構成されている。
【0122】
<第2の実施形態>
万が一、エレベーター1等が故障したり異常が発生したりした場合は、早急に復旧作業や原因究明が必要である。そこで、第2の実施形態として、作業計画が登録されていない現場で予定外の作業が発生した場合の例について説明する。本実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムの構成は、基本的に第1の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステムと同様の構成である。
【0123】
[管理端末画面]
エレベーター1に異常が発生した場合に、担当営業所管理端末23の表示装置に表示される管理端末画面について、
図12~
図14を参照して説明する。
図12は、本実施形態に係る遠隔作業者見守りシステム100における管理端末画面例(1)~(3)を示す図である。
図13は、本実施形態に係る遠隔作業者見守りシステム100における管理端末画面例(4),(5)を示す図である。
図14は、本実施形態に係る遠隔作業者見守りシステム100における管理端末画面例(6)~(8)を示す図である。
【0124】
図12には、担当営業所管理端末23に表示される管理端末画面例(1)~(3)として、管理端末画面140x,140a,140bが示されている。管理端末画面140a,140bは、
図3の管理端末画面110a,110bに対応する。
【0125】
管理端末画面140xは、作業計画が作成されていない現場(例えば、エレベーター)に異常が発生した場合の管理端末画面の例である。該当するエレベーターに関するレコードの「エレベーター状態」に“異常発生”と表示される。作業計画がないエレベーターであるため、
図3と違って、「作業内容」、「作業者名」、「カメラID」が空欄である。例えば、エレベーター装置21の運転制御部41が、エレベーター1の各所に設けられたセンサ(図示略)の検出信号を解析することにより、機器の故障や異常を検出する。故障や異常の検出結果は、エレベーター情報として、担当営業所管理端末23に通知される。
【0126】
管理端末画面140aは、かご上運転盤12に設けられたかご上スイッチ12a(
図6参照)が投入される前の管理端末画面の例である。現場に派遣された作業者20が作業者端末26により最低限の情報を入力することで、「作業内容」、「作業者名」、「カメラID」に情報が表示される。
【0127】
管理端末画面140bは、“かご上スイッチ投入”と、画像撮影ボタン111と、を表示した管理端末画面の例である。
【0128】
図13には、担当営業所管理端末23に表示される管理端末画面例(4),(5)として、管理端末画面140c,140dが示されている。管理端末画面140c,140dは、
図3の管理端末画面110c,110dに対応する。
【0129】
管理端末画面140cは、管理端末画面上に、かご上状況写真表示ウィンドウ112と、かご運転許可ウィンドウ113と、をポップアップで表示した例である。
【0130】
管理端末画面140dは、管理端末画面上に、かご上状況リアルタイム配信ウィンドウ114をポップアップで表示した例である。「カメラ操作」の表示内容は“撮影中”に切り替わる。
【0131】
図14には、担当営業所管理端末23に表示される管理端末画面例(6)~(8)として、管理端末画面140e~140gが示されている。管理端末画面140e~140gは、
図3の管理端末画面110e~110gに対応する。
【0132】
管理端末画面140eは、管理端末画面140dにおいて、“かご上スイッチ復帰”を表示した例である。
【0133】
管理端末画面140fは、管理端末画面上に、かご上状況表示ウィンドウ115と、かご上状況確認ウィンドウ116と、をポップアップで表示した例である。
【0134】
管理端末画面140gは、“かご運転許可”が取り消されエレベーター装置21が停止した状態であることを表わす“停止中”と、「カメラ操作」に“録画停止”を表示した例である。
【0135】
[遠隔作業者見守りシステムによる遠隔作業者見守り処理]
次に、第2の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステム100による遠隔作業者見守り処理について、
図15を参照して説明する。
【0136】
図15は、第2の実施形態に係る遠隔作業者見守りシステム100による遠隔作業者見守り処理の手順例を示すシーケンスチャートである。
図15は、
図11の処理とは異なり、作業計画が立てられずに予定外の作業が発生した場合の遠隔作業者見守り処理の手順例を示している。
図15において、
図11と異なる点は、作業計画を登録するステップS51を削除した点、ステップS52,S53,S34をそれぞれステップS52A,S53A,S34Aに変更した点である。以下、
図15について、
図11と異なる部分を中心に説明する。
【0137】
ステップS41において、作業計画にないエレベーター1に異常が発生したことにより(例えば、
図12上段の管理端末画面140x)、作業者20が乗りかご2上で予定外の作業を実施するため、エレベーター1のかご上スイッチ12aを投入する。エレベーター装置21のかご上スイッチ判定部42が、かご上スイッチ12aが投入されたことを検出すると、エレベーター装置21の状態情報通知部43は、エレベーター管制システム22のエレベーター情報管理部51へかご上スイッチ12aの投入信号を発報する。
【0138】
次いで、ステップS52Aにおいて、エレベーター管制システム22のエレベーター情報管理部51は、作業計画のない(予定外作業を行う)現場を管轄する担当営業所管理端末23のエレベーター情報管理部61に、かご上スイッチ12aの投入信号を発報する(例えば、
図12中段の管理端末画面140a)。
【0139】
次いで、ステップS62において、担当営業所管理端末23のカメラ操作部52は、画像撮影ボタン111が押下されたことを検知すると、作業者20により情報提供されたカメラIDに基づいて、現場にいる作業者20が装着しているカメラ25を遠隔で操作する。
【0140】
また、ステップS53Aにおいて、エレベーター管制システム22のエレベーター情報管理部51は、作業計画のない(予定外作業を行う)現場を管轄する現場を管轄する担当営業所管理端末23のエレベーター情報管理部61に、かご上スイッチ12aの復帰信号を発報する。
【0141】
また、ステップS34Aにおいて、担当営業所管理端末23は、かご上状況確認ウィンドウ116の「OK」ボタンが押下されたとき、かご上状況に問題がない旨の通知と並行して、カメラ25に録画停止指令を送信し、遠隔操作によりカメラ25の録画を終了する。
【0142】
カメラ25は、録画データをデータ管理サーバー24へ送信する。そして、データ管理サーバー24では、カメラ25から受信した録画データを、カメラIDと紐づけて記録及び管理する。カメラIDは、担当営業所管理端末23に登録されたタイミング(例えば、ステップS61)でデータ管理サーバー24に保存される。そして、カメラ25の録画終了時に、データ管理サーバー24内のカメラIDの情報が保存された領域に録画データが格納される。
【0143】
さらに、本発明は上述した実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。例えば、上述した実施形態は本発明を分かりやすく説明するためにその構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成要素を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成要素の追加又は置換、削除をすることも可能である。
【0144】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの広義のプロセッサデバイスを用いてもよい。
【0145】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的、あるいは個別に実行される処理(例えば、オブジェクトによる処理)をも含むものである。また、時系列的な処理を記述する処理ステップについては、処理結果に影響を及ぼさない範囲で、処理順序を変更してもよい。
【0146】
また、上述した実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成要素が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0147】
1…エレベーター、 2…乗りかご、 3…昇降路、 12…かご上運転盤、 12a…かご上スイッチ、 20…作業者、 21…エレベーター装置、 22…エレベーター管制システム、 23…担当営業所管理端末、 24…データ管理サーバー、 25…カメラ、 26…作業者端末、 31…撮影部、 32…操作部、 33…通信部、 34…ID情報部、 41…運転制御部、 42…かご上スイッチ判定部、 43…状態情報通知部、 51…エレベーター情報管理部、 52…状況発信部、 53…作業計画データベース、 61…エレベーター情報管理部、 62…カメラ操作部、 63…映像確認部、 64…エレベーター運転許可部、 65…カメラID管理部、 66…作業計画データベース、 71…記録部、 72…管理部、 81…登録部、 82…出力部、 100…遠隔作業者見守りシステム、 110a~110g…管理端末画面、 111…画像撮影ボタン、 112…かご上状況写真表示ウィンドウ、 113…かご運転許可ウィンドウ、 114…かご上状況リアルタイム配信ウィンドウ、 115…かご上状況表示ウィンドウ、 116…かご上状況確認ウィンドウ、 120,130…計算機、 140a~140g,140x…管理端末画面、 141…画像撮影ボタン、 142…かご上状況写真表示ウィンドウ、 143…かご運転許可ウィンドウ、 144…かご上状況リアルタイム配信ウィンドウ、 145…かご上状況表示ウィンドウ、 146…かご上状況確認ウィンドウ、 A…管理者