(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033231
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】車両用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/56 20060101AFI20240306BHJP
B60N 2/66 20060101ALI20240306BHJP
A47C 7/74 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B60N2/56
B60N2/66
A47C7/74
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136707
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 啓志郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 拓実
(72)【発明者】
【氏名】石山 陽介
(72)【発明者】
【氏名】杉平 洋平
(72)【発明者】
【氏名】福嶋 正人
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
【Fターム(参考)】
3B084JA02
3B084JG06
3B087DE10
(57)【要約】
【課題】シートに搭載された空調装置の空調効率を向上することができる車両用シートを提供する。
【解決手段】車両用シート10は、骨格を構成するシートバックフレーム20に装着されたシートバックパッド22と、シートバックパッド22のシート後方側に設けられると共に着座者Pの着座姿勢を補助可能に構成されかつシートバック厚さ方向に貫通された開口部58を備えた背部支持装置50と、空気の吸い込み及び吹き出しを行う空調機102と、空調機102に接続されると共に、背部支持装置50の開口部58に挿通され、空調機102に応じて着座者P側への空気の吹き出し及び着座者P側からの空気の吸い込みの少なくとも一方を行う流路形成部104と、を備えた空調装置100と、を有する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨格を構成するシートバックフレームに装着されたシートバックパッドと、
前記シートバックパッドのシート後方側に設けられると共に着座者の着座姿勢を補助可能に構成されかつシートバック厚さ方向に貫通された開口部を備えた背部支持装置と、
空気の吸い込み及び吹き出しを行う空調機と、前記空調機に接続されると共に、前記背部支持装置の前記開口部に挿通され、前記空調機に応じて着座者側への空気の吹き出し及び着座者側からの空気の吸い込みの少なくとも一方を行う流路形成部と、を備えた空調装置と、
を有する車両用シート。
【請求項2】
前記空調装置の前記空調機は、前記背部支持装置よりもシート上方側に設けられている、
請求項1記載された車両用シート。
【請求項3】
前記背部支持装置は、
着座者の背部からの荷重を受けて変形可能に構成されると共に、上部に前記開口部が形成された受圧部と、
前記受圧部を介して着座者の腰部を支持可能に構成されたランバサポート部と、
前記開口部の下縁部において前記受圧部の前記上部をシート後方側から支持する上側フレーム部と、
を備えている、
請求項2に記載された車両用シート。
【請求項4】
前記シートバックパッドは、シートバック厚さ方向に貫通された挿通部を備えており、
前記流路形成部は、前記空調機に接続されると共に前記背部支持装置の前記開口部及び前記シートバックパッドの前記挿通部に挿通されたダクト部と、前記ダクト部に接続されると共に前記シートバックパッドの前面側に沿って延設され、前記空調機に応じて着座者側への空気の吹き出し及び着座者側からの空気の吸い込みの少なくとも一方を行う換気部と、を備えている、
請求項3に記載された車両用シート。
【請求項5】
前記背部支持装置における前記受圧部の前記開口部は、シートバック厚さ方向におけるシート正面側から見て前記シートバックパッドの挿通部の奥側に形成されている、
請求項4に記載された車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、シートに着座した人体の背中へ向けて送風を行うことができるシート空調装置を備えたシートが開示されている。この文献に記載されたシートは、プレートによって人体の腰部を支えるランバーサポート(ランバサポート)と、シートに着座した人体の背中へ向けて送風される空気が流れる送風ダクトと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シートバックにおいて着座者側への空気の吹き出し及び着座者側からの空気の吸い込みの少なくとも一方を行う空調装置を備えた所謂ベンチレーションシートにおいて、空調装置の車両用シートへの搭載性等の観点で、空気が流れる流路を形成する流路形成部を、ポリウレタンフィルム等の柔らかい素材で形成することが考えられる。
【0005】
この場合、着座時の局所的な負荷によって流路形成部が圧迫されると、流路形成部が潰れて空調効率が低下してしまう虞がある。よって、ベンチレーションシートにおいて、流路形成部の潰れを抑制できることが望ましいが、上記特許文献1に記載された構成はこの点を考慮していない。
【0006】
本発明は、上記の事実を考慮し、シートに搭載された空調装置の空調効率を向上することができる車両用シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る車両用シートは、骨格を構成するシートバックフレームに装着されたシートバックパッドと、前記シートバックパッドのシート後方側に設けられると共に着座者の着座姿勢を補助可能に構成されかつシートバック厚さ方向に貫通された開口部を備えた背部支持装置と、空気の吸い込み及び吹き出しを行う空調機と、前記空調機に接続されると共に、前記背部支持装置の前記開口部に挿通され、前記空調機に応じて着座者側への空気の吹き出し及び着座者側からの空気の吸い込みの少なくとも一方を行う流路形成部と、を備えた空調装置と、を有する。
【0008】
請求項1に記載の本発明によれば、シートバックパッドは、骨格を構成するシートバックフレームに装着されている。シートバックパッドの後方側には、着座者の着座姿勢を補助可能に構成された背部支持装置が設けられている。よって、着座者の背部は、背部支持装置と、背部支持装置に後方側から支持されたシートバックパッドとによって支持される。
【0009】
車両用シートに搭載された空調装置が着座者側へ空気を吹き出す形式である場合、空調機から流路形成部を介して着座者の背部周辺へ空気が送られる。また、車両用シートに搭載された空調装置が着座者側から空気を吸い込む形式である場合、着座者の背部周辺から流路形成部を介して空調機に空気が吸い込まれる。
【0010】
着座者の背部からシートバックに対して略後ろ向きの荷重がかかると、シートバックパッドのシート後方側に設けられた背部支持装置によって、シートバックパッドはシート後方側への移動を規制される。ここで、空調機に接続された流路形成部は、背部支持装置においてシートバック厚さ方向、即ちシートバックの起立姿勢における略前後方向に貫通された開口部に挿通されている。よって、流路形成部がシートバックパッドと背部支持装置の上下方向の端部又はシート幅方向の端部との間に挟まれて押し潰されることを抑制することができる。これにより、空調機から吹き出されて流路形成部を通って着座者側へ送られる空気又は着座者側から吸い込まれて流路形成部を通って空調機へ送られる空気の流れが阻害されることが抑制される。
【0011】
請求項2に記載の本発明に係る車両用シートは、請求項1に記載の発明において、前記空調装置の前記空調機は、前記背部支持装置よりもシート上方側に設けられている。
【0012】
請求項2に記載の本発明によれば、空調機は、背部支持装置よりもシート上方側、即ちシートバック厚さ方向から見て背部支持装置と重ならない位置に設けられているため、シートバックの厚さ方向の寸法を抑えることができる。
【0013】
また、空調機から延出された流路形成部は、背部支持装置の開口部の後方側かつ上方側を通って配置される。このように空調機が開口部の真後ろに配置されていない場合であっても、背部支持装置がシートバックパッドのシート後方側への移動を規制するため、背部支持装置の後方側を通る流路形成部の変形が抑制される。よって、空調機から延出された流路形成部がシートバックパッドと背部支持装置の上端部との間に挟まれて押し潰されることを抑制することができる。
【0014】
請求項3に記載の本発明に係る車両用シートは、請求項2に記載の発明において、前記背部支持装置は、着座者の背部からの荷重を受けて変形可能に構成されると共に、上部に前記開口部が形成された受圧部と、前記受圧部を介して着座者の腰部を支持可能に構成されたランバサポート部と、前記開口部の下縁部において前記受圧部の前記上部をシート後方側から支持する上側フレーム部と、を備えている。
【0015】
請求項3に記載の本発明によれば、着座者の腰部は受圧部を介してランバサポート部によって支持される。また、受圧部は、着座者の背部からの荷重を受けて変形される。これにより、着座者は良好な着座姿勢を維持することができる。
【0016】
ここで、受圧部の上部は、上側フレーム部に支持されている。具体的には、受圧部は、開口部の下縁部おいて上側フレーム部によってシート後方側から支持されている。
【0017】
仮に、受圧部に開口部が形成されていないとすると、流路形成部は、背部支持装置の上方側を通って空調機に接続されることになる。この場合、シートバックに対して着座者の背部から後ろ向きの荷重がかかると、流路形成部は、受圧部の上端部又は上側フレーム部とシートバックパッドとの間に挟まれて押し潰されてしまう。
【0018】
これに対して、本願発明では、受圧部の上部に開口部が形成されており、流路形成部は、この開口部に挿通されている。このため、開口部の上縁部によって、シートバックパッドのシート後方側への移動が規制されることで、開口部の下縁部又は上側フレーム部とシートバックパッドとの間に流路形成部が挟まれることが抑制される。
【0019】
請求項4に記載の本発明に係る車両用シートは、請求項3に記載の発明において、前記シートバックパッドは、シートバック厚さ方向に貫通された挿通部を備えており、前記流路形成部は、前記空調機に接続されると共に前記背部支持装置の前記開口部及び前記シートバックパッドの前記挿通部に挿通されたダクト部と、前記ダクト部に接続されると共に前記シートバックパッドの前面側に沿って延設され、前記空調機に応じて着座者側への空気の吹き出し及び着座者側からの空気の吸い込みの少なくとも一方を行う換気部と、を備えている。
【0020】
請求項4に記載の本発明によれば、流路形成部におけるダクト部は、空調機に接続されると共に、背部支持装置の開口部に挿通されかつシートバックパッドにおいてシートバック厚さ方向に貫通された挿通部に挿通されている。つまり、空調機に接続されたダクト部は、背部支持装置の後方側から開口部を通り、さらにシートバックパッドの挿通部を通ってシートバックパッドの前面側まで延設されている。
【0021】
また、ダクト部に接続された換気部は、シートバックパッドの前面側に沿って延設されており、この換気部によって、着座者側への空気の吹き出し及び着座者側からの空気の吸い込みの少なくとも一方が行われる。よって、着座者の背部周辺が効率よく換気される。
【0022】
請求項5に記載の本発明に係る車両用シートは、請求項4に記載の発明において、前記背部支持装置における前記受圧部の前記開口部は、シートバック厚さ方向におけるシート正面側から見て前記シートバックパッドの挿通部の奥側に形成されている。
【0023】
請求項5に記載の本発明によれば、背部支持装置の開口部は、シートバックパッドの挿通部の近傍に形成されているため、背部支持装置の開口部とシートバックパッドの挿通部との間の区間で、ダクト部が受圧部とシートバックパッドとの間に挟まれて押し潰されることが抑制される。また、ダクト部を、長く屈曲した複雑な経路で配設せずに済むため、スペース効率よくダクト部を配設しつつ、より一層空調効率を向上することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両用シートは、シートに搭載された空調装置の空調効率を向上することができるという優れた効果を有する。
【0025】
請求項2に記載の本発明に係る車両用シートは、背部支持装置及び空調装置の性能を維持しつつ、意匠性を向上することができるという優れた効果を有する。
【0026】
請求項3に記載の本発明に係る車両用シートは、シートに搭載された空調装置の空調効率をより一層向上することができるという優れた効果を有する。
【0027】
請求項4に記載の本発明に係る車両用シートは、シートに搭載された空調装置の空調効率をさらにより一層向上することができるという優れた効果を有する。
【0028】
請求項5に記載の本発明に係る車両用シートは、スペース効率よくダクト部を配設しつつ、シートに搭載された空調装置の空調効率をより一層向上することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本実施形態に係る車両用シートの前方斜視図である。
【
図2】
図1に示されるシートバックのシートバックパッド及び空調装置を示す正面図である。
【
図3】
図1に示される背部支持装置の背面図である。
【
図4】
図3に示される背部支持装置のバスケットの正面図である。
【
図5】
図1に示される車両用シートの5-5線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、
図1~
図7を用いて、本発明の一実施形態に係る車両用シート10について説明する。なお、各図に適宜示される矢印FR、矢印UP、矢印LH及び矢印RHは、車両用シート10のシート前方側、シート上方側、シート幅方向左側及びシート幅方向右側を示している。また、以下の説明で特記なく前後、上下、左右の方向を用いる場合は、シート前後方向(シートバック厚さ方向)の前後、シート上下方向(シートバック上下方向)の上下、シート左右方向(シートバック左右方向)の左右をそれぞれ示すものとする。
【0031】
〔車両用シート10の全体構成〕
図1に示される車両用シート10は、着座者としての乗員P(
図5参照)の臀部及び大腿部を支持可能に構成されたシートクッション12と、シートクッション12の後端部に接続され、乗員Pの背部B(
図5参照)を支持可能に構成されたシートバック14と、を含んで構成されている。さらに、車両用シート10は、シートバック14の上端部に接続され、乗員Pの頭部を支持可能に構成されたヘッドレスト16を備えている。
【0032】
車両用シート10は、例えば金属によって構成された骨格部材であるシートフレーム18を備えている。このシートフレーム18は、シートクッション12の骨格を構成するシートクッションフレーム(図示省略)と、シートバック14の骨格を構成するシートバックフレーム20と、を備えている。シートバックフレーム20は、リクライナ(図示省略)を介してシートクッションフレーム(図示省略)の後部に回動可能に取り付けられている。
図1において、シートバック14は起立姿勢とされており、シートバック14の厚さ方向及び上下方向は、車両用シート10の前後方向及び上下方向と略一致している。
【0033】
シートバック14は、乗員P(
図5参照)の着座姿勢を補助可能に構成された背部支持装置50と、乗員Pの背部B(
図5参照)側、即ち乗員Pが着座するシートバック14の前方側から空気を吸い込む空調装置100と、を備えている。背部支持装置50及び空調装置100については、それぞれ後に詳述する。
【0034】
(シートバックパッド22)
また、シートバック14のシートバックフレーム20には、例えばウレタンフォーム等の発泡体によって成形された弾力性を有するシートバックパッド22が装着されている。
【0035】
図2には、シートバックパッド22及び空調装置100の正面図が示されている。
図2に示されるように、シートバックパッド22は、乗員Pの背部B(
図5参照)と略前後方向、即ちシートバック14の厚さ方向に対向して配置されるメイン部24と、メイン部24の左右両側に設けられ、それぞれメイン部24よりも前方側へ突出して形成された左右一対のサイドサポート部25と、を備えている。ここで、メイン部24には、挿通部としての長孔24Aがシートバック14の厚さ方向に貫通して形成されている。長孔24Aは、一例として乗員P(
図5参照)の肩甲骨に対応する位置に形成されている。長孔24Aは、後述する空調装置100のダクト部108を挿通可能に、シートバック14の厚さ方向から見て略矩形状に形成されている。なお、長孔24Aの位置及び形状は上記に限定されるものではない。また、挿通部は長孔でなくてもよく、ダクト部の形状に合わせて例えば円形や正方形状であってもよい。
【0036】
メイン部24は、長孔24Aよりも上方側、即ち一例として乗員P(
図5参照)の肩や首に対応する位置に形成された上部パッド26と、長孔24Aよりも下方側、即ち一例として乗員Pの肩甲骨以下の背部Bに対応する位置に形成された下部パッド28とを備えている。上部パッド26と下部パッド28とは、一例として、一体に成形されている。上部パッド26及び下部パッド28については、後に詳述する。
【0037】
(表皮30)
図5に示されるように、シートバックパッド22は、布材、ニット素材、合成皮革、皮革等からなる複数の表皮片が互いに縫製されて構成された表皮30に覆われている。表皮30には、乗員P側から後述する空調装置100の流路形成部104へ空気を流すための小さな開口(図示省略)が複数形成されている。なお、
図1では、シートバック14の内部構造を明示するため、シートバックフレーム20に装着されたシートバックパッド22を仮想線で図示し、表皮30の図示を省略している。
【0038】
(シートバックフレーム20)
図1に示されるように、シートバックフレーム20は、シート幅方向両端部において略上下方向に延在する左右一対のサイドフレーム32を備えている。さらに、シートバックフレーム20は、左右一対のサイドフレーム32の上端部同士をシート幅方向に連結するアッパフレーム34と、左右一対のサイドフレーム32の下端部同士をシート幅方向に連結するロアフレーム36と、を備えている。
【0039】
アッパフレーム34は、シートバック14の厚さ方向から見て下側が開放された略U字状に形成されている。具体的には、アッパフレーム34は、シート幅方向に延在するアッパパイプ34Aと、アッパパイプ34Aのシート幅方向両端部からそれぞれ下方側へ向かって一体に形成された左右一対のアッパサイドパイプ34Bと、を含んで構成されている。左右一対のアッパサイドパイプ34Bの下部は、左右一対のサイドフレーム32の上端部にそれぞれ固定されている。
【0040】
アッパフレーム34におけるアッパパイプ34Aの前側には、略上下方向に延在する左右一対のステー支持部38が固定されている。左右一対のステー支持部38は、それぞれ筒状に形成されており、ヘッドレスト16における左右一対のヘッドレストステー16Aが挿通されている。
【0041】
アッパパイプ34Aの下方側には、シートバック14の厚さ方向を板厚方向としてシート幅方向に延在する板状の架橋フレーム40が設けられている。架橋フレーム40のシート幅方向両端部は、左右一対のアッパサイドパイプ34Bの後側にそれぞれ固定されている。
【0042】
シートバック14の厚さ方向から見てアッパパイプ34Aと架橋フレーム40との間には、後述する空調装置100のブロワ102を固定するためのブロワベース42が設けられている。ブロワベース42の上端部は、アッパパイプ34Aのシート幅方向中央部の後側に固定されている。一方、ブロワベース42の下端部は、架橋フレーム40のシート幅方向中央部の後側に固定されている。
【0043】
また、架橋フレーム40の上端部には、略円筒状に形成された左右一対の上部支持部40Aが設けられている。この上部支持部40Aには、後述する背部支持装置50の支持ワイヤ62が挿通され嵌合されている。このように背部支持装置50の上端部は、架橋フレーム40に接続されることでシートバックフレーム20に支持される構成とされている。
【0044】
一方、背部支持装置50の下端部は、ロアフレーム36に接続されることでシートバックフレーム20に支持される構成とされている。なお、シートバックフレーム20の構成は上記に限定されるものではない。
【0045】
〔空調装置100〕
次に、シートバック14に内蔵された空調装置100について説明する。
【0046】
空調装置100は、空調機としてのブロワ102と、ブロワ102に接続されると共に、シートバック14の着座面側、即ち乗員Pの背部B(
図5参照)側から吸い込んだ空気をブロワ102へ流す流路を形成する流路形成部104と、を備えている。
【0047】
(ブロワ102)
ブロワ102は、背部支持装置50よりもシート上方側かつシート後方側において、ブロワベース42の後側に取り付けられている。ブロワ102は、流路形成部104から空気を吸い込み、この空気を吹出口(図示省略)から吹き出す構成とされている。
【0048】
(流路形成部104)
流路形成部104は、例えばポリウレタンフィルム等の柔らかい素材で形成されている。流路形成部104は、シートバック14の着座面側から空気を吸い込む換気部106と、ブロワ102と換気部106とを連結するダクト部108と、を備えている。なお、流路形成部104の素材は上記に限定されるものではない。
【0049】
図2に示されるように、換気部106は、シートバック14の厚さ方向から見て上下方向を長手方向とする略矩形状に形成され、シートバックパッド22におけるメイン部24の前面側に配設されている。換気部106は、乗員P(
図5参照)の背部Bの中央部に沿うように、メイン部24において下部パッド28のシート幅方向及びシート上下方向の略全体に亘って設けられている。
【0050】
換気部106の前方側には、複数の換気口(図示省略)が形成されている。この換気口を介してシートバック14の着座面側から換気部106に空気が吸い込まれ、さらにダクト部108を介して吸い込まれた空気がブロワ102へ送られる構成とされている。
【0051】
ダクト部108は、平断面視で略矩形の筒状かつシートバック14の厚さ方向から見て上下方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。ダクト部108の上端部108Aは、ブロワ102に接続されている。一方、ダクト部108の下端部108Bは、換気部106の上端部におけるシート幅方向の中央部に接続されている。これにより、ダクト部108は、シート幅方向左側から見た側面視で略J字状に配置されている(
図1及び
図5参照)。
【0052】
ダクト部108の下端部108Bは、シートバックパッド22の長孔24Aに挿通されており、略前後方向に配置されている。また、
図5に示されるように、ダクト部108の下端部108Bは、後述する背部支持装置50のバスケット52に形成された開口部58に挿通されている。つまり、換気部106から延設されたダクト部108は、シートバックパッド22の長孔24Aを通り、さらに背部支持装置50の開口部58を通ってブロワ102に接続されている。
【0053】
〔背部支持装置50〕
次に、背部支持装置50について詳述する。背部支持装置50は、シートバックパッド22のシート後方側において、シートバック14に内蔵されている。
【0054】
図3には、背部支持装置50の背面図が示されている。背部支持装置50は、乗員P(
図5参照)の背部Bからの荷重を受けて変形可能に構成された受圧部としてのバスケット52と、バスケット52を介して乗員Pの腰椎を含む腰部を支持可能に構成されたランバサポート部54と、を備えている。
【0055】
バスケット52の上部56には、略前後方向、即ちシートバック14(
図1参照)の厚さ方向に貫通した開口部58が形成されている。また、背部支持装置50は、シート幅方向に延在し、バスケット52を後方側から支持する上側フレーム部60を備えている。つまり、バスケット52は、上側フレーム部60及びランバサポート部54によって、シート後方側から支持されている。
【0056】
また、背部支持装置50は、シートバック14の厚さ方向から見て上側が開放された略U字状に形成された支持ワイヤ62を備えている。支持ワイヤ62は、下端部においてシート幅方向に延在するロアワイヤ64と、ロアワイヤ64のシート幅方向両端部から上方側へ延設された左右一対のガイドワイヤ66と、を含んで構成されている。
【0057】
左右一対のガイドワイヤ66の上端部68は、シート幅方向に延設された被係止部68Aと、被係止部68Aのシート幅方向外側の端部から略上方側へ延設された被支持部68Bと、を含んで構成されている。被係止部68Aは、後述するバスケット52の係止部86に係止されている。また、被支持部68Bは、架橋フレーム40の上部支持部40A(
図1参照)に挿通され嵌合されている。
【0058】
上側フレーム部60のシート幅方向両端部は、被係止部68Aの下方側において左右一対のガイドワイヤ66の上部に固定されている。
【0059】
また、背部支持装置50は、ロアワイヤ64に接続されシート幅方向に延設された下側フレーム部70を備えている。さらに、ロアワイヤ64のシート幅方向中央部には、連結部72が接続されている。連結部72には、左右一対の下部支持孔72Aが形成されている。連結部72は、この下部支持孔72Aに挿通されたボルト(図示省略)によって、シートバックフレーム20(
図1参照)のロアフレーム36に締結されている。
【0060】
(ランバサポート部54)
ランバサポート部54は、上部に設けられた上側昇降部74と、下部に設けられた下側昇降部76と、を備えている。上側昇降部74及び下側昇降部76は、それぞれシート幅方向両端部において、左右一対のガイドワイヤ66に摺動可能に係合されている。上側昇降部74と下側昇降部76とは、左右一対のアーチ形成部78によってそれぞれ略上下方向に連結されている。アーチ形成部78は、例えば上下方向を長手方向とする帯状の弾性を有する金属板又は樹脂板によって構成されている。
【0061】
ランバサポート部54はさらに、シート幅方向中央部において、右側に設けられたサポート部昇降機構80と、左側に設けられたアーチ変形機構82と、を備えている。
【0062】
サポート部昇降機構80は、上下方向に延設されたねじ軸80Aと、下側昇降部76に設けられたモータ80Bと、モータ80Bとねじ軸80Aとを連結する図示しないギア機構と、を含んで構成されている。ねじ軸80Aは、下側昇降部76に設けられたナット(図示省略)に螺合されている。また、ねじ軸80Aは、上端部が上側フレーム部60に固定され、下端部が下側フレーム部70に固定されている。サポート部昇降機構80は、モータ80Bが駆動することにより、上側昇降部74と下側昇降部76とを一体で上下に昇降させる送りねじ機構とされている。
【0063】
一方、アーチ変形機構82は、上下方向に延設されたねじ軸82Aと、下側昇降部76に設けられたモータ82Bと、モータ82Bとねじ軸82Aとを連結する図示しないギア機構と、を含んで構成されている。ねじ軸82Aは、下側昇降部76に設けられたナット(図示省略)に螺合されている。また、ねじ軸82Aは、上端部が上側昇降部74に固定され、下端部が下側昇降部76に固定されている。アーチ変形機構82は、モータ82Bが駆動することにより、下側昇降部76に対して上側昇降部74を上下方向に移動させる送りねじ機構とされている。アーチ変形機構82は、このように上側昇降部74と下側昇降部76との間隔を変更することでアーチ形成部78を変形させる構成とされている。つまり、ランバサポート部54は、アーチ変形機構82によってアーチ形成部78を変形させることで乗員P(
図5参照)の腰部に対する支持の強さを調節しつつ、サポート部昇降機構80によって、支持位置を上下に調整可能に構成されている。
【0064】
(バスケット52)
背部支持装置50のバスケット52は、例えば樹脂材料で成形されており、一体に成形された板状のバスケット本体84を備えている。
図4には、バスケット本体84の正面図が示されている。
【0065】
図4に示されるように、バスケット本体84の上部かつシート幅方向中央部には、板厚方向に貫通する開口部58が形成されている。開口部58は、略前後方向から見てシート幅方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。
【0066】
図5に示されるように、空調装置100のダクト部108は、このバスケット本体84に形成された開口部58に挿通されている。背部支持装置50の開口部58は、シートバック14の厚さ方向のシート正面側から見て、シートバックパッド22における長孔24Aの奥側、より詳細には、長孔24Aの近傍かつシートバックパッド22の長孔24Aよりも僅かに上方側に配置されている。
【0067】
図4に示されるように、バスケット本体84は、左右一対の係止部86(
図3参照)が後側に設けられた上端部88と、上下方向略中央部から下端部にかけてシート幅方向中央部に形成された中央下部90と、中央下部90のシート幅方向両端部から左右方向に延出された複数の左右一対の側部92と、を含んで構成されている。
【0068】
開口部58が形成されていることにより、バスケット本体84の上端部88は、略前後方向から見て下側が開放された略U字状に形成されている。具体的には、上端部88は、シート幅方向に延在するアッパ部88Aと、アッパ部88Aのシート幅方向両端部から下向きに延出された左右一対のサイド部88Bと、を備えている。左右一対のサイド部88Bの下端部は、バスケット本体84の中央下部90における上端部90Aの左右両端部及び最上部に設けられた側部92の上端に一体に接続されている。
【0069】
図3に示されるように、左右一対の係止部86は、バスケット52において、上端部88のシート幅方向両端部にそれぞれ設けられている。具体的には、左右一対の係止部86は、それぞれバスケット本体84のシート後方側の面に設けられたベース部86Aと、側面視で下向きの略L字状に形成されたフック86Bを備えている。フック86Bは、ベース部86Aの後側の面から後方側及び下方側に延出されている。
【0070】
この左右一対のフック86Bが左右一対のガイドワイヤ66の被係止部68Aに掛けられることで、バスケット52の係止部86は、支持ワイヤ62の被係止部68Aに係止される構成とされている。
【0071】
図6に示されるように、バスケット52のシート後側において、上側フレーム部60に対向する位置には、シート後方側へ突出された突起部94が成形されている。突起部94は、開口部58の下縁部、即ちバスケット本体84の中央下部90の上端部90A(
図4参照)におけるシート幅方向中央部の後側に左右一対形成されており、それぞれシート幅方向に延設されている。
【0072】
また、上側フレーム部60のシート前方側には、フェルト96が貼られている。フェルト96は、略前後方向から見てシート幅方向を長手方向とする略矩形状に形成されている。空調装置100のダクト部108(
図1参照)は、フェルト96の上方側を通って配設されている。
【0073】
バスケット52は、突起部94がフェルト96に当接した状態で、開口部58の下縁部、即ちバスケット本体84の中央下部90の上端部90A(
図4参照)におけるシート幅方向中央部おいて、上側フレーム部60によってシート後方側から支持されている。バスケット本体84の中央下部90は、この上端部90Aに設けられた突起部94を支点として変形可能に構成されている。なお、背部支持装置50の構成は、上記に限定されるものではない。
【0074】
〔各構成の位置関係について〕
図5に示されるように、シートバックパッド22のメイン部24において長孔24Aよりも上方側に形成された上部パッド26は、シート側方から見た断面視で上端部26Aが後方側に延出されている。シートバックパッド22は、少なくともこの上部パッド26の上端部26Aがアッパパイプ34Aに掛けられることで、シートバックフレーム20に装着されている。また、上部パッド26の下端部26Bは、前方側に凹溝26Cを備えている。表皮30は、この上部パッド26に形成された凹溝26Cに引き込まれて固定されている。
【0075】
一方、シートバックパッド22において長孔24Aよりも下方側に形成された下部パッド28は、上側フレーム部60に支持されたバスケット52の中央下部90及び側部92(
図4参照)の前方側に設けられている。換言すると、下部パッド28は、バスケット52の中央下部90及び側部92(
図4参照)によって、後方側から支持されている。
【0076】
空調装置100において、ブロワ102に接続された流路形成部104は、上部パッド26の後方側を通って背部支持装置50の開口部58に挿通され、さらに上部パッド26と下部パッド28との間に形成された長孔24Aを通って、下部パッド28の前方側へ延設されている。
【0077】
ここで、上部パッド26の下端部26Bは、背部支持装置50のバスケット本体84の上端部88と略同一の高さにおいて、シート側方から見た断面視で後方側に膨出して形成されている。詳細には、上部パッド26の下端部26Bは、シートバック14に対して乗員Pの背部Bから略後ろ向き(
図5の矢印Tの向き)に荷重がかかった際に、開口部58の上縁部、即ちバスケット本体84の上端部88の下端部に当接し、後方側への移動を規制されるように構成されている。
【0078】
また、上部パッド26の下端部26Bは、バスケット本体84の中央下部90よりも上方側に設けられている。つまり、上部パッド26の下端部26Bは、シートバック14に対して乗員Pの背部Bから略後ろ向き(
図5の矢印Tの向き)に荷重がかかっても、上部パッド26の下端部26Bと背部支持装置50のバスケット本体84における中央下部90の上端部90A(
図4参照)との間にダクト部108が挟まれないように構成されている。また、上部パッド26の下端部26Bは、シートバック14に対して乗員Pの背部Bから略後ろ向き(
図5の矢印Tの向き)に荷重がかかっても、上部パッド26の下端部26Bと背部支持装置50の上側フレーム部60との間にダクト部108が挟まれないように構成されている。
【0079】
さらに、下部パッド28の上端部28Aは、バスケット本体84の上端部88よりも下方側に設けられている。つまり、下部パッド28の上端部28Aは、シートバック14に対して乗員Pの背部Bから略後ろ向き(
図5の矢印Tの向き)に荷重がかかっても、下部パッド28の上端部28Aと背部支持装置50との間にダクト部108が挟まれないように構成されている。
【0080】
(本実施形態の作用)
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0081】
本実施形態に係る車両用シート10によれば、乗員Pの背部Bは、背部支持装置50と、背部支持装置50に後方側から支持されたシートバックパッド22とによって支持される。また、乗員Pの背部B周辺から、流路形成部104を介して、ブロワ102に空気が吸い込まれる。
【0082】
ここで、シートバックパッド22のシート後方側に設けられた背部支持装置50によって、シートバックパッド22はシート後方側への移動を規制される。ここで、ブロワ102に接続された流路形成部104は、背部支持装置50においてシートバック14の厚さ方向に貫通された開口部58に挿通されている。よって、流路形成部104がシートバックパッド22と背部支持装置50のシート上下方向の端部又はシート幅方向の端部との間に挟まれて押し潰されることを抑制することができる。これにより、乗員P側から吸い込まれて流路形成部104を通ってブロワ102へ送られる空気の流れが阻害されることが抑制される。よって、空調装置100の空調効率を向上することができる
【0083】
また、ブロワ102は、背部支持装置50よりもシート上方側、即ちシートバック14の厚さ方向から見て背部支持装置50と重ならない位置に設けられているため、シートバック14の厚さ方向の寸法を抑えることができる。
【0084】
ブロワ102から延出された流路形成部104は、背部支持装置50の開口部58の後方側かつ上方側を通って配置される。このようにブロワ102が開口部58の真後ろに配置されていない場合であっても、背部支持装置50がシートバックパッド22のシート後方側への移動を規制するため、背部支持装置50の後方側を通る流路形成部104の変形が抑制される。よって、ブロワ102から延出された流路形成部104がシートバックパッド22と背部支持装置50の上端部88との間に挟まれて押し潰されることを抑制することができる。よって、背部支持装置50及び空調装置100の性能を維持しつつ、車両用シート10の意匠性を向上することができる。
【0085】
さらに、乗員Pの腰部は、バスケット52を介してランバサポート部54によって支持される。バスケット52は、乗員Pの背部Bからの荷重を受けて変形されるため、乗員Pは良好な着座姿勢を維持することができる。
【0086】
ここで、
図6に示されるように、バスケット52の上部56は、上側フレーム部60に支持されている。具体的には、バスケット52は、開口部58の下縁部、即ちバスケット本体84の中央下部90の上端部90A(
図4参照)におけるシート幅方向中央部おいて上側フレーム部60によってシート後方側から支持されている。
【0087】
図7には、比較例として、バスケット204に開口部が形成されていない背部支持装置202を備えた車両用シート200が示されている。なお、本実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜その説明を省略する。
【0088】
図7に示されるように、背部支持装置202のバスケット204に開口部が形成されていない場合、流路形成部104は、背部支持装置202の上方側を通ってブロワ102(
図5参照)に接続されることになる。この場合、シートバック14に対して乗員Pの背部Bから略後ろ向き(
図5の矢印Tの向き)に荷重がかかると、流路形成部104は、バスケット204の上端部204A又は上側フレーム部206とシートバックパッド22の上部パッド26との間に挟まれて押し潰されてしまう。
【0089】
これに対して、本実施形態に係る車両用シート10によれば、
図6に示されるように、背部支持装置50のバスケット52の上部56に形成された開口部58の上縁部、即ちバスケット本体84の上端部88の下端部によって、上部パッド26のシート後方側への移動が規制される。これにより、上部パッド26と開口部58の下縁部、即ちバスケット本体84の中央下部90の上端部90A(
図4参照)におけるシート幅方向中央部との間に流路形成部104が挟まれることが抑制される。また、上部パッド26と上側フレーム部60との間に流路形成部104が挟まれることが抑制される。
【0090】
さらにまた、
図2及び
図5に示されるように、ダクト部108に接続された換気部106は、シートバックパッド22のメイン部24において下部パッド28の前面側に沿って延設されており、この換気部106によって、乗員Pの背部Bの周辺から空気が吸い込まれる。よって、乗員Pの背部Bの周辺が効率よく換気される。
【0091】
また、
図6に示されるように、背部支持装置50の開口部58は、シートバックパッド22の長孔24Aの近傍に形成されているため、背部支持装置50の開口部58とシートバックパッド22の長孔24Aとの間の区間で、ダクト部108がバスケット52とシートバックパッド22との間に挟まれて押し潰されることが抑制される。また、ダクト部108を、長く屈曲した複雑な経路で配設せずに済むため、スペース効率よくシートバック14内にダクト部108を配設しつつ、より一層空調効率を向上することができる。
【0092】
さらに、背部支持装置50の開口部58は、シートバック14の厚さ方向から見てシートバックパッド22の長孔24Aの近傍に配置されつつ、シートバックパッド22の長孔24Aよりも僅かに上方側に配置されている。これにより、流路形成部104は、シートバック14の上部に設けられたブロワ102からシートバック14の下部に設けられた下部パッド28の前面側まで効率よく配置される。
【0093】
〔上記実施形態の補足説明〕
【0094】
上記実施形態では、空調装置100は、シートバック14の乗員P側から空気を吸い込むものとして説明したが、これに限らず、空調装置100は、シートバック14の乗員P側へ空気を吹き出す装置であってもよい。
【0095】
また、上記実施形態では、ブロワ102は、背部支持装置50よりもシート上方側に設けられているものとして説明したが、これに限らず、背部支持装置50はシートバック14において他の位置に設けられていてもよい。
【0096】
さらに、上記実施形態では、背部支持装置50の上側フレーム部60は、開口部58の下縁部、即ちバスケット本体84の中央下部90の上端部90Aにおけるシート幅方向中央部に設けられた突起部94において、バスケット52をシート後方側から支持するものとして説明したが、これに限らない。例えば、上側フレーム部60は、
図4に示される上端部88のサイド部88Bにおいて、バスケット52を支持してもよい。
【0097】
また、シートバックパッド22は、上部パッド26と下部パッド28とが一体に成形されており、長孔24Aが形成されているものとして説明したが、これに限らない。例えば、上部パッド26と下部パッド28とが別体で成形されており、上部パッド26と下部パッド28との間に、シートバック14の厚さ方向に貫通された挿通部が設けられていてもよい。さらに別の例として、流路形成部104は、シートバックパッド22の後方側からシートバックパッド22の厚さ方向の中間部まで延設されている例でもよく、即ち必ずしもシートバックパッド22の前面側まで延設されていなくてもよい。つまり、シートバックパッド22には長孔24Aが形成されておらず、シートバックパッド22に形成された小さな開口を介して乗員Pの背部B周辺から空気を吸い込み、シートバックパッド22の後方側からシートバックパッド22の厚さ方向の中間部まで延設された流路形成部104を介して換気する構成とされていてもよい。
【符号の説明】
【0098】
10 車両用シート
20 シートバックフレーム
22 シートバックパッド
24A 長孔(挿通部)
50 背部支持装置
52 バスケット(受圧部)
54 ランバサポート部
56 バスケットの上部(受圧部の上部)
58 開口部
60 上側フレーム部
90A バスケット本体の中央下部の上端部(開口部の下縁部)
100 空調装置
102 ブロワ(空調機)
104 流路形成部
106 換気部
108 ダクト部
B 背部
P 乗員