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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033204
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】磁力調整機構及び非接続型充電装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20240306BHJP
   H01F 7/02 20060101ALI20240306BHJP
   H04M 1/12 20060101ALI20240306BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20240306BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240306BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20240306BHJP
【FI】
G06F1/16 313A
H01F7/02 S
H04M1/12 Z
H01F38/14
H02J50/10
H02J50/90
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136651
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】391021226
【氏名又は名称】株式会社カーメイト
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】桜井 龍裕
【テーマコード(参考)】
5K023
【Fターム(参考)】
5K023AA07
5K023BB11
5K023KK03
5K023MM25
5K023PP05
5K023PP12
(57)【要約】
【課題】保持状態では強い磁力を発生させ、かつ引き剥がし時にはホルダ、あるいはチャック側での操作を不要とした上で、磁力を弱める事を可能とする磁力調整機構を提供する。
【解決手段】永久磁石22と回転体24を備えた移動体パネル20と、移動体パネル20が厚み方向に移動することをガイドする移動体ベース30と、被保持物に対する吸着支持面42aと、吸着支持面42aを構成する板の厚み方向に沿った傾斜面46とを備え、移動体ベース30に対して吸着支持面42aを回動させることを可能とする移動体ケース40とを有し、移動体パネル20は、移動体ベース30と移動体ケース40との間に配置され、移動体ケース40が回動することで、吸着支持面42aと永久磁石22との距離が変化することを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に永久磁石が配置された板体であって、前記板体の板面に沿った方向に転接可能な回転体を備えた移動体パネルと、
前記移動体パネルが厚み方向に移動することをガイドすると共に、厚み方向以外の方向へ移動することを規制する移動体ベースと、
被保持物に対する吸着支持面と、前記吸着支持面を構成する板の厚み方向に沿った傾斜面とを備え、前記移動体ベースに対して前記吸着支持面を当該吸着支持面の板面に沿った方向へ移動させることを可能とする移動体ケースとを有し、
前記移動体パネルは、前記移動体ベースと前記移動体ケースとの間に配置され、前記移動体ケースが移動することで、前記回転体が前記傾斜面に沿って転がり、前記吸着支持面と前記永久磁石との距離が変化することを特徴とする磁力調整機構。
【請求項2】
前記移動体ケースの移動は、回転運動であり、
前記傾斜面は、前記回転運動の回転中心を基点とした円周上に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の磁力調整機構。
【請求項3】
前記移動体パネルと前記移動体ベースとの間には、前記移動体パネルを前記移動体ケース側へ付勢させる付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の磁力調整機構。
【請求項4】
前記移動体パネルと前記移動体ケースとの間には、前記移動体ケースの回転運動を妨げる方向の力を生じさせるダンパーが設けられていることを特徴とする請求項3に記載の磁力調整機構。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の磁力調整機構を有し、前記移動体パネルと前記移動体ケースとの間に、非接続充電用のコイルを備えたことを特徴とする非接続型充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁力による吸着装置に係り、特に、吸着物の着脱を頻繁に行うポータブル端末のホルダなどへの適用に好適な磁力調整機構、並びにこの磁力調整機構を有する非接続型充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高機能型携帯電話(いわゆるスマートフォン)や、タブレット型端末などのポータブル端末の急速な普及に伴い、各端末には様々な機能が付加されると共に、後付けのアクセサリーなども充実してきている。こうしたポータブル端末は、自撮り、固定、仮置きなど、様々な目的でホルダに支持される機会が増えてきている。従来のホルダは、複数の爪によりポータブル端末の外縁を挟み込むといった指示形態が主体とされていたが近年では、特許文献1に開示されているように、永久磁石の磁力により支持状態を保持、あるいはサポートするといったホルダが増えつつある。
【0003】
しかし、永久磁石による吸着保持は、磁力が弱い場合には、ズレや脱落が生じ易く、磁力が強い場合には、ホルダからの引き剥がしがスムーズに行かなくなるといった問題がある。
【0004】
永久磁石の磁力による金属部材の吸着保持と離脱を行う技術としては、特許文献2に開示されているようなマグネットチャックなどが知られている。特許文献2に開示されているマグネットチャックは、吸着面に開口を有するシリンダと、このシリンダを摺動するピストンを備え、ピストンの先端に永久磁石を配置することで、ピストンの動作に合わせて永久磁石吸着面に近接、あるいは離間させるといった事が行われる。このような構成のマグネットチャックによれば、永久磁石が吸着面に近接した場合には強い磁力(吸着力)を得る事ができ、離間した場合には、吸着面に生じる磁力が弱くなり、吸着物の引き剥がしを行う事ができる。
【0005】
しかし、このような構成のマグネットチャックでは、磁石が付帯されたピストンを作動させるための構成(特許文献1ではエアの供給手段)が必要となり、構造が複雑かつホルダ(マグネットチャック)側での操作が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2017-537360号公報
【特許文献2】実開昭51-102174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明では、保持状態では強い磁力を発生させ、かつ引き剥がし時にはホルダ、あるいはチャック側での操作を不要とした上で、磁力を弱める事を可能とする磁力調整機構、及びこの磁力調整機構を有する非接続型充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための磁力調整機構は、一方の面に永久磁石が配置された板体であって、前記板体の板面に沿った方向に転接可能な回転体を備えた移動体パネルと、前記移動体パネルが厚み方向に移動することをガイドすると共に、厚み方向以外の方向へ移動することを規制する移動体ベースと、被保持物に対する吸着支持面と、前記吸着支持面を構成する板の厚み方向に沿った傾斜面とを備え、前記移動体ベースに対して前記吸着支持面を当該吸着支持面の板面に沿った方向へ移動させることを可能とする移動体ケースとを有し、前記移動体パネルは、前記移動体ベースと前記移動体ケースとの間に配置され、前記移動体ケースが移動することで、前記回転体が前記傾斜面に沿って転がり、前記吸着支持面と前記永久磁石との距離が変化することを特徴とする。
【0009】
また、上記のような特徴を有する磁力調整機構における前記移動体ケースの移動は、回転運動であり、前記傾斜面は、前記回転運動の回転中心を基点とした円周上に設けられているようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、移動体ケースと移動体ベースの位置関係がズレる事が無い。また、直線的な動作では無くなるため、振動などにより誤作動する恐れも少なくなる。
【0010】
また、上記のような特徴を有する磁力調整機構において前記移動体パネルと前記移動体ベースとの間には、前記移動体パネルを前記移動体ケース側へ付勢させる付勢手段が設けられているようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、被保持物を引き剥がした後に、移動体ケースが自動で、吸着支持面の磁力が強くなる位置に復帰することとなる。
【0011】
また、上記のような特徴を有する磁力調整機構において前記移動体パネルと前記移動体ケースとの間には、前記移動体ケースの回転運動を妨げる方向の力を生じさせるダンパーを設けるようにすると良い。このような特徴を有する事によれば、被保持物を引き剥がしてから、移動体ケースが吸着支持面の磁力が強くなる位置に復帰するまでに要する時間を遅くすることができる。これにより、引き剥がした被保持物が再び吸着支持面に吸着されてしまう事を防ぐことができる。
【0012】
さらに、上記目的を達成するための本発明に係る非接続型充電装置は、上記いずれかの磁力調整機構を有し、前記移動体パネルと前記移動体ケースとの間に、非接続充電用のコイルを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記のような特徴を有する磁力調整機構、及び非接続型充電装置によれば、保持状態では強い磁力を発生させ、かつ引き剥がし時には装置側での操作を不要とした上で、磁力を弱める事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る非接続型充電装置の外観構成を示す側面図である。
図2】実施形態に係る非接続型充電装置の外観構成を示す平面図である。
図3】実施形態に係る非接続型充電装置の分解斜視図である。
図4図2におけるA-A断面を示す図である。
図5】回転体を備えた移動体パネルと傾斜面との関係を説明するための概念図である。
図6】実施形態に係る非接続型充電装置の動作を説明するための分解斜視図である。
図7】実施形態に係る非接続型充電装置の動作を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の磁力調整機構、及び非接続型充電装置に係る実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す形態は、本発明を実施する上での好適な形態の一部であり、その効果を奏する限りにおいて、構成の一部を変更したとしても、本発明の一部とみなすことができる。
【0016】
[構成]
まず、図1から図5を参照して、本実施形態に係る磁力調整機構を有する非接続型充電装置の構成について説明する。なお、図面において、図1は、実施形態に係る非接続型充電装置の外観構成を示す側面図であり、図2は、同平面図である。また、図3は、実施形態に係る非接続型充電装置の分解斜視図である。また、図4は、図2におけるA-A断面を示す図である。さらに、図5は、回転体を備えた移動体パネルと傾斜面との関係を説明するための概念図である。
【0017】
本実施形態に係る非接続型充電装置10は、非接続型充電機能、及び磁力により支持状態を保持あるいはサポートする機能(磁力吸着機能)を備えた高機能型携帯電話(いわゆるスマートフォン)や、タブレット型端末などのポータブル端末100を被保持物とした充電装置である。なお、磁力吸着機能については、いわゆるアクセサリー等のアフターパーツを利用した後付けの機能であっても良い。
【0018】
本実施形態に係る非接続型充電装置10は、移動体パネル20と、移動体ベース30、移動体ケース40を基本として構成される磁力調整機構を有し、これにコイル28や基板34が付帯されることで構成される。移動体パネル20は、詳細を後述する移動体ベース30と移動体ケース40との間で、両者の配置方向(厚み方向)に移動する板体である。本実施形態に係る移動体パネル20は図3に斜視図を示すように、板面の平面視形態をほぼ円形としており、板面の中心に貫通孔20a、板面の外縁に切欠き20bをそれぞれ備えている。貫通孔20aは、詳細を後述する移動体ケース40に設けられる回転軸48を挿通させるためのものであり、切欠き20bは、ダンパー26を配置するためのものである。
【0019】
本実施形態に係る移動体パネル20には、永久磁石22と、回転体24、ダンパー26、コイル28、及び鉄板28aが備えられている。永久磁石22は、移動体ケース40に設けられる吸着支持面42aに作用する要素であり、本実施形態では、円環状に形成し、移動体パネル20の一方の面における外縁に沿って配置する形態としている。ここで、永久磁石22の形態を円環状とすることは、ポータブル端末100における磁力吸着部の形態に起因するものである。このため、非接続型充電装置10以外に磁力調整機構を適用する場合には、永久磁石22の形態を円環状とする必要は無い。
【0020】
回転体24は、移動体ケース40を構成する傾斜面46に沿って移動体パネル20を移動させるための要素である。移動体パネル20の外縁には、回転中心となる貫通孔20aを基点として放射状に、少なくとも3本の回転軸20cが延設されている。回転体24は、この回転軸20cを基点として回動可能に配置されている。回転体24の具体的な構成は問うものでは無いが、例えばベアリングや、樹脂製のスリーブなど、傾斜面46に対して転接可能な構成であれば良い。なお、複数の回転軸20cは、移動体パネル20の周方向に対して、その配置間隔が均等となるように設けられると良い。移動体パネル20を支持する際のバランスが保ちやすく、移動体パネル20を平行に移動させる事が可能となるからである。
【0021】
ダンパー26は、移動体パネル20の移動(本実施形態では回転方向の移動)を妨げる方向の力を生じさせる要素である。本実施形態に係る移動体パネル20は、詳細を後述する移動体ベース30により厚み方向以外への移動を規制されている。このため、詳細を後述する移動体ケース40を回動させる事により回転体24が傾斜面46に転接すると、移動体パネル20は、吸着支持面42aを構成する移動体ケース40の板面に対して離間、あるいは近接するように移動することとなる。
【0022】
実施形態に係る移動体パネル20は、詳細を後述する付勢手段38の作用により、移動体ベース30を基点として移動体ケース40側に押しつけられる力が加えられている。このため、移動体ケース40の回動により移動体パネル20が移動体ケース40の底板42から離間して磁力が弱まったとしても、被保持物であるポータブル端末100を移動体ケース40から引き剥がした瞬間、付勢手段38の作用により移動体パネル20が押し戻され、強い磁力が復活してしまう場合がある。このように、ポータブル端末100を引き剥がした瞬間に強い磁力が復活すると、引き剥がしたはずのポータブル端末100が再び移動体ケース40に引き付けられ、吸着されてしまう場合がある。
【0023】
実施形態に係るダンパー26は、移動体ケース40に設けたラックギア50と噛み合うことでその機能を発揮するロータリーダンパーであり、移動体ケース40が元の状態に戻る速度、すなわち移動体パネル20が移動体ケース40に近接する速度を緩やかなものとすることができる。これにより、ポータブル端末100の引き剥がしから、磁力の回復までに適度な時間をおくことができ、ポータブル端末100の引き剥がし操作を容易化することができるようになる。
【0024】
コイル28は、ポータブル端末100における非接続型充電機能を発揮するための要素である。このため、コイル28は、ポータブル端末100における対象機器に電磁誘導を生じさせることが可能な構成とすると良い。図3から図5に示す形態では、コイル28を構成する導線が平面的な渦巻状に配置されるように形成している。コイル28は、詳細を後述する基板34に接続され、ポータブル端末100の充電に必要な電力が供給されることとなる。
【0025】
鉄板28aは、永久磁石22やコイル28によって生じる磁力線を遮蔽するための要素であり、本実施形態では、コイル28と移動体パネル20との間に配置されている。このような構成とすることで、移動体ベース30に配置される基板34や、移動体ベース30側に配置される図示しない外部要素へ磁力線が作用し、悪影響を与えるといった恐れがなくなる。
【0026】
移動体ベース30は、実施形態に係る非接続型充電装置10において、ポータブル端末100を支持する基礎となると共に、上述した移動体パネル20を支持するための要素である。移動体ベース30は、板状(円盤状)の移動体ベース本体32の一方の面と他方の面それぞれに、凹状の収容部を形成するように側壁32aが設けられている。移動体ベース本体32の一方の面は、移動体パネル20との対向面とされており、他方の面に形成された収容部には、基板34が配置されると共に、収容部を閉塞する蓋体36が備えられる。
【0027】
なお、移動体ベース30の一方の面と移動体パネル20との間には上述したように、移動体パネル20を移動体ケース40側へ押し付ける作用を担う付勢手段38が設けられている。付勢手段38を設けるようにすることで、移動体パネル20を自動で初期位置(吸着支持面42aに近接する位置)に移動させることが可能となる。このため、ポータブル端末100を吸着支持面42aから引き剥がした際、移動体パネル20は、自動で初期位置に戻ることとなり、無操作の状態では、吸着支持面42aに強い磁力が働くこととなる。
【0028】
また、移動体ベース30に配置される基板34は上述したように、コイル28に対する電力の供給を主体とした機能を備えるものであれば良い。また、本実施形態に係る移動体ベース本体32の外縁には、移動体パネル20に設けられるダンパー26や、移動体ケース40に設けられるラックギア50との干渉を避けるための切欠き32bが設けられている。このような構成とすることで、各要素の干渉を避けるための厚みが不要となり、磁力調整機構全体の厚みを抑えることが可能となる。また、移動体ベース30には、図示しないガイドを設け、移動体パネル20が厚み方向以外の方向へ移動することを規制すると良い。移動体ケース40の移動動作に起因した移動体パネル20の移動を効率的に成すためである。
【0029】
移動体ケース40は、ポータブル端末100に接触する吸着支持面42aを有する要素である。移動体ケース40は、吸着支持面42aを構成する底板42と、底板42の外縁に沿って形成される側壁44とによりカップ状を成すように構成されている。底板42は、外部に配置される一方の面を吸着支持面42aとし、内部に配置される他方の面側に移動体パネル20が配置される。本実施形態に係る移動体ケース40は、底板42を円形に形成している。また、側壁44の内側には、移動体パネル20の回転体24が転接する傾斜面46が複数設けられている。また、底板42の他方の面における中心には、回転軸48が備えられている。
【0030】
本実施形態に係る移動体パネル20の移動動作は、回転軸48を基点とした回転であるため、傾斜面46も移動体ケース40の中心(回転軸48)を基点とした円の円周に沿う円弧状に形成されている。また、移動体ケース40の側壁44、あるいは傾斜面46の一部には上述したように、移動体パネル20に設けられたダンパー26であるピニオンギアに噛み合うラックギア50が設けられている。なお、移動体ケース40に設けられるラックギア50は、移動体パネル20が厚み方向に移動した場合であっても、ピニオンギア(ダンパー26)との噛み合いが外れないように、移動体パネル20の移動距離に対応した幅(厚み)を有するように構成されている。
【0031】
また、実施形態に係る非接続型充電装置10では、移動体ベース30や移動体パネル20、及び移動体ケース40の平面視形態を円形とし、移動体ケース40の移動動作を回転軸48を基点とした回転としている。このため、移動体ケース40を動作させたとしても、移動体ケース40と移動体ベース30との位置関係がズレる事が無い。また、移動動作を回転動作とすることで、直線的な動作と異なり、振動などによる誤動作を生じさせる恐れが少ない。
【0032】
[作用]
上記のような非接続型充電装置10は、次のような作用を担うこととなる。まず、ポータブル端末100の固定(吸着保持)と、充電について説明する。ポータブル端末100の吸着固定、及び充電を行うためには、給電状態で移動体ベース30が固定されている非接続型充電装置10にポータブル端末100の背面(磁力吸着機能を有する面)を近接させる。ポータブル端末100を吸着支持面42aに近接させると、ポータブル端末100は、移動体パネル20に設けられた永久磁石22の作用を受けて吸着支持面42aに吸着固定される。磁力吸着機能によりポータブル端末100が移動体ケース40に吸着固定されると、基板34を介して電力が供給されているコイル28の作用により、非接続充電(非接触充電)が開始される。
【0033】
次に、非接続型充電装置10からポータブル端末100を引き剥がす動作について説明する。非接続型充電装置10からポータブル端末100を引き剥がす際には、移動体ケース40の回転軸48が基点となるように、ポータブル端末100を回動させる。移動体ケース40の吸着支持面42aとポータブル端末100の背面との間には、摩擦力が生じている。このため、ポータブル端末100を回動させる事により、移動体ケース40も連れ回りすることとなる。ここで、移動体ベース30は固定されているため、移動体ベース30と移動体ケース40との間には、相対的な捩じれが生じることとなる。この動作により、移動体ベース30に対して移動体ケース40が角度θだけ捻じれると、移動体パネル20に設けられた回転体24は、移動体ケース40に設けられた傾斜面46を登るように転がることとなる。
【0034】
回転体24が傾斜面46を登ると、移動体パネル20は、吸着支持面42aを構成する底板42から離間するように移動する(図6図7では、移動体パネル20の移動距離をdとしている)。吸着支持面42aに磁力を生じさせている永久磁石22は移動体パネル20に備えられている。このため、移動体パネル20が吸着支持面42a(底板42)から離間する事により、吸着支持面42aに作用していた磁力線が低減され、吸着支持面42aの磁力が低下する。これにより、吸着支持面42aからのポータブル端末100の引き剥がしが容易となる。
【0035】
吸着支持面42aからポータブル端末100を引き剥がすと、回動状態で固定(維持)されていた移動体ケース40を保持する力が無くなることとなる。移動体パネル20は付勢手段38の作用により、移動体ケース40側に押し付けられている。移動体パネル20が移動体ケース40側に押し出される力を受けると移動体パネル20に設けられた回転体24は、傾斜面46の傾斜に沿って、傾斜面46を下る方向に転がることとなる。これにより、移動体ケース40は、移動体ベース30との間に生じていた捻じれを戻すように回動することとなる。移動体ケース40の回動により、移動体パネル20が移動体ケース40の底板42に近接する事により、吸着支持面42aに生ずる磁力が強くなる。ここで、移動体パネル20と移動体ケース40との間にはダンパー26とラックギア50が存在する。このため、移動体ケース40が元の位置に回帰する際の回転速度が抑えられ、ポータブル端末100の引き剥がしから、吸着支持面42aに生じる磁力の回復までに要する時間が長くなる。
【0036】
[効果]
上記のような構成の磁力調整機構を備えた非接続型充電装置10によれば、ポータブル端末100を保持した状態では、吸着支持面42aに強い磁力を発生させることができる。一方、ポータブル端末100を引き剥がす際には、非接続型充電装置10側での操作を不要とした上で、吸着支持面42aに生じる磁力を弱めることができる。これにより、ポータブル端末100の保持状態を安定させることができると共に、引き剥がしもスムーズに行うことが可能となる。
【0037】
[応用例]
上記実施形態では、吸着支持面42aとポータブル端末100との間には摩擦力が生じるため、ポータブル端末100を回動させる事により、移動体ケース40も連れ回りする旨記載した。しかしながら、吸着支持面42aには、シリコンゴムなど、透磁性を有する摩擦材を配置し、ポータブル端末100との間に生じる摩擦力を高めるようにしても良い。このような構成とすることで、ポータブル端末100を回動させた際に生じる移動体ケース40の追従性を向上させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
上記実施形態では、磁力調整機構を非接続型充電装置10に適用するために、移動体ケース40の移動動作を回動とし、移動体ベース30等との間での位置ズレや、振動などに対する耐性を高めるようにしている。しかしながら、本発明に係る磁力調整機構では、移動体ベース30に対する移動体ケース40の移動動作を直線的なものとしても良い。このような構成とした場合であっても、移動体ケース40の移動に伴い、移動体パネル20が吸着支持面42aから離間するように動作すれば、磁力調整機構としての効果を発揮することができるからである。
【符号の説明】
【0039】
10………非接続型充電装置、20………移動体パネル、20a………貫通孔、20b………切欠き、20c………回転軸、22………永久磁石、24………回転体、26………ダンパー、28………コイル、28a………鉄板、30………移動体ベース、32………移動体ベース本体、32a………側壁、32b………切欠き、34………基板、36………蓋体、38………付勢手段、40………移動体ケース、42………底板、42a………吸着支持面、44………側壁、46………傾斜面、48………回転軸、50………ラックギア、100………ポータブル端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7