(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003323
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/02 20060101AFI20240105BHJP
B29C 45/42 20060101ALI20240105BHJP
H01L 21/56 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
B29C45/02
B29C45/42
H01L21/56 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102379
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】高田 準子
(72)【発明者】
【氏名】高田 直毅
(72)【発明者】
【氏名】池西 哲郎
【テーマコード(参考)】
4F202
4F206
5F061
【Fターム(参考)】
4F202AA36
4F202AD07
4F202AH33
4F202CA12
4F202CB01
4F202CB12
4F202CB17
4F202CL02
4F202CM11
4F202CQ01
4F202CS10
4F206AA36
4F206AD07
4F206AH33
4F206JA02
4F206JB12
4F206JB17
4F206JL02
4F206JP14
4F206JP30
4F206JQ81
4F206JQ82
4F206JQ83
4F206JQ90
5F061CA21
5F061DA00
(57)【要約】
【課題】搬送部材に収容された成形対象物を取り出して樹脂成形を行うことが可能な樹脂成形装置を提供する。
【解決手段】成形対象物を収容した搬送部材から前記成形対象物を取り出す取出機構と、前記搬送部材から取り出された前記成形対象物を成形型に搬送する第1成形対象物搬送機構と、前記成形対象物が取り出された前記搬送部材を収容可能な搬送部材収容部と、前記成形対象物が取り出された前記搬送部材を前記搬送部材収容部に搬送する搬送部材搬送機構と、樹脂成形するように前記成形対象物が搬送された前記成形型を型締めする型締め機構と、成形後の前記成形対象物を前記成形型から搬出する第2成形対象物搬送機構と、前記搬送部材収容部に収容されていた前記搬送部材に、前記成形型から搬出された前記成形対象物を収容する成形対象物収容機構と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形対象物を収容した搬送部材から前記成形対象物を取り出す取出機構と、
前記搬送部材から取り出された前記成形対象物を成形型に搬送する第1成形対象物搬送機構と、
前記成形対象物が取り出された前記搬送部材を収容可能な搬送部材収容部と、
前記成形対象物が取り出された前記搬送部材を前記搬送部材収容部に搬送する搬送部材搬送機構と、
樹脂成形するように前記成形対象物が搬送された前記成形型を型締めする型締め機構と、
成形後の前記成形対象物を前記成形型から搬出する第2成形対象物搬送機構と、
前記搬送部材収容部に収容されていた前記搬送部材に、前記成形型から搬出された前記成形対象物を収容する成形対象物収容機構と、
を備える樹脂成形装置。
【請求項2】
前記第1成形対象物搬送機構と前記搬送部材搬送機構とが、少なくとも一部の移動領域において共に移動可能である、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記搬送部材と前記成形対象物の少なくとも一方に付与された識別子を読み取り可能な読取部を備える、請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
成形前の前記成形対象物、および、成形前の前記成形対象物が収容された前記搬送部材に付与された識別子を読み取り可能な第1読取部と、
成形後の前記成形対象物、および、成形後の前記成形対象物が収容される前記搬送部材に付与された識別子を読み取り可能な第2読取部と、
を備える、請求項1又は請求項2に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
前記搬送部材収容部は、前記搬送部材搬送機構により搬送された順番に基づいて前記搬送部材を複数収容可能である、請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
前記取出機構により取り出された前記成形対象物が載置される載置部を具備し、
前記取出機構は、前記搬送部材から取り出した前記成形対象物を、前記第1成形対象物搬送機構と干渉しないように前記載置部に載置する、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
前記取出機構は、前記第1成形対象物搬送機構が退避位置に退避している際に、前記載置部の所定の位置に前記成形対象物を載置する、
請求項6に記載の樹脂成形装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記搬送部材から前記成形対象物を取り出す取出工程と、
前記取出工程により取り出された前記成形対象物を前記成形型に搬送する成形対象物搬送工程と、
前記成形対象物が取り出された前記搬送部材を搬送する搬送部材搬送工程と、
前記成形対象物搬送工程により前記成形型に搬送された前記成形対象物を樹脂成形する樹脂成形工程と、
前記搬送部材搬送工程により搬送された前記搬送部材に、前記樹脂成形工程により樹脂成形された前記成形対象物を収容する成形対象物収容工程と、
を含む樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、回路基板等の複数の成形対象物を搬送部材に収容し、一括して搬送する技術が知られている。また特許文献1には、ボートと呼ばれる搬送部材に複数の回路基板を収容したままで、モールディング工程を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2016-0081289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、モールディング工程において、複数の成形対象物を収容した搬送部材が成形型に供給されて樹脂成形が行われる。従って、成形型に搬送部材を収容する必要があるため、成形型が大型化するおそれがある。また、特許文献1に記載の技術では、成形型に対して搬送部材の位置合わせを行うことで、成形型に対する成形対象物の位置合わせを間接的に行っている。このため、成形型に対する成形対象物の位置精度が低下するおそれがある。そこで、搬送部材に収容された成形対象物を取り出して樹脂成形を行い、その後、再び成形対象物を搬送部材に収容することが可能な技術が求められている。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、搬送部材に収容された成形対象物を取り出して樹脂成形を行い、その後、再び成形対象物を搬送部材に収容することが可能な樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、この課題を解決するため、本発明に係る樹脂成形装置は、成形対象物を収容した搬送部材から前記成形対象物を取り出す取出機構と、前記搬送部材から取り出された前記成形対象物を成形型に搬送する第1成形対象物搬送機構と、前記成形対象物が取り出された前記搬送部材を収容可能な搬送部材収容部と、前記成形対象物が取り出された前記搬送部材を前記搬送部材収容部に搬送する搬送部材搬送機構と、樹脂成形するように前記成形対象物が搬送された前記成形型を型締めする型締め機構と、成形後の前記成形対象物を前記成形型から搬出する第2成形対象物搬送機構と、前記搬送部材収容部に収容されていた前記搬送部材に、前記成形型から搬出された前記成形対象物を収容する成形対象物収容機構と、を備えるものである。
【0007】
また、本発明に係る樹脂成形品の製造方法は、前記樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、前記搬送部材から前記成形対象物を取り出す取出工程と、前記取出工程により取り出された前記成形対象物を前記成形型に搬送する成形対象物搬送工程と、前記成形対象物が取り出された前記搬送部材を搬送する搬送部材搬送工程と、前記成形対象物搬送工程により前記成形型に搬送された前記成形対象物を樹脂成形する樹脂成形工程と、前記搬送部材搬送工程により搬送された前記搬送部材に、前記樹脂成形工程により樹脂成形された前記成形対象物を収容する成形対象物収容工程と、を含むものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、搬送部材に収容された成形対象物を取り出して樹脂成形を行い、その後、再び成形対象物を搬送部材に収容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態に係る樹脂成形装置の全体的な構成を示した平面図。
【
図2】(a)キャリアおよび基板を示した斜視図。(b)キャリアおよび基板を示した平面図。
【
図3】(a)取出機構によって基板が吸着保持された様子を示した正面一部断面図。(b)基板が取出機構のクランパによって保持された様子を示した正面一部断面図。(c)基板が基板整列ステージに載置された様子を示した正面図。
【
図4】基板整列ステージおよびローダを示した側面図。
【
図5】キャリア搬送ユニットおよびキャリア移送部を示した側面図。
【
図6】(a)キャリア収容部を示した側面図。(b)キャリアが持ち上げられる様子を示した側面図。(c)キャリアが回動支持部に載置された様子を示した側面図。
【
図7】樹脂成形品の製造方法を示したフローチャート。
【
図8】樹脂成形が行われるまでの基板およびキャリアの搬送の様子を示した平面図。
【
図9】樹脂成形後の基板およびキャリアの搬送の様子を示した平面図。
【
図10】(a)ローダが退避位置に退避している様子を示した平面図。(b)基板整列ステージにおける基板の配置順を示した平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、図中に示した矢印U、矢印D、矢印L、矢印R、矢印Fおよび矢印Bで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、左方向、右方向、前方向および後方向と定義して説明を行う。
【0011】
<樹脂成形装置1の全体構成>
まず、
図1を用いて、本実施形態に係る樹脂成形装置1の構成について説明する。樹脂成形装置1は、半導体チップなどの電子素子(以下、「チップ」と記載する)を樹脂封止し、樹脂成形品を製造するものである。特に本実施形態では、トランスファーモールド法を利用して樹脂成形を行う樹脂成形装置1を例示している。
【0012】
樹脂成形装置1は、構成要素として、供給モジュールA、樹脂成形モジュールBおよび搬出モジュールCを具備する。各構成要素は、他の構成要素に対して着脱可能かつ交換可能である。
【0013】
<供給モジュールA>
供給モジュールAは、チップを固定した基板2、および円柱状の樹脂タブレットTを樹脂成形モジュールBへと供給するものである。なお、基板2は、本発明に係る成形対象物の実施の一形態である。基板2としては、種々の基板(リードフレーム、ガラスエポキシ製基板、セラミック製基板、樹脂製基板、金属製基板等)を用いることが可能である。供給モジュールAは、主としてキャリア搬入部11、基板整列ステージ12、取出機構30、キャリアステージ13、ローダ40、キャリア搬送ユニット50、キャリア移送部60、第1カメラ14および制御部15を具備する。
【0014】
キャリア搬入部11は、外部から供給モジュールAへと搬入されたキャリア3が配置される部分である。キャリア搬入部11は、基板2を収容したキャリア3を受け取り、上面に載置することができる。
【0015】
ここで、
図2を用いて基板2および基板2を収容可能なキャリア3について説明する。キャリア3は、基板2を収容可能な部材である。なお、キャリア3は、本発明に係る搬送部材の実施の一形態である。キャリア3は、略矩形の板状に形成される。キャリア3には、貫通孔3a、ピン3bおよびコード3cが設けられる。
【0016】
貫通孔3aは、キャリア3を貫通するように形成される。貫通孔3aは、キャリア3の長手方向に3つ並ぶように形成される。ピン3bは、キャリア3に収容される基板2の位置決めを行うものである。ピン3bは、キャリア3の表面(上面)から上方に突出するように形成される。ピン3bは、貫通孔3aの周囲を囲むように複数設けられる。ピン3bの内側に基板2を収容することで、貫通孔3aと対向する位置に基板2を配置することができる。本実施形態のキャリア3は、3つの基板2を収容することができる。
【0017】
キャリア3の上面には、コード3cが設けられる。コード3cは、キャリア3を識別することが可能な情報を表す識別子である。コード3cとしては、例えばバーコードや2次元コード等を用いることが可能である。
【0018】
基板2の上面には、コード2aが設けられる。コード2aは、基板2を識別することが可能な情報を表す識別子である。コード2aとしては、キャリア3のコード3cと同様に2次元コード等を用いることができる。
【0019】
図1に示す基板整列ステージ12は、キャリア3から取り出された基板2が配置される部分である。なお、基板整列ステージ12は、本発明に係る載置部の実施の一形態である。基板整列ステージ12は、複数の基板2を上面に並べて載置することができる。本実施形態では、基板整列ステージ12上には、前後方向に3列、左右方向に2列の、合計6つの基板2が整列して載置される(
図10(b)参照)。基板整列ステージ12における基板2の配列は、後述する成形型16における基板2の配列と対応している。すなわち本実施形態に係る成形型16は、一度に6つの基板2に対して樹脂成形を行うことができる。基板整列ステージ12は、キャリア搬入部11の後方に配置される。
【0020】
取出機構30は、キャリア搬入部11のキャリア3から基板2を取り出し、基板整列ステージ12に配置するものである。
図3に示すように、取出機構30は、主として吸着保持部31、クランパ32および押さえ部33を具備する。
【0021】
吸着保持部31は、キャリア搬入部11に載置された基板2を吸着して保持するものである。吸着保持部31は、キャリア3の貫通孔3aを介して、基板2を下方から吸着することができる。吸着保持部31は、図示せぬ昇降機構によって上下に移動することができる。これによって吸着保持部31は、吸着した基板2をキャリア3から上方に持ち上げることができる。
【0022】
クランパ32は、基板2を保持して搬送するものである。クランパ32は、側面視L字状の部材を左右一対および前後一対具備する。クランパ32は、基板2を左右および前後の四方向から挟むようにして保持することができる。またクランパ32は、図示せぬ移動機構によって移動することができる。
【0023】
押さえ部33は、クランパ32によって保持された基板2を上方から押さえるものである。押さえ部33は、クランパ32の内側に配置される。押さえ部33は、基板2の上に載せられることで、自重によって基板2を押さえることができる。
【0024】
取出機構30によってキャリア搬入部11のキャリア3から基板2を取り出す場合、まず
図3(a)に示すように、吸着保持部31によって基板2が保持される。次に、
図3(b)に示すように、対象となる基板2を保持した吸着保持部31が上昇し、基板2が持ち上げられる。次に、吸着保持部31による吸着が解除され、クランパ32によって基板2が保持される。さらに押さえ部33によって基板2が上方から押さえられる。これによって、クランパ32で基板2を安定して保持することができる。
【0025】
次に、
図3(c)に示すように、クランパ32が基板整列ステージ12へと移動し、所定の場所で基板2の保持を解除する。これによって、基板整列ステージ12上に基板2を載置させることができる。このようなクランパ32の動作を繰り返すことで、キャリア搬入部11のキャリア3から基板2を取出し、基板整列ステージ12に並べることができる。
【0026】
図1に示すキャリアステージ13は、キャリア搬入部11において基板2が取り出されたキャリア3が配置される部分である。キャリアステージ13は、キャリア搬入部11から移送されたキャリア3を上面に載置することができる。
【0027】
ローダ40は、基板整列ステージ12に整列された基板2を、樹脂成形モジュールBに搬送するものである。また、ローダ40は、図示せぬ樹脂供給装置から樹脂タブレットTを受け取って保持し、基板2と共に樹脂成形モジュールBに搬送する。ここで、ローダ40は、基板2または樹脂タブレットTのいずれを先に受け取ってもよく、また基板2および樹脂タブレットTを同時に受け取ってもよい。すなわち、ローダ40が基板2および樹脂タブレットTを受け取るタイミングは特に限定しない。なお、ローダ40は、本発明に係る第1成形対象物搬送機構の実施の一形態である。ローダ40は、樹脂成形装置1の後部に配置される。ローダ40は、樹脂成形装置1の左右両端部に亘って延びるレールXに沿って左右に移動することができる。
図4に示すように、ローダ40は、主として本体部41、ヘッド42およびクランパ43を具備する。
【0028】
本体部41は、ローダ40の主たる構造体を構成する部分である。本体部41は、レールX(
図1参照)に沿って左右に移動可能となるように構成される。本実施形態の本体部41は、後述するヘッド42を安定して支持するために、前上部が前方に張り出すように形成されている。本体部41のうち前方に張り出した部分は、前後方向において基板整列ステージ12の後部と重複している。
【0029】
ヘッド42は、後述するクランパ43が設けられる部分である。ヘッド42は、本体部41に対して前後に移動可能となるように支持される。
【0030】
クランパ43は、基板2を保持して搬送するものである。クランパ43は、基板整列ステージ12に整列された複数の基板2と対応する数だけ設けられる。本実施形態では、6つの基板2に対応するように、6つのクランパ43がヘッド42に設けられる。
【0031】
ローダ40によって基板整列ステージ12の基板2を樹脂成形モジュールBに搬送する場合、まずローダ40がレールX(
図1参照)に沿って移動し、基板整列ステージ12の背後で停止する。次に、
図4に示すように、基板整列ステージ12上の基板2とクランパ43が上下に対向するように、ヘッド42が本体部41に対して前方へと移動する。次に、各クランパ43が対応する基板2を保持し、ヘッド42が本体部41に対して後方へと移動する。
【0032】
ローダ40は、基板2を保持した状態でレールX(
図1参照)に沿って右方へと移動することで、基板2を樹脂成形モジュールBへと搬送することができる。またローダ40は、樹脂成形モジュールBの成形型16の上で基板2の保持を解除することで、基板2を成形型16に搬入することができる。
【0033】
なお、本実施形態では詳細な説明を省略するが、ローダ40は、基板2と同時に、樹脂成形に用いられる樹脂タブレットTも成形型16へと搬入する。
【0034】
図1に示すキャリア搬送ユニット50は、キャリアステージ13に配置されたキャリア3を、搬出モジュールCに搬送するものである。なお、キャリア搬送ユニット50は、本発明に係る搬送部材搬送機構の実施の一形態である。キャリア搬送ユニット50は、樹脂成形装置1の後部に配置される。キャリア搬送ユニット50は、レールXに沿って左右に移動することができる。本実施形態では、キャリア搬送ユニット50は、ローダ40と一体的に左右に移動するように構成されている。すなわち、少なくともレールXに沿う移動領域において、ローダ40とキャリア搬送ユニット50が共に移動可能となる。これによって、ローダ40およびキャリア搬送ユニット50を左右に移動させるための移動機構(不図示)を共通化することができる。
図5に示すように、キャリア搬送ユニット50は、主として本体部51、可動ステージ52およびキャリア載置部53を具備する。
【0035】
本体部51は、キャリア搬送ユニット50の主たる構造体を構成する部分である。本体部51は、レールX(
図1参照)に沿って左右に移動可能となるように構成される。
【0036】
可動ステージ52は、後述するキャリア載置部53が設けられる部分である。可動ステージ52は、本体部51の上部に設けられる。可動ステージ52は、本体部51に対して前後に移動可能となるように支持される。
【0037】
キャリア載置部53は、キャリアステージ13から受け取ったキャリア3が載置される部分である。キャリア載置部53は、可動ステージ52の上部に設けられる。本実施形態においては、キャリア載置部53は、前後に並ぶように2つ配置される。
【0038】
キャリア移送部60は、キャリアステージ13からキャリア搬送ユニット50へとキャリア3を移送するものである。
図5に示すように、キャリア移送部60は、主としてヘッド61および吸着保持部62を具備する。
【0039】
ヘッド61は、後述する吸着保持部62が設けられる部分である。ヘッド61は、図示せぬ移動機構によって移動可能となるように支持される。
【0040】
吸着保持部62は、キャリア3を吸着して保持するものである。吸着保持部62は、ヘッド61の下部に設けられる。
【0041】
キャリア搬送ユニット50によってキャリアステージ13のキャリア3を搬出モジュールCに搬送する場合、まずキャリア搬送ユニット50がレールX(
図1参照)に沿って移動し、キャリアステージ13の背後で停止する。次に、
図5に示すように、キャリア移送部60の吸着保持部62によってキャリアステージ13のキャリア3が保持され、キャリア搬送ユニット50のキャリア載置部53に載置される。この際、キャリア載置部53がキャリア3を載置できる位置に移動するように、可動ステージ52が適宜前後に移動する。
【0042】
キャリア搬送ユニット50は、2つのキャリア載置部53にそれぞれキャリア3が載置された状態でレールX(
図1参照)に沿って右方へと移動することで、キャリア3を搬出モジュールCへと搬送することができる。搬出モジュールCへと搬送されたキャリア3は、後述するキャリア収容部80に収容される。
【0043】
第1カメラ14は、基板2のコード2aおよびキャリア3のコード3cを読み取るためのものである。なお、第1カメラ14は、本発明に係る読取部および第1読取部の実施の一形態である。第1カメラ14は、供給モジュールAにおいて、基板2を収容したキャリア3を撮像可能な位置に配置される。本実施形態では、第1カメラ14は、キャリア搬入部11に配置されたキャリア3を撮像可能な位置に配置される。
【0044】
制御部15は、樹脂成形装置1の各モジュールの動作を制御するものである。制御部15によって、供給モジュールA、樹脂成形モジュールBおよび搬出モジュールCの動作が制御される。また、制御部15を用いて、各モジュールの動作を任意に変更(調整)することができる。また、制御部15は、第1カメラ14および後述する第2カメラ20により取得される基板2およびキャリア3の情報を管理することができる。
【0045】
なお本実施形態においては、制御部15を供給モジュールAに設けた例を示しているが、制御部15をその他のモジュールに設けることも可能である。また、制御部15を複数設けることも可能である。例えば、制御部15をモジュールごとや装置ごとに設け、各モジュール等の動作を互いに連動させながら個別に制御することも可能である。
【0046】
<樹脂成形モジュールB>
樹脂成形モジュールBは、基板2に固定されたチップを樹脂封止するものである。本実施形態においては、樹脂成形モジュールBは2つ並べて配置される。2つの樹脂成形モジュールBによって基板2の樹脂封止を並行して行うことで、樹脂成形品の製造効率を向上させることができる。樹脂成形モジュールBは、主として成形型16および型締め機構17を具備する。
【0047】
成形型16は、溶融した樹脂材料を用いて、基板2に固定されたチップを樹脂封止するものである。成形型16は、上下一対の型、すなわち、下型および上型を具備する。成形型16には、ヒータ等の加熱部(不図示)が設けられる。
【0048】
型締め機構17は、成形型16の下型を上下に移動させることによって、成形型16を型締め又は型開きするものである。
【0049】
<搬出モジュールC>
搬出モジュールCは、樹脂封止された基板2を樹脂成形モジュールBから受け取って搬出するものである。搬出モジュールCは、主としてアンローダ70、成形済基板整列ステージ18、キャリア収容部80、キャリア搬出部19、成形対象物収容機構90および第2カメラ20を具備する。
【0050】
アンローダ70は、樹脂成形モジュールBにおいて樹脂封止された基板2を保持して搬出モジュールCの成形済基板整列ステージ18へと搬送するものである。なお、アンローダ70は、本発明に係る第2成形対象物搬送機構の実施の一形態である。アンローダ70は、樹脂成形装置1の後部に配置される。アンローダ70は、レールXに沿って左右に移動することができる。
【0051】
成形済基板整列ステージ18は、樹脂成形モジュールBから搬送されてきた成形済みの基板2が配置される部分である。成形済基板整列ステージ18は、複数の基板2を上面に並べて載置することができる。
【0052】
アンローダ70によって樹脂封止された基板2を搬出モジュールCへと搬送する場合、まずアンローダ70がレールXに沿って樹脂成形モジュールBへと移動し、成形型16で樹脂成形された基板2を吸着保持する。次にアンローダ70は、レールXに沿って搬出モジュールCへと移動し、成形済基板整列ステージ18上に成形済みの基板2を配置する。
【0053】
キャリア収容部80は、供給モジュールAにおいて基板2が取り出されたキャリア3を収容するものである。なお、キャリア収容部80は、本発明に係る搬送部材収容部の実施の一形態である。
図6に示すように、キャリア収容部80は、主として本体部81、回動支持部82、回動連結部83および持ち上げ部84を具備する。
【0054】
本体部81は、キャリア収容部80の主たる構造体を構成する部分である。本体部81は、前後に対向するように配置された複数の支柱81aを具備する。なお、
図6では図示されていないが、支柱81aは紙面奥行き方向に複数並べて配置される。本体部81は、支柱81aの上部を互いに接続することで、下方が開放された枠状に形成される。
【0055】
回動支持部82は、キャリア3を支持する部分である。回動支持部82は、前後の支柱81aから、本体部81の内側に向かって突出するように設けられる。回動支持部82は、後述する回動連結部83を介して、支柱81aに連結される。回動支持部82は、上下方向に等間隔に並ぶように複数設けられる。前後の支柱81aに設けられた回動支持部82は、互いに対応する位置(同じ高さ)となるように配置される。
【0056】
回動連結部83は、回動支持部82を支柱81aに対して上下に回動可能となるように連結する部分である。回動連結部83は、回動支持部82が略水平な方向を向く状態から略垂直な方向を向く状態まで自在に回動できるように、回動支持部82を支持している。これによって回動支持部82は、外力が加わらない状態では自重によって下方に回動し、略水平な方向を向く。また回動支持部82に上向きの外力が加わると、回動支持部82は上方に回動することができる。
【0057】
持ち上げ部84は、キャリア3を回動支持部82に載置するためのものである。持ち上げ部84は、前後に対向するように配置された支柱84aと、前後の支柱84aから内側に向かって突出するように設けられた支持部84bを具備する。支持部84bは、上下方向に等間隔に並ぶように複数設けられる。支持部84bの上下方向の間隔は、本体部81に設けられた回動支持部82の上下方向の間隔と同一となるように形成される。
【0058】
持ち上げ部84は、図示せぬ駆動機構によって、本体部81に対して相対的に前後方向および上下方向に移動することができる。具体的には、持ち上げ部84は
図6(a)に図示するように、支持部84bが本体部81の内側に突出する位置まで水平移動し、その状態で上方に移動し、本体部81の外側に向かって水平移動し、下降する、という一連の動作を繰り返し行うことができる。なお、持ち上げ部84と本体部81は互いに干渉しないように配置されている。
【0059】
またキャリア収容部80は、図示せぬ駆動機構によって、全体的に前後方向および上下方向に移動することができる。これによってキャリア収容部80は、キャリア3を収容し易い位置に移動することができる。具体的には
図6に示すように、キャリア収容部80は、キャリア3が載置されたキャリア載置部53に対して上方から対向する位置まで移動することができる。
【0060】
図1に示すキャリア搬出部19は、搬出モジュールCから外部へと搬出されるキャリア3が配置される部分である。キャリア搬出部19は、キャリア収容部80から受け取ったキャリア3を上面に載置することができる。キャリア搬出部19に載置されたキャリア3には、後述する成形対象物収容機構90によって成形済みの基板2が収容される。成形済みの基板2を収容したキャリア3は、キャリア搬出部19から外部へと搬出される。
【0061】
成形対象物収容機構90は、成形済基板整列ステージ18に載置された基板2を、キャリア搬出部19に配置されたキャリア3に収容するものである。成形対象物収容機構90としては、例えば取出機構30(
図3参照)と同様に、基板2を保持して搬送することが可能な機構を用いることができる。なお、成形対象物収容機構90の構成の詳細な説明は省略する。
【0062】
第2カメラ20は、成形済みの基板2のコード2aおよびキャリア3のコード3cを読み取るためのものである。なお、第2カメラ20は、本発明に係る読取部および第2読取部の実施の一形態である。第2カメラ20は、搬出モジュールCにおいて、成形済みの基板2、および、成形済みの基板2が収容されるキャリア3を撮像可能な位置に配置される。本実施形態では、第2カメラ20は、キャリア搬出部19に配置されたキャリア3を撮像可能な位置に配置される。
【0063】
<樹脂成形装置1の動作の概要>
以下では、
図7から
図9を用いて、上述の如く構成された樹脂成形装置1の動作(樹脂成形装置1を用いた樹脂成形品の製造方法)の概要について説明する。なお、
図8および
図9に示す黒塗り矢印は、キャリア3の移動の様子を示している。また白抜き矢印は、基板2の移動の様子を示している。
【0064】
図7に示すように、本実施形態に係る樹脂成形品の製造方法は、主として搬入工程S1、第1読取工程S2、取出工程S3、搬送工程S4、樹脂成形工程S5、成形済基板取出工程S6、成形対象物収容工程S7、第2読取工程S8および搬出工程S9を含む。なお、説明の便宜上、
図7には各工程を1つずつ順に記載しているが、実際には異なる工程の動作が同時に実行されたり、特定の工程が複数回繰り返して実行される場合もある。
【0065】
まず、搬入工程S1が実行される。搬入工程S1は、外部から樹脂成形装置1へとキャリア3を搬入する工程である。搬入工程S1において、基板2を収容したキャリア3が、供給モジュールAのキャリア搬入部11に搬入される(
図8参照)。
【0066】
次に、第1読取工程S2が実行される。第1読取工程S2は、キャリア3のコード3c、および、キャリア3に収容された基板2のコード2aを読み取る工程である。第1読取工程S2において、第1カメラ14は、キャリア搬入部11に搬入されたキャリア3および基板2を撮像する。制御部15は、第1カメラ14が撮像した映像から、キャリア3のコード3c、および、基板2のコード2aを読み取り、キャリア3および基板2を識別する。制御部15は、キャリア3と、そのキャリア3に収容されている基板2との対応関係を紐付けて記憶する。すなわち制御部15は、キャリア3にどの基板2が収容されているかを記憶する。
【0067】
次に、取出工程S3が実行される。取出工程S3は、キャリア3から基板2を取り出す工程である。取出工程S3において、取出機構30は、キャリア搬入部11のキャリア3から基板2を取り出し、基板整列ステージ12上に基板2を並べて配置する(
図8参照)。本実施形態では、基板整列ステージ12には6つの基板2を配置することができるため、2つのキャリア3から合計6つの基板2が基板整列ステージ12へと取り出されることになる。
【0068】
ここで、取出工程S3における基板整列ステージ12への基板2の配置の順序について説明する。
図4に示すように、ローダ40の本体部41は前方に張り出すように形成されている。このため、ローダ40が基板整列ステージ12の背後に位置している状態では、取出機構30とローダ40が干渉し、基板整列ステージ12のローダ40に近い位置(後部)に基板2を配置することができない場合がある。例えば本実施形態では、
図4に示すように、前後3列のうち最も後側の列の基板2の配置位置がローダ40の本体部41と重複しているため、最も後側の列(
図10(b)の(1)および(2)の位置)に基板2を配置する際に取出機構30とローダ40とが干渉するおそれがある。
【0069】
なお、本実施形態ではローダ40の本体部41と基板2の配置位置が重複している例を挙げているが、ローダ40と基板2の配置位置が重複していない場合であっても、取出機構30とローダ40とが干渉することも想定される。
【0070】
そこで取出工程S3においては、1つ目のキャリア3から基板2を取り出す際には、
図10(a)に示すようにローダ40が基板整列ステージ12の背後から右方にずれた退避位置に退避している。この状態では、取出機構30がローダ40と干渉することはない。この状態で、取出機構30は、基板2を基板整列ステージ12へと取り出す。
【0071】
この際、取出機構30は、ローダ40に近い側(後側)から順番に基板2を配置する。例えば本実施形態では、
図10(b)に示すように、基板整列ステージ12の後側から順に(1)~(6)の配置順が設定されている。すなわち、1つ目のキャリア3から取り出された3つの基板2は、(1)~(3)の位置に配置されることになる。これによって、取出機構30とローダ40とが干渉するおそれのある(1)および(2)の位置に、基板2を配置することができる。
【0072】
なお、ローダ40は、基板整列ステージ12から右方にずれた位置に退避している際に、図示せぬ樹脂供給装置から樹脂タブレットTを受け取る。このように、退避している時間を樹脂タブレットTを受け取るための時間として利用することで、生産効率を向上させることができる。
【0073】
1つ目のキャリア3からの3つの基板2が基板整列ステージ12に取り出されると、ローダ40およびキャリア搬送ユニット50は一体的に左方に移動する。これによって、ローダ40が基板整列ステージ12の基板2を受け取ることが可能な位置(基板整列ステージ12の背後)に移動すると共に、キャリア搬送ユニット50がキャリアステージ13のキャリア3を受け取ることが可能な位置(キャリアステージ13の背後)に移動する。
【0074】
また、基板2が取り出された1つ目のキャリア3は、適宜の移動機構によってキャリア搬入部11からキャリアステージ13へと移動する。
【0075】
1つ目のキャリア3がキャリア搬入部11からキャリアステージ13へと移動した後に、再び搬入工程S1、第1読取工程S2および取出工程S3が実行される。これによって、2つ目のキャリア3に収容された基板2が基板整列ステージ12に取り出され、基板整列ステージ12には6つの基板2が整列する。
【0076】
なお、この際、ローダ40は基板整列ステージ12の背後に位置しているため、基板整列ステージ12の最も後側の列(
図10(b)の(1)および(2)の位置)がローダ40の本体部41と重複することになるが、この列にはすでに1つ目のキャリア3から取り出された基板2が配置されている。すなわち、2つ目のキャリア3から取り出された基板2が基板整列ステージ12の最も後側の列に配置されることはないため、取出機構30とローダ40とが干渉するおそれはない。
【0077】
次に、搬送工程S4が実行される。搬送工程S4は、基板2を成形型16に搬送すると共に、キャリア3をキャリア収容部80に搬送する工程である。なお、搬送工程S4は、本発明に係る成形対象物搬送工程および搬送部材搬送工程の実施の一形態である。搬送工程S4において、ローダ40は基板整列ステージ12に整列された6つの基板2を保持する(
図4参照)。またキャリア移送部60によって、キャリアステージ13のキャリア3がキャリア搬送ユニット50のキャリア載置部53へと移送される(
図5参照)。この際、2つのキャリア3が、2つのキャリア載置部53にそれぞれ載置される。
【0078】
次に、
図8に示すように、ローダ40およびキャリア搬送ユニット50が一体的に右方へと移動する。ローダ40は、樹脂成形モジュールBにおいて、成形型16に基板2および樹脂タブレットTを受け渡す。その後、ローダ40およびキャリア搬送ユニット50はさらに右方へと移動する。搬出モジュールCにおいて、キャリア収容部80はキャリア搬送ユニット50からキャリア3を受け取る。
【0079】
ここで、
図6を用いて、搬送工程S4においてキャリア収容部80がキャリア3を受け取る様子について説明する。キャリア収容部80がキャリア3を受け取る場合、まず
図6(a)に示すように、キャリア収容部80がキャリア載置部53の上方に移動する。
【0080】
次に、
図6(b)に示すように、持ち上げ部84が本体部81の内側に移動した後、上方へと移動する。これによって、一番下に設けられた支持部84bがキャリア載置部53のキャリア3を下方から持ち上げる。持ち上げられたキャリア3によって、回動支持部82が下方から押し上げられ、回動支持部82は上方へと回動する。
【0081】
キャリア3が回動支持部82よりも上まで持ち上げられると、
図6(c)に示すように、回動支持部82は自重により再び略水平な姿勢に戻る。この状態で、回動支持部82の上にキャリア3が載置され、持ち上げ部84は本体部81の外側へと退避する。このようにして、キャリア載置部53のキャリア3が、キャリア収容部80の最も下に設けられた回動支持部82に支持される。
【0082】
またこの際、すでにキャリア収容部80に収容されているキャリア3も、持ち上げ部84の他の支持部84bによって1つ上の段(1つ上の回動支持部82)まで持ち上げられることになる。すなわち、搬出モジュールCに搬送されてきたキャリア3は、キャリア収容部80の最下段に収容されると共に、別のキャリア3が搬送されてくる度に1段ずつ上の段へと移動する。
【0083】
このようにして、搬出モジュールCに搬送されてきた複数のキャリア3は、搬送されてきた順番に基づいてキャリア収容部80の上の段から順に並んで収容されることになる。このように樹脂成形装置1にキャリア収容部80を設けて複数のキャリア3の収容場所を確保することによって、樹脂成形装置1内に滞りなく基板2(キャリア3)を搬入することができるため、待機時間の発生を防止し、樹脂成形品の生産効率の向上を図ることができる。また、キャリア3は、搬送された順に上から並んで収容されるため、オペレータが直感的にキャリア3の搬送順を把握し易く、キャリア3の確認作業等を効率的に行うことができる。
【0084】
上述の搬入工程S1から搬送工程S4までの各工程は、樹脂成形モジュールBの数に応じて繰り返し実行される。例えば本実施形態では、樹脂成形モジュールBが2つ設けられているため、2つの樹脂成形モジュールBの成形型16に基板2が搬送されるまで、繰り返し実行される。
【0085】
次に、樹脂成形工程S5が実行される。樹脂成形工程S5は、成形型16に搬送された基板2を樹脂成形する工程である。樹脂成形工程S5において、型締め機構17は、下型を上昇させて成形型16を型締めする。そして、成形型16の加熱部(不図示)によって樹脂タブレットTを加熱して溶融させ、生成された溶融樹脂を用いて基板2を樹脂封止する。
【0086】
次に、成形済基板取出工程S6が実行される。成形済基板取出工程S6は、成形型16によって樹脂成形された基板2を成形型16から取り出す工程である。成形済基板取出工程S6においてアンローダ70は、成形型16で樹脂成形された基板2を保持し、レールXに沿って搬出モジュールCへと移動し、成形済基板整列ステージ18に成形済みの基板2を配置する(
図9参照)。
【0087】
なお、本実施形態のように、樹脂成形モジュールB(成形型16)が複数設けられている場合には、アンローダ70は、搬送工程S4において基板2が先に搬送された成形型16から順に成形済みの基板2の搬出を行う。これによって、後述する成形対象物収容工程S7において、基板2とキャリア3の対応関係を維持することができる。
【0088】
次に、成形対象物収容工程S7が実行される。成形対象物収容工程S7は、成形済みの基板2をキャリア3に収容する工程である。成形対象物収容工程S7において、まず適宜の移動機構によって、キャリア収容部80に収容されたキャリア3がキャリア搬出部19へと取り出される。この際、キャリア収容部80に収容されたキャリア3のうち、最も上の段に収容されているキャリア3が取り出される。次に、成形対象物収容機構90によって、成形済基板整列ステージ18に載置された基板2が、キャリア搬出部19に配置されたキャリア3に収容される。
【0089】
次に、第2読取工程S8が実行される。第2読取工程S8は、キャリア3のコード3c、および、キャリア3に収容された成形済みの基板2のコード2aを読み取る工程である。第2読取工程S8において、第2カメラ20は、成形済みの基板2を収容したキャリア3を撮像する。制御部15は、第2カメラ20が撮像した映像から、キャリア3のコード3c、および、成形済みの基板2のコード2aを読み取り、キャリア3および基板2を識別する。また制御部15は、キャリア3と成形済みの基板2の対応関係が、第1読取工程S2において記憶した対応関係と一致しているかを判定する。制御部15は、キャリア3と基板2の対応関係が一致していない場合、例えばオペレータに警告を発したり、樹脂成形装置1の動作を停止させたりする。
【0090】
次に、搬出工程S9が実行される。搬出工程S9は、樹脂成形装置1から外部へとキャリア3を搬出する工程である。搬出工程S9において、成形済みの基板2を収容したキャリア3が、搬出モジュールCのキャリア搬出部19から外部へと搬出される(
図9参照)。
【0091】
以上のように、本実施形態に係る樹脂成形装置1では、キャリア3に収容された基板2を、キャリア3から取り出して樹脂成形を行うことができる。これによって、成形型16の大型化を抑制することができる。また、成形型16に対して基板2の位置決めを直接行うことができるため、基板2の位置精度の向上を図ることができる。
【0092】
また本実施形態に係る樹脂成形装置1は、樹脂成形後の基板2を再びキャリア3に収容することができる。この際、基板2は、樹脂成形前に収容されていたキャリア3と同じキャリア3に収容される。これによって、例えばキャリア3を用いて基板2の管理(例えば、ロット管理等)を行うことができる。
【0093】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の技術的思想の範囲内で適宜の変更が可能である。
【0094】
例えば、上記各実施形態で例示した各部材の構成(形状や個数等)は特に限定するものではなく、任意に変更することができる。一例として、ローダ40やアンローダ70による基板2の保持方法は特に限定するものではない。また、キャリア搬送ユニット50によるキャリア3の保持方法は特に限定するものではない。また、各装置によって一度に搬送される基板2およびキャリア3の個数や、基板整列ステージ12および成形型16における基板2の配列等は任意に変更することができる。
【0095】
また、本実施形態では基板2およびキャリア3にそれぞれ2次元コード等のコードを付与した例を示したが、本発明はこれに限るものではなく、その他種々の識別子を用いることが可能である。例えば、文字列や色彩等を識別子として用いることや、樹脂成形装置1における環境(熱、荷重等)に耐え得るICタグを識別子として用いることも可能である。なお、ICタグを用いる場合、第1カメラ14等に代えて、ICタグと通信可能な通信機器を用いて識別子の情報を読み取ることができる。
【0096】
また、本実施形態で示した読取工程(第1読取工程S2および第2読取工程S8)は一例であり、基板2のコード2aおよびキャリア3のコード3cの読み取りは、任意の場所および任意のタイミングで行うことが可能である。一例として、本実施形態では、キャリア収容部80から取り出されたキャリア3のコード3cを第2カメラ20で読み取る例(第2読取工程S8参照)を示したが、搬送工程S4においてキャリア収容部80へと収容されるキャリア3のコード3cを読み取ることも可能である。これによって、キャリア収容部80に収容されるキャリア3を識別し、キャリア3が適切な位置に収容されているか等を把握することができる。
【0097】
その他、第2カメラ20を用いて、キャリア3に収容される前の成形済みの基板2(成形済基板整列ステージ18に載置された基板2)のコード2aを読み取ることも可能である。また、第1カメラ14を用いて、基板整列ステージ12に配置された基板2のコード2aやキャリアステージ13に配置されたキャリア3のコード3cを読み取ることも可能である。
【0098】
また、本実施形態で示したキャリア収容部80(
図6参照)は一例であり、キャリア収容部80の具体的な構成は任意に変更することが可能である。例えば
図11に示すキャリア収容部80の変形例のように、回動可能な回動支持部82ではなく、回動不能な複数段の支持部80aにキャリア3を収容することも可能である。この場合、例えば搬送されてくるキャリア3の高さに応じてキャリア収容部80を上下に適宜昇降させて、側方からキャリア3を各支持部80aに収納することができる。この場合も、搬送されてきたキャリア3の順番に基づいて、キャリア収容部80の上の段(又は、下の段)から順にキャリア3を収容することが望ましい。
【0099】
また、本実施形態では、1つのキャリア3に3つの基板2が収容され、1つの成形型16で6つの基板2(2つのキャリア3で搬入される基板2)を成形する例を示したが、これは一例であり、キャリア3に収容可能な基板2の個数と、1つの成形型16で同時に成形可能な基板2の個数は、任意に変更することが可能である。例えば、1つのキャリア3に3つの基板2が収容可能であるのに対して、1つの成形型16で成形可能な基板2の個数を8個、10個、12個等にすることも可能である。このようにキャリア3に収容可能な基板2の個数と成形型16で成形可能な基板2の個数の関係が変更されたとしても、本実施形態に係る樹脂成形装置1によって、成形前後で基板2とキャリア3の対応関係を維持することができる。すなわち、樹脂成形装置1では、基板2が取り出されたキャリア3がキャリア収容部80に順番に収容され、成形済みの基板2が順にキャリア3に収容されるため、基板2とキャリア3の対応関係が維持される。さらに樹脂成形装置1では、第1カメラ14および第2カメラ20によって基板2とキャリア3との対応関係を確認することができるため、より確実に基板2とキャリア3の対応関係を維持することができる。
【0100】
また、本実施形態で例示した樹脂成形装置1の動作は一例であり、本発明はこれに限るものではない。すなわち、樹脂成形装置1の各部の動作順や動作態様は任意に変更することが可能である。
【0101】
<付記>
本開示の第1側面の樹脂成形装置1は、
基板2(成形対象物)を収容したキャリア3(搬送部材)から前記基板2を取り出す取出機構30と、
前記キャリア3から取り出された前記基板2を成形型16に搬送するローダ40(第1成形対象物搬送機構)と、
前記基板2が取り出された前記キャリア3を収容可能なキャリア収容部80(搬送部材収容部)と、
前記基板2が取り出された前記キャリア3材を前記キャリア収容部80に搬送するキャリア搬送ユニット50(搬送部材搬送機構)と、
樹脂成形するように前記基板2が搬送された前記成形型16を型締めする型締め機構17と、
成形後の前記基板2を前記成形型16から搬出するアンローダ70(第2成形対象物搬送機構)と、
前記キャリア収容部80に収容されていた前記キャリア3に、前記成形型16から搬出された前記基板2を収容する成形対象物収容機構と、
を備える。
本開示の第1側面の樹脂成形装置1によれば、キャリア3に収容された基板2を取り出して樹脂成形を行い、その後、再び基板2をキャリア3に収容することができる。これによって、成形型16の大型化を抑制することができる。また、成形型16に対して直接的に基板2の位置決めを行うことができるため、基板2の位置精度の向上を図ることができる。
【0102】
第1側面に従う第2側面の樹脂成形装置1において、
前記ローダ40と前記キャリア搬送ユニット50とが、少なくとも一部の移動領域において共に移動可能である。
本開示の第2側面の樹脂成形装置1によれば、ローダ40とキャリア搬送ユニット50とで移動領域を共有することで、樹脂成形装置1の大型化を抑制することができる。
【0103】
第1又は第2側面に従う第3側面の樹脂成形装置1は、
前記キャリア3と前記基板2の少なくとも一方に付与された識別子(コード3c、コード2a)を読み取り可能な読取部(第1カメラ14、第2カメラ20)を備える。
本開示の第3側面の樹脂成形装置1によれば、キャリア3と基板2の少なくとも一方を識別して管理することができる。これによって、基板2やキャリア3の搬送や成形等が問題なく行われているか否かを確認し易くなる。
【0104】
第1又は第2側面に従う第4側面の樹脂成形装置1は、
成形前の前記基板2、および、成形前の前記基板2が収容された前記キャリア3に付与された識別子を読み取り可能な第1カメラ14(第1読取部)と、
成形後の前記基板2、および、成形後の前記基板2が収容される前記キャリア3に付与された識別子を読み取り可能な第2カメラ20(第2読取部)と、
を備える。
本開示の第4側面の樹脂成形装置1によれば、成形前後の基板2とキャリア3との対応関係を確認することができる。これによって、成形前後で基板2とキャリア3との対応関係が維持し易くなるため、例えばキャリア3を用いた基板2の管理(例えば、ロット管理等)が行い易くなる。
【0105】
第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の樹脂成形装置1において、
前記キャリア収容部80は、前記キャリア搬送ユニット50により搬送された順番に基づいて前記キャリア3を複数収容可能である。
本開示の第5側面の樹脂成形装置1によれば、搬送された順番にキャリア3を収容できるため、キャリア3の順番の管理や把握が容易となる。
【0106】
第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の樹脂成形装置1は、
前記取出機構30により取り出された前記基板2が載置される基板整列ステージ12(載置部)を具備し、
前記取出機構30は、前記キャリア3から取り出した前記基板2を、前記ローダ40と干渉しないように前記基板整列ステージ12に載置する。
本開示の第5側面の樹脂成形装置1によれば、基板2を取り出す際のローダ40との干渉を防止することができる。
【0107】
第6側面に従う第7側面の樹脂成形装置1において、
前記取出機構30は、前記ローダ40が退避位置に退避している際に、前記基板整列ステージ12の所定の位置に前記基板2を載置する。
本開示の第7側面の樹脂成形装置1によれば、基板2を取り出す際のローダ40との干渉を防止することができる。
【0108】
本開示の第8側面の樹脂成形品の製造方法は、
第1から第7側面のいずれか1つに従う樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記キャリア3から前記基板2を取り出す取出工程S3と、
前記取出工程S3により取り出された前記基板2を前記成形型16に搬送する搬送工程S4(成形対象物搬送工程)と、
前記基板2が取り出された前記キャリア3を搬送する搬送工程S4(搬送部材搬送工程)と、
前記搬送工程S4により前記成形型16に搬送された前記基板2を樹脂成形する樹脂成形工程S5と、
前記搬送工程S4により搬送された前記キャリア3に、前記樹脂成形工程S5により樹脂成形された前記基板2を収容する成形対象物収容工程S7と、
を含む。
本開示の第8側面の樹脂成形品の製造方法によれば、キャリア3に収容された基板2を取り出して樹脂成形を行うことができる。これによって、成形型16の大型化を抑制することができる。また、成形型16に対して直接的に基板2の位置決めを行うことができるため、基板2の位置精度の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0109】
1 樹脂成形装置
2 基板
3 キャリア
12 基板整列ステージ
14 第1カメラ
16 成形型
17 型締め機構
20 第2カメラ
30 取出機構
40 ローダ
50 キャリア搬送ユニット
70 アンローダ
80 キャリア収容部
【手続補正書】
【提出日】2022-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形対象物を収容した搬送部材から前記成形対象物を取り出す取出機構と、
前記搬送部材から取り出された前記成形対象物を成形型に搬送する第1成形対象物搬送機構と、
前記成形対象物が取り出された前記搬送部材を収容可能な搬送部材収容部と、
前記成形対象物が取り出された前記搬送部材を前記搬送部材収容部に搬送する搬送部材搬送機構と、
樹脂成形するように前記成形対象物が搬送された前記成形型を型締めする型締め機構と、
成形後の前記成形対象物を前記成形型から搬出する第2成形対象物搬送機構と、
前記搬送部材収容部に収容されていた前記搬送部材に、前記成形型から搬出された前記成形対象物を収容する成形対象物収容機構と、
を備える樹脂成形装置。
【請求項2】
前記第1成形対象物搬送機構と前記搬送部材搬送機構とが、少なくとも一部の移動領域において共に移動可能である、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
前記搬送部材と前記成形対象物の少なくとも一方に付与された識別子を読み取り可能な読取部を備える、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項4】
成形前の前記成形対象物、および、成形前の前記成形対象物が収容された前記搬送部材に付与された識別子を読み取り可能な第1読取部と、
成形後の前記成形対象物、および、成形後の前記成形対象物が収容される前記搬送部材に付与された識別子を読み取り可能な第2読取部と、
を備える、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
前記搬送部材収容部は、前記搬送部材搬送機構により搬送された順番に基づいて前記搬送部材を複数収容可能である、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
前記取出機構により取り出された前記成形対象物が載置される載置部を具備し、
前記取出機構は、前記搬送部材から取り出した前記成形対象物を、前記第1成形対象物搬送機構と干渉しないように前記載置部に載置する、請求項1に記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
前記取出機構は、前記第1成形対象物搬送機構が退避位置に退避している際に、前記載置部の所定の位置に前記成形対象物を載置する、
請求項6に記載の樹脂成形装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の樹脂成形装置を用いた樹脂成形品の製造方法であって、
前記搬送部材から前記成形対象物を取り出す取出工程と、
前記取出工程により取り出された前記成形対象物を前記成形型に搬送する成形対象物搬送工程と、
前記成形対象物が取り出された前記搬送部材を搬送する搬送部材搬送工程と、
前記成形対象物搬送工程により前記成形型に搬送された前記成形対象物を樹脂成形する樹脂成形工程と、
前記搬送部材搬送工程により搬送された前記搬送部材に、前記樹脂成形工程により樹脂成形された前記成形対象物を収容する成形対象物収容工程と、
を含む樹脂成形品の製造方法。