(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033274
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】吊り下げ具
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A47G29/00 C
A47G29/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136772
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】516185802
【氏名又は名称】ラウ キット ヒング
【氏名又は名称原語表記】LAU KIT HING
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラウ キット ヒング
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA02
3K100AB10
3K100AC01
3K100AD01
3K100AE20
3K100AF20
3K100AG01
3K100AG03
3K100AJ03
(57)【要約】
【課題】2つのフックを備えた吊り下げ具において、フックから荷物が脱落するのを防止する。
【解決手段】ベース部10と、前記ベース部に取り付けられ、取り付け対象物に前記ベース部を固定するためのベルト40と、前記ベース部から共通の軸67を介して垂下された大フック50及び小フック60と、を有し、前記小フックと前記大フックが、前記軸を中心として相対的に回動可能であり、前記小フックと前記大フックを相対的に回動させることによって、前記小フックの開放部が前記大フックの一部で閉塞された状態と、該開放部が閉塞されない状態とを取り得る吊り下げ具。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部と、
前記ベース部に取り付けられ、取り付け対象物に前記ベース部を固定するための固定具と、
前記ベース部から垂下された第1フックと、
前記ベース部から垂下され、その下端が前記第1フックの下端よりも上方に位置する第2フックと、
を有し、
前記第1フック又は前記第2フックの少なくとも一方が、上下に延びる軸周りに自転可能であり、
前記第1フック又は前記第2フックを自転させることによって、前記第2フックの開放部が前記第1フックの一部で閉塞された状態と、該開放部が閉塞されない状態とを取り得る吊り下げ具。
【請求項2】
前記第1フック及び前記第2フックの両方が上下に延びる軸周りに自転可能に構成されている請求項1に記載の吊り下げ具。
【請求項3】
前記第1フック及び前記第2フックが上下に延びる共通の軸を介して前記ベース部に連結されており、該第1フック又は該第2フックの少なくとも一方が該共通の軸周りに自転可能に構成されている、請求項1に記載の吊り下げ具。
【請求項4】
前記固定具が、前記取付け対象物に巻き付けられるベルトである請求項1に記載の吊り下げ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ベビーカーのハンドル等に取り付けて使用される、手荷物等の物品を吊り下げるための吊り下げ具に関する。
【背景技術】
【0002】
ベビーカーを押して歩く際にカバンや買い物袋などの手荷物があると、ベビーカーの操作の妨げになって煩わしい。そこで、ベビーカーの横棒状のハンドルに取り付けて、手荷物を吊り下げられるようにした吊り下げ具が提案されている(特許文献1参照)。この吊り下げ具は、吊り下げフックを備えた本体と、該本体に取り付けられたベルトとを備えている。前記吊り下げ具をベビーカーのハンドルに取り付ける際には、前記ベルトをハンドルに巻き、ベルトの両端に設けられた面ファスナーによって、該ベルトの両端を相互に固定する。これにより、吊り下げフックがハンドルから下方にぶら下がった状態となるため、該フックにカバンや買い物袋を掛けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
【非特許文献1】"クルクルツインフック(グレー)[フック ベビーカー用品]",[online],[令和4年8月30日検索],インターネット<URL:https://item.rakuten.co.jp/nishimatsuya/4973911858373/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような吊り下げ具において1つの吊り下げフックに複数の荷物を吊り下げた場合、フックから荷物が取り外しにくくなる。そこで、1つの吊り下げ具に上下2つの吊り下げフックを設け、それぞれに荷物を掛けられるようにしたものがある(非特許文献1を参照)。しかしながら、このような2つのフックを備えた吊り下げ具では、一方のフックに掛けられた荷物を外す際に、該荷物が他方のフックに吊り下げられた荷物に干渉して、該他方のフックから荷物が外れてしまう場合があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、2つのフックを備えた吊り下げ具において、荷物の脱落を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る吊り下げ具は、
ベース部と、
前記ベース部に取り付けられ、取り付け対象物に前記ベース部を固定するための固定具と、
前記ベース部から垂下された第1フックと、
前記ベース部から垂下され、その下端が前記第1フックの下端よりも上方に位置する第2フックと、
を有し、
前記第1フック又は前記第2フックの少なくとも一方が、上下に延びる軸周りに自転可能であり、
前記第1フック又は前記第2フックを自転させることによって、前記第2フックの開放部が前記第1フックの一部で閉塞された状態と、該開放部が閉塞されない状態とを取り得るものである。
【発明の効果】
【0008】
上記構成から成る本発明によれば、2つのフックを備えた吊り下げ具において、フックから荷物が脱落するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る吊り下げ具の構成を示す正面図。
【
図5】前記吊り下げ具をベビーカーのハンドルに取り付けた状態を示す一部断面図。
【
図6】前記吊り下げ具の使用方法を説明する模式図であって、(a)は小フックを開放した状態を示し、(b)は小フックを閉鎖した状態を示す。
【
図7】本発明の別の構成例に係る吊り下げ具の構成を示す正面図。
【
図8】本発明の更に別の構成例に係る吊り下げ具を示す模式図であって、(a)は大フックと小フックの両方を開放した状態を示し、(b)は小フックのみを閉鎖した状態を示し、(c)は大フックと小フックの両方を閉鎖した状態を示し、(d)は大フックのみを閉鎖した状態を示している。
【
図9】本発明のまた更に別の構成例に係る吊り下げ具を正面から見た状態を示す一部断面図。
【
図10】同構成例における第1ベース部材の平面図。
【
図11】同構成例における第2ベース部材の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る吊り下げ具の構成を示す正面図であり、
図2は該吊り下げ具を
図1中の左方向から見た状態を表す側面図である。また、
図3は前記吊り下げ具の上面図であり、
図4は該吊り下げ具の分解図である。
図1~
図4に示すように、本実施形態に係る吊り下げ具は、ベース部10と、ベース部10に取り付けられたベルト40(本発明における固定具に相当)と、ベース部10から垂下された大フック50(本発明における第1フックに相当)及び小フック60(本発明における第2フックに相当)と、を備えている(ただし、
図2~
図4ではベルト40の図示を省略している)。なお、小フック60は、正面視で大フック50に囲まれる領域内に配置されている。
【0011】
なお、以下では、説明の便宜上、
図1中のX方向を右方、Y方向を前方、Z方向を下方として、前後、左右、及び上下を定義する。
【0012】
ベース部10は、いずれも矩形板状の部材である第1ベース部20と第2ベース部30とを備えている。第1ベース部20及び第2ベース部30は、いずれもベビーカー等のハンドルに取り付けた際にハンドルの外周に沿うよう、やや湾曲した形状となっている。
【0013】
第1ベース部20の一端には互いに平行なスリット状の第1ベルト通し孔11と第2ベルト通し孔12が形成され、他端には同様の形状を有する第3ベルト通し孔13と第4ベルト通し孔14が設けられている。また、第3ベルト通し孔13と第4ベルト通し孔14が形成された側(
図1及び
図3中の左側)の第1ベース部20の端部には、第1ベース部20と第2ベース部30を連結するための小孔である連結孔(図示せず)が形成されている。更に、第1ベース部20の上面中央部には、後述するネジ73の頭部を収容するための凹部21が設けられており、凹部21の中央には後述する取り付け軸67が挿通される貫通孔である取り付け軸挿通孔22が設けられている。
【0014】
第2ベース部30の一端には、互いに平行なスリット状の開口である第5ベルト通し孔15と第6ベルト通し孔16が設けられている。また、第2ベース部30の他端には、第1ベース部20に設けられているものと同様の連結孔(図示せず)が形成されており、この連結孔を第1ベース部20の連結孔と合わせ、これらに連結棒71を挿通することによって、第1ベース部20と第2ベース部30とが互いに回動自在に連結される。
【0015】
ベルト40には、両端部のうちの一方に面ファスナーのフック部が、他方の端部にループ部が形成されている。なお、ループ部は、フック部が形成されたベルト40の面とは別の面に形成されている。ベルト40は、第1ベース部20の第1ベルト通し孔11、第2ベルト通し孔12、第3ベルト通し孔、及び第4ベルト通し孔14、並びに第2ベース部の第5ベルト通し孔15及び第6ベルト通し孔16に対し、ベース部10の一端から他端に向けて上下方向から交互に挿通される。このとき、第1ベース部20の中央部(すなわち第2ベルト通し孔12と第3ベルト通し孔13の間の領域)においては、第1ベース部20の上面側をベルト40が通るようにする。また、ベース部10の両側にほぼ同じ長さだけベルト40が突出するようにする。
【0016】
大フック50及び小フック60は、いずれも互いに平行な上辺と下辺を有し、斜め上方の一辺の一部が欠けた略六角形の形状を有する部材である。具体的には、大フック50は、
図1において、左右方向に延びる第1水平棒51と、第1水平棒51の左端から左斜め下に延びる第1傾斜棒52と、第1傾斜棒52の下端から右斜め下方に延びる第2傾斜棒53と、第2傾斜棒53の下端から右方に延びる第2水平棒54と、第2水平棒54の右端から右斜め上方に延びる第3傾斜棒55と、第3傾斜棒55の先端から左斜め上方に向けてわずかに延びる第4傾斜棒56とを備えている。この構成において、第1水平棒51の右端と第4傾斜棒56の先端との間が大フック50の開放部(該フック50に荷物を掛ける際の入口となる部分)に相当する。同様に、小フック60は、
図1において、左右方向に延びる第1水平棒61と、第1水平棒61の左端から左斜め下に延びる第1傾斜棒62と、第1傾斜棒62の下端から右斜め下方に延びる第2傾斜棒63と、第2傾斜棒63の下端から右方に延びる第2水平棒64と、第2水平棒64の右端から右斜め上方に延びる第3傾斜棒65と、第3傾斜棒65の先端から左斜め上方に向けてわずかに延びる第4傾斜棒66とを備えている。この構成において、第1水平棒61の右端と第4傾斜棒66の先端との間が小フック60の開放部(該フック60に荷物を掛ける際の入口となる部分)に相当する。
【0017】
小フック60の第1水平棒61の上部中央には、上方に延びる取り付け軸67(本発明における軸に相当)が接続されており、取り付け軸67の上端にはネジ穴68が設けられている。また、大フック50の第1水平棒51の中央には、当該第1水平棒51を上下に貫通する貫通孔で貫通孔57が穿設されている。これらのフック50、60をベース部10に取り付ける際には、まず、小フック60に接続された取り付け軸67を環状のスペーサ72に挿通した上で大フック50の貫通孔57に挿通する。そして、取り付け軸67を第1ベース部20に設けられた取り付け軸挿通孔22に挿通すると共に、第1ベース部20の上方から取り付け軸67の上端部のネジ穴68にネジ73を螺入する。ネジ73の頭部の直径は取り付け軸挿通孔22の直径よりも大きくなっており、且つ取り付け軸67の直径は取り付け軸挿通孔22の直径及び大フック50に設けられた貫通孔57の直径よりも僅かに小さくなっている。そのため、以上により、小フック60及び大フック50が取り付け軸67周りに回動(自転)可能な状態で前記ベース部10に取り付けた状態となる。ただし、上記構成はあくまで一例であり、小フック60及び大フック50を取り付け軸67周りに回動可能な状態でベース部10に取り付けられるのであれば、大フック50及び小フック60はいかなる構成によってベース部10に取り付けられるものとしてもよい。
【0018】
ベース部10、大フック50、及び小フック60は、典型的には、錆びにくく堅固な金属、例えば亜鉛合金、銅、ステンレススチール等から構成されるが、これに限定されるものではなく、例えば硬質の樹脂などで構成することもできる。また、ベース部10、大フック50、及び小フック60は、その全てを同じ素材から構成してもよく、一部をその他の部分と異なる素材から構成してもよい。
【0019】
図5を参照して本実施例の吊り下げ具をベビーカー等のハンドル80に取り付ける手順を説明する。まず、ベース部10の第1ベース部20をハンドル80の下面に添えた状態でベルト40の一端をハンドル80の外周に巻き付け、その上から、ベルト40の他端を巻き付ける。このとき、ベルト40の一端及び他端に形成された面ファスナーのフック部とループ部とが互いに係合するため、ベルト40の両端が互いに固定される。また、このときベルト40とハンドル80の間に隙間が空かないように締め付けることにより、第1ベース部20と第2ベース部30の両方がハンドル80の外周に沿うように両ベース部20、30の連結部分で折れ曲がり、この結果、ベース部10及びベルト40の全体がハンドル80の外周に沿うようになる。以上により、大フック50及び小フック60がハンドル80の下面から下方にぶら下がった状態となる。
【0020】
本実施形態に係る吊り下げ具においては、小フック60若しくは大フック50のいずれか一方、又はその両方を取り付け軸67周りに回転させることによって、小フック60と大フック50の各々の開放部が正面視で左右方向の同じ側を向いた状態(
図6(a))と、両者の開放部が左右方向の逆側を向いた状態(
図6(b))とを取ることができ、なお且つ後者の状態では、小フック60の開放部が大フック50の一部(具体的には第1傾斜棒52)によって閉鎖されるようになっている。
【0021】
本実施形態に係る吊り下げ具において、大フック50の開放部と小フック60の開放部を同じ方向に向けた場合には、大フック50と小フック60の各々に荷物を掛けることが可能となる。また、
図6(a)のように小フック60に荷物90を掛け、その後、小フック60の開放部が逆側を向くように小フック60を回転させることにより、
図6(b)のように小フック60の開放部が閉鎖されて荷物90が外れにくい状態とすることができる。更に、このとき小フック60の回転によって荷物90の持ち手がねじれた状態となることにより、荷物90の脱落がより効果的に防止される。
【0022】
また、上記のように小フック60の開放部を閉鎖した状態とすることにより、大フック50に対して荷物を掛けたり外したりする際に、当該荷物の持ち手等が小フック60に引っ掛かるのを防ぐことができる。
【0023】
以上、本発明を実施するための形態について具体例を挙げて説明を行ったが、本発明は上記の例に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲で適宜変更が許容される。例えば、本発明に係る吊り下げ具における、第1フック及び第2フックの形状は、
図1~
図6で示したような略六角形側の形状に限らず、例えば、六角形以外の多角形であってその一辺の一部又は全部が欠けたものとしたり、全体が弧状に湾曲した略Cの字型の形状としたり、後述の
図8に示すような略Jの字型の形状としたりしてもよい。また、本発明における第1フックと第2フックは、上記の大フック50及び小フック60のように互いに大きさが異なるものとするほか、互いに略同一の大きさのものとしてもよい。
【0024】
また、上記実施形態では、本発明に係る吊り下げ具を、ベビーカーのハンドル80に取り付ける場合を例に挙げて説明したが、本発明に係る吊り下げ具は、車椅子、キャリーカート、歩行補助具、又はシルバーカー等のハンドルに取り付けることもできる。また、本実施形態に係る吊り下げ具は、ハンドル以外の横棒状の部材、例えば、タオル掛け、物干し竿、手すり、又は突っ張り棒等に取り付けることも可能である。
【0025】
また、上記実施形態では、ベルト40の一方の面と他方の面に、それぞれ面ファスナーのフック部とループ部を設けることにより、該ベルト40の両端を互いに結合するようにしたが、これ以外の構成によってベルト40の両端を互いに結合するようにしてもよい。例えば、着脱式のバックルの雌部と雄部を、ベルト40の両端に取り付けてもよい。また、ベルト40の両端部のうちの一方にD環を取り付け、他方の端部に面ファスナーのフック部とループ部を形成し、該他方の端部をD環に通して折り返してフック部とループ部を貼り合わせるようにしてもよい。更に、本発明における固定具は、上記のようなベルト40に限らず、例えば紐、リング、カラビナ、又はフック等から成るものとしてもよい。
【0026】
さらに、上記実施形態では第1フック(大フック50)と第2フック(小フック60)の両方をベース部10に対して回動可能な構成としたが、これに限らず、第1フックのみ又は第2フックのみをベース部に対して回動可能な構成としてもよい。
【0027】
また、本発明における吊り下げ具は、上記のように第1フック(大フック50)と第2フック(小フック60)を共通の軸(取り付け軸67)を介してベース部に取り付けた構成とするほか、両者を別個の軸を介してベース部に連結した構成としてもよい。このような場合の構成例を
図7及び
図8に示す。なお、これらの図において
図1~
図6で示した構成と同一又は共通する構成要素については下二桁が共通する符号を付して適宜説明を省略する。また、
図7及び
図8ではベルトの図示を省略している。
【0028】
図7の構成例では、小フック160(本発明における第2フックに相当)は上記実施形態と同様の取り付け軸167を介してベース部110に対して回動可能に取りつけられているが、大フック150(本発明における第1フックに相当)は同フックと一体に構成された取り付け軸158を介してベース部110に固定されており、回動しない構成となっている。
【0029】
一方、
図8の構成例では、大フック250及び小フック260(それぞれ本発明における第1フック及び第2フックに相当)は、各フックと一体に構成された取りつけ軸259、269を介してベース部210に回動自在に固定されており、同図(a)のように大フック250と小フック260の両方を開放した状態と、同図(b)のように小フック260のみを閉鎖した状態と、同図(c)のように大フック250と小フック260の両方を閉鎖した状態と、同図(d)のように大フック250のみを閉鎖した状態とを取ることができるようになっている。このような構成によれば、大フック250及び小フック260の両方について荷物の脱落を防止することが可能となる。
【0030】
また、上記実施形態では、第1ベース部20と第2ベース部30が連結棒71によって互いに回動可能に連結されている構成としたが、これに限らず、第1ベース部20と第2ベース部30を連結しない構成としてもよい。
【0031】
この場合の構成例について、
図9~
図11を参照しつつ説明する。なお、これらの図において
図1~
図6で示したものと同一又は対応する構成要素については下二桁が共通する符号を付して適宜説明を省略する。
図9は本構成例に係る吊り下げ具を正面から見た状態を示す図であって、
図10及び
図11はそれぞれ本構成例における第1ベース部320及び第2ベース部330の平面図である。
【0032】
本実施形態におけるベース部310は、互いに独立した2枚の板状部材である第1ベース部320と第2ベース部330で構成されている。以下、第1ベース部320及び第2ベース部330において、取り付け対象物に対向する側の面を内面とよび、逆側の面を外面とよぶ。
【0033】
図10に示すように、第1ベース部320には互いに平行なスリット状のベルト通し孔が4本設けられている。以下、これらのベルト通し孔を端から順に第1ベルト通し孔321、第2ベルト通し孔322、第3ベルト通し孔323、及び第4ベルト通し孔324とよぶ。また、
図11に示すように、第2ベース部330には互いに平行なスリット状のベルト通し孔が3本設けられている。以下、これらを端から順に第5ベルト通し孔325、第6ベルト通し孔326、及び第7ベルト通し孔327とよぶ。
【0034】
本構成例においてベース部310にベルト340を取り付ける際には、まず、ベルト340の端部が、第1ベース部320の第1ベルト通し孔321に対して前記内面側から前記外面側へと挿通され、その後、第2ベルト通し孔322に対して前記外面側から内面側へ、第3ベルト通し孔323に対して前記内面側から前記外面側へ、第4ベルト通し孔324に対して前記外面側から前記内面側へと挿通される。続いて、ベルト340の前記端部は、第2ベース部330の第5ベルト通し孔325に対して前記外面側から前記内面側へと挿通され、その後、第6ベルト通し孔326に対して前記内面側から外面側へ、第7ベルト通し孔327に対して前記外面側から前記内面側へと挿通される。これにより、第1ベース部320及び第2ベース部330にベルト340が取り付けられると共に、第4ベルト通し孔324と第5ベルト通し孔325の間に露出するベルト340の一部をヒンジとして第1ベース部320と第2ベース部330が相互に回動可能な状態となる。その結果、上記のような連結棒71を設けなくても第1ベース部320と第2ベース部330の両方を取り付け対象物に沿わせることが可能となるため、部品点数を減らして製造コストを抑えることができる。
【0035】
また、本発明におけるベース部は上記のような2枚の板状部材(すなわち第1ベース部20又は320及び第2ベース部30又は330)で構成されたものに限らず、3枚以上の板状部材によって構成されたものとしたり、1枚の板状の部材で構成されたものとしたりしてもよい。
【0036】
[態様]
上述した例示的な実施形態が以下の態様の具体例であることは、当業者には明らかである。
【0037】
(第1項)本発明の一態様に係る吊り下げ具は、
ベース部と、
前記ベース部に取り付けられ、取り付け対象物に前記ベース部を固定するための固定具と、
前記ベース部から垂下された第1フックと、
前記ベース部から垂下され、その下端が前記第1フックの下端よりも上方に位置する第2フックと、
を有し、
前記第1フック又は前記第2フックの少なくとも一方が、上下に延びる軸周りに自転可能であり、
前記第1フック又は前記第2フックを自転させることによって、前記第2フックの開放部が前記第1フックの一部で閉塞された状態と、該開放部が閉塞されない状態とを取り得るものである。
【0038】
第1項に係る吊り下げ具によれば、前記第2フックの開放部が閉塞されない状態では、第1フックと第2フックの各々に荷物を掛けることができる。また、第2フックに荷物を掛けた上で該第2フックの開放部を閉塞することにより、該フックから荷物が外れるのを防止することができる。また、第2フックの開放部を閉鎖した状態とすることにより、第1フックに対して荷物を掛けたり外したりする際に、当該荷物の持ち手等が第2フックに引っ掛かるのを防ぐこともできる。
【0039】
(第2項)第2項に係る吊り下げ具は、第1項に係る吊り下げ具において、前記第1フック及び前記第2フックの両方が上下に延びる軸周りに自転可能に構成されているものである。
【0040】
第2項に係る吊り下げ具によれば、第1フックと第2フックの各々を自転させることによって、各フックに対して所望の方向から荷物を掛けられるようになる。
【0041】
(第3項)第3項に係る吊り下げ具は、第1項又は第2項に係る吊り下げ具において、前記第1フック及び前記第2フックが上下に延びる共通の軸を介して前記ベース部に連結されており、該第1フック又は該第2フックの少なくとも一方が該共通の軸周りに自転可能に構成されているものである。
【0042】
第3項に係る吊り下げ具によれば、第1フック及び第2フックを共通の軸を介してベース部に取り付ける構成とすることにより、吊り下げ具を小型化することができると共に、部品点数を抑えて製造コストを低減することができる。
【0043】
(第4項)第4項に係る吊り下げ具は、第1項~第3項のいずれか1項に係る吊り下げ具において、前記固定具を、前記取付け対象物に巻き付けられるベルトとしたものである。
【0044】
第4項に係る吊り下げ具によれば、前記ベルトを取り付け対象物に巻き付けることによって前記ベース部を前記取り付け対象物に対して安定して固定することができる。
【符号の説明】
【0045】
10…ベース部
20…第1ベース部
30…第2ベース部
40…ベルト
50…大フック
60…小フック
67…取り付け軸
80…ハンドル
90…荷物