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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033281
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】光モジュールの組立方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/015 20060101AFI20240306BHJP
   G02B 6/32 20060101ALI20240306BHJP
   G02B 6/42 20060101ALI20240306BHJP
   G02B 6/122 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G02F1/015 505
G02B6/32
G02B6/42
G02B6/122
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136781
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 智哉
【テーマコード(参考)】
2H137
2H147
2K102
【Fターム(参考)】
2H137AA05
2H137AB11
2H137BA03
2H137BA05
2H137BA48
2H137BA53
2H137BB14
2H137BC02
2H137BC42
2H137BC51
2H137CC01
2H137CC03
2H137CC08
2H137CC10
2H137DA27
2H137DA39
2H137DB10
2H137DB12
2H137DB13
2H147AB02
2H147AB06
2H147AB11
2H147AB21
2H147AC01
2H147AC04
2H147BA02
2H147BE01
2H147BE11
2H147BE22
2H147CA13
2H147CA18
2H147CA24
2H147DA05
2H147DA09
2H147EA12C
2H147EA13C
2K102AA21
2K102BA02
2K102BB01
2K102BB04
2K102BC04
2K102BD01
2K102CA28
2K102DA04
2K102DB05
2K102DC08
2K102DD03
2K102EA02
2K102EA08
2K102EA09
2K102EB02
2K102EB06
2K102EB10
2K102EB11
2K102EB14
2K102EB20
2K102EB22
2K102EB25
2K102EB30
(57)【要約】
【課題】調芯の精度を高めることができる光モジュールの組立方法を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る光モジュールの組立方法は、入力ポートに対向する位置に入力レンズ系を配置する工程と、分岐光の光強度を検知し、入力レンズ系を調整して入力レンズ系を入力ポートに光学的に結合する工程と、第1の出力ポート及び第2の出力ポートのそれぞれに対向する位置に第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のそれぞれを配置して、第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のそれぞれを第1の出力ポート及び第2の出力ポートのそれぞれに光学的に結合する工程と、を含む。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状の平面形状を呈し、連続光を受光する入力ポート、第1の出力ポート、第2の出力ポート、及び2つのモニタポートを有し、前記連続光を分岐して得られた分岐光を位相変調し、前記分岐光の一方を変調信号化して前記第1の出力ポートから出力される第1の出力光を生成すると共に、前記分岐光のもう一方を変調信号化して前記第2の出力ポートから出力される第2の出力光を生成し、各前記モニタポートが前記第1の出力光及び前記第2の出力光のそれぞれをモニタする半導体変調器と、
内部に前記半導体変調器を収容する筐体と、
前記筐体の1つの側壁において前記半導体変調器の1つの側面に対向するように設けられる入力アセンブリ及び出力アセンブリと、
を備える光モジュールの組立方法であって、
前記入力ポートに対向する位置に入力レンズ系を配置する工程と、
前記分岐光の光強度を検知し、前記入力レンズ系を調整して前記入力レンズ系を前記入力ポートに光学的に結合する工程と、
前記第1の出力ポート及び第2の出力ポートのそれぞれに対向する位置に第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のそれぞれを配置して、前記第1の出力レンズ系及び前記第2の出力レンズ系のそれぞれを前記第1の出力ポート及び前記第2の出力ポートのそれぞれに光学的に結合する工程と、
を含む、
光モジュールの組立方法。
【請求項2】
前記半導体変調器は前記分岐光を導波する光導波路を有するマッハツェンダ型光変調器であり、前記半導体変調器のそれぞれの分岐された前記光導波路には電極が設けられており、
前記入力レンズ系を配置する工程は、
前記入力レンズ系を介して前記入力ポートに試験光を出力する工程と、
前記半導体変調器のいずれか1つの前記光導波路に設けられた前記電極に電圧を印加して前記試験光の強度を検出し、前記光導波路の光吸収によって検出された光の強度が最大となる前記入力レンズ系の位置を決定する工程と、
を含む、
請求項1に記載の光モジュールの組立方法。
【請求項3】
前記入力レンズ系の位置を決定する工程では、前記半導体変調器の前記電極に印加した前記電圧を一定に維持した状態で前記光導波路の光吸収によって検出された光の強度が最大となる位置を前記入力レンズ系の位置とする、
請求項2に記載の光モジュールの組立方法。
【請求項4】
前記入力レンズ系を配置する工程の前に、前記入力レンズ系を介在させずに前記半導体変調器の前記入力ポートに前記試験光を出力する模擬ファイバを配置する工程を更に備える、
請求項3に記載の光モジュールの組立方法。
【請求項5】
前記模擬ファイバを配置する工程の後に、前記入力ポートに試験光を出力する工程と、前記半導体変調器のいずれか1つの前記光導波路に設けられた前記電極に電圧を印加して前記試験光の強度を検出し、前記光導波路の光吸収によって検出された光の強度が最大となる前記模擬ファイバの位置を決定する工程と、を含む、
請求項4に記載の光モジュールの組立方法。
【請求項6】
前記入力レンズ系を配置する工程の前に、前記半導体変調器の前記モニタポートに対向するモニタ用受光素子を配置する工程を更に備え、
前記入力レンズ系を配置する工程は、前記入力レンズ系を介して前記入力ポートに試験光を出力する工程を有し、
前記モニタ用受光素子に対向する前記モニタポートの1つを介して前記モニタ用受光素子の1つによって前記試験光の強度を検出し、
前記モニタ用受光素子によって検出された光の強度が最大となる前記入力レンズ系の位置を決定する、
請求項1に記載の光モジュールの組立方法。
【請求項7】
前記入力レンズ系を配置する工程の後に、紫外線硬化樹脂を用いて前記入力レンズ系を前記筐体に固定する工程を有する、
請求項1に記載の光モジュールの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光モジュールの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、光モジュール、及びその組立方法が記載されている。光モジュールは、筐体と、筐体の側壁に取り付けられた入力アセンブリ及び出力アセンブリと、筐体の内部に配置された半導体変調器とを備える。半導体変調器は、入力ポートと、第1の出力ポートと、第2の出力ポートと、分岐部と、第1の合波部と、第2の合波部と、複数のアーム導波路と、第1のモニタポートと、第2のモニタポートとを有する。
【0003】
入力ポートは、入力アセンブリからの連続光を入力する。分岐部は、入力ポートから入力された連続光を8本のアーム導波路に分岐する。第1の合波部は、4本のアーム導波路を伝搬した信号光の一部を合波して第1の出力ポートに第1の出力光として提供する。第2の合波部は、別の4本のアーム導波路に伝搬した信号光の残部を合波して第2の出力ポートに第2の出力光として提供する。
【0004】
半導体変調器は、8個の変調電極と、4個の親位相調整電極と、8個の子位相調整電極とを有する。変調電極はアーム導波路上に設けられ、変調された電圧信号をアーム導波路に与えてアーム導波路の光の屈折率を変化させる。これにより、アーム導波路の光の位相が変調される。
【0005】
光モジュールは、入力アセンブリと半導体変調器の入力ポートとを互いに光結合する入力レンズ系と、出力アセンブリと半導体変調器の第1の出力ポート及び第2の出力ポートのそれぞれとを互いに光結合する第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系とを有する。第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のそれぞれは、前段レンズ及び後段レンズを有する。
【0006】
この光モジュールの組立方法では、まず筐体の内部に半導体変調器を含む種々の光学部品を配置し、入力レンズ系の調芯及び配置を行う。そして、第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のそれぞれの後段レンズを調芯及び固定した後に前段レンズを配置し、第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系からの試験光のパワーの最大値を比較する。第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のうち、試験光のパワーの最大値が大きい方の前段レンズを先に調芯し、その後、試験光のパワーの最大値が小さい方の前段レンズを調芯する。その後、各前段レンズの固定、及び筐体への入力アセンブリと出力アセンブリの調芯と固定が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2021-509483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、入力ポート及び入力レンズの調芯において、半導体変調器のモニタポートの光路上に配置されたモニタPD(Photo Diode)の光電流が用いられることがある。しかしながら、モニタPDには、当該光路を通る光以外の迷光が結合することがあり、この場合、精度が高い調芯を行えないということが生じうる。すなわち、入力から出力までの光導波路における光損失、及びモニタポートからモニタPDまでの光結合ロスによってモニタPDへの光の光量が減少することがあるので、精度が高い調芯が困難であるということが起こりうる。
【0009】
本開示は、調芯の精度を高めることができる光モジュールの組立方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る光モジュールの組立方法は、長方形状の平面形状を呈し、連続光を受光する入力ポート、第1の出力ポート、第2の出力ポート、及び2つのモニタポートを有し、連続光を分岐して得られた分岐光を位相変調し、分岐光の一方を変調信号化して第1の出力ポートから出力される第1の出力光を生成すると共に、分岐光のもう一方を変調信号かして第2の出力ポートから出力される第2の出力光を生成し、各モニタポートが第1の出力光及び第2の出力光のそれぞれをモニタする半導体変調器と、内部に半導体変調器を収容する筐体と、筐体の1つの側壁において半導体変調器の1つの側面に対向するように設けられる入力アセンブリ及び出力アセンブリと、を備える光モジュールの組立方法である。組立方法は、入力ポートに対向する位置に入力レンズ系を配置する工程と、分岐光の光強度を検知し、入力レンズ系を調整して入力レンズ系を入力ポートに光学的に結合する工程と、第1の出力ポート及び第2の出力ポートのそれぞれに対向する位置に第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のそれぞれを配置して、第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のそれぞれを第1の出力ポート及び第2の出力ポートのそれぞれに光学的に結合する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、調芯の精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、一実施形態に係る光モジュールを示す斜視図である。
図2図2は、図1の光モジュールを図1とは異なる方向から見た斜視図である。
図3図3は、図1の光モジュールの内部構造を示す斜視図である。
図4図4は、図1の光モジュールの内部構造を示す平面図である。
図5図5は、図1の光モジュールの側断面図である。
図6図6は、図1の光モジュールの半導体変調器を示す図である。
図7図7は、一実施形態に係る光モジュールの組立方法の一工程を示す図である。
図8図8は、一実施形態に係る光モジュールの組立方法の一工程を示す図である。
図9図9は、一実施形態に係る光モジュールの組立方法の一工程を示す図である。
図10図10は、一実施形態に係る光モジュールの組立方法の一工程を示す図である。
図11図11は、一実施形態に係る光モジュールの組立方法の一工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示に係る光モジュールの組立方法の実施形態の内容を列記して説明する。実施形態に係る光モジュールの組立方法は、(1)長方形状の平面形状を呈し、連続光を受光する入力ポート、第1の出力ポート、第2の出力ポート、及び2つのモニタポートを有し、連続光を分岐して得られた分岐光を位相変調し、分岐光の一方を変調信号化して第1の出力ポートから出力される第1の出力光を生成すると共に、分岐光のもう一方を変調信号化して第2の出力ポートから出力される第2の出力光を生成し、各モニタポートが第1の出力光及び第2の出力光のそれぞれをモニタする半導体変調器と、内部に半導体変調器を収容する筐体と、筐体の1つの側壁において半導体変調器の1つの側面に対向するように設けられる入力アセンブリ及び出力アセンブリと、を備える光モジュールの組立方法である。組立方法は、入力ポートに対向する位置に入力レンズ系を配置する工程と、分岐光の光強度を検知し、入力レンズ系を調整して入力レンズ系を入力ポートに光学的に結合する工程と、第1の出力ポート及び第2の出力ポートのそれぞれに対向する位置に第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のそれぞれを配置して、第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のそれぞれを第1の出力ポート及び第2の出力ポートのそれぞれに光学的に結合する工程と、を含む。
【0014】
この光モジュールの組立方法では、半導体変調器の入力ポートに対向する位置に入力レンズ系が配置される。半導体変調器では、分岐光の光強度が検知され、検知された光強度に伴って入力レンズ系が入力ポートに光学的に結合される。半導体変調器の第1の出力ポートに第1の出力レンズ系が配置され、半導体変調器の第2の出力ポートに第2の出力レンズ系が配置される。そして、第1の出力ポート及び第2の出力ポートのそれぞれに第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のそれぞれが光学的に結合される。従って、入力レンズ系が入力ポートに光学的に結合され、第1の出力レンズ系及び第2の出力レンズ系のそれぞれが第1の出力ポート及び第2の出力ポートのそれぞれに光学的に結合されるので、調芯の精度を高めることができる。
【0015】
(2)上記(1)において、半導体変調器は分岐光を導波する光導波路を有するマッハツェンダ型光変調器であってもよく、半導体変調器のそれぞれの分岐された光導波路には電極が設けられていてもよい。入力レンズ系を配置する工程は、入力レンズ系を介して入力ポートに試験光を出力する工程と、半導体変調器のいずれか1つの光導波路に設けられた電極に電圧を印加して試験光の強度を検出し、光導波路の光吸収によって検出された光の強度が最大となる入力レンズ系の位置を決定する工程と、を含んでもよい。
【0016】
(3)上記(2)において、入力レンズ系の位置を決定する工程では、半導体変調器の電極に印加した電圧を一定に維持した状態で光導波路の光吸収によって検出された光の強度が最大となる位置を入力レンズ系の位置としてもよい。
【0017】
(4)上記(3)において、組立方法は、入力レンズ系を配置する前に、入力レンズ系を介在させずに半導体変調器の入力ポートに試験光を出力する模擬ファイバを配置する工程を更に備えてもよい。
【0018】
(5)上記(4)において、組立方法は、模擬ファイバを配置する工程の後に、入力ポートに試験光を出力する工程と、半導体変調器のいずれか1つの光導波路に設けられた電極に電圧を印加して試験光の強度を検出し、光導波路の光吸収によって検出された光の強度が最大となる模擬ファイバの位置を決定する工程と、を含んでもよい。
【0019】
(6)上記(1)において、組立方法は、入力レンズ系を配置する工程の前に、半導体変調器のモニタポートに対向するモニタ用受光素子を配置する工程を更に備えてもよい。入力レンズ系を配置する工程は、入力レンズ系を介して入力ポートに試験光を出力する工程を有し、モニタ用受光素子に対向するモニタポートの1つを介してモニタ用受光素子の1つによって試験光の強度を検出し、モニタ用受光素子によって検出された光の強度が最大となる入力レンズ系の位置を決定してもよい。
【0020】
(7)上記(1)において、組立方法は、入力レンズ系を配置する工程の後に、紫外線硬化樹脂を用いて入力レンズ系を筐体に固定する工程を有してもよい。
【0021】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態に係る光モジュールの組立方法の具体例を以下で図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、以下の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示され、特許請求の範囲と均等の範囲における全ての変更が含まれることが意図される。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載したものに限定されない。
【0022】
図1は、一例としての光モジュール1を示す斜視図である。図2は、図1とは異なる方向から見た光モジュール1の斜視図である。図1及び図2に示されるように、光モジュール1は、直方体状の筐体2と、筐体2から延び出す入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4とを備える。入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4のそれぞれは円柱状を呈する。筐体2は、第1方向D1に沿って延びる一対の第1側壁2bと、第1方向D1に交差する第2方向D2に沿って延びる一対の第2側壁2cと、光モジュール1の各部品が搭載される底壁2dとを有する。第1方向D1は光モジュール1の長手方向であり、第2方向D2は光モジュール1の幅方向である。
【0023】
第1側壁2bは、第1方向D1及び第3方向D3の双方に延在している。第3方向D3は、第1方向D1及び第2方向D2の双方に交差する方向であり、光モジュール1の高さ方向に相当する。一対の第2側壁2cは第1方向D1に沿って並んでおり、各第2側壁2cは第2方向D2及び第3方向D3の双方に延在している。底壁2dは、第1側壁2b及び第2側壁2cの第3方向D3の一端において第1方向D1及び第2方向D2の双方に延在している。
【0024】
図3は、光モジュール1の内部構造を示す斜視図である。図4は、光モジュール1の内部構造を示す平面図である。図5は、光モジュール1の内部構造を示す縦断面図である。図3図5に示されるように、一対の第1側壁2b、及び一対の第2側壁2cは、第3方向D3から見たときに枠状を呈する筐体2の開口部2gを構成する。光モジュール1は、開口部2gを封止するリッド5を備える。リッド5は金属製である。例えば、筐体2では、開口部2gに金属製のシールリングが接合され、当該シールリングを介してリッド5が筐体2に接合される。例えば、リッド5の筐体2への接合はシーム溶接によって行われる。
【0025】
一対の第2側壁2cのうちの一方からは入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4が第1方向D1に沿って延び出している。入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4は、第2方向D2に沿って並んでいる。入力アセンブリ3は、光モジュール1の外部から光モジュール1の内部に入力光L1を入力する部位である。出力アセンブリ4は、光モジュール1の内部から光モジュール1の外部に出力光L2を出力する部位である。
【0026】
入力アセンブリ3は、偏波保持ファイバ(PMF:Polarization Maintaining Fiber)である光ファイバ3fを保持するピグテイル部品である。入力アセンブリ3は、レンズ3b、レンズ3bを保持するレンズホルダ3c、スリーブ3d、及びレンズ3bと光学的に結合する光ファイバ3fを有する。光ファイバ3fからは入力光L1が出射し、入力光L1はレンズ3bを透過して光モジュール1の内部に入力される。
【0027】
出力アセンブリ4は、シングルモードファイバ(SMF:Single Mode Fiber)である光ファイバ4fを保持するピグテイル部品である。出力アセンブリ4は、レンズ4b、レンズ4bを保持するレンズホルダ4c、スリーブ4d、及びレンズ4bと光学的に結合する光ファイバ4fを有する。レンズ4bは、光モジュール1の内部からの出力光L2を光ファイバ4fの先端面に集光する。
【0028】
光モジュール1は、第1側壁2b及び第2側壁2cのそれぞれに設けられたフィードスルー6を有する。フィードスルー6は、複数のリードピン6bを有する。複数のリードピン6bは、例えば、筐体2の外部の回路基板に接続される。複数のリードピン6bには、外部の信号を光モジュール1に入力するリードピン、筐体2の内部の電気回路にバイアスを供給するリードピン、及び接地リードピンが含まれる。なお、本実施形態では、複数のリードピン6bは、第1側壁2b及び第2側壁2cのそれぞれに設けられているが、第1側壁2bのみに設けられていてもよい。
【0029】
光モジュール1は、底壁2dに搭載された光学用ベース11と、光学用ベース11に搭載されたフィルタ12を含む複合光学部品13とを有する。フィルタ12は、入力アセンブリ3からの入力光L1を透過する。フィルタ12は入力光L1を複合光学部品13に入力する。複合光学部品13は、フィルタ12から見て入力アセンブリ3とは反対側に配置さされている。複合光学部品13は、入力された入力光L1を反射する複数の反射面13bを有する。
【0030】
複数の反射面13bは、第1の反射面13c、第2の反射面13d、第3の反射面13f及び第4の反射面13gを含む。第1の反射面13c及び第2の反射面13dは、第2方向D2に沿って並んでいる。第2方向D2における第3の反射面13fの位置は、第2方向D2における第1の反射面13cの位置、及び第2方向D2における第2の反射面13dの位置からずれている。第2方向D2における第4の反射面13gの位置は、第2方向D2における第1の反射面13cの位置、及び第2方向D2における第2の反射面13dの位置からずれている。第3の反射面13f及び第4の反射面13gは、第2方向D2に沿って並んでいる。
【0031】
フィルタ12から第1方向D1に沿って複合光学部品13に入射した入力光L1は、第1の反射面13cにおいて第2方向D2に反射する。第1の反射面13cにおいて反射した入力光L1は、第2の反射面13dにおいて第1方向D1に反射して入力アセンブリ3とは反対側に出射する。
【0032】
複合光学部品13には、出力アセンブリ4とは反対側から第1方向D1に沿って後に詳述する出力光L3及び出力光L4が入力する。出力光L3は第3の反射面13fにおいて第2方向D2に反射する。第3の反射面13fにおいて反射した出力光L3は、第4の反射面13gにおいて第1方向D1に反射する。出力光L4は、第4の反射面13gを透過する。複合光学部品13は、出力光L3及び出力光L4を出力光L2として光モジュール1の外部に出力する。
【0033】
光モジュール1は、底壁2dに搭載された温調デバイス21と、温調デバイス21に搭載された変調素子用ベース22と、変調素子用ベース22に搭載された変調素子用キャリア23と、変調素子用キャリア23に搭載された変調器(半導体変調器)30とを備える。温調デバイス21は、TEC(Thermo Electric Cooler)である。更に、光モジュール1は、入力レンズ系25と、第1の出力レンズ系26と、第2の出力レンズ系27とを備える。入力レンズ系25、第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27は変調素子用ベース22に搭載されている。
【0034】
変調器30は、例えば、リン化インジウム(InP)基板上にマッハツェンダ干渉計が形成された多モード干渉器である。また、変調器30は、Si基板上に光導波路が形成された素子であってもよい。一例として、変調器30は、リン化インジウム(InP)、二酸化ケイ素(SiO)及びベンゾシクロブテン(BCB)を含む。変調器30については後に詳述する。入力レンズ系25は、変調器30と複合光学部品13との間に搭載されている。第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27は、入力レンズ系25の第2方向D2の両側のそれぞれに搭載されている。
【0035】
光モジュール1は、変調器30から見て複合光学部品13とは反対側に位置するヒートシンク41と、ヒートシンク41に搭載された駆動回路であるドライバIC42とを備える。ドライバIC42は電極パッド42bを有する。電極パッド42bは、ドライバIC42の変調器30側の端部において第2方向D2に沿って並んでいる。光モジュール1は、筐体2の枠体2hに設けられた配線パターン2j(図3又は図4参照)を有する。
【0036】
配線パターン2jは、筐体2の第2方向D2の片側において第1方向D1に沿って並んでいる。変調器30は、ドライバIC42に対向する位置に電極パッド30cを有し、電極パッド30cは第2方向D2に沿って並んでいる。光モジュール1は、電極パッド30c及び電極パッド42bを互いに電気的に接続するボンディングワイヤW1を有する。変調器30は、制御端子30bを有する。制御端子30bは、変調器30の第2方向D2の片側において第1方向D1に沿って並んでいる。配線パターン2jは、変調器30の制御端子30bとボンディングワイヤW2を介して電気的に接続されている。光モジュール1は、サーミスタ24を有する。サーミスタ24は、例えば、変調器30及び複合光学部品13の間に配置されている。サーミスタ24は、ボンディングワイヤW3を介して枠体2hに設けられたパッド2k(図4参照)に電気的に接続されている。
【0037】
図6は、変調器30を示す平面図である。変調器30は、例えば、複数の光導波路を有する多モード干渉器である。図4及び図6に示されるように、変調器30は、例えば、変調器チップ31と、入力ポート32と、第1の出力ポート33bと、第2の出力ポート33cと、分岐部34と、第1の合波部35bと、第2の合波部35cと、光導波路36a~36hと、第1のモニタポート37bと、第2のモニタポート37cとを有する。
【0038】
変調器チップ31の平面形状は長方形状である。変調器チップ31は、第1方向D1に延在する辺31b,31cと、第2方向D2に延在する辺31d,31fとを有する。入力ポート32は、複合光学部品13(第2の反射面13d)から出射した入力光L1が入力レンズ系25を介して変調器30の内部に入力する光ポートである。入力ポート32は辺31dに位置する。例えば、入力ポート32は、辺31dの中点に位置する。変調器30の辺31f側にドライバIC42が配置されている。
【0039】
第1の出力ポート33bは第1の偏波信号光である出力光L4を第1の出力レンズ系26に出力する光ポートであり、第2の出力ポート33cは第2の偏波信号光である出力光L3を第2の出力レンズ系27に出力する光ポートである。第1の出力ポート33bから出力した出力光L4は、第1の出力レンズ系26を透過して複合光学部品13に入射する。第2の出力ポート33cから出力した出力光L3は、第2の出力レンズ系27を透過して複合光学部品13に入射する。第1の出力ポート33b及び第2の出力ポート33cは、変調器チップ31の辺31dに設けられている。第1の出力ポート33b及び第2の出力ポート33cは、入力ポート32に対して互いに対称となる位置に配置されている。
【0040】
光モジュール1は、第1のモニタPD(モニタ用受光素子)28b及び第2のモニタPD(モニタ用受光素子)28cを有する。第1のモニタPD28bは、第1のモニタポート37bから出力されるモニタ用信号光を受光する。第1のモニタPD28bは、受光したモニタ用信号光の強度に対応した検知信号を出力する。この検知信号は、例えば、ワイヤ(不図示)を介して第1のモニタPD28bと電気的に接続された複数のリードピン6bのいずれかから光モジュール1の外部に出力される。第2のモニタPD28cは、第2のモニタポート37cから出力されるモニタ用信号光を受光する。第2のモニタPD28cは、受光したモニタ用信号光の強度に対応した検知信号を出力する。この検知信号は、例えば、ワイヤ(不図示)を介して第2のモニタPD28cと電気的に接続された複数のリードピン6bのいずれかから光モジュール1の外部に出力される。
【0041】
光モジュール1は、第1のモニタPD28b及び第1のモニタポート37bの間に位置する第1の偏光子29bと、第2のモニタPD28c及び第2のモニタポート37cの間に位置する第2の偏光子29cとを有する。第1の偏光子29bは、第1のモニタポート37bからモニタ用信号光を受光する。第1の偏光子29bは、モニタ用信号光の直線偏光(P偏光)のみを透過する。第1のモニタPD28bは、モニタ用信号光の直線偏光のみを受光する。第2の偏光子29cは、第2のモニタポート37cからモニタ用信号光を受光する。第2の偏光子29cは、第1の偏光子29bと同様、モニタ用信号光の直線偏光のみを透過し、第2の偏光子29cは、モニタ用信号光の直線偏光のみを受光する。
【0042】
図6に示されるように、分岐部34は、入力ポート32から入力された入力光L1を光導波路36a~36hに分岐する。第1の合波部35bは、光導波路36e~36hを伝搬した信号光(信号光の一部)を合波して第1の出力ポート33bに出力光L4として提供する。第2の合波部35cは、光導波路36a~36dを伝搬した信号光(複数の信号光の残部)を合波して第2の出力ポート33cに出力光L3として提供する。
【0043】
第1のモニタポート37bは、モニタ用信号光を第1の偏光子29bに出力する。第1のモニタポート37bは、第1の合波部35bから出力される光の強度を相対的にモニタする光ポートである。第2のモニタポート37cは、モニタ用信号光を第2の偏光子29cに出力する。第2のモニタポート37cは、第2の合波部35cから出力される光の強度を相対的にモニタする光ポートである。第1のモニタポート37b及び第2のモニタポート37cは、辺31dにおいて入力ポート32に対して互いに対称となる位置に配置されている。入力ポート32、第1の出力ポート33b及び第2の出力ポート33cは、第1のモニタポート37bと第2のモニタポート37cとの間(第2方向D2における変調器チップ31の中央側)に配置されている。
【0044】
変調器30は、変調電極(電極)38a~38hと、親位相調整電極38j~38mと、子位相調整電極(不図示)とを有する。変調電極38a~38hは、光導波路36a~36hのそれぞれに設けられる。変調電極38a~38hは、変調された電圧信号を光導波路36a~36hに与えて光導波路36a~36hを通る光の屈折率を変化させる。これにより、光導波路36a~36hを伝搬する光の位相が変調される。
【0045】
変調電極38a~38hのそれぞれの一端は、配線パターンを介して信号入力用のRFパッド39a~39hのそれぞれと電気的に接続されている。信号入力用のRFパッド39a~39hはドライバIC42に電気的に接続されている。変調電極38a~38hのそれぞれの他端は、配線パターンを介して信号終端用の信号パッド40a~40hのそれぞれと電気的に接続されている。親位相調整電極38j~38mは、配線パターンを介してバイアスパッド39j~39mのそれぞれと電気的に接続されている。子位相調整電極は、配線パターンを介して調整信号入力用のバイアスパッド40j~40qのそれぞれと接続されている。
【0046】
次に、実施形態に係る光モジュール1の組立方法の具体例について図7図11を参照しながら説明する。まず、図7に示されるように、入力アセンブリ3が取り付けられる入力ポート2f、及び出力アセンブリ4が取り付けられる出力ポート2pを有する筐体2を用意する。筐体2の底壁2dに温調デバイス21、変調素子用ベース22、変調素子用キャリア23及び変調器30を実装すると共に、ヒートシンク41及びドライバIC42を実装する。そして、底壁2dに光学用ベース11を実装し、光学用ベース11に複合光学部品13を実装する。このとき、例えば、反射光対策として、複合光学部品13を第1方向D1(入力光L1の光軸)に対して所定角度(一例として2°)傾けてエポキシ樹脂によって光学用ベース11に固定する。
【0047】
変調素子用ベース22に第1の偏光子29b及び第2の偏光子29cを実装する。例えば、反射光対策として第1方向D1に対して所定角度傾けて第1の偏光子29b及び第2の偏光子29cを実装する。続いて、変調素子用ベース22上において、第1のモニタポート37bに対向する位置に第1のモニタPD28bを実装し、第2のモニタポート37cに対向する位置に第2のモニタPD28cを実装する(モニタ用受光素子を配置する工程)。このとき、上記同様、反射光対策として第1方向D1に対して所定角度傾けて第1のモニタPD28b及び第2のモニタPD28cを実装する。
【0048】
次に、試験光L11を出力する模擬ファイバ51を配置する(模擬ファイバを配置する工程)。模擬ファイバ51は、例えば、ダミーコリメートファイバでありコリメータファイバ治具によって保持されている。このとき、筐体2の入力ポート2fに対向する位置に模擬ファイバ51を配置する。そして、模擬ファイバ51から試験光L11を筐体2の内部に配置された変調器30の入力ポート32に出力する(試験光を出力する工程)。
【0049】
入力ポート32に入力した試験光L11は光導波路36a~36h(図4参照)のそれぞれを伝搬する。このとき、光導波路36a~36hのいずれか1つに対応する変調電極38a~38hに電圧を印加して試験光L11の強度を検出する。すなわち、光導波路36a~36hに試験光L11を伝搬させつつ変調電極38a~38hに電圧を印加し、光導波路36a~36hにおける吸収電流をモニタする。そして、光導波路36a~36hの光吸収によって検出された光の強度(吸収電流の値)が最大となる位置に模擬ファイバ51の位置を合わせる(模擬ファイバの位置を決定する工程)。
【0050】
次に、図8に示されるように、変調素子用ベース22上における入力ポート32に対向する位置に入力レンズ系25を配置する(入力レンズ系を配置する工程)。そして、模擬ファイバ51から試験光L11を入力ポート32に出力する(入力ポートに試験光を出力する工程)。その後、変調電極38a~38hに電圧を印加して試験光L11の強度を検出する。
【0051】
このとき、分岐光である光導波路36a~36hを伝搬する光の光強度を検出し、入力レンズ系25を調整して入力レンズ系25を入力ポート32に光学的に結合する(光学的に結合する工程)。すなわち、光導波路36a~36hの光吸収によって検出された光の強度(吸収電流の値)が最大となる位置に入力レンズ系25を調芯して入力レンズ系25の位置を決定する(位置を決定する工程)。このとき、変調電極38a~38hに付加した電圧を一定に維持した状態で光導波路36a~36hの光吸収によって検出された光の強度が最大となる位置を入力レンズ系25の位置としてもよい。そして、位置が決定された入力レンズ系25を筐体2に固定する(入力レンズ系を筐体に固定する工程)。具体的には、変調素子用ベース22上に塗布した紫外線硬化樹脂を介して入力レンズ系25を固定する。
【0052】
図9及び図10に示されるように、第1の出力ポート33b及び第2の出力ポート33cのそれぞれに対向する位置に第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27のそれぞれを配置する。そして、第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27のそれぞれを第1の出力ポート33b及び第2の出力ポート33cのそれぞれに光学的に結合する(光学的に結合する工程)。
【0053】
具体的には、まず、変調器30の各位相調整端子(親位相調整電極38j~38m及び子位相調整電極のそれぞれ)を最大光透過となるように調整する。次に、筐体2の出力ポート2pに対向する位置に模擬ファイバ52を配置し、模擬ファイバ51から試験光L11を入力ポート32に入力する。そして、入力ポート32への試験光L11の入力に伴って出力される試験光が結合するように模擬ファイバ52の調芯を行う。
【0054】
続いて、第2の出力レンズ系27を変調素子用ベース22における第2の出力ポート33cと対向する位置に配置し、第1の出力レンズ系26を変調素子用ベース22における第1の出力ポート33bと対向する位置に配置する。そして、模擬ファイバ51から試験光L11を入力ポート32に入力すると、第1の出力ポート33bから試験光L12が出力し、第2の出力ポート33cから試験光L13が出力する。このとき、変調器30へのバイアス電圧を調整することによって、試験光L12及び試験光L13の出力状態が調整される。
【0055】
試験光L12のファイバ結合パワーの最大値と、試験光L13のファイバ結合パワーの最大値とを比較する。まず、変調器30へのバイアス電圧を調整して、試験光L12及び試験光L13のいずれかが出力される状態にする。試験光L12のみが出力される状態にバイパス電圧を調整して、試験光L12は第1の出力レンズ系26を通過したのち、模擬ファイバ52に入力する。この試験光L12のファイバ結合パワーが最大となるように第1の出力レンズ系26の位置を決定する。その一方で、試験光L13のみが出力される状態にバイパス電圧を調整して、試験光L13は、第2の出力レンズ系27を通過したのち、模擬ファイバ52に入力する。そして、この試験光L13のファイバ結合パワーが最大となるように第2の出力レンズ系27の位置を決定する。
【0056】
光学的に結合する工程では、試験光L12及び試験光L13の出力強度が最大となるように変調器30の光導波路36a~36hの位相状態が調整されている。第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27のうち、模擬ファイバ52におけるファイバ結合パワーが小さく与えられた方を先に固定する。すなわち、試験光L12のファイバ結合パワーの最大値、及び試験光L13のファイバ結合パワーの最大値のうち、小さい方に対応する第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27の一方を先に変調素子用ベース22に固定する。その後、第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27のうち、模擬ファイバ52におけるファイバ結合パワーが大きく与えられた他方を一方のファイバ結合パワーに一致させるように光軸方向(第1方向D1)にシフトして変調素子用ベース22に固定する。変調素子用ベース22への第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27の固定は、UV樹脂(紫外線硬化樹脂)等の接着剤によって行われる。
【0057】
その後、図10及び図11に示されるように、模擬ファイバ51及び模擬ファイバ52を入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4に置き換える。このとき、YAG調芯溶接機を用いて入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4のそれぞれの調芯及び固定を行う。具体的には、入力アセンブリ3から入力光L1を導入し、先に調芯を行った第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27の一方を通過する出力光L2を出力させる。
【0058】
次に、筐体2と、レンズ3b,4bと、光ファイバ3f,4fとの3体調芯を行う。具体的には、入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4を筐体2の第2側壁2cでスライドしながら、出力光L2の光強度が最大となる入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4の位置を決定する。このとき、決定される入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4の位置は、模擬ファイバ51及び模擬ファイバ52の位置と等しくなる。
【0059】
そして、入力アセンブリ3及び出力アセンブリ4をYAG溶接によって筐体2の第2側壁2cに固定する。このとき、入力アセンブリ3については、その光軸周りの回転角を所定の角度に設定して固定する。後に調芯を行った第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27の他方に対応する出力光L2を出力アセンブリ4に入力すると、第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27を調芯したときに検出された光強度と同等の光強度が得られる。このとき、第1の出力ポート33b及び第2の出力ポート33cのそれぞれから出力される出力光の光強度は互いに一致している。
【0060】
次に、本実施形態に係る光モジュール1の組立方法から得られる作用効果について説明する。光モジュール1の組立方法では、変調器30の入力ポート32に対向する位置に入力レンズ系25が配置される。変調器30では、分岐光である光導波路36a~36hを伝搬する光の光強度が検知され、検知された光強度に伴って入力レンズ系25が入力ポート32に光学的に結合される。変調器30の第1の出力ポート33bに第1の出力レンズ系26が配置され、変調器30の第2の出力ポート33cに第2の出力レンズ系27が配置される。そして、第1の出力ポート33b及び第2の出力ポート33cのそれぞれに第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27のそれぞれが光学的に結合される。従って、入力レンズ系25が入力ポート32に光学的に結合され、第1の出力レンズ系26及び第2の出力レンズ系27のそれぞれが第1の出力ポート33b及び第2の出力ポート33cのそれぞれに光学的に結合されるので、調芯の精度を高めることができる。
【0061】
本実施形態において、変調器30は分岐光を導波する光導波路36a~36hを有するマッハツェンダ型光変調器であってもよく、変調器30のそれぞれの分岐された光導波路36a~36hには変調電極38a~38hが設けられていてもよい。入力レンズ系25を配置する工程は、入力レンズ系25を介して入力ポート32に試験光L11を出力する工程と、変調器30の光導波路36a~36hのいずれかの変調電極38a~38hに電圧を印加して試験光L11の強度を検出し、光導波路36a~36hの光吸収によって検出された光の強度が最大となる入力レンズ系25の位置を決定する工程と、を含んでもよい。
【0062】
ところで、入力ポート32への入力レンズ系25の調芯時のモニタとして、第1のモニタポート37bの光路上、及び第2のモニタポート37cの光路上のそれぞれに配置された第1のモニタPD28b及び第2のモニタPD28cの光電流が用いられることがある。しかしながら、この場合、光導波路36a~36hを伝搬した光以外の迷光が第1のモニタPD28b又は第2のモニタPD28cに結合することがあるので、精度が高い調芯を行えない可能性がある。これに対し、前述した実施形態では、調芯時のモニタとして、光導波路36a~36hの変調電極38a~38hに電圧を印加したときにおける光電流が用いられるので、調芯の精度と速度を高めることができる。更に、複数のマッハツェンダの吸収電流をモニタする場合、マッハツェンダの数に応じて光電流が加算され、大きな参照電流を得ることができるので、調芯の精度と速度を一層高めることができる。
【0063】
前述したように、入力レンズ系25の位置を決定する工程では、変調器30の電極に印加した電圧を一定に維持した状態で光導波路36a~36hの光吸収によって検出された光の強度が最大となる位置を入力レンズ系25の位置としてもよい。
【0064】
実施形態に係る組立方法は、入力レンズ系25を配置する前に、入力レンズ系25を介在させずに変調器30の入力ポート32に試験光L11を出力する模擬ファイバ51を配置する工程を更に備えてもよい。
【0065】
実施形態に係る組立方法は、模擬ファイバ51を配置する工程の後に、入力ポート32に試験光L11を出力する工程と、変調器30の光導波路36a~36hに設けられた変調電極38a~38hに電圧を印加して試験光L11の強度を検出し、光導波路36a~36hの光吸収によって検出された光の強度が最大となる模擬ファイバ51の位置を決定する工程と、を含んでもよい。
【0066】
実施形態に係る組立方法は、入力レンズ系25を配置する工程の前に、変調器30のモニタポート37b,37cに対向するモニタPD28b,28cを配置する工程を更に備えてもよい。入力レンズ系25を配置する工程は、入力レンズ系25を介して入力ポート32に試験光L11を出力する工程を有し、モニタPD28b,28cに対向するモニタポート37b,37cの1つを介してモニタPD28b,28cの1つによって試験光L12,L13の強度を検出し、モニタPD28b,28cによって検出された光の強度が最大となる入力レンズ系25の位置を決定してもよい。
【0067】
実施形態に係る組立方法は、入力レンズ系25を配置する工程の後に、紫外線硬化樹脂を用いて入力レンズ系25を筐体2に固定する工程を有してもよい。
【0068】
以上、本開示に係る光モジュールの組立方法の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、前述した実施形態に限定されない。すなわち、本発明が特許請求の範囲に記載された要旨を変更しない範囲において種々の変形及び変更が可能であることは、当業者によって容易に認識される。例えば、光モジュールの組立方法の工程の内容及び順序は、前述した内容に限られず適宜変更可能である。更に、光モジュールの各部品の形状、大きさ、数、材料及び配置態様は、前述した内容に限られず適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…光モジュール
2…筐体
2b…第1側壁
2c…第2側壁
2d…底壁
2f…入力ポート
2g…開口部
2h…枠体
2j…配線パターン
2k…パッド
2p…出力ポート
3…入力アセンブリ
3b…レンズ
3c…レンズホルダ
3d…スリーブ
3f…光ファイバ
4…出力アセンブリ
4b…レンズ
4c…レンズホルダ
4d…スリーブ
4f…光ファイバ
5…リッド
6…フィードスルー
6b…リードピン
11…光学用ベース
12…フィルタ
13…複合光学部品
13b…反射面
13c…第1の反射面
13d…第2の反射面
13f…第3の反射面
13g…第4の反射面
21…温調デバイス
22…変調素子用ベース
23…変調素子用キャリア
24…サーミスタ
25…入力レンズ系
26…第1の出力レンズ系
27…第2の出力レンズ系
28b…第1のモニタPD(モニタ用受光素子)
28c…第2のモニタPD(モニタ用受光素子)
29b…第1の偏光子(偏光子)
29c…第2の偏光子(偏光子)
30…変調器(半導体変調器)
30b…制御端子
30c…電極パッド
31…変調器チップ
31b,31c,31d,31f…辺
32…入力ポート
33b…第1の出力ポート
33c…第2の出力ポート
34…分岐部
35b…第1の合波部
35c…第2の合波部
36a~36h…光導波路
37b…第1のモニタポート
37c…第2のモニタポート
38a,38b,38c,38d,38e,38f,38g,38h…変調電極(電極)
38j,38k,38l,38m…親位相調整電極
39a,39b,39c,39d,39e,39f,39g,39h…RFパッド
39j,39k,39l,39m…バイアスパッド
40a,40b,40c,40d,40e,40f,40g,40h…信号パッド
40j,40k,40l,40m,40n,40o,40p,40q…バイアスパッド
41…ヒートシンク
42…ドライバIC
42b…電極パッド
51,52…模擬ファイバ
D1…第1方向
D2…第2方向
D3…第3方向
L1…入力光
L2,L3,L4…出力光
L11,L12,L13…試験光
W1,W2,W3…ボンディングワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11