(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033122
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】吸収性物品包装体
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20240306BHJP
A61F 13/53 20060101ALI20240306BHJP
A61F 13/56 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61F13/15 220
A61F13/53 300
A61F13/15 210
A61F13/56 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136523
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 景
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200AA15
3B200BB03
3B200BB05
3B200BB17
3B200DA25
3B200DB02
3B200DC04
3B200DF09
(57)【要約】
【課題】コンパクトで美粧性を確保することが可能な吸収性物品包装体を提供する。
【解決手段】本開示に係る吸収性物品包装体1は、トップシートとバックシートと吸収体とを有する吸収性物品と、包装シート20と、を備え、吸収性物品の長手方向の最大長は100mm以上500mm以下であり、吸収性物品の幅方向の最大長は40mm以上150mm以下であり、吸収性物品の無荷重状態での厚さは1mm以上4mm以下であり、包装シート20は、長手方向の一端部21にタブテープ22を有し、吸収性物品は、包装シート20の幅方向の両側の領域23を幅方向の内側のトップシート上に折り返した状態で、包装シート20とともに長手方向の他側から巻かれて包装シート20とともにロール体30を構成し、タブテープ22は、包装シート20の一端部21をロール体30へ取り外し可能に固定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の肌側のトップシートと、液不透過性の非肌側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体とを有する吸収性物品と、
前記吸収性物品の非肌側に重ねられる包装シートと、を備え、
前記吸収性物品の長手方向の最大長は、100mm以上500mm以下であり、
前記吸収性物品の長手方向と交叉する幅方向の最大長は、40mm以上150mm以下であり、
前記吸収性物品の無荷重状態での厚さは、1mm以上4mm以下であり、
前記包装シートは、長手方向の一側の一端部に固定手段を有し、
前記包装シートの幅方向の長さは、前記吸収性物品よりも幅方向の両側へ長く、
前記吸収性物品は、前記包装シートの幅方向の両側を幅方向の内側の前記吸収性物品の前記トップシート上に折り返した状態で、前記トップシートが内側になるように、前記包装シートとともに長手方向の他側から巻かれて前記包装シートとともにロール体を構成し、
前記包装シートの前記固定手段は、前記包装シートの前記一端部を前記ロール体へ取り外し可能に固定する
ことを特徴とする吸収性物品包装体。
【請求項2】
前記ロール体の外周面となる前記包装シートの表面には、前記ロール体を1つの所定の物品に見立てた模様が設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品包装体。
【請求項3】
前記所定の物品は、花であり、
前記包装シートの前記表面の幅方向の一側には、花の萼の模様が設けられ、前記表面の幅方向の他側には、前記萼から延びる花弁の模様が設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の吸収性物品包装体。
【請求項4】
前記吸収性物品の肌側の面には、長手方向に互いに離間して配置されて幅方向に延びる複数のエンボスが設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収性物品包装体。
【請求項5】
前記吸収性物品の前記吸収体は、フラッフパルプと高吸収性ポリマーとから、又は不織布と高吸収性ポリマーとから構成される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の吸収性物品包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸収性物品包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、軽失禁パッド、パンティーライナー、生理用ナプキン等の吸収性物品は、1個ずつ包装シートで包まれて個包装された吸収性物品包装体として提供されている。吸収性物品を二つ折りや三つ折りに折り畳んで個包装した吸収性物品包装体では、吸収性物品に大きな折りぐせが付き、吸収体の割れを引き起こすおそれがあった。このような吸収性物品の折りぐせを防ぐために吸収性物品をロール状に巻いた吸収性物品包装体がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、パンティライナーの包装構造が開示されている。この包装構造は、パンティライナーと、パンティライナーの非肌当接面側に粘着剤を介して剥離可能に粘着され、パンティライナーを包装する包装材とを具備しており、包装材は、パンティライナーより幅の広い幅広部と、幅広部より幅の狭い幅狭部とからなる。幅広部の幅方向に沿う一方の端縁には、感圧式の止着テープが設けられている。そして、パンティライナーは、幅狭部と共に長手方向に一体的に巻回及び/又は折り畳まれてロール状物とされており、包装材の幅広部は、ロール状物を内包した状態で折り畳まれ、且つロール状物の両端縁から外方に延出した幅広部の幅方向両端縁部の相対向する重ね合わせ部分が接合されてシール部が形成されており、包装材の幅広部の幅方向に沿った端縁部が止着テープにより止着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のパンティライナーの包装構造では、パンティライナー(吸収性物品)をロール状物とした後に、ロール状物の両端縁から外方に延出した包装材の幅広部の端部をシールする工程が必要となる。一方、包装材の幅広部の端部をシールしないと、吸収性物品が露出するので、衛生性が低下するとともに美粧性が低下する。また、吸収性物品をロール状物として包装するので、折り畳んで包装する場合とは異なり、個包装した製品が嵩張ってしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本開示は、コンパクトで美粧性を確保することが可能な吸収性物品包装体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様の吸収性物品包装体は、液透過性の肌側のトップシートと、液不透過性の非肌側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置された吸収体とを有する吸収性物品と、前記吸収性物品の非肌側に重ねられる包装シートと、を備え、前記吸収性物品の長手方向の最大長は、100mm以上500mm以下であり、前記吸収性物品の長手方向と交叉する幅方向の最大長は、40mm以上150mm以下であり、前記吸収性物品の無荷重状態での厚さは、1mm以上4mm以下であり、前記包装シートは、長手方向の一側の一端部に固定手段を有し、前記包装シートの幅方向の長さは、前記吸収性物品よりも幅方向の両側へ長く、前記吸収性物品は、前記包装シートの幅方向の両側を幅方向の内側の前記吸収性物品の前記トップシート上に折り返した状態で、前記トップシートが内側になるように、前記包装シートとともに長手方向の他側から巻かれて前記包装シートとともにロール体を構成し、前記包装シートの前記固定手段は、前記包装シートの前記一端部を前記ロール体へ取り外し可能に固定する。
【0008】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様の吸収性物品包装体であって、前記ロール体の外周面となる前記包装シートの表面には、前記ロール体を1つの所定の物品に見立てた模様が設けられる。
【0009】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様の吸収性物品包装体であって、前記所定の物品は、花であり、前記包装シートの前記表面の幅方向の一側には、花の萼の模様が設けられ、前記表面の幅方向の他側には、前記萼から延びる花弁の模様が設けられる。
【0010】
本発明の第4の態様は、上記第1の態様の吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品の肌側の面には、長手方向に互いに離間して配置されて幅方向に延びる複数のエンボスが設けられる。
【0011】
本発明の第5の態様は、上記第1の態様から上記第4の態様のいずれかの吸収性物品包装体であって、前記吸収性物品の前記吸収体は、フラッフパルプと高吸収性ポリマーとから、又は不織布と高吸収性ポリマーとから構成される。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、コンパクトで美粧性を確保することが可能な吸収性物品包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吸収性物品包装体の外観斜視図である。
【
図2】展開した状態の吸収性物品包装体の肌側からの平面図である。
【
図3】
図2の吸収性物品包装体の非肌側からの平面図である。
【
図5】固定手段の変形例を示す吸収性物品包装体の外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について、図面を参照しながら詳細に説明するが、これらは例示の目的で掲げたもので、これらにより本発明を限定するものではない。
【0015】
また、本明細書の説明において、吸収性物品包装体の長手方向とは、吸収性物品を着用者が装着した際に着用者の前後に沿う方向であり、図中、矢印Xに沿った方向である。また、吸収性物品包装体の幅方向とは、長手方向に対して交叉(直交)する方向(短手方向)であり、図中、矢印Yに沿った方向である。また、吸収性物品包装体の厚み方向とは、各構成部材を積層する方向であり、図中、矢印Zに沿った方向である。また、吸収性物品包装体の肌側とは、吸収性物品の厚み方向のうち、装着時に着用者の肌側に向く方向(図中の矢印Zが指し示す方向)を示し、吸収性物品包装体の非肌側とは、吸収性物品の装着時に着用者の肌側とは反対側(例えば下着側)に向く方向(図中の矢印Zが指し示す方向とは反対の方向)を示す。体液とは、尿や血液、軟便中の水分等の体内から体外に排出された液体をいう。吸収性物品としては、例えば、吸水ナプキン、軽失禁パッド、尿取りパッド等の失禁製品、生理用ナプキン等の生理用品、パンティーライナー等が挙げられるが、これらに定されるものではなく、その他の吸収性物品であってもよい。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係る吸収性物品包装体の外観斜視図である。
図2は、展開した状態の吸収性物品包装体の肌側からの平面図である。
図3は、
図2の吸収性物品包装体の非肌側からの平面図である。
図4は、
図2のIII-III矢視断面図である。
【0017】
[吸収性物品包装体]
図1~
図4に示すように、本発明の一実施形態に係る吸収性物品包装体1は、吸収性物品10と、吸収性物品10をロール状に個包装する包装シート20とを備える。吸収性物品10は、幅方向を軸とするように包装シート20とともにロール状に巻かれてロール体30を構成した状態で、包装シート20に個包装される。
【0018】
[吸収性物品]
吸収性物品10は、下着や他の吸収性物品(例えばおむつ等)に取り付けられて体液を吸収するための物品であって、装着時に肌側に位置する液透過性のトップシート11と、装着時に非肌側に位置する液不透過性のバックシート12と、トップシート11とバックシート12との間に配置される吸収体13と、を有する。さらに、本実施形態の吸収性物品10は、バックシート12の非肌側の面に粘着層14を有する。なお、以下の説明では、吸収性物品10に関する方向及び寸法等は、特に説明のない限り、展開した状態(
図2に示す状態)の吸収性物品10の方向及び寸法を示す。
【0019】
(吸収性物品の形状)
吸収性物品10の形状は、特に限定されず、略矩形型、略砂時計型、略扇型等、着用者の着用部位にフィットする形状であれば形状は問わない。また、吸収性物品10は、用途やタイプに応じて、立体ギャザー、サイドフラップ等を適宜設けることができる。
【0020】
(吸収性物品の寸法)
吸収性物品10の長手方向の最大長L1は、100mm以上500mm以下である。吸収性物品10の幅方向の最大長L2は、40mm以上150mm以下である。吸収性物品10の寸法を上記の範囲に調整することにより、生理用ナプキン、軽失禁用製品に適した吸収性物品10を得ることができる。
【0021】
(吸収性物品の厚さ)
吸収性物品10の無荷重状態での厚さは、1mm以上4mm以下である。吸収性物品10の無荷重状態での厚さを上記範囲に設定することによって、吸収性物品10の吸収量を確保しつつ、吸収性物品10をコンパクトに個包装することができる。
【0022】
(トップシート)
トップシート11は、体液が吸収体13へと移動するような液透過性を備えた基材から形成される。基材の一例としては、例えば、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布等の不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム、これらの2種以上を積層した複層シート等が挙げられる。また、トップシート11には、液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート11には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。
【0023】
吸収性物品10の肌側の面には、長手方向に互いに離間して配置されて幅方向に延びる複数のエンボス15が設けられることが好ましい。例えば、トップシート11には、長手方向に互いに離間して配置されて幅方向に延びる複数のエンボス15が設けられることが好ましい。複数のエンボス15は、吸収性物品10の長手方向の全域に設けられることが好ましい。吸収性物品10の肌側の面に複数のエンボス15を設けることによって、吸収性物品10の肌側の面は、蛇腹のような形状となる。
【0024】
(バックシート)
バックシート12は、吸収体13が保持している体液が衣類を濡らさないように液不透過性を備えた基材を用いて形成される。バックシート12の基材としては、通気性又は非通気性である不透液性の樹脂フィルムが挙げられ、例えば、ポリエステルフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンとポリプロピレンとの複合フィルム等が挙げられる。バックシート12に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート12にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム等を挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。
【0025】
図4に示すように、バックシート12の非肌側の面には、粘着層14が設けられる。吸収性物品10が未使用の状態においては、この粘着層14を介して、包装シート20がバックシート12に剥離可能に固定される。この状態で、包装シート20は、粘着層14を保護している。また、吸収性物品10の使用時には、吸収性物品10は、粘着層14を介して下着等に装着される。
【0026】
粘着層14の形状については、特に限定はないが、バックシート12の長手方向又は幅方向に延在することが好ましく、長手方向又は幅方向に延在するように、複数列形成することがより好ましい。
【0027】
粘着層14を形成する粘着剤としては、特に限定はない。例えば、ポリアクリル酸エステル、酢酸ビニル-エチレン共重合体、酢酸ビニル-アクリル共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、スチレン-アクリル系共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ブタジエン-スチレン共重合体等のホットメルト系粘着剤が挙げられる。これらを、1種のみを使用しても、複数をブレンドして使用してもよい。上記の粘着剤を、バックシート12の非肌側の面に塗布することで、粘着層14を形成することができる。
【0028】
(吸収体)
吸収体13は、体液を吸収して保持可能な部分であり、吸収体13としては、例えば、吸収性繊維、高吸収性ポリマー(Super Absorbent Polymer;以下「SAP」ともいう。)、親水性シートといった材料から形成される。
【0029】
吸収体13の吸収性繊維としては、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティッシュ、吸収紙、親水性不織布等を挙げることができる。
【0030】
吸収体13の親水性のシートは、透過性を備えた基材から形成され、基材としては、トップシート11の上記基材と同様の不織布、或いは紙等が挙げられる。
【0031】
吸収体13に含まれるSAPとしては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸ナトリウム系、ポリアスパラギン酸塩系、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等の材料から形成されたものを使用することができる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸ナトリウム系が好ましい。
【0032】
吸収体13において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものであってもよく、或いは吸収性繊維間にSAP粒子を固着したものであってもよい。また、SAP粒子の漏洩防止や吸収体13の形状の安定化の目的から、吸収体13を包むような、キャリアシート(図示せず)を設けてもよい。キャリアシートの基材としては、親水性を有するものであればよく、例えば、ティッシュ、吸収紙、エアレイド不織布、スパンボンド不織布等の親水性不織布を挙げることができる。これらの中でも、スパンボンド不織布が好ましい。また、キャリアシートを複数備える場合は、複数のキャリアシートの基材は同一のものであっても異なるものであってもよい。
【0033】
吸収体13は、基材となる吸収性繊維としてのフラッフパルプとSAPとから、又は不織布とSAPとから構成されることが好ましい。吸収体13を、フラッフパルプとSAPとから、又は不織布とSAPとから構成することによって、規定の厚さの範囲内で、吸収能力及び装着感(装着中の感触)の確保と、ロール状に巻いて包装することとを両立することができる。
【0034】
[個包装シート]
包装シート20は、吸収性物品10を個包装するシートであって、吸収性物品10をロール状に保持可能である。
図2に示すように、本実施形態では、包装シート20の長手方向の長さL3は、吸収性物品10の長手方向の長さL1よりも長手方向の両側へ長い。また、包装シート20の幅方向の長さL4は、吸収性物品10の幅方向の長さL2よりも幅方向の両側へ長い。包装シート20は、吸収性物品10の非肌側の面(バックシート12の非肌側の面)に重ねられ、粘着層14に剥離可能に接着される。
【0035】
包装シート20は、不織布、樹脂フィルム、紙、又はこれらの2種以上の積層体である。包装シート20の一方の面(粘着層14に接着される側の面)には、シリコーン系剥離剤又はフッ素系剥離剤等の剥離剤が塗布されることが好ましい。
【0036】
図3に示すように、包装シート20のうち、展開した状態で吸収性物品10とは反対側となる面20a(以下、「表面20a」という。)には、模様Dが設けられることが好ましい。包装シート20の表面20aの模様Dは、吸収性物品10及び包装シート20によって構成されるロール体30(
図1参照)を1つの所定の物品に見立てた模様Dである。なお、1つの所定の物品に見立てた模様とは、チェック模様や水玉模様等の単なる柄ではなく、吸収性物品10を個包装した状態(吸収性物品包装体1の状態)で、ロール体30自体(吸収性物品包装体1自体)が1つの物品に見えるような模様を意味する。
【0037】
図1及び
図3に示すように、本実施形態では、包装シート20の表面20aには、ロール体30を1つの花(所定の物品)Oに見立てた模様Dが設けられる。具体的には、本実施形態の包装シート20の表面20aの模様Dは、花Oの萼の模様d1と、模様d1の萼から幅方向の他側へ延びる花Oの花弁の模様d2とを含む。花Oの萼の模様d1は、例えば緑色に着色され、包装シート20の表面20aの幅方向の一側(
図1における下側。
図3における右側。)に設けられる。花弁の模様d2は、例えばピンク色に着色され、表面20aの幅方向の他側(
図1における上側。
図3における左側。)に設けられる。なお、
図2には、模様Dが包装シート20の裏面20b(表面20aとは反対側の面)からも見える状態が図示されているが、これに限定されるものではなく、模様Dは少なくとも包装シート20の表面20aに設けられていればよい。また、本実施形態では、上記所定の物品を「花」としたが、これに限定されるものではなく、上記所定の物品は、例えば、いちごやりんごなどの果物等であってもよい。
【0038】
包装シート20の長手方向の一側(
図2及び
図3における上側)の端部21(以下、「一端部21」という。)には、一端部21をロール体30側へ取り外し可能に固定するためのタブテープ(固定手段)22が設けられる。
【0039】
次に、吸収性物品10を個包装する場合について説明する。
【0040】
吸収性物品10を個包装する前の吸収性物品10は、
図2に示すように、吸収性物品10の非肌側の面(バックシート12の非肌側の面)を包装シート20の裏面20bに対向させた状態で、包装シート20に対してバックシート12の粘着層14を介して剥離可能に接着されている。この状態で、包装シート20の幅方向の両側の領域23(
図2の一点鎖線よりも幅方向の外側の領域23)は、吸収性物品10よりも幅方向の外側へ延びている。吸収性物品10を個包装する際には、先ず、
図4に二点鎖線で示すように、包装シート20の幅方向の両側の領域23を、幅方向の内側の吸収性物品10のトップシート11上に、白抜き矢印で示すように折り返す。次に、トップシート11が内側になるように、吸収性物品10を包装シート20とともに長手方向の他側(
図2における下側)から巻き、ロール体30を形成する。吸収性物品10の長手方向の他側の端部は、ロール体30の中心側に位置する。最後に、包装シート20の長手方向の一端部21のタブテープ22を、包装シート20の表面20aのうちタブテープ22の径方向の内側に対向する領域に固定する。これにより、吸収性物品10を包装シート20で内包した吸収性物品包装体1を得ることができる。
【0041】
吸収性物品10を個包装した状態では、
図1に示すように、包装シート20の表面20aがロール体30の外周面となり、包装シート20の表面20aの萼の模様d1と花弁の模様d2とによって、ロール体30自体(吸収性物品包装体1自体)が1つの花O(或いは花Oの蕾)のように見える。
【0042】
上記のように構成された吸収性物品包装体1では、吸収性物品10の長手方向の最大長L1が、100mm以上500mm以下であり、吸収性物品10の幅方向の最大長L2が、40mm以上150mm以下であり、吸収性物品10の無荷重状態での厚さが、1mm以上4mm以下である。このため、吸収性物品10の吸収量を確保しつつ、吸収性物品10をコンパクトに個包装することができる。
【0043】
また、吸収性物品10の無荷重状態での厚さが1mm以上4mm以下であるので、個包装時に吸収性物品10を巻き易い。
【0044】
また、吸収性物品10が、ロール体30を構成するので、吸収性物品10をコンパクトに個包装することができる。
【0045】
また、吸収性物品10をロール状に包装するので、吸収性物品10の折りぐせの発生を抑えて吸収体13の分断を防止することができる。また、吸収性物品10をロール状に包装するので、使用時に吸収性物品10の肌側の面を適度な曲面にすることができる。したがって、吸収性物品10の装着性が良く、着用した際の感触に優れる。
【0046】
また、包装シート20の幅方向の両側の領域23を、幅方向の内側の吸収性物品10のトップシート11上に折り返すので、内包される吸収性物品10を、包装シート20によって幅方向の外側から覆うことができる。このように、内包される吸収性物品10を幅方向の外側から包装シート20によって覆うことができるので、衛生性を確保できるとともに、美粧性(外観上の見栄え)の低下を抑えることができる。
【0047】
また、包装シート20の幅方向の両端部をシールすることなく、吸収性物品10を幅方向の外側から包装シート20によって覆うことができるので、包装シート20の幅方向の両側の領域23を折り畳むことなくシールする場合とは異なり、吸収性物品包装体1の幅方向の長さを抑えることができ、吸収性物品10をコンパクトに個包装することができる。
【0048】
また、包装シート20の幅方向の両端部をシールしなくてもよいので、シール工程数を低減することができる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、コンパクトで美粧性を確保することが可能な吸収性物品包装体1を提供できる。
【0050】
また、包装シート20の表面20aには、ロール体30を1つの所定の物品に見立てた模様Dが設けられる。このため、吸収性物品包装体1自体が上記所定の物品のように見えるので、吸収性物品包装体1の美粧性を更に向上させることができる。本実施形態では、
図1に示すように、包装シート20の表面20aの萼の模様d1と花弁の模様d2とによって、ロール体30自体(吸収性物品包装体1自体)が1つの花(所定の物品)Oのように見えるので、一見すると軽失禁ケア製品等には見えず、美粧性が高い。
【0051】
また、吸収性物品10の肌側の面には、長手方向に互いに離間して配置されて幅方向に延びる複数のエンボス15が設けられるので、吸収性物品10の肌側の面が蛇腹のような形状となる。このため、吸収性物品10が複数のエンボス15に沿って曲がり易く、個包装時に吸収性物品10を巻き易い。
【0052】
なお、本実施形態では、包装シート20の一端部21をロール体30側へ取り外し可能に固定するための固定手段として、包装シート20の長手方向の一端部21にタブテープ(固定手段)22を設けたが、固定手段はこれに限定されるものではない。例えば、
図5に示すように、包装シート20の一端部21の裏面20bに接着部(固定手段)24を設け、包装シート20の一端部21を径方向の内側のロール体30に対して接着部24によって接着してもよい。接着部24で使用される接着剤としては、例えば、ホットメルト接着剤が挙げられる。
【0053】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0054】
1:吸収性物品包装体
10:吸収性物品
11:トップシート
12:バックシート
13:吸収体
15:エンボス
20:包装シート
20a:表面
21:包装シートの一端部
22:タブテープ(固定手段)
24:接着部(固定手段)
30:ロール体
O:花(所定の物品)
d1:萼の模様
d2:花弁の模様