(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033154
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】皮膚治療制御装置、方法及びプログラム、並びに、皮膚治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/067 20060101AFI20240306BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A61N5/067
A61B5/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136580
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】522345124
【氏名又は名称】株式会社スリーエスビューティーグループ
(74)【代理人】
【識別番号】100187322
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 直輝
(72)【発明者】
【氏名】有年 一真
【テーマコード(参考)】
4C082
4C117
【Fターム(参考)】
4C082RA01
4C082RL02
4C082RL12
4C117XB13
4C117XD05
4C117XE43
4C117XL01
4C117XL11
4C117XN04
(57)【要約】
【課題】治療担当者の経験によらずに、対象とする患者の皮膚の状態に適した治療を行うことができる皮膚治療制御装置等を提供する。
【解決手段】患者の皮膚を治療するためのレーザー照射の条件を最適化するレーザー治療制御装置30であって、対象とする患者の皮膚を撮影した画像データD2を取得する画像取得部32と、学習済みモデルを用いて、画像データD2に応じてレーザー照射の条件を最適化する最適化部34とを備えており、学習済みモデルは、過去の患者の皮膚に対するレーザー照射の条件と、レーザー照射の前後における皮膚の画像データである過去データD1とから、対象とする患者の皮膚に対するレーザー照射の条件を最適化することを学習したものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚を治療するための装置の設定条件を最適化する皮膚治療制御装置であって、
対象とする患者の皮膚を撮影した画像データを取得する画像取得部と、
学習済みモデルを用いて、前記画像データに応じて前記設定条件を最適化する最適化部とを備えており、
前記学習済みモデルは、過去の患者の皮膚に対する前記設定条件と、当該設定条件に応じた治療の前後における前記皮膚の画像データである過去データとから、前記対象とする患者の皮膚に対する前記設定条件を最適化することを学習したものである、皮膚治療制御装置。
【請求項2】
前記最適化部は、複数回にわたる前記設定条件を予めそれぞれ設定するものであり、
前記最適化部は、前記複数回のうちの一部の回数が終了した時点における、前記対象とする患者の皮膚を撮影した画像データに基づいて、前記複数回のうちの残りの回数を実施するか否かを判断する、請求項1に記載の皮膚治療制御装置。
【請求項3】
前記最適化部は、複数回にわたる前記設定条件を予めそれぞれ設定するものであり、
前記最適化部は、前記複数回のうちの一部の回数が終了した時点における、前記対象とする患者の皮膚を撮影した画像データである途中画像データに基づいて、前記複数回のうちの残りの回数における予め設定された前記設定条件を補正する、請求項1に記載の皮膚治療制御装置。
【請求項4】
前記最適化部による前記設定条件の補正は、前記途中画像データにおける皮膚の状態と、前記過去の患者に対する前記設定条件に基づく治療後の前記過去データにおける皮膚の状態とが異なる場合に、前記対象とする患者と前記過去の患者との治療経過情報を比較して行われる、請求項3に記載の皮膚治療制御装置。
【請求項5】
前記設定条件は、使用するレーザーの種類、波長、出力、パルス幅、スポット径、照射方法及び照射回数のうち少なくとも1つを含むレーザー治療の設定条件である、請求項1に記載の皮膚治療制御装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の皮膚治療制御装置を備え、
前記皮膚治療制御装置の前記最適化部により最適化された前記設定条件に基づいて、前記対象とする患者の皮膚に対する治療を実施可能な皮膚治療装置。
【請求項7】
前記最適化部は、他の前記皮膚治療制御装置の前記最適化部により予め設定された複数回にわたる前記設定条件を取得し、
前記皮膚治療装置は、前記他の皮膚治療制御装置の最適化部により最適化された前記設定条件に基づいて、前記対象とする患者の皮膚に対して治療を実施可能な請求項6に記載の皮膚治療装置。
【請求項8】
患者の皮膚を治療するための装置の設定条件を最適化する皮膚治療制御方法であって、
対象とする患者の皮膚を撮影した画像データを取得する画像取得工程と、
学習済みモデルを用いて、前記画像データに応じて前記設定条件を最適化する最適化工程とをコンピュータにより実行し、
前記学習済みモデルは、過去の患者の皮膚に対する前記設定条件と、当該設定条件に応じた治療の前後における前記皮膚の画像データとから、前記対象とする患者の皮膚に対する前記設定条件を最適化することを学習する、皮膚治療制御方法。
【請求項9】
患者の皮膚を治療するための装置の設定条件の最適化を、コンピュータに実行させるための皮膚治療制御プログラムであって、
対象とする患者の皮膚を撮影した画像データを取得する画像取得工程と、
学習済みモデルを用いて、前記画像データに応じて前記設定条件を最適化する最適化工程とを前記コンピュータに実行させるためのものであり、
前記学習済みモデルは、過去の患者の皮膚に対する前記設定条件と、当該設定条件に応じた治療の前後における前記皮膚の画像データとから、前記対象とする患者の皮膚に対する前記設定条件を最適化することを学習したものである、皮膚治療制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚治療制御装置、方法及びプログラム、並びに、皮膚治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載のように、患者の皮膚からシミを取り除くためのレーザー治療においては、レーザー治療の効果が治療担当者の経験に大きく左右されることが問題視されている。この問題を解決するために、下記特許文献1には、患者の皮膚におけるシミ部位のメラニンを評価することによって、シミ部位に対するレーザー治療の効果を施術前に予め判定することが記載されている。また、下記特許文献2には、ユーザの肌の状態を診断してから、適切なトリートメント(例えば、シミがある場合にはレーザー治療)を設定することが記載されている。さらに、下記特許文献3には、美容医療診断方法として、メンバー登録、問診、肌測定、結果表示・確認、診察、カウンセリング、施術案内(例えば、美容皮膚科におけるシミ取りレーザー)、シミュレーション、施術、次回の施術選択を順に実施するプロセスが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-61307号公報
【特許文献2】特許第4139667号公報
【特許文献3】特許第5116965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の発明は、シミ部位に対するレーザー治療の効果を施術前に予め判定するにとどまっており、患者の皮膚からシミを取り除くための最適なレーザー照射条件まで判断するものではない。また、特許文献2に記載の発明は、適切なトリートメント(例えば、シミがある場合にはレーザー治療)を設定するにとどまっており、患者の皮膚からシミを取り除くための最適なレーザー照射条件まで判断するものではない。さらに、特許文献3に記載の発明は、施術案内(例えば、美容皮膚科におけるシミ取りレーザー)を行うにとどまっており、患者の皮膚からシミを取り除くための最適なレーザー照射条件まで判断するものではない。
【0005】
このように、先行技術においては、患者の皮膚におけるシミに対するレーザー治療の適否及び効果を判断するだけであり、患者の皮膚におけるシミに対する最適なレーザー照射条件まで判断することはなされていない。このため、上述した問題、すなわち、レーザー治療の効果が治療担当者の経験に大きく左右されるという問題は依然として解消されていない。
【0006】
また、一般的に、レーザー治療は、1回で完了するものではなく、間隔(所定日数)をあけて複数回にわたって行われる。そして、患者個々人によって、治療の経過状況や副作用の発生の有無が異なるために最適なレーザー照射条件も異なる。このため、患者の皮膚におけるシミに対する最適なレーザー照射条件を正確に判断することは難しいという問題もある。
【0007】
上述したような問題は、シミ以外の皮膚の異常や、レーザー以外の皮膚治療装置においても存在している。すなわち、皮膚治療装置を用いた効果が治療担当者の経験に大きく左右され、かつ、患者の皮膚の異常に対する最適な設定条件を正確に判断することは難しいという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、治療担当者の経験によらずに、対象とする患者の皮膚の状態に適した皮膚治療を行うことができる皮膚治療制御装置、方法及びプログラム、並びに、皮膚治療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る皮膚治療制御装置は、患者の皮膚を治療するための装置の設定条件を最適化する皮膚治療制御装置であって、対象とする患者の皮膚を撮影した画像データを取得する画像取得部と、学習済みモデルを用いて、前記画像データに応じて前記設定条件を最適化する最適化部とを備えており、前記学習済みモデルは、過去の患者の皮膚に対する前記設定条件と、当該設定条件に応じた治療の前後における前記皮膚の画像データである過去データとから、前記対象とする患者の皮膚に対する前記設定条件を最適化することを学習したものである。
【0010】
本発明に係る皮膚治療制御方法は、患者の皮膚を治療するための装置の設定条件を最適化する皮膚治療制御方法であって、対象とする患者の皮膚を撮影した画像データを取得する画像取得工程と、学習済みモデルを用いて、前記画像データに応じて前記設定条件を最適化する最適化工程とをコンピュータにより実行し、前記学習済みモデルは、過去の患者の皮膚に対する前記設定条件と、当該設定条件に応じた治療の前後における前記皮膚の画像データとから、前記対象とする患者の皮膚に対する前記設定条件を最適化することを学習する。
【0011】
本発明に係る皮膚治療制御プログラムは、患者の皮膚を治療するための装置の設定条件の最適化を、コンピュータに実行させるための皮膚治療制御プログラムであって、対象とする患者の皮膚を撮影した画像データを取得する画像取得工程と、学習済みモデルを用いて、前記画像データに応じて前記設定条件を最適化する最適化工程とを前記コンピュータに実行させるためのものであり、前記学習済みモデルは、過去の患者の皮膚に対する前記設定条件と、当該設定条件に応じた治療の前後における前記皮膚の画像データとから、前記対象とする患者の皮膚に対する前記設定条件を最適化することを学習したものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、治療担当者の経験によらずに、対象とする患者の皮膚の状態に適した皮膚治療を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、レーザー治療システムを示す全体構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すレーザー治療システムに備わっているレーザー治療装置を示す全体構成図である。
【
図3】
図3は、
図2に示すレーザー治療装置を用いて実施されるレーザー治療方法の、手順を説明するための説明図である。
【
図4】
図4は、レーザー治療制御プログラムを実行させるためのコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(レーザー治療システム)
図1に示すレーザー治療システム100は、複数のレーザー治療装置1(1A、1B、1C)とデータベースDBを有するサーバSとがネットワークNを介して通信的に接続されたものである。複数のレーザー治療装置1(1A、1B、1C)は、患者の皮膚におけるシミを取り除くためのレーザー照射を行うものである。なお、サーバSとしては、クラウドシステムを構築する管理会社に設置されたものを用いてもよく、あるいは、それぞれのレーザー治療装置1(1A、1B、1C)を設置する医院に設置されたものを用いてもよい。
【0015】
図1においては、1つのサーバS及びデータベースDB、3つのレーザー治療装置1(1A、1B、1C)のみを示しているが、ネットワークNに接続されるサーバS、データベースDB、レーザー治療装置1の個数は、特に限定されるものではない。それぞれのレーザー治療装置1(1A、1B、1C)は、例えば、美容クリニックに設置することができる。ネットワークNとしては、例えば、インターネット、VPN(Virtual Private Network)を挙げることができる。データベースDBには、各レーザー治療装置1を用いた過去の患者の皮膚に対するレーザー照射の条件と、各レーザー照射の前後における皮膚の画像データとを含む過去データD1が記録されている。それぞれのレーザー治療装置1(1A、1B、1C)には、サーバSのデータベースDBからネットワークNを介して適宜、過去データD1が送信される。
【0016】
(レーザー治療装置)
次に、
図2に示すレーザー治療装置1、すなわち、本発明に係る皮膚治療装置の一実施形態について説明する。
図2に示すように、レーザー治療装置1は、撮影装置10と、入力機器20と、レーザー治療制御装置30と、表示部40と、レーザー照射装置50とを備えている。
【0017】
レーザー治療制御装置30は、本発明に係る皮膚治療制御装置の一実施形態に相当するものであり、患者の皮膚におけるシミを取り除くためのレーザー照射の条件(レーザー治療装置1の設定条件)を最適化するためのものである。レーザー治療制御装置30は、制御部31と、画像取得部32と、通信部33と、最適化部34とを備えている。
【0018】
レーザー治療制御装置30は、例えば、後述する
図4に示すコンピュータ800であり、記憶部(主記憶装置、補助記憶装置)に記憶されたプログラムに応じて各種制御信号の送受信を行い、各部を機能させる。
【0019】
なお、本実施形態のレーザー治療装置1が治療対象とする皮膚の状態はシミである。本明細書において、シミは、色素異常症全般のことを指し、例えば、肝斑、老人性色素斑、老人性白斑、炎症後色素沈着、くすみ、色ムラ、赤ら顔等の後天性色素異常症、そばかす(雀卵斑)等の先天性色素異常症、刺青等の異物沈着症、等を含む。例えば、狭義のシミ(肝斑)、老人性色素斑(日光性黒子)、老人性白斑、炎症後色素沈着、くすみ、色ムラ、赤ら顔等の後天性色素異常症、そばかす(雀卵斑)等の先天性色素異常症、刺青等の異物沈着症、等を含む。また、本実施形態のレーザー治療装置1は、治療対象として主に顔の皮膚を想定しているが、顔に限られず他の身体の部位の治療にも適用可能である。
【0020】
撮影装置10は、対象とする患者の皮膚におけるシミ(以下「対象のシミ」という。)を撮影するためのものである。撮影装置10としては、例えば、カメラ又はスキャナ等の光学機器、あるいは、この光学機器を搭載したパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット又は携帯電話を使用することができる。また、撮影装置10としては、例えば、一般的なカラー画像の他、紫外線写真、赤外線写真等の特定の波長に限定した写真を撮影可能なもの、または、カラー画像を、特定の波長に限定した画像に加工可能なものを用いることができる。また、本実施形態では撮影装置10により、例えば患者の顔の正面、左向き、右向きの画像を撮影する。
【0021】
入力機器20は、レーザー治療制御装置30に操作情報を入力するためのものである。入力機器20としては、例えば、液晶ディスプレイもしくは有機ELディスプレイ等のタッチパネル、キーボード、マウス、または、音声入力装置を使用することができる。
【0022】
レーザー治療制御装置30の制御部31は、入力機器20からの入力信号を受信し、受信した入力信号に基づいて画像取得部32、通信部33及び最適化部34に制御信号を送信するためのものである。また、制御部31は、対象とする患者に対する治療記録を記憶する記憶部(図示せず)を有している。この治療記録とは、例えば、対象とする患者に対して既に実施したレーザー照射の条件(使用したレーザーの種類、波長、出力、パルス幅、スポット径、照射方法及び照射回数など)と、レーザー照射の前後における皮膚(具体的には、シミ)の撮影画像とである。
【0023】
レーザー治療制御装置30の画像取得部32は、制御部31から受信した制御信号に基づいて、撮影装置10により撮影された撮影画像の画像データD2を撮影装置10から取得し、取得した画像データD2を最適化部34又は表示部40に送信する機能を有する。
【0024】
レーザー治療制御装置30の通信部33は、ネットワークNを介して外部の各種情報を受信する機能、及びネットワークNを介して外部に各種情報を送信する機能を有する。本実施形態においては、
図1に示すサーバSから送信される過去データD1を受信し、制御部31から受信した制御信号に基づいて、受信した過去データD1を最適化部34に送信する機能を有する。また、通信部33は、過去データD1に対応するデータ、すなわち撮影装置10により撮影された撮影画像の画像データD2、及び後述するレーザー照射装置50により実行したレーザー照射の条件等、をサーバSに送信する機能を有する。
【0025】
最適化部34は、制御部31から受信した制御信号に基づいて、画像取得部32から受信した画像データD2に示されているシミ(つまり、対象のシミ)を認識し、当該シミに対するレーザー照射条件を最適化するためのものである。ここで、最適化部34は、学習済みモデルを用いることにより、このレーザー照射条件の最適化を実行する。
【0026】
この学習済みモデルは、例えば通信部33から受信した過去データD1から、すなわち、過去の患者の皮膚におけるシミに対するレーザー照射の条件と、このレーザー照射の前後におけるシミの画像データとから、対象のシミに対するレーザー照射の条件を最適化することを学習したものである。この学習とは、いわゆる機械学習であり、例えばディープラーニングである。学習用データとしては、過去データD1におけるレーザー照射の条件及びこれに対応する画像データの他にも、患者の肌の色(スキンカラー)、タイプ(スキンタイプ)、状態(スキンテクスチャ)、刺青の有無等を含む肌情報、患者の性別、年齢、国籍、住所、血液型、等を含む患者個人情報、そのシミに対するレーザー治療の回数、初回治療からの経過日数、直近の治療からの経過日数等を含む治療経過情報、画像に写るシミの種類等を含むシミ情報、医師によるその治療が効果的であったか否か等を含む評価情報、患者の皮膚に対する過去の治療歴(例えば刺青の治療歴)、内服薬の服用の有無、過去の皮膚の治療経過及び治療結果等を含む治療歴情報、等を含んでもよい。
【0027】
また、学習済みモデルは、最適化部34で生成したものでもよく、サーバSで生成されて通信部33で取得したものでもよく、サーバSで生成されてサーバSで記憶されているものでもよい。サーバSで記憶されている学習済みモデルを用いる場合には、画像データD2を通信部33からサーバSに送信し、サーバSにおいてレーザー照射条件の最適化を実施し、最適化したレーザー照射条件の情報を通信部33によりサーバSから受信する必要がある。
【0028】
また、ここでのレーザー照射の条件としては、例えば、使用するレーザーの種類、波長、出力、パルス幅、スポット径、照射方法及び照射回数のうち少なくとも1つを含めることができる。使用するレーザーの種類については、ナノレーザー及びピコレーザーといったレーザー出力時間に基づく大まかな分類で特定してもよく、炭酸ガスレーザー、アレキサンドライトレーザー、フラクショナルレーザー、Qスイッチルビーレーザー、QスイッチYAGレーザー、エルビウムヤグレーザー、及びダイオードレーザーといった細かな分類で特定してもよい。波長、出力、パルス幅、スポット径については、レーザーの種類に応じて予め設定された選択肢が1又は複数あり、複数ある場合はそれらの1つを選択することで特定する。レーザー照射方法としては、例えば、ショット式及びトーニング式を挙げることができる。最適化部34は、1回分のレーザー照射の条件のみを設定するもの、あるいは、複数回にわたるレーザー照射の条件を予めそれぞれ設定することができるもの、のいずれであってもよい。
【0029】
また、最適化部34は、新たに通信部33から過去データD1を受信した場合において、受信した過去データD1に基づいて適宜学習済みモデルを更新することができるように構成されている。
【0030】
さらに、最適化部34は、対象のシミに対して治療が完了するまでの期間における複数回にわたるレーザー照射の条件(いわゆる治療計画)を予めそれぞれ設定し、複数回のうちの一部の回数が終了した時点における対象のシミの画像データD2を撮影装置10から画像取得部32経由で取得した場合に、複数回のうちの残りの回数を実施するか否かを判断したり、複数回のうちの残りの回数における予め設定されたレーザー照射条件を補正したりする補正機能を有してもよい。
【0031】
例えば、最適化部34は、1回目のレーザー照射後であって、2回目以降の任意の回のレーザー照射前に、撮影装置10により撮影して画像取得部32により取得した画像データD2(途中画像データ)に写る皮膚の状態(具体的にはシミの状態)と、過去の患者に対するレーザー照射後の過去データD1に写る皮膚の状態(具体的にはシミの状態)とを比較する。そして、これらの状態が異なる場合(例えば、途中画像データに写るシミの状態が過去データD1に写るシミの状態より良好ではない場合)には、対象とする患者と過去の患者との治療経過情報を比較し、これらの治療経過情報の差に基づいて、対象とする患者の皮膚に対する残りのレーザー照射条件(使用するレーザーの種類、波長、出力、パルス幅、スポット径、照射方法及び照射回数、等)の補正を行う。
【0032】
この際、レーザー治療制御装置30の記憶部(制御部31の一部)又はサーバSのデータベースDBに当該患者の治療経過情報がある場合は、当該治療経過情報における当該患者の傾向(例えば、皮膚の回復速度等)に応じて補正の内容や補正の度合いを決定する。なお、当該患者の傾向については、当該患者の治療経過情報がない場合には、例えば、当該患者と類似の患者個人情報を有する患者の過去データD1から推定してもよい。
【0033】
また、例えば、最適化部34は、1回目のレーザー照射後であって、2回目以降の任意の回のレーザー照射前に、撮影装置10により撮影して画像取得部32により取得した画像データD2(治療途中画像データ)に写る皮膚の状態(具体的にはシミ周りの皮膚の状態)を分析する。そして、最適化部34は、この分析結果に基づき、シミ周りの皮膚が炎症又は炎症後色素沈着を起こしているか否かを判断し、炎症又は炎症後色素沈着を起こしていると判断した場合、その後のレーザー照射条件の補正を行う。ここでの補正としては、例えば、炎症が強い場合には今回のレーザー照射を中止させたり、次回のレーザー照射予定日を遅らせたり(治療計画補正)、次回以降のレーザー出力を前回までのレーザー出力よりも低下させたり(出力補正)、次回以降の使用レーザーをピコレーザーにしたり(レーザー種類補正)することが挙げられる。
【0034】
また、最適化部34は、最適化されたレーザー照射条件に合わせた治療担当者向けのガイド情報を付与するガイド機能を有してもよい。ガイド情報には、レーザー照射装置50の使用手順、レーザー照射位置、レーザー照射時間、等が含まれてもよく、そのデータ形式は、テキスト、音声、動画像のいずれでもよい。ガイド情報は、例えばレーザー照射装置50の種類に応じてサーバSのデータベースDBに記憶されており、最適化部34により、使用するレーザーの種類(レーザー照射条件に含まれる)に適合したガイド情報が付与される。
【0035】
また、最適化部34は、他のレーザー治療装置1(つまり他のクリニック)で行ったレーザー治療を引き継ぐ引継機能を有している。この引継機能は、治療対象である患者の治療経過情報(これまでのシミの画像データD2及びレーザー照射条件、等)をサーバSのデータベースDBから抽出するものである。これにより、対象とする患者のレーザー治療を別の医院で継続することができる。
【0036】
また、本実施形態の最適化部34は、画像取得部32から受信した画像データD2に示されているシミ(つまり、対象のシミ)がレーザー治療に適しているか否かを自動的に判別するシミ判別機能を有していてもよい。レーザー治療に適しているシミとしては、例えば、老人性色素斑(日光性黒子)が挙げられ、レーザー治療に適していないシミとしては、例えば、肝斑が挙げられる。そして、最適化部34は、レーザー治療に適していないシミを判別した際には、例えば表示部40に警告表示をしたり、警報したりするアラート機能を有していてもよい。
【0037】
また、最適化部34は、制御部31から受信した制御信号に基づいて、設定又は補正したレーザー照射条件の情報Iを表示部40又はレーザー照射装置50に送信することができる。
【0038】
表示部40は、画像取得部32から受信した画像データD2、または、最適化部34から受信したレーザー照射条件の情報Iを表示する機能を有する。表示部40としては、例えば、液晶ディスプレイ、または、有機ELディスプレイを使用することができる。
【0039】
レーザー照射装置50は、最適化部34から受信したレーザー照射条件の情報Iに基づいて、対象のシミに対してレーザー照射を実行する機能を有する。レーザー照射装置50は、例えば、レーザーの種類、出力、照射方法及び照射回数を調整可能に構成されている。なお、本実施形態では説明を簡略化するためレーザー照射装置50は1つのみであるが、レーザーの種類に応じて複数のレーザー照射装置50が別々にレーザー治療制御装置30に接続されていてもよい。
【0040】
本実施形態のレーザー治療制御装置30は、レーザー照射装置50から照射したレーザーの条件(例えば、波長、出力、パルス幅、スポット径、照射方法及び照射回数)を自動的に記憶する記憶部をさらに備えていてもよい。
【0041】
(レーザー治療方法)
次に、
図2に示すレーザー治療装置1を用いて実施されるレーザー治療方法、すなわち、本発明に係る皮膚治療制御方法の一実施形態を適用したレーザー治療方法について説明する。このレーザー治療方法は、撮影工程S1と、画像取得工程S2と、設定工程S3(第1の最適化工程)と、レーザー照射工程S4と、再撮影工程S5と、画像再取得工程S6と、補正工程S7(第2の最適化工程)と、レーザー再照射工程S8とを備えている。
【0042】
ここで、本発明に係る皮膚治療制御方法の一実施形態は、少なくとも、画像取得工程S2と、設定工程S3と、画像再取得工程S6と、補正工程S7とを備えており、ユーザーの操作情報を受けて、
図2に示すレーザー治療制御装置30であるコンピュータが、患者の皮膚におけるシミを取り除くためのレーザー照射の条件を最適化するものである。なお、本実施形態では、説明を簡略化するため日を改めた2回のレーザー照射で治療が完了する例で説明するが、3回以上のレーザー照射が必要な場合でも同様の手順で本発明を適用可能である。
【0043】
具体的に説明すると、撮影工程S1において、治療担当者であるユーザーによる操作の下、
図2に示す撮影装置10は患者における対象のシミを撮影する。次に、画像取得工程S2において、ユーザーによる
図2に示す入力機器20からの操作情報を受けて、制御部31は、撮影装置10により撮影した画像のデータである画像データD2を画像取得部32に取得させる。さらに、設定工程S3において、最適化部34は、画像取得部32にて取得した画像データD2に写るシミを認識し、レーザー治療の回数(本実施形態では2回)の設定、この対象のシミに対する1回目及び2回目のレーザー照射の条件の最適化(設定)を実行する。そして、レーザー照射工程S4において、最適化部34は、設定(最適化)されたレーザー照射条件に応じて、ユーザーの操作に応じて
図2に示すレーザー照射装置50を用いて対象のシミにレーザーを照射する。なお、必要に応じて、レーザー照射終了直後に、撮影装置10により対象のシミの状態を撮影しておく。
【0044】
その後、所定の日数を置いた後、再撮影工程S5において、ユーザーによる操作の下、
図2に示す撮影装置10が患者における対象のシミを再度撮影する。次に、画像再取得工程S6において、ユーザーによる
図2に示す入力機器20からの操作情報を受けて、制御部31は、撮影装置10により再度撮影した画像のデータである画像データD2を画像取得部32に取得させる。さらに、補正工程S7において、最適化部34は、この対象のシミに対する2回目のレーザー照射の条件の最適化(補正)を実行する。そして、レーザー再照射工程S8において、ユーザーは、最適化部34において補正(最適化)されたレーザー照射条件に応じて、
図2に示すレーザー照射装置50を用いて対象のシミにレーザーを照射する。
【0045】
補正工程S7において、最適化部34は、その補正機能を用いて必要な補正を実施する。なお、補正の詳細については、
図2に示す最適化部34の補正機能の説明箇所において既に詳細な説明を行った。ただし、ここで一例を示しておくと、補正工程S7において、最適化部34は、例えば再撮影工程S5で再度撮影した画像データD2に写るシミが期待通りの経過状態であれば、設定工程S3にて設定した2回目のレーザー照射条件をそのまま採用する。一方、最適化部34は、このシミが期待通りの経過状態でない場合、レーザー治療制御装置30の記憶部又はサーバSのデータベースDBから当該患者の治療経過情報を抽出し、当該患者の経過状態に応じた補正を行う。例えば、当該患者が皮膚の回復が遅い傾向を有している場合には、レーザー再照射工程S8において照射予定のレーザー出力を予定よりも弱めたり、レーザー照射回数を3回以上で設定した場合にはレーザー照射回数を減少させたりする。逆に当該患者が皮膚の回復が早い傾向を有している場合には、レーザー再照射工程S8において照射予定のレーザー出力を予定よりも強めたり、レーザー照射回数を増加させたりする。また、最適化部34は、例えば再撮影工程S5で再度撮影した画像データD2に写るシミ周りの皮膚が炎症又は炎症後色素沈着を起こしている場合には、この回のレーザー照射を中止したり、2回目のレーザー照射の実施日を遅らせたりすることもある。
【0046】
なお、
図3に示す工程S1~S4と工程S5~S8とについては、同一の医院(つまり、同一のレーザー治療装置1)で実施してもよく、上述した最適化部34の引継機能を用いて別々の医院(つまり、別々のレーザー治療装置1)で実施してもよい。
【0047】
(レーザー治療制御プログラム)
さらに、本発明に係る皮膚治療制御プログラムの一実施形態であるレーザー治療制御プログラムについて説明する。本実施形態に係るプログラム(以下、単に「プログラム」という。)は、
図3に示す画像取得工程S2と、設定工程S3と、画像再取得工程S6と、補正工程S7とをコンピュータに実行させるためのものである。なお、これら4つの工程については既に説明したため、以下においては、プログラムを実行させるためのコンピュータ800の構成について説明する。
【0048】
コンピュータ800は、CPU801と、主記憶装置802と、補助記憶装置803と、インタフェース804とを備えている。補助記憶装置803は、プログラムを保存するためのものである。主記憶装置802は、プログラムの実行時にプログラムを展開するためのものである。CPU801は、プログラムを補助記憶装置803から読み出して主記憶装置802に展開することにより、プログラムに従って、
図3に示す画像取得工程S2と、設定工程S3と、画像再取得工程S6と、補正工程S7とを実行するためのものである。
【0049】
なお、補助記憶装置803は、一時的でない有形の媒体として用いるものである。補助記憶装置803に代えて、一時的でない有形の媒体として、例えば、インタフェース804を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM及び半導体メモリを用いることができる。また、プログラムが
図1に示すネットワークNを介してコンピュータ800に配信される場合、配信を受けたコンピュータ800のCPU801がプログラムを主記憶装置802に展開することにより、上記の4つの工程を実施してもよい。
【0050】
プログラムは、
図3に示す画像取得工程S2と、設定工程S3とのみを実行するためのものであっても構わない。さらに、プログラムは、上述した4つの工程を補助記憶装置803に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実行するためのもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても構わない。
【0051】
(効果)
図2に示すレーザー治療装置1と、
図3に示すレーザー治療方法と、プログラムとによれば、主に
図2に示す最適化部34によって、対象とする患者の皮膚におけるシミの画像データD2(
図2)に基づいてレーザー照射条件が最適化される。このため、治療担当者は、自身の経験によらずに、対象とする患者の皮膚におけるシミに適したレーザー治療を行うことができる。
【0052】
特に、
図2に示す最適化部34が、複数回にわたるレーザー照射の条件を予めそれぞれ設定し、複数回のうちの一部の回数が終了した時点における対象のシミの画像データD2(
図2)に基づいて、複数回のうちの残りの回数を実施するか否かを判断したり、複数回のうちの残りの回数における予め設定されたレーザー照射条件を補正したりすれば、対象とする患者の皮膚におけるシミに対するレーザー治療方針を、さらに好適なものとすることができる。
【0053】
最適化部34によるレーザー照射条件の補正が、途中画像データD2における皮膚の状態と、過去の患者に対するレーザー照射後の過去データD1における皮膚の状態とが異なる場合に、対象とする患者と過去の患者との治療経過情報を比較して行われることにより、より個人の傾向に適したレーザー治療を行うことができる。
【0054】
またレーザー照射の条件として、使用するレーザーの種類、波長、出力、パルス幅、スポット径、照射方法及び照射回数のうち少なくとも1つを含んでいることで、適切なレーザー照射条件を設定及び補正することができる。
【0055】
各レーザー治療装置1A、1B、1Cの最適化部34が、他のレーザー治療制御装置30の最適化部34により予め設定された複数回にわたるレーザー照射の条件を取得し、レーザー照射装置50が、他のレーザー治療制御装置30の最適化部34により最適化されたレーザー照射の条件に基づいて、対象とする患者の皮膚に対してレーザー照射を実施することができることで(つまり、最適化部34が引継機能を有することで)、患者はクリニックが異なっても最適なレーザー照射条件で治療を継続して受けることができる。
【0056】
これまで説明してきた実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
【0057】
例えば、上記実施形態では、発明を理解しやすくするため、レーザー治療制御装置30における制御部31、画像取得部32、通信部33、最適化部34を別の構成として説明しているが、ハードウェアとしてはコンピュータとして1つの構成として実現されていてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、レーザー治療制御装置30とレーザー照射装置50とが別の構成として説明しているが、レーザー照射装置50内にレーザー治療制御装置30を一体として備えていてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、複数のレーザー治療装置1A、1B、1CがサーバSのデータベースDBを介して情報を共有しているが、サーバSを介さず直接レーザー治療装置1間で情報を共有してもよい。
【0060】
なお、上記実施形態の説明では、患者の皮膚におけるシミ(色素異常症)に対する治療を例にとって説明したが、本発明は、シミ以外の皮膚の異常に対する治療にも適用できる。例えば、広い意味での母斑、例えば扁平母斑、色素性母斑、若年性黒色腫、dysplastic nevus、青色母斑、太田母斑、後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)等の神経櫛起原細胞性母斑の治療に適用することもできる。その他にも、老人性疣贅、稗粒腫、粉瘤、汗管腫、有棘細胞癌、基底細胞腫、悪性黒子、悪性黒色腫、脂肪腫、血管腫等の皮膚腫瘍、胼胝腫、鶏眼、毛孔性苔癬等の角化症、乾癬、扁平苔癬等の炎症性角化症、眼瞼黄色腫等の局所脂質代謝異常症、尋常性ざ瘡、酒さ、ニキビダニざ瘡等の毛包脱脂系疾患、円形脱毛症等の毛髪疾患、せつ、よう等の細菌性疾患、尋常性疣贅、青年性扁平疣贅等のウイルス性疾患、白癬等の真菌症に対する治療にも適用することができる。
【0061】
また、上記実施形態では皮膚治療装置としてレーザー治療装置を例にとって説明したが、本発明はレーザー治療装置以外の皮膚を治療するための装置にも適用可能である。例えば、紫外線治療装置、IPL(Intense Pulsed Light)治療装置、外科的療法に用いるアブレーション治療装置(例えば、高周波電気メスを使用するもの)、液体窒素治療装置等にも適用可能である。なお、各装置に応じて設定条件は変わるが、紫外線治療装置、IPL治療装置はレーザー治療装置のレーザー照射条件(レーザーの種類、波長、出力、パルス幅、スポット径、照射方法及び照射回数)を光照射条件(光の波長、出力、パルス幅、スポット径、照射方法及び照射回数)に置き換えることで適用可能である。アブレーション治療装置は、レーザー照射条件(レーザーの種類、波長、出力、パルス幅、スポット径、照射方法及び照射回数)をアブレーション設定条件に置き換えることで適用可能である。液体窒素治療装置は、上記レーザー照射条件を液体窒素治療装置の設定条件(例えば、治療日の間隔、液体窒素を付着させた綿棒を患部に押し当てる強さ及び回数等)に置き換えることで適用可能である。
【0062】
また、上記実施形態では各レーザー治療装置1A、1B、1CがそれぞれサーバSのデータベースDBの情報を共有しているが、例えば個人情報保護等の観点から、特定の医院のレーザー治療装置とは情報共有しないようにしたり、特定グループ毎に情報共有するようにしたり、してもよい。
【0063】
上述した実施形態に係る開示を例示すると以下のとおりである。
[1]
患者の皮膚を治療するための装置の設定条件を最適化する皮膚治療制御装置であって、
対象とする患者の皮膚を撮影した画像データを取得する画像取得部と、
学習済みモデルを用いて、前記画像データに応じて前記設定条件を最適化する最適化部とを備えており、
前記学習済みモデルは、過去の患者の皮膚に対する前記設定条件と、当該設定条件に応じた治療の前後における前記皮膚の画像データである過去データとから、前記対象とする患者の皮膚に対する前記設定条件を最適化することを学習したものである、皮膚治療制御装置。
[2]
前記最適化部は、複数回にわたる前記設定条件を予めそれぞれ設定するものであり、
前記最適化部は、前記複数回のうちの一部の回数が終了した時点における、前記対象とする患者の皮膚を撮影した画像データに基づいて、前記複数回のうちの残りの回数を実施するか否かを判断する、請求項1に記載の皮膚治療制御装置。
[3]
前記最適化部は、複数回にわたる前記設定条件を予めそれぞれ設定するものであり、
前記最適化部は、前記複数回のうちの一部の回数が終了した時点における、前記対象とする患者の皮膚を撮影した画像データである途中画像データに基づいて、前記複数回のうちの残りの回数における予め設定された前記設定条件を補正する、上記[1]又は[2]に記載の皮膚治療制御装置。
[4]
前記最適化部による前記設定条件の補正は、前記途中画像データにおける皮膚の状態と、前記過去の患者に対する前記設定条件に基づく治療後の前記過去データにおける皮膚の状態とが異なる場合に、前記対象とする患者と前記過去の患者との治療経過情報を比較して行われる、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載の皮膚治療制御装置。
[5]
前記設定条件は、使用するレーザーの種類、波長、出力、パルス幅、スポット径、照射方法及び照射回数のうち少なくとも1つを含むレーザー治療の設定条件である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載の皮膚治療制御装置。
[6]
上記[1]~[5]のいずれか1つに記載の皮膚治療制御装置を備え、
前記皮膚治療制御装置の前記最適化部により最適化された前記設定条件に基づいて、前記対象とする患者の皮膚に対する治療を実施可能な皮膚治療装置。
[7]
前記最適化部は、他の前記皮膚治療制御装置の前記最適化部により予め設定された複数回にわたる前記設定条件を取得し、
前記皮膚治療装置は、前記他の皮膚治療制御装置の最適化部により最適化された前記設定条件に基づいて、前記対象とする患者の皮膚に対して治療を実施可能である、上記[6]に記載の皮膚治療装置。
[8]
患者の皮膚を治療するための装置の設定条件を最適化する皮膚治療制御方法であって、
対象とする患者の皮膚を撮影した画像データを取得する画像取得工程と、
学習済みモデルを用いて、前記画像データに応じて前記設定条件を最適化する最適化工程とをコンピュータにより実行し、
前記学習済みモデルは、過去の患者の皮膚に対する前記設定条件と、当該設定条件に応じた治療の前後における前記皮膚の画像データとから、前記対象とする患者の皮膚に対する前記設定条件を最適化することを学習する、皮膚治療制御方法。
[9]
患者の皮膚を治療するための装置の設定条件の最適化を、コンピュータに実行させるための皮膚治療制御プログラムであって、
対象とする患者の皮膚を撮影した画像データを取得する画像取得工程と、
学習済みモデルを用いて、前記画像データに応じて前記設定条件を最適化する最適化工程とを前記コンピュータに実行させるためのものであり、
前記学習済みモデルは、過去の患者の皮膚に対する前記設定条件と、当該設定条件に応じた治療の前後における前記皮膚の画像データとから、前記対象とする患者の皮膚に対する前記設定条件を最適化することを学習したものである、皮膚治療制御プログラム。
【符号の説明】
【0064】
1 レーザー治療装置
100 レーザー治療システム
800 コンピュータ
DB データベース
D1 過去データ
D2 画像データ(治療途中画像データ)
I レーザー照射条件の情報
N ネットワーク
S サーバ