(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033188
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】着色ガラス材及びその製造方法、並びに顔料
(51)【国際特許分類】
C03C 8/02 20060101AFI20240306BHJP
C03B 19/00 20060101ALI20240306BHJP
C03B 8/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
C03C8/02
C03B19/00 Z
C03B8/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136627
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】504229284
【氏名又は名称】国立大学法人弘前大学
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増野 敦信
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 史雄
(72)【発明者】
【氏名】芦田 知世
【テーマコード(参考)】
4G014
4G062
【Fターム(参考)】
4G014AG00
4G062AA01
4G062BB07
4G062DA01
4G062DA10
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4G062NN05
(57)【要約】
【課題】新規の着色ガラス材を提供する。
【解決手段】以下の一般式(1)において、0.001≦x≦1、40≦y≦95であり、ROがCaO、SrO及びBaOから選択される少なくとも一種である、着色ガラス材。
yRO-(100-y)(Al(2-x)MnxO3)・・・式(1)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(1)において、0.001≦x≦1、40≦y≦95であり、ROがCaO、SrO及びBaOから選択される少なくとも一種である、着色ガラス材。
yRO-(100-y)(Al(2-x)MnxO3)・・・式(1)
【請求項2】
前記ROのうち、SrO及びBaOから選択される少なくとも一種を含有する、請求項1に記載の着色ガラス材。
【請求項3】
以下の一般式(2)において、0.001≦x≦1、40≦y≦95、0<z<1であり、R1及びR2はCa、Sr及びBaから選択される二種である、請求項1に記載の着色ガラス材。
y(R1
(1-z)R2
zO)-(100-y)(Al(2-x)MnxO3)・・・式(2)
【請求項4】
R1はSrであり、R2はCa及びBaから選択されるいずれか一種である、請求項3に記載の着色ガラス材。
【請求項5】
0<z≦0.5である、請求項3又は4に記載の着色ガラス材。
【請求項6】
請求項1又は3に記載の着色ガラス材からなる、顔料。
【請求項7】
青色顔料である、請求項6に記載の顔料。
【請求項8】
請求項1又は3に記載の着色ガラス材を製造するための方法であって、
ガラス原料を空中に浮遊させて保持した状態で、前記ガラス原料を加熱融解させて溶融ガラスを得る工程と、前記溶融ガラスを得た後に、前記溶融ガラスを冷却する工程とを備える、着色ガラス材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色ガラス材及びその製造方法、並びに顔料に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス中に着色剤を添加することにより、種々の色調を付与する技術が知られている。例えば、有色イオンやコロイド粒子を着色因子とする着色ガラス材が古くから作製されており、様々な発色が実現されている。
【0003】
例えば、緑~青緑の色調を呈する着色ガラス材はCr、Fe、Cu、Co等の有色イオンによる着色が知られている(例えば、特許文献1~3参照)。また、赤系の色調を呈する着色ガラス材はAuコロイドやCuコロイドによる着色が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平1-108134号公報
【特許文献2】特許第4440729号公報
【特許文献3】特開2019-94244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年は意匠の多様化が進んでおり、表現の幅を広げるという観点から新たな色彩を有する材料が求められている。
【0006】
以上に鑑み、本発明は新規の着色ガラス材及びその製造方法、並びに顔料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決する着色ガラス材及びその製造方法、並びに顔料の各態様について説明する。
【0008】
即ち、態様1の着色ガラス材は、以下の一般式(1)において、0.001≦x≦1、40≦y≦95であり、ROがCaO、SrO及びBaOから選択される少なくとも一種であることを特徴とする。
yRO-(100-y)(Al(2-x)MnxO3)・・・式(1)
【0009】
態様2の着色ガラス材は、態様1において、前記ROのうち、SrO及びBaOから選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。
【0010】
態様3の着色ガラス材は、態様1において、以下の一般式(2)において、0.001≦x≦1、40≦y≦95、0<z<1であり、R1及びR2はCa、Sr及びBaから選択される二種であることが好ましい。
y(R1
(1-z)R2
zO)-(100-y)(Al(2-x)MnxO3)・・・式(2)
【0011】
態様4の着色ガラス材は、態様3において、R1はSrであり、R2はCa及びBaから選択されるいずれか一種であることが好ましい。
【0012】
態様5の着色ガラス材は、態様3又は態様4において、0<z≦0.5であることが好ましい。
【0013】
態様6の顔料は、態様1から態様5のいずれか一つの態様に記載の着色ガラス材からなることを特徴とする。
【0014】
態様7の顔料は、態様6において、青色顔料であることが好ましい。
【0015】
態様8の着色ガラス材の製造方法は、態様1から態様5のいずれか一つの態様に記載の着色ガラス材を製造するための方法であって、ガラス原料を空中に浮遊させて保持した状態で、前記ガラス原料を加熱融解させて溶融ガラスを得る工程と、前記溶融ガラスを得た後に、前記溶融ガラスを冷却する工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、新規の着色ガラス材及びその製造方法、並びに顔料を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る着色ガラス材の製造装置の模式的断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る着色ガラス材の製造装置の模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<着色ガラス材>
本発明の着色ガラス材は、以下の一般式(1)において、0.001≦x≦1、40≦y≦95であり、ROがCaO、SrO及びBaOから選択される少なくとも一種であることを特徴とする。
yRO-(100-y)(Al(2-x)MnxO3) ・・・式(1)
【0019】
一般式(1)中のROは、CaO、SrO及びBaOから選択される少なくとも一種である。言い換えると、ROは、CaO、SrO及びBaOから選択されるいずれか一種であってもよい。また、ROは、CaO、SrO及びBaOから選択される二種以上であってもよい。さらに、ROは、CaO、SrO及びBaOをすべて含んでもよい。ROはガラス化範囲を広げ、ガラス化の安定性を高める効果がある。また、本発明においてガラス骨格を形成する成分でもある。また、Al(2-x)MnxO3はガラス骨格を形成する成分である。
【0020】
ROのうち、SrO及びBaOから選択される少なくとも一種を含有することが好ましい。これらの成分を含有することにより多彩な着色ガラス材を得やすくなる。
【0021】
一般式(1)における各係数の範囲を上記の通り規定した理由について以下に説明する。
【0022】
xは0.001≦x≦1であり、0.001≦x≦0.5であることが好ましく、0.001≦x≦0.1であることが特に好ましい。xが小さすぎると、ガラスの着色が薄くなり過ぎやすい。xが大きすぎると、ガラスの着色が濃くなり過ぎやすい。
【0023】
yは40≦y≦95であり、50≦y≦85であることが好ましく、55≦y≦85であることがより好ましく、60≦y≦80であることが特に好ましい。yが小さすぎると、ガラス形成が困難になりやすい。yが大きすぎても、ガラス形成が困難になりやすい。
【0024】
なお、ROが、CaO、SrO及びBaOから選択される二種である場合、以下の一般式(2)を満たすことが好ましい。すなわち、本発明の着色ガラス材は、以下の一般式(2)において、0.001≦x≦1、40≦y≦95、0<z<1であり、R1及びR2はCa、Sr及びBaから選択される二種であることが好ましい。なお、y(R1
(1-z)R2
zO)はy(1-z)R1O-yzR2Oと記載することもある。
y(R1
(1-z)R2
zO)-(100-y)(Al(2-x)MnxO3) ・・・式(2)
【0025】
一般式(2)中において、R1とR2は異なる成分である。言い換えると、Ca、Sr及びBaのうち、R1で選択しなかった成分からR2が選択される。例えば、R1がSrである場合、R2はCa及びBaから選択されるいずれか一種であることが好ましい。
【0026】
一般式(2)中において、R1はSrであり、R2はCa及びBaから選択されるいずれか一種であることが好ましい。言い換えると、本発明の着色ガラス材は、SrOと、CaO及びBaOから選択されるいずれか一種を含有することが好ましい。R1及びR2を上記の通り設定した場合においても、多彩な着色ガラス材を得やすくなる。
【0027】
一般式(2)における各係数の範囲を上記の通り規定した理由について以下に説明する。
【0028】
xは0.001≦x≦1であり、0.001≦x≦0.5であることが好ましく、0.001≦x≦0.1であることが特に好ましい。xが小さすぎると、ガラスの着色が薄くなり過ぎやすい。xが大きすぎると、ガラスの着色が濃くなり過ぎやすい。
【0029】
yは40≦y≦95であり、50≦y≦85であることが好ましく、55≦y≦85であることがより好ましく、60≦y≦80であることが特に好ましい。yが小さすぎると、ガラス形成が困難になりやすい。yが大きすぎても、ガラス形成が困難になりやすい。
【0030】
zは0<z<1であり、0<z≦0.5であることが好ましく、0<z≦0.4であることが特に好ましい。上記値を満たすことにより、着色ガラス材の色調を変化させやすくなる。なお、zの下限は0超であればよいが、例えば0.001以上としてもよい。
【0031】
このように、一般式(2)では、R1及びR2の比率(すなわち、パラメータzの値)を新たな変数として規定している。パラメータzを含む各種パラメータの値を調節することにより、着色ガラス材の色調を変化させやすくなる。
【0032】
例えば、R1がSrであり、R2がCaである場合は、青色、緑色、黄色の着色ガラス材が得やすくなる。この場合、青色着色ガラス材を得るという観点では、パラメータyとzの積yzが0超~10であることが好ましく、特に0超~8であることが好ましい。また、緑色着色ガラス材を得るという観点では、パラメータyとzの積yzが10超~30以下であることが好ましい。また、黄色着色ガラス材を得るという観点では、パラメータyとzの積yzが30超であることが好ましい。
【0033】
例えば、R1がSrであり、R2がBaである場合は、青色、薄青色の着色ガラス材が得やすくなる。この場合、青色着色ガラス材を得るという観点では、パラメータyとzの積yzが6超~40であることが好ましく、特に6.5~35であることが好ましい。また、薄青色着色ガラス材を得るという観点では、パラメータyとzの積yzが0超~6であることが好ましい。
【0034】
このように、本発明者らの研究により、RO-Al2O3系ガラス材に微量のMnを添加することで新規の着色ガラス材を形成できることが判明した。特に、ROのうちSrO及びBaOから選択される少なくとも一種を含有する着色ガラス材では、Mnイオンでは通常観察されない呈色(青色、薄青色、緑色、黄色)が確認できることから、新たな色彩を有する材料として有用である。言い換えると、多彩な着色ガラス材を得やすくなる。特に、青色着色ガラス材は青色顔料として好ましい。なお、上記呈色を示す理由は不明であるが、本発明者らは着色ガラス材中におけるMnの価数及び配位数に起因するものと推定している。
【0035】
<着色ガラス材の製造方法>
本発明の着色ガラス材は、ガラス原料を浮遊させた状態で溶融、冷却する無容器浮遊法で製造することが好ましい。RO-Al2O3系ガラス材は結晶化傾向が強く、失透しやすい。そのため、ガラス原料を坩堝等の溶融容器内で溶融すると、溶融ガラスと溶融容器との接触界面を起点として結晶析出が進行しやすい。一方、無容器浮遊法を用いると、溶融ガラスと溶融容器との界面接触をなくすことができ、失透を抑制することができる。
【0036】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る着色ガラス材の製造装置の模式的断面図である。以下、
図1を参照しながら本発明の着色ガラス材の製造方法について説明する。
【0037】
着色ガラス材の製造装置1は、成形型10を有する。成形型10は、成形面10aと、成形面10aに開口しているガス噴出孔10bとを有する。ガス噴出孔10bは少なくとも1つ以上の開口部で構成される。本実施形態において、成形面10aは、下方に向かって先細るテーパ状であり、1つのガス噴出孔10bが成形面10aの中央に開口している。
【0038】
ガス噴出孔10bは、ガスボンベなどのガス供給機構11に接続されている。このガス供給機構11からガス噴出孔10bを経由して、成形面10aにガスが供給される。ガスの種類は特に限定されず、例えば、空気や酸素であってもよいし、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、水素を含有した還元性ガスであってもよい。
【0039】
はじめに、ガラス原料塊12を成形面10a上に配置する。ガラス原料塊12は、例えば、ガラス材の原料粉末(原料バッチ)をペレット状に成形することにより作製できる。なお、ガラス原料塊12は上記に限定されず、例えば、原料バッチをプレス成形等により一体化したものであってもよい。また、原料バッチをペレット状に成形後、熱処理したものをガラス原料塊12としてもよい。また、ガラス原料塊12は、例えば、目標ガラス組成と同等の組成を有する結晶の集合体であってもよい。
【0040】
次に、ガス噴出孔10bからガスを噴出させることにより、ガラス原料塊12を成形面10a上で浮遊させる。すなわち、ガラス原料塊12が成形面10aに接触していない状態で、ガラス原料塊12を保持する。その状態で、レーザー光照射装置13からレーザー光をガラス原料塊12に照射する。これにより、ガラス原料塊12を加熱溶融してガラス化させ、溶融ガラスを得る。なお、ガラス原料塊12の加熱方法は、レーザー光を照射する方法に特に限定されない。例えば、ガラス原料塊12を輻射加熱してもよい。
【0041】
その後、溶融ガラスを冷却することにより、着色ガラス材を得ることができる。このとき、少なくとも溶融ガラスの温度が軟化点以下となるまではガスの噴出を継続し、溶融ガラス又は着色ガラス材と成形面10aとの接触を抑制することが好ましい。また、得られた着色ガラス材に対して、必要に応じて、切削、研磨、プレス等を行い、所望の形状に加工してもよい。
【0042】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る着色ガラス材の製造装置の模式的断面図である。本実施形態に係る着色ガラス材の製造装置2では、成形面10aに複数のガス噴出孔10bが開口している。例えば、複数のガス噴出孔10bは、成形面10aの中心から放射状に配列されている。本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、着色ガラス材を好適に製造し得る。
【0043】
<顔料>
本発明の着色ガラス材は、顔料に好適に用いることができる。特に、SrO及びBaOから選択される少なくとも一種を含有する着色ガラス材は、新たな色彩を有する材料として好ましい。すなわち、以下の一般式(1)において、0.001≦x≦1、40≦y≦95であり、ROがSrO及びBaOから選択される少なくとも一種であることが好ましい。
yRO-(100-y)(Al(2-x)MnxO3)・・・式(1)
【0044】
本発明の顔料は、上述した本発明の着色ガラス材からなる。より詳細には、本発明の顔料は、上述した着色ガラス材の粉末からなる。例えば、着色ガラス材を粉砕後、粒度を調整することにより着色ガラス材の粉末からなる顔料を得ることができる。なお、本発明の顔料は、青色顔料であることが好ましい。
【0045】
本発明の顔料は毒性元素を含んでいないため、プラスチック、セラミック、ガラス、紙など様々な材料の着色に適用することができる。また、塗料、釉薬、印刷インク、染料等に使用することができる。また、顔料を塗料として用いる場合は、樹脂材料、溶剤、分散剤、助剤、乾燥促進剤、界面活性剤等を適宜配合し、スラリーとして使用してもよい。
【0046】
本発明の顔料は、例えば、樹脂材料等と混合して使用することができる。
【0047】
樹脂材料としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリイミド系樹脂、ユリア系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、アルキド系樹脂、フラン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。これらの樹脂材料は、1種を単独で用いてもよく、複数種を併用してもよい。
【0048】
顔料の平均粒子径は、0.01μm~10μm、0.05μm~5μm、0.1μm~3μm、特に0.1μm~2μmであることが好ましい。顔料の平均粒子径が小さすぎると、顔料粉末が凝集して取り扱いが困難になりやすい。顔料の平均粒子径が大きすぎると、分散性が低下しやすい。なお、平均粒子径は、レーザー回折散乱法により測定される体積分布から導かれるメディアン径である。
【0049】
本発明の顔料を樹脂材料に添加する場合、重量%で、30%以下、20%以下、15%以下、10%以下、特に5%以下であることが好ましく、0.01%以上、0.1%以上、0.5%以上、特に1%以上であることが好ましい。顔料の添加量が少なすぎると、所望の着色が得づらくなる。顔料の添加量が多すぎると、樹脂材料の柔軟性が損なわれる恐れがある。
【実施例0050】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
表1,2は本発明の実施例1~27及び比較例1~5を示している。
【0052】
【0053】
【0054】
試料は以下のように作製した。はじめに、表1,2に示すガラス組成となるよう原料粉末を調合し、原料バッチを作製した。次に、原料バッチをペレット状に成形し、1000℃の温度で12時間熱処理することによりターゲットを作製した。得られたターゲットを粉砕することによりガラス原料塊を作製した。
【0055】
次に、ガラス原料塊を用いて、
図1に準じた装置を用いた無容器浮遊法によりガラス材(直径約1.5mm)を作製した。熱源には100WのCO
2レーザー発振器を用いた。ガラス原料塊を空中に浮遊させるためのガスとしてO
2ガスを用い、供給流量は0.1L/分~30L/分とした。溶融後、溶融ガラスを冷却することによりガラス材を得た。
【0056】
得られたガラス材に対して色調を確認した。結果を表1,2に示す。なお、ガラス材の色調は蛍光灯光源下での目視観察及び拡散反射スペクトルから評価した。
【0057】
表1,2に示すように、実施例の着色ガラス材は茶色、薄茶色、青色、薄青色、緑色又は黄色の色調を示した。特に、ROとしてSrO又はBrOを含有する試料では、Mnイオンでは通常観察されない多彩な色調を示すガラス材が得られた。一方、Mnを添加していない比較例1~5は無色透明のガラス材が得られた。