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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033186
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240306BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/01 301
B41J2/175 169
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136625
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】中田 聡
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA22
2C056KC02
2C056KC04
2C056KC05
2C056KC16
(57)【要約】
【課題】液体収容体を装着部から取り外す場合において、接続部と被接続部との間から液体が漏出してしまうこと抑制することができる印刷装置を提供すること。
【解決手段】印刷部と、液体収容体を脱着可能な装着部と、装着部の状態を開状態と閉状態との間で切り替えるカバーと、を備え、装着部又は液体収容体は、付勢部材を備え、液体収容体は、装着部からの液体収容体の取り外しを規制する第1規制部と、液体収容体が装着部に装着されている場合において第1規制部よりカバーの近くに位置し、第1規制部による規制を解除する操作を受け付ける操作部と、を備え、カバーは、取り出し過程において、液体収容体の第1方向への移動を規制する第2規制部を備え、液体収容体は、被接続部に接続し、液体を供給する接続部を備え、接続部と被接続部との接続は、液体収容体の第1方向への移動が第2規制部により規制されている場合、保持されている、印刷装置。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体への印刷を行う印刷部と、
前記印刷部に供給する液体を貯留する液体貯留部を有する液体収容体を脱着可能な装着部と、
前記装着部の状態を、前記装着部が開かれる開状態と、前記装着部が閉じられる閉状態との間で切り替えるカバーと、
を備え、
前記装着部又は前記液体収容体は、鉛直方向と直交する方向のうち前記装着部から前記カバーに向かう第1方向に向かって前記液体収容体を付勢する付勢部材を備え、
前記液体収容体は、
鉛直方向における前記液体収容体の上部に設けられ、前記装着部からの前記液体収容体の取り外しを規制する第1規制部と、
鉛直方向における前記液体収容体の上部に設けられ、且つ、前記液体収容体が前記装着部に装着されている場合において前記第1規制部より前記カバーの近くに位置し、前記第1規制部による規制を解除する操作を受け付ける操作部と、
を備え、
前記カバーは、前記装着部に装着されている前記液体収容体が前記第1方向に向かって前記装着部から取り出される取り出し過程において、前記液体収容体の前記第1方向への移動を規制する第2規制部を備え、
前記液体収容体は、前記装着部に設けられる被接続部に接続し、前記液体を供給する接続部を備え、
前記接続部と前記被接続部との接続は、前記液体収容体の前記第1方向への移動が前記第2規制部により規制されている場合、保持されている、
印刷装置。
【請求項2】
前記第2規制部は、前記装着部の状態が前記閉状態において、鉛直方向における前記液体収容体の下部に向かって突出している、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記液体収容体は、鉛直方向における前記液体収容体の下部に設けられ、且つ、前記操作部の下方に位置し、前記液体収容体が前記装着部に装着されている場合において前記カバーに近づくほど鉛直方向上方に向かって傾斜する傾斜部を備え、
前記装着部は、前記傾斜部をガイドする第1ガイド部を備え、
前記カバーは、前記装着部の状態が前記開状態において、前記第1方向において前記第2規制部よりも前記液体収容体から離れる位置に位置する第3規制部であって、前記装着部の状態が前記閉状態において前記操作部に向かって突出して前記液体収容体の動きを規制する前記第3規制部を備える、
請求項1に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記液体収容体は、前記第1方向に沿った動きが前記第1規制部により規制される規制位置と、前記第1規制部により規制が解除され、前記傾斜部が前記第1ガイド部と接する解除位置との間で回動可能である、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記液体収容体が前記規制位置から前記解除位置へと回動した場合、前記接続部は、前記被接続部の下部と接触している、
請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記第2規制部は、前記装着部の状態が前記閉状態において、前記傾斜部と前記第1ガイド部との間に位置する、
請求項3に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記第2規制部による規制は、前記接続部と前記被接続部とが接続する接続位置に対して前記液体収容体が回動することにより解除される、
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記第1規制部による規制は、前記第1方向に向かって前記第1方向よりも下方に傾斜している方向への前記操作部の操作に応じて、解除される、
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記第1方向における前記接続部と前記被接続部とが重なる領域の長さは、前記取り出し過程において前記装着部に装着された状態の前記液体収容体が、前記第2規制部により規制されるまで前記第1方向に向かって移動可能な長さよりも長い、
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記第2規制部による規制は、前記第1方向と異なる第2方向に前記液体収容体が移動することにより解除される、
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記第2規制部は、起立した状態と倒伏した状態とを切り替え可能な部材であり、前記装着部の状態を前記カバーによって前記閉状態から前記開状態へ切り替えた場合、倒伏した状態から起立した状態へと切り替わり、前記装着部の状態を前記カバーによって前記開状態から前記閉状態へ切り替えた場合、起立した状態から倒伏した状態へ切り替わる、
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項12】
前記液体収容体は、前記液体収容体の状態のうち前記液体貯留部の内部と外部との連通を開放する開放状態と、前記液体収容体の状態のうち前記液体貯留部の内部と外部との連通を遮断する遮断状態とを切り替える開放弁を備え、
前記液体貯留部の内部の圧力は、前記液体収容体の状態が開放状態である場合、大気圧であり、
前記開放弁は、前記取り出し過程において、前記第2規制部によって規制される前に、前記液体収容体の状態を前記開放状態から前記遮断状態へ切り替える、
請求項1から請求項6のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項13】
前記開放弁は、前記第1方向と鉛直方向とのそれぞれと直交する幅方向において、前記第1規制部と重なっている、
請求項12に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクカートリッジから供給されるインクによって印刷を行う印刷装置についての研究、開発が行われている。
【0003】
これに関し、液体貯留室を有するカートリッジ本体と、前方に開口された液体流路を有しており液体貯留室内の液体を、液体流路を介して外部に供給する液体供給部と、を備え、液体流路がカートリッジ装着部に設けられた液体供給管に向かう装着方向に、カートリッジ装着部に対して装着可能な液体カートリッジであって、液体供給部の外面には、液体カートリッジのカートリッジ装着部への装着過程において、カートリッジ装着部に設けられ前後方向へ延びる突起にガイドされるガイド溝が形成されており、ガイド溝は、前端が前方に開放されており、前後方向に延びた第1ガイド面と、第1ガイド面と交差する第2ガイド面と、を備える液体カートリッジが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-161877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような液体カートリッジは、印刷装置から勢いよく取り外された場合、液体流路と液体供給管との間から液体が漏出してしまうことがあった。このような液体の漏出は、液体カートリッジが装着される印刷装置の周辺への液体の付着に繋がり、望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本開示の一態様は、印刷媒体への印刷を行う印刷部と、前記印刷部に供給する液体を貯留する液体貯留部を有する液体収容体を脱着可能な装着部と、前記装着部の状態を、前記装着部が開かれる開状態と、前記装着部が閉じられる閉状態との間で切り替えるカバーと、を備え、前記装着部又は前記液体収容体は、鉛直方向と直交する方向のうち前記装着部から前記カバーに向かう第1方向に向かって前記液体収容体を付勢する付勢部材を備え、前記液体収容体は、鉛直方向における前記液体収容体の上部に設けられ、前記装着部からの前記液体収容体の取り外しを規制する第1規制部と、鉛直方向における前記液体収容体の上部に設けられ、且つ、前記液体収容体が前記装着部に装着されている場合において前記第1規制部より前記カバーの近くに位置し、前記第1規制部による規制を解除する操作を受け付ける操作部と、を備え、前記カバーは、前記装着部に装着されている前記液体収容体が前記第1方向に向かって前記装着部から取り出される取り出し過程において、前記液体収容体の前記第1方向への移動を規制する第2規制部を備え、前記液体収容体は、前記装着部に設けられる被接続部に接続し、前記液体を供給する接続部を備え、前記接続部と前記被接続部との接続は、前記液体収容体の前記第1方向への移動が前記第2規制部により規制されている場合、保持されている、印刷装置である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】印刷装置1の外観の一例を示す図である。
図2】装着部12に装着された状態のインクカートリッジICRの構成の一例を示す図である。
図3図2に示したインクカートリッジICRの斜視図である。
図4図2に示したインクカートリッジICRを三次元座標系TCにおけるXZ平面と平行な面に沿って切断した場合の断面図である。
図5】カバー13によってインクカートリッジ挿入空間が閉じられ、装着部12の状態が閉状態になっている場合における印刷装置1の外観の一例を示す図である。
図6】4本のインクカートリッジICが装着部12に装着されている様子の一例を示す図である。
図7図6に示した4本のインクカートリッジICのうちのインクカートリッジICRの操作部CLを上から下に向かって押下した様子の一例を示す図である。
図8】取り出し過程において抜去方向への移動を第2規制部LM2によって規制されているインクカートリッジICRの様子の一例を示す図である。
図9】インクカートリッジICRが装着部12に装着されている場合、且つ、装着部12の状態が開状態である場合のインクカートリッジICRと第2規制部LM2との相対的な位置関係の一例を示す図である。
図10図9に示したインクカートリッジICRの操作部CLを上から下に向かって押下した場合のインクカートリッジICRと第2規制部LM2との相対的な位置関係の一例を示す図である。
図11図10に示したインクカートリッジICRを抜去方向に移動させた場合のインクカートリッジICRと第2規制部LM2との相対的な位置関係の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態>
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
<印刷装置の概要>
まず、実施形態に係る印刷装置の概要について説明する。
【0010】
実施形態に係る印刷装置は、印刷部と、装着部と、カバーを備える。印刷部は、印刷媒体への印刷を行う。装着部は、印刷部に供給する液体を貯留する液体貯留部を有する液体収容体を脱着可能な部材である。カバーは、装着部の状態を、装着部が開かれる開状態と、装着部が閉じられる閉状態との間で切り替える。また、装着部又は液体収容体は、鉛直方向と直交する方向のうち装着部からカバーに向かう第1方向に向かって液体収容体を付勢する付勢部材を備える。また、液体収容体は、第1規制部と、操作部を備える。第1規制部は、鉛直方向における液体収容体の上部に設けられ、装着部からの液体収容体の取り外しを規制する。操作部は、鉛直方向における液体収容体の上部に設けられ、且つ、液体収容体が装着部に装着されている場合において第1規制部より前記カバーの近くに位置し、第1規制部による規制を解除する操作を受け付ける。また、カバーは、第2規制部を備える。第2規制部は、装着部に装着されている液体収容体が第1方向に向かって装着部から取り出される取り出し過程において、液体収容体の第1方向への移動を規制する。また、液体収容体は、接続部を備える。接続部は、装着部に設けられる被接続部に接続し、液体を供給する。そして、接続部と被接続部との接続は、液体収容体の第1方向への移動が第2規制部により規制されている場合、保持されている。これにより、印刷装置は、液体収容体を装着部から取り外す場合において、接続部と被接続部との間から液体が漏出してしまうこと抑制することができる。
【0011】
以下では、実施形態に係る印刷装置の構成について詳しく説明する。
【0012】
<印刷装置の構成>
以下、実施形態に係る印刷装置の構成について、印刷装置1を例に挙げて説明する。
【0013】
図1は、印刷装置1の外観の一例を示す図である。
【0014】
ここで、三次元座標系TCは、三次元座標系TCが描かれた各図における方向を示す三次元直交座標系である。以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるX軸を、単にX軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるY軸を、単にY軸と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、三次元座標系TCにおけるZ軸を、単にZ軸と称して説明する。
【0015】
また、以下では、一例として、Z軸の負方向が鉛直方向と一致している場合について説明する。なお、鉛直方向は、重力方向と称されてもよい。また、以下では、説明の便宜上、Z軸の正方向を、上方向又は単に上と称して説明し、Z軸の負方向を、下方向又は単に下と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、印刷装置1が有する面のうち、Z軸の正方向側の面を上面と称し、上面と反対側の面を下面と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、印刷装置1が有する面のうち、X軸の正方向側の面を前面と称し、前面と反対側の面を後面と称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、印刷装置1が有する面のうち、Y軸の正方向側の面を左面と称し、左面と反対側の面を右面と称して説明する。
【0016】
印刷装置1は、インクカートリッジICから供給されるインクによって印刷媒体上へ画像を印刷するインクジェット式のプリンターである。印刷装置1は、インクジェット式のプリンターであれば、如何なる種類のプリンターであってもよい。
【0017】
印刷装置1は、印刷部11と、装着部12と、カバー13を備える。
【0018】
印刷部11は、インクジェット式の印刷ヘッドを含み、インクカートリッジICから供給されるインクによって印刷媒体への画像の印刷を行う部材である。図1では、図を簡略化するため、印刷装置1の内部に位置する印刷部11を、直方体形状の物体として示している。
【0019】
装着部12は、1本以上のインクカートリッジICを脱着可能な部材である。装着部12は、1本以上のインクカートリッジICを外部から挿入可能な空間を形成する凹部121を含んで構成される。凹部121は、印刷装置1の前面から後面に向かって凹んだ空間を形成するように、印刷装置1の筐体に形成されている。このため、凹部121の内壁に囲まれた空間には、印刷装置1の前面から後面に向かって外部から1本以上のインクカートリッジICを挿入可能である。また、この空間は、カバー13によって開閉可能な空間である。以下では、説明の便宜上、この空間を、インクカートリッジ挿入空間と称して説明する。
【0020】
ここで、1本以上のインクカートリッジICのそれぞれを装着部12に装着する場合、1本以上のインクカートリッジICのそれぞれは、X軸の負方向に向かってインクカートリッジ挿入空間へ挿入される。一方、1本以上のインクカートリッジICのそれぞれを装着部12から取り外す場合、1本以上のインクカートリッジICのそれぞれは、X軸の正方向に向かってインクカートリッジ挿入空間から引き抜かれる。そこで、以下では、説明の便宜上、X軸の正方向を抜去方向と称し、X軸の負方向を装着方向と称して説明する。
【0021】
以下では、一例として、装着部12が、図1に示したように、4本のインクカートリッジICが装着可能な場合について説明する。このため、図1に示した例では、インクカートリッジ挿入空間内には、これら4本のインクカートリッジICが挿入されている。これら4本のインクカートリッジICは、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックそれぞれの色のインクについてのインクカートリッジである。以下では、説明の便宜上、シアンのインクについてのインクカートリッジICを、インクカートリッジICRと称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、マゼンダのインクについてのインクカートリッジICを、インクカートリッジICGと称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、イエローのインクについてのインクカートリッジICを、インクカートリッジICBと称して説明する。また、以下では、説明の便宜上、ブラックのインクについてのインクカートリッジICを、インクカートリッジICKと称して説明する。
【0022】
4本のインクカートリッジICのそれぞれは、前述の液体収容体の一例である。また、4本のインクカートリッジICのそれぞれに収容されたインクは、液体収容体が有する液体貯留部に貯留された液体の一例である。4本のインクカートリッジICのそれぞれは、インクを貯留する液体貯留部TKを内部に有している。
【0023】
ここで、図2図4を参照し、インクカートリッジICRの構成について説明する。なお、インクカートリッジICG、インクカートリッジICB、インクカートリッジICKそれぞれの構成は、インクカートリッジICRの構成と同様の構成である。このため、インクカートリッジICG、インクカートリッジICB、インクカートリッジICKそれぞれの構成については、説明を省略する。
【0024】
図2は、装着部12に装着された状態のインクカートリッジICRの構成の一例を示す図である。また、図3は、図2に示したインクカートリッジICRの斜視図である。また、図4は、図2に示したインクカートリッジICRを三次元座標系TCにおけるXZ平面と平行な面に沿って切断した場合の断面図である。なお、図2では、インクカートリッジ挿入空間は、カバー13によって閉じられている。
【0025】
インクカートリッジICRの形状は、略直方体形状である。インクカートリッジICRは、液体貯留部TKと、接続部CN1と、第1規制部LM1と、傾斜部TPと、操作部CLと、開放弁VLを備える。
【0026】
液体貯留部TKは、印刷部11に供給するインクを貯留する部材である。この液体貯留部TKに貯留されたインクは、後述する接続部CNを介して印刷部11へ供給される。図2では、図を簡略化するため、インクカートリッジICRの液体貯留部TKを、四角形状の物体として示している。また、図3では、図を簡略化するため、液体貯留部TKが省略されている。
【0027】
接続部CN1は、装着部12に設けられた被接続部CN2に接続し、被接続部CN2を介してインクを印刷装置1へ供給する。この一例において、装着部12には、前述した通り、4本のインクカートリッジICが装着される。このため、装着部12には、4本のインクカートリッジICそれぞれの接続部CN1と接続される被接続部CN2が設けられている。装着部12に設けられた被接続部CN2は、接続部CN1に挿入されるニードルNDを有する。装着部12に装着されたインクカートリッジICのインクは、ニードルNDを通って印刷部11へ供給される。このため、接続部CN1は、このようなニードルNDが挿入される挿入口HLを有する。インクカートリッジICRの接続部CN1と接続される被接続部CN2のニードルNDは、X軸と平行な方向に向かって延伸している。このため、インクカートリッジICRが装着方向に向かってインクカートリッジ挿入空間内に挿入されると、インクカートリッジICRの接続部CN1の挿入口HLには、この接続部CN1と接続される被接続部CN2のニードルNDが挿入される。
【0028】
ここで、接続部CN1は、エラストマーによって構成される弾性体である。また、接続部CN1の挿入口HLに挿入されるニードルNDは、接続部CN1の挿入口HLに挿入されている場合において、インクカートリッジ挿入空間内におけるインクカートリッジICRの動きに応じて弾性変形可能な程度の柔らかい素材によって構成される。これらのため、接続部CN1と、接続部CN1に挿入されるニードルNDとのそれぞれは、インクカートリッジICRの装着部12への装着過程、又は、インクカートリッジICRの装着部12からの取り外し過程において、塑性変形してしまうことが抑制されている。
【0029】
また、接続部CN1は、付勢部材SPを備える。付勢部材SPは、装着部12に装着されたインクカートリッジICRを抜去方向に向かって付勢する部材である。付勢部材SPは、例えば、バネであるが、これに代えて、装着部12に装着されたインクカートリッジICRを、抜去方向に向かって付勢することが可能な他の付勢部材であってもよい。このような付勢部材SPは、ユーザーによるインクカートリッジICRの装着部12からの取り外しを補助することができる。換言すると、ユーザーは、接続部CN1が付勢部材SP備えることにより、インクカートリッジICRの装着部12からの取り外しを容易に行うことができる。図4に示した例では、付勢部材SPは、インクカートリッジICRの本体と接続部CN1との間に位置するように接続部CN1に備えられている。なお、付勢部材SPは、接続部CN1に代えて、装着部12に装着されたインクカートリッジICRを抜去方向に向かって付勢することが可能なように、カバー13、装着部12等に設けられる構成であってもよい。
【0030】
第1規制部LM1は、インクカートリッジICRの上部に設けられ、装着部12からのインクカートリッジICRの取り外しを規制する。第1規制部LM1は、略直方体形状のインクカートリッジICの上部から上に向かって突出している突起状の部材である。第1規制部LM1が有する面のうちの印刷装置1の前面に最も近い面は、インクカートリッジ挿入空間内に設けられたワイヤーが引っ掛かる面である。以下では、説明の便宜上、この面を第1規制面と称して説明する。インクカートリッジICRがインクカートリッジ挿入空間内に挿入されることによってインクカートリッジICRが装着部12に装着された場合、第1規制面には、当該ワイヤーが引っ掛かる。これにより、インクカートリッジICRは、ワイヤーによって抜去方向への動きが規制される。
【0031】
傾斜部TPは、インクカートリッジICRの下部に設けられ、且つ、操作部CLの下方に位置し、インクカートリッジICRが装着部12に装着されている場合においてカバー13に近づくほど鉛直方向上方に向かって傾斜する。これにより、インクカートリッジICRは、後述する操作部CLが上から下に向かって押下された場合、傾斜部TPとインクカートリッジ挿入空間の下面との隙間の分、接続部CN1と被接続部CN2とが接続する接続位置に対して回動することができる。このような回動が生じた場合、傾斜部TPは、インクカートリッジ挿入空間の下面と接する。このため、傾斜部TPは、インクカートリッジICRを装着部12から取り外す場合、インクカートリッジ挿入空間を形成する凹部121の下面によってガイドされる。以下では、説明の便宜上、凹部121の下面を、第1ガイド部GD3と称して説明する。第1ガイド部GD3は、三次元座標系TCにおけるXY平面と略平行な面を有し、傾斜部TPを当該XY平面と略平行にガイドする。なお、ある面が当該XY平面と略平行であることは、当該面が当該XY平面に対して数度程度の傾いていたとしても、当該面を当該XY平面に対して平行であると見做すことを意味する。また、ある面が当該XY平面と略平行であることは、当該面が当該XY平面に対して多少の凹凸を有していたとしても、当該面を当該XY平面に対して平行であると見做すことを意味する。
なお、装着部12は、第1ガイド部GD3として、傾斜部TPをガイドする他のガイド部を別途備えていてよい。
【0032】
このような傾斜部TPを備えるため、第1規制部LM1による規制は、抜去方向に向かって抜去方向よりも下方に傾斜している方向への操作部CLの操作に応じて、解除される。例えば、インクカートリッジICRは、操作部CL1が上から下に向かって押下された場合、前述の接続位置を中心として回動する。より具体的には、インクカートリッジICRは、当該場合、規制位置と、解除位置との間で回動する。規制位置は、鉛直方向と直交する方向のうち装着部12からカバー13に向かう方向、すなわち、抜去方向に沿った動きが第1規制部LM1により規制される位置のことである。解除位置は、第1規制部LM1による規制が解除され、傾斜部TPが第1ガイド部GD3と接する位置のことである。これにより、第1規制部LM1による規制は、抜去方向に向かって抜去方向よりも下方に傾斜している方向への操作部CLの操作に応じて、解除される。その結果、印刷装置1は、操作部CLの操作によってインクカートリッジICRを抜去方向へユーザーが勢いよく移動させてしまうことを抑制することができる。
【0033】
操作部CLは、インクカートリッジICRの上部に設けられ、且つ、インクカートリッジICRが装着部12に装着されている場合において第1規制部LM1よりカバー13の近くに位置し、第1規制部LM1による規制を解除する操作を受け付ける。例えば、操作部CLを上から下に向かってユーザーが押下した場合、インクカートリッジICRは、前述の接続位置を中心として、規制位置から解除位置へと回転する。これにより、第1規制部LM1に引っ掛かっていたワイヤーは、第1規制部LM1から外れる。その結果、インクカートリッジICRは、第1ガイド部GD3に沿ってガイドされながら抜去方向に向かって動くことができるようになる。すなわち、これにより、ユーザーは、インクカートリッジICRを装着部12から取り外すことができる。
【0034】
開放弁VLは、インクカートリッジICRの状態のうち液体貯留部TKの内部と外部との連通を開放する開放状態と、インクカートリッジICRの状態のうち液体貯留部TKの内部と外部との連通を遮断する遮断状態とを切り替える。インクカートリッジICRが装着部12に装着された場合、開放弁VLは、装着部12に設けられた突起に押されて移動し、インクカートリッジICRの状態を遮断状態から開放状態へ切り替える。ここで、液体貯留部TKの内部の圧力は、インクカートリッジICRの状態が開放状態である場合、大気圧になる。このため、液体貯留部TKの内部に貯留されているインクは、大気圧によって押されて、接続部CN1の挿入口HLに挿入されているニードルNDを介して印刷装置1へ供給される。一方、インクカートリッジICRが装着部12から取り外された場合、開放弁VLは、インクカートリッジICRの状態を開放状態から遮断状態へ切り替える。これにより、インクカートリッジICRは、接続部CN1からインクが漏れてしまうことを抑制することができる。
【0035】
ここで、図2図4に示した例では、開放弁VLは、抜去方向と鉛直方向とのそれぞれと直交する幅方向において、第1規制部LM1と重なっている。換言すると、当該例では、開放弁VLは、幅方向において、第1規制部LM1により囲まれている。これにより、開放弁VLは、ユーザーの意図していないタイミングにおいて、何らかの原因によりインクカートリッジICRの状態を遮断状態から開放状態へ切り替えてしまうことを抑制することができる。なお、開放弁VLは、幅方向において、第1規制部LM1と重なっていない構成であってもよい。
【0036】
カバー13は、装着部12の状態を、装着部12が開かれる開状態と、装着部12が閉じられる閉状態との間で切り替える。装着部12の状態が閉状態である場合、インクカートリッジ挿入空間は、図5に示したように、印刷装置1の外部から見えないようにカバー13によって閉じられている。ここで、図5は、カバー13によってインクカートリッジ挿入空間が閉じられ、装着部12の状態が閉状態になっている場合における印刷装置1の外観の一例を示す図である。図5に示したように、カバー13によってインクカートリッジ挿入空間が閉じられている場合、ユーザーは、4本のインクカートリッジICのそれぞれへ触れることができない。このため、当該場合、ユーザーは、4本のインクカートリッジICのそれぞれと装着部12との脱着を行うことができない。一方、装着部12の状態が開状態である場合、インクカートリッジ挿入空間は、印刷装置1の外部から見えるようにカバー13によって開けられている。このため、当該場合、ユーザーは、4本のインクカートリッジICのそれぞれと装着部12との脱着を行うことができる。
【0037】
ここで、図6は、4本のインクカートリッジICが装着部12に装着されている様子の一例を示す図である。そして、図7は、図6に示した4本のインクカートリッジICのうちのインクカートリッジICRの操作部CLを上から下に向かって押下した様子の一例を示す図である。例えば、操作部CLを上から下に向かってユーザーが押下した場合、インクカートリッジICRは、図6に示したように、前述の接続位置を中心として、規制位置から解除位置へと回動する。その結果、傾斜部TPが第1ガイド部GD3と接する。図7には、インクカートリッジICRの傾斜部TPが第1ガイド部GD3と接している様子が示されている。傾斜部TPが第1ガイド部GD3と接している場合において、ユーザーがインクカートリッジICRを抜去方向へ引き抜くと、傾斜部TPは、第1ガイド部GD3によってガイドされる。その結果、インクカートリッジICRの接続部CN1と接続されていた被接続部CN2のニードルNDは、インクカートリッジICRの接続部CN1の挿入口HLからが引き抜かれる。これにより、インクカートリッジICRは、装着部12から取り外される。しかしながら、インクカートリッジICRは、装着部12から勢いよく取り外された場合、接続部CN1と被接続部CN2との間からインクが漏出してしまうことがあった。このようなインクの漏出は、インクカートリッジICRが装着される印刷装置1の周辺へのインクの付着に繋がり、望ましくない。
【0038】
そこで、カバー13は、装着部12に装着されているインクカートリッジICが抜去方向に向かって装着部12から取り出される取り出し過程において、インクカートリッジICの抜去方向への移動を規制する第2規制部LM2を備える。
【0039】
第2規制部LM2は、図8に示したように、装着部12に装着されているインクカートリッジICが抜去方向に向かって装着部12から取り出される取り出し過程において、インクカートリッジICの抜去方向への移動を規制する部材である。図8は、取り出し過程において抜去方向への移動を第2規制部LM2によって規制されているインクカートリッジICRの様子の一例を示す図である。第2規制部LM2は、取り出し過程において、インクカートリッジICの抜去方向への移動を規制することが可能な部材であれば、如何なる部材であってもよい。図8に示した例では、第2規制部LM2は、4本のインクカートリッジICそれぞれの取り出し過程において、インクカートリッジICの抜去方向への動きを規制する矩形平板形状の部材である。このような第2規制部LM2をカバー13が備えることにより、印刷装置1は、インクカートリッジICが装着部12から勢いよく取り外されてしまうことを抑制することができる。その結果、印刷装置1は、インクカートリッジICを装着部12から取り外す場合において、接続部CN1と被接続部CN2との間からインクが漏出してしまうこと抑制することができる。
【0040】
ここで、図9は、インクカートリッジICRが装着部12に装着されている場合、且つ、装着部12の状態が開状態である場合のインクカートリッジICRと第2規制部LM2との相対的な位置関係の一例を示す図である。この場合、インクカートリッジICRの接続部CN1は、図9に示したように、装着部12の被接続部CN2と接続されている。また、この場合、インクカートリッジICRは、第2規制部LM2と接触していない。
【0041】
図10は、図9に示したインクカートリッジICRの操作部CLを上から下に向かって押下した場合のインクカートリッジICRと第2規制部LM2との相対的な位置関係の一例を示す図である。この場合、前述した通り、インクカートリッジICRは、接続位置を中心として、規制位置から解除位置へと回動する。このため、図10に示した例では、インクカートリッジICRの傾斜部TPは、第1ガイド部GD3と接している。しかしながら、この場合であっても、インクカートリッジICRは、第2規制部LM2から離れている。これは、このような回動において、インクカートリッジICRが抜去方向に移動していないためである。その結果、このような回動において、インクカートリッジICRの接続部CN1と装着部12の被接続部CN2との接続は、図10に示したように、保持されている。
【0042】
なお、図10に示したように、インクカートリッジICRが規制位置から解除位置へと回動した場合、接続部CN1は、被接続部CN2の下部と接触している。これは、前述した通り、接続部CN1がエラストマーによって構成された弾性体だからである。そして、接続部CN1が被接続部CN2の下部と接触している場合、例えば、被接続部CN2からインクが漏れたとしても、漏れたインクは、接続部CN1によって拭い取られる。すなわち、このような接続部CN1と被接続部CN2の下部と接触は、接続部CN1と被接続部CN2との間からインクが漏出してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0043】
また、前述の開放弁VLは、取り出し過程において、第2規制部LM2によって規制される前に、インクカートリッジICRの状態を開放状態から遮断状態へ切り替える。これにより、印刷装置1は、インクカートリッジICRの装着部12からの引き抜きにおいて、接続部CN1と被接続部CN2との間からのインクの漏出の可能性を低減することができる。
【0044】
図11は、図10に示したインクカートリッジICRを抜去方向に移動させた場合のインクカートリッジICRと第2規制部LM2との相対的な位置関係の一例を示す図である。図11に示したように、図10に示したインクカートリッジICRを抜去方向に移動させると、インクカートリッジICRは、第2規制部LM2と接触し、抜去方向への移動を第2規制部LM2によって規制される。その結果、印刷装置1は、インクカートリッジICが装着部12から勢いよく取り外されてしまうことを抑制することができる。また、図11に示したように、印刷装置1では、インクカートリッジICRが第2規制部LM2と接触している場合、すなわち、インクカートリッジICRの抜去方向への移動が第2規制部LM2により規制されている場合、接続部CN1と被接続部CN2との接続は、保持されている。このため、例えインクカートリッジICRが第2規制部LM2へ勢いよく接触させられたとしても、接続部CN1と被接続部CN2との間からは、インクが漏れることがない。すなわち、印刷装置1は、インクカートリッジICRを装着部12から取り外す場合において、接続部CN1と被接続部CN2との間からインクが漏出してしまうこと抑制することができる。
【0045】
このような接続部CN1と被接続部CN2との間からのインクの漏出の抑制を実現するためには、図10に示したように、抜去方向における接続部CN1と被接続部CN2とが重なる領域の長さL1が、取り出し過程において装着部12に装着された状態のインクカートリッジICRが、第2規制部LM2により規制されるまで抜去方向に向かって移動可能な長さL2よりも長い必要がある。長さL1が長さL2よりも長い場合、取り出し過程においてインクカートリッジICRを第2規制部LM2と接触するまで抜去方向へ移動させたとしても、接続部CN1と被接続部CN2との接続は、保持される。これにより、印刷装置1は、接続部CN1と被接続部CN2との間からのインクの漏出を抑制することができる。
【0046】
第2規制部LM2によって抜去方向への移動が規制された後、ユーザーは、インクカートリッジICRを抜去方向と異なる方向にインクカートリッジICRを移動させることによって、第2規制部LM2によるインクカートリッジICRの抜去方向への移動の規制を解除することができる。換言すると、第2規制部LM2による規制は、抜去方向と異なる方向にインクカートリッジICRが移動することにより解除される。例えば、ユーザーは、第2規制部LM2によって抜去方向への移動が規制された後、インクカートリッジICRを上方向に向かってインクカートリッジICRを移動させることにより、接続位置を中心としてインクカートリッジICRを回動させることができる。ここで、接続位置は、インクカートリッジICRが有する端部のうち装着方向側の端部に近い位置に位置している。このため、ユーザーは、インクカートリッジICRを僅かに回転させるだけで、第2規制部LM2による抜去方向へのインクカートリッジICRの移動の規制を解除することができる。このように第2規制部LM2による規制を解除した後、ユーザーは、抜去方向よりも上方に向かってインクカートリッジICRを装着部12から引き抜くことにより、インクカートリッジICRを装着部12から取り外すことができる。これにより、印刷装置1は、インクカートリッジICRを単に抜去方向へ引き抜くだけでインクカートリッジICRを装着部12から取り外せる場合と比較して、ユーザーが意図せずしてインクカートリッジICRを装着部12から取り外してしまうことを抑制することができる。
【0047】
また、本実施形態において、第2規制部LM2は、装着部12の状態が閉状態において、鉛直方向におけるインクカートリッジICの下部に向かって突出し、4本のインクカートリッジICそれぞれの鉛直方向への動きを規制する。より具体的には、本実施形態において、第2規制部LM2は、装着部12の状態が閉状態において、図2に示したように、インクカートリッジICRの傾斜部TPと装着部12の第1ガイド部GD3との間に位置する。これにより、第2規制部LM2は、ユーザーの意図していないタイミングにおいて、何らかの原因によりインクカートリッジICRが規制位置から解除位置へ回動してしまうことを抑制することができる。また、これにより、印刷装置1は、前後方向の大きさが第2規制部LM2の長さに応じて増大してしまうことを抑制することができる。なお、第2規制部LM2は、4本のインクカートリッジICのうちの一部又は全部の鉛直方向への動きを規制しない構成であってもよい。また、第2規制部LM2は、装着部12の状態が閉状態において、インクカートリッジICRの傾斜部TPと当接する構成であってもよい。
【0048】
なお、第2規制部LM2は、起立した状態と倒伏した状態とを切り替え可能な部材であってもよい。この場合、例えば、第2規制部LM2は、装着部12の状態をカバー13によって閉状態から開状態へ切り替えた場合、倒伏した状態から起立した状態へと切り替わり、装着部12の状態をカバー13によって開状態から閉状態へ切り替えた場合、起立した状態から倒伏した状態へ切り替わる。このような第2規制部LM2の構成は、例えば、ラック及びピニオン、リンク等の各種の機構によって実現されてもよく、他の方法によって実現されてもよい。これにより、印刷装置1は、第2規制部LM2がインクカートリッジICと干渉してしまうことを抑制しつつ、前後方向の大きさが第2規制部LM2の長さに応じて増大してしまうことを抑制することができる。また、第2規制部LM2は、カバー13に代えて、装着部12等に設けられる構成であってもよい。
【0049】
また、本実施形態において、カバー13は、第3規制部LM3を備える。
【0050】
第3規制部LM3は、図2に示したように、装着部12の状態が閉状態において操作部CLに向かって突出し、4本のインクカートリッジICそれぞれの動きを規制する部材である。第3規制部LM3は、装着部12の状態が閉状態において操作部CLに向かって突出し、4本のインクカートリッジICそれぞれの動きを規制することが可能な部材であれば、如何なる部材であってもよい。図1及び図2に示した例では、第3規制部LM3は、4本のインクカートリッジICそれぞれの動きを規制する矩形平板形状の部材である。また、第3規制部LM3は、装着部12の状態が開状態において、第1方向において第2規制部LM2よりもインクカートリッジICから離れる位置に位置している。
【0051】
ここで、第3規制部LM3は、図2に示したように、装着部12の状態が閉状態である場合、インクカートリッジICRの筐体と操作部CLとの間の空隙に位置する。これにより、第3規制部LM3は、操作部CLを上から下に押下した場合に起きるインクカートリッジICRの回動が起こらないように、インクカートリッジICRの動きを規制する。その結果、第3規制部LM3は、ユーザーの意図していないタイミングにおいて、何らかの原因によりインクカートリッジICRが規制位置から解除位置へ回動してしまうことを、第2規制部LM2とともにより確実に抑制することができる。
【0052】
なお、カバー13は、第3規制部LM3を備えない構成であってもよい。この場合であっても、印刷装置1は、第2規制部LM2により、ユーザーの意図していないタイミングにおいて、何らかの原因によりインクカートリッジICRが規制位置から解除位置へ回動してしまうことを抑制することができる。
【0053】
以上のように、印刷装置1は、印刷媒体への印刷を行う印刷部11と、印刷部11に供給するインクを貯留する液体貯留部TKを有するインクカートリッジICを脱着可能な装着部12と、装着部12の状態を、装着部12が開かれる開状態と、装着部12が閉じられる閉状態との間で切り替えるカバー13と、を備え、装着部12又はインクカートリッジICは、鉛直方向と直交する方向のうち装着部12からカバー13に向かう抜去方向に向かってインクカートリッジICを付勢する付勢部材SPを備え、インクカートリッジICは、鉛直方向におけるインクカートリッジICの上部に設けられ、装着部12からのインクカートリッジICの取り外しを規制する第1規制部LM1と、鉛直方向におけるインクカートリッジICの上部に設けられ、且つ、インクカートリッジICが装着部12に装着されている場合において第1規制部LM1よりカバー13の近くに位置し、第1規制部LM1による規制を解除する操作を受け付ける操作部CLと、を備え、カバー13は、装着部12に装着されているインクカートリッジICが抜去方向に向かって装着部12から取り出される取り出し過程において、インクカートリッジICの抜去方向への移動を規制する第2規制部LM2を備え、インクカートリッジICは、装着部12に設けられる被接続部CN2に接続し、インクを供給する接続部CN1を備え、接続部CN1と被接続部CN2との接続は、インクカートリッジICの抜去方向への移動が第2規制部LM2により規制されている場合、保持されている。これにより、印刷装置1は、インクカートリッジICを装着部12から取り外す場合において、接続部CN1と被接続部CN2との間からインクが漏出してしまうこと抑制することができる。
【0054】
また、印刷装置1では、第2規制部LM2は、装着部12の状態が閉状態において、鉛直方向におけるインクカートリッジICの下部に向かって突出している、構成が用いられてもよい。
【0055】
また、印刷装置1では、インクカートリッジICは、鉛直方向におけるインクカートリッジICの下部に設けられ、且つ、装着部12の下方に位置し、インクカートリッジICが装着部12に装着されている場合においてカバー13に近づくほど鉛直方向上方に向かって傾斜する傾斜部TPを備え、装着部12は、傾斜部TPをガイドする第1ガイド部GD3を備え、カバー13は、装着部12の状態が開状態において第2規制部LM2よりもインクカートリッジICから遠くに位置し、装着部12の状態が閉状態において操作部CLに向かって突出してインクカートリッジICの動きを規制する第3規制部LM3を備える、構成が用いられてもよい。
【0056】
また、印刷装置1では、インクカートリッジICは、抜去方向に沿った動きが第1規制部LM1により規制される規制位置と、第1規制部LM1により規制が解除され、傾斜部TPが第1ガイド部GD3と接する解除位置との間で回動可能である、構成が用いられてもよい。
【0057】
また、印刷装置1では、インクカートリッジICが規制位置から解除位置へと回動した場合、接続部CN1は、被接続部CN2の下部と接触している、構成が用いられてもよい。
【0058】
また、印刷装置1では、第2規制部LM2は、装着部12の状態が閉状態において、傾斜部TPと第1ガイド部GD3との間に位置する、構成が用いられてもよい。
【0059】
また、印刷装置1では、第2規制部LM2による規制は、接続部CN1と被接続部CN2とが接続する接続位置に対してインクカートリッジICが回動することにより解除される、構成が用いられてもよい。
【0060】
また、印刷装置1では、第1規制部LM1による規制は、抜去方向に向かって抜去方向よりも下方に傾斜している方向への操作部CLの操作に応じて、解除される、構成が用いられてもよい。
【0061】
また、印刷装置1では、抜去方向における接続部CN1と被接続部CN2とが重なる領域の長さL1は、取り出し過程において装着部12に装着された状態のインクカートリッジICが、第2規制部LM2により規制されるまで抜去方向に向かって移動可能な長さL2よりも長い、構成が用いられてもよい。
【0062】
また、印刷装置1では、第2規制部LM2による規制は、抜去方向と異なる方向にインクカートリッジICが移動することにより解除される、構成が用いられてもよい。
【0063】
また、印刷装置1では、第2規制部LM2は、起立した状態と倒伏した状態とを切り替え可能な部材であり、装着部12の状態をカバー13によって閉状態から開状態へ切り替えた場合、倒伏した状態から起立した状態へと切り替わり、装着部12の状態をカバー13によって開状態から閉状態へ切り替えた場合、起立した状態から倒伏した状態へ切り替わる、構成が用いられてもよい。
【0064】
また、印刷装置1では、インクカートリッジICは、インクカートリッジICの状態のうち液体貯留部TKの内部と外部との連通を開放する開放状態と、インクカートリッジICの状態のうち液体貯留部TKの内部と外部との連通を遮断する遮断状態とを切り替える開放弁VLを備え、液体貯留部TKの内部の圧力は、インクカートリッジICの状態が開放状態である場合、大気圧であり、開放弁VLは、取り出し過程において、第2規制部LM2によって規制される前に、インクカートリッジICの状態を開放状態から遮断状態へ切り替える、構成が用いられてもよい。
【0065】
また、印刷装置1では、開放弁VLは、抜去方向と鉛直方向とのそれぞれと直交する幅方向において、第1規制部LM1と重なっている、構成が用いられてもよい。
【0066】
なお、上記において説明した事項は、如何様に組み合わされてもよい。
例えば、本実施形態における第1規制部LM1は、インクカートリッジICの上部に設けられていたが、これに代えて、インクカートリッジICの他の部分に設けられていてもよい。同様に、操作部CLが設けられる位置も適宜変更可能である。
また、本実施形態は、インクカートリッジICと形状や構成が異なるインクカートリッジが装着可能な印刷装置に応用してもよい。すなわち、印刷装置1は、印刷媒体への印刷を行う印刷部と、前記印刷部に供給する液体を貯留する液体貯留部を有する液体収容体を脱着可能な装着部と、前記装着部の状態を、前記装着部が開かれる開状態と、前記装着部が閉じられる閉状態との間で切り替えるカバーと、を備え、前記装着部又は前記液体収容体は、鉛直方向と直交する方向のうち前記装着部から前記カバーに向かう第1方向に向かって前記液体収容体を付勢する付勢部材を備え、前記液体収容体は、前記装着部からの前記液体収容体の取り外しを規制する第1規制部と、前記液体収容体が前記装着部に装着されている場合において前記第1規制部より前記カバーの近くに位置し、前記第1規制部による規制を解除する操作を受け付ける操作部と、を備え、前記カバーは、前記装着部に装着されている前記液体収容体が前記第1方向に向かって前記装着部から取り出される取り出し過程において、前記液体収容体の前記第1方向への移動を規制する第2規制部を備え、前記液体収容体は、前記装着部に設けられる被接続部に接続し、前記液体を供給する接続部を備え、前記接続部と前記被接続部との接続は、前記液体収容体の前記第1方向への移動が前記第2規制部により規制されている場合、保持されている、印刷装置としてもよい。
【0067】
以上説明したように、実施形態に係る印刷装置は、印刷媒体への印刷を行う印刷部と、印刷部に供給する液体を貯留する液体貯留部を有する液体収容体を脱着可能な装着部と、装着部の状態を、装着部が開かれる開状態と、装着部が閉じられる閉状態との間で切り替えるカバーと、を備え、装着部又は液体収容体は、鉛直方向と直交する方向のうち装着部からカバーに向かう第1方向に向かって液体収容体を付勢する付勢部材を備え、液体収容体は、鉛直方向における液体収容体の上部に設けられ、装着部からの液体収容体の取り外しを規制する第1規制部と、鉛直方向における液体収容体の上部に設けられ、且つ、液体収容体が装着部に装着されている場合において第1規制部よりカバーの近くに位置し、第1規制部による規制を解除する操作を受け付ける操作部と、を備え、カバーは、装着部に装着されている液体収容体が第1方向に向かって装着部から取り出される取り出し過程において、液体収容体の第1方向への移動を規制する第2規制部を備え、液体収容体は、装着部に設けられる被接続部に接続し、液体を供給する接続部を備え、接続部と被接続部との接続は、液体収容体の第1方向への移動が第2規制部により規制されている場合、保持されている。これにより、印刷装置は、液体収容体を装着部から取り外す場合において、接続部と被接続部との間から液体が漏出してしまうこと抑制することができる。なお、上記において説明した例では、印刷装置1は、当該印刷装置の一例である。また、上記において説明した例では、印刷部11は、当該印刷部の一例である。また、上記において説明した例では、液体貯留部TKは、当該液体貯留部の一例である。また、上記において説明した例では、インクカートリッジICは、当該液体収容体の一例である。また、上記において説明した例では、装着部12は、当該装着部の一例である。また、上記において説明した例では、カバー13は、当該カバーの一例である。また、上記において説明した例では、付勢部材SPは、当該付勢部材の一例である。また、上記において説明した例では、第1規制部LM1は、当該第1規制部の一例である。また、上記において説明した例では、操作部CLは、当該操作部の一例である。また、上記において説明した例では、第2規制部LM2は、当該第2規制部の一例である。また、上記において説明した例では、被接続部CN2は、当該被接続部の一例である。また、上記において説明した例では、接続部CN1は、当該接続部の一例である。また、上記において説明した例では、抜去方向は、第1方向の一例である。
【0068】
<付記>
[1]
印刷媒体への印刷を行う印刷部と、
前記印刷部に供給する液体を貯留する液体貯留部を有する液体収容体を脱着可能な装着部と、
前記装着部の状態を、前記装着部が開かれる開状態と、前記装着部が閉じられる閉状態との間で切り替えるカバーと、
を備え、
前記装着部又は前記液体収容体は、鉛直方向と直交する方向のうち前記装着部から前記カバーに向かう第1方向に向かって前記液体収容体を付勢する付勢部材を備え、
前記液体収容体は、
鉛直方向における前記液体収容体の上部に設けられ、前記装着部からの前記液体収容体の取り外しを規制する第1規制部と、
鉛直方向における前記液体収容体の上部に設けられ、且つ、前記液体収容体が前記装着部に装着されている場合において前記第1規制部より前記カバーの近くに位置し、前記第1規制部による規制を解除する操作を受け付ける操作部と、
を備え、
前記カバーは、前記装着部に装着されている前記液体収容体が前記第1方向に向かって前記装着部から取り出される取り出し過程において、前記液体収容体の前記第1方向への移動を規制する第2規制部を備え、
前記液体収容体は、前記装着部に設けられる被接続部に接続し、前記液体を供給する接続部を備え、
前記接続部と前記被接続部との接続は、前記液体収容体の前記第1方向への移動が前記第2規制部により規制されている場合、保持されている、
印刷装置。
[2]
前記第2規制部は、前記装着部の状態が前記閉状態において、鉛直方向における前記液体収容体の下部に向かって突出している、
[1]に記載の印刷装置。
[3]
前記液体収容体は、鉛直方向における前記液体収容体の下部に設けられ、且つ、前記操作部の下方に位置し、前記液体収容体が前記装着部に装着されている場合において前記カバーに近づくほど鉛直方向上方に向かって傾斜する傾斜部を備え、
前記装着部は、前記傾斜部をガイドする第1ガイド部を備え、
前記カバーは、前記装着部の状態が前記開状態において、前記第1方向において前記第2規制部よりも前記液体収容体から離れる位置に位置する第3規制部であって、前記装着部の状態が前記閉状態において前記操作部に向かって突出して前記液体収容体の動きを規制する前記第3規制部を備える、
[1]又は[2]に記載の印刷装置。
[4]
前記液体収容体は、前記第1方向に沿った動きが前記第1規制部により規制される規制位置と、前記第1規制部により規制が解除され、前記傾斜部が前記第1ガイド部と接する解除位置との間で回動可能である、
[3]に記載の印刷装置。
[5]
前記液体収容体が前記規制位置から前記解除位置へと回動した場合、前記接続部は、前記被接続部の下部と接触している、
[4]に記載の印刷装置。
[6]
前記第2規制部は、前記装着部の状態が前記閉状態において、前記傾斜部と前記第1ガイド部との間に位置する、
請求項[3]から[5]のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
[7]
前記第2規制部による規制は、前記接続部と前記被接続部とが接続する接続位置に対して前記液体収容体が回動することにより解除される、
[1]から[6]のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
[8]
前記第1規制部による規制は、前記第1方向に向かって前記第1方向よりも下方に傾斜している方向への前記操作部の操作に応じて、解除される、
[1]から[7]のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
[9]
前記第1方向における前記接続部と前記被接続部とが重なる領域の長さは、前記取り出し過程において前記装着部に装着された状態の前記液体収容体が、前記第2規制部により規制されるまで前記第1方向に向かって移動可能な長さよりも長い、
[1]から[8]のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
[10]
前記第2規制部による規制は、前記第1方向と異なる第2方向に前記液体収容体が移動することにより解除される、
[1]から[9]のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
[11]
前記第2規制部は、起立した状態と倒伏した状態とを切り替え可能な部材であり、前記装着部の状態を前記カバーによって前記閉状態から前記開状態へ切り替えた場合、倒伏した状態から起立した状態へと切り替わり、前記装着部の状態を前記カバーによって前記開状態から前記閉状態へ切り替えた場合、起立した状態から倒伏した状態へ切り替わる、
[1]から[10]のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
[12]
前記液体収容体は、前記液体収容体の状態のうち前記液体貯留部の内部と外部との連通を開放する開放状態と、前記液体収容体の状態のうち前記液体貯留部の内部と外部との連通を遮断する遮断状態とを切り替える開放弁を備え、
前記液体貯留部の内部の圧力は、前記液体収容体の状態が開放状態である場合、大気圧であり、
前記開放弁は、前記取り出し過程において、前記第2規制部によって規制される前に、前記液体収容体の状態を前記開放状態から前記遮断状態へ切り替える、
[1]から[11]のうちいずれか一項に記載の印刷装置。
[13]
前記開放弁は、前記第1方向と鉛直方向とのそれぞれと直交する幅方向において、前記第1規制部と重なっている、
[12]に記載の印刷装置。
【0069】
以上、この開示の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…印刷装置、11…印刷部、12…装着部、13…カバー、121…凹部、CL…操作部、CL1…操作部、CN…接続部、CN1…接続部、CN2…被接続部、GD3…第1ガイド部、HL…挿入口、IC、ICB、ICG、ICK、ICR…インクカートリッジ、LM1…第1規制部、LM2…第2規制部、LM3…第3規制部、ND…ニードル、SP…付勢部材、TC…三次元座標系、TK…液体貯留部、TP…傾斜部、VL…開放弁
図1
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図11