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特開2024-33224管制装置、状態管理方法、および状態管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033224
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】管制装置、状態管理方法、および状態管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240306BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G08G1/16 A
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136694
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 聖也
(72)【発明者】
【氏名】池田 貴広
(72)【発明者】
【氏名】松本 貴士
(72)【発明者】
【氏名】新 吉高
(72)【発明者】
【氏名】布施 康宏
(72)【発明者】
【氏名】近藤 明宏
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA07
5H181BB05
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC14
5H181CC30
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181FF35
5H181LL01
5H181LL08
5H181LL09
5H181MB02
(57)【要約】
【課題】自動運転車両が認識している状態や作業の状態について、双方での認識のずれを管制センタで検出し、管理者へ通知したり緊急停止などの事故リスクを低減する命令を実行することができる管制装置、状態管理方法、および状態管理プログラムを提供する。
【解決手段】車両情報受信部が受信した情報に基づき自動運転車両の状態を管理する車両情報管理部と、業務状態受信部の情報に基づき作業状況を管理する作業管理部と、車両状態および作業状況から次の車両状態および作業状況を推定し、推定結果と推定から所定時間経過後の車両情報管理部または作業管理部の情報(遷移後の状態)を照合し、一致するか否かを判定する状態判定部とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転車両を管理し、前記自動運転車両が当該自動運転車両の走行状態および動作状態を判断して送信する状態情報を受信する車両情報受信部と、
前記自動運転車両に関係する業務の状態を通知する操作端末もしくは環境認識センサからの情報を受信する業務状態受信部とを有する自動運転車両の管制装置であって、
前記車両情報受信部が受信した情報に基づき前記自動運転車両の車両状態を管理する車両情報管理部と、
前記業務状態受信部の情報に基づき作業状況を管理する作業管理部と、
前記車両状態および前記作業状況から次の前記車両状態および前記作業状況を推定し、推定結果と前記推定から所定時間経過後の前記車両情報管理部または前記作業管理部の情報を照合し、一致するか否かを判定する状態判定部とを備えることを特徴とする管制装置。
【請求項2】
請求項1に記載の管制装置であって、
前記状態判定部の判定結果を表示部に表示させ、
前記状態判定部での照合結果が一致しない場合に警告を行うことを特徴とする管制装置。
【請求項3】
請求項1に記載の管制装置であって、
前記状態判定部は照合結果が一致しない場合、前記自動運転車両に停止命令を出力することを特徴とする管制装置。
【請求項4】
請求項1に記載の管制装置であって、
前記走行状態は、前記自動運転車両が走行または停車状態にあるかを示し、
前記動作状態は、前記自動運転車両が待機、積荷運搬、または空荷走行状態にあるかを示すことを特徴とする管制装置。
【請求項5】
自動運転車両が当該自動運転車両の走行状態および動作状態を判断して送信する状態情報を受信し、受信した情報に基づき前記自動運転車両の車両状態を管理する車両情報管理ステップと、
前記自動運転車両に関係する業務の状態を通知する操作端末もしくは環境認識センサからの情報を受信し、受信した情報に基づき作業状況を管理する作業管理ステップと、
前記車両状態および前記作業状況から次の前記車両状態および前記作業状況を推定し、推定結果と前記推定から所定時間経過後の前記車両情報管理ステップまたは前記作業管理ステップの情報を照合し、一致するか否かを判定する状態判定ステップと、を含むことを特徴とする状態管理方法。
【請求項6】
自動運転車両を管理し、前記自動運転車両が当該自動運転車両の走行状態および動作状態を判断して送信する状態情報を受信する車両情報受信手順と、
前記自動運転車両に関係する業務の状態を通知する操作端末もしくは環境認識センサからの情報を受信する業務状態受信手順と、をコンピューターに実行させるための状態管理プログラムであって、
前記車両情報受信手順で受信した情報に基づき前記自動運転車両の車両状態を管理する車両情報管理手順と、
前記業務状態受信手順で受信した情報に基づき作業状況を管理する作業管理手順と、
前記車両状態および前記作業状況から次の前記車両状態および前記作業状況を推定し、推定結果と前記推定から所定時間経過後の前記車両情報管理手順または前記作業管理手順の情報を照合し、一致するか否かを判定する状態判定手順と、をコンピューターに実行させるための状態管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動運転車両を管理する自動運転向けの管制装置、状態管理方法、および状態管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
工場や港湾設備などの広い敷地内で様々な資材の運搬が必要な業務において、資材運搬の効率化・省人化を目的に自動運転車両を用いたシステムが存在する。資材運搬では、資材の積込・荷下作業が発生し、自動運転車両の近傍で人が作業を行う場合があり、安全性を担保するために、システムで人を適切に検出して衝突を回避する必要がある。そのために、カメラやLIDARなどを用いて、人を検出して衝突を回避するという技術が実用化されている。しかし、カメラやLIDARは状況によって人の検出に失敗する可能性があり、現場での安全性を担保するためには、積込・荷下といった現場での作業状態を適切に管理すると共に、自動運転車両の状態も管理し、人が作業をしている間は自動運転車両を作業場所に進入させないようにしたり、人が作業をしている間は自動運転車両を始動させないようにすることで、センシングによる人の検出に失敗したとしても、衝突事故が発生することを防ぐことができる。このように、システムとしての安全性を担保するために、自動運転車両の状態と現場での作業状態の適切な管理が重要となる。
【0003】
従来の有人車両に対する安全の維持では、特許文献1のように、車両からの通知を基に、管制センタで作業状態を管理する方法があった。また、作業状態の管理としては、特許文献2のように、積込作業中の積載量の状況から積込完了時間を推定するというような方法があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-147301号公報
【特許文献2】特開2018-106277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1、2に所載の従来技術では、業務の状態を人が設定する場合は、この設定が正しく実行されることを前提としており、実施忘れや操作の形骸化によって適切に実施されない場合に正しく状態を把握することができなくなってしまう。また、自動運転車両と管制センタとの通信途絶や通信遅延が発生した場合も状態の情報が適切に同期されなくなってしまう。結果として、誤った状態の認識により、人が作業をしているときに自動運転車両が動き出して事故を発生させるなどのリスクが発生する恐れがある。換言すると、工場や港湾設備などの限られた範囲で資材を運搬するための自動運転システムにおいて、安全確認のための状態設定の実施忘れや操作の形骸化によって適切に実施されないことで、誤った状態を認識し、適切な管理が実施できず、自動運転車両による事故リスクが増大する恐れがある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、自動運転車両が認識している状態や作業の状態について、双方での認識のずれを管制センタで検出し、管理者へ通知したり緊急停止などの事故リスクを低減する命令を実行することができる管制装置、状態管理方法、および状態管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る管制装置は、自動運転車両を管理し、前記自動運転車両が当該自動運転車両の走行状態および動作状態を判断して送信する状態情報を受信する車両情報受信部と、前記自動運転車両に関係する業務の状態を通知する操作端末もしくは環境認識センサからの情報を受信する業務状態受信部とを有する自動運転車両の管制装置であって、前記車両情報受信部が受信した情報に基づき前記自動運転車両の車両状態を管理する車両情報管理部と、前記業務状態受信部の情報に基づき作業状況を管理する作業管理部と、前記車両状態および前記作業状況から次の前記車両状態および前記作業状況を推定し、推定結果と前記推定から所定時間経過後の前記車両情報管理部または前記作業管理部の情報を照合し、一致するか否かを判定する状態判定部とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る状態管理方法は、自動運転車両が当該自動運転車両の走行状態および動作状態を判断して送信する状態情報を受信し、受信した情報に基づき前記自動運転車両の車両状態を管理する車両情報管理ステップと、前記自動運転車両に関係する業務の状態を通知する操作端末もしくは環境認識センサからの情報を受信し、受信した情報に基づき作業状況を管理する作業管理ステップと、前記車両状態および前記作業状況から次の前記車両状態および前記作業状況を推定し、推定結果と前記推定から所定時間経過後の前記車両情報管理ステップまたは前記作業管理ステップの情報を照合し、一致するか否かを判定する状態判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る状態管理プログラムは、自動運転車両を管理し、前記自動運転車両が当該自動運転車両の走行状態および動作状態を判断して送信する状態情報を受信する車両情報受信手順と、前記自動運転車両に関係する業務の状態を通知する操作端末もしくは環境認識センサからの情報を受信する業務状態受信手順と、をコンピューターに実行させるための状態管理プログラムであって、前記車両情報受信手順で受信した情報に基づき前記自動運転車両の車両状態を管理する車両情報管理手順と、前記業務状態受信手順で受信した情報に基づき作業状況を管理する作業管理手順と、前記車両状態および前記作業状況から次の前記車両状態および前記作業状況を推定し、推定結果と前記推定から所定時間経過後の前記車両情報管理手順または前記作業管理手順の情報を照合し、一致するか否かを判定する状態判定手順と、をコンピューターに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、自動運転車両と現場作業者の間での状態認識のずれの可能性を検出することで、状態認識のずれによって発生する衝突事故などのリスクを軽減することが可能となる。
【0011】
上記した以外の課題、構成および効果については、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態のシステム構成を説明するための説明図である。
図2】本発明の実施形態の管制センタの機能構成図である。
図3a】本発明の実施形態におけるモニタの管理者への警告画面(警告がない通常時)を説明するための図である。
図3b】本発明の実施形態におけるモニタの管理者への警告画面(警告出力時)を説明するための図である。
図4a】本発明の実施形態における、内部でのデータ管理テーブル(現場状態管理テーブル)の説明図である。
図4b】本発明の実施形態における、内部でのデータ管理テーブル(車両状態管理テーブル)の説明図である。
図4c】本発明の実施形態における、内部でのデータ管理テーブル(地図データテーブル)の説明図である。
図4d】本発明の実施形態における、内部でのデータ管理テーブル(状態遷移ルール)の説明図である。
図5a】本発明の実施形態における、状態管理(作業状態遷移)の考え方の説明図である。
図5b】本発明の実施形態における、状態管理(自動運転車両状態遷移)の考え方の説明図である。
図6】本発明の実施形態における、状態推定と通知の全体フローチャートである。
図7】本発明の実施形態における、自動運転車両に対する状態推定のフローチャートである。
図8】本発明の実施形態における、エリアに対する状態推定のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態を説明するための全図において同一の機能を有する物は同一の符号をつけ、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
図1は、本実施形態の管制センタ100を含む自動運転システムの構成を示す図である。本実施形態の自動運転システムは、工場内物流や港湾設備などの資材を運搬する場所での使用を想定しており、自動運転車両111、112や有人車両140、現場作業者130が混在した環境を想定し、自動運転車両が移動する範囲として道路160や駐車エリア150が設定されている場合を想定する。
【0015】
管制センタ100は、サイト内にいる自動運転車両111、112や有人車両140、現場作業者130と無線通信を行い、位置や状態を把握すると共に、自動運転車両111、112に対して運搬のための移動の指示を実施する。また、管制センタ100は、管理者120に対してI/Fを持ち、サイト内の自動運転車両や有人車両、現場作業者の状況や資材の運搬状況、駐車エリア150の状況などをモニタ121を介して管理者120に通知する。また、管制センタ100は、管理者120から自動運転車両111、112への資材の運搬指示や緊急時の緊急停止指示を受け付ける。管制センタ100は、サイト内に物理的にサーバーを設置したり、クラウド環境上に構築することを想定する。管制センタ100は、サイト内全体の安全を担保するために、自動運転車両111、112の状態だけでなく現場作業者130による駐車エリア150での作業の状態も監視し、現場作業者130が駐車エリア150内で作業をしている間は自動運転車両112に対して移動を開始しないように指示を出したり、自動運転車両111に対して、駐車エリア150に進入をしないように指示を出す。一方で、自動運転車両112が駐車エリア150内を移動している間は、現場作業者130が駐車エリア150内での作業を行えないように、現場作業者130からの作業開始の要求に対して拒否をするなどし、サイト全体の安全を担保する。
【0016】
自動運転車両111、112は、管制センタ100からの指示に従い、サイト内の指定された道路160、駐車エリア150を移動し、資材の運搬を実施する。自動運転車両111、112は、GNSSシステムなどの位置情報取得のための装置や管制センタ100と通信するための通信装置を持ち、自身の位置情報や車速を定期的に管制センタ100に送信する。また、自動運転車両111、112は、積荷の状態についても管理し、管制センタ100に送信する。積荷の状態を把握するための手段として、荷重センサ等を用いたセンシングによる検出方法や現場作業者130による管制センタ100への積込完了・荷下完了の報告により間接的に積荷の有無を把握する方法がある。サイト内の安全性を高めるために、管制センタ100からの指令により目的地への移動を行うだけでなく、緊急停止を行うこともできる。さらに、LIDARやカメラなどの装置を搭載して、自動運転車両周囲の衝突リスクを検出し、回避や減速などの制御動作を行っても良い。
【0017】
現場作業者130は、駐車エリア150内にて、自動運転車両111、112に接近し、資材の積込・荷下作業を行う。現場作業者130は、作業のために駐車エリア150に進入する前に管制センタ100に対して作業開始の許可をとり、作業完了時に管制センタ100に対して作業完了を通知する。管制センタ100とやりとりをするための方法として、タブレットやスマートフォンのような通信端末を利用したり、駐車エリア150の入り口に設置された端末を利用するなどが挙げられる。
【0018】
有人車両140は、サイト内を走行し、人を運搬したり自動運転車両111、112が対応していない資材の運搬を行ったりする。有人車両140も、自動運転車両111、112と同様、GNSSシステムなどの位置情報取得のための装置や管制センタ100と通信するための通信装置を持ち、自車の位置情報や車速を定期的に管制センタ100に送信する。
【0019】
次に、本実施形態の自動運転システムを実現する、管制センタ100の機能について説明する。図2に、管制センタ100のハードウェアおよびソフトウェア構成を示す。管制センタ100は、CPU201、通信I/F202、メモリ204、ストレージ205とこれらを接続するための内部バス203からなる。管制センタ100は、一般的なPCやサーバー、クラウドを想定する。なお、図2では、ストレージ205とプログラムを実行するためのCPU201を同一装置として記載しているが、ストレージ205はDBサーバーとするなど、複数の装置を用いて実現しても良い。
【0020】
CPU201上では、車両情報受信プログラム211と業務状態受信プログラム212、状態管理プログラム213が実行される。
【0021】
メモリ204上には、車両情報受信プログラム211と業務状態受信プログラム212、状態管理プログラム213が展開されている。
【0022】
ストレージ205上には、状態遷移ルール223、地図データ(以下、地図データテーブルと記載する場合がある)232、車両状態管理テーブル222、現場状態管理テーブル221、運搬計画231が保持される。
【0023】
車両情報受信プログラム211は、車両情報管理機能214を有し、自動運転車両111、112からの情報を受信すると、車両状態管理テーブル222の該当自動運転車両に関する状態を更新する。その際、地図データ232を用いて、現在の地図上での位置を確認すると共に、駐車エリア150にいる場合は現場状態管理テーブル221の該当箇所を更新する。すなわち、車両情報受信プログラム211は、自動運転車両が当該自動運転車両の走行状態(走行または停車状態)および動作状態(待機、積荷運搬、または空荷走行状態)を判断して送信する状態情報を受信する。車両情報管理機能214は、車両情報受信プログラム211が受信した情報に基づき車両状態管理テーブル222や現場状態管理テーブル221を更新することで自動運転車両の車両状態を管理する。
【0024】
業務状態受信プログラム212は、作業管理機能215を有し、現場作業者130から情報を受信すると、地図データ232を用いて現場作業者130がどの駐車エリア150にいるかを確認し、現場状態管理テーブル221の該当する駐車エリア150に関する情報を更新する。なお、該当する駐車エリアで自動運転車両が走行中であるような場合に作業を開始するような情報が現場作業者130から入力された場合は、衝突事故の危険があることから、現場作業者130に対して、作業開始の禁止を通知する。また、本実施形態では、現場作業者130から直接作業状態を入力する場合を想定するが、他にもカメラなどを駐車エリア150に設置し、カメラで検出した作業員の情報などを基に、業務状態を通知し、作業管理機能215で現場状態管理テーブル221を更新しても良い。すなわち、業務状態受信プログラム212は、自動運転車両に関係する業務の状態を通知する操作端末(タブレットやスマートフォンのような通信端末、駐車エリア150の入り口に設置された端末など)もしくは環境認識センサ(駐車エリア150に設置されたカメラなど)からの情報を受信する。作業管理機能215は、業務状態受信プログラム212の情報に基づき現場状態管理テーブル221を更新することで作業状況を管理する。
【0025】
状態管理プログラム213は、状態判定機能218と通知機能219を有し、定期的に状態遷移ルール223の内容に基づき車両状態管理テーブル222と現場状態管理テーブル221の情報を更新し、状態遷移が適切に行われているかを監視する。状態遷移の異常の可能性を検出した際は通知機能219を使って管理者120に警告を発する。この時、警告を発するだけでなく、自動運転車両111、112に対して緊急停止の指示を出しても良い。
【0026】
状態遷移ルール223は、予め管制センタ100に登録されたデータで自動運転車両の状態や現場の状態を推定するためのルールが設定される。このルールに基づき、状態管理プログラム213は、状態の推定を行い、実際の状態と推定される状態にずれがある場合に警告を出力する。すなわち、状態判定機能218は、車両状態および作業状況から次の車両状態および作業状況を推定し、推定結果と推定から所定時間経過後の車両情報管理機能214または作業管理機能215の情報を照合し、一致するか否かを判定する。通知機能219は、状態判定機能218の判定結果をモニタ121に表示させ、状態判定機能218での照合結果が一致しない場合にモニタ121を介して管理者120に警告を行う。
【0027】
地図データ232は、予め管制センタ100に登録されたデータで、サイト内の地図情報が設定されており、各駐車エリア150についてその種類や座標などの情報が設定される。
【0028】
車両状態管理テーブル222は、車両情報受信プログラム211により更新され、自動運転車両から通知される自動運転車両の位置や状態が設定される。また、車両状態管理テーブル222は、状態管理プログラム213により更新され、自動運転車両の状況により状態遷移を推定される。
【0029】
現場状態管理テーブル221は、業務状態受信プログラム212により更新され、現場作業者130から通知される駐車エリア150での作業に基づき状態が設定される。また、該当駐車エリア150に自動運転車両が出入りしたり停車した際は、現場状態管理テーブル221は、車両情報受信プログラム211によっても更新される。さらに、現場状態管理テーブル221は、状態管理プログラム213により更新され、駐車エリア150の状況により状態遷移を推定される。
【0030】
運搬計画231は、定期的に管理者120によって管制センタ100に設定されるもので、自動運転車両に対する資材の運搬計画が設定される。
【0031】
管制センタ100が管理者120に提示するモニタの画面例を図3a、図3bに示す。図3aは状態認識のずれなどを検出していない通常時の状態での画面300を示す。図3bは状態認識のずれの可能性を検出した警告出力時の状態での画面310を示す。
【0032】
図3aで示す通り、管制センタ100は管理者120に対して通常はサイト全体の自動運転車両や現場作業者の位置や状態を示す。図3aでは、自動運転車両として資材を搬送中の自動運転車両301と積込場所Bで積込作業中の自動運転車両302と現場作業者303を示す。
【0033】
一方、図3bで示す通り、管制センタ100は管理者120に対して状態認識の誤りの可能性を検出した場合、検出結果(判定結果)として、警告メッセージ311と具体的に状態認識のずれが発生した場所312を地図上で示す。なお、図3bでは、自動運転車両として積込場所Bで(積込作業後の)搬送開始の自動運転車両313を地図上で示す。これにより、管理者120に警告を行い、管理者120が確認作業や緊急停止を実行し、事故リスクを低減できるようにする。
【0034】
図4a~図4dに、管制センタ100で管理するテーブルの内容を示す。図4aは現場状態管理テーブル221の内容、図4bは車両状態管理テーブル222の内容、図4cは地図データ232の内容、図4dは状態遷移ルール223の内容を示す。
【0035】
現場状態管理テーブル221は、図4aに示すように、エリア識別子401、エリア名402、エリア状態403、自動運転車両有無404、更新時刻405、推定遷移状態406、遷移までの時間閾値407、警告有無408からなる。
【0036】
エリア識別子401は、駐車エリア150などの各エリアを一意に識別するための識別子である。詳細な座標などは地図データ232で管理されている。
【0037】
エリア名402は、各設定されたエリア名を示す。管制センタ100が管理者120に地図上でエリアを示すときなどに利用される。
【0038】
エリア状態403は、管制センタ100で管理する各エリアの状態を示す。例えば、自動運転車両が走行していることを示す「自動運転車両(空荷)走行中」、「自動運転車両(積荷)走行中」、自動運転車両が停車していることを示す「自動運転車両(空荷)停車中」、「自動運転車両(積荷)停車中」、現場作業者130が積込・荷下の作業を行っていることを示す「作業中(積込)」、「作業中(荷下)」、現場作業者130や有人車両140が積込・荷下以外の作業で立ち入っていることを示す「作業中(その他)」、自動運転車両が走行を開始しようとしている「自動運転車両始動準備」、自動運転車両、現場作業者130、有人車両140のいずれも存在しないことを示す「空」、メンテナンスや工事などで利用を停止していることを示す「使用禁止中」が設定される。
【0039】
自動運転車両有無404は、対象エリア内での自動運転車両の有無を示し、自動運転車両がいないことを示す「無」、自動運転車両が走行していることを示す「走行中」、自動運転車両が停車中であることを示す「停車中」などが設定される。
【0040】
更新時刻405は、エリア状態403が更新された時刻が設定される。
【0041】
推定遷移状態406は、この先遷移が推定されるエリア状態403が設定される。推定される状態が無い場合は「無」が設定される。推定される状態が不明または未定の場合は何も設定されない。
【0042】
遷移までの時間閾値407は、エリア状態403が推定遷移状態406に遷移するまで通常想定される最大の時間が設定され、状態遷移ルール223(図4d)に従い設定される。
【0043】
例えば、自動運転車両が運搬計画として計画している資材の積込場所で積込予定の自動運転車両が空荷の状態で駐車エリアに進入し、停車をした場合、エリア状態403は「自動運転車両(空荷)停車中」となる。この場合、通常は資材の積込が開始されるはずのため、推定遷移状態406には「作業中(積込)」が設定され、遷移までの時間閾値407には状態遷移ルール223(図4d)に設定された閾値が設定される。
【0044】
警告有無408は、対象エリア内での警告の有無を示す。
【0045】
車両状態管理テーブル222は、図4bに示すように、車両識別子421、緯度422、経度423、速さ424、進行方向425、状態426、場所427、目的地428、状態更新時刻429、推定遷移状態430、遷移までの時間閾値431、警告有無432からなる。
【0046】
車両識別子421は、自動運転車両を一意に識別するための識別子である。
【0047】
緯度422、経度423は、自動運転車両の現在位置を示す。
【0048】
速さ424、進行方向425は、自動運転車両が走行する速さと車両の向きを示す。なお、進行方向425は、例えば、基準の方向(北など)に対する角度で示される。
【0049】
状態426は、自動運転車両の状態を示す。例えば、自動運転車両が管制センタ100から指定された目的地に向けて走行しているときは一時停止なども含めて「走行中(空荷)」、「走行中(積荷)」、電源を入れた直後で管制センタ100からの指示を受ける前は「待機中(搬送指示待ち)」、積荷がある状態で目的地に到着して停車している場合は「待機中(荷下中)」、積荷が無い状態で目的地に到着して停車している場合は「待機中(積込中)」、管制センタ100から走行開始の指示を行っていて自動運転車両からの状態情報の通知を待っている場合は「始動準備」、管制センタ100からの指示で緊急停止をしているときは「緊急停止中」が設定される。
【0050】
場所427は、自動運転車両がいる場所を示す。駐車エリア150にいる場合は該当駐車エリア150のエリア識別子が設定される。それ以外の場所にいる場合は何も設定されない。
【0051】
目的地428は、管制センタ100から指示された積込先や荷下先の座標とエリア識別子が設定される。目的地に到着した後や管制センタ100からの指示前は何も設定されない。
【0052】
状態更新時刻429は、該当自動運転車両の状態426が更新された時刻を示す。
【0053】
推定遷移状態430は、この先遷移が推定される状態426が設定される。推定される状態が無い場合は「無」が設定される。推定される状態が不明または未定の場合は何も設定されない。
【0054】
遷移までの時間閾値431は、状態426が推定遷移状態430に遷移するまで通常想定される最大の時間が設定され、状態遷移ルール223(図4d)に従い設定される。
【0055】
警告有無432は、対象自動運転車両に対する警告の有無を示す。
【0056】
地図データテーブル232は、図4cに示すように、エリア識別子441、エリア名442、エリア種類443、対象業務444、座標445からなる。
【0057】
エリア識別子441は、各エリアを一意に識別するための識別子である。
【0058】
エリア名442は、各設定されたエリアの名称を示す。管制センタ100が管理者120に地図上でエリアを示すときなどに利用される。
【0059】
エリア種類443は、各エリアの種類を示す。設定する種類としては、「積込場」、「荷下場」、「積込/荷下場」、「その他」が挙げられる。「積込場」は自動運転車両に資材を積み込む場所を示す。「荷下場」は自動運転車両から資材をおろす場所を示す。「積込/荷下場」は自動運転車両への資材の積込、荷下ろしのどちらも実施される場所を示す。「その他」はこれら以外の場所を示す。
【0060】
対象業務444は、該当エリアで想定される現場作業者130による作業を示す。例えば、エリア種類443が「積込場」の場合は自動運転車両への資材の積込が想定されるため、「積込」が設定される。エリア種類443が「荷下場」の場合は自動運転車両からの資材の荷下ろしが想定されるため、「荷下」が設定される。エリア種類443が「積込/荷下場」の場合は自動運転車両への資材の積込・荷下ろしのどちらも実施されるため、「積込、荷下」が設定される。特別な作業が想定されない場合は「-」が設定される。
【0061】
座標445は、各エリアの範囲を示すための座標を示す。本実施形態では多角形を想定しており、各頂点の緯度・経度を座標445に設定する。なお、エリアの設定は多角形に限定されるわけではないため、中心点と半径を用いて円形に設定するなどの様々な設定の仕方が考えられる。例えば、積込場所Aは4点からなる矩形で構成されており、各頂点の緯度・経度を座標445に設定する。
【0062】
状態遷移ルール223は、図4dに示すように、ルール識別子461、対象462、現在の状態463、遷移後の状態464、期限閾値465、遷移条件466からなる。
【0063】
ルール識別子461は、ルールを一意に識別するための識別子である。
【0064】
対象462は、該当ルールの適用先を示す。自動運転車両に対するルールの場合は「車両」が設定され、エリアに対するルールの場合は「エリア」が設定される。
【0065】
現在の状態463は、該当ルールを適用する時の状態を示す。
【0066】
遷移後の状態464は、該当ルールを適用した場合に遷移が想定される遷移後の状態を示す。
【0067】
期限閾値465は、現在の状態463で遷移条件466が満たされているときに、遷移後の状態464に遷移する前の最大の経過時間を示す。
【0068】
遷移条件466は、現在の状態463から遷移後の状態464に遷移する時の条件を示す。
【0069】
例えば、ルール識別子461が「1」のケースでは、エリアの種類が「積込場」、「積込/荷下場」で自動運転車両が空荷で停車している場合で、該当エリアからの運搬計画がある場合は、10分以内に「作業中(積込)」に遷移することが想定される。
【0070】
図5a、bに、状態遷移の推定方法の考え方の例を示す。これらの内容が図4dの状態遷移ルール223に設定される。図5aは、駐車エリア150に対する、作業状態の遷移に関する考え方を示す。図5bは、自動運転車両に対する状態の遷移に関する考え方を示す。
【0071】
図5aに示すように、自動運転車両が空荷の状態で駐車エリアに進入し(エリア状態が「空」から「自動運転車両(空荷)走行中」に遷移)、自動運転車両の状態が「走行中(空荷)」から「待機中(積込中)」に遷移し、この内容が現場作業者130から正常に通知されたとする。駐車エリアの状態が「自動運転車両(空荷)走行中」から「自動運転車両(空荷)停車中」に遷移する場合で、駐車エリアからの運搬計画がある場合は、期限閾値(10分)以内に「作業中(積込)」に遷移することが想定される。しかし、現場作業者130が積込作業を開始したにも関わらず、駐車エリアの状態が「自動運転車両(空荷)停車中」に遷移してから期限閾値(10分)を経過しても「作業中(積込)」に遷移しない場合は、現場作業者130の「作業開始」の通知忘れの可能性があるとして管理者120に警告を行う。
【0072】
また、図5bに示すように、積込作業が完了し、現場作業者130から発車指示が通知され、駐車エリアの状態が「作業中(積込)」から「自動運転車両始動準備」に遷移し、自動運転車両の状態が「待機中(積込中)」から「始動準備」に遷移し、発車指示が自動運転車両に通知されて、自動運転車両の(実際の)状態が「待機中(積込中)」から「走行中(積荷)」に遷移したとする。自動運転車両の状態が「待機中(積込中)」から「始動準備」に遷移する場合で、自動運転車両からの運搬計画がある場合は、期限閾値(10秒)以内に「走行中(積荷)」に遷移することが想定される。しかし、管制センタ100からの発車指示によって自動運転車両の状態が「待機中(積込中)」から「走行中(積荷)」に遷移したにも関わらず、自動運転車両の状態が「始動準備」に遷移してから期限閾値(10秒)を経過しても「走行中(積荷)」に遷移しない場合は、通信障害による状態通知の失敗と認識して管理者120に警告を行う。
【0073】
図6に、状態管理プログラム213による状態推定と通知の全体フローチャートを示す。本フローは状態管理プログラム213により定期的に実行される。本フローは実行されるとSTEP602に進む。STEP602からSTEP604では自動運転車両の台数分STEP603の処理を実施し、STEP605に進む。STEP603の詳細は図7に示す。STEP605からSTEP607では駐車エリアの数分STEP606の処理を実施し、STEP608に進む。STEP606の詳細は図8に示す。STEP608では、ここまでの処理の結果、車両状態管理テーブル222の警告有無432または現場状態管理テーブル221の警告有無408で「有」のものがないかを確認する。ある場合はSTEP609に進み、ない場合はSTEP610に進む。STEP609では通知機能219により管理者120に対して図3bのような画面をモニタ121に出力して本フローを終了する。STEP610では通知機能219により管理者120に対して図3aのような画面をモニタ121に出力して本フローを終了する。
【0074】
図7に、自動運転車両に対する状態推定のフローチャートを示す。本フローは図6のフローから呼び出される。STEP603が呼び出されるとSTEP701に進む。
【0075】
STEP701では、対象とする車両状態管理テーブル222で対象とする自動運転車両に対して、推定遷移状態430の設定があるかを確認する。設定がある場合はSTEP702に進み、設定が無い場合はSTEP705に進む。
【0076】
STEP702では、車両状態管理テーブル222で対象とする自動運転車両に対して、遷移までの時間閾値431の時間が経過しているかを確認する。これにより、車両情報管理機能214が管理する車両状態から次の車両状態を推定し、推定結果と推定から所定時間(遷移までの時間閾値431の時間)経過後の車両情報管理機能214の情報を照合し、一致するか否かを判定する。経過している場合は状態遷移が適切に実施できていないと判断し、STEP703に進む。経過してない場合はSTEP704に進む。
【0077】
STEP703では、状態遷移が適切に実施できていない場合のため、車両状態管理テーブル222で対象とする自動運転車両に対して警告有無432を「有」に設定して本フローを終了する。STEP704では車両状態管理テーブル222で対象とする自動運転車両に対して警告有無432を「無」に設定して本フローを終了する。
【0078】
STEP705では、状態遷移ルール223で対象462が「車両」となっている項目を確認し、現在の状態463と遷移条件466を満たしているものがあるかを確認する。ある場合はSTEP706に進み、ない場合は本フローを終了する。
【0079】
STEP706では、車両状態管理テーブル222で対象とする自動運転車両に対して推定遷移状態430、遷移までの時間閾値431について状態遷移ルール223の該当項目の内容を設定して本フローを終了する。
【0080】
図8に、エリアに対する状態推定のフローチャートを示す。本フローは図6のフローから呼び出される。STEP606が呼び出されるとSTEP801に進む。
【0081】
STEP801では、対象とする現場状態管理テーブル221で対象とするエリアに対して、推定遷移状態406の設定があるかを確認する。設定がある場合はSTEP802に進み、設定が無い場合はSTEP805に進む。
【0082】
STEP802では、現場状態管理テーブル221で対象とするエリアに対して、遷移までの時間閾値407の時間が経過しているかを確認する。これにより、作業管理機能215が管理する作業状況から次の作業状況を推定し、推定結果と推定から所定時間(遷移までの時間閾値407の時間)経過後の作業管理機能215の情報を照合し、一致するか否かを判定する。経過している場合は状態遷移が適切に実施できていないと判断し、STEP803に進む。経過してない場合はSTEP804に進む。
【0083】
STEP803では、状態遷移が適切に実施できていない場合のため、現場状態管理テーブル221で対象とするエリアに対して警告有無408を「有」に設定して本フローを終了する。STEP804では、現場状態管理テーブル221で対象とするエリアに対して警告有無408を「無」に設定して本フローを終了する。
【0084】
STEP805では、状態遷移ルール223で対象462が「エリア」となっている項目を確認し、現在の状態463と遷移条件466を満たしているものがあるかを確認する。ある場合はSTEP806に進み、ない場合は本フローを終了する。
【0085】
STEP806では、現場状態管理テーブル221で対象とするエリアに対して推定遷移状態406、遷移までの時間閾値407について状態遷移ルール223の該当項目の内容を設定して本フローを終了する。
【0086】
以上説明したように、本実施形態の管制装置(管制センタ100)は、自動運転車両を管理し、前記自動運転車両が当該自動運転車両の走行状態(走行または停車状態)および動作状態(待機、積荷運搬、または空荷走行状態)を判断して送信する状態情報を受信する車両情報受信部(車両情報受信プログラム211)と、前記自動運転車両に関係する業務の状態を通知する操作端末もしくは環境認識センサからの情報を受信する業務状態受信部(業務状態受信プログラム212)とを有する自動運転車両の管制装置であって、前記車両情報受信部が受信した情報に基づき前記自動運転車両の車両状態を管理する車両情報管理部(車両情報管理機能214)と、前記業務状態受信部の情報に基づき作業状況を管理する作業管理部(作業管理機能215)と、前記車両状態および前記作業状況から次の前記車両状態および前記作業状況を推定し、推定結果と前記推定から所定時間経過後の前記車両情報管理部または前記作業管理部の情報(遷移後の状態)を照合し、一致するか否かを判定する状態判定部(状態判定機能218)とを備える。
【0087】
本実施形態の管制装置(管制センタ100)は、前記状態判定部(状態判定機能218)の判定結果を表示部(モニタ121)に表示させ、前記状態判定部(状態判定機能218)での照合結果が一致しない場合に警告を行う(通知機能219)。また、前記状態判定部(状態判定機能218)は照合結果が一致しない場合、前記自動運転車両に停止命令を出力する。
【0088】
すなわち、本実施形態は、管制センタ100で把握している自動運転車両や現場での作業状態を管理者120に通知を行う。このとき、管制センタ100で業務の手順から現場での作業状態の状態遷移を推定し、想定通りの遷移イベントが実施されない場合は、遷移操作の忘れの可能性があると判断する。同様に管制センタ100で自動運転車両の状態についても自動運転車両の動作手順から状態遷移を推定し、想定通りの遷移イベントの通知が実施されない場合は、通信障害や通信遅延の可能性があると判断する。こうして、遷移操作の忘れや通信障害の可能性を検出した際は、管制センタ100は管理者120に対して状態認識のずれが発生していて、事故を誘発するリスクがあることを通知したり、自動運転車両に対して緊急停止命令を発したりする。
【0089】
本実施形態によれば、自動運転車両と現場作業者の間での状態認識のずれの可能性を検出することで、状態認識のずれによって発生する衝突事故などのリスクを軽減することが可能となる。
【0090】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形形態が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0091】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0092】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0093】
100 管制センタ(管制装置)
111、112 自動運転車両
120 管理者
121 モニタ(表示部)
130 現場作業者
140 有人車両
150 駐車エリア
160 道路
211 車両情報受信プログラム(車両情報受信部)
212 業務状態受信プログラム(業務状態受信部)
213 状態管理プログラム
214 車両情報管理機能(車両情報管理部)
215 作業管理機能(作業管理部)
218 状態判定機能(状態判定部)
219 通知機能
221 現場状態管理テーブル
222 車両状態管理テーブル
223 状態遷移ルール
231 運搬計画
232 地図データ(地図データテーブル)
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図4d
図5a
図5b
図6
図7
図8