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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033172
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ガードレール一体型の送電システム
(51)【国際特許分類】
   H02G 9/04 20060101AFI20240306BHJP
   E01F 15/04 20060101ALI20240306BHJP
   H02G 9/06 20060101ALI20240306BHJP
   H02G 7/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
H02G9/04
E01F15/04 A
H02G9/06
H02G7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136605
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】522344552
【氏名又は名称】株式会社バリラジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】安藤 晴康
【テーマコード(参考)】
2D101
5G367
5G369
【Fターム(参考)】
2D101FA11
2D101FA21
2D101GA00
5G367BB04
5G369AA04
5G369BA04
5G369CA01
5G369CA09
5G369CB09
5G369DC02
5G369DC08
(57)【要約】
【課題】地震における電柱の倒壊を防いで災害を防止し、しかも、電線ケーブルを道路に沿って設置する際の施工性を向上する。
【解決手段】道路1のガードレール7に沿って電線ケーブルを設置するための送電システムであって、複数の電線ケーブルを収納する収納管と、収納管を覆い、ガードレール7に設置されるカバー管と、を備え、複数の電線ケーブルをまとめて収納する集合管を備え、集合管が収納管に複数収納され、収納管及びカバー管は、上下方向に長い断面形状であって、複数の集合管は、上下方向に並んだ状態で収納管に収納される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路のガードレールに沿って電線ケーブルを設置するための送電システムであって、
複数の電線ケーブルを収納する収納管と、
収納管を覆い、ガードレールに設置されるカバー管と、を備える、ガードレール一体型の送電システム。
【請求項2】
複数の電線ケーブルをまとめて収納する集合管を備え、集合管が収納管に複数収納される、請求項1記載の送電システム。
【請求項3】
収納管及びカバー管は、上下方向に長い断面形状であって、複数の集合管は、上下方向に並んだ状態で収納管に収納される、請求項2記載の送電システム。
【請求項4】
カバー管は、上下二分割の構成であって、上部カバーと下部カバーを備える、請求項1記載の送電システム。
【請求項5】
上部カバーは、下部カバーと接合される一対の上部接合端部を有し、下部カバーは、上部接合端部と接合される一対の下部接合端部を有し、一対の上部接合端部のうちの一方に上部フック部が設けられ、一対の下部接合端部のうちの一方に、上部フック部に係合する下部フックが設けられる、請求項4記載の送電システム。
【請求項6】
上部フック部は、上部カバーと一体であって、上部カバーが内側且つ上側に折り返されて構成され、下部フック部は、下部カバーと一体であって、下部カバーが外側且つ下側に折り返されて構成されている、請求項5記載の送電システム。
【請求項7】
上部フック部及び下部フック部は、カバー管の長手方向に連続して形成されている、請求項6記載の送電システム。
【請求項8】
他方の下部接合端部は、他方の上部接合端部の内側又は外側に重なり合う、請求項5記載の送電システム。
【請求項9】
他方の下部接合端部は、下部カバーの保有弾性により、他方の上部接合端部を内外方向に押圧する、請求項8記載の送電システム。
【請求項10】
他方の上部接合端部は、上部カバーの保有弾性により、他方の下部接合端部を内外方向に押圧する、請求項8又は9記載の送電システム。
【請求項11】
収納管は樹脂製であり、カバー管は金属製である、請求項1記載の送電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路のガードレールに沿って電線ケーブルを設置することにより、地震における電柱の倒壊を防いで災害を防止するための送電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1においては、電線ケーブルが一本ずつパイプに収容され、その複数のパイプが板状のガードレールの歩道側に設置されている。しかしながら、施工性の改善が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1-164217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、地震における電柱の倒壊を防いで災害を防止し、しかも、電線ケーブルをガードレールに設置する際の施工性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るガードレール一体型の送電システムは、道路のガードレールに沿って電線ケーブルを設置するための送電システムであって、複数の電線ケーブルを収納する収納管と、収納管を覆い、ガードレールに設置されるカバー管と、を備える。
【0006】
この構成によれば、収納管に複数の電線ケーブルが収納される。そのため、電線ケーブルを容易に設置できる。また、収納管が更にカバー管によって覆われて保護される。そして、カバー管は、ガードレールの歩道側に設置されて、ガードレールと一体化される。そのため、施工性に優れる。
【0007】
特に、複数の電線ケーブルをまとめて収納する集合管を備え、集合管が収納管に複数収納されることが好ましい。この構成によれば、多数の電線ケーブルを例えば数本ずつ集合管に収納することができる。また、集合管毎に、収納するケーブルの種類を変えることもできる。例えば、第一の集合管には電線ケーブルを複数本収納し、第二の集合管には通信ケーブルを複数本収納することができる。
【0008】
また、収納管及びカバー管は、上下方向に長い断面形状であって、複数の集合管は、上下方向に並んだ状態で収納管に収納されることが好ましい。この構成によれば、カバー管の水平方向の寸法を抑制することができる。そのため、ガードレールにカバー管が設置された際に、カバー管が邪魔になりにくく、設置スペースを抑制できる。また、カバー管の上下方向の寸法が長いので、ガードレールの上下方向の寸法を有効に活用することができる。
【0009】
また、カバー管は、上下二分割の構成であって、上部カバーと下部カバーを備えることが好ましい。この構成によれば、収納管を容易に覆うことができる。また、上部カバーのみ交換したり、下部カバーのみ交換したりすることができて、メンテナンス性にも優れる。
【0010】
また、上部カバーは、下部カバーと接合される一対の上部接合端部を有し、下部カバーは、上部接合端部と接合される一対の下部接合端部を有し、一対の上部接合端部のうちの一方に上部フック部が設けられ、一対の下部接合端部のうちの一方に、上部フック部に係合する下部フックが設けられることが好ましい。この構成によれば、上部フックに下部フックを係合させて、上部カバーに下部カバーを接合することができる。そのため、上部カバーと下部カバーを容易に接合できる。
【0011】
また、上部フック部は、上部カバーと一体であって、上部カバーが内側且つ上側に折り返されて構成され、下部フック部は、下部カバーと一体であって、下部カバーが外側且つ下側に折り返されて構成されていることが好ましい。この構成によれば、上部フック部と下部フック部を簡単に構成できる。また、上部フック部が上側に折り返されていて、下部フック部が下側に折り返されているので、上部フック部に下部フック部を容易に引っ掛けることができる。また、上部フック部が内側に折り返されているので、下部フック部が上部フック部の内側に位置することになる。そのため、上部フック部と下部フック部との係合箇所がカバー管の外部に突出せず、係合箇所が破損しにくい。
【0012】
また、上部フック部及び下部フック部は、カバー管の長手方向に連続して形成されていることが好ましい。この構成によれば、折り返された形状である上部フック部と下部フック部がカバー管の補強となり、カバー管の強度を容易に向上させることができる。
【0013】
また、他方の下部接合端部は、他方の上部接合端部の内側又は外側に重なり合うことが好ましい。この構成によれば、上部カバーに下部カバーを容易に接合させることができる。
【0014】
また、他方の下部接合端部は、下部カバーの保有弾性により、他方の上部接合端部を内外方向に押圧することが好ましい。この構成によれば、下部カバーの弾性復元力によって、他方の上部接合端部と他方の下部接合端部との間の重なり状態を容易に維持することができる。そのため、施工が容易になる。
【0015】
また、他方の上部接合端部は、上部カバーの保有弾性により、他方の下部接合端部を内外方向に押圧することが好ましい。この構成によれば、上部カバーの弾性復元力によって、他方の上部接合端部と他方の下部接合端部との間の重なり状態を容易に維持することができる。そのため、施工が容易になる。
【0016】
また、収納管は樹脂製であり、カバー管は金属製であることが好ましい。この構成によれば、収納管を安価に製造でき、また、収納管をカバー管によって容易に保護できる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、複数の電線ケーブルを収納する収納管と、収納管を覆って保護するカバー管とを備えているので、ガードレールに沿って電線ケーブルを容易に施工でき、電線ケーブルを強固に保護できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態における送電システムの全体構成を道路側から見た概略正面図。
図2図1のA-A断面斜視図。
図3図1のA-A断面図。
図4】同送電システムの要部断面図。
図5】同送電システムの施工方法を示す断面図。
図6】(a)乃至(c)は、同送電システムの要部を示す正面図。
図7】本発明の他の実施形態における送電システムの要部構成と施工方法を示す要部断面斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態にかかる送電システムについて、図1乃至図6を参酌しつつ説明する。図1に送電システムの全体構成の概略を示している。送電システムは、ガードレール7と一体化されたものシステムであって、道路1のガードレール7に沿って電線ケーブル2を設置するためのものである。尚、電線ケーブル2と共に通信ケーブルを設置してもよい。
【0020】
図1は、道路1側から見た図である。送電システムは、道路1のガードレール7に沿って設置されるレール部3と、レール部3と接続され、地中を迂回する地中迂回路4と、レール部3と接続され、空中を迂回する空中迂回路5とを備えている。
【0021】
レール部3は、道路1と歩道との間に設置される。道路1に沿って一定間隔毎に支柱6が設置され、支柱6の歩道側にガードレール7が設置されている。ガードレール7は既設のもので、その既設のガードレール7の内側、即ち歩道側にレール部3が設置される。図4のように、送電システムのレール部3は、複数の電線ケーブル2を複数本まとめて収納する複数の集合管10と、複数の集合管10をまとめて収納する収納管11と、収納管11を覆うカバー管12とを備えている。図2及び図3のように、カバー管12がガードレール7に取り付けられる。ガードレール7の形状は種々であってよいが、本実施形態では板状のものであって、その上端部7aと下端部7bが歩道側に向けて湾曲している。レール部3は、ガードレール7の内側に設置される。カバー管12はガードレール7に例えばネジ止めされる。カバー管12はガードレール7の上端部7aと下端部7bの湾曲の程度に対応していることが好ましい。後述する地中迂回路4や空中迂回路5等の特殊な箇所を除いて、送電システムは道路1に沿って地面と平行に延びており、集合管10、収納管11、及び、カバー管12は、地面と平行な方向を軸線方向として設置される。
【0022】
集合管10は、例えば円形の断面形状を有する。集合管10は、好ましくはゴム製であって、特に強化ゴム製が好ましい。一本の集合管10に収納する電線ケーブル3の本数は任意であり、集合管10毎に電線ケーブル3の本数を変えてもよいが、本実施形態では各集合管10にそれぞれ四本の電線ケーブル3を収納している。集合管10の本数は任意である。本実施形態では、一例として、四本の集合管10を備えている。複数の集合管10は、互いに同一径であってもよいし、互いに異なる径であってもよい。一本の集合管10に複数の電線ケーブル2がまとめて収納される。複数の集合管10は、上下方向に一列に並んだ状態で収納管11に収納される。複数の集合管10は互いに平行に設置される。収納管11に複数種類の電線ケーブル2を収納する場合には、例えば、ケーブルの種類毎に複数の集合管10に分けて収納してもよく、第一の集合管10には電線ケーブル2を収納し、第二の集合管10には通信ケーブルを収納してもよい。
【0023】
収納管11は、上下方向に長い断面形状を有する。好ましくは、収納管11の断面形状は、上下方向に長いトラック形状である。即ち、収納管11は、左右一対の平面部11aと、上下一対の半円状部11bとからなる。収納管11は、好ましくは樹脂製であり、押し出し成形品である。収納管11は、好ましくは、硬質ポリ塩化ビニル管(塩ビ管)である。
【0024】
図1のように、道路1に沿って電線ケーブル2を配線する場合には、収納管11は、所定長さの直線収納管20(直管)が使用される。直線収納管20同士を長手方向に順次接続していく。
【0025】
カバー管12は、好ましくは、金属製である。カバー管12は、薄肉の板状である。カバー管12は、収納管11に対応して上下方向に長い断面形状を有しており、具体的にはトラック形状である。カバー管12は、左右一対の平面部12aと、上下一対の半円状部12bとからなる。カバー管12の平面部12aは、収納管11の平面部11aの外側に位置し、カバー管12の半円状部12bは、収納管11の半円状部11bの外側に位置する。
【0026】
カバー管12は、上下二分割の構成であって、上部カバー30と下部カバー31とからなる。上部カバー30と下部カバー31は、互いに上下に略対称形状である。上部カバー30は、下側に開口した断面視略逆U字状であり、上部カバー30は、上側に開口した断面視略U字状である。上部カバー30と下部カバー31は互いに上下に対向するようにして接合一体化される。上部カバー30と下部カバー31は、カバー管12の平面部12aにおいて接合される。従って、カバー管12の平面部12aに、上部カバー30と下部カバー31との接合部が左右一対設けられる。即ち、第一の接合部41と第二の接合部42が設けられる。接合部は、カバー管12の長手方向に沿って連続している。
【0027】
上部カバー30は、左右一対の第一及び第二の上部接合端部51,52を有し、下部カバー31は、左右一対の第一及び第二の下部接合端部62を有する。第一の上部接合端部51と第一の下部接合端部61が互いに接合され、第二の上部接合端部52と第二の下部接合端部62が互いに接合される。第一の上部接合端部51と第一の下部接合端部61により第一の接合部41が形成され、第二の上部接合端部52と第二の下部接合端部62により第二の接合部42が形成される。
【0028】
第一の上部接合端部51には、上部フック部53が設けられ、第一の下部接合端部61には、下部フック部63が設けられている。上部フック部53は、上部カバー30の長手方向の全長に亘って設けられることが好ましいが、例えば、上部カバー30の長手方向に間隔をあけて複数設けられていてもよい。また、下部フック部63は、下部カバー31の長手方向の全長に亘って設けられることが好ましいが、例えば、下部カバー31の長手方向に間隔をあけて複数設けられていてもよい。
【0029】
上部フック部53に下部フック部63が係合する。上部フック部53は、第一の上部接合端部51が内側且つ上側に折り返されて断面視U字状に形成されている。即ち、上部フック部53は、上部カバー30の内側に形成されていて、上側に開口している。下部フック部63は、第一の下部接合端部61が外側且つ下側に折り返されて断面視逆U字状に形成されている。即ち、下部フック部63は、下部カバー31の外側に形成されていて、下側に開口している。下部フック部63は、上部フック部53に内側且つ上側から引っ掛かるようにして係合する。
【0030】
第二の上部接合端部52は、平面部12aに設けられ、垂直下側に延びている。第二の下部接合端部62は、平面部12aに設けられ、垂直上側に延びている。第二の上部接合端部52の内側又は外側に第二の下部接合端部62が重なり合う。本実施形態では、一例として、第二の上部接合端部52の内側に第二の下部接合端部62が重なり合う構成を示す。第二の上部接合端部52と第二の下部接合端部62は、互いに面で接触する。第二の上部接合端部52と第二の下部接合端部62は、カバー管12の全長に亘って互いに重なり合うことが好ましいが、例えばカバー管12の長手方向に間隔をあけて複数箇所において重なり合う構成であってもよい。
【0031】
第二の下部接合端部62は、下部カバー31の保有弾性により、第二の上部接合端部52を外側に押圧することが好ましい。この場合、図4に二点鎖線で示しているように、下部カバー31は、上部カバー30に接合される前の初期状態(フリー状態)において、第一の下部接合端部61と第二の下部接合端部62との間の離間距離が、上部カバー30に接合されたときの状態に比して大きくなっている。即ち、下部カバー31の初期状態は接合状態よりも左右に開いた状態にある。尚、図4では、下部カバー31の初期状態を誇張して示している。上部カバー30に下部カバー31を接合する際に、第二の下部接合端部62を第一の下部接合端部61に近づけるように下部カバー31を内側に向けて弾性変形させる。その弾性復元力によって接合状態においては、第二の下部接合端部62が第二の上部接合端部52を内側から外側に向けて押圧する。そのため、第二の下部接合端部62と第二の上部接合端部52との間の重なり状態が容易に維持される。
【0032】
また、第二の上部接合端部52は、上部カバー30の保有弾性により、第二の下部接合端部62を内側に押圧することが好ましい。この場合、図4に二点鎖線で示しているように、上部カバー30は、下部カバー31に接合される前の初期状態(フリー状態)において、第一の上部接合端部51と第二の上部接合端部52との間の離間距離が、接合状態に比して小さくなっている。即ち、上部カバー30の初期状態は接合状態よりも左右の開き具合が小さい状態にある。尚、図4では、上部カバー30の初期状態を誇張して示している。上部カバー30に下部カバー31を接合する際に、第二の上部接合端部52を第一の上部接合端部51に近づけるように上部カバー30を外側に向けて弾性変形させる。その弾性復元力によって接合状態においては、第二の上部接合端部52が第二の下部接合端部62を外側から内側に向けて押圧する。そのため、第二の上部接合端部52と第二の下部接合端部62との間の重なり状態が容易に維持される。
【0033】
例えば、図3のように、第一の接合部41が歩道側となり、第二の接合部42が道路1側となるようにして、カバー管12がガードレール7と共に支柱6に取り付けられる。但し、第一の接合部41が道路1側となってもよい。図5(a)は、既設のガードレール7を示しており、図5(b)のように、既設のガードレール7の内側に収納されるようにカバー管12等の送電システムが設置される。
【0034】
次にガードレール7が設置されない箇所やガードレール7が途切れている箇所について説明する。一例としては、地中に埋設して地中を迂回する方法(地中迂回路4)と、空中を迂回する方法(空中迂回路5)とがある。まず、地中を迂回する方法について説明すると、地中迂回路4においては、図1及び図6(a)のように、埋設用支柱管70を用いる。埋設用支柱管70は、その上部が地面から上側に突出し、その下部が地中に埋設される。埋設用支柱管70の一例としては、正面視L字状である。埋設用支柱管70の上部には側方に開口した接続用開口部71が設けられ、その接続用開口部71にカバー管12が接続される。埋設用支柱管70の上端開口部は閉塞されている。埋設用支柱管70の下部は側方に屈曲している。埋設用支柱管70の下端開口部70aは地中にあって側方を向いている。その下端開口部70aから収納管11が延びている。一対の埋設用支柱管70の下端開口部70a同士は、図1においては互いに離れているが、連結されていてもよい。
【0035】
地中迂回路4においても収納管11が使用される。地中迂回路4において、収納管11はレール部3から略直角に下側に向けて屈曲する。その屈曲部には、屈曲収納管21が接続される。屈曲収納管21同士の間には、直線収納管20が接続される。このように、地中迂回路4においても、電線ケーブル2は収納管11に収納される。
【0036】
次に、空中迂回路5について説明する。空中迂回路5においては、図1及び図6(b)、(c)のように、柱管80と梁管81が用いられる。柱管80は、地面に一対立設される。柱管80の下部には、側方に開口した接続用開口部82が設けられている。その接続用開口部82にカバー管12が接続される。柱管80の上端開口部80aは開口している。梁管81は、一対の柱管80の上端開口部80a同士を連結する。
【0037】
空中迂回路5においても収納管11が使用される。空中迂回路5において、収納管11はレール部3から略直角に上側に向けて屈曲する。その屈曲部には、屈曲収納管21が用いられる。屈曲収納管21同士の間には、直線収納管20が接続される。このように、空中迂回路5においても、電線ケーブル2は収納管11に収納される。
【0038】
以上のように、複数の電線ケーブル2がまとめて収納管11に収納されているので、電線ケーブル2を一本ずつガードレール7に設置していく工法に比して施工性に優れている。特に、複数の電線ケーブル2が集合管10に収納され、その集合管10が収納管11に収納されているので、複数の電線ケーブル2を容易に一括的に収納管11に収納できる。また、収納管11がカバー管12によって覆われて、そのカバー管12が既設のガードレール7の内側に設置される。そのため、電線ケーブル2がカバー管12によって保護されると共にガードレール7によっても保護される。また、カバー管12が平板ではなく管状であるため、強度が大きく、内部の電線ケーブル2を効果的に保護できる。しかも、カバー管12の内側には収納管11が設置されているため、電線ケーブル2をカバー管12と収納管11によって二重に保護でき、更にカバー管12の外側のガードレール7によっても保護できる。
【0039】
複数の集合管10が上下方向に一列に並んだ状態で収納管11に収納されるので、レール部3の水平方向の寸法を抑制することができ、設置スペースを抑制できる。また、カバー管12の上下方向の寸法が長いので、板状のガードレール7の上下方向の寸法を有効に活用できる。
【0040】
カバー管12が上下二分割の構成であるため、収納管11をカバー管12によって容易に覆うことができる。特に、複数の収納管11を容易に上下方向に並べてカバー管12に収納できる。更に、上部カバー30のみを交換したり、下部カバー31のみを交換したりすることができる。そのため、メンテナンス性に優れている。また、上部カバー30に下部カバー31を接合する際に、上部フックに下部フックを係合させることができる。そのため、上部カバー30と下部カバー31の接合作業が容易であり、施工性に優れている。上側に開口する上部フック部53に下部フック部63を容易に引っ掛けることができる。上部フック部53が内側に設けられているので、第一の接合部41がカバー管12の外部に突出せず、第一の接合部41の破損を抑制できる。第一の接合部41が長手方向に連続しているので、第一の接合部41がカバー管12の補強となる。そのため、カバー管12の強度を向上させることができる。
【0041】
第二の接合部42は、第二の上部接合端部52と第二の下部接合端部62が重なり合って構成されている。そのため、施工性に優れている。また、道路1側に第二の接合部42を向けて設置する場合には、支柱6側に突出する寸法を抑制でき、支柱6への取り付けが容易になる。下部カバー31や上部カバー30の弾性復元力を利用すると、第二の上部接合端部52と第二の下部接合端部62との重ね合わせ状態を容易に維持できる。尚、下部カバー31と上部カバー30のうちの一方あるいは両方の弾性復元力のみによって第二の接合部42の接合状態を維持してもよいし、それに加えて、あるいは、それに代えて、ネジ止めや溶接等により第二の接合部42の接合状態を維持してもよい。
【0042】
更に、地中迂回路4や空中迂回路5においても収納管11を用いることにより、施工が容易になる。直線収納管20や屈曲収納管21等、予め所定寸法、所定形状の収納管11を多数準備しておくことにより、施工が容易になり、工期を短縮でき、安価に施工できる。
【0043】
尚、ガードレール7の形状は上述のような板状に限られず種々の形状であってよい。例えば、図7(a)のように、既設のガードレール7が中空などの棒状であってもよい。既設の棒状の第一のガードレール8は、支柱6の道路1側(車道側)に設置されている。このような場合には、図7(b)のように、既設の棒状の第一のガードレール8の内側即ち歩道側に板状の第二のガードレール9を取り付けてガードレール7を二重構造とする。そして、板状の第二のガードレール9の内側にカバー管12等(レール部3)を設置する。尚、既設の第一のガードレール8が板状であって支柱6の道路1側に設置されている場合も同様にすることができ、支柱6の歩道側に板状の第二のガードレール9を取り付けて、その第二のガードレール9の内側にカバー管12等を設置することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 道路
2 電線ケーブル
3 レール部
4 地中迂回路
5 空中迂回路
6 支柱
7 ガードレール
7a 上端部
7b 下端部
8 第一のガードレール
9 第二のガードレール
10 集合管
11 収納管
11a 平面部
11b 半円状部
12 カバー管
12a 平面部
12b 半円状部
20 直線収納管
21 屈曲収納管
30 上部カバー
31 下部カバー
41 第一の接合部
42 第二の接合部
51 第一の上部接合端部
52 第二の上部接合端部
53 上部フック部
61 第一の下部接合端部
62 第二の下部接合端部
63 下部フック部
70 埋設用支柱管
70a 下端開口部
71 接続用開口部
80 柱管
80a 上端開口部
81 梁管
82 接続用開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7