(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033195
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】配管継手用保温装置
(51)【国際特許分類】
F16L 59/18 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
F16L59/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136636
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003340
【氏名又は名称】弁理士法人湧泉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 翔
【テーマコード(参考)】
3H036
【Fターム(参考)】
3H036AA04
3H036AB18
3H036AB25
3H036AC02
3H036AE13
(57)【要約】
【課題】保温部材の切り落とし作業をすることなく、径の異なる複数種の配管に対応できる配管継手用保温装置を提供する。
【解決手段】
配管継手用保温装置は、一対の分割半体10を有する保温部材1を備えている。一対の分割半体10は互いに接合した閉じ状態で、継手50を収容する継手収納空間13Tと、配管を収容する複数の管収容空間14Tとを協働して形成する。管収容空間14Tは、継手収納空間13T側から外端に向かって段階的に内径が拡大する複数の管収容部15T,17Tを有している。配管60(又は70)は、流体を通し継手50に接続される流通管61(または71)と、この流通管の外周を覆う被覆管62(又は72)とを有している。複数の管収容部15T,17Tのうちの選択された1つの管収容部に、配管の被覆管の端部が、その外周に当該管収容部の内周が接した状態で収容される。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の配管を接続する継手のための保温装置において、
一対の分割半体を有する保温部材を備え、前記一対の分割半体は互いに接合した閉じ状態で、前記継手を収容する継手収納空間と前記配管を収容する複数の管収容空間とを協働して形成し、前記管収容空間は、前記継手収納空間側から外端に向かって段階的に内径が拡大する複数の管収容部を有しており、
前記配管は、流体を通し継手に接続される流通管とこの流通管の外周を覆う被覆管とを有し、前記複数の管収容部のうちの選択された1つの管収容部に、前記配管の被覆管の端部が、その外周に当該管収容部の内周が接した状態で収容されることを特徴とする配管継手用保温装置。
【請求項2】
前記管収容部の内周に突起が形成され、前記突起が前記被覆管の端部外周を係止することを特徴とする請求項1に記載の配管継手用保温装置。
【請求項3】
前記突起が周方向に延びるリブであることを特徴とする請求項2に記載の配管継手用保温装置。
【請求項4】
前記被覆管がコルゲート管形状をなし、前記被覆管の谷部に前記リブが入り込むことを特徴とする請求項3に記載の配管継手用保温装置。
【請求項5】
前記継手収容空間の内面に係合凸部が形成され、前記継手には前記係合凸部と係合する係合凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配管継手用保温装置。
【請求項6】
前記閉じ状態の一対の分割半体の外周に巻かれて前記一対の分割半体を締め付ける締付条体をさらに備え、前記一対の分割半体の外周には、前記締付条体を受け入れる受入凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配管継手用保温装置。
【請求項7】
前記受入凹部は、前記管収容空間の前記複数の管収容部に対応する位置にそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項6に記載の配管継手用保温装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水給湯等に用いられる配管を接続する継手のための保温装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給水給湯用の配管は、湯水を通す流通管と、この流通管を覆う被覆管の二重管断熱構造をなしており、湯温の低下や凍結を防止している。この配管を必要に応じて継手で連結する場合、継手からの熱の放散を抑制するために、継手を保温部材で覆っている。この保温部材は、継手に接続される配管端部をも覆い、継手と被覆管の端との間の隙間等からの熱の放散をも抑制している。
【0003】
特許文献1に示す配管継手用の保温部材は一対の分割半体を備えており、これら一対の分割半体は閉じられた状態で、継手収容空間と複数の管収容空間を形成するようになっている。
ところで、配管は設置される地域に応じて、すなわち要求される保温性能に応じて複数種用いられ、その外径が異なる。そのため、特許文献1の保温部材を用いる場合には、配管の種類(外径)に対応した内径の管収容空間を有する保温部材を複数種用意しなければならず、コストが嵩む。
【0004】
特許文献2には、複数種の配管に対応できる配管継手用の保温部材が開示されている。この保温部材は、一対の分割半体により形成される管収容空間の内径を、継手収容空間側から外端に向かって段階的に減じている。特許文献1の
図1に示す例では、管収容空間は、径の異なる3つの管収容部を有している。大径の管収容部が最も奥に配置され小径の管収容部が最も外側に配置されている。
【0005】
特許文献2の保温部材において、小径の配管を接続する場合には、外側の小径の管収容部に、当該管収容部の内周と配管の外周が接するようにして配管を収容する。中間径の配管を用いる場合には、一対の分割半体において外側の小径の管収容部に対応する部位を切り落とし、上記と同様にして中間径の管収容部に配管を収容する。大径の配管を用いる場合には、一対の分割半体において小径の管収容部と中間径の管収容部に対応する部位を切り落とし、上記と同様にして奥側の大径の管収容部に配管を収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11-118091号公報
【特許文献2】特開2004-124955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2の保温部材では、1種の保温部材で径の異なる複数種の配管に対応できるが、分割半体の不要部を切り落とす手間がかかる。また、切り落とした不要部が廃棄物となってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は上述の課題を解決するためになされたものであり、複数の配管を接続する継手のための保温装置において、一対の分割半体を有する保温部材を備え、前記一対の分割半体は互いに接合した閉じ状態で、前記継手を収容する継手収納空間と前記配管を収容する複数の管収容空間とを協働して形成し、前記管収容空間は、前記継手収納空間側から外端に向かって段階的に内径が拡大する複数の管収容部を有しており、前記配管は、流体を通し継手に接続される流通管とこの流通管の外周を覆う被覆管とを有し、前記複数の管収容部のうちの選択された1つの管収容部に、前記配管の被覆管の端部が、その外周に当該管収容部の内周が接した状態で収容されることを特徴とする。
【0009】
上記の構成によれば、1種の保温部材で径の異なる複数種の配管に対応できる。しかも、複数の管収容部の内径は外端に向かって段階的に拡大するため、保温部材を切り落とすことなく配管の径に対応する管収容部に、配管の被覆管の端部を収容することができる。
【0010】
好ましくは、前記管収容部の内周に突起が形成され、前記突起が前記被覆管の端部外周を係止する。この構成によれば、被覆管の軸方向移動を抑制できる。
さらに好ましくは、前記突起が周方向に延びるリブである。この構成によれば、被覆管の軸方向移動を抑制する係止効果を高めることができる。前記被覆管がコルゲート管形状をなしている場合には、前記被覆管の谷部に前記リブが入り込むので、より一層係止効果を発揮できる。
【0011】
好ましくは、前記継手収容空間の内面に係合凸部が形成され、前記継手には前記係合凸部と係合する係合凹部が形成されている。この構成によれば、保温部材に継手を安定して保持することができる。
【0012】
好ましくは、前記閉じ状態の一対の分割半体の外周に巻かれて前記一対の分割半体を締め付ける締付条体をさらに備え、前記一対の分割半体の外周には、前記締付条体を受け入れる受入凹部が形成されている。この構成によれば、一対の分割半体の閉じ状態を安定して維持することができる。
さらに好ましくは、前記受入凹部は、前記管収容空間の前記複数の管収容部に対応する位置にそれぞれ形成されている。この構成によれば、被覆管端部の保持箇所に対応した位置で締付条体を締め付けるので、配管を安定して保持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の配管継手用保温装置によれば、保温部材の切り落とし作業をすることなく、径の異なる複数種の配管に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本発明の第1実施形態に係る配管継手用保温装置において、一対の分割半体が開いた状態を示す平面図である。
【
図1B】一対の分割半体が閉じた状態を示す平面図である。
【
図2A】一対の分割半体の一方に、継手とこの継手に接続された2本の配管をセットした状態を示す平面図である。
【
図2B】
図2Aのセット状態から他方の分割半体を一方の分割半体へと回して閉じた状態を示す平面図である。
【
図3A】
図2Aの配管より大きな径の配管を継手に接続して、一方の分割半体にセットした状態を示す平面図である。
【
図3B】
図3Aのセット状態から他方の分割半体を一方の分割半体へと回して閉じた状態を示す平面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る配管継手用保温装置の開き状態を示す平面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る配管継手用保温装置の開き状態を示す平面図である。
【
図6】本発明の第4実施形態に係る配管継手用保温装置の開き状態を示す平面図である。
【
図7】本発明の第5実施形態に係る配管継手用保温装置の開き状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の第1実施形態を
図1~
図3を参照しながら説明する。
<配管継手用保温装置の構成>
図1A、
図1Bに示すように、配管継手用保温装置は、主たる構成要素として発泡ポリエチレン、架橋発泡ポリエチレン等の発泡樹脂からなる保温部材1を備えている。保温部材1は、一対の分割半体10と、これら分割半体10を開閉可能に連結する樹脂ヒンジ20(ヒンジ)と、を有している。
図1Aは一対の分割半体10が開いた状態、
図1Bは閉じた状態を示す。樹脂ヒンジ20は薄肉であり分割半体10と同一材料により一体に成形されており、一対の分割半体10の周方向の一方の側縁に連なっている。
【0016】
一対の分割半体10は略同一の形状を有している。本実施形態では、各分割半体10は直線的に延びる半円筒形状をなし、閉じ状態で互いに接する平坦な合わせ面11と略半円筒面形状をなす周面12とを有している。合わせ面11には軸方向に延び全長にわたって断面半円形をなす凹溝10aが形成されている。凹溝10aは軸方向中央部に継手収容空間形成領域13を有し、両側部に管収容空間形成領域14を有している。
【0017】
継手収容空間形成領域13の中央内周には、半円弧形状をなして周方向に延びる係合凸部13aが形成されている。両側の管収容空間形成領域14の各々は、継手収容空間形成領域13側から軸方向外端に向かって段階的に内径が拡大している。これにより本実施形態では、管収容空間形成領域14は奥側の小径の管収容部形成領域15と外側の大径の管収容部形成領域17とを有している。小径の管収容部形成領域15には、半円弧形状をなして周方向に延びる複数のリブ15aが軸方向に等間隔をおいて形成されている。同様に大径の管収容部形成領域17にも、半円弧形状をなして周方向に延びる複数のリブ17aが軸方向に等間隔をおいて形成されている。
【0018】
各分割半体10の外周には、後述の締付バンド40(締付条体)を受け入れるための受入凹部18が形成されている。詳述すると、継手収容空間形成領域13の中央部に対応する軸方向位置において、樹脂ヒンジ20を横切るとともに一対の分割半体10の周方向一側縁を切り欠くようにして受入凹部18が形成されるとともに、一対の分割半体10の周方向他側縁を切り欠くようにして受入凹部18が形成されている。同様にして、管収容部形成領域15、17に対応する軸方向位置にも、受入凹部18が形成されている。
【0019】
いずれか一方の分割半体10の合わせ面11には、接着層30が設けられており、この接着層30は離型紙で覆われている。
【0020】
図1Bに示すように、一対の分割半体10は合わせ面11を接合させるようにして閉じることができる。この閉じ状態で、一対の分割半体10の継手収容空間形成領域13が協働して継手収容空間13Tを形成し、一対の管収容空間形成領域14が協働して管収容空間14Tを形成する。管収容空間14Tは、一対の管収容部形成領域15が協働することにより形成された奥側の小径の管収容部15Tと、一対の管収容部形成領域17が協働することにより形成された外側の大径の管収容部17Tを有する。また、一対の分割半体10の半円弧形状の係合凸部13aが協働して円環形状の係合凸部13aを形成し、半円弧形状のリブ15aが協働して円環形状のリブ15aを形成し、半円弧形状のリブ17aが協働して円環形状のリブ17aを形成する。
【0021】
<継手の構成>
図2Aに示すように、上述した保温部材1により被覆される継手50は、両側に短筒形状の接続部51を有し、中央に円環状の係合凹部52を有している。
【0022】
<配管の構成>
上述した保温部材1は、外径が異なる2種類の配管に兼用されるものである。
図2Aに示す配管60は、流体例えば湯水を通す流通管61と、この流通管61を覆うコルゲート管形状の被覆管62とを有していて二重管断熱構造をなしている。
図3Aに示す配管70は、流通管71と、この流通管71を覆う円筒状の被覆管72とを有している。本実施形態では、配管60、70の流通管51、52の外径は等しいが、被覆管62、72の外径は異なっており、被覆管72の方が大きい。
【0023】
<配管継手用保温装置の作用>
最初に、
図2A,
図2Bに示すように小径の配管60を接続する場合について説明する。
図2Aに示すように、2本の配管60の被覆管62の端部を軸方向にずらして後退させることにより流通管61の端部を露出させ、この流通管61の端部を継手50の両側の接続部51に挿入固定する。被覆管62の端部は、接続部51の端面に当てられる。
【0024】
2本の配管60を接続した継手50を、保温部材1の一方の分割半体10例えば
図2Aにおける上側の分割半体10の凹溝10aにセットする。このセット状態で、継手50は分割半体10の継手収容空間形成領域13に収容され、係合凹部52の半周分が係合凸部13aに係合される。また、被覆管62の端部の半周分が、分割半体10の管収容空間形成領域14の小径の管収容部形成領域15に収容される。この収容状態で、被覆管62のコルゲート管形状の谷部に半円環形状のリブ15aが入り込む。
【0025】
次に、接着層30の離型紙を剥がし、下側の分割半体10を上側の分割半体10に向けて180°回し、一対の分割半体10を閉じ状態にする。一対の分割半体10の合わせ面11が接着層30により接着される。これにより、継手50が継手収容空間13T(
図1B参照)に収容され、配管60の被覆管62の端部が管収容空間14Tの奥側の小径の管収容部15T(
図1B参照)に収容される。
【0026】
上記のようにして保温部材1は継手50および2本の配管60の端部を被覆し、保温機能を発揮することができる。一対の分割半体10により形成される管収容空間14Tの管収容部15Tの内径は被覆管62の外径と等しいか僅かに小さいので、管収容部15Tの内周面が被覆管62の外周面に密着する。これにより、継手50と被覆管62の端部との間からの熱の放散を確実に防ぐことができる。
【0027】
管収容部15Tの複数の環状のリブ15aが被覆管62の複数の谷部に入り込むので、被覆管62の軸方向移動が禁じられ、被覆管62を確実に保持することができる。また、継手50の環状の係合凹部52が継手収容空間13Tの環状の係合凸部13aと係合することにより、継手50の収容状態を安定して維持することができる。外側の大径の管収容部17Tの内周と配管60の被覆管62との間には、環状の間隙が形成されている。
【0028】
最後に、
図2Bに示すように締付バンド40(締付条体)を、継手収容空間13T、管収容部15Tに対応する箇所に巻いて締め付けることにより、一対の分割半体10の閉じ状態を維持するとともに、継手50、配管60の被覆管62の端部をしっかりと保持することができる。締付バンド40は、一対の分割半体10に形成された受入凹部18に入り込むことにより、軸方向にずれることなく、確実に締付状態を維持することができる。
【0029】
次に、
図3A,
図3Bに示すように大径の配管70を接続する場合について説明する。
図3Aに示すように、2本の配管70の被覆管72の端部を軸方向にずらして後退させることにより流通管71の端部を露出させ、継手50の両側の接続部51に挿入固定する。なお、被覆管72の端部は、後述するように継手50から離れた管収容部17Tに収容されるため、被覆管72の端部を軸方向にずらす量が大きい。そこで、被覆管72の端部を軸方向にずらして後退させる代わりに、または後退させるとともに、必要に応じて切断してもよい。
【0030】
2本の配管70を接続した継手50を一方の分割半体10の凹溝10aにセットする。このセット状態で、継手50は分割半体10の継手収容空間形成領域13に収容され、係合凹部52の半周分が係合凸部13aに係合される。また、被覆管72の端部の半周分が、分割半体10の管収容空間形成領域14の大径の管収容部形成領域17に収容される。
【0031】
次に、小径の配管60の場合と同様に、一対の分割半体10を閉じ状態にする。これにより、継手50が一対の分割半体10の継手収容空間13T(
図1B参照)に収容され、配管70の被覆管72の端部が管収容空間14Tの大径の管収容部17T(
図1B参照)に収容される。継手50と被覆管72の端部との間で流通管71が露出している。この露出した流通管71と小径の管収容部15Tの内周との間には間隙が形成される。
【0032】
一対の分割半体10により形成される管収容部17Tの内径が被覆管72の外径と等しいか若干小さいので、管収容部17Tの内周面が被覆管72の外周面に密着する。これにより、継手50と被覆管72の端部との間からの熱の放散を防ぐことができる。また、環状のリブ17aが被覆管72の外周に食い込んで係止するので、被覆管72の軸方向移動を禁じ、被覆管72を確実に保持することができる。
【0033】
最後に、
図3Bに示すように締付バンド40を、継手収容空間13Tと管収容部17Tに対応する箇所に巻いて締め付けることにより、一対の分割半体10の閉じ状態を維持するとともに、継手50と被覆管72の端部をしっかりと保持することができる。他の作用効果は、配管60の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0034】
上述したように、管収容部15T,17Tのいずれか一方が選択されて対応する配管の被覆管端部を収容する場合に、他方の管収容部が支障とならないため、分割半体10の切断作業は不要である。
【0035】
<他の実施形態>
以下、本発明の他の実施形態について図を参照しながら説明する。これら実施形態において、先行する実施形態に対応する構成部には同番号または類似番号を付してその詳細な説明を省略する。
図4に示す第2実施形態では、分割半体10における径の異なる管収容部形成領域15,17の境界の段差面形状が第1実施形態と異なる。すなわち、第1実施形態では。管収容部形成領域15,17の境界の段差面が軸線と直交しているのに対して、第2実施形態では段差面100がテーパをなしている。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0036】
図5に示す第3実施形態では、分割半体10の管収容空間形成領域14の内径が外端に向かって3段階をなして拡大しており、3つの管収容部形成領域15,16,17を有している。これら管収容部形成領域15,16,17の内周にはそれぞれ半円環状をなして周方向に延びるリブ15a,16a,17aが形成されている。この実施形態では、異なる外径を有する3種の配管に対応できる。すなわち、小径の配管を用いる場合には、一対の小径の管収容部形成領域15により形成された奥側の小径の管収容部内に、配管の被覆管端部が収容される。中間径の配管を用いる場合には、一対の中間径の管収容部形成領域16により形成された中間径の管収容部内に、配管の被覆管端部が収容される。大径の配管を用いる場合には、一対の大径の管収容部形成領域17により形成された外側の大径の管収容部内に、配管の被覆管端部が収容される。環状のリブ15a,16a,17aの作用は第1実施形態と同様であり、被覆管がコルゲート管形状である場合にはその谷部に入りこみ、被覆管が円筒形状の場合にはその外周面に食い込む。
【0037】
図6に示す第4実施形態の保温部材1Aは、L字形の継手(図示しない)に第1実施形態と同様の配管60,70(
図2A,
図3A参照)を直角に接続する場合に用いられる。一対の分割半体10AはL字形をなし、合わせ面に形成される凹溝もL字形をなしている。この凹溝の角部に継手収容空間形成領域13Aが形成され、両端部に管収容空間形成領域14が形成されている。管収容空間形成領域14の構成は第1実施形態と同様である。
【0038】
図7に示す第5実施形態の保温部材1Bは、T字形の継手(図示しない)に3本の配管を接続する場合に用いられる。一対の分割半体10BはT字形をなし、合わせ面に形成される凹溝もT字形をなしている。この凹溝の中央部に継手収容空間形成領域13Bが形成され、3つの端部に管収容空間形成領域14が形成されている。管収容空間形成領域14の構成は第1実施形態と同様である。
【0039】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨に反しない限りにおいて種々の改変をなすことができる。
一対の分割半体は、樹脂ヒンジに連ねる代わりに別部材からなるヒンジにより連結してもよいし、ヒンジにより連結しなくてもよい。
上述の実施形態では、複数種の配管の流通管の径が等しく被覆管の径が異なるが、被覆管の径のみならず流通管の径も異なっていてもよい。
管収容部の内周に形成される突起は、周方向の延びるリブの代わりに散点状に配置された多数の突起でもよいし、シボ形状でもよい。受入凹部は周方向に延びるように形成してもよい。
配管は他の流体例えば冷媒を流通させるものでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、湯水等を流通させる配管の継手のための保温装置に適用できる。
【符号の説明】
【0041】
1、1A、1B 保温部材
10、10A、10B 分割半体
13T 継手収容空間
14T 管収容空間
15T 管収容部
17T 管収容部
13a 係合凸部
15a,16a,17a リブ(突起)
18 受入凹部
40 締付バンド(締付条体)
50 継手
52 係合凹部
60、70 配管
61,71 流通管
62,72 被覆管