(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033193
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】接合条件出力装置
(51)【国際特許分類】
B29C 65/16 20060101AFI20240306BHJP
B29C 65/44 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B29C65/16
B29C65/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136634
(22)【出願日】2022-08-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100115749
【弁理士】
【氏名又は名称】谷川 英和
(74)【代理人】
【識別番号】100166811
【弁理士】
【氏名又は名称】白鹿 剛
(72)【発明者】
【氏名】宮内 貴章
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AA28
4F211AA39
4F211AD03
4F211AG01
4F211AG03
4F211AP20
4F211AQ01
4F211AR07
4F211AR08
4F211AR11
4F211AR20
4F211TA01
4F211TC01
4F211TD11
4F211TH24
4F211TN27
(57)【要約】
【課題】従来の接合条件出力装置においては、異材接合を行うための接合条件を設定するのに手間がかかるという課題があった。
【解決手段】樹脂である第一材料と金属である第二材料とを重ね合わせて接合する場合の接合条件を出力するための接合条件出力装置100であって、第一材料の特定に用いる情報と第二材料の特定に用いる情報とを取得する第一取得部141と、第一取得部141により取得された情報に基づいて、第一材料と第二材料とのそれぞれを特定する特定情報を取得する第二取得部142と、第二取得部142により特定された特定情報を用いて1以上の接合条件を取得する第三取得部143と、取得した接合条件を出力する出力部161と、を備える、接合条件出力装置100により、異材接合を行うための接合条件を容易に決定することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂である第一材料と金属である第二材料とを重ね合わせて接合する場合の接合条件を出力するための接合条件出力装置であって、
前記第一材料の特定に用いる情報と前記第二材料の特定に用いる情報とを取得する第一取得部と、
前記第一取得部により取得された情報に基づいて、前記第一材料と前記第二材料とのそれぞれを特定する特定情報を取得する第二取得部と、
前記第二取得部により特定された特定情報を用いて1以上の接合条件を取得する第三取得部と、
取得した前記接合条件を出力する出力部と、を備える、接合条件出力装置。
【請求項2】
前記第一材料及び前記第二材料の少なくとも一方に関する物理量の測定を行う測定部を備え、
前記第一取得部は、前記測定部の測定結果を、前記第一材料の特定に用いる情報及び前記第二材料の特定に用いる情報の少なくとも一方として取得する、請求項1に記載の接合条件出力装置。
【請求項3】
前記測定部は、光学センサである物理センサを含む、請求項2に記載の接合条件出力装置。
【請求項4】
前記材料の特定に用いる情報は、当該材料の表面の反射率を含む、請求項1に記載の接合条件出力装置。
【請求項5】
前記材料の特定に用いる情報は、当該材料の表面自由エネルギーを含む、請求項1に記載の接合条件出力装置。
【請求項6】
前記接合条件は、接合に用いるレーザの出力に関する条件である、請求項1から5のいずれかに記載の接合条件出力装置。
【請求項7】
前記接合条件は、接合時に前記第一材料と前記第二材料との少なくとも一方に施す表面改質処理に関する条件である、請求項1から5のいずれかに記載の接合条件出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種類の部材の接合を行う場合の接合条件を出力する接合条件出力装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工対象のワークの状態等に応じて加工を行う場合の加工条件を設定する装置が、種々用いられている。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、レーザ加工装置の制御装置に予め被加工物の材質及び加工仕様毎に対応する加工条件を登録し、加工時に、被加工物の材質と加工仕様と同一又は近い加工条件を呼び出してレーザ加工装置の制御装置に設定する加工条件設定方法について示されている。
【0004】
また、下記特許文献2には、素材の板厚又は材質を検出して、検出結果に応じて、レーザ加工機の出力及び素材の送り速度を含む加工条件を設定するレーザ加工機の構成が示されている。
【0005】
また、下記特許文献3には、操作部により加工条件テーブルから選択された加工条件を、加工対象の材料の材質データ及び板厚データに応じて修正して、加工に用いるように構成されたレーザ加工機の構成が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4-344879号公報
【特許文献2】特開平4-190987号公報
【特許文献3】特開2017-209692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、様々なニーズに応じて、加熱により金属材料と樹脂材料とを接合した部材を製造することが行われるようになってきている。このような接合は、異材接合と呼ばれることもある。異材接合において、様々な材料の組み合わせがあり得る。そのため、異材接合を行う際の接合条件(加工条件)を、用いる材料の組み合わせに応じて適切に設定する必要がある。しかしながら、このような様々な材料の組み合わせに対して、接合条件の設定を適切に行うには、適宜、用いる材料の製造元から提供される情報を得るなど、面倒な作業を行う必要があった。
【0008】
そこで、本発明は、異材接合を行うための接合条件を容易に決定することができる接合条件出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本第一の発明の接合条件出力装置は、樹脂である第一材料と金属である第二材料とを重ね合わせて接合する場合の接合条件を出力するための接合条件出力装置であって、第一材料の特定に用いる情報と第二材料の特定に用いる情報とを取得する第一取得部と、第一取得部により取得された情報に基づいて、第一材料と第二材料とのそれぞれを特定する特定情報を取得する第二取得部と、第二取得部により特定された特定情報を用いて1以上の接合条件を取得する第三取得部と、取得した接合条件を出力する出力部と、を備える、接合条件出力装置である。
【0010】
かかる構成により、異材接合を行うための接合条件を容易に決定することができる。
【0011】
また、本第二の発明の接合条件出力装置は、第一の発明に対して、第一材料及び第二材料の少なくとも一方に関する物理量の測定を行う測定部を備え、第一取得部は、測定部の測定結果を、第一材料の特定に用いる情報及び第二材料の特定に用いる情報の少なくとも一方として取得する、接合条件出力装置である。
【0012】
かかる構成により、測定部による測定結果を用いて接合条件を容易に決定することができる。
【0013】
また、本第三の発明の接合条件出力装置は、第二の発明に対して、測定部は、光学センサである物理センサを含む、接合条件出力装置である。
【0014】
かかる構成により、光学センサの測定結果を用いて接合条件を容易に決定することができる。
【0015】
また、本第四の発明の接合条件出力装置は、第一から三の発明に対して、材料の特定に用いる情報は、材料の表面の反射率を含む、接合条件出力装置である。
【0016】
かかる構成により、材料の表面の反射率を用いて材料を高い精度で特定することができる。
【0017】
また、本第五の発明の接合条件出力装置は、第一から四の発明に対して、材料の特定に用いる情報は、材料の表面自由エネルギーを含む、接合条件出力装置である。
【0018】
かかる構成により、材料の表面自由エネルギーを用いて材料を高い精度で特定することができる。
【0019】
また、本第六の発明の接合条件出力装置は、第一から五のいずれかの発明に対して、接合条件は、接合に用いるレーザの出力に関する条件である、接合条件出力装置である。
【0020】
かかる構成により、レーザの出力に関する条件を容易に決定することができる。
【0021】
また、本第七の発明の接合条件出力装置は、第一から六のいずれかの発明に対して、接合条件は、接合時に第一材料と第二材料との少なくとも一方に施す表面改質処理に関する条件である、接合条件出力装置である。
【0022】
かかる構成により、表面改質に関する条件を容易に決定することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明による接合条件出力装置によれば、異材接合を行うための接合条件を容易に決定することができる
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施の形態の一例に係る接合条件出力装置の構成を示すブロック図
【
図2】同接合条件出力装置において材料情報格納部に格納される材料情報の一例を示す図
【
図3】同接合条件出力装置において材料情報格納部に格納される条件情報の一例を示す図
【
図4】同接合条件出力装置の動作の一例を示すフローチャート
【
図5】同接合条件出力装置を用いた異材接合システムの構成例の概要を示す図
【
図6】同接合条件出力装置の動作の一変形例を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、接合条件出力装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
【0026】
なお、以下において用いる用語は、一般的には次のように定義される。なお、これらの用語の語義は常にここに示されるように解釈されるべきではなく、例えば以下において個別に説明されている場合にはその説明も踏まえて解釈されるべきである。
【0027】
異材接合とは、ここでは、樹脂である第一材料と、金属である第二材料とを重ね合わせて接合することをいう。第一材料及び第二材料は、例えば、板状部材であるが、これに限られない。異材接合においては、例えば、加熱等によって、第二材料との接合部における第一材料を溶融させて、第一材料と第二材料とを接合させることが行われる。
【0028】
ある事項について識別子とは、当該事項を一意に示す文字又は符号等である。識別子は、例えば、IDであるが、対応する事項を識別しうる情報であれば種類は問わない。すなわち、識別子は、それが示すものそのものの名前であってもよいし、一意に対応するように符号を組み合わせたものであってもよい。
【0029】
取得とは、ユーザ等により入力された事項を取得することを含んでいてもよいし、自装置又は他の装置に記憶されている情報(予め記憶されている情報であってもよいし当該装置において情報処理が行われることにより生成された情報であってもよい)を取得することを含んでいてもよい。他の装置に記憶されている情報を取得するとは、他の装置に記憶されている情報をAPI経由などで取得することを含んでいてもよいし、他の装置により提供されている文書ファイルの内容(ウェブページの内容なども含む)を取得することを含んでいてもよい。また、画像について光学式文字読み取りを行うことにより情報を取得することなど、元の情報に基づいてそれとは異なるフォーマットの情報を取得することを含んでいてもよい。例えば、1次元コードや多次元コード等の画像の読取りにより、それにより表されている情報を取得することを含んでいてもよい。
【0030】
また、情報の取得には、いわゆる機械学習の手法を利用するようにしてもよい。機械学習の手法の利用については、例えば次のようにすることができる。すなわち、特定の種類の入力情報を入力とし、取得したい種類の出力情報を出力とする学習器(学習情報)を、機械学習の手法を用いて構成する。例えば、予め、入力情報と出力情報との組を2以上用意し、当該2組以上の情報を機械学習の学習器を構成するためのモジュールに与えて学習器を構成し、構成した学習器を格納部に蓄積する。なお、学習器は分類器ということもできる。なお、機械学習の手法としては、例えば、深層学習、ランダムフォレスト、SVM等、問わない。また、機械学習には、例えば、fastText、tinySVM、random forest、TensorFlow等の各種の機械学習フレームワークにおける関数や、種々の既存のライブラリを用いることができる。
【0031】
また、学習器は、機械学習により得られるものに限られない。学習器は、例えば、入力情報等に基づく入力ベクトルと、出力情報との対応関係を示すテーブルであってもよい。この場合、入力情報に基づく特徴ベクトルに対応する出力情報をテーブル中から取得するようにしてもよいし、テーブル中の2以上の入力ベクトルと各入力ベクトルの重み付けなどを行うパラメータとを用いて入力情報に基づく特徴ベクトルに近似するベクトルを生成し、生成に用いた各入力ベクトルに対応する出力情報とパラメータとを用いて、最終的な出力情報を取得するようにしてもよい。また、学習器は、例えば、入力情報等に基づく入力ベクトルと、出力情報を生成するための情報との関係を表す関数などであってもよい。この場合、例えば、入力情報に基づく特徴ベクトルに対応する情報を関数により求めて、求めた情報を用いて出力情報を取得するなどしてもよい。
【0032】
情報を出力するとは、ディスプレイへの表示、プロジェクタを用いた投影、プリンタでの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。具体的には、例えば、情報のウェブページへの表示を可能とすることや、電子メール等として送信することや、印刷するための情報を出力することなどを含む。
【0033】
情報の受け付けとは、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力デバイスから入力された情報の受け付け、他の装置等から有線若しくは無線の通信回線を介して送信された情報の受信、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報の受け付けなどを含む概念である。
【0034】
(実施の形態)
【0035】
本実施の形態において、接合条件出力装置は、樹脂材料と金属材料とを重ね合わせて接合する(以下、異材接合という)場合の接合条件を出力可能である。接合条件出力装置は、例えば、異材接合を行うための種々の機器等で構成された異材接合システムにおいて用いられうる。
【0036】
本実施の形態において、接合条件出力装置は、材料の特定に用いる情報を取得して材料を特定すると共に、特定した結果に応じて接合条件を取得し、出力するように構成されている。材料の特定に用いる情報は、例えば、光学センサや接触角測定装置などの物理センサなどを用いて、接合条件出力装置により取得されるようにしてもよい。材料の特定に用いる情報としては、例えば、材料の表面の反射率や、材料の表面自由エネルギーや、これら以外の情報を用いることができる。接合条件は、例えば、接合に用いるレーザの出力に関する条件であってもよいし、材料の表面改質処理に関する条件であってもよいし、これら以外の情報を用いることができる。
【0037】
以下、このように構成された接合条件出力装置100について説明する。
【0038】
図1は、本実施の形態の一例に係る接合条件出力装置100の構成を示すブロック図である。
【0039】
図に示されるように、接合条件出力装置100は、格納部110、受信部120、受付部130、処理部140、送信部170、及び測定部190を備える。
【0040】
接合条件出力装置100は、例えば、パーソナルコンピュータなどの電子計算機であるが、これに限られない。例えば、サーバ装置等であったり、他の機器内に内蔵されて当該機器や当該機器と通信可能な他の機器等の制御を行うように構成されたコンピュータ等であってもよい。接合条件出力装置100は、情報処理装置であると言ってもよい。
【0041】
格納部110は、材料情報格納部111、条件情報格納部115を備える。格納部110は、処理部140が後述のようにして行う処理内容に応じて、材料情報格納部111や条件情報格納部115のいずれか又は両方を有していてなくてもよい。
【0042】
格納部110は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。これらには、それぞれの装置において取得された情報などがそれぞれ格納されるが、情報等が記憶される過程はこれに限られない。例えば、記録媒体を介して情報等が記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された情報等が記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報等が記憶されるようになってもよい。
【0043】
材料情報格納部111には、材料情報が格納されている。材料情報は、材料の特定に用いる情報から対応する材料を特定するために用いられる情報である。
【0044】
本実施の形態において、材料情報は、例えば、樹脂材料と金属材料とのそれぞれについて、材料を識別する識別子と、当該材料の特定に用いる情報との対応関係を示す情報である。すなわち、材料情報格納部111には、例えば、材料を識別する識別子に対応付けて、当該材料の特定に用いる情報が格納されていると言ってもよい。材料の特定に用いる情報としては、例えば、材料の表面の反射率や、材料の表面自由エネルギーや、これら以外の情報を用いることができる。2種以上の特定に用いる情報が、一の材料の特定に用いられるようにしてもよい。
【0045】
なお、本実施の形態において、樹脂材料(第一材料)や金属材料(第二材料)について、同一の材料として取り扱う範囲(材料を区別する細かさ)は、大きくてもよいし、詳細であってもよい。例えば、金属材料について、鉄であるかアルミニウムであるかというような比較的大きな範囲での区別がなされてもよいし、鉄について構造用鋼であるか炭素鋼であるかというような細かさでの区別がなされてもよいし、より具体的に、S45CであるかS50Cであるかというようなより詳細な細かさでの区別がなされていてもよい。材料を区別する細かさにかかわらず、区別される材料毎に識別子が割り当てられていればよい。
【0046】
図2は、同接合条件出力装置100において材料情報格納部111に格納される材料情報の一例を示す図である。
【0047】
図に示される例においては、樹脂材料と金属材料とのそれぞれについて、材料を識別する識別子が、当該材料の特定に用いる情報に対応付けて記録されている。なお、図は材料情報の構成例を示すものであるため、特定に用いる情報が伏せ字で示されている。材料の識別子としては、例えば、材料名やその略語、材質記号等が用いられうる。特定に用いる情報としては、例えば、材料の表面の反射率及び材料の表面自由エネルギーが用いられるが、これに限られるものではない。いずれか一方のみが特定に用いる情報とされていてもよいし、さらに他の情報が特定に用いる情報とされていてもよい。このような材料情報は、各材料とその物性に関する値を示す材料データベースであると言ってもよい。このような材料情報を用いることにより、ある材料について、特定に用いる情報の測定結果等の情報から、対応する材料を特定する特定情報を取得することができる。
【0048】
図1に戻って、条件情報格納部115には、条件情報が格納されている。条件情報は、樹脂材料と金属材料との組み合わせから対応する接合条件を特定するために用いられる情報である。
【0049】
本実施の形態において、条件情報は、例えば、樹脂材料と金属材料との複数の組み合わせと複数の接合条件との対応関係を示す情報である。すなわち、条件情報格納部115には、例えば、樹脂材料と金属材料との複数の組み合わせにそれぞれ対応付けられた、複数の接合条件が格納されていると言ってもよい。樹脂材料と金属材料との組み合わせを識別する情報としては、例えば、樹脂材料を識別する識別子(以下、第一識別子ということがある)と金属材料を識別する識別子(以下、第二識別子ということがある)との組合せを用いることができるが、これに限られない。
【0050】
本実施の形態において、接合条件とは、異材接合に用いるレーザの出力に関する条件である。例えば、レーザ出力の大きさであるが、これに限られない。例えば、レーザの出力に関する条件には、レーザのビーム径、焦点距離、スポットの大きさ、送り速度、出力時間、パルス周波数、パルス幅、対象面に対する角度など、様々な要素が含まれうる。
【0051】
なお、接合条件は、接合時に第一材料と第二材料との少なくとも一方に施す、表面改質処理に関する条件であってもよい。表面改質処理とは、例えば、コーティング剤の塗布等による被膜の形成や、例えばhttps://www.fuji.co.jp/about/plasma/(閲覧日:2022年3月1日)に記載されているような公知の大気圧プラズマによる表面改質処理をいうが、これらに限られない。表面改質処理に関する接合条件には、例えば、対象面に適用する液剤等の量や成分に関する条件や、プラズマガス等に晒す時間等に関する条件などが含まれうる。
【0052】
図3は、同接合条件出力装置100において材料情報格納部111に格納される条件情報の一例を示す図である。
【0053】
図に示される例においては、第一識別子と第二識別子との組み合わせに対応付けて、対応する接合条件が記録されている。なお、図は条件情報の構成例を示すものであるため、接合条件に関する情報が伏せ字で示されている。第一識別子や第二識別子としては、例えば、材料名やその略語、材質記号等が用いられうる。接合条件として、例えば、レーザの出力に関する変数の値が記録されている。なお、第一識別子や第二識別子として、材質のカテゴリや種類に該当するものが用いられてもよいし、より詳細な組成等を特定可能な情報などが用いられてもよい。このような条件情報を用いることにより、第一識別子外台に識別子との組み合わせから、当該組み合わせに対応する接合条件を取得することができる。
【0054】
なお、本実施の形態において、材料情報格納部111や条件情報格納部115には、予め取得された学習情報が格納されていてもよい。換言すると、材料情報として、学習情報が格納されていてもよい。
【0055】
材料情報として用いられる学習情報は、例えば、入力する情報を材料の特定に用いる情報とし、出力する情報を材料を識別する識別子とするようにして作成されたものである。また、条件情報として、学習情報が用いられていてもよい。条件情報として用いられる学習情報は、入力する情報を第一識別子及び第二識別子とし、出力する情報を接合条件(例えば、レーザの出力に関する変数の値など)とするようにして作成されたものである。換言すると、第一材料及び第二材料の特定情報を入力情報とし接合条件を出力情報とするように構成された学習情報が条件情報として用いられる。
【0056】
このような学習情報は、いわゆる機械学習の手法を利用して生成される。学習情報は、接合条件出力装置100の処理部140により生成されて材料情報格納部111や条件情報格納部115に記憶されたものであるが、これに限られない。すなわち、接合条件出力装置100とは異なる装置において生成された学習情報が材料情報格納部111や条件情報格納部115に格納されていてもよい。
【0057】
図1に戻って、受信部120は、他の装置から送信された情報を受信する。受信部120は、受信した情報を、例えば、格納部110に保存する。受信部120は、通常、無線又は有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されてもよい。
【0058】
受付部130は、接合条件出力装置100に接続された図示しない入力手段を用いて入力された情報を受け付ける。受付部130は、例えば、接合条件出力装置100の管理者等の操作を受け付ける。受付部130は、受け付けた情報を、例えば、格納部110に保存する。なお、入力手段は、テンキーやキーボードやマウスやメニュー画面によるものなど、何でもよい。受付部130は、接合条件出力装置100に接続された読み取り装置(例えば、コードリーダなど)を用いて行われた入力操作(例えば、装置により読み取られた情報も含む)により入力された情報を受け付けてもよい。受付部130は、テンキーやキーボード等の入力手段のデバイスドライバーや、メニュー画面の制御ソフトウェア等で実現されうる。なお、受付部130は、例えば、マイクにより入力された音声などの情報を受け付けるようにしてもよい。
【0059】
なお、受付部130は、受信部120が受信した情報を、接合条件出力装置100に入力された情報として受け付けると言ってもよい。すなわち、接合条件出力装置100への情報の入力とは、これらの情報が他の装置等を介して間接的に接合条件出力装置100に入力されることを意味すると解釈してもよいし、ユーザによって、入力手段を用いて直接的に接合条件出力装置100に入力されることを意味すると解釈してもよい。また、ユーザが、情報を自動的に生成するプログラムを実行させたり種々の情報をプログラムに与えて機能させたりすることなどによって接合条件出力装置100に情報が与えられるようにすることを、接合条件出力装置100への情報の入力と捉えてもよい。
【0060】
処理部140は、通常、MPUやメモリ等から実現されうる。処理部140の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現してもよい。処理部140は、各種の処理を行う。各種の処理とは、例えば、以下のように処理部140の各部が行う処理である。
【0061】
処理部140は、第一取得部141、第二取得部142、第三取得部143、出力部161を備える。
【0062】
第一取得部141は、第一材料の特定に用いる情報と第二材料の特定に用いる情報とを取得する。本実施の形態において、第一取得部141は、測定部190の測定結果を、第一材料の特定に用いる情報及び第二材料の特定に用いる情報の少なくとも一方として取得する。
【0063】
なお、第一取得部141は、受付部130により受け付けられた、ユーザから入力された情報や、外部装置等から送信された情報を、第一材料又は第二材料の特定に用いる情報として取得するように構成されていてもよい。この場合、第一材料又は第二材料の特定に用いる情報は、測定部190を用いて測定された測定結果と同等の情報であってもよいし、材料の特定情報そのものであってもよい。なお、この場合には、接合条件出力装置100において測定部190が設けられていなくてもよい。
【0064】
第二取得部142は、第一取得部141により取得された情報に基づいて、第一材料と第二材料とのそれぞれを特定する特定情報を取得する。本実施の形態において、第二取得部142は、材料情報格納部111に格納された材料情報を用いて、特定情報を取得する。より具体的には、例えば、第二取得部142は、材料情報格納部111に格納された材料情報のうち、第一取得部141により取得された第一材料の特定に用いる情報を検索し、検索した情報に対応する材料を識別する識別子等を、第一材料の特定情報として取得する。同様に、第二取得部142は、材料情報格納部111に格納された材料情報のうち、第二取得部142により取得された第二材料の特定に用いる情報を検索し、検索した情報に対応する材料を識別する識別子等を、第二材料の特定情報として取得する。
【0065】
なお、第二取得部142は、第一取得部141により取得された情報と、上述のような学習情報である材料情報とを用いて、第一材料と第二材料とのそれぞれを特定する特定情報を取得するように構成されていてもよい。材料情報として学習情報が用いられる場合には、次のようにして特定情報が取得されるようにすればよい。すなわち、第二取得部142は、学習情報に、第一取得部141により取得された第一材料の特定に用いる情報又は第二の特定に用いる情報を入力情報として適用することにより得られる出力情報を、当該材料の特定情報として取得するようにすればよい。
【0066】
また、第二取得部142は、第一取得部141によって第一材料又は第二材料の特定に用いる情報として当該材料の特定情報そのものが取得された場合には、当該情報を特定情報として取得するようにすればよい。この場合、材料情報は用いられなくてもよい。第一取得部141によって、第一材料と第二材料とのそれぞれの特定情報が取得される場合には、接合条件出力装置100において材料情報格納部111が設けられていなくてもよい。
【0067】
第三取得部143は、第二取得部142により特定された特定情報を用いて1以上の接合条件を取得する。本実施の形態において、第三取得部143は、条件情報格納部115に格納された条件情報を用いて、第一材料と第二材料との異材接合についての接合条件を取得する。より具体的には、例えば、第三取得部143は、第一材料と第二材料とのそれぞれを特定する特定情報で条件情報格納部115に格納された条件情報を検索し、検索した情報に対応する接合条件を、第一材料と第二材料との異材接合についての接合条件として取得する。
【0068】
なお、第三取得部143は、第二取得部142により特定された特定情報と、上述のような学習情報である条件情報とを用いて、接合条件を取得するように構成されていてもよい。条件情報として上述のような学習情報が用いられる場合には、次のようにして接合条件が取得されるようにすればよい。すなわち、第三取得部143は、学習情報に、第一材料と第二材料とのそれぞれを特定する特定情報を入力情報として適用することにより得られる出力情報を、接合条件として取得するようにすればよい。
【0069】
出力部161は、取得した接合条件を出力する。出力部161は、例えば、送信部170等を用いて、後述のように、接合条件出力装置100を用いて構成される異材接合システム1の他の装置に対して、接合条件を出力することができるように構成されている。なお、出力部161は、例えば、送信部170等を用いて、ネットワーク等を介してその他の装置に情報を送信することにより情報を出力するように構成されていてもよい。また、出力部161は、例えば接合条件出力装置100に設けられたディスプレイやスピーカー等の出力デバイスに情報を表示等することなどにより情報を出力するように構成されていてもよい。
【0070】
送信部170は、情報を、接合条件出力装置100を用いて構成される異材接合システム1を構成する他の装置にネットワークを介して送信する。送信部170は、通常、無線又は有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されてもよい。
【0071】
測定部190は、第一材料及び第二材料の少なくとも一方に関する物理量の測定を行う。本実施の形態において、測定部190は、第一材料についての測定結果を第一材料の特定に用いる情報して取得する。また、測定部190は、第二材料についての測定結果を第二材料の特定に用いる情報として取得する。測定部190は、例えば、物理センサを用いて、センシング対象に関する物理量を測定して取得可能に構成されている。測定部190は、接合条件出力装置100に内蔵されているような構成要素であってもよいし、例えば外付け機器など、ハードウェアとしては接合条件出力装置100とは異なる構成要素であってもよい。
【0072】
本実施の形態においては、測定部190には、光学センサが含まれる。測定部190は、第一材料や第二材料の表面の、光の反射率を測定可能に構成されている。
【0073】
また、本実施の形態においては、測定部190には、表面自由エネルギーの測定装置が含まれる。測定部190は、第一材料や第二材料の、表面自由エネルギーを測定可能に構成されている。表面自由エネルギーは、例えば、液滴の接触角の計測値に基づいて、OWRK法により算出されうる。
【0074】
なお、表面自由エネルギーの測定装置としては、例えば、材料に対して滴下した所定の試薬の接触角を測定する測定装置を用いることができる。係る測定装置として、公知のものを用いることができ、一例として、https://www.kruss-scientific.com/en/products-services/products(閲覧日:2022年3月1日)等に記載の、液滴形状分析装置(Drop Shape Analyzer)を用いることができる。
【0075】
なお、測定部190として、振動センサが含まれていてもよい。振動センサが測定部190に含まれる場合には、測定部190は、第一材料や第二材料を加振することにより、第一材料や第二材料の固有振動数を測定し可能に構成されていてもよい。
【0076】
次に、接合条件出力装置100の動作について説明する。接合条件出力装置100は、例えば以下のようにして種々の動作を行う。これらの動作は、処理部140が、各部を用いながら制御動作等を実行することにより行われる。
【0077】
図4は、同接合条件出力装置100の動作の一例を示すフローチャートである。
【0078】
(ステップS1)処理部140は、例えば測定部190により、第一材料の反射率を測定する。なお、測定部190により第一材料の表面自由エネルギーが測定されるようにしてもよい。
【0079】
(ステップS2)処理部140は、反射率と、材料情報格納部111に格納されている材料情報とを用いて、第一材料の特定情報を取得する。
【0080】
(ステップS3)処理部140は、例えば測定部190により、第二材料の反射率を測定する。なお、測定部190により第二材料の表面自由エネルギーが測定されるようにしてもよい。
【0081】
(ステップS4)処理部140は、反射率と材料情報とを用いて、第二材料の特定情報を取得する。
【0082】
(ステップS5)処理部140は、条件情報格納部115に格納されている条件情報と、第一材料及び第二材料の特定情報とを用いて、接合条件を取得する。
【0083】
(ステップS6)処理部140は、取得した接合条件を出力する。この処理が終了すると、一連の処理が終了する。
【0084】
この処理は、例えば、ユーザや外部装置から、異材接合の対象となる第一材料と第二材料との組合せについての接合条件の出力が要求された場合に実行されるように構成されている。なお、各処理の順番はこれに限られず、適宜変更が可能である。
【0085】
次に、本実施の形態に係る接合条件出力装置100を用いた異材接合システム1の構成例について説明する。
【0086】
図5は、同接合条件出力装置100を用いた異材接合システム1の構成例の概要を示す図である。
【0087】
図に示されるように、本実施の形態において、異材接合システム1は、接合条件出力装置100、表面改質装置630、接合装置670等を備える。異材接合システム1は、各装置を用いて、自動的に複数のワークについて順次異材接合を行うことができるように構成されている。なお、図に示される装置の他に、例えば、ワークを所定の加工場所に配置するワーク搬入装置や、加工場所からワークを搬出するワーク搬出装置が用いられていてもよい。
【0088】
接合条件出力装置100は、例えば、多関節ロボットアームの先端部に、測定機器191を備えたロボットアームを有する測定部190を備えた装置である。測定部190は、測定機器191を適宜変位させながら、ワーク毎に、所定の箇所の第一材料の表面と第二材料の表面とについて、反射率等の、材料の特定に用いる情報を測定することができるように構成されている。なお、測定機器191としては、水やジオードメタンの溶液等の試薬を滴下させる滴下部191aや、測定用の光を照射する照射部191bや、対象箇所を画像として撮影する撮影部191b等を有するものとすることができるが、これに限られない。
【0089】
表面改質装置630は、例えば、多関節ロボットアームの先端部に大気圧プラズマによる表面改質処理を行うための機器を備えたロボット装置である。表面改質装置630は、ワーク毎に、所定の箇所の第一材料の表面の改質処理を行うように構成されている。
【0090】
接合装置670は、例えば、多関節ロボットアームの先端部に加熱用のレーザ出力機器を備えた装置 である。接合装置670は、ワーク毎に、所定の箇所の第二材料の表面をレーザで加熱することにより、第二材料に重ねられた第一材料を加熱し、第二材料と第一材料とを接合するように構成されている。
【0091】
本実施の形態において、測定部190により得られた測定結果が、接合条件出力装置100に送信される。接合条件出力装置100により接合条件が出力されると、例えば接合装置670がそれを受信する。接合装置670は、受信した接合条件に基づいてレーザ出力機器を動作させることにより、ワークについて異材接合を行うことができる。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態においては、接合条件出力装置100が第一材料と第二材料との特定情報に基づいて接合条件を出力するので、異材接合を行うための接合条件を容易に決定することができる。接合条件出力装置100を用いて異材接合システム1を構成することにより、第一材料と第二材料との組み合わせの違いによる、接合装置670等における各種パラメータの変更などの作業をなくすことができる。異材接合システム1の利用時における必須の作業を、ティーチング等の作業に絞ることが可能となるため、必要な人的リソースの量を削減することができる。
【0093】
第一材料や第二材料の特定情報は、測定部190を用いた測定結果を用いて接合条件出力装置100により取得される。したがって、接合条件をより容易に決定することができる。より具体的には、本実施の形態においては、測定部190により測定された材料の表面の反射率を用いて材料の特定情報が取得されるので、材料を高い精度で特定することができる。
【0094】
なお、本実施の形態において、接合条件出力装置100は、表面改質処理に関して、測定部190により材料の表面自由エネルギー(または、ぬれ性といってもよい)を計測することにより、第一材料と第二材料とが接合可能な状態になっているか否かを判断するようにしてもよい。例えば、接合条件出力装置100は、第一材料又は第二材料の表面自由エネルギーが所定の状態(例えば、所定値であること、所定の値範囲にあることなど)であるか否かを判断して、所定の状態である場合に、接合可能な状態になっていると判断するようにしてもよい。なお、このことは、第一材料又は第二材料の表面自由エネルギーが所定の状態であることという接合条件が設定されていると捉えてもよく、また、接合条件出力装置100において、処理部140が当該接合条件が満たされるか否かを判断可能に構成されていると捉えてもよい。
【0095】
この場合、例えば、第一材料及び第二材料の特定情報の取得及び接合条件の取得とともに、複数回の、表面自由エネルギーの測定が行われるようにすればよい。このような場合であって、異材接合システム1において樹脂である第一材料についての表面改質処理を行う場合の接合条件出力装置100の動作の一例は、例えば以下のようにすればよい。以下の処理において、接合条件出力装置100の動作と異材接合システム1の他の装置の動作とは、適宜動機を取って行われるようにすればよい。
【0096】
図6は、同接合条件出力装置100の動作の一変形例を示すフローチャートである。
【0097】
(ステップS101)処理部140は、例えば測定部190により、第一材料の反射率を測定する。また、処理部140は、測定部190により第一材料の表面自由エネルギーを測定する。この表面自由エネルギーの値は、改質前のものである。
【0098】
(ステップS102)処理部140は、反射率と、材料情報格納部111に格納されている材料情報とを用いて、第一材料の特定情報を取得する。
【0099】
(ステップS103)その後、例えば表面改質装置630によって、第一材料の接合部分に対して、表面改質処理が行われる。処理部140は、表面改質処理が終了するまで待機し、表面改質処理が終了すると、次の処理に進む。
【0100】
(ステップS104)処理部140は、測定部190により第一材料の表面自由エネルギーを測定する。この表面自由エネルギーの値は、直前の表面改質処理が終了した後の状態におけるものである。
【0101】
(ステップS105)処理部140は、ステップS104で測定された表面自由エネルギーの値に基づいて、表面改質処理が完了したか否かを判断する。例えば、処理部140は、格納部110に格納されている、所定の表面自由エネルギーの閾値と、ステップS104で測定された表面自由エネルギーの値とを比較し、比較結果が、表面改質処理が完了したことに対応する所定の状態であるか否かを判断する。表面改質処理が完了したと判断した場合はステップS107に進み、そうでない場合はステップS106に進む。
【0102】
なお、表面自由エネルギーの閾値は、第一材料の種類等によらず一定値であってもよいし、第一材料の特定情報に対応付けて格納部110に格納されているものであってもよい。本実施の形態においては、例えば、表面自由エネルギーを約50mN/mから60mN/mの間の値になるよう、表面改質処理を行うように構成されている。
【0103】
(ステップS106)処理部140は、未完了信号を出力する。未完了信号は、例えば、第一材料の表面改質処理が、異材接合可に適した状態になるほどには完了していないことを示す信号であるといえる。処理部140は、未完了信号を、表面改質装置630に出力してもよいし、異材接合システム1の制御を行う装置(例えば、接合条件出力装置100自身であってもよい)に出力してもよい。表面改質装置630や、他の装置は、例えば、未完了信号に応じた動作を行うように構成されている。なお、未完了信号は、接合条件出力装置100に設けられたディスプレイに表示される信号であってもよい。未完了信号は、ユーザが使用する装置に送信されるようにして、ユーザに対して通知が行われるようにしてもよい。
【0104】
未完了信号が出力される場合は、異材接合システム1において、異材接合の実行は行われないようにすることが好ましい。本実施の形態においては、例えば、未完了信号に応じた動作として、表面改質装置630が、再度表面改質処理を行うように構成されている。ステップS106の処理が終了すると、例えば、ステップS103の処理に戻る。なお、未完了信号が出力される場合は、異材接合システム1において、適切に表面改質処理が行われた場合とは異なる接合条件の下で異材接合が行われるようにしてもよい。
【0105】
ステップS107からステップS110の処理は、
図4のステップS3からステップS6の処理と同様に行われるため、説明を省略する。
【0106】
なお、以上の処理において、各処理の順番はこれに限られず、適宜変更が可能である。例えば、表面改質処理が終了したか否かの確認(ステップS103からステップS106)は、第二材料の特定情報が取得されてから行われるようにしてもよい。その場合、表面改質処理が完了したか否かの判断は、第一材料と第二材料との特定情報に応じて取得される閾値に基づいておこなわれるようにしてもよい。
【0107】
このように、表面改質処理が行われる一の材料について、表面改質処理の前後を含む複数回の表面自由エネルギーの測定を行うようにすることにより、適切に表面改質処理が行われたか否かを確認した上で、適切に異材接合を行うようにすることができる。したがって、容易に、高品質な異材接合を行うことが可能となる。
【0108】
なお、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現してもよい。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布してもよい。また、このソフトウェアを光ディスクなどの記録媒体に記録して流布してもよい。なお、本実施の形態における、接合条件出力装置を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、樹脂である第一材料と金属である第二材料とを重ね合わせて接合する場合の接合条件を出力するための接合条件出力装置のコンピュータで実行されるプログラムであって、接合条件出力装置のコンピュータを、第一材料の特定に用いる情報と前記第二材料の特定に用いる情報とを取得する第一取得部と、前記第一取得部により取得された情報に基づいて、前記第一材料と前記第二材料とのそれぞれを特定する特定情報を取得する第二取得部と、前記第二取得部により特定された特定情報を用いて1以上の接合条件を取得する第三取得部と、取得した前記接合条件を出力する出力部と、として機能させるための、プログラムである。
【0109】
(その他)
【0110】
上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0111】
上記実施の形態において、一の装置に存在する2以上の構成要素は、物理的に一の媒体で実現されてもよい。
【0112】
また、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい(この場合、分散処理を行う複数の装置により構成されるシステム全体を1つの「装置」として把握することが可能である)。
【0113】
また、上記実施の形態において、各構成要素間で行われる情報の受け渡しは、例えば、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に異なるものである場合には、一方の構成要素による情報の出力と、他方の構成要素による情報の受け付けとによって行われてもよく、又は、その情報の受け渡しを行う2個の構成要素が物理的に同じものである場合には、一方の構成要素に対応する処理のフェーズから、他方の構成要素に対応する処理のフェーズに移ることによって行われてもよい。
【0114】
また、上記実施の形態において、各構成要素が実行する処理に関係する情報、例えば、各構成要素が受け付けたり、取得したり、選択したり、生成したり、送信したり、受信したりした情報や、各構成要素が処理で用いる閾値や数式、アドレス等の情報等は、上記説明で明記していなくても、図示しない記録媒体において、一時的に、又は長期にわたって保持されていてもよい。また、その図示しない記録媒体への情報の蓄積を、各構成要素、又は、図示しない蓄積部が行ってもよい。また、その図示しない記録媒体からの情報の読み出しを、各構成要素、又は、図示しない読み出し部が行ってもよい。
【0115】
また、上記実施の形態において、各構成要素等で用いられる情報、例えば、各構成要素が処理で用いる閾値やアドレス、各種の設定値等の情報がユーザによって変更されてもよい場合には、上記説明で明記していなくても、ユーザが適宜、それらの情報を変更できるようにしてもよく、又は、そうでなくてもよい。それらの情報をユーザが変更可能な場合には、その変更は、例えば、ユーザからの変更指示を受け付ける図示しない受付部と、その変更指示に応じて情報を変更する図示しない変更部とによって実現されてもよい。その図示しない受付部による変更指示の受け付けは、例えば、入力デバイスからの受け付けでもよく、通信回線を介して送信された情報の受信でもよく、所定の記録媒体から読み出された情報の受け付けでもよい。
【0116】
また、上記実施の形態において、各構成要素は専用のハードウェアにより構成されてもよく、又は、ソフトウェアにより実現可能な構成要素については、プログラムを実行することによって実現されてもよい。例えば、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェア・プログラムをCPU等のプログラム実行部が読み出して実行することによって、各構成要素が実現されうる。その実行時に、プログラム実行部は、記憶部や記録媒体にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。また、そのプログラムは、サーバなどからダウンロードされることによって実行されてもよく、所定の記録媒体(例えば、光ディスクや磁気ディスク、半導体メモリなど)に記録されたプログラムが読み出されることによって実行されてもよい。また、このプログラムは、プログラムプロダクトを構成するプログラムとして用いられてもよい。また、そのプログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、又は分散処理を行ってもよい。
【0117】
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものである。
【0118】
上述の実施の形態の構成のうち、一部の構成が設けられていなくてもよい。
【0119】
また、接合条件出力装置100を用いた異材接合システム1において、第二取得部142により取得された第一材料や第二材料の特定情報や出力部161により出力された接合条件を格納部110に蓄積し、異材接合を行った製品の品質管理用の情報として用いるようにしてもよい。この場合、異材接合の対象となる各ワークを識別する識別子等に対応付けて、特定情報や接合条件を蓄積するようにすればよい。
【0120】
また、加工対象となる各ワークについて、接合条件出力装置100が、ユーザ等から、第一材料や第二材料の特定情報を入力情報として受け付けるようにしてもよい。この場合に、当該入力情報と第二取得部142により取得された第一材料や第二材料の特定情報との照合結果に基づいて、種々の処理が行われるようにしてもよい。これにより、ユーザの意図無しに第一材料や第二材料のスペック等(例えば、添加成分や離型剤の変化等)が異なっていることなどを検知することができ、その変化への対応策を採ることが可能となる。
【0121】
以上のように、本発明にかかる接合条件出力装置は、異材接合を行うための接合条件を容易に決定することができるという効果を有し、接合条件出力装置等として有用である。
【符号の説明】
【0122】
1 異材接合システム
100 接合条件出力装置
110 格納部
111 材料情報格納部
115 条件情報格納部
120 受信部
130 受付部
140 処理部
141 第一取得部
142 第二取得部
143 第三取得部
161 出力部
170 送信部
190 測定部
610 ワーク搬入装置
630 表面改質装置
650 ワーク搬送装置
670 接合装置
690 ワーク搬出装置