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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003328
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】非常電話装置
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/02 20060101AFI20240105BHJP
【FI】
H04M1/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102392
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】田中 寛之
(72)【発明者】
【氏名】石川 長志
(72)【発明者】
【氏名】近藤 肇
(72)【発明者】
【氏名】中村 憲太
(72)【発明者】
【氏名】秋山 信幸
【テーマコード(参考)】
5K023
【Fターム(参考)】
5K023AA13
5K023CC06
5K023EE02
5K023EE09
5K023GG04
5K023HH07
5K023JJ02
5K023JJ04
(57)【要約】
【課題】カールコードの前面パネルから前方へのはみ出しを防止することができる非常電話装置を提供する。
【解決手段】送受話器と、該送受話器が縦姿勢で少なくとも一部が載置される受け台と、前記送受話器と前記受け台との間を接続するカールコードと、前面パネルを有し送受話器と受け台およびカールコードを収容する筐体とを備え、該筐体には、送受話器が前記受け台に載置されたオンフック状態で送受話器が前面パネルより前方へ突出しないように、前面パネルに形成された開口部から奥側に窪んだ送受話器収容部が設けられている非常電話装置において、送受話器および受け台が収容された送受話器収容部の下部であって前面パネルの前面から奥側かつ送受話器の下方側に垂下状態のカールコードを収納するコード収納部を設け、前面パネルの開口部の少なくとも下側縁部にコード収納部の前側かつ下側の一部を覆う前縁壁部を設けるようにした。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送受話器と、該送受話器が縦姿勢で少なくとも一部が載置される受け台と、前記送受話器と前記受け台との間を接続するカールコードと、前面パネルを有し前記送受話器と前記受け台および前記カールコードを収容する筐体とを備え、該筐体には、前記送受話器が前記受け台に載置されたオンフック状態で前記送受話器が前記前面パネルより前方へ突出しないように、前記前面パネルに形成された開口部から奥側に窪んだ送受話器収容部が設けられている非常電話装置において、
前記送受話器および受け台が収容された前記送受話器収容部の下部であって前記前面パネルの前面から奥側かつ前記送受話器の下方側に、垂下状態の前記カールコードを収納するコード収納部が設けられ、
前記前面パネルの前記開口部の少なくとも下側縁部に、前記コード収納部の前側かつ下側の一部を覆う前縁壁部が設けられていることを特徴とする非常電話装置。
【請求項2】
前記筐体は水平をなす底壁を有するように形成され、
前記前面パネルの前記開口部は矩形状をなし、前記前縁壁部はその上端縁が前記筐体の底壁と平行となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の非常電話装置。
【請求項3】
前記コード収納部内の前記前縁壁部の背部には、前記前縁壁部の上端に連続するとともに前記開口部側から前記コード収納部の奥側へ向かって下り傾斜する傾斜面を有するコード誘導部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の非常電話装置。
【請求項4】
前記コード収納部は、前記送受話器が前記受け台に載置された状態で、前記送受話器および受け台より垂れ下がった前記カールコードが、前記筐体の横方向に1回だけ折り返した状態で収納されかつその折り返し部分が少なくとも収まる大きさになるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の非常電話装置。
【請求項5】
前記前縁壁部の前記コード収納部の底面からの高さは、少なくとも前記カールコードのカール部の径と同一となるように設定され、
前記コード誘導部の前記傾斜面の角度は45度よりも大きく設定され、前記コード収納部は前記筐体の後壁と前記コード誘導部の前記傾斜面の高さ方向中央位置との距離が前記カールコードのカール部の径の2倍となるように設定されていることを特徴とする請求項4に記載の非常電話装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、送受話器と収容ケースを備えた電話装置に関し、例えば防災監視システム(火災報知システムを含む)に用いられる非常電話装置に利用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
防災監視システムには、火災発生時に火災発生現場付近の第一通報者と子機の送受話器を使って現場の状況確認を通話で行うための非常電話装置が監視センター等に設置されている。非常電話装置(親機)は、一般に、子機側の送受話器のオフフック操作で親機の呼出音が鳴動し、親機側の送受話器のオフフック操作で呼出音を停止し、親機側と子機側の送受話器間の通話回線を開通し、親機と子機間での通話ができるように構成されている。
【0003】
しかし、何らかの理由で非常電話装置(親機)の送受話器が外れていると、非常電話装置の規格では送受話器のオフフック状態をランプの点灯で表示する。そのような状態で子機の送受話器がオフフック(火災発生に伴う通話要求を)された際に、親機と子機の送受話器が共にオフフック状態となり親機側での子機からの火災発生に伴う通話要求の呼出音が鳴動しないまま、通話回線が開通状態(通話できる状態)になる。この場合、親機側では火災発生の呼出音が鳴動せず、子機側からの着信(火災発生に伴う通話要求)に気が付かないという事態が生じることになる。
【0004】
なお、非常電話装置の送受話器が外れる主な原因は、送受話器が縦置きの場合、従来の送受話器は、特許文献1にも開示されているように、上部の受話部と中央の把手部との境界に形成された凹部が、置き台本体(受け台)に設けられた突起部(段差)に引っかかるように取り付けているだけの構成であるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-27068号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】意匠登録第1065185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の非常電話装置の送受話器に作業者(管理者)の肩や肘又は物が意図せずに接触するなど、送受話器に直接又は間接的に何らかの力が加わることで、簡単に送受話器が脱落したり正しいオンフック位置からずれたりするおそれがある。また、送受話器と置き台本体とを接続するカールコードが垂れ下がった状態にあるため、カールコードに作業者の体の一部が引っ掛かることでも送受話器が外れることがある。
さらに、送受話器がむき出しの状態で設置されていると、上述したような送受話器が外れる事故が一層起こり易くなる。
【0008】
そこで、送受話器を収容ケースに収納し、ケースの前面パネルより飛び出さないように構成した非常電話装置に関するアイデアもある(非特許文献1)。しかし、非特許文献1に開示されている消火設備手動操作卓の場合、カールコードが短いので収容ケースの下面と送受話器の下部の間の空間が狭くなっている。そのため、カールコードが送受話器の下方に垂れ下がるような形の場合、また、経年変化でカールコードのカールが緩んで延びたり、設置個所に応じて全長の長いカールコードを使用したりすると、カールコードが収容ケース内に収まりきらず、前面パネルより前方へはみ出して、移動する人の体の一部や搬送物が接触しやすい状態となってしまう。
【0009】
また、カールコードを狭い空間に無理やり詰め込むこと、詰め込んだカールコードの復元力によって送受話器を持ち上げて送受話器が浮き上がってしまい送受話器が外れる原因になる。一方、収容ケースの下部の収納空間を充分大きく設計すれば、上記のような事故が起きるのを回避することができるものの、非常電話装置の筐体が大型化してしまうという課題がある。
【0010】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、カールコードの前面パネルより前方へのはみ出しを防止することができる非常電話装置を提供することにある。
本発明の他の目的は、収納部からのカールコードの引き出し、収納を円滑に行うことができるとともに、カールコードの収納部への収納時に送受話器の浮き上がりを低減することができる非常電話装置を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、必要以上に装置の筐体を大型化せずに、送受話器の脱落を抑制することができる非常電話装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本出願に係る発明は、
送受話器と、該送受話器が縦姿勢で少なくとも一部が載置される受け台と、前記送受話器と前記受け台との間を接続するカールコードと、前面パネルを有し前記送受話器と前記受け台および前記カールコードを収容する筐体とを備え、該筐体には、前記送受話器が前記受け台に載置されたオンフック状態で前記送受話器が前記前面パネルより前方へ突出しないように、前記前面パネルに形成された開口部から奥側に窪んだ送受話器収容部が設けられている非常電話装置において、
前記送受話器および受け台が収容された前記送受話器収容部の下部であって前記前面パネルの前面から奥側かつ前記送受話器の下方側に、垂下状態の前記カールコードを収納するコード収納部が設けられ、
前記前面パネルの前記開口部の少なくとも下側縁部に、前記コード収納部の前面パネルの前側かつ下側の一部を覆う前縁壁部が設けられているようにしたものである。
【0012】
上記のような構成を有する非常電話装置によれば、送受話器の下方側にカールコードのカール部を収納するコード収納部が設けられ、前面パネルの開口部の少なくとも下側縁部にコード収納部の前側の一部を覆うように前縁壁部が形成されているため、コード収納部に収納されたカールコードが前縁壁部により前方への移動するのが阻止され、それによってカールコードが前面パネルから前方へはみ出るのを防止することができる。
【0013】
ここで、望ましくは、前記筐体は水平をなす底壁を有するように形成され、
前記前面パネルの前記開口部は矩形状をなし、前記前縁壁部はその上端縁が前記筐体の底壁と平行となるように形成する。
上記のような構成によれば、筐体や前面パネルの形成が容易であり、製造コストを抑えることができる。また、コード収納部に収納したカールコードのカール部を、筐体の底壁上に横に寝かせた状態で収納させることができ、自重でカール部が延びてしまうのを防止することができる。
【0014】
また、望ましくは、前記コード収納部内の前記前縁壁部の背部には、前記前縁壁部の上端に連続するとともに前記開口部側から前記コード収納部の奥側へ向かって下り傾斜する傾斜面を有するコード誘導部が設けられているようにする。
かかる構成によれば、コード誘導部によってコード収納部からのカールコードの引き出し収納を円滑に行うことができる。
【0015】
さらに、望ましくは、前記コード収納部は、前記送受話器が前記受け台に載置された状態で、前記送受話器および受け台より垂れ下がった前記カールコードのカール部が、前記筐体の横方向に1回だけ折り返した状態で収納されかつその折り返し部分が少なくとも収まる大きさになるように構成されているようにする。
【0016】
上記のような構成によれば、コード収納部にカールコードが横方向に1回だけ折り返した状態で規則正しく収納されるため、収納されたカールコードが煩雑になるのを防止し、ランダムに変形したカールコードが元の形に復帰しようとする力でコード収納部からはみ出すのを防止することができる。
【0017】
さらに、望ましくは、前記前縁壁部の前記コード収納部の底面からの高さは、少なくとも前記カールコードのカール部の径と同一となるように設定され、
前記コード誘導部の前記傾斜面の角度は45度よりも大きく設定され、前記コード収納部は前記筐体の後壁と前記コード誘導部の前記傾斜面の高さ方向中央位置との距離が前記カールコードのカール部の径の2倍となるように設定されている。
【0018】
上記のような構成によれば、コード収納部に収納されたカールコードのカール部が前面パネルより前方へはみ出すのを有効に防止することができる。また、コード収納部に収納されたカールコードのカール部が非常電話装置の前方から見えにくくなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の非常電話装置によれば、必要以上に装置の筐体を大きくせず、カールコードの前面パネルから前方へのはみ出しを抑えることができる。また、収納部からのカールコードの引き出し、収納を円滑に行うことができる。さらに、収納部にカールコードを収納した際に送受話器の浮き上がりを低減することができる。さらに、装置の筐体の大型化せずに、送受話器の脱落を抑えることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】(A)は本発明に係る非常電話装置の一実施形態を示す正面図、(B),(C)は非常電話装置の筐体内に配設される電話器ユニットの収容ケースの一例を示す斜視図である。
図2】(A)は実施形態の非常電話装置を構成する非常電話ユニットの構成例を示す正面図、(B)は(A)におけるB-Bに沿った断面側面図である。
図3】実施形態の非常電話ユニットを構成する電話器ユニットのオンフックの状態を示す斜視図である。
図4】実施形態の非常電話ユニットを構成する電話器ユニットのオフフックの状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の非常電話装置は、建物の一角にある監視センター等に設置され、建物内の各所に設置された子機との間で通話を行う機能を有する。
図1には非常電話装置の一実施形態が示されている。図1(A)は監視センター等に設置される非常電話装置の正面図、図1(B)は非常電話装置の筐体内に配設される電話器ユニットの収容ケースの斜視図である。図1(C)は電話器ユニットの収容ケースの他の構造を示す斜視図である。図1に示すように、本実施形態の非常電話装置10は、前面に開閉扉11Aを有する縦長の箱状をなす金属製の筐体11と、開閉扉11Aの一部(図では中央よりやや上寄りの位置)に形成された矩形状の開口11aに嵌め込まれた非常電話装置の主要部(以下、非常電話ユニットと記す)12とを備える。
【0022】
非常電話ユニット12は、上記開閉扉11Aを形成する前面パネルと同一平面をなす金属製の前面パネル21と、前面パネル21の左側に形成された縦長矩形状の開口21aに嵌め込まれた電話器ユニット22と、前面パネル21の右側に形成された略正方形の開口21bに嵌め込まれた操作表示部23とを備えている。なお、電話器ユニット22は、親機となる非常電話装置または子機のいずれにも使用可能である。
【0023】
図1(B)に示されている前面が開口した収容ケース24は、電話器ユニット22の筐体として機能するもので、ネジ穴24aを有するフランジ24bが左右両側壁の前端縁に形成されており、このフランジ24bのネジ穴24aに前面パネル21の裏面側に固定されたネジが前方から挿入され後方よりナットで前面パネル21の裏面に固定される。
収容ケース24は、その高さが、前面パネル21の左側の開口21aの高さよりも若干大きく形成されており、収容ケース24の前端下部に高さ数cmの前縁壁24cが設けられている。これにより、前面パネル21の左側の開口21aの高さと収容ケース24の前部開口の高さが揃うようになっている。
図1(C)に示されている収容ケース24は、収容ケース24の下部前端に、後壁側へ向かっておよそ45度で下り傾斜する傾斜面を有する台形状をなす誘導部材28を設けたものである。傾斜部は、例えば底面の金属板を曲げ加工により形成することができる。また、傾斜部の形成方法はどのような手法であってもよい。誘導部材28の機能については、後に説明する。
【0024】
図2には非常電話ユニット12の詳細が示されている。このうち、(A)は非常電話ユニット12の正面図、(B)は(A)におけるB-Bに沿った断面側面図である。
図2(B)に示されているように、非常電話ユニット12は、収容ケース24の後壁にネジによって固定された台座部25Bおよび該台座部25Bの前面に一体に形成された支持部25Aからなる受け台25と、該受け台25の前面に接合、載置された送受話器26と、端部のコネクタが受け台25と送受話器26にそれぞれ接続されたカールコード27とを備える。
【0025】
収容ケース24の奥行(L1)は、受け台25の前面に送受話器26を載置したオンフックの状態で、収容ケース24の後壁から送受話器26の前面までの高さよりも数mm大きくなるように設定されている。具体的には、収容ケース24の奥行L1は80mmであるのに対し、送受話器26の前面の高さは73mmである。これにより、送受話器26の前面は前面パネル21よりも奥に位置し、筐体11の前面に飛び出さないようになっている。
【0026】
さらに、本実施形態の非常電話ユニット12においては、図1(B)の収容ケース24の前端下部に設けられている前縁壁24cに変えて、収容ケース24の内側に、図1(C)に示すような側方視で収容ケース24の後壁側へ向かっておよそ45度で下り傾斜する傾斜面を有する台形状をなす誘導部材28が設けられている。
誘導部材28の高さすなわち前縁壁24cの高さは、カールコード27のカール部の径(例えば15mm)よりも若干大きく設定され(1例としては約18mm)、カールコード27の前面パネル21の手前側への飛び出しを抑えている。また、誘導部材28の上面の前後方向幅L3はカールコード27のカール部の径よりも若干狭く設定され、カールコードの収納又は取り出しがスムースに行えるようにしている。この前後方向幅L3を設けることで、カールコードの出し入れ時にカールコードが接する可能性の高い部分(前縁壁24cの上辺)に鋭角な凸部を無くし、カールコードのカール部分が通る際に引っかかるのを防いでいる。なお、誘導部材28の傾斜面の望ましい角度は、収納部の底面からの立ち上がりが45度以上、60度以下である。収納部の底面からの立ち上がりが45度以下であるとカールコードの自重による収納が円滑に行えず、収納部の底面からの立ち上がりが60度以上であるとカールコードを引き出す際の抵抗が大きくなるためである。
【0027】
また、受け台25のほぼ中間高さ位置にカールコード27の一方の端部のコネクタが位置し、収容ケース24は前記一方の端部のコネクタの位置から底壁までの距離が、送受話器26の縦方向の長さ(約20cm)とほぼ同じになるように設定されている。カール同士が接するようにカール部が縮んだ状態でのカールコード27の長さは、本実施例では、送受話器26の縦方向の長さの2倍弱であるが、2倍以上であっても良い。
さらに、収容ケース24の上壁は、受け台25に載置された送受話器26の受話器側上端からカールコード27のカール部の径分程度高くなるように設定され、収容ケース24内の誘導部材28の中間高さ位置から収容ケース24の後壁までの距離L2がカールコード27のカール部の径(例えば15mm)の約2倍(例えば30mm)となるように設定されている。
【0028】
これにより、誘導部材28の傾斜面と収容ケース24の後壁~底壁の間にカールコード27のカール部を折り返して二重にして横に寝かせて収納しても十分収納可能な空間が形成されている。そして、収容ケース24の横幅(前面視で左右方向の長さ)は、上記収納空間に、カールコード27のカール部を横に寝かせて1回だけ折り返した状態で収納した際に、折返し部の外側が収容ケース24の側壁内面に接するか接しない程度になるように設定されている。
なお、カールコード27のカール部は、時間が経過すると若干弛んで元の長さよりも長くなるので、上記寸法よりも若干大きく設定して、ゆとりをもってカールコード27のカール部を収納できるように構成しても良い。これにより、カールコード27のカール部の復元力が、送受話器26を押し上げるように作用して、受け台25から外れるのを防止することができる。
【0029】
収容ケース24と誘導部材28を、上述したような寸法に設定することにより、誘導部材28の後方の上記収納空間に、カールコード27のカール部を横に寝かせて1回だけ折り返した状態で収納した際の外見は、図3に示すように、前方から収納空間にあるカールコード27がほとんど見えない状態にすることができる。そのため、送受話器26から垂れ下がったカールコード27は、非常電話ユニット12の前面パネル21よりも前へ張り出すことがなく、移動する人の体の一部や搬送される物品が接触して送受話器26が受け台25から外れるのを防止することができる。また、自重でカール部が延びてしまうのを防止することができる。
【0030】
さらに、収容ケース24の前端下部の前縁壁24cの内側に誘導部材28が設けられ、誘導部材28の後側に下り傾斜面が形成されているため、図4に示すように、送受話器26を受け台25から外してオフフックする際に、カールコード27のカール部が傾斜面に誘導されて円滑に引き出される。また、送受話器26を受け台25へ載置してオンフックする際にも、カールコード27のカール部が傾斜面に誘導されて自重で誘導部材28の後方の収納空間に収納させることができる。
なお、カールコード27の上記の動きをより円滑に行わせるため、誘導部材28の上面と傾斜面との境界に角度を付ける代わりに、上に凸の湾曲部を形成するようにしても良い。
【0031】
また、本実施形態の非常電話ユニット12においては、図4に示されているように、受け台25の支持部25Aの上側の凹部25cの底壁上面に山型の突起29が設けられているとともに、図示しないが、送受話器26の受話部26Aの下面には、上記突起29に係合可能な係合凹部が形成されている。これにより、縦型の電話ユニットにおいて、送受話器26が振動等で受け台25から外れて脱落したりずれたりするのを防止できるようになっている。
【0032】
一方、電話器ユニット22の横に設けられている操作表示部23は、図2に示すように、火災発報の際に警報音を発するスピーカ31や、火災発報に関連した各種情報を表示するためのLCD(液晶表示装置)などからなる情報表示部32、火災発報の音響を停止させるための押しボタンや、火災内容・異常内容などを情報表示部32に表示させるため情報ボタン、試験を実施するための試験スイッチボタンなどの各種の機能ボタンを有する入力操作部33などを備えている。情報表示部32はタッチパネル式LCDであっても良い。
【0033】
上記のように、本実施形態の非常電話装置においては、前述した構造を採用することで、送受話器自体およびカールコードが表面板(前面パネル)の手前側(外側)にはみ出すことがなく、送受話器26が電話機本体(受け台25)に装着されている時に送受話器26とカールコード27が送受話器の収容ケース24の内部の空間に収まる。
そのため、送受話器自体又はカールコードに、非常電話装置の近傍を通行する作業者等の体の一部が衝突あるいは接触して、送受話器26が脱落したりズレが発生したりするのを抑制できる。よって、子機の送受話器のオフフックで非常電話装置(親機)を呼び出した際に、親機がオフフックの状態になっていて、子機からの呼出しに気が付かないという異常状態が発生するのを防止することができる。
【0034】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。例えば、送受話器26の脱落防止効果をさらに高めるために、例えば前述の特許文献1にも開示されているように、送受話器26を受け台25の支持部25Aに載置(セット)した状態で、送受話器26の頭部に当接して受話器保持用の突起29に向かう方向に押圧する板バネ等を設けるようにしてもよい。
なお、このような構造は、縦置きの電話機本体が凹部(送受話器収容箱内)に設置され、送受話器が前面パネルの表面から前方へ張り出さないように設置される場合に送受話器の脱落防止構造として広く利用できる。
【0035】
また、前記実施形態においては、収容ケース24の前端下部に前縁壁24cを設けているが、収容ケース24の底壁が前面パネル21の開口21aの下辺よりも下方に来るように形成することで、前面パネル21の開口21aの下辺部分でコード収納部の下側の開口の一部を覆う前縁壁部を構成するようにしても良い。
【0036】
さらに、送受話器26がオフフックされた際に、上記前縁壁部(24c)が下端を支点として前方へ傾動してコード収納部の入り口を広げるように構成することも可能である。これにより、奥側に傾斜面を有する台形状の誘導部材28を不要とすることができる。また、この場合、送受話器26のオンフックの状態で、上記前縁壁部を垂直姿勢に保持するロック機構を設けても良い。
【0037】
本発明の非常電話装置は、図1に示す実施形態のように縦長の筐体の前面に設けられるものに限定されるものでなく、図1の実施形態の筐体よりも高さの低い筐体の前面パネルあるいは火災受信機の一部に取り付けられるもの、火災発信機及びベルやスピーカを備えた機器収容箱もしくは非常警報設備の前面パネルに子機として取り付けられるもの、さらには非常電話ユニット単独で建物の壁面等に子機として設置されるものであっても良い。
さらに、受け台25にセットされた送受話器26の下側に設けられる収容ケース24内のコード収納部の縦方向寸法を、送受話器26に接続されるカールコード27の端側でカールしていない直線部分の長さ+カール径以上とするように設定する。こうすることで、受け台25に送受話器26がセットされた状態でカールコードの端部にある直線部分及び1つ目のカール部がコード収納部の縦方向寸法内に確実に入りカールコードの反発力による送受話器の押し上げを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0038】
10 非常電話装置
11 筐体
11A 開閉扉
12 非常電話ユニット
21 前面パネル
21a,21b 開口
22 電話器ユニット
23 操作表示部
24 収容ケース
24c 前縁壁
25 受け台
25A 支持部
25B 台座部
26 送受話器
27 カールコード
28 誘導部材
29 突起
図1
図2
図3
図4