(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003324
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】洗濯処理用固形組成物
(51)【国際特許分類】
C11D 17/06 20060101AFI20240105BHJP
D06M 15/53 20060101ALI20240105BHJP
D06M 13/224 20060101ALI20240105BHJP
D06M 13/188 20060101ALI20240105BHJP
D06M 13/402 20060101ALI20240105BHJP
D06M 13/144 20060101ALI20240105BHJP
C11D 1/66 20060101ALI20240105BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240105BHJP
C11D 1/722 20060101ALI20240105BHJP
C11D 3/32 20060101ALI20240105BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240105BHJP
C11D 1/72 20060101ALI20240105BHJP
C11D 17/04 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
C11D17/06
D06M15/53
D06M13/224
D06M13/188
D06M13/402
D06M13/144
C11D1/66
C11D3/37
C11D1/722
C11D3/32
C11D3/20
C11D1/72
C11D17/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102388
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】近藤 大亮
(72)【発明者】
【氏名】高橋 遥
(72)【発明者】
【氏名】金田 英之
【テーマコード(参考)】
4H003
4L033
【Fターム(参考)】
4H003AC08
4H003AC12
4H003AC23
4H003BA01
4H003BA21
4H003DA01
4H003EB04
4H003EB07
4H003EB09
4H003EB17
4H003EB34
4H003FA26
4H003FA34
4H003FA38
4L033AB04
4L033AC15
4L033BA11
4L033BA16
4L033BA21
4L033BA71
4L033CA48
(57)【要約】
【課題】洗濯中での徐溶性制御、洗濯乾燥中の熱に対する耐熱性、及び/又は洗濯における衣類への基剤付着等、洗濯環境下における課題を解決するための洗濯処理用固形組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)25℃以上の融点を有する、水溶性非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体から選択される少なくとも1種の化合物、
(B)50℃以上の融点を有する水難溶性成分((C)成分を除く)、及び
(C)炭素数16以上の炭素鎖を有する脂肪酸アミド、及び炭素数16以上の炭素鎖を有する高級アルコールから選択される少なくとも1種の化合物
を含有する、洗濯処理用固形組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)25℃以上の融点を有する、水溶性非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体から選択される少なくとも1種の化合物、
(B)50℃以上の融点を有する水難溶性成分((C)成分を除く)、及び
(C)炭素数16以上の炭素鎖を有する脂肪酸アミド、及び炭素数16以上の炭素鎖を有する高級アルコールから選択される少なくとも1種の化合物
を含有する、洗濯処理用固形組成物。
【請求項2】
質量%比率(A)/[(B)+(C)]が、0.1~2.3である、請求項1に記載の洗濯処理用固形組成物。
【請求項3】
(A)成分が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、並びにポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体及びその誘導体から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の洗濯処理用固形組成物。
【請求項4】
(A)成分が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、並びにポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体及びその誘導体から選ばれる1種以上である、請求項2に記載の洗濯処理用固形組成物。
【請求項5】
(B)成分が、脂肪酸、脂肪酸エステル、ヒマシ硬化油、ヒマシ硬化脂肪酸、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、及びエチレングリコール脂肪酸ジエステルから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の洗濯処理用固形組成物。
【請求項6】
(B)成分が、脂肪酸、脂肪酸エステル、ヒマシ硬化油、ヒマシ硬化脂肪酸、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、及びエチレングリコール脂肪酸ジエステルから選ばれる1種以上である、請求項2に記載の洗濯処理用固形組成物。
【請求項7】
(B)成分が、脂肪酸、脂肪酸エステル、ヒマシ硬化油、ヒマシ硬化脂肪酸、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、及びエチレングリコール脂肪酸ジエステルから選ばれる1種以上である、請求項3に記載の洗濯処理用固形組成物。
【請求項8】
(B)成分が、脂肪酸、脂肪酸エステル、ヒマシ硬化油、ヒマシ硬化脂肪酸、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、及びエチレングリコール脂肪酸ジエステルから選ばれる1種以上である、請求項4に記載の洗濯処理用固形組成物。
【請求項9】
容器、用具又は袋内に収容して洗濯に使用するための、請求項1~8のいずれか1項に記載の洗濯処理用固形組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯処理用固形組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
徐溶性技術は、これまでトイレのインタンク、オンタンク、又は便器等への技術が主に報告されている(特許文献1~4)。しかしながら、従来の技術では、洗濯中の割れ、衣類への基剤付着、剤のべたつき、洗濯中での徐溶性制御、洗濯乾燥中の熱に対する耐熱性等、洗濯環境下における課題は想定されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-57780号公報
【特許文献2】特開2008-247987号公報
【特許文献3】特開2002-309288号公報
【特許文献4】特開2013-60507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、洗濯中での徐溶性制御、洗濯乾燥中の熱に対する耐熱性、及び/又は洗濯における衣類への基剤付着等、洗濯環境下における課題を解決するための洗濯処理用固形組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の成分の組み合わせにより、洗濯中での良好な徐溶性及び/又は洗濯乾燥中の熱に対する良好な耐熱性を有し、及び/又衣類への基剤付着を良好に防止できる洗濯処理用固形組成物を提供できることを見出した。
【0006】
本発明は、例えば、下記〔1〕~〔9〕に関するものである。
〔1〕(A)25℃以上の融点を有する、水溶性非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体から選択される少なくとも1種の化合物、
(B)50℃以上の融点を有する水難溶性成分((C)成分を除く)、及び
(C)炭素数16以上の炭素鎖を有する脂肪酸アミド、及び炭素数16以上の炭素鎖を有する高級アルコールから選択される少なくとも1種の化合物
を含有する、洗濯処理用固形組成物。
〔2〕質量%比率(A)/[(B)+(C)]が、0.1~2.3である、前記〔1〕に記載の洗濯処理用固形組成物。
〔3〕(A)成分が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、並びにポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体及びその誘導体から選ばれる1種以上である、前記〔1〕に記載の洗濯処理用固形組成物。
〔4〕(A)成分が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、並びにポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体及びその誘導体から選ばれる1種以上である、前記〔2〕に記載の洗濯処理用固形組成物。
〔5〕(B)成分が、脂肪酸、脂肪酸エステル、ヒマシ硬化油、ヒマシ硬化脂肪酸、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、及びエチレングリコール脂肪酸ジエステルから選ばれる1種以上である、前記〔1〕に記載の洗濯処理用固形組成物。
〔6〕(B)成分が、脂肪酸、脂肪酸エステル、ヒマシ硬化油、ヒマシ硬化脂肪酸、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、及びエチレングリコール脂肪酸ジエステルから選ばれる1種以上である、前記〔2〕に記載の洗濯処理用固形組成物。
〔7〕(B)成分が、脂肪酸、脂肪酸エステル、ヒマシ硬化油、ヒマシ硬化脂肪酸、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、及びエチレングリコール脂肪酸ジエステルから選ばれる1種以上である、前記〔3〕に記載の洗濯処理用固形組成物。
〔8〕(B)成分が、脂肪酸、脂肪酸エステル、ヒマシ硬化油、ヒマシ硬化脂肪酸、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル、及びエチレングリコール脂肪酸ジエステルから選ばれる1種以上である、前記〔4〕に記載の洗濯処理用固形組成物。
〔9〕容器、用具又は袋内に収容して洗濯に使用するための、前記〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の洗濯処理用固形組成物。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、洗濯に適した徐溶性を有する洗濯処理用固形組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、洗濯乾燥中の熱に対し良好な耐熱性を有する洗濯処理用固形組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、洗濯における衣類への基剤付着を良好に防止できる洗濯処理用固形組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、洗濯に適した徐溶性及び洗濯乾燥中の熱に対し良好な耐熱性を有する洗濯処理用固形組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、洗濯に適した徐溶性を有し、かつ洗濯における衣類への基剤付着を良好に防止できる洗濯処理用固形組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、洗濯乾燥中の熱に対し良好な耐熱性を有し、かつ洗濯における衣類への基剤付着を良好に防止できる洗濯処理用固形組成物を提供することができる。
本発明の一態様によれば、洗濯に適した徐溶性及び洗濯乾燥中の熱に対し良好な耐熱性を有し、かつ洗濯における衣類への基剤付着を良好に防止できる洗濯処理用固形組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、「洗濯処理用固形組成物」とは、洗濯処理において用いられるための固形組成物を意味する。
【0009】
[(A)成分]
本発明の洗濯処理用固形組成物において、(A)成分を配合することにより、適切な徐溶性がもたらされ得る。
(A)成分は、25℃以上の融点を有する、水溶性非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体から選択される少なくとも1種の化合物である。
(A)成分の融点は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上である。
(A)成分の融点の上限は特に限定されないが、好ましくは200℃以下、より好ましくは80℃以下である。
本明細書において、「水溶性」とは、融解するのに十分な温度にて試料を融解させた後、2cm四方のシリコン型またはステンレス型に流し入れ、その融解液を冷し固めるのに十分な温度にて冷し固めたキューブ型固形物を、15℃、500mlの水中で10分間、マグネティックスターラー(東京硝子器械製 MAGNETIC STIRRER F-626N)でレベル4(600rpmに相当)にて、攪拌した時に、0.4g以上溶解することを意味する。
(A)成分である水溶性非イオン界面活性剤は、好ましくは、ポリオキシアルキレン鎖を含む界面活性剤である。このポリオキシアルキレン鎖は、好ましくは、ポリオキシエチレン鎖である。
(A)成分である水溶性非イオン界面活性剤としては、公知のものが利用でき、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコールの誘導体、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体の誘導体、ポリオキシエチレンヒマシ硬化油、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレン脂肪酸ジエステル、ポリオキシエチレンラノリンエーテル、ポリオキシエチレン多価アルコールエーテル等が挙げられる。中でも、(A)成分としての水溶性非イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体の誘導体が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがより好ましい。
【0010】
ポリエチレングリコールの誘導体としては、公知のものが利用でき、その平均分子量は、例えば1,000~10,000である。
ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体の誘導体としては、公知のものが利用でき、その平均分子量は、例えば1,000~8,000である。
ポリエチレングリコールの誘導体、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体の誘導体における分子量の値は、公知の一般的な測定方法により測定されたものでよく、平均分子量は重量平均分子量を意味する。
ポリエチレングリコールの誘導体、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体の誘導体とは、それぞれ、例えば、ポリアルキレングリコールと有機ポリイソシアネートの反応から得られた変性ポリエーテル化合物、ポリアルキレングリコールとソルビタンの反応から得られたソルビタンエステルエチレンオキシド誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0011】
(A)成分である水溶性非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、並びにポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体の誘導体等、構造中にエチレンオキサイド(EO)を付加した化合物である場合、EOの平均付加モル数は、好ましくは2~60、より好ましくは10~60、更に好ましくは20~50である。
(A)成分である水溶性非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体の誘導体等、構造中にプロピレンオキサイド(PO)を含む化合物である場合、POの平均付加モル数は、好ましくは1~30、より好ましくは5~20、更に好ましくは10~15である。
(A)成分である水溶性非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等、構造中にアルキル基を含む化合物である場合、そのアルキル基は直鎖でも分岐鎖でもよく、好ましくは炭素数8~24、より好ましくは炭素数12~22、更に好ましくは炭素数16~20の鎖長を有する。
(A)成分である水溶性非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等、構造中に脂肪酸由来の炭化水素基を含む化合物である場合、その炭化水素基は直鎖でも分岐鎖でもよく、好ましくは炭素数8~24、より好ましくは炭素数12~22、更に好ましくは炭素数16~20の鎖長を有する。このような脂肪酸由来の炭化水素基は、飽和でも不飽和でもよい。
(A)成分が水溶性非イオン界面活性剤である場合、(A)成分のHLB値は、特に限定されないが、好ましくは4~20、より好ましくは15~18である。
【0012】
(A)成分である水溶性非イオン界面活性剤の市販品としては、青木油脂工業社製ブラウノンシリーズ、具体的には、ブラウノンSR-720(ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20)、融点47℃)、ブラウノンSR-702(ポリオキシエチレンステアリルエーテル(2)、融点30℃)、ブラウノンSR-750(ポリオキシエチレンステアリルエーテル(50)、融点58℃)、ブラウノンCH-320L(ポリオキシエチレンセチルエーテル(20)、融点40℃)、ブラウノンCH-340F(ポリオキシエチレンセチルエーテル(40)、融点42℃)、ブラウノンRCW60(ポリオキシエチレンヒマシ硬化油、融点30~34℃)、花王社製エマノーンCH-60(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、融点31℃)、三洋化成工業社製ニューポールT240-U(変性ポリエーテル、融点58℃)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0013】
(A)成分であるポリエチレングリコールとしては、公知のものが利用できる。ポリエチレングリコールの平均分子量は、例えば2,000(例えば、融点50~53℃)~20,000(例えば、融点61~65℃)、好ましくは6,000(例えば、融点60~63℃)~20,000、より好ましくは10,000(例えば、融点61~63℃)~20,000である。
(A)成分であるポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体としては、公知のものが利用できる。その平均分子量は、例えば2,000(例えば、融点50~60℃)~16,000(例えば、融点55~65℃)である。
ポリエチレングリコール、及びポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体における分子量の値は、公知の一般的な測定方法により測定されたものでよく、平均分子量は重量平均分子量を意味する。
ポリエチレングリコール、又はポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとの共重合体の分子量が高くなると、耐衝撃性が向上するが、一方で、分子量が高いと融解したときの粘度が高くなる傾向にあるため、製造面での課題が生じる場合がある。
【0014】
(A)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であり、また調製することも可能である。
(A)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
洗濯乾燥時における耐衝撃性(耐久性)向上の観点では、(A)成分を複数種類組み合わせることが好ましい。洗濯のみと洗濯乾燥を比較すると、乾燥過程では水による衝撃緩和がないこと、及び洗濯と乾燥の過程で温度差があることから、洗濯乾燥の方がより過酷であると言え、固形組成物により高い耐久性が求められる。固形組成物に配合される(A)成分が1種類のみの場合、固体組成物の結晶構造は、(B)成分及び(C)成分に由来するカードハウス様構造優位となると考えられるのに対し、固形組成物に(A)成分を複数種類組み合わせて配合した場合、固体組成物の結晶構造は、カードハウス様構造から、衝撃に強い網目状の構造が優位になると考えられる。そのため、(A)成分を複数種類組み合わせることにより、固体組成物の洗濯乾燥時における耐衝撃性(耐久性)をより向上させ得る。
複数種類の(A)成分の組み合わせとしては、特に限定されないが、好ましくは、水溶性非イオン界面活性剤から選ばれる1種類以上及びポリエチレングリコールから選ばれる1種類以上の組み合わせである。
複数種類の(A)成分を用いる場合の各成分の好ましい質量%比率は、特に限定されないが、水溶性非イオン界面活性剤/ポリエチレングリコールの質量%比率は、好ましくは0.1~2.5、より好ましくは0.4~1.2である。
(A)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、固形組成物の総質量に対して、好ましくは5~80質量%、より好ましくは10~60質量%、更に好ましくは30~50質量%である。(A)成分の配合量が5質量%以上であると、徐溶性及び耐衝撃性が洗濯時における使用により適したものとなり得る。(A)成分の配合量が80質量%以下であると、洗濯時の徐溶量がより適切な範囲内であり、洗濯後における固形物のベタつきを抑制することができる。
【0015】
[(B)成分]
本発明の洗濯処理用固形組成物において、(B)成分を配合することにより、溶出の均一性や、洗濯乾燥中の熱に対する耐熱性がもたらされ得る。
(B)成分は、50℃以上の融点を有する水難溶性成分である。但し、本明細書に記載の(C)成分を除くものとする。
本明細書において、「水難溶性」とは、融解するのに十分な温度にて試料を融解させた後2cm四方のシリコン型またはステンレス型に流し入れ、その融解液を冷し固めるのに十分な温度にて冷し固めたキューブ型固形物を、15℃、500mlの水中で10分間、マグネティックスターラー(東京硝子器械製 MAGNETIC STIRRER F-626N)でレベル4(600rpmに相当)にて、攪拌した時の溶解量が、0.4g未満であることを意味する。(B)成分としては、好ましくは、この溶解量が0.2g以下である成分である。
また、(B)成分は、好ましくは、50℃以上の融点を有する水難溶性の炭化水素基含有成分である。
(B)成分の融点は、好ましくは60℃以上、より好ましくは65℃以上である。
(B)成分の融点の上限は特に限定されないが、好ましくは90℃以下、より好ましくは85℃以下である。
【0016】
(B)成分としては、公知のものが利用でき、例えば、脂肪酸、ヒマシ硬化脂肪酸、ヒマシ硬化油、エチレングリコール脂肪酸ジエステル、ポリエチレングリコール脂肪酸ジエステル等が挙げられる。
(B)成分において、脂肪酸の構造中、炭化水素基は、直鎖でも分岐鎖でもよく、飽和でも不飽和でもよく、好ましくは炭素数8~24、より好ましくは炭素数12~24、更に好ましくは炭素数16~22の鎖長を有する。
(B)成分において、エチレングリコール脂肪酸ジエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルの構造中、エチレンオキサイドの平均付加モル数は、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは2以下である。
本発明の洗濯処理用固形組成物において、(B)成分は、好ましくは、ヒマシ硬化油、ヒマシ硬化脂肪酸、エチレングリコール脂肪酸ジエステル及びポリエチレングリコール脂肪酸ジエステルから選ばれる1種以上であり、より好ましくは、ヒマシ硬化油である。
【0017】
(B)成分の市販品としては、日油社製カスターワックスAフレーク(ヒマシ硬化油、融点85℃)、日油社製ヒマシ硬化脂肪酸(12-ヒドロキシステアリン酸、融点64~74℃)、日光ケミカルズ社製NIKKOL エステパール10V(ジステアリン酸エチレングリコール、融点58~65℃)、日油社製NAA-222ビーズ(ベヘニン酸、融点74~78℃)、日油社製ユニスターE-275(エチレングリコール‐ジステアレート、融点約63℃)、日油社製ユニスター2222SL(ベヘニン酸ベヘニル、融点70℃)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0018】
(B)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であり、また調製することも可能である。
(B)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
(B)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、固形組成物の総質量に対して、好ましくは5~60質量%、より好ましくは10~50質量%である。(B)成分の配合量が5質量%以上であると、より良好な耐熱性がもたらされ洗濯乾燥中の熱に対しても固形組成物が溶けることもなく、洗濯時の徐溶量がより適切な範囲内になり、洗濯時における使用により適している。(B)成分の配合量が60質量%以下であると、洗濯時の徐溶量がより適切な範囲内になり、使用時に固形組成物が衝撃を受けても割れにくい。
【0019】
[(C)成分]
本発明の洗濯処理用固形組成物において、(C)成分を配合することにより、洗濯における衣類への基剤の付着を防止し得る。
(C)成分は、炭素数16以上の炭素鎖を有する脂肪酸アミド、及び炭素数16以上の炭素鎖を有する高級アルコールから選択される少なくとも1種の化合物である。(C)成分も(B)成分同様、水難溶性であり得る。
(C)成分の融点の下限は特に限定されないが、好ましくは25℃以上、より好ましくは30℃以上、更に好ましくは50℃以上である。
(C)成分の融点の上限は特に限定されないが、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。
(C)成分である脂肪酸アミドにおいて、炭素鎖の炭素数は、好ましくは16~24、より好ましくは16~22、更に好ましくは18~20である。
(C)成分である高級アルコールにおいて、炭素鎖の炭素数は、好ましくは16~26、より好ましくは18~24、更に好ましくは18~22である。
(C)成分による、洗濯における衣類への基剤の付着防止効果は、以下のようなメカニズムで説明が可能であると考えられる。(C)成分は親水基のヒドロキシ基又はアミド基を有しているため、(C)成分自体が水難溶性であったとしても、水溶性である(A)成分と混合し易いものとなっている。親水基を有する(C)成分が水溶性の(A)成分と均一に混合することで、固形組成物中の基剤粒子が小さくなっていると考えられる。その結果、徐溶した際の放出粒子も小さくなり、基剤が衣類上に残っていても目視できないレベルになったと推測される。
【0020】
(C)成分の市販品としては、日油社製アルフローP-10(エルカ酸モノアミド、融点79~84℃)、日油社製アルフローE-10(オレイン酸モノアミド、融点72~76℃)、日本精化社製ニュートロン-2(オレイン酸アミド、融点70℃)、日本精化社製BNT-22H(ベヘニン酸アミド、融点110-113℃)、BASF社製Lanette 22NF(ベヘニルアルコール、融点65℃)、富士フィルム和光純薬社製セテアリルアルコール(融点57℃)、富士フィルム和光純薬社製セタノール(融点49℃)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(C)成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であり、また調製することも可能である。
(C)成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
(C)成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、固形組成物の総質量に対して、好ましくは10~80質量%、より好ましくは30~60質量%である。(C)成分の配合量が10質量%以上であると、洗濯における衣類への基剤の付着をより良好に防止し得る。(C)成分の配合量が80質量%以下であると、洗濯時の徐溶量がより適切な範囲内になる。
【0021】
本発明の洗濯処理用固形組成物において、固形組成物中の(B)成分及び(C)成分の合計量に対する(A)成分の質量%比率:(A)/[(B)+(C)]は、好ましくは0.1~2.3、より好ましくは0.3~1.5、更に好ましくは0.4~1.2である。(A)/[(B)+(C)]が0.1以上であると、洗濯時の徐溶量が少なくなり過ぎずより適切な範囲内になるとともに、洗濯繰り返し時にも固形組成物に割れが生じることを防止し得る。(A)/[(B)+(C)]が2.3以下であると、洗濯時の徐溶量が多くなり過ぎずより適切な範囲内になるとともに、洗濯乾燥中の熱に対する良好な耐熱性をもたらし得る。
本発明の洗濯処理用固形組成物において、固形組成物中の(C)成分に対する(B)成分の質量%比率:(B)/(C)は、好ましくは0.1~1.2、より好ましくは0.1~1.0、更に好ましくは0.2~0.7である。
【0022】
[任意成分]
本発明の洗濯処理用固形組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記(A)~(C)成分以外にも以下のような成分を含有してもよい。例えば、抗菌剤、抗カビ剤、消臭剤、忌避剤、紫外線吸収剤、蛍光剤、移染防止剤、繊維表面改質剤、再汚染防止剤、金属イオン捕捉剤(キレート剤)、香料、シリコーン化合物、着色剤、増粘剤、減粘剤、可溶化剤、アルカリ剤、酸化防止剤、防腐剤、保存安定性向上剤、パール剤、天然物等のエキス等を配合することができる。
これらの任意成分は公知物質であり、市場で容易に入手可能であり、また調製することも可能である。
任意成分は単一種類を使用してもよく、複数種類を組み合わせて使用してもよい。
任意成分の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、洗濯処理用固形組成物の総質量に対して、10質量%未満が好ましく、5質量%未満がより好ましい。
【0023】
抗菌剤としては、ヨートルDP95(化合物名:ジヨードメチル-p-トリルスルホン)、炭素数12~16のアルキルトリメチルアンモニウム塩(ライオンスペシャリティケミカルズ社製リポカードC12-37W、リポカードC50、リポカードC16Cl塩、リポカードC16MS塩等)、ジアルキルジメチルアンモニウム塩(ライオンスペシャリティケミカルズ社製リポカード210-80E、ロンザ社製CarboquatMW50等)、ジアルキルメチルポリアンモニウムプロピオネート(ロンザ社製Bardap26等)、ダイクロサン(BASF社製 チノサンHP100等)、トリクロサン、塩化ベンザルコニウム(ロンザ社製 BarquatMS100、BarquatMB80等)、塩化ベンゼトニウム、ビス-(2-ピリジルチオ-1-オキシド)亜鉛、8-オキシキノリン、ビグアニド系化合物(ロンザ社製 ProxelIB)、塩酸クロロヘキシジンや、ポリリジン等が挙げられる。
抗菌剤の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、洗濯処理用固形組成物の総質量に対して、10質量%未満が好ましい。
【0024】
抗カビ剤としては、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル(IPBC、LONZA製)等が挙げられる。
消臭剤としては、メチルグリシンジ酢酸(MGDA)、アスパラギン酸ジ酢酸(ASDA)、イソセリンジ酢酸(ISDA)、β-アラニンジ酢酸(ADAA)、セリンジ酢酸(SDA)、グルタミン酸ジ酢酸(GLDA)イミノジコハク酸(IDS)、ヒドロキシイミノジコハク酸(HIDS)、又はこれらの塩、リシノール酸亜鉛、ベントナイト、デキストリン等が挙げられる。
忌避剤としては、公知の害虫忌避剤として使用されている公知の成分、例えば、DEETやイカリジン等が適用可能である。
紫外線吸収剤としては、パルソール1789(4-メトキシ-4’-tert-ブチルジベンゾイルメタン、DSMニュートリションジャパン製)等を使用できる。
【0025】
蛍光剤としては、4,4-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニルジナトリウム(BASF製チノパールCBS-X)、
移染防止基材としては、ポリビニルピロリドンなど、
退色防止剤としては、1,4-ビス(3-アミノプロピル)ピペラジンなど、
繊維表面改質剤としては、セルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼや、ケラチナーゼなどの酵素が挙げられ、
再汚染防止剤としては、アルキレンテレフタレート単位、及びアルキレンイソフタレート単位からなる群から選択される少なくとも一種の繰り返し単位と、オキシアルキレン単位、及びポリオキシアルキレン単位からなる群から選択される少なくとも一種の繰り返し単位と、を有する水溶性ポリマーが挙げられる。具体的には、商品名「TexCare SRN-100」(クラリアント社製、重量平均分子量2000~3000)、商品名「TexCare SRN-300」(クラリアント社製、重量平均分子量7000)、商品名「Repel-O-Tex Crystal」(ローディア社製)、商品名「Repel-O-Tex QC」(ローディア社製)等が挙げられる。他の再汚染防止剤としては、ポリアルキレンイミンのアルキレンオキシド付加体、ポリアルキレンアミンのアルキレンオキシド付加体が挙げられる。具体的には、商品名「Sokalan HP20」(BASF社製)等が挙げられる。
金属イオン捕捉剤(キレート剤)としては、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、ジグリコール酸、酒石酸、クエン酸等が挙げられる。
【0026】
香料としては、繊維製品用処理剤組成物へ配合できることが知られているものを特に制限なく用いことができる。例えば、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されている。
香料の配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、洗濯処理用固形組成物の総質量に対して、10質量%未満が好ましい。
【0027】
シリコーン化合物の分子構造は、直鎖状であってもよいし、分岐状であってもよいし、また、架橋していてもよい。また、シリコーン化合物は変性シリコーン化合物であってもよく、前記変性シリコーン化合物は、1種の有機官能基により変性されたものであってもよいし、2種以上の有機官能基により変性されたものであってもよい。
シリコーン化合物は、オイルの状態で使用することができ、また任意の乳化剤によって分散された乳化物の状態でも使用することができる。
シリコーンの具体例としては、ジメチルシリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン、アルキル変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、カルビノール変性シリコーンや、アミノ変性シリコーンなどが挙げられる。例えば、ポリオキシエチレン変性シリコーン(東レダウコーニング社製、SH3775M)を使用できる。
シリコーンの配合量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、洗濯処理用固形組成物の総質量に対して、10質量%未満が好ましい。
【0028】
着色剤としては、例えばアシッドレッド138、Polar Red RLS、アシッドイエロー203、アシッドブルー9、青色1号、青色205号、緑色3号、赤色106号、黄色203号、ターコイズP-GR(いずれも商品名)等の汎用の色素や顔料などが挙げられる。
着色剤の含有量は、配合目的を達成できる量である限り特に限定されないが、洗濯処理用固形組成物の総質量に対して、0.00005~0.005質量%が好ましい。
【0029】
[製造方法]
本発明の洗濯処理用固形組成物の製造方法は特に限定されず、各成分の融点以上に加熱して融解させたものを混合し、型に流し込み、固まるまで冷却することにより製造することができる。例えば、本発明の洗濯処理用固形組成物は、90℃以上に加熱して融解させた各成分と任意の成分を、所定の濃度で混ぜ合わせ、型に流し込み、常温(25℃)まで冷却することにより製造することができる。
【0030】
[使用方法]
本発明の洗濯処理用固形組成物は、そのままで、もしくは容器、用具又は袋内に収容して使用することができる。例えば、本発明の洗濯処理用固形組成物を、洗濯ボールや洗濯ネット等の市販の洗濯用品の内部に入れて、それらを被洗物と共に洗濯機に入れて洗濯に用いることができる。例えば、洗濯ボールとしては、伊原企販製のEco洗濯ボールを、中身のトルマリンを取り出した外側の容器部分を用いることができ、洗濯ネットとしては、Diyouth製のUmi.洗濯ネットを用いることができる。これらの洗濯用品は、本発明の洗濯処理用固形組成物が洗濯において全て又はほぼ全て溶解した場合には、別途、固形組成物を収容して用いることで再利用することができる。
本発明の洗濯処理用固形組成物を収容した洗濯ボールや洗濯ネット等の洗濯用品は、予め洗濯機中に入れておいてもよいし、被洗物を入れてからその上に入れてもよく、注水、洗浄、排水、すすぎ、脱水、(洗濯機によっては)乾燥の全工程において、洗濯機中に入れておいてよい。洗濯終了後、被洗物を洗濯機から取り出すときに、本発明の洗濯処理用固形組成物を収容した洗濯ボールや洗濯ネット等の洗濯用品は、そのまま洗濯機中に入れたままでよく、次回洗濯時にそのまま使用することができる。
【実施例0031】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、実施例において成分配合量はすべて質量%(指定のある場合を除き、純分換算)を示す。
【0032】
[(A)成分]
・A-1:ブラウノンSR-720(ポリオキシエチレンステアリルエーテル(20)、融点47℃、溶解量0.6g、青木油脂社製)
・A-2:PEG6,000(融点58~63℃、溶解量1.0g、富士フィルム和光純薬社製)
【0033】
[(B)成分]
・B-1:カスターワックスAフレーク(ヒマシ硬化油、融点85℃、溶解量0.1g、日油社製)
・B-2:ヒマシ硬化脂肪酸(12-ヒドロキシステアリン酸、融点64~74℃、溶解量0.1g、日油社製)
・B-3:NAA-222ビーズ(ベヘニン酸、融点74~78℃、溶解量0.1g、日油社製)
・B-4:ユニスター2222SL(ベヘニン酸ベヘニル、融点70℃、溶解量0.1g、日油社製)
【0034】
[(C)成分]
・C-1:アルフローE-10(オレイン酸モノアミド、融点75℃、溶解量0.1g、日油社製)
・C-2:アルフローP-10(エルカ酸モノアミド、融点79~84℃、溶解量0.1g、日油社製)
・C-3:Lanette 22NF(ベヘニルアルコール、融点65℃、溶解量0.1g、BASF社製)
・C-4:セテアリルアルコール(セテアリルアルコール、融点57℃、溶解量0.1g、富士フィルム和光純薬社製)
なお、上記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の各々において、溶解量は、融解するのに十分な温度にて試料を融解させた後、2cm四方のシリコン型またはステンレス型に流し入れ、25℃で十分に冷し固めたキューブ型固形物を、15℃、500mlの水中で10分間、マグネティックスターラー(東京硝子器械製 MAGNETIC STIRRER F-626N)でレベル4にて、攪拌した時のものである。
【0035】
[任意成分]
・抗カビ剤:ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル(IPBC、LONZA製)
・香料:特開2002-146399号公報記載の香料組成物A
【0036】
[洗濯処理用固形組成物の調製方法]
各成分を融解させるのに十分な温度にて融解させた各成分と任意の成分を、所定の濃度で混ぜ合わせ、直径3cm高さ4cmのシリコン型又はステンレス型に流し込み、冷し固めるのに十分な温度にて冷し固めることにより25gの円柱型固形組成物(実施例1~23及び比較例1~5)を製造した。調製した洗濯処理用固形組成物の組成は、下記表1及び2に示すとおりである。
【0037】
[固形組成物の評価]
<徐溶性>
上記のとおり調製した各固形組成物を保護容器(Eco洗濯ボール、伊原企販製)の中に収容し、Panasonic社ドラム式洗濯機(NAVX-7600L)に、固形組成物を収容した当該保護容器を入れて、標準コースにて約40分間洗濯し、洗濯前後の固形組成物の重量変化を徐溶量とした。同様の評価を合計で5回行い、5回の徐溶量から平均徐溶量を算出した。平均徐溶量について下記の評価基準に基づき評価し、△以上を合格とした。結果を下記表1及び2における「徐溶性」の項で示した。
(評価基準)
◎:0.8g~2.0g以下
〇:0.5g~0.8g未満、または、2.0g超~2.5g
△:0.2g~0.5g未満、または、2.5g超~5.0g
×:0.2g未満もしくは5.0gより多い
【0038】
<耐熱性>
上記のとおり調製した各固形組成物7gを保護容器(Eco洗濯ボール、伊原企販製)の中に収容し、Panasonic社ドラム式洗濯機(NAVX-7600L)に、固形組成物を収容した当該保護容器を入れて、標準コースにて約4時間洗濯乾燥後の固形物外観を目視にて下記評価基準に基づき評価した。△以上を合格とした。結果を下記表1及び2における「耐熱性」の項で示した。
(評価基準)
◎:全く溶けず、べたつきもない
〇:やや溶け、べたつきがあるが問題ないレベル
△:半分程度溶け、べたつきがある
×:ほとんど溶け、べたつきが目立つ
【0039】
<衣類への粉付着>
上記のとおり調製した各固形組成物7gを保護容器(Eco洗濯ボール、伊原企販製)の中に収容し、東芝社タテ型洗濯機(AW-8V2)に、固形組成物を収容した当該保護容器と黒色衣類4kgを入れて、標準コースにて約40分間洗濯した後、衣類上の基剤(粉)の付着量を目視にて下記評価基準に基づき評価した。△以上を合格とした。結果を下記表1及び2における「衣類への粉付着」の項で示した。
(評価基準)
◎:基剤の付着がない
〇:基剤の付着がほとんどなく付着粒子が0.5mm以下
△:0.5mm以下の付着粒子がやや見られるが問題ないレベル
×:0.5mm以上の付着粒子が見られ、衣類上に目立って残っている
【0040】
【0041】