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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033243
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】ガスセンサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/409 20060101AFI20240306BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G01N27/409 100
G01N27/416 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136726
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(72)【発明者】
【氏名】大西 諒
【テーマコード(参考)】
2G004
【Fターム(参考)】
2G004BB04
2G004BF30
(57)【要約】
【課題】耐被水性を向上させたガスセンサを提供する。
【解決手段】本発明の一側面に係るガスセンサの外側保護カバーにおいて、外側ガス孔を囲む第1の領域には、撥水加工または疎水性加工が施され、前記第1の領域は、前記外側ガス孔を中心として前記外側ガス孔の半径の2倍以上の半径を有する円形状部分を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子と、
外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔が形成され、前記センサ素子の先端を覆う有底筒状の外側保護カバーと、
を備え、
前記外側保護カバーの外側表面における前記外側ガス孔を囲む第1の領域には、撥水加工または疎水性加工が施され、
前記第1の領域は、前記外側ガス孔を中心として前記外側ガス孔の半径の2倍以上の半径を有する円形状部分を含む、
ガスセンサ。
【請求項2】
前記外側表面の、前記第1の領域以外の領域である第2の領域の開始位置は、前記外側ガス孔よりも前記外側保護カバーの開口縁側にあり、
前記第2の領域の終了位置は、前記外側ガス孔よりも前記外側保護カバーの底側にあり、
前記第2の領域には、撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない、
請求項1に記載のガスセンサ。
【請求項3】
前記第2の領域の開始位置および終了位置は、前記外側保護カバーの周方向において、前記外側ガス孔に対して互いに異なる側にある、
請求項2に記載のガスセンサ。
【請求項4】
前記第2の領域は、前記外側保護カバーの周方向における幅が前記外側保護カバーの開口縁側ほど広がる凝集水導入部分を含み、
前記凝集水導入部分の開始位置は、前記外側ガス孔よりも前記外側保護カバーの開口縁側にある、
請求項2または3に記載のガスセンサ。
【請求項5】
前記凝集水導入部分の前記外側保護カバーの底側に、前記外側保護カバーの底まで延びる帯状の排水部分が接続されている、
請求項4に記載のガスセンサ。
【請求項6】
前記第1の領域および前記第2の領域の少なくとも一方は、前記外側保護カバーの開口縁から前記外側保護カバーの底まで延びている、
請求項2または3に記載のガスセンサ。
【請求項7】
前記外側保護カバーの外側表面には、前記外側ガス孔が複数形成され、
複数の前記第1の領域のそれぞれが、複数の前記外側ガス孔のそれぞれを囲み、
前記複数の前記第1の領域の間に、複数の前記第2の領域が形成されている、
請求項2または3に記載のガスセンサ。
【請求項8】
前記第2の領域には、親水加工が施されている、
請求項2または3に記載のガスセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車の排気ガスなどの被測定ガスにおけるNOxや酸素などの所定のガス濃度を検出するガスセンサが知られている。ガスセンサは、例えば、前記被測定ガスの前記所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子と、外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔が形成され、前記センサ素子の先端を覆う有底筒状の外側保護カバーと、を備えている。このようなガスセンサは、自動車の排気管等に取り付けられ、排気ガス中のNOxなどのガス濃度を検出することができる。
【0003】
自動車の排気ガスなどが流れる排気管内には凝集水が発生することがあるが、ガスセンサはセンサ素子の活性化する温度(例えば850℃)で使用されるため、センサ素子が被水すると熱衝撃によってセンサ素子にクラックが生じることがある。このため、センサ素子の被水を抑制することが検討されている。特に、近年の規制強化により、排気管内に凝集水が大量に存在する条件でのセンサ信号取得が求められるため、ガスセンサの耐被水性を向上させることが必要になってきている。
【0004】
例えば下掲の特許文献1には、センサ素子の先端等が内部に配置されるセンサ素子室からの出口である素子室出口の配置位置を工夫することで、素子室出口から突発的にガスが流入しても、水がセンサ素子に到達することを抑制できるガスセンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-60218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本件発明者は、ガスセンサの耐被水性のさらなる向上のための検討を重ね、排気管内に発生した凝集水がどのようにしてセンサ素子(特に、センサ素子の先端)に到達するかについて、以下の現象(プロセス)を見出した。
【0007】
図9は、排気管内に発生した凝集水がガスセンサの備えるセンサ素子(特に、センサ素子の先端)に到達するプロセスの概要を説明する図である。図9に示すように、従来のガスセンサ99は、例えば、被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子10と、外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔(不図示)が形成され、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の外側保護カバー940と、を備える。図9に例示するガスセンサ99は、さらにセンサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30と、センサ素子10が内部を軸方向に貫通している円筒状のハウジング20と、を備え、内側保護カバー30は、第1部材31と、第2部材32と、を含む。すなわち、ガスセンサ99において外側保護カバー940は、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30を覆っている。また、図9に示す例では、ガスセンサ99の外側保護カバー940は、その開口縁において、ハウジング20の有する突出部21(フランジ)に接している。このような構成を備えるガスセンサ99は、ハウジング20の突出部21と、排気管800に溶接された被取付部であるボス810とが接した状態で、排気管800に取り付けられる。
【0008】
図9に例示するように、排気管800内に発生した凝集水(水)は、例えば、経路PAをたどって、センサ素子10(特に、センサ素子10の第1先端部11)に到達する。すなわち、排気管800内に発生した水は、エンジン始動時の突発的なガス流れなどによって飛散し、先ず排気管800の内壁に付着する。排気管800の内壁に付着した水は、排気管800の内壁に沿って垂れ落ち、さらに、排気管800の内壁から外側保護カバー940へと達する。外側保護カバー940へと達した水は、さらに、外側保護カバー940に沿って垂れ落ち、外側保護カバー940に設けられた外側ガス孔から外側保護カバー940の内部へと侵入し、センサ素子10(特に、センサ素子10の第1先端部11)に到達する。
【0009】
本発明は、一側面では、排気管内に発生した凝集水が上述のようなプロセスを経てセンサ素子へと到達するという事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、耐被水性を向上させたガスセンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0011】
第1の観点に係るガスセンサは、被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子と、外側から内側への前記被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔が形成され、前記センサ素子の先端を覆う有底筒状の外側保護カバーと、を備え、前記外側保護カバーの外側表面における前記外側ガス孔を囲む第1の領域には、撥水加工または疎水性加工が施され、前記第1の領域は、前記外側ガス孔を中心として前記外側ガス孔の半径の2倍以上の半径を有する円形状部分を含む。
【0012】
当該構成では、前記外側ガス孔を囲む前記第1の領域には、撥水加工または疎水性加工が施され、前記第1の領域は、前記外側ガス孔を中心として前記外側ガス孔の半径の2倍以上の半径を有する円形状部分を含む。そのため、前記ガスセンサは、撥水加工または疎水性加工が施され、前記外側ガス孔を囲む前記第1の領域によって、前記外側保護カバーの外側表面を伝う水(凝集水)が前記外側ガス孔から前記外側保護カバーの内部へと進入することを防ぐことができる。
【0013】
特に、本件発明者らは、前記第1の領域を、前記外側ガス孔を中心として前記外側ガス孔の半径の2倍以上の半径を有する領域とする場合、前記外側ガス孔の半径の2倍未満の半径を有する領域とする場合に比べて、水の進入を防ぐのに有効であることを確認した。
【0014】
したがって、本発明の一側面に係るガスセンサは、前記第1の領域によって、水(凝集水)が前記センサ素子に到達することを抑制することができ、耐被水性を向上させることができる。
【0015】
第2の観点に係るガスセンサは、上記第1の観点に係るガスセンサにおいて、前記外側表面の、前記第1の領域以外の領域である第2の領域の開始位置(上端。前記外側保護カバーの軸方向において、開口縁側の端部)は、前記外側ガス孔よりも前記外側保護カバーの開口縁側にあり、前記第2の領域の終了位置(下端。前記外側保護カバーの軸方向において、底側(底面側)の端部)は、前記外側ガス孔よりも前記外側保護カバーの底側にあり、前記第2の領域には、撥水加工および疎水性加工の何れも施されていなくてもよい。
【0016】
当該構成では、前記外側保護カバーの外側表面は、「撥水加工または疎水性加工が施された、前記第1の領域」と、「撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない、前記第2の領域」とを含む。そのため、水(凝集水)は、前記外側保護カバーの外側表面において、「撥水加工または疎水性加工が施された、前記第1の領域」ではなく、「撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない、前記第2の領域」を伝うことになる。
【0017】
そして、前記第2の領域は、前記外側ガス孔の縁から所定の距離(具体的には、前記外側ガス孔の半径)以上離れた位置に形成される。また、前記第2の領域の開始位置は、前記外側ガス孔よりも前記外側保護カバーの開口縁側にあり、前記第2の領域の終了位置は、前記外側ガス孔よりも前記外側保護カバーの底側にある。つまり、前記第2の領域は、前記外側保護カバーの周方向に対して傾いた方向に延びており、例えば、前記外側保護カバーの軸方向に平行に、または、前記外側保護カバーの軸方向に対して鋭角に傾いた方向に、延びている。
【0018】
そのため、前記外側ガス孔の縁から所定の距離以上離れた位置に形成された前記第2の領域は、水(凝集水)を、前記外側ガス孔へと到達させることなく、前記外側保護カバーの開口縁側から前記外側保護カバーの底側へと、誘導する(整流する)ことができる。したがって、本発明の一側面に係るガスセンサは、前記第2の領域によって、前記外側保護カバーの外側表面を伝う水(凝集水)が前記外側ガス孔から前記外側保護カバーの内部へと進入することを防ぎ、水が前記センサ素子に到達することを抑制することができる。
【0019】
第3の観点に係るガスセンサは、上記第2の観点に係るガスセンサにおいて、前記第2の領域の開始位置および終了位置は、前記外側保護カバーの周方向において、前記外側ガス孔に対して互いに異なる側にあってもよい。
【0020】
当該構成では、前記第2の領域の開始位置および終了位置は、前記外側保護カバーの周方向において、前記外側ガス孔に対して互いに異なる側にある。そして、前述の通り、前記第2の領域は、前記外側ガス孔の縁から所定の距離以上離れた位置に形成され、前記外側保護カバーの周方向に対して傾いた方向に延びている。つまり、前記第2の領域の、前記外側保護カバーの周方向の長さは、前記外側ガス孔の、前記外側保護カバーの周方向の長さよりも長く、かつ、前記第2の領域は、前記外側ガス孔の縁から所定の距離以上離れている。しかも、前記第2の領域の開始位置は、前記外側ガス孔よりも前記外側保護カバーの開口縁側にあり、前記第2の領域の終了位置は、前記外側ガス孔よりも前記外側保護カバーの底側にある。そのため、前記外側保護カバーの開口縁側から前記外側保護カバーの底側へと前記外側保護カバーの外側表面を伝う水(凝集水)は、前記外側ガス孔へと到達する前に、前記第2の領域に到達することになる。そして、前記第2の領域に到達した水は、前記第2の領域によって、前記外側ガス孔へと到達することなく、前記外側ガス孔よりも前記外側保護カバーの底側にある前記終了位置へと誘導される(整流される)。したがって、本発明の一側面に係るガスセンサは、前記第2の領域によって、前記外側保護カバーの外側表面を伝う水(凝集水)が前記外側ガス孔へと到達することを防ぐことができ、水が前記センサ素子に到達することを抑制することができる。
【0021】
第4の観点に係るガスセンサは、上記第2または上記第3の観点に係るガスセンサにおいて、前記第2の領域は、前記外側保護カバーの周方向における幅が前記外側保護カバーの開口縁側ほど広がる凝集水導入部分を含み、前記凝集水導入部分の開始位置は、前記外側ガス孔よりも前記外側保護カバーの開口縁側にあってもよい。
【0022】
当該構成では、前記第2の領域は、前記外側保護カバーの周方向における幅が前記外側保護カバーの開口縁側ほど広がる前記凝集水導入部分を含む。例えば、前記凝集水導入部分は、前記外側保護カバーの開口縁に底辺を有し、前記外側保護カバーの底側(ガスセンサの先端側)に頂点を有する三角形状の領域として、前記外側保護カバーの外側表面に形成されてもよい。そのため、前記外側保護カバーの開口縁側から前記外側保護カバーの底側へと前記外側保護カバーの外側表面を伝う水(凝集水)は、前記凝集水導入部分によって、前記第2の領域へと導入されることになる。そして、前記第2の領域は、前記外側ガス孔の縁から所定の距離以上離れた位置に形成されている。したがって、本発明の一側面に係るガスセンサは、前記凝集水導入部分によって、前記外側保護カバーの開口縁側から前記外側保護カバーの底側へと前記外側保護カバーの外側表面を伝う水(凝集水)が前記外側ガス孔へと到達することを防ぐことができる。
【0023】
第5の観点に係るガスセンサは、上記第4の観点に係るガスセンサにおいて、前記凝集水導入部分の前記外側保護カバーの底側に、前記外側保護カバーの底まで延びる帯状の排水部分が接続されていてもよい。
【0024】
当該構成では、前記凝集水導入部分の前記外側保護カバーの底側に、前記外側保護カバーの底まで延びる帯状の排水部分が接続されており、例えば、前記凝集水導入部分と前記排水部分とは、前記外側保護カバーの軸方向に一連に形成されている。つまり、前記凝集水導入部分の、前記外側保護カバーの底側は、帯状の前記排水部分の、前記外側保護カバーの開口縁側に連通(接続)しており、また、前記排水部分は、前記外側保護カバーの底まで延びている。前記凝集水導入部分と前記排水部分とを含む前記第2の領域は、例えば、前記外側保護カバーの開口縁に底辺を有し、前記外側保護カバーの底側(ガスセンサの先端側)に頂点(終了位置)を有する漏斗状の領域として、前記外側保護カバーの外側表面に形成される。そのため、前記開口縁側から前記底側へと前記外側表面を伝う水(凝集水)は、前記凝集水導入部分によって前記排水部分へと導入され、さらに、前記排水部分によって前記外側ガス孔へと到達することなく、前記底側へと排出(排水)される。したがって、本発明の一側面に係るガスセンサは、前記排水部分によって、前記外側保護カバーの開口縁側から前記外側保護カバーの底側へと前記外側保護カバーの外側表面を伝う水(凝集水)が前記外側ガス孔へと到達することを防ぐことができる。
【0025】
第6の観点に係るガスセンサ素子は、上記第2から第5の何れかの観点に係るガスセンサにおいて、前記第1の領域および前記第2の領域の少なくとも一方は、前記外側保護カバーの開口縁から前記外側保護カバーの底まで延びていてもよい。
【0026】
当該構成では、前記第1の領域および前記第2の領域の少なくとも一方は、前記外側保護カバーの開口縁から前記外側保護カバーの底まで延びている。そのため、例えば、前記第1の領域が前記開口縁から前記底まで延びている場合、前記開口縁側から前記底側へと前記外側表面を伝う水(凝集水)が、途中で、前記外側ガス孔に向かって前記外側表面を伝わり落ちるといった事態を防ぐことができる。また、例えば、前記第2の領域が前記開口縁から前記底まで延びている場合も、前記開口縁側から前記底側へと前記外側表面を伝う水(凝集水)が、途中で、前記外側ガス孔に向かって前記外側表面を伝わり落ちるといった事態を防ぐことができる。つまり、前記第1の領域および前記第2の領域は、それぞれ、その開始位置よりも前記開口縁側の位置から、凝集水が前記外側ガス孔に向かって前記外側表面を伝わり落ちることを防ぐことができる。また、前記第1の領域および前記第2の領域は、それぞれ、その終了位置よりも前記底側の位置から、凝集水が前記外側ガス孔に向かって前記外側表面を伝わり落ちることを防ぐことができる。したがって、本発明の一側面に係るガスセンサは、前記第1の領域および前記第2の領域の少なくとも一方によって、水(凝集水)が前記外側保護カバーの外側表面を伝って、前記外側ガス孔へと入り込んでしまうといった事態が発生するのを防ぐことができる。
【0027】
第7の観点に係るガスセンサ素子は、上記第2から第6の何れかの観点に係るガスセンサにおいて、前記外側保護カバーの外側表面には、前記外側ガス孔が複数形成され、複数の前記第1の領域のそれぞれが、複数の前記外側ガス孔のそれぞれを囲み、前記複数の前記第1の領域の間に、複数の前記第2の領域が形成されていてもよい。当該構成では、前記外側保護カバーの外側表面には、複数の前記第2の領域が形成されている。そのため、複数の前記第2の領域によって十分な量の水(凝集水)を整流することができる。したがって、本発明の一側面に係るガスセンサは、前記第2の領域から逸れた水が、前記外側ガス孔へと入り込んでしまうといった事態が発生するのを防ぐことができる。
【0028】
第8の観点に係るガスセンサ素子は、上記第2から第7の何れかの観点に係るガスセンサにおいて、前記第2の領域には、親水加工が施されていてもよい。当該構成では、前記第2の領域に、親水加工が施されている。そして、前述の通り、前記第1の領域は、前記外側ガス孔を囲む領域であって、撥水加工または疎水性加工が施されている。そのため、水(凝集水)は、前記外側保護カバーの外側表面において、撥水加工または疎水性加工が施された前記第1の領域ではなく、親水加工が施された前記第2の領域を伝うことになる。すなわち、親水加工が施された前記第2の領域は、前記外側保護カバーの外側表面を伝う水(凝集水)を、より確実に、前記外側ガス孔へと至らないように誘導する(整流する)ことができる。しかも、前記第2の領域は、前記外側ガス孔の縁から所定の距離以上離れた位置に形成されている。したがって、本発明の一側面に係るガスセンサは、前記第2の領域によって、前記外側保護カバーの外側表面を伝う水(凝集水)が前記外側ガス孔から前記外側保護カバーの内部へと進入することを防ぎ、水が前記センサ素子に到達することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、耐被水性を向上させたガスセンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本実施の形態に係るガスセンサの構成の一例を概略的に示す断面模式図である。
図2図2は、図1のガスセンサが備える外側保護カバーの構成の一例を示す側面模式図である。
図3図3は、第1の変形例に係る外側保護カバーの構成の一例を示す側面模式図である。
図4図4は、第2の変形例に係る外側保護カバーの構成の一例を示す側面模式図である。
図5図5は、第3の変形例に係る外側保護カバーの構成の一例を示す側面模式図である。
図6図6は、第4の変形例に係る外側保護カバーの構成の一例を示す平面模式図である。
図7図7は、第5の変形例に係る外側保護カバーの構成の一例を示す平面模式図である。
図8図8は、第6の変形例に係る外側保護カバーの構成の一例を示す平面模式図である。
図9図9は、排気管内に発生した凝集水がガスセンサの備えるセンサ素子に到達するプロセスの概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。ただし、以下で説明する本実施形態は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。本発明の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。つまり、本発明の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
【0032】
本件発明者は、ガスセンサの取り付けられた排気管内に発生した凝集水が、排気管の内壁を伝ってガスセンサの外側保護カバーへと達した後、外側保護カバーに設けられた外側ガス孔から外側保護カバー内に侵入してしまうという事象を確認した。そこで、本件発明者は、外側保護カバーの外側表面において、外側ガス孔を囲む第1の領域に、撥水加工または疎水性加工を施すことにより、凝集水が外側ガス孔から外側保護カバー内に侵入してしまうのを防止することを検討した。本件発明者は、係る検討に基づいて実験を行ない、撥水加工または疎水性加工を施した第1の領域を、少なくとも以下のように形成することで、凝集水が外側ガス孔から外側保護カバー内に侵入してしまうのを防止できることを確認した。すなわち、第1の領域を、少なくとも、外側ガス孔を中心とする、外側ガス孔の半径の2倍以上の半径を有する円形状の領域として形成することで、凝集水が外側ガス孔から外側保護カバー内に侵入してしまうのを防止できることを、本件発明者は確認した。係る実験結果に基づき、本実施形態において外側保護カバーの外側表面における外側ガス孔を囲む第1の領域には、撥水加工または疎水性加工が施され、係る第1の領域は、外側ガス孔を中心として外側ガス孔の半径の2倍以上の半径を有する円形状部分を含む。以下、本実施形態に係るガスセンサについて、図1等を用いて、その詳細を説明していく。
【0033】
[構成例]
(ガスセンサの全体概要)
図1は、本実施の形態に係るガスセンサ1の構成の一例を概略的に示す断面模式図である。図1に示すように、ガスセンサ1は、被測定ガス(例えば、排気ガス)の所定のガス(例えば、NOx等)の濃度を検出可能なセンサ素子10と、センサ素子10の先端(第1先端部11)を覆う有底筒状の外側保護カバー40と、を備えている。特に、図1に例示するガスセンサ1は、センサ素子10と外側保護カバー40とに加えて、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30と、センサ素子10が内部を軸方向に貫通している円筒状のハウジング20と、を備えている。例えば、ガスセンサ1、センサ素子10、ハウジング20、内側保護カバー30、外側保護カバー40の中心軸は同軸になっている。
【0034】
センサ素子10は、ジルコニアなどの酸素イオン伝導性固体電解質セラミックスからなる素子体を主たる構成材料とする長尺の柱状あるいは薄板状の部材である。センサ素子10は、第1先端部11の側にガス導入口および内部空所などを備えるとともに、素子体表面および内部に種々の電極や配線パターンを備えた構成を有する。
【0035】
センサ素子10においては、内部空所に導入された被測定ガスが内部空所内で還元ないしは分解されて酸素イオンが発生する。ガスセンサ1においては、センサ素子10の内部を流れる酸素イオンの量が被測定ガス中における所定のガス成分の濃度に比例することに基づいて、係るガス成分の濃度が求められる。
【0036】
センサ素子10の表面の、第1先端部11から長手方向における所定の範囲は、保護膜Pで被覆されてなる。保護膜Pは、熱的な衝撃から第1先端部11近傍を保護するために設けられる、例えばAl23などからなる厚みが10μm~2000μm程度の多孔質膜であり、耐熱衝撃保護層とも称される。保護膜Pは、その目的に照らして、50N程度までの力に耐え得るように形成されるのが好ましい。保護膜Pの形成範囲は、センサ素子10の具体的構造に応じて適宜に定められる。
【0037】
長尺の柱状あるいは薄板状の部材であるセンサ素子10の、保護膜Pが設けられていない側の端部が、第2先端部12である。ガスセンサ1において、センサ素子10は、円筒状のハウジング20内部を軸方向に貫通しており、保護膜Pで被覆された第1先端部11と、保護膜Pで被覆されていない第2先端部12とが、ハウジング20から突き出している。
【0038】
以下の説明においては、センサ素子10の第1先端部11が配置される側をガスセンサ1の「先端側」と称することがある。同様に、センサ素子10の保護膜Pが設けられていない側の端部(第2先端部12)が配置される側をガスセンサ1の「後端側」と称することがある。図1において、紙面左側がガスセンサ1の先端側であり、紙面右側がガスセンサ1の後端側である。後述する通り、ガスセンサ1の先端側は、外側保護カバー40の底側に相当し、ガスセンサ1の後端側は、外側保護カバー40の開口縁側に相当する。
【0039】
ハウジング20は、センサ素子10が内部を軸方向に貫通する円筒状の部材であり、例えば、金属で形成されている。図1に示すハウジング20は、突出部21(フランジ)を備えている。突出部21は、ガスセンサ1の取り付けられる不図示の外部部材(例えば、排気管)と接して、係る外部部材により規定される空間(例えば、排気管内)から被測定ガスが漏れ出すのを防ぐ部材である。
【0040】
例えば、ハウジング20の外周には、突出部21と接触する態様にて、不図示の固定ボルトが環装される。この固定ボルトは、例えば金属で形成され、外周面におねじが設けられている。ハウジング20は、「排気管に溶接され、内周面にめねじが設けられた固定用部材(被取付部、ボス)」内に挿入され、さらに、突出部21と固定用部材とが接した状態で、上述の固定ボルトが固定用部材内に挿入される。このようにして、ハウジング20は固定用部材内に固定され、つまり、ガスセンサ1が排気管内に固定される。そして、突出部21(特に、突出部21の、先端側の面)は、排気管(固定用部材)の面と当たりシール面を形成することにより、被測定ガスが排気管の外部へと漏れだすのを防ぐ。
【0041】
内側保護カバー30は、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の部材であり、例えば、金属で形成されている。内側保護カバー30は、図1に示す例では、第1部材31および第2部材32を含む。図1に示す例では、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30は、さらに、外側保護カバー40によって覆われている。
【0042】
外側保護カバー40は、センサ素子10の第1先端部11を囲繞する(覆う)有底筒状の部材であり、例えば、金属で形成されている。図1に示す例では、外側保護カバー40は、内側保護カバー30を覆っている。すなわち、図1に例示するガスセンサ1において、外側保護カバー40は、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30を覆っている。外側保護カバー40は、ハウジング20の突出部21よりもガスセンサ1の先端側に付設される。有底筒状の外側保護カバー40の内周面は、円筒状のハウジング20の外周面に接しており、外側保護カバー40の内周面とハウジング20の外周面との間から凝集水が外側保護カバー40の内部へと進入することを防いでいる。また、図1に示す例では、有底筒状の部材である外側保護カバー40は、その開口縁において、ハウジング20の有する突出部21(フランジ)に接している。
【0043】
また、図1には示されていないが、外側保護カバー40には、外側から内側への被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔41が形成されている。さらに、外側保護カバー40の外側表面には、撥水加工または疎水性加工が施された第1の領域42、および、第1の領域42以外の領域である第2の領域43が形成されている。第1の領域42および第2の領域43について、詳細は図2等を用いて後述する。
【0044】
なお、以下の説明においては、外側保護カバー(外側保護カバー40)が、円筒状の大径部と、係る大径部に接続しており大径部よりも径の小さい有底筒状の先端部とを有している例を説明する。すなわち、本実施形態では、有底筒状の外側保護カバー40が、円筒状の胴部と、有底筒状で胴部よりも内径の小さい先端部とを有する例について説明する。係る胴部は、外側保護カバー40の中心軸方向に沿った側面をもつ側部と、胴部の底部であって側部と先端部とを接続する段差部と、を有している。ただし、ガスセンサ1にとって、外側保護カバー40がこのような構成を備えることは必須ではなく、外側保護カバー40が、胴部と先端部とを有することは必須ではない。言い換えれば、ガスセンサ1にとって、外側保護カバー40を、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とを段差部によって接続した構成とすることは必須ではない。ガスセンサ1にとって、外側保護カバー40は、センサ素子10の第1先端部11を覆う、有底筒状の形状を有していればよい。例えば、外側保護カバー40は、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とを、段差部を介さずに直接接続した構成としてもよい。また、例えば、外側保護カバー40は、複数の段差部を備えていてもよい。すなわち、外側保護カバー40は、円筒状の大径部と、係る大径部に接続し、かつ、大径部よりも径の小さい円筒状の胴部と、係る胴部に接続した先端部であって、胴部よりも内径が小さく、かつ、有底筒状である先端部と、を有していてもよい。つまり、本発明の一側面に係る外側保護カバーは、センサ素子10の先端(第1先端部11)を覆う有底筒状の形状を有していればよく、有底筒状の形状に加えてどのような形状を含むかは、ガスセンサ(ガスセンサ1)の使用方法、使用箇所等に応じて適宜選択される。
【0045】
ガスセンサ1にとって、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の内側保護カバー30を備えることは必須ではない。例えば、ガスセンサ1は、内側保護カバー30を備えていなくてもよく、外側保護カバー40が、内側保護カバー30を介することなく、センサ素子10の第1先端部11を覆っていてもよい。
【0046】
また、ガスセンサ1が備える保護カバーは、内側保護カバー30および外側保護カバー40に限られるものではない。ガスセンサ1は、内側保護カバー30および外側保護カバー40に加え、さらに別の保護カバーを備えていてもよい。例えば、ガスセンサ1は、内側保護カバー30および外側保護カバー40の他に、両者の間に配置される中間保護カバーをさらに備えていてもよい。また、ガスセンサ1は、係る中間保護カバーを備えていなくてもよい。
【0047】
(取付角度)
これまでに説明してきたガスセンサ1は、例えば自動車の排気管等に取り付けられ、排気ガス(被測定ガス)中のNOx(所定のガス)等の濃度を検出する。ガスセンサ1は、ガスセンサ1の中心軸が排気管内の被測定ガスの流れに垂直、かつ、鉛直方向に対して所定の角度(例えば45度~80度の間に含まれるいずれかの角度)だけ傾いた状態で、排気管内に固定されていてもよい。例えば、ガスセンサ1を排気管に対して傾斜(傾斜角=35度)させて取り付けてもよい。ただし、ガスセンサ1の取付角度は特に限定されるものではなく、実施の形態に即して適宜選択される。例えば、ガスセンサ1は、水平面に対して、先端側(第1先端部11が配置された側)を下側に、後端側(第2先端部12が配置された側)を上側にして、傾いた状態で取り付けられる。
【0048】
(外側保護カバーの詳細)
図2は、ガスセンサ1が備える外側保護カバー40の構成の一例を示す側面模式図である。すなわち、図2は、有底筒状の外側保護カバー40の開口縁を紙面上側、外側保護カバー40の底面を紙面下側とする、外側保護カバー40の構成の一例を示す側面模式図である。
【0049】
図2に示すように、有底筒状の外側保護カバー40には、外側から内側への被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔41が形成されている。具体的には、図2には、側面に、4つの外側ガス孔41(41(1)、41(2)、41(3)、41(5))が形成された有底筒状の外側保護カバー40の例が示されている。
【0050】
以下の説明において、4つの外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、41(4)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「外側ガス孔41」と表現する。また、複数の外側ガス孔41のそれぞれを区別する場合には、部材番号「41」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。なお、「n」は「1」以上の整数とする。
【0051】
ただし、外側保護カバー40に形成される外側ガス孔41が4つであることは必須ではなく、ガスセンサ1において、外側保護カバー40には、1個以上の外側ガス孔41が形成されていればよい。例えば、外側保護カバー40に形成される外側ガス孔41は、1個であってもよいし、2または3つであってもよいし、5つ以上であってもよい。すなわち、図2には、複数の外側ガス孔41が形成された外側保護カバー40の例を示したが、外側保護カバー40に形成される外側ガス孔41が複数であることは必須ではない。外側保護カバー40には、少なくとも1つの外側ガス孔41が形成されていればよい。後述する通り、少なくとも1つの外側ガス孔41は、それぞれ、撥水加工または疎水性加工が施された第1の領域42によって、その周囲を囲まれる。特に、外側ガス孔41は、少なくとも、その周囲の所定範囲(具体的には、外側ガス孔41を中心として、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分)を、第1の領域42によって囲まれる。
【0052】
なお、外側ガス孔41が有底筒状の外側保護カバー40の側面に形成されることも必須ではない。有底筒状の外側保護カバー40の底面に、1つ以上の外側ガス孔41が形成されてもよい。また、外側保護カバー40の側面および底面のそれぞれに、1つ以上の外側ガス孔41が形成されていてもよい。すなわち、外側ガス孔41が形成され、センサ素子10の第1先端部11を覆う有底筒状の外側保護カバー40は、第1先端部11を覆う底(底面)を有していればよい。外側保護カバー40において外側ガス孔41をどこに形成するかは、ガスセンサ1の使用方法、使用箇所(設置箇所)等に応じて適宜選択される。
【0053】
(第1の領域の形成)
図2に示すように、外側保護カバー40の外側表面(側面)において、外側ガス孔41を囲む第1の領域42には、撥水加工が施される。具体的には、図2に示す例では、外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、41(4)は、それぞれ、第1の領域42(1)、42(2)、42(3)、42(4)によって、その周囲を囲まれている。以下の説明において、4つの第1の領域42(1)、42(2)、42(3)、42(4)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「第1の領域42」と表現する。また、複数の第1の領域42のそれぞれを区別する場合には、部材番号「42」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。
【0054】
上述の通り、外側ガス孔41を囲む第1の領域42には、撥水加工が施される。ただし、第1の領域42に施されるのは、撥水加工ではなく、疎水性加工であってもよい。図2に示す例では、外側保護カバー40の外側表面において、外側ガス孔41を中心とする(「外側ガス孔41の中心」を中心とする)、半径Rfを有する円形状部分に、撥水加工を施して、外側ガス孔41を囲む第1の領域42を形成した。後述する通り、半径Rfの長さは、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上であればよく、図2に示す例では、半径Rfの長さは、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍とした。
【0055】
第1の領域42に施される撥水加工(または疎水性加工)について、本実施形態では、第1の領域42に、撥水加工(または疎水性加工)としてフッ素コーティングを施した。しかしながら、第1の領域42に施される撥水加工(または疎水性加工)は、フッ素コーティングに限られるものではない。撥水加工(または疎水性加工)として、第1の領域42に蓮の葉のような物理構造を採用してもよいし、第1の領域42にガラスコーティングを施してもよい。また、フッ素コーティング以外の撥水加工(または疎水性加工)を第1の領域42に施してもよい。なお、センサ素子10の活性化する温度、および、ガスセンサ1が使用される環境を考慮すると、第1の領域42に施される撥水加工(または疎水性加工)は、耐熱性のものとすることが望ましい。
【0056】
第1の領域42は、外側ガス孔41の周囲を囲み、少なくとも、「外側ガス孔41の縁から、外側ガス孔41の半径Rhの長さ以上の長さの範囲」を囲んでいる。図2に例示する第1の領域42は、外側ガス孔41を中心として外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状の領域として形成されている。すなわち、図2に示す例では、撥水加工が施される第1の領域42は、外側ガス孔41を中心とする(「外側ガス孔41の中心」を中心とする)、半径Rfの円形状の領域として形成されている。そして、半径Rfの長さは、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上である。
【0057】
上述の通り、図2の第1の領域42は、「外側ガス孔41を中心として、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状の領域」として形成されている。ただし、本実施形態において、外側保護カバーの外側表面に形成される第1の領域は、「外側ガス孔41を中心として、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分」を含んでいればよい。本実施形態において、外側保護カバーの外側表面に形成される第1の領域は、係る円形状部分以外の領域に拡がっていてもよい。そして、本実施形態において、「外側ガス孔41を中心とする、半径Rfを有する円形状部分」を含む、「外側保護カバー40の外側表面に形成される第1の領域」には、撥水加工または疎水性加工が施されればよい。
【0058】
以上に説明した通り、外側保護カバー40の外側表面において、外側ガス孔41を囲む第1の領域42には、撥水加工または疎水性加工が施される。そして、第1の領域42は、外側ガス孔41を中心として外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分を含む。そのため、撥水加工または疎水性加工が施され、外側ガス孔41を囲む第1の領域42によって、外側保護カバー40の外側表面を伝う水(凝集水)が外側ガス孔41から外側保護カバー40の内部へと進入することを防ぐことができる。つまり、係る第1の領域42によって、ガスセンサ1は、「凝集水が外側ガス孔41から外側保護カバー40の内部へと進入してセンサ素子10へと到達する」という事態を防ぐことができ、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0059】
特に、本件発明者らは、外側ガス孔41を囲み、撥水加工または疎水性加工が施された円形状の第1の領域42の半径Rfの長さを、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上とするか否かで、ガスセンサ1の耐被水性が変化することを、実験により確認した。具体的には、第1の領域42の半径Rfの長さを、外側ガス孔41の半径Rhの長さの「2倍以上」とした場合、「2倍未満」とした場合に比べて、外側ガス孔41からの水の進入を防ぐのに有効であることを、本件発明者らは確認した。したがって、ガスセンサ1は、撥水加工または疎水性加工が施され、「外側ガス孔41を中心として外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分」を含む第1の領域42によって、以下の効果を実現する。すなわち、ガスセンサ1は、係る第1の領域42によって、「水(凝集水)が外側ガス孔41から外側保護カバー40の内部に侵入してセンサ素子10に到達する」ことを抑制することができ、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0060】
(第2の領域の形成)
外側保護カバー40の外側表面において、「外側ガス孔41の周囲を囲む、撥水加工が施された第1の領域42」以外の領域は、第2の領域43として形成される。第2の領域43には、撥水加工および疎水性加工の何れも施されない。すなわち、外側保護カバー40の外側表面において、第1の領域42には、撥水加工または疎水性加工が施されているのに対して、第1の領域42以外の領域である第2の領域43には、撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない。ただし、本実施形態において、「外側ガス孔41の周囲を囲む、撥水加工が施された第1の領域」以外の領域である第2領域には、親水加工が施されてもよい。例えば、図2の第2の領域43には、親水加工が施されてもよい。「外側ガス孔41の周囲を囲む、撥水加工が施された第1の領域」以外の領域である第2領域に親水加工を施す例については、図3を用いて後述する。
【0061】
図2に例示するように、第2の領域43は、外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びており、図2に示す例では、外側保護カバー40の軸方向に平行に延びている。第2の領域43の開始位置(上端。外側保護カバー40の軸方向において、開口縁側の端部)は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40の開口縁側にある。また、第2の領域43の終了位置(下端。外側保護カバー40の軸方向において、底側(底面側)の端部)は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40の底側(底面側)にある。そして、外側保護カバー40の外側表面において、第1の領域42には撥水加工または疎水性加工が施されているのに対して、第1の領域42以外の領域である第2の領域43には撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない。撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない第2の領域43の開始位置を、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40の開口縁側に形成し、終了位置を、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40の底側に形成することで、以下の効果が実現される。すなわち、水(凝集水)は、外側保護カバー40の外側表面において、「撥水加工または疎水性加工が施された、第1の領域42」ではなく、「撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない、第2の領域43」を伝うことになる。そして、第2の領域43は、外側ガス孔41の縁から所定の距離(具体的には、外側ガス孔41の半径Rhの長さ)以上離れた位置に形成される。また、第2の領域43の開始位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40の開口縁側にあり、第2の領域43の終了位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40の底側(底面側)にある。つまり、第2の領域43は、外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びており、例えば、外側保護カバー40の軸方向に平行に、または、外側保護カバー40の軸方向に対して鋭角に傾いた方向に、延びている。そのため、外側ガス孔41の縁から所定の距離以上離れた位置に形成された第2の領域43は、水(凝集水)を、外側ガス孔41へと到達させることなく、外側保護カバー40の開口縁側から底側へと、誘導する(整流する)ことができる。したがって、ガスセンサ1は、係る第2の領域43によって、外側保護カバー40の外側表面を伝う水(凝集水)が外側ガス孔41から外側保護カバー40の内部へと進入することを防ぎ、水がセンサ素子10に到達することを抑制することができる。つまり、ガスセンサ1は、開始位置が外側ガス孔41よりも外側保護カバー40の開口縁側に形成され、終了位置が外側ガス孔41よりも外側保護カバー40の底側に形成された第2の領域43によって、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0062】
特に、図2に例示する第2の領域43は、外側保護カバー40の開口縁から、外側保護カバー40の底(底面)まで延びている。そのため、第2の領域43は、例えば、外側保護カバー40の外側表面を開口縁から底側へと伝う水(凝集水)が、開口縁から底側までの途中で、外側ガス孔41に向かって、外側保護カバー40の外側表面を伝わり落ちるといった事態を防ぐことができる。つまり、第2の領域43は、その開始位置よりも外側保護カバー40の開口縁側の位置から、凝集水が外側ガス孔41に向かって外側保護カバー40の外側表面を伝わり落ちることを防ぐことができる。また、第2の領域43は、その終了位置よりも外側保護カバー40の底側の位置から、凝集水が外側ガス孔41に向かって外側保護カバー40の外側表面を伝わり落ちることを防ぐことができる。したがって、ガスセンサ1は、第2の領域43によって、「水(凝集水)が外側保護カバー40の外側表面を伝って、外側ガス孔41へと入り込んでしまう」といった事態が発生するのを防ぐことができ、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0063】
図2に例示する外側保護カバー40の外側表面には、外側ガス孔41が複数形成され、複数の第1の領域42のそれぞれが、複数の外側ガス孔41のそれぞれを囲み、複数の第1の領域42の間に、複数の第2の領域43が形成されている。そのため、ガスセンサ1は、複数の第2の領域43によって十分な量の水(凝集水)を整流することができる。したがって、ガスセンサ1は、第2の領域43から逸れた水が、外側ガス孔41へと入り込んでしまうといった事態が発生するのを防ぐことができ、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0064】
上述の通り、本実施形態において「外側保護カバーの外側表面に形成される第1の領域」には、撥水加工または疎水性加工が施され、係る第1の領域は、「外側ガス孔を中心として外側ガス孔の半径の2倍以上の半径を有する円形状部分」を含んでいればよい。本実施形態において「外側保護カバーの外側表面に形成される第1の領域」は、「外側ガス孔を中心として外側ガス孔の半径の2倍以上の半径を有する円形状部分」以外の領域に拡がっていてもよい。また、「外側ガス孔の周囲を囲む、撥水加工が施された第1の領域」以外の領域である第2領域には、親水加工が施されてもよい。本実施形態において、外側保護カバーの外側表面には、外側ガス孔の周囲の所定範囲が「撥水加工または疎水性加工が施された第1の領域」として形成される。ガスセンサ1は、係る第1の領域以外の領域である第2の領域を、凝集水の流路として利用することができる。外側保護カバーの外側表面に第1の領域として形成される「外側ガス孔の周囲の、撥水加工または疎水性加工が施される領域」は、少なくとも、「外側ガス孔を中心として、外側ガス孔の半径の長さの2倍以上の長さの半径を有する円形状部分」を含んでいればよい。係る第1の領域以外の領域である第2の領域は、外側保護カバーの外側表面を伝う凝集水の流路として利用可能な領域として形成され、その形状については種々のものがあり得る。以下、上述の第1の領域および第2の領域が形成された外側保護カバーについて、第1の変形例~第6の変形例を用いて、その一例を説明する。
【0065】
なお、以下では、ガスセンサ1が備え得る外側保護カバーの変形例として、複数の外側ガス孔41が形成された外側保護カバーについて説明する。これに応じて、以下では、複数の外側ガス孔41のそれぞれを囲む複数の第1の領域(撥水加工または疎水性加工が施される第1の領域)と、係る複数の第1の領域以外の領域である第2の領域と、が外側表面に形成された外側保護カバーの例について説明する。ただし、上述の通り、本実施形態において外側保護カバーに形成される外側ガス孔41が複数であることは必須ではない。また、外側保護カバーに形成される外側ガス孔41が複数であったとしても、外側表面に形成される第1の領域(撥水加工または疎水性加工が施される第1の領域)が複数である必要はない。例えば、撥水加工または疎水性加工が施された、1つの第1の領域が、「複数の外側ガス孔41のそれぞれを中心とする、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する、複数の円形状部分」を含むように形成されてもよい。すなわち、「撥水加工または疎水性加工が施された、1つの第1の領域」によってその周囲を囲まれる外側ガス孔41は、1つであってもよいし、複数であってもよい。同様に、第1の領域以外の領域である第2の領域が、複数、外側保護カバーの外側表面に形成されることも、ガスセンサ1にとって必須ではない。
【0066】
(外側保護カバーの第1の変形例)
図3は、第1の変形例に係る外側保護カバー40Aの構成の一例を示す側面模式図である。すなわち、図3は、有底筒状の外側保護カバー40Aの開口縁を紙面上側、外側保護カバー40Aの底面を紙面下側とする、外側保護カバー40Aの構成の一例を示す側面模式図である。具体的には、図3は、「外側ガス孔41の周囲を囲む、撥水加工が施された第1の領域42」以外の領域である第2の領域43Aに、親水加工が施された外側保護カバー40Aの一例を例示する側面模式図である。
【0067】
上述の通り、本実施形態において、「外側ガス孔41の周囲を囲む、撥水加工が施された第1の領域」以外の領域である第2領域には、親水加工が施されてもよく、図3に例示する外側保護カバー40Aにおいて、第2の領域43Aには、親水加工が施されている。第2の領域43Aに親水加工が施されている点を除いて、外側保護カバー40Aは、外側保護カバー40と同様である。例えば、外側保護カバー40Aの外側表面に形成される第1の領域42は、外側保護カバー40の外側表面に形成される第1の領域42と同様であり、説明は省略する。
【0068】
図2に例示した外側保護カバー40において、「外側ガス孔41の周囲を囲む、撥水加工が施された第1の領域42」以外の領域である第2の領域43には、撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない。これに対して、図3に例示する外側保護カバー40Aにおいて、「外側ガス孔41の周囲を囲む、撥水加工が施された第1の領域42」以外の領域である第2の領域43Aには親水加工が施されている。第2の領域43Aに施される親水加工は、第1の領域42に施される撥水加工(または疎水性加工)と同様に、耐熱性のものとすることが望ましい。
【0069】
第2の領域43Aに親水加工を施すことによって、ガスセンサ1は、以下の効果を実現する。すなわち、外側保護カバー40Aの外側表面において、第1の領域42は、外側ガス孔41を囲む領域であって、撥水加工または疎水性加工が施される領域として形成される。これに対して、第1の領域42以外の領域である第2の領域43Aは、親水加工が施される領域として形成される。そのため、水(凝集水)は、外側保護カバー40Aの外側表面において、撥水加工または疎水性加工が施された第1の領域42ではなく、親水加工が施された第2の領域43Aを伝うことになる。そして、第2の領域43Aは、外側ガス孔41の縁から所定の距離(具体的には、外側ガス孔41の半径Rhの長さ)以上離れた位置に形成される。そのため、親水加工が施された第2の領域43Aは、外側保護カバー40Aの外側表面を伝う水(凝集水)を、より確実に、外側ガス孔41へと至らないように誘導する(整流する)ことができる。したがって、ガスセンサ1は、第2の領域43Aによって、外側保護カバー40Aの外側表面を伝う水(凝集水)が外側ガス孔41から外側保護カバー40Aの内部へと進入することを防ぎ、水がセンサ素子10に到達することを抑制することができる。つまり、ガスセンサ1は、親水加工が施された第2の領域43Aによって、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0070】
(外側保護カバーの第2の変形例)
図4は、第2の変形例に係る外側保護カバー40Bの構成の一例を示す側面模式図である。すなわち、図4は、有底筒状の外側保護カバー40Bの開口縁を紙面上側、外側保護カバー40Bの底面を紙面下側とする、外側保護カバー40Bの構成の一例を示す側面模式図である。具体的には、図4は、それぞれ、外側保護カバー40Bの開口縁から底(底面)まで延びた、第1の領域42Bおよび第2の領域43Bが形成された外側保護カバー40Bの一例を例示する側面模式図である。
【0071】
図4に示す例では、外側保護カバー40Bには、外側保護カバー40と同様に、外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、41(4)が形成されている。そして、外側保護カバー40Bの外側表面には、外側ガス孔41(1)、41(3)の周囲を囲む第1の領域42B(1)が形成され、また、外側ガス孔41(2)、41(4)の周囲を囲む第1の領域42B(2)が形成されている。以下の説明において、第1の領域42B(1)、42B(2)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「第1の領域42B」と表現する。また、複数の第1の領域42Bのそれぞれを区別する場合には、部材番号「42B」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。第1の領域42Bには、撥水加工または疎水性加工が施される。
【0072】
図4に例示する外側保護カバー40Bの外側表面において、第1の領域42Bは、「外側ガス孔41を中心として、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分」を含むように、帯状に形成されている。例えば、第1の領域42B(1)は、「外側ガス孔41(1)、41(3)のそれぞれを中心とする、外側ガス孔41(1)、41(3)のそれぞれの半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する」2つの円形状部分を含むように、帯状に形成されている。同様に、第1の領域42B(2)は、「外側ガス孔41(2)、41(4)のそれぞれを中心として、外側ガス孔41(2)、41(4)のそれぞれの半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する」2つの円形状部分を含むように、帯状に形成されている。
【0073】
特に、図4に例示する第1の領域42Bは、「外側ガス孔41を中心として、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分」を含む、外側保護カバー40Bの開口縁から底(底面)まで延びる帯状の領域として形成されている。具体的には、第1の領域42B(1)は、外側ガス孔41(1)、41(3)の周囲を囲み、外側保護カバー40Bの開口縁から底まで延びる帯状の領域として形成されている。同様に、第1の領域42B(2)は、外側ガス孔41(2)、41(4)の周囲を囲み、外側保護カバー40Bの開口縁から底まで延びる帯状の領域として形成されている。
【0074】
例えば、外側保護カバー40Bは、外側保護カバー40と同様に、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とが段差部によって接続されてなる。そのため、図4に示す第1の領域42Bにおいて、例えば、円筒状の胴部の側面に設けられた第1の領域42Bと、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた第1の領域42Bとは、不図示の段差部の外側表面に設けられた第1の領域42Bによって接続されている。つまり、図4に例示する第1の領域42Bは、有底筒状の外側保護カバー40Bの開口縁から外側保護カバー40Bの底(底面)まで、連続して延びている。
【0075】
なお、図4に示す例では、第1の領域42Bは、外側保護カバー40Bの軸方向に平行延びている。しかしながら、第1の領域42Bが外側保護カバー40Bの軸方向に平行に延びていることは必須ではなく、第1の領域42Bは、外側保護カバー40Bの周方向に対して傾いた方向に延びていればよい。
【0076】
また、外側保護カバー40Bの外側表面において、第1の領域42B以外の領域は、第2の領域43Bとして形成される。図4に例示する外側保護カバー40Bの外側表面には、第2の領域43B(1)、43B(2)、43B(3)が形成されている。以下の説明において、第2の領域43B(1)、43B(2)、43B(3)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「第2の領域43B」と表現する。また、複数の第2の領域43Bのそれぞれを区別する場合には、部材番号「43B」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。第2の領域43Bは、「それぞれが帯状に形成された複数の第1の領域42B」の間の帯状の領域として形成され、例えば図4に示す例では、第1の領域42B(1)と第1の領域42B(2)との間に、帯状の第2の領域43B(2)が形成されている。
【0077】
第2の領域43Bは、外側保護カバー40Bの周方向に対して傾いた方向に延びており、図4に示す例では、外側保護カバー40Bの軸方向に平行に延びている。第2の領域43Bの開始位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Bの開口縁側にあり、また、第2の領域43Bの終了位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Bの底側(底面側)にある。そして、外側保護カバー40Bの外側表面において、第1の領域42Bには撥水加工または疎水性加工が施されているのに対して、第1の領域42B以外の領域である第2の領域43Bには撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない。
【0078】
特に、図4に例示する第2の領域43Bは、外側保護カバー40Bの開口縁から底(底面)まで延びる帯状の領域として形成されている。具体的には、第2の領域43B(1)、43B(2)、43B(3)は、それぞれ、外側保護カバー40Bの開口縁から底まで延びる帯状の領域として形成されている。
【0079】
前述の通り、例えば、外側保護カバー40Bは、外側保護カバー40と同様に、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とが段差部によって接続されてなる。そのため、図4に示す第2の領域43Bにおいて、例えば、円筒状の胴部の側面に設けられた第2の領域43Bと、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた第2の領域43Bとは、不図示の段差部の外側表面に設けられた第2の領域43Bによって接続されている。つまり、図4に例示する第2の領域43Bは、有底筒状の外側保護カバー40Bの開口縁から外側保護カバー40Bの底(底面)まで、連続して延びている。
【0080】
図4に示す例では、第2の領域43Bは、外側保護カバー40Bの軸方向に平行に延びている。しかしながら、第2の領域43Bが外側保護カバー40Bの軸方向に平行延びていることは必須ではなく、第2の領域43Bは、外側保護カバー40Bの周方向に対して傾いた方向に延びていればよい。
【0081】
これまでに説明してきた通り、第1の領域42Bおよび第2の領域43Bの少なくとも一方は、外側保護カバー40Bの開口縁から底(底面)まで延びていてもよい。例えば、第1の領域42Bが外側保護カバー40Bの開口縁から底まで延びている場合、係る第1の領域42Bによって、以下の事態を防ぐことができる。すなわち、第1の領域42Bは、外側保護カバー40Bの外側表面を開口縁側から底側へと伝う水(凝集水)が、開口縁から底側までの途中で、外側ガス孔41に向かって、外側保護カバー40の外側表面を伝わり落ちるといった事態を防ぐことができる。また、例えば、第2の領域43Bが外側保護カバー40Bの開口縁から底まで延びている場合、係る第2の領域43Bによって、以下の事態を防ぐことができる。すなわち、第2の領域43Bは、外側保護カバー40Bの外側表面を開口縁側から底側へと伝う水(凝集水)が、開口縁から底側までの途中で、外側ガス孔41に向かって、外側保護カバー40の外側表面を伝わり落ちるといった事態を防ぐことができる。つまり、第1の領域42Bおよび第2の領域43Bは、それぞれ、その開始位置よりも外側保護カバー40の開口縁側の位置から、凝集水が外側ガス孔41に向かって外側保護カバー40の外側表面を伝わり落ちることを防ぐことができる。また、第1の領域42Bおよび第2の領域43Bは、それぞれ、その終了位置よりも外側保護カバー40の底側の位置から、凝集水が外側ガス孔41に向かって外側保護カバー40の外側表面を伝わり落ちることを防ぐことができる。したがって、ガスセンサ1は、第1の領域42Bおよび第2の領域43Bの少なくとも一方によって、水(凝集水)が外側保護カバー40Bの外側表面を伝って、外側ガス孔41へと入り込んでしまうといった事態が発生するのを防ぐことができる。つまり、ガスセンサ1は、外側保護カバー40Bの開口縁から底(底面)まで延びる第1の領域42Bおよび第2の領域43Bの少なくとも一方によって、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0082】
なお、図4に例示する外側保護カバー40Bにおいては、第1の領域42Bおよび第2の領域43Bの両方が、外側保護カバー40Bの開口縁から底まで延びている。しかしながら、外側保護カバー40Bにおいて、外側保護カバー40Bの開口縁から底まで延びているのは、第1の領域42Bおよび第2の領域43Bの少なくとも一方であればよい。例えば、第1の領域42Bのみが外側保護カバー40Bの開口縁から底まで延びており、第2の領域43Bは外側保護カバー40Bの開口縁から底まで延びていなくてもよい。同様に、第2の領域43Bのみが外側保護カバー40Bの開口縁から底まで延びており、第1の領域42Bは外側保護カバー40Bの開口縁から底まで延びていなくてもよい。
【0083】
図4に示す例では、外側保護カバー40Bの外側表面において、第2の領域43B以外の領域に撥水加工(または疎水加工)を施して、外側ガス孔41を囲む第1の領域42Bを形成した。外側保護カバー40Bの外側表面において、撥水加工(または疎水加工)を施した第1の領域42B以外の領域、つまり、第2の領域43Bには、親水加工を施してもよい。
【0084】
(外側保護カバーの第3の変形例)
図5は、第3の変形例に係る外側保護カバー40Cの構成の一例を示す側面模式図である。すなわち、図5は、有底筒状の外側保護カバー40Cの開口縁を紙面上側、外側保護カバー40Cの底面を紙面下側とする、外側保護カバー40Cの構成の一例を示す側面模式図である。
【0085】
具体的には、図5は、それぞれが漏斗状の第2の領域43C(1)、43C(2)、43C(3)が形成された外側保護カバー40Cの一例を例示する側面模式図である。第2の領域43C(1)、43C(2)、43C(3)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「第2の領域43C」と表現する。また、複数の第2の領域43Cのそれぞれを区別する場合には、部材番号「43C」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。
【0086】
また、図5に示す例において、外側保護カバー40Cの外側表面には、第2の領域43C以外の領域として、第1の領域42C(1)、42C(2)、42C(3)、42C(4)が形成されている。すなわち、図5に示す例では、外側保護カバー40Cの外側表面に、外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、41(4)のそれぞれの周囲を囲む、第1の領域42C(1)、42C(2)、42C(3)、42C(4)が形成されている。以下の説明において、4つの第1の領域42C(1)、42C(2)、42C(3)、42C(4)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「第1の領域42C」と表現する。また、複数の第1の領域42Cのそれぞれを区別する場合には、部材番号「42C」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。
【0087】
例えば、外側保護カバー40Cは、外側保護カバー40と同様に、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とが段差部によって接続されてなる。そのため、図5に示す例において、例えば、円筒状の胴部の側面に設けられた第1の領域42C(1)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた第1の領域42C(3)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた第1の領域42C(5)によって接続されていてもよい。同様に、円筒状の胴部の側面に設けられた第1の領域42C(2)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた第1の領域42C(4)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた第1の領域42C(6)によって接続されていてもよい。
【0088】
外側保護カバー40Cの外側表面において、外側ガス孔41を囲む第1の領域42Cには、撥水加工または疎水性加工が施される。そして、図5に例示するように、第1の領域42Cは、外側ガス孔41を中心として外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分を含む。
【0089】
図5に示すように、外側保護カバー40Cの外側表面において、第2の領域43Cは、外側ガス孔41の縁から所定の距離(具体的には、外側ガス孔41の半径Rhの長さ)以上離れた位置に形成される。また、第2の領域43Cは、外側保護カバー40Cの周方向に対して傾いた方向に延び、図5に示す例では、外側保護カバー40Cの軸方向に平行に延びている。第2の領域43Cの開始位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Cの開口縁側にあり、また、第2の領域43Cの終了位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Cの底側(底面側)にある。具体的には、図5に例示する第2の領域43Cは、外側保護カバー40Cの開口縁から、外側保護カバー40Cの底(底面)まで延びている。そして、外側保護カバー40Cの外側表面において、第1の領域42Cには撥水加工または疎水性加工が施されているのに対して、第1の領域42C以外の領域である第2の領域43Cには撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない。
【0090】
図5に例示する外側保護カバー40Cの外側表面には、それぞれが漏斗状の領域である、第2の領域43C(1)、43C(2)、43C(3)が形成されている。第2の領域43C(1)は、第2の領域43C(1)の延伸方向において外側保護カバー40Cの開口縁側ほど幅が広い凝集水導入部分431(1)と、第2の領域43C(1)の延伸方向において幅が一定である排水部分432(1)とを含む。第2の領域43C(2)は、第2の領域43C(2)の延伸方向において外側保護カバー40Cの開口縁側ほど幅が広い凝集水導入部分431(2)と、第2の領域43C(2)の延伸方向において幅が一定である排水部分432(2)とを含む。第2の領域43C(3)は、第2の領域43C(3)の延伸方向において外側保護カバー40Cの開口縁側ほど幅が広い凝集水導入部分431(3)と、第2の領域43C(3)の延伸方向において幅が一定である排水部分432(3)とを含む。
【0091】
以下の説明において、凝集水導入部分431(1)、431(2)、431(3)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「凝集水導入部分431」と表現する。また、複数の凝集水導入部分431のそれぞれを区別する場合には、部材番号「431」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。同様に、排水部分432(1)、432(2)、432(3)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「排水部分432」と表現する。複数の排水部分432のそれぞれを区別する場合には、部材番号「432」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。
【0092】
図5に例示するように、第2の領域43Cは、外側保護カバー40Cの周方向における幅が第2の領域43Cの延伸方向において変化する凝集水導入部分431と、幅が第2の領域43Cの延伸方向において一定である排水部分432とを含んでいる。すなわち、図5に示す例では、外側保護カバー40Cの外側表面に、三角形状の凝集水導入部分431と、係る凝集水導入部分431の下端から外側保護カバー40Cの底側へと延びる帯状の排水部分432とにより、漏斗状の第2の領域43Cが形成されている。
【0093】
第2の領域43Cは、凝集水導入部分431と排水部分432とを、有底筒状の外側保護カバー40Cの周方向に対して傾いた方向に一連に設けることにより構成される。図5に示す例では、第2の領域43Cは、凝集水導入部分431と排水部分432とを、外側保護カバー40Cの軸方向に平行に一連に設けることにより構成されている。
【0094】
第2の領域43Cにおいて、凝集水導入部分431は外側保護カバー40Cの開口縁側に配置され、排水部分432は外側保護カバー40Cの底側に配置される。図5に示す例では、第2の領域43Cは、外側保護カバー40Cの開口縁側の凝集水導入部分431と、凝集水導入部分431の下端から外側保護カバー40Cの周方向に対して傾いた方向に延びる排水部分432とからなる。排水部分432は、凝集水導入部分431の「外側保護カバー40Cの底側(底面側)」に接続されていればよく、例えば、凝集水導入部分431の「外側保護カバー40Cの底側」の端部(下端。終了位置)に接続されている。
【0095】
凝集水導入部分431は、外側保護カバー40Cの開口縁側を流下する水(凝集水)を導入する。例えば図5に例示するように、凝集水導入部分431は、外側保護カバー40Cの開口縁側に向けて幅が広がる、三角形状の流水路として形成される。すなわち、凝集水導入部分431は、開始位置(ガスセンサ1の後端側の端部)における幅が、終了位置(ガスセンサ1の先端側の端部)における幅よりも大きい(広い)流水路として、構成される。図5に示す例では、凝集水導入部分431は、外側保護カバー40Cの開口縁を開始位置(上端)とし、終了位置(下端)において排水部分432に接続しており、特に、排水部分432の開始位置(ガスセンサ1の後端側の端部、上端)に接続している。
【0096】
図5に示す例では、第2の領域43C(1)と第2の領域43C(2)とは、その開始位置において交わっており、つまり、凝集水導入部分431(1)と凝集水導入部分431(2)とは、その開始位置において交わっている。また、第2の領域43C(2)と第2の領域43C(3)とは、その開始位置において交わっており、つまり、凝集水導入部分431(2)と凝集水導入部分431(3)とは、その開始位置において交わっている。しかしながら、ガスセンサ1の外側保護カバー40Cに、複数の第2の領域43Cを設けることは必須ではなく、外側保護カバー40Cに設けられる第2の領域43Cは1つであってもよい。また、ガスセンサ1の外側保護カバー40Cに、複数の第2の領域43Cを設ける場合であっても、少なくとも2本の第2の領域43Cが互いに交わるように、複数の第2の領域43Cを設けることも必須ではない。ガスセンサ1の外側保護カバー40Cに設けられる複数の第2の領域43Cは、互いに交わっていなくてもよい。
【0097】
また、図5に示す例では、凝集水導入部分431の開始位置(ガスセンサ1の後端側の端部)は、外側保護カバー40Cの開口縁に配置されている。しかしながら、凝集水導入部分431の開始位置を、外側保護カバー40Cの開口縁に配置することは必須ではない。ただし、凝集水導入部分431の開始位置は、外側ガス孔41よりもガスセンサ1の後端側に配置することが望ましく、つまり、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Cの開口縁側に配置することが望ましい。凝集水導入部分431の開始位置を、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Cの開口縁側に配置することによって、ガスセンサ1は、以下の効果を実現することができる。すなわち、ガスセンサ1は、凝集水導入部分431によって、外側保護カバー40Cの外側表面を伝って、ガスセンサ1の後端側から先端側へと、つまり、外側保護カバー40Cの開口縁側から底側へと、流れ落ちる凝集水(水)を、好適に凝集することができる。
【0098】
排水部分432は、凝集水導入部分431によって導入された水を、外側ガス孔41の縁から所定の距離(具体的には、外側ガス孔41の半径Rhの長さ)以上離れた位置へと整流する。排水部分432は帯状に形成され、例えば、幅が第2の領域43Cの延伸方向において一定である流水路として形成されてもよい。図5に示す例では、排水部分432は、その上端(開始位置)が凝集水導入部分431の下端(外側保護カバー40Cの底側)に接続しており、直線状に、外側保護カバー40Cの底側(底面側)へと延びている。
【0099】
例えば、外側保護カバー40Cは、外側保護カバー40と同様に、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とが段差部によって接続されてなる。そのため、図5に示す排水部分432において、例えば、円筒状の胴部の側面に設けられた排水部分432と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた排水部分432とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた排水部分432によって接続されている。つまり、円筒状の胴部の側面に設けられ、凝集水導入部分431の下端に接続されている排水部分432は、外側保護カバー40Cの底(底面)まで延びている。そのため、図5に例示する第2の領域43Cは、有底筒状の外側保護カバー40Cの開口縁から外側保護カバー40Cの底まで、連続して延びている。
【0100】
図5に示す例では、排水部分432は、外側保護カバー40Cの軸方向に平行に延びている。しかしながら、排水部分432が外側保護カバー40Cの軸方向に平行に延びていることは必須ではなく、排水部分432は、外側保護カバー40Cの周方向に対して傾いた方向に延びていればよい。
【0101】
これまで説明してきたように、第2の領域43Cは、外側保護カバー40Cの周方向における幅が外側保護カバー40Cの開口縁側(言い換えれば、ガスセンサ1の後端側)ほど広がる凝集水導入部分431を含む。すなわち、第2の領域43Cは、平面形状が例えば三角形状である凝集水導入部分431を含む。凝集水導入部分431の開始位置(上端。外側保護カバー40Cの開口縁側の端部)は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Cの開口縁側にあり、図5に示す例では、凝集水導入部分431の開始位置は、外側保護カバー40Cの開口縁にある。当該構成では、第2の領域43Cは、外側保護カバー40Cの周方向における幅が外側保護カバー40Cの開口縁側ほど広がる凝集水導入部分431を含む。例えば、凝集水導入部分431は、外側保護カバー40Cの開口縁に底辺を有し、外側保護カバー40Cの底側(ガスセンサ1の先端側)に頂点を有する三角形状の領域として、外側保護カバー40Cの外側表面に形成されてもよい。そのため、外側保護カバー40Cの外側表面を開口縁側から底側(底面側)へと伝う水(凝集水)は、凝集水導入部分431によって、第2の領域43Cへと導入されることになる。そして、第2の領域43Cは、外側ガス孔41の縁から所定の距離(具体的には、外側ガス孔41の半径Rhの長さ)以上離れた位置に形成されている。したがって、ガスセンサ1は、凝集水導入部分431によって、外側保護カバー40Cの外側表面を開口縁側から底側へと伝う水(凝集水)が外側ガス孔41へと到達することを防ぐことができ、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0102】
第2の領域43Cにおいて、凝集水導入部分431の外側保護カバー40Cの底側(底面側)には、外側保護カバー40Cの底(底面)まで延びる帯状の排水部分432が接続されている。当該構成では、凝集水導入部分431の外側保護カバー40Cの底側に、外側保護カバー40Cの底まで延びる帯状の排水部分432が接続されており、凝集水導入部分431と排水部分432とは、外側保護カバー40Cの軸方向に一連に形成されている。つまり、凝集水導入部分431の、外側保護カバー40Cの底側は、帯状の排水部分432の、外側保護カバー40Cの開口縁側に連通(接続)しており、排水部分432は、外側保護カバー40Cの底まで延びている。凝集水導入部分431と排水部分432とを含む第2の領域43Cは、例えば漏斗状の領域として、外側保護カバー40Cの外側表面に形成されてもよく、特に、以下の構成を備える漏斗状の領域として形成されてもよい。すなわち、第2の領域43Cは、外側保護カバー40Cの開口縁に底辺を有し、外側保護カバー40Cの底側(ガスセンサ1の先端側)に頂点(終了位置)を有する漏斗状の領域として、外側保護カバー40Cの外側表面に形成されてもよい。そのため、外側保護カバー40Cの外側表面を開口縁側から底側(底面側)へと伝う水(凝集水)は、凝集水導入部分431によって、排水部分432へと導入される。ここで、凝集水導入部分431は、外側ガス孔41の縁から所定の距離(具体的には、外側ガス孔41の半径Rhの長さ)以上離れた位置に形成されている。そのため、凝集水導入部分431によって排水部分432へと導入された水は、排水部分432によって、外側ガス孔41へと到達することなく、外側保護カバー40Cの底側へと排出(排水)される。したがって、ガスセンサ1は、排水部分432によって、外側保護カバー40Cの開口縁側から底側(底面側)へと外側保護カバー40Cの外側表面を伝う水(凝集水)が外側ガス孔41へと到達することを防ぐことができる。つまり、ガスセンサ1は、凝集水導入部分431の外側保護カバー40Cの底側(底面側)に接続され、外側保護カバー40Cの底まで延びる帯状の排水部分432によって、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0103】
なお、図5には、第2の領域43Cが、凝集水導入部分431と排水部分432とを含む例を説明したが、第2の領域43Cが排水部分432を含むことは必須ではない。第2の領域43Cは、外側保護カバー40Cの周方向における幅が外側保護カバー40Cの開口縁側(ガスセンサ1の後端側)ほど広がる凝集水導入部分431を含んでいればよい。凝集水導入部分431は、外側ガス孔41の縁から所定の距離以上離れた位置に、外側保護カバー40Cの周方向に対して傾いた方向に延びていればよい。
【0104】
図5に示す例では、外側保護カバー40Cの外側表面において、第2の領域43C以外の領域に撥水加工(または疎水加工)を施して、外側ガス孔41を囲む第1の領域42Cを形成した。外側保護カバー40Cの外側表面において、撥水加工(または疎水加工)を施した第1の領域42C以外の領域、つまり、第2の領域43Cには、親水加工を施してもよい。
【0105】
(外側保護カバーの第4の変形例)
図6は、第4の変形例に係る外側保護カバー40Dの構成の一例を示す側面模式図である。すなわち、図6は、有底筒状の外側保護カバー40Dの開口縁を紙面上側、外側保護カバー40Dの底面を紙面下側とする、外側保護カバー40Dの構成の一例を示す側面模式図である。具体的には、図6は、外側保護カバー40Dの軸方向において外側ガス孔41の直径よりも長く伸びた第2の領域43Dが形成された外側保護カバー40Dの一例を例示する側面模式図である。
【0106】
図4を用いて説明した外側保護カバー40Bには、外側保護カバー40Bの開口縁から底(底面)まで延びる第2の領域43Bが形成されていた。しかしながら、本実施形態において、「外側ガス孔41の周囲を囲む、撥水加工が施された第1の領域」以外の領域である第2領域が、有底筒状の外側保護カバーの開口縁から底まで延びていることは必須ではない。例えば、係る第2領域は、その開始位置が外側ガス孔41よりも外側保護カバーの開口縁側にあり、その終了位置が外側ガス孔41よりも外側保護カバーの底側(底面側)にあればよく、外側保護カバーの開口縁から底まで延びていなくてもよい。
【0107】
図6に示す例では、外側保護カバー40Dには、外側保護カバー40と同様に、外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、41(4)が形成されている。そして、外側保護カバー40Dの外側表面において、外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、41(4)は、それぞれ、第1の領域42D(1)、42D(2)、42D(3)、42D(4)によって、その周囲を囲まれている。以下の説明において、第1の領域42D(1)、42D(2)、42D(3)、42D(4)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「第1の領域42D」と表現する。また、複数の第1の領域42Dのそれぞれを区別する場合には、部材番号「42D」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。
【0108】
図6に例示する外側保護カバー40Dの外側表面において、第1の領域42Dは、「外側ガス孔41を中心として、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分」を含むように、帯状に形成されている。例えば、第1の領域42D(1)は、「外側ガス孔41(1)を中心として、外側ガス孔41(1)の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する」円形状部分を含む、帯状の領域として形成されている。同様に、第1の領域42D(2)、42D(3)、42D(4)は、それぞれ、「外側ガス孔41(2)、41(3)、41(4)のそれぞれを中心とする、半径Rfを有する」円形状部分を含む、帯状の領域として形成されている。第1の領域42Dには、撥水加工または疎水性加工が施される。
【0109】
例えば、外側保護カバー40Dは、外側保護カバー40と同様に、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とが段差部によって接続されてなる。そのため、円筒状の胴部の側面に設けられた第1の領域42Dと、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた第1の領域42Dとは、不図示の段差部の外側表面に設けられた第1の領域42Dによって接続されていてもよい。具体的には、円筒状の胴部の側面に設けられた第1の領域42D(1)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた第1の領域42D(3)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた第1の領域42D(5)によって接続されていてもよい。同様に、円筒状の胴部の側面に設けられた第1の領域42D(2)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた第1の領域42D(4)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた第1の領域42D(6)によって接続されていてもよい。つまり、図6に例示する第1の領域42Dは、外側保護カバー40Dの開口縁から外側保護カバー40Dの底(底面)まで、連続して延びていてもよい。
【0110】
なお、図6に示す例では、第1の領域42Dは、外側保護カバー40Dの軸方向に平行に延びている。しかしながら、第1の領域42Dが外側保護カバー40Dの軸方向に平行に延びていることは必須ではなく、第1の領域42Dは、外側保護カバー40Dの周方向に対して傾いた方向に延びていればよい。
【0111】
また、外側保護カバー40Dの外側表面において、第1の領域42D以外の領域は、第2の領域43Dとして形成される。図6に例示する外側保護カバー40Dの外側表面には、第2の領域43D(1)、43D(2)、43D(3)、・・・、43D(6)が形成されている。以下の説明において、第2の領域43D(1)、43D(2)、43D(3)、・・・、43D(6)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「第2の領域43D」と表現する。また、複数の第2の領域43Dのそれぞれを区別する場合には、部材番号「43D」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。例えば、第2の領域43Dは、それぞれが帯状に形成された複数の第1の領域42Dの間の帯状の領域として形成され、図6に示す例では、第1の領域42D(1)と第1の領域42D(2)との間に、帯状の第2の領域43D(2)が形成されている。同様に、第1の領域42D(3)と第1の領域42D(4)との間に、帯状の第2の領域43D(5)が形成されている。
【0112】
すなわち、図6に例示するように、外側保護カバー40Dの外側表面には、外側保護カバー40Dの周方向に対して傾いた方向に延びる第2の領域43Dが形成される。具体的には、第2の領域43Dは、外側ガス孔41の縁から所定の距離(外側ガス孔41の半径Rhの長さ)以上離れた位置に形成され、外側保護カバー40Dの周方向に対して傾いた方向に延びている。図6に示す例では、第2の領域43Dは、外側保護カバー40Dの軸方向に平行に延びている。しかしながら、第2の領域43Dが外側保護カバー40Dの軸方向に平行に延びていることは必須ではなく、第2の領域43Dは、外側保護カバー40Dの周方向に対して傾いた方向に延びていればよい。
【0113】
図6に例示する第2の領域43Dは、図4を用いて説明した第2の領域43Bとは異なり、外側保護カバー40Dの開口縁から底(底面)までは延びてはいない。ただし、第2の領域43Dの開始位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Dの開口縁側にあり、また、第2の領域43Dの終了位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Dの底側(底面側)にある。つまり、外側保護カバー40Dの軸方向における第2の領域43Dの長さは、外側保護カバー40Dの軸方向における外側ガス孔41の長さよりも長い。そして、第2の領域43Dには、撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない。
【0114】
これまで説明してきたように、第2の領域43Dは、外側保護カバー40Dの周方向に対して傾いた方向に延びており、図6に示す例では、外側保護カバー40Dの軸方向に平行に延びている。第2の領域43Dの開始位置(上端。外側保護カバー40Dの開口縁側の端部)は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Dの開口縁側にある。また、第2の領域43Dの終了位置(下端。外側保護カバー40Dの底側(底面側)の端部)は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Dの底側(底面側)にある。そして、外側保護カバー40Dの外側表面において、第1の領域42Dには撥水加工または疎水性加工が施されているのに対して、第1の領域42D以外の領域である第2の領域43Dには撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない。撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない第2の領域43Dの開始位置を、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Dの開口縁側に形成し、終了位置を、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Dの底側に形成することで、以下の効果が実現される。すなわち、水(凝集水)は、外側保護カバー40Dの外側表面において、「撥水加工または疎水性加工が施された、第1の領域42D」ではなく、「撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない、第2の領域43D」を伝うことになる。そして、第2の領域43Dは、外側ガス孔41の縁から所定の距離(具体的には、外側ガス孔41の半径Rhの長さ)以上離れた位置に形成される。また、第2の領域43Dの開始位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Dの開口縁側にあり、第2の領域43Dの終了位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Dの底側(底面側)にある。つまり、第2の領域43Dは、外側保護カバー40の周方向に対して傾いた方向に延びており、例えば、外側保護カバー40Dの軸方向に平行に、または、外側保護カバー40Dの軸方向に対して鋭角に傾いた方向に、延びている。そのため、外側ガス孔41の縁から所定の距離以上離れた位置に形成された第2の領域43Dは、水(凝集水)を、外側ガス孔41へと到達させることなく、外側保護カバー40Dの開口縁側から底側へと、誘導する(整流する)ことができる。したがって、ガスセンサ1は、係る第2の領域43Dによって、外側保護カバー40Dの外側表面を伝う水(凝集水)が外側ガス孔41から外側保護カバー40Dの内部へと進入することを防ぎ、水がセンサ素子10に到達することを抑制することができる。つまり、ガスセンサ1は、開始位置が外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Dの開口縁側に形成され、終了位置が外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Dの底側に形成された第2の領域43Dによって、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0115】
例えば、外側保護カバー40Dは、外側保護カバー40と同様に、円筒状の胴部の側面と有底筒状の先端部とが段差部によって接続されてなる。そのため、円筒状の胴部の側面に設けられた第2の領域43Dと、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた第2の領域43Dとは、不図示の段差部の外側表面に設けられた第2の領域43Dによって接続されていてもよい。例えば、円筒状の胴部の側面に設けられた第2の領域43D(1)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた第2の領域43D(4)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた第2の領域43D(7)によって接続されていてもよい。円筒状の胴部の側面に設けられた第2の領域43D(2)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた第2の領域43D(5)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた第2の領域43D(7)によって接続されていてもよい。円筒状の胴部の側面に設けられた第2の領域43D(3)と、有底筒状の先端部の外側表面に設けられた第2の領域43D(6)とは、不図示の段差部の外側表面に設けられた第2の領域43D(8)によって接続されていてもよい。すなわち、第2の領域43Dは、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Dの開口縁側にある開始位置から、外側保護カバー40Dの底(底面)まで、連続して延びていてもよい。
【0116】
図6に示す例では、外側保護カバー40Dの外側表面において、第2の領域43D以外の領域に撥水加工(または疎水加工)を施して、外側ガス孔41を囲む第1の領域42Dを形成した。外側保護カバー40Dの外側表面において、撥水加工(または疎水加工)を施した第1の領域42D以外の領域、つまり、第2の領域43Dには、親水加工を施してもよい。
【0117】
(外側保護カバーの第5の変形例)
図7は、第5の変形例に係る外側保護カバー40Eの構成の一例を示す側面模式図である。すなわち、図7は、有底筒状の外側保護カバー40Eの開口縁を紙面上側、外側保護カバー40Eの底面を紙面下側とする、外側保護カバー40Eの構成の一例を示す側面模式図である。具体的には、図7は、外側保護カバー40Dの軸方向に対して傾いた方向に伸びる第2の領域43Eが形成された外側保護カバー40Eの一例を例示する側面模式図である。
【0118】
これまでに説明してきた外側保護カバーにおいて、「外側ガス孔41の周囲を囲む、撥水加工が施された第1の領域」以外の領域である第2領域は、外側保護カバーの軸方向に平行に延びていた。しかしながら、ガスセンサ1にとって、外側保護カバーの外側表面に形成される第2領域が、外側保護カバーの軸方向に平行に延びていることは必須ではない。例えば、「外側ガス孔41の周囲を囲む、撥水加工が施された第1の領域」以外の領域である第2領域は、外側保護カバーの周方向に対して傾いた方向に延びていてもよい。
【0119】
図7に示す例では、外側保護カバー40Eには、外側保護カバー40と同様に、外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、41(4)が形成されている。そして、外側保護カバー40Eの外側表面において、外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、41(4)は、それぞれ、第1の領域42E(1)、42E(2)、42E(3)、42E(4)によって、その周囲を囲まれている。以下の説明において、第1の領域42E(1)、42E(2)、42E(3)、42E(4)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「第1の領域42E」と表現する。また、複数の第1の領域42Eのそれぞれを区別する場合には、部材番号「42E」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。
【0120】
図7に例示する外側保護カバー40Eの外側表面において、第1の領域42Eは、「外側ガス孔41を中心として、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分」を含むように形成されている。例えば、第1の領域42E(1)は、「外側ガス孔41(1)を中心として、外側ガス孔41(1)の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する」円形状部分を含む領域として形成されている。同様に、第1の領域42E(2)、42E(3)、42E(4)は、それぞれ、「外側ガス孔41(2)、41(3)、41(4)のそれぞれを中心とする、半径Rfを有する」円形状部分を含む領域として形成されている。第1の領域42Eには、撥水加工または疎水性加工が施される。
【0121】
また、外側保護カバー40Eの外側表面において、第1の領域42E以外の領域は、第2の領域43Eとして形成される。図7に例示する外側保護カバー40Eの外側表面には、第2の領域43E(1)、43E(2)、43E(3)、43E(4)が形成されている。以下の説明において、第2の領域43E(1)、43E(2)、43E(3)、43E(4)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「第2の領域43E」と表現する。また、複数の第2の領域43Eのそれぞれを区別する場合には、部材番号「43E」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。例えば、第2の領域43Eは、複数の第1の領域42Eの間の帯状の領域として形成され、図7に示す例では、第1の領域42E(1)と第1の領域42E(2)との間に、帯状の第2の領域43E(2)が形成されている。同様に、第1の領域42E(3)と第1の領域42E(4)との間に、帯状の第2の領域43E(4)が形成されている。
【0122】
図7に例示するように、外側保護カバー40Eの外側表面において、第2の領域43Eは、外側ガス孔41の縁から所定の距離(具体的には、外側ガス孔41の半径Rhの長さ)以上離れた位置に形成される。また、外側保護カバー40Eの軸方向において、第2の領域43Eの開始位置(上端。外側保護カバー40Eの開口縁側の端部)は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Eの開口縁側にある。また、第2の領域43Eの終了位置(下端。外側保護カバー40Eの底側(底面側)の端部)は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Eの底側(底面側)にある。
【0123】
第2の領域43Eは、外側保護カバー40Eの周方向に対して傾いた方向に延び、図7に示す例では、外側保護カバー40Eの軸方向に対して傾いた方向に延びている。特に、図7に示す例では、第2の領域43Eの開始位置および終了位置は、外側保護カバー40Eの周方向において、外側ガス孔41に対して互いに異なる側にある。すなわち、第2の領域43Eの開始位置を通って外側保護カバー40Eの軸方向に平行に延びる直線と、第2の領域43Eの終了位置を通って外側保護カバー40Eの軸方向に平行に延びる直線との間に外側ガス孔41があるよう、第2の領域43Eは形成される。具体的には、図7に例示する第2の領域43Eの開始位置は、外側保護カバー40Eの周方向において、外側ガス孔41に対して紙面右側にあるのに対して、第2の領域43Eの終了位置は、外側ガス孔41に対して紙面左側にある。
【0124】
前述の通り、第2の領域43Eは、外側ガス孔41の縁から所定の距離以上離れた位置に形成され、外側保護カバー40Eの周方向に対して傾いた方向に延びている。そして、第2の領域43Eの開始位置および終了位置は、外側保護カバー40Eの周方向において、外側ガス孔41に対して互いに異なる側にある。つまり、第2の領域43Eの、外側保護カバー40Eの周方向の長さは、外側ガス孔41の、外側保護カバー40Eの周方向の長さよりも長く、かつ、第2の領域43Eは、外側ガス孔41の縁から所定の距離以上離れている。しかも、第2の領域43Eの開始位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Eの開口縁側にあり、第2の領域43Eの終了位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Eの底側(底面側)にある。そのため、外側保護カバー40Eの外側表面を開口縁側から底側へと伝う水(凝集水)は、外側ガス孔41へと到達する前に、第2の領域43Eに到達することになる。そして、第2の領域43Eに到達した水は、第2の領域43Eによって、外側ガス孔41へと到達することなく、「外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Eの底側にある、第2の領域43Eの終了位置」へと誘導される(整流される)。したがって、ガスセンサ1は、第2の領域43Eによって、外側保護カバー40Eの外側表面を伝う水(凝集水)が外側ガス孔41へと到達することを防ぐことができ、水がセンサ素子10に到達することを抑制することができる。つまり、ガスセンサ1は、「開始位置および終了位置が、外側保護カバー40Eの周方向において、外側ガス孔41に対して互いに異なる側にある、第2の領域43E」によって、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0125】
図7に例示する外側保護カバー40Eの外側表面には、外側ガス孔41の縁から所定の距離以上離れた位置に、互いに平行に延びる、複数の第2の領域43Eが設けられていた。ただし、前述の通り、本実施形態において、外側保護カバーの外側表面に、複数の第2の領域を設けることは必須ではない。例えば、外側保護カバー40Eの周方向において、開始位置が外側ガス孔41(2)よりも紙面右側にあり、終了位置が外側ガス孔41(1)よりも紙面左側にある、第2の領域43Eを1つ、外側保護カバー40Eの外側表面に形成してもよい。同様に、外側保護カバー40Eの周方向において、開始位置が外側ガス孔41(4)よりも紙面右側にあり、終了位置が外側ガス孔41(3)よりも紙面左側にある、第2の領域43Eを1つ、外側保護カバー40Eを形成してもよい。すなわち、第2の領域43Eは、その開始位置を通って外側保護カバー40Eの軸方向に平行に延びる直線と、その終了位置を通って外側保護カバー40Eの軸方向に平行に延びる直線との間に、1つ以上の外側ガス孔41があるように、形成されていればよい。また、図7に示す例では、第2の領域43Eが紙面右上から紙面左下へと延びる例を説明したが、第2の領域43Eは紙面左上から紙面右下へと延びていてもよい。すなわち、外側保護カバー40Eの周方向において、開始位置が外側ガス孔41に対して紙面左側にあり、終了位置が外側ガス孔41に対して紙面右側にあるように、第2の領域43Eを形成してもよい。
【0126】
また、「開始位置および終了位置が、外側保護カバーの周方向において、外側ガス孔に対して互いに異なる側にある、第2の領域」を複数、外側保護カバーの外側表面に形成する場合であっても、それら複数の第2の領域は、互いに平行に延びていなくてもよい。以下、互いに異なる方向に延びる複数の「開始位置および終了位置が、外側保護カバーの周方向において、外側ガス孔に対して互いに異なる側にある、第2の領域」が形成された外側保護カバーの例について、図8を用いて説明する。
【0127】
なお、図7に示す例では、外側保護カバー40Eの外側表面において、第2の領域43E以外の領域に撥水加工(または疎水加工)を施して、外側ガス孔41を囲む第1の領域42Eを形成した。外側保護カバー40Eの外側表面において、撥水加工(または疎水加工)を施した第1の領域42E以外の領域、つまり、第2の領域43Eには、親水加工を施してもよい。
【0128】
(外側保護カバーの第6の変形例)
図8は、第6の変形例に係る外側保護カバー40Fの構成の一例を示す側面模式図である。すなわち、図8は、有底筒状の外側保護カバー40Fの開口縁を紙面上側、外側保護カバー40Fの底面を紙面下側とする、外側保護カバー40Fの構成の一例を示す側面模式図である。具体的には、図8は、外側保護カバー40Fの軸方向に対して互いに異なる側に傾き、互いに交わる第2の領域43Fが形成された外側保護カバー40Fの一例を例示する側面模式図である。
【0129】
図8に示す例では、外側保護カバー40Fには、外側保護カバー40と同様に、外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、41(4)が形成されている。そして、外側保護カバー40Fの外側表面において、外側ガス孔41(1)、41(2)、41(3)、41(4)は、それぞれ、第1の領域42F(1)、42F(2)、42F(3)、42F(4)によって、その周囲を囲まれている。以下の説明において、第1の領域42F(1)、42F(2)、42F(3)、42F(4)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「第1の領域42F」と表現する。また、複数の第1の領域42Fのそれぞれを区別する場合には、部材番号「42F」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。
【0130】
図8に例示する外側保護カバー40Fの外側表面において、第1の領域42Fは、「外側ガス孔41を中心として、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分」を含むように形成されている。例えば、第1の領域42F(1)は、「外側ガス孔41(1)を中心として、外側ガス孔41(1)の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する」円形状部分を含む領域として形成されている。同様に、第1の領域42F(2)、42F(3)、42F(4)は、それぞれ、「外側ガス孔41(2)、41(3)、41(4)のそれぞれを中心とする、半径Rfを有する」円形状部分を含む領域として形成されている。第1の領域42Fには、撥水加工または疎水性加工が施される。
【0131】
また、外側保護カバー40Fの外側表面において、第1の領域42F以外の領域は、第2の領域43Fとして形成される。図8に例示する外側保護カバー40Fの外側表面には、第2の領域43F(1)、43F(2)、43F(3)、・・・、43F(8)が形成されている。以下の説明において、第2の領域43F(1)、43F(2)、43F(3)、・・・、43F(8)のそれぞれを区別せずに総称する場合には、単に「第2の領域43F」と表現する。また、複数の第2の領域43Fのそれぞれを区別する場合には、部材番号「43F」の後に「(1)」、「(2)」、「(3)」、・・・「(n)」を付して、それぞれを区別する。
【0132】
図8に例示するように、外側保護カバー40Fの外側表面において、第2の領域43Fは、外側ガス孔41の縁から所定の距離(具体的には、外側ガス孔41の半径Rhの長さ)以上離れた位置に形成される。また、外側保護カバー40Fの軸方向において、第2の領域43Fの開始位置(上端。外側保護カバー40Fの開口縁側の端部)は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Fの開口縁側にある。また、第2の領域43Fの終了位置(下端。外側保護カバー40Fの底側(底面側)の端部)は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Fの底側(底面側)にある。
【0133】
図8に例示する第2の領域43Fは、外側保護カバー40Fの周方向とも、外側保護カバー40Fの軸方向(つまり、外側保護カバー40Fの周方向に直交する方向)とも、異なる方向に延びている。図8に示す例では、第2の領域43F(1)、42F(3)、42F(5)、42F(7)は、それぞれ、外側保護カバー40Fの軸方向から時計回りに30度ほど傾いた角度に延びている。また、第2の領域43F(2)、42F(4)、42F(6)、42F(8)は、それぞれ、外側保護カバー40Fの軸方向から反時計回りに30度ほど傾いた角度に延びている。
【0134】
特に、図8に示す例では、第2の領域43Fの開始位置および終了位置は、外側保護カバー40Fの周方向において、外側ガス孔41に対して互いに異なる側にある。すなわち、第2の領域43Fの開始位置を通って外側保護カバー40Fの軸方向に平行に延びる直線と、第2の領域43Fの終了位置を通って外側保護カバー40Fの軸方向に平行に延びる直線との間に外側ガス孔41があるように、第2の領域43Fは形成される。具体的には、図8に例示する第2の領域43F(1)、42F(3)、42F(5)、42F(7)の開始位置は、外側保護カバー40Fの周方向において、外側ガス孔41に対して紙面右側にある。これに対して、第2の領域43F(1)、42F(3)、42F(5)、42F(7)の終了位置は、外側ガス孔41に対して紙面左側にある。同様に、第2の領域43F(2)、42F(4)、42F(6)、42F(8)の開始位置は、外側保護カバー40Fの周方向において、外側ガス孔41に対して紙面左側にある。これに対して、第2の領域43F(2)、42F(4)、42F(6)、42F(8)の終了位置は、外側ガス孔41に対して紙面右側にある。
【0135】
図8に示すように、互いに異なる方向に延伸する複数の第2の領域43Fは、互いに交わっていてもよい。図8に示す例では、第2の領域43F(1)と第2の領域43F(2)とは、互いに、外側ガス孔41(1)よりも外側保護カバー40Fの開口縁側(ガスセンサ1の後端側)において交わっている。同様に、第2の領域43F(3)と第2の領域43F(4)とは、互いに、外側ガス孔41(2)よりも外側保護カバー40Fの開口縁側において交わっている。第2の領域43F(5)と第2の領域43F(6)とは、互いに、外側ガス孔41(3)よりも外側保護カバー40Fの開口縁側において交わっている。第2の領域43F(7)と第2の領域43F(8)とは、互いに、外側ガス孔41(4)よりも外側保護カバー40Fの開口縁側において交わっている。すなわち、外側保護カバー40Fには、外側保護カバー40Fの周方向とも、外側保護カバー40Fの軸方向とも一致しない方向に延びる第2の領域43Fが複数形成され、複数の第2の領域43Fの内の少なくとも2つの第2の領域43Fは、互いに交わっている。
【0136】
前述の通り、第2の領域43Fは、外側ガス孔41の縁から所定の距離以上離れた位置に形成され、外側保護カバー40Fの周方向に対して傾いた方向に延びている。そして、第2の領域43Fの開始位置および終了位置は、外側保護カバー40Fの周方向において、外側ガス孔41に対して互いに異なる側にある。つまり、第2の領域43Fの、外側保護カバー40Fの周方向の長さは、外側ガス孔41の、外側保護カバー40Fの周方向の長さよりも長く、かつ、第2の領域43Fは、外側ガス孔41の縁から所定の距離以上離れている。しかも、第2の領域43Fの開始位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Fの開口縁側にあり、第2の領域43Fの終了位置は、外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Fの底側(底面側)にある。そのため、外側保護カバー40Fの外側表面を開口縁側から底側へと伝う水(凝集水)は、外側ガス孔41へと到達する前に、第2の領域43Fに到達することになる。そして、第2の領域43Fに到達した水は、第2の領域43Fによって、外側ガス孔41へと到達することなく、「外側ガス孔41よりも外側保護カバー40Fの底側にある、第2の領域43Fの終了位置」へと誘導される(整流される)。したがって、ガスセンサ1は、第2の領域43Fによって、外側保護カバー40Fの外側表面を伝う水(凝集水)が外側ガス孔41へと到達することを防ぐことができ、水がセンサ素子10に到達することを抑制することができる。つまり、ガスセンサ1は、「開始位置および終了位置が、外側保護カバー40Fの周方向において、外側ガス孔41に対して互いに異なる側にある、第2の領域43F」によって、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0137】
なお、本実施形態において、外側保護カバー40Fの周方向とも軸方向とも一致しない方向に延びる第2の領域43Fを複数設ける場合であっても、係る複数の第2の領域43Fの内の少なくとも2つの第2の領域43Fが互いに交わることは必須ではない。外側保護カバー40Fの周方向とも軸方向とも一致しない方向に延びる複数の第2の領域43Fが、互いに交わることなく、互いに異なる方向に延びていてもよい。
【0138】
図8に示す例では、外側保護カバー40Fの外側表面において、第2の領域43F以外の領域に撥水加工(または疎水加工)を施して、外側ガス孔41を囲む第1の領域42Fを形成した。外側保護カバー40Fの外側表面において、撥水加工(または疎水加工)を施した第1の領域42F以外の領域、つまり、第2の領域43Fには、親水加工を施してもよい。
【0139】
[特徴]
以上のとおり、本実施形態に係るガスセンサ1は、被測定ガスの所定のガス濃度を検出可能なセンサ素子10と、センサ素子10の第1先端部11(先端)を覆う有底筒状の外側保護カバー40と、を備える。ガスセンサ1は、外側保護カバー40に代えて、外側保護カバー40A、40B、・・・、40Fの何れかを備えていてもよい。外側保護カバー40には、外側から内側への被測定ガスの流れを許容する外側ガス孔41が形成される。外側保護カバー40の外側表面における、外側ガス孔41を囲む第1の領域42(または、第1の領域42(B)、42(C)、42(D)、42(E)、42(F)の何れか)には、撥水加工または疎水性加工が施される。第1の領域42は、「外側ガス孔41を中心として(外側ガス孔41の中心を中心として)、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分」を含む。
【0140】
当該構成では、外側ガス孔41を囲む第1の領域42には、撥水加工または疎水性加工が施され、第1の領域42は、外側ガス孔41を中心として外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分を含む。そのため、撥水加工または疎水性加工が施され、外側ガス孔41を囲む第1の領域42によって、外側保護カバー40の外側表面を伝う水(凝集水)が外側ガス孔41から外側保護カバー40の内部へと進入することを防ぐことができる。
【0141】
特に、本件発明者らは、外側ガス孔41を囲み、撥水加工または疎水性加工が施された円形状の第1の領域42の半径Rfの長さを、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上とするか否かで、ガスセンサ1の耐被水性が変化することを、実験により確認した。具体的には、第1の領域42の半径Rfの長さを、外側ガス孔41の半径Rhの長さの「2倍以上」とした場合、「2倍未満」とした場合に比べて、外側ガス孔41からの水の進入を防ぐのに有効であることを、本件発明者らは確認した。
【0142】
したがって、ガスセンサ1は、撥水加工または疎水性加工が施され、「外側ガス孔41を中心として外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍以上の長さの半径Rfを有する円形状部分」を含む第1の領域42によって、以下の効果を実現する。すなわち、ガスセンサ1は、係る第1の領域42によって、「水(凝集水)が外側ガス孔41から外側保護カバー40の内部に侵入してセンサ素子10に到達する」ことを抑制することができ、ガスセンサ1の耐被水性を向上させることができる。
【0143】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、前述までの実施形態の説明は、あらゆる点において本発明の例示に過ぎない。上記実施形態には、種々の改良および変形が行われてよい。上記実施形態の各構成要素に関して、適宜、構成要素の省略、置換および追加が行われてもよい。また、上記実施形態の各構成要素の形状および寸法は、実施の形態に応じて適宜変更されてよい。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0144】
(変形例1)
これまで、ガスセンサ1は、例えば、排気管内に取り付けられ、排気ガス中のNOx濃度を検出するものとして説明を行なってきたが、ガスセンサ1の利用形態は、このような例に限られるものではない。外側保護カバー40、40A、40B、・・・、40Fの何れかを備えることで耐被水性を向上させたガスセンサ1は、水(凝集水)が存在する条件下において被測定ガスの所定のガス成分の濃度を検出するのに好適である。そのため、ガスセンサ1は、例えば、多湿な環境下においてガス濃度を検出するのに好適である。
【0145】
(変形例2)
これまで、外側保護カバーに複数の外側ガス孔41を形成する場合、係る複数の外側ガス孔41の半径Rhは共通であるものとして説明を行なってきたが、複数の外側ガス孔41の半径Rhが共通であることは必須ではない。例えば、外側保護カバーに複数の外側ガス孔41を形成する場合、係る複数の外側ガス孔41は、それぞれ、その半径Rhが異なっていてもよい。複数の外側ガス孔41は、それぞれ、外側保護カバーの外側表面における、少なくとも「その中心から、複数の外側ガス孔41のそれぞれの半径Rhの長さの2倍の長さにある範囲(円形状部分)」に、撥水加工または疎水性加工が施されていればよい。
【0146】
(変形例3)
外側保護カバーの外側表面において、撥水加工または疎水性加工が施される第1の領域(第1の領域42、42B、42C、42D、42E、42Fの何れか)以外の領域である第2の領域は、以下のように形成されてもよい。すなわち、外側保護カバーの周方向における幅の長さ(太さ)が、外側保護カバーの周方向の長さに対して所定割合(例えば、10%)以上となるように、第2の領域を形成してもよい。複数の第2の領域を外側保護カバーの外側表面に形成する場合、それら複数の第2の領域の、外側保護カバーの周方向における幅の長さの合計が、外側保護カバーの周方向の長さに対して所定割合以上となるように、複数の第2の領域のそれぞれを形成してもよい。前述の通り、外側ガス孔の周囲を囲む第1の領域に撥水加工または疎水性加工を施し、係る第1の領域以外の領域である第2の領域には、撥水加工および疎水性加工の何れも施さないとすることで、ガスセンサ1は係る第2の領域を凝集水の流路として利用できる。そして、第2の領域の、外側保護カバーの周方向における幅の長さ(太さ)を十分に確保することで、流路としての第2の領域は、十分な量の凝集水を整流することができるようになる。なお、外側保護カバーの周方向の長さに対する、第2の領域の、外側保護カバーの周方向における幅の長さの割合は、ガスセンサの使用方法、使用箇所(設置箇所)等に応じて適宜設定してもよく、例えば、想定される凝集水の量に応じて適宜設定してもよい。
【0147】
[実施例]
本発明の効果(特に、耐被水性)を検証するため、以下の実施例および比較例に係るガスセンサを作製した。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0148】
実施例1に係るガスセンサとして、図5に例示する漏斗状の第2の領域43Cと、「第2の領域43C以外の領域」である第1の領域42Cとが外側表面に形成された外側保護カバー40Cを備えるガスセンサを作成した。
【0149】
実施例2に係るガスセンサとして、図2に例示する、外側ガス孔41を中心として半径Rfを有する円形状の第1の領域42と、「第1の領域42以外の領域」である第2の領域43とが外側表面に形成された外側保護カバー40を備えるガスセンサを作成した。半径Rfの長さは、外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍とした。
【0150】
比較例1に係るガスセンサとして、外側ガス孔41を囲む円形状の第1の領域42(C1)と、「第1の領域42(C1)以外の領域」である第2の領域43(C1)とが外側表面に形成された外側保護カバー40(C1)を備えるガスセンサを作成した。比較例1において、外側ガス孔41を囲む円形状の第1の領域42(C1)の半径Rf(C1)の長さは、外側ガス孔の半径Rhの長さの2倍よりも小さく、具体的には1.8倍とした。すなわち、比較例1は、外側ガス孔41を中心として外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍未満(1.8倍)の長さの半径Rf(C1)を有する、円形状の第1の領域42(C1)が外側表面に形成された外側保護カバー40(C1)を備えるガスセンサである。
【0151】
実施例1の第1の領域42C、実施例2の第1の領域42、および、比較例1の第1の領域42(C1)には撥水加工が施され、第2の領域43C、第2の領域43、および、第2の領域43(C1)には、撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない。
【0152】
比較例2に係るガスセンサとして、外側表面に第1の領域42が形成されていない、つまり、外側表面に撥水加工および疎水性加工の何れも全く施されていない、従来の外側保護カバーを備えるガスセンサを作成した。
【0153】
実施例2に係るガスセンサと比較例1に係るガスセンサとは、以下の点を除いて同様である。すなわち、「外側ガス孔41を囲み、撥水加工が施された円形状の領域(第1の領域42、および、第1の領域42(C1))の半径の長さが、外側ガス孔の半径Rhの長さの2倍以上か否か」という点を除いて、実施例2と比較例1とは同様である。具体的には、実施例2において、第1の領域42の半径Rfの長さは外側ガス孔41の半径Rhの長さの2倍であるのに対し、比較例1において、第1の領域42(C1)の半径Rf(C1)の長さは外側ガス孔41の半径Rhの長さの1.8倍である。
【0154】
上述の各実施例および各比較例に係るガスセンサについて、以下の水かかり試験(耐被水性試験)を行なって、耐被水性について評価した。すなわち、水かかり試験では、ガスセンサの実際の使用時(通常の使用時)と同様の角度で水平面に対して傾けた状態のガスセンサについて、外側保護カバーの開口縁付近に所定量の水を垂らした。その後、当該ガスセンサの備えるガスセンサ素子(センサ素子10)の状態を検査し、耐被水性について評価した。
【0155】
評価においては、10回の水かかり試験でセンサ素子10(特に、センサ素子10の第1先端部11)の被水が認められた回数が「1回から2回」であるものについて、「耐被水性」を「◎」とした。同様に、10回の水かかり試験でセンサ素子10の被水が認められた回数が「3回から5回」であるものについて、「耐被水性」を「〇」とした。また、10回の水かかり試験でセンサ素子10の被水が認められた回数が「5回より多い」ものについて、「耐被水性」を「△」とした。以下の表1は、耐被水性を評価した結果を示す。表1の「形状」は、撥水加工の施された第1の領域と、撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない第2の領域とが外側保護カバーの外側表面に形成されている場合に、係る第1の領域および第2の領域のそれぞれの形状を示す。表1の「撥水加工部分径/外側ガス孔径」は、第1の領域が「外側ガス孔を中心として外側ガス孔を囲む、円形状の領域」として形成される場合に、係る円形状の領域の半径の、外側ガス孔の半径に対する比率を示す。また、表1の「耐被水性」は、10回の水かかり試験に対する結果を示す。
【0156】
【表1】
【0157】
表1の評価結果に示されるとおり、各実施例は、各比較例に比べて、耐被水性が良好であった。具体的には、比較例1、2の「耐被水性」が何れも「△」であったのに対して、実施例1の「耐被水性」は「◎」、実施例2の「耐被水性」は「〇」であった。この結果から、本発明によれば、ガスセンサの耐被水性を向上させることができることを確認した。すなわち、外側保護カバーの外側表面において外側ガス孔を囲む第1の領域に撥水加工(または疎水性加工)を施すことにより、ガスセンサの耐被水性を向上させることができることを確認した。特に、実施例2と比較例1との比較から、撥水加工を施す第1の領域を、以下のように形成することで、ガスセンサの耐被水性を向上させることができることを確認した。すなわち、「外側ガス孔を中心として、外側ガス孔の半径の長さの2倍以上の長さの半径を有する円形状部分」を含むように、撥水加工を施す第1の領域を形成することで、ガスセンサの耐被水性を向上させることができることを確認した。言い換えれば、撥水加工を施す第1の領域を、少なくとも、『外側ガス孔を中心とする、外側ガス孔の半径の長さの「2倍」以上の長さの半径を有する円形状部分』を含むように形成することで、ガスセンサの耐被水性を向上させることができることを確認した。
【0158】
また、表1において、外側保護カバー40Cを備える実施例1の「耐被水性」は「◎」であるのに対して、外側保護カバー40を備える実施例2の「耐被水性」は「〇」である。そのため、『外側保護カバーの外側表面に、図5に例示する第2の領域43C(撥水加工および疎水性加工の何れも施されていない、漏斗状の領域)を形成することで、ガスセンサの「耐被水性」をより向上させることができる』ことを確認した。
【0159】
これらの結果から、上記実施形態および変形例によれば、耐被水性を向上させたガスセンサを提供することができることが検証できた。
【符号の説明】
【0160】
1…ガスセンサ、10…センサ素子、11…(センサ素子の)先端、
40、40A、40B、40C、40D、40E、40F…外側保護カバー、
41…外側ガス孔、42、42B、42C、42D、42E、42F…第1の領域、
43、43A、43B、43C、43D、43E、43F…第2の領域、
431…凝集水導入部分、432…排水部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9