(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033294
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】組立家具の部材結合構造及び部材結合構造に用いられる連結具の着脱方法
(51)【国際特許分類】
F16B 12/20 20060101AFI20240306BHJP
F16B 5/10 20060101ALI20240306BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20240306BHJP
F16B 12/12 20060101ALI20240306BHJP
A47B 47/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F16B12/20 E
F16B5/10 C
F16B5/06 H
F16B12/12 C
A47B47/04 B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136802
(22)【出願日】2022-08-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-18
(71)【出願人】
【識別番号】000155414
【氏名又は名称】株式会社野口ハードウェアー
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】小磯 宗徳
【テーマコード(参考)】
3B054
3J001
3J024
【Fターム(参考)】
3B054BA05
3B054BA10
3B054BA15
3J001FA07
3J001GA10
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA04
3J001HA08
3J001JC00
3J001JC03
3J001JC06
3J001KA19
3J001KB03
3J024AA45
3J024CA07
(57)【要約】
【課題】接合面の加工を同一にでき、工具や接着剤を用いずに容易に組み立てでき、廃棄時には連結具が容易に取り外せる部材結合構造を提供する。
【解決手段】接合面17に形成されてほぞ溝23を有する一対の溝19と、一対の溝19に渡って嵌入する連結具11と、を備え、一対の溝19は、所定長で形成されて長手方向半部がほぞ溝23を有さずに幅広溝25で形成され、ほぞ溝側の溝端部には係止凹部29が形成され、連結具11は、連続する連結本体部31と脱着腕部33とを有し、連結本体部31は、係止凹部29に掛かる係止爪37を有し、ほぞ溝23に抜け止めされる結合爪43と抜け止め爪45とを有し、脱着腕部33は、連結本体部31に揺動自在に連結されて幅広溝25に配設されるとともに、幅広溝25の溝内面に弾接する掛爪65を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部材同士の接合面に形成され溝底の溝幅が広いほぞ溝を有する同方向に長い一対の溝と、前記一対の溝に渡って嵌入して前記部材同士を連結する連結具と、を備え、
前記一対の溝は、
長手方向に所定長で形成されて長手方向半部が前記ほぞ溝を有さずに前記溝底の溝幅と同一幅の幅広溝で形成され、
前記ほぞ溝の溝端部には前記ほぞ溝の溝底対向面に連続して溝内面を窪ませた係止凹部が形成され、
前記連結具は、前記溝の長手方向に沿って連続する連結本体部と脱着腕部とを有し一方の前記溝に装着され、
前記連結本体部は、前記一方の溝の前記ほぞ溝に配設され、前記係止凹部に掛かる係止爪を有するとともに、相互に接近方向に撓むように溝幅方向に離間して他方の前記溝の前記ほぞ溝に前記接合面に垂直な方向で差し込まれる結合爪と抜け止め爪とを有し、
前記脱着腕部は、前記連結本体部に対して揺動自在に連結され、前記一方の溝の幅広溝に配設されるとともに、前記幅広溝の溝内面に弾接する掛爪を有することを特徴とする組立家具の部材結合構造。
【請求項2】
前記連結本体部が、一対のガイド部を有し、
前記一対のガイド部は、前記結合爪と前記抜け止め爪とを前記溝の長手方向の両側から挟み、前記結合爪と前記抜け止め爪とほぼ同じ突出長で突出し、突出先端に前記他方の溝の前記ほぞ溝への差し込みを案内するガイド面を有することを特徴とする請求項1に記載の組立家具の部材結合構造。
【請求項3】
部材同士の接合面に形成され溝底の溝幅が広いほぞ溝を有する同方向に長い一対の溝と、前記一対の溝に渡って嵌入して前記部材同士を連結する連結具と、を備え、
前記一対の溝は、
長手方向に所定長で形成されて長手方向半部が前記ほぞ溝を有さずに前記溝底の溝幅と同一幅の幅広溝で形成され、
前記ほぞ溝の溝端部には前記ほぞ溝の溝底対向面に連続して溝内面を窪ませた係止凹部が形成され、
前記連結具は、前記溝の長手方向に沿って連続する連結本体部と脱着腕部とを有し一方の前記溝に装着され、
前記連結本体部は、前記一方の溝の前記ほぞ溝に配設され、前記係止凹部に掛かる係止爪を有するとともに、相互に接近方向に撓むように溝幅方向に離間して他方の前記溝の前記ほぞ溝に前記接合面に垂直な方向で差し込まれる一対の結合爪と、前記溝の長手方向で前記一対の結合爪に分割用スリットを介して隣接する一対の抜け止め爪とを有し、
前記結合爪と抜け止め爪のいずれか一方が、前記溝の長手方向で、いずれか他方を両側から挟むよう二対で組み合わされ、
前記脱着腕部は、前記連結本体部に対して揺動自在に連結され、前記一方の溝の幅広溝に配設されるとともに、前記幅広溝の溝内面に弾接する掛爪を有することを特徴とする組立家具の部材結合構造。
【請求項4】
前記脱着腕部が、前記掛爪の前記溝内面からの離反を許容する可撓用スリットを有することを特徴とする請求項3に記載の組立家具の部材結合構造。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の組立家具の部材結合構造に用いられる連結具の着脱方法であって、
前記連結具は、
前記溝に装着するに際しては、前記係止爪を先端側として前記幅広溝に落とし込んだ後、前記ほぞ溝に滑り込ませるようにスライド挿入して前記係止爪を前記係止凹部に係止し、
前記幅広溝に前記脱着腕部を押し込んだ後、前記脱着腕部を弾性復帰させて前記溝内面に前記掛爪弾接させ、
前記溝から抜去するに際しては、前記脱着腕部の掛爪側の先端に指を掛けて脱着腕部側を前記幅広溝から持ち上げるとともに、前記ほぞ溝から前記先端側を引き出すことを特徴とする組立家具の部材結合構造に用いられる連結具の着脱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立家具の部材結合構造及び部材結合構造に用いられる連結具の着脱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば出入口の狭い屋内に家具を入れたい場合、完成されていれば運搬や搬入がしにくいが、屋内へ分解状態で搬入し、屋内で連結、組み立てができれば、運搬や搬入が容易となる。
【0003】
特許文献1に開示のパネルの組は、一方のパネルに形成した縁部分溝の側部に挿入溝を形成し、挿入溝には縁部分溝へ突出可能な可撓性タングを付勢状態で突出させる。縁部分溝に挿入される他方のパネルの縁部分には、可撓性タングが係合するタング溝が形成される。このパネルの組は、一方のパネルの縁部分溝に、他方のパネルの縁部分を挿入することで、タング溝に可撓性タングを係合し、パネル同士を連結でき、これにより組み立てが行えるものである。
【0004】
特許文献2に開示の板材の結合具は、締結する板材の木口に取り付ける挿入具と、突き合わせ面に埋設する受け具とからなり、挿入具には鋸歯状のコルゲーションを両側面に形成した突起を、受け具には、突起が挿入される空間部とこれに隣接して突起が噛み合うコルゲーションを両壁面に形成した嵌合部とから構成された凹みを、それぞれ設けている。この結合具は、突起を空間部に嵌めて嵌合部へスライドさせる2アクションで、相互の板材を連結でき、これにより組み立てが行えるものである。
【0005】
特許文献3に開示のデスクパネル等の組付構造は、一方の板状体の接合端面には係止凸条を形成し、他方の板状体の接合面には嵌合凹部と一方向のスライドによる係止凹部を一連に形成してなる。この組付構造は、一方の係止凸条に他方の係止凹部を嵌合し、他方の板状体を一方向にスライドさせれば、2アクションで係止凸条と嵌合凹部とを係合し、相互の板状体を連結でき、これにより組み立てが行えるものである。
【0006】
特許文献4に開示の部材の結合構造及びこれを備えた組立構造物は、一方の組立構造物に挿嵌された棒状のジョイント部材を、他方の組立構造物に挿嵌された係合部材の開口部に挿入する。双方の組立構造物の各平面が密接するまでジョイント部材を係合部材に押圧する。これにより、係合部材の内面に形成され弾性変形するフック部と、ジョイント部材の外面に形成されたジョイント部材係合部とが嵌合し、フック部が弾性変形して拡開することにより、ワンタッチでジョイント部材と係合部材とを結合することができるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特表2017-510758号公報
【特許文献2】実開昭62-52308号公報
【特許文献3】実開昭64-21618号公報
【特許文献4】特許第5719485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示のパネルの組は、一方の部材と、他方の部材の接合面に形成される穴や溝が異なるため、部材の加工が煩雑となる問題がある。また、接合や接合解除にドライバー等の専用工具が必要となるものがある。さらに、近年、環境への負荷軽減のため、廃棄時には素材ごとへの分解が容易であることが、分別を簡単とする上で望ましい。特許文献2に開示の板材の結合具は、2アクションの段階的な結合であり、部材間に隙間発生の虞がある。また、ビス止め構造であり、組立が煩雑で部品点数が多くなる問題がある。特許文献3に開示のデスクパネル等の組付構造は、2アクションの段階的な結合であり、組立が煩雑である。また、分解ができない問題がある。特許文献4に開示の部材の結合構造は、同一水平面上に複数のフックからなるフック群を構成し、さらに、異なる水平面上に別のフック群を設け、フック群に対する係止部の実質的な実効ピッチを小さくするように工夫しているが、隙間発生は免れない。また、分解ができない問題もある。
【0009】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、部材同士の接合面の加工を同一形状にでき、専用工具を用いずに容易に、且つがたつきなく組み立てでき、しかも、誤って組み立てた場合、引越し等の際に分解・組み立てが必要な場合、さらには廃棄時には連結具の取り外しが容易に行えることで分別が簡単となる組立家具の部材結合構造及び部材結合構造に用いられる連結具の着脱方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の組立家具の部材結合構造は、部材同士の接合面17に形成され溝底21の溝幅が広いほぞ溝23を有する同方向に長い一対の溝19と、前記一対の溝19に渡って嵌入して前記部材同士を連結する連結具11と、を備え、
前記一対の溝19は、
長手方向に所定長で形成されて長手方向半部が前記ほぞ溝23を有さずに前記溝底21の溝幅と同一幅の幅広溝25で形成され、
前記ほぞ溝23の溝端部には前記ほぞ溝23の溝底対向面27に連続して溝内面を窪ませた係止凹部29が形成され、
前記連結具11は、前記溝19の長手方向に沿って連続する連結本体部31と脱着腕部33とを有し一方の前記溝19に装着され、
前記連結本体部31は、前記一方の溝19の前記ほぞ溝23に配設され、前記係止凹部29に掛かる係止爪37を有するとともに、相互に接近方向に撓むように溝幅方向に離間して他方の前記溝19の前記ほぞ溝23に前記接合面17に垂直な方向で差し込まれる結合爪43と抜け止め爪45とを有し、
前記脱着腕部33は、前記連結本体部31に対して揺動自在に連結され、前記一方の溝19の幅広溝25に配設されるとともに、前記幅広溝25の溝内面に弾接する掛爪65を有することを特徴とする。
【0011】
この組立家具の部材結合構造では、部材同士の接合面17が、連結具11によって結合される。それぞれの接合面17には、同方向に長い溝19が形成される。連結具11は、部材同士に設けられた一対の溝19に渡って設けられる。一対の溝19は、同一形状で形成される。溝19は、長手方向半部がほぞ溝23となり、他の長手方向半部がほぞ溝23を有さない幅広溝25となる。このため、溝加工用の刃の交換や、加工制御を変更することなく、容易に一対の溝19が形成可能となる。
溝19は、ほぞ溝23の溝内面に形成された係止凹部29を有する。連結具11は、係止凹部29に係止する係止爪37と、幅広溝25の溝内面に弾接する掛爪65とを備える。連結具11は、これら係止爪37及び掛爪65を、ほぞ溝23の係止凹部29及び幅広溝25の溝内面のそれぞれに係止、弾接することで、専用の工具や接着剤を使用せずに溝19への容易な装着が可能となる。
また、連結具11は、部材同士を結合するための連結本体部31と、溝19への係止・係止解除を可能とするための脱着腕部33とを備える。脱着腕部33は、連結本体部31に対して揺動自在に連結される。
連結具11は、溝19への装着時、連結本体部31に対して脱着腕部33を屈曲させることによって、連結本体部31をほぞ溝23に、その長手方向に沿わせて滑り込ませることができる。連結具11は、連結本体部31がほぞ溝23に挿入されたなら、屈曲させた脱着腕部33を弾性復帰させて、幅広溝25に落とし込むことで、幅広溝25の溝内面に掛爪65を弾接できる。これにより、連結具11は、容易に溝19への装着が可能となる。
溝19に装着された連結具11は、ほぞ溝23から結合爪43と抜け止め爪45とが突出する。結合爪43と抜け止め爪45とは、相互に接近方向に可撓するように溝幅方向に離間して配置される。つまり、連結具11は、異なる種類の爪が、連結本体部31の一側部と他側部とに分かれて組み合わされている。
結合爪43は、差し込まれる側のほぞ溝23における溝底対向面27の縁に当接状態となる引き寄せ斜面71を備える。結合爪43は、部材同士を連結した状態において、自身の弾性復元力によって部材同士を引き寄せる効果を発揮する。
一方、抜け止め爪45は、ほぞ溝23の溝底対向面27に掛かり、抜け止めとなる。
これら結合爪43と抜け止め爪45とは、差し込まれる側のほぞ溝23に、1動作(ワンアクション)で組み付けが完了する。
連結具11は、連結本体部31の爪形状を結合爪43と抜け止め爪45とで組合せることにより、部材連結時の結合状態を維持できるとともに、容易に外れにくくでき、且つ部材同士を引き寄せて、がたつきにくい結合状態を得ることができる。
しかも、連結具11は、溝19からの抜去時には、掛爪65を引き上げて幅広溝25の溝内面との弾接を解除すれば、脱着腕部33を再び屈曲させて、幅広溝25から持ち上げることができる。脱着腕部33を持ち上げれば、ほぞ溝23から連結本体部31を引き出すことができる。これにより、連結具11は、専用の工具を使用せずに容易に溝19から抜去できる。
これに加え、この組立家具の部材結合構造では、部材同士の接合面17に形成した一対の溝19が、一つの連結具11により結合できるので、それぞれの溝19に連結具等を装着しなければならない部材結合構造に比べ、部品点数を減らすことができる。
【0012】
本発明の請求項2記載の組立家具の部材結合構造は、請求項1に記載の組立家具の部材結合構造であって、
前記連結本体部31が、一対のガイド部49を有し、
前記一対のガイド部49は、前記結合爪43と前記抜け止め爪45とを前記溝19の長手方向の両側から挟み、前記結合爪43と前記抜け止め爪45とほぼ同じ突出長で突出し、突出先端に前記他方の溝19の前記ほぞ溝23への差し込みを案内するガイド面53を有することを特徴とする。
【0013】
この組立家具の部材結合構造では、連結本体部31が、結合爪43と抜け止め爪45とを溝19の長手方向の両側から挟む一対のガイド部49を有する。ガイド部49は、結合爪43と抜け止め爪45とほぼ同じ突出長で突出する。それぞれのガイド部49は、間に挟む結合爪43と抜け止め爪45とに対し、ガイド部スリット51を介して離間している。ガイド部スリット51は、他方の溝19のほぞ溝23に結合爪43と抜け止め爪45とが差し込まれるとき、相互に接近方向に撓む結合爪43と抜け止め爪45との移動に干渉しないよう働く。
結合爪43と抜け止め爪45とは、溝19の長手方向の両側にガイド面53を有する一対のガイド部49に挟まれることにより、差し込まれる側のほぞ溝23との間に生じている相対的な位置ずれが吸収され、ほぞ溝23に差し込みやすくなる。すなわち、部材同士の連結の際にずれを抑制する。
【0014】
本発明の請求項3記載の組立家具の部材結合構造は、部材同士の接合面17に形成され溝底21の溝幅が広いほぞ溝23を有する同方向に長い一対の溝19と、前記一対の溝19に渡って嵌入して前記部材同士を連結する連結具75と、を備え、
前記一対の溝19は、
長手方向に所定長で形成されて長手方向半部が前記ほぞ溝23を有さずに前記溝底21の溝幅と同一幅の幅広溝25で形成され、
前記ほぞ溝23の溝端部には前記ほぞ溝23の溝底対向面27に連続して溝内面を窪ませた係止凹部29が形成され、
前記連結具75は、前記溝19の長手方向に沿って連続する連結本体部31と脱着腕部79とを有し一方の前記溝19に装着され、
前記連結本体部31は、前記一方の溝19の前記ほぞ溝23に配設され、前記係止凹部29に掛かる係止爪37を有するとともに、相互に接近方向に撓むように溝幅方向に離間して他方の前記溝19の前記ほぞ溝23に前記接合面17に垂直な方向で差し込まれる一対の結合爪43と、前記溝19の長手方向で前記一対の結合爪43に分割用スリット83を介して隣接する一対の抜け止め爪45とを有し、
前記結合爪43と抜け止め爪45のいずれか一方が、前記溝の長手方向で、いずれか他方を両側から挟むよう二対で組み合わされ、
前記脱着腕部79は、前記連結本体部31に対して揺動自在に連結され、前記一方の溝19の幅広溝25に配設されるとともに、前記幅広溝25の溝内面に弾接する掛爪65を有することを特徴とする。
【0015】
この組立家具の部材結合構造では、部材同士の接合面17が、連結具75によって結合される。それぞれの接合面17には、同方向に長い溝19が形成される。連結具75は、部材同士に設けられた一対の溝19に渡って設けられる。一対の溝19は、同一形状で形成される。溝19は、長手方向半部がほぞ溝23となり、他の長手方向半部がほぞ溝23を有さない幅広溝25となる。このため、溝加工用の刃の交換や、加工制御を変更することなく、容易に一対の溝19が形成可能となる。
溝19は、ほぞ溝23の溝内面に形成された係止凹部29を有する。連結具75は、係止凹部29に係止する係止爪37と、幅広溝25の溝内面に弾接する掛爪65とを備える。連結具75は、これら係止爪37及び掛爪65を、ほぞ溝23の係止凹部29及び幅広溝25の溝内面のそれぞれに係止、弾接することで、専用の工具や接着剤を使用せずに溝19への容易な装着が可能となる。
また、連結具75は、部材同士を結合するための連結本体部31と、溝19への係止・係止解除を可能とするための脱着腕部79とを備える。脱着腕部79は、連結本体部31に対して揺動自在に連結される。
連結具75は、溝19への装着時、連結本体部31に対して脱着腕部79を屈曲させることによって、連結本体部31をほぞ溝23に、その長手方向に沿わせて滑り込ませることができる。連結具75は、連結本体部31がほぞ溝23に挿入されたなら、屈曲させた脱着腕部79を弾性復帰させて、幅広溝25に落とし込むことで、幅広溝25の溝内面に掛爪65を弾接できる。これにより、連結具75は、容易に溝19への装着が可能となる。
溝19に装着された連結具75は、ほぞ溝23から一対の結合爪43と、一対の抜け止め爪45とが突出する。一対の結合爪43は、相互に接近方向に可撓するように溝幅方向に離間して配置される。また、一対の抜け止め爪45も、相互に接近方向に可撓するように溝幅方向に離間して配置される。これら結合爪43と抜け止め爪45は、溝19の長手方向に分割用スリット83を介して隣接し、いずれか一方の爪が他方を両側から挟むように、例えば、一対の抜け止め爪45が、一対の結合爪43を溝19の長手方向の両側から挟んで二対となって設けられる。
結合爪43は、差し込まれる側のほぞ溝23における溝底対向面27の縁に当接状態となる引き寄せ斜面71を備える。結合爪43は、部材同士を連結した状態において、自身の弾性復元力によって部材同士を引き寄せる効果を発揮する。
一方、抜け止め爪45は、ほぞ溝23の溝底対向面27に掛かり、抜け止めとなる。
これら結合爪43と抜け止め爪45とは、差し込まれる側のほぞ溝23に、1動作(ワンアクション)で組み付けが完了する。
連結具75は、連結本体部31の爪形状を結合爪43と抜け止め爪45とで組合せることにより、部材連結時の結合状態を維持できるとともに、容易に外れにくくでき、且つ部材同士を引き寄せて、がたつきにくい結合状態を得ることができる。
しかも、連結具75は、溝19からの抜去時には、掛爪65を引き上げて幅広溝25の溝内面との弾接を解除すれば、脱着腕部79を再び屈曲させて、幅広溝25から持ち上げることができる。脱着腕部79を持ち上げれば、ほぞ溝23から連結本体部31を引き出すことができる。これにより、連結具75は、専用の工具を使用せずに容易に溝19から抜去できる。
これに加え、この組立家具の部材結合構造では、部材同士の接合面17に形成した一対の溝19が、一つの連結具75により結合できるので、それぞれの溝19に連結具等を装着しなければならない部材結合構造に比べ、部品点数を減らすことができる。
【0016】
本発明の請求項4記載の組立家具の部材結合構造は、請求項3に記載の組立家具の部材結合構造であって、
前記脱着腕部91が、前記掛爪65の前記溝内面からの離反を許容する可撓用スリット89を有することを特徴とする。
【0017】
この組立家具の部材結合構造では、連結具75が、幅広溝25の溝内面29に弾接している掛爪67によって、最終的に溝19に固定された状態となっている。この固定状態では、ほぞ溝23の係止凹部31にも係止爪37が係止しているので、連結具75は、長手方向の両端が溝内面29に係止及び弾接して抜け止めされる。
連結具75は、溝19からの抜去時、先ず、掛爪67の弾接が解除される。すなわち、掛爪67が溝内面29から離反されれば、脱着腕部91が幅広溝25から持ち上げ可能な状態となる。脱着腕部91が幅広溝25から持ち上げられれば、ほぞ溝23からの連結本体部33の引き出しが可能となる。つまり、部材結合構造では、係止爪37及び掛爪67を係止及び弾接するしっかりとした装着を実現しつつ、連結具75の抜去時には、脱着腕部91に設けた可撓用スリット73によって、抜去のための初動となる掛爪67の弾接解除が容易に行えるようになっている。
【0018】
本発明の請求項5記載の部材結合構造に用いられる連結具11(75)の着脱方法は、請求項1~4のいずれか1つに記載の組立家具の部材結合構造に用いられる連結具11(75)の着脱方法であって、
前記連結具11(75)は、
前記溝19に装着するに際しては、前記係止爪37を先端側として前記幅広溝25に落とし込んだ後、前記ほぞ溝23に滑り込ませるようにスライド挿入して前記係止爪37を前記係止凹部29に係止し、
前記幅広溝25に前記脱着腕部33(79,91)を押し込んだ後、前記脱着腕部33(79,91)を弾性復帰させて前記溝内面に前記掛爪65弾接させ、
前記溝19から抜去するに際しては、前記脱着腕部33(79,91)の掛爪側の先端に指を掛けて脱着腕部側を前記幅広溝25から持ち上げるとともに、前記ほぞ溝23から前記先端側を引き出すことを特徴とする。
【0019】
この部材結合構造に用いられる連結具11(75)の着脱方法では、連結具11(75)の装着に際しては、係止爪37を先端側として幅広溝25に落とし込んだ後、ほぞ溝23に滑り込ませるようにスライド挿入して係止爪37を係止凹部29に係止する。脱着腕部33(79,91)が幅広溝25に押し込まれ、脱着腕部33(79,91)が弾性復帰することで、掛爪65を溝内面に弾接させる。これにより、連結具11(75)は、溝19への装着が完了する。
連結具11(75)の溝19からの抜去に際しては、脱着腕部33(79,91)の掛爪65に指を掛けて引き上げ、溝内面から掛爪65を離反させる。掛爪65が溝内面から離反した脱着腕部33(79,91)は、幅広溝25から持ち上げることが可能となる。連結具11(75)は、脱着腕部33(79,91)が幅広溝25から持ち上げられることにより、ほぞ溝23から先端側が引き出し可能となる。これにより、連結具11(75)は、溝19からの抜去が容易に行えるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る請求項1記載の組立家具の部材結合構造によれば、部材同士の接合面の加工を同一形状にでき、専用工具を用いずに容易に、且つがたつきなく家具を組み立てでき、しかも、誤って組み立てた場合、引越し等の際に分解・組み立てが必要な場合、さらには廃棄時には連結具の部材からの取り外しが容易に行えることで素材の分別が簡単となる。
【0021】
本発明に係る請求項2記載の組立家具の部材結合構造によれば、差し込まれる側のほぞ溝にガイド部が進入する際、ガイド面がほぞ溝の開口縁に摺接して相互に位置決めされ、結合爪と抜け止め爪が差し込まれる側のほぞ溝に正規の位置で係合されるようになり、すなわち、部材同士の連結の際にずれを抑制する。
【0022】
本発明に係る請求項3記載の組立家具の部材結合構造によれば、部材同士の接合面の加工を同一形状にでき、専用工具を用いずに容易に、且つがたつきなく家具を組み立てでき、しかも、廃棄時には連結具の部材からの取り外しが容易に行えることで素材の分別が簡単となる。
【0023】
本発明に係る請求項4記載の組立家具の部材結合構造によれば、連結具を溝から脱着するに際し、可撓用スリットを狭める方向に脱着腕部を変形させ、幅広溝の溝内面に弾接している掛爪を溝内面からの離反させることで、脱着腕部を溝から持ち上げやすくして、接合面から連結具を容易に抜去できる。
【0024】
本発明に係る請求項5記載の部材結合構造に用いられる連結具の着脱方法によれば、接合面への連結具の装着時、係止爪を先端側として幅広溝に落とし込み、脱着腕部側を折り曲げて、先端側をほぞ溝へ滑り込ませ、係止爪を係止凹部に係止した後、脱着腕部側を幅広溝に押し込むことにより、掛爪を幅広溝の溝内面に弾接して連結具を容易に装着できる。接合面からの連結具の抜去時には、掛爪を弾性変形させて溝内面から離反させることにより、脱着腕部側を幅広溝から持ち上げて折り曲げ、ほぞ溝から先端側を引き出すことで、連結具を溝から容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】第1実施形態に係る組立家具の部材結合構造における連結具と部材の分解斜視図である。
【
図3】(a)は第1実施形態に係る部材結合構造の分解側断面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
【
図4】(a)は連結具の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(b)のB-B断面をその拡大図とともに表した連結爪の説明図である。
【
図6】連結本体部がほぞ溝に挿入される途中の断面図である。
【
図9】連結前の一方の部材と他方の部材の側断面図である。
【
図10】部材結合構造を家具の連結部に適用した例の説明図である。
【
図11】連結解除途中における部材同士の側断面図である。
【
図12】部材同士が分離された部材結合構造の側断面図である。
【
図13】溝から連結具を取り外す際の指掛け状態の側断面図である。
【
図14】脱着腕部が幅広溝から引き起こされる途中の側断面図である。
【
図15】ほぞ溝から連結本体部を引き出し途中の側断面図である。
【
図16】連結本体部が幅広溝から引き上げられる途中の側断面図である。
【
図17】連結具によって連結された一方の部材と他方の部材の断面図である。
【
図18】
図17のC-C断面図をその拡大図とともに表した連結爪の説明図である。
【
図19】(a)はガイド部により連結本体部の差し込みがガイドされる部材結合構造の側断面図、(b)は(a)と向きが逆となった溝へ連結本体部の差し込みがガイドされる部材結合構造の側断面図である。
【
図20】第2実施形態に係る組立家具の部材結合構造における連結具と部材の分解斜視図である。
【
図21】連結具を後方斜め下から見た斜視図である。
【
図22】(a)は第2実施形態に係る部材結合構造の分解側断面図、(b)は(a)のD-D断面図である。
【
図23】連結具によって連結された一方の部材と他方の部材の断面図である。
【
図25】脱着腕部が幅広溝から引き起こされた連結具の側断面図である。
【
図26】可撓用スリットを脱着腕部に備えた変形例に係る連結具の斜視図である。
【
図27】可撓用スリットを脱着腕部に備えた変形例に係る連結具の側面図である。
【
図28】連結本体部の変形例に係る連結具の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
図1は第1実施形態に係る組立家具の部材結合構造における連結具11と部材の分解斜視図である。
第1実施形態に係る組立家具の部材結合構造(以下、単に「部材結合構造」とも称す。)は、部材同士である一方の部材13と他方の部材15(
図3参照)の接合面17に、同方向に長い一対の溝19が形成される。一方の部材13と他方の部材15に形成される溝19は、同形状に形成される。部材結合構造は、一対の溝19に渡って嵌入して部材13,15同士を連結する連結具11を備える。連結具11は、一対の溝19のいずれか一方に装着され、一対の溝19のいずれか他方に結合する。
なお、部材としては、家具を構成する側板や天板、棚板などであり、例えば一方の部材13を天板、他方の部材15を側板とした場合には、天板の背面を一方の接合面17とし、それに突き当てる側板の木口面を他方の接合面17としており、各図においては各部材である一方の部材13と他方の部材15を一部省略して示している。
【0027】
溝19は、平面視で幅の狭い幅狭長円と、幅の広い幅広長円とを、長手方向で接続して形成される。溝19は、長手方向に所定長で形成される。溝19は、板材の表面や背面の他、木口などの端面に形成されてもよい。
【0028】
溝19は、溝底21の溝幅が溝開口よりも広い奥拡がりのほぞ溝23を有する。溝19は、ほぼ長手方向半部がほぞ溝23を有さずに、溝底21の溝幅と同一幅の幅広溝25で形成される。溝19は、ほぞ溝23の溝端部に、ほぞ溝23の溝底対向面27に連続して溝内面を窪ませた係止凹部29が形成される。
【0029】
図2は、連結具11を斜め下方より見た斜視図である。
連結具11は、溝19の長手方向に沿って連続する連結本体部31と、脱着腕部33とを有する。連結本体部31は、一方の溝19のほぞ溝23に配設される。連結本体部31は、溝19の長手方向に長い短冊状の基板35を有する。基板35の一部分は、脱着腕部33となる。基板35は、脱着腕部33と反対側の端部に、係止凹部29に係止する半円板形の係止爪37を有する。係止爪37は、係止凹部29に入り込むことにより、連結本体部31のほぞ溝23からの抜けを規制する。
【0030】
基板35の下面には、長手方向両端から長手方向中央に向かって相互に接近するにしたがって、下向きに傾斜する一対の脚部39が設けられる。一対の脚部39は、連結本体部31がほぞ溝23に装着されると、溝底21に弾接して、基板35の長辺側縁部分をほぞ溝23の溝底対向面27に押し当てる。基板35には、一対の脚部39の間に、下向きに突出する規制突起41が設けられる。規制突起41は、それぞれの脚部39が基板35に接近する方向に弾性変形した際、溝底21に当接することにより、脚部39が過剰に変形しないように規制する。
【0031】
基板35の上面には、接合面17から突出されて、相互に接近方向に撓むように、溝幅方向に離間する結合爪43と抜け止め爪45とが設けられる(
図1参照)。結合爪43と抜け止め爪45とは、基板35の長手方向に長い長方形板を基板35に垂直に起立させて、相互に平行となる。これら結合爪43と抜け止め爪45の起立先端には、断面形状の異なる爪が設けられている。結合爪43と抜け止め爪45とは、連結爪47を構成する。
【0032】
また、基板35の上面には、長手方向の両端に、一対のガイド部49が起立して形成される。一対のガイド部49は、結合爪43と抜け止め爪45とを、溝19の長手方向の両側からガイド部スリット51を介して挟む。ガイド部49は、結合爪43と抜け止め爪45とほぼ同じ突出長で突出する。ガイド部49は、突出先端に、他方の溝19のほぞ溝23への差し込みを案内するガイド面53を有する。ガイド面53は、例えば球面の一部分に近似する凸曲面形状で形成される。
【0033】
脱着腕部33は、基板35の一部となって構成される。換言すれば、基板35は、脱着腕部33を含んで延出し、その長さが溝19の長さよりやや短尺な長さとされる。脱着腕部33は、屈曲部55を介して揺動自在に変位が可能となる。屈曲部55は、基板35の長手方向に直交方向であり、溝や薄肉部として形成してもよい。本実施形態では、屈曲部55の位置で、基板35が緩やかなヘ字状に形成される。
【0034】
連結具11は、連結本体部31と反対側となる脱着腕部33の端に、板面が溝幅方向と平行となって溝底21に向かって突出する当接板57を有する。当接板57は、下向きの略半円形で形成される。
【0035】
連結具11は、脱着腕部33の下面に補強リブ59が形成される。補強リブ59は、屈曲部55から脱着腕部33の端に向かうにしたがって、基板35の下面から溝底21に接近する傾斜辺を有した三角形板で形成される。補強リブ59は、脱着腕部33の下面と当接板57とに亘って接合される。
【0036】
補強リブ59は、当接板57と反対側の端に、支持突部61を有する。支持突部61は、基板35がほぞ溝23において沈み込むことを規制する。
【0037】
当接板57は、下端中央が、補強リブ59の傾斜下端と一致する。この傾斜下端と当接板57の交差部は、溝底21に当たる当接部63となる。
【0038】
当接板57は、補強リブ59の反対側の面に略半長円形の掛爪65が突出する。掛爪65は、連結具11が溝19に装着されると、幅広溝25の溝内面に弾接する。当接板57と掛爪65との間には、補強リブ59の傾斜辺と逆方向に傾斜するガイドリブ67が設けられている。ガイドリブ67は、幅広溝25への掛爪65の押し込みをガイドする。また、脱着腕部33の端には、掛爪65と平行な指掛け部69(
図1参照)が延出して形成される。指掛け部69は、脱着腕部33が幅広溝25から持ち上げられる際に、指が掛けられる。本実施形態では、当接板57からの掛爪65の突出長さが指一本分の外径より大きめに設定される。すなわち、溝19内に装着された状態で、指の進入を可能とする。
【0039】
図3(a)は第1実施形態に係る部材結合構造の分解側断面図、(b)は(a)のA-A断面図である。
連結具11は、一方の部材13の溝19に装着して使用される。一方の部材13の溝19に装着された連結具11は、一方の部材13のほぞ溝23からガイド部49と、結合爪43と、抜け止め爪45とが突出する。突出したこれらガイド部49と、結合爪43と、抜け止め爪45とは、他方の部材15のほぞ溝23に差し込まれて抜け止めされる。これにより、一方の部材13と他方の部材15とは、連結具11を介して結合される。
【0040】
図4(a)は連結具11の平面図、(b)は(a)の側面図、(c)は(b)のB-B断面をその拡大図とともに表した連結爪47の説明図である。
連結具11は、基板35と脱着腕部33との間に屈曲部55が設けられることにより、連結本体部31に対して脱着腕部33が溝底21に対して接近離反方向に揺動が可能となる。補強リブ59は、この屈曲部55を横断して設けられることにより、屈曲部55によって屈曲可能となった脱着腕部33に、ある程度の屈曲に抗する剛性を付与している。すなわち、この屈曲部55の位置で基板35が塑性変形を起こすことを抑制している。
【0041】
また、結合爪43は、差し込まれる側のほぞ溝23における溝底対向面27の縁に当接状態となる引き寄せ斜面71を備える。結合爪43は、部材13,15同士を連結した状態において、自身の弾性復元力によって部材13,15同士を引き寄せる効果を発揮する。抜け止め爪45は、差し込まれる側の溝底対向面27と平行な係止面73を有する。
【0042】
なお、上述した脚部39、当接板57や基板35の縁部分は、それぞれ面取り加工、好ましくはR面取りが施され、外隅としての角部分(直角部分)を無くしていることが好ましい。これは溝19の製作時に、溝19内の内隅が直角に仕上がってない場合、例えば、溝19を成形するエンドミルを長期に使用すると、エンドミル自体に摩耗が発生し、溝内の隅部分が直角に仕上がらない場合があることに起因しており、組立性が保てないことを予め防ぐものである。
【0043】
次に、連結具11の装着手順を説明する。
【0044】
図5は、連結本体部31の滑り込ませ時の断面図である。
連結具11を装着するには、接合面17に形成された幅広溝25に、連結本体部31を先に落とし込む。
【0045】
図6は、連結本体部31がほぞ溝23に挿入される途中の断面図である。
連結具11は、連結本体部31がほぞ溝23に滑り込むように、スライド挿入する。連結具11は、ほぞ溝23に連結本体部31が挿入されると、基板35の縁部分が溝底対向面27に摺接し、脚部39が溝底21からの反力により撓み、連結本体部31が溝底21と平行に進む。一方、連結本体部31に接続される脱着腕部33は、補強リブ59が幅広溝25の縁に摺接する。
【0046】
図7は、連結具11の押し込み時の断面図である。
連結具11は、連結本体部31がほぞ溝23にほぼ挿入されると、脱着腕部33の後部に設けられたガイドリブ67が、幅広溝25の溝後端に当接する。すなわち、ガイドリブ67の傾斜により、脱着腕部33が屈曲部55の位置での屈曲を妨げず、挿入を容易にしている。また、この挿入の際に、脚部39が撓みすぎてしまわないように、規制突起41が溝底21に当接する。
【0047】
図8は、連結具11の装着が完了した溝19の断面図である。
さらにスライドが進み、脱着腕部33は、幅広溝25に押し込まれる。幅広溝25に押し込まれた連結具11は、先端の係止爪37が係止凹部29に係止するとともに、脱着腕部33が弾性復帰し、幅広溝25における溝端部の溝内面に弾接する。連結具11は、連結具自体の撓みを利用して溝内に装着されることを維持する。つまり、連結具11は、溝底21の長手方向に突っ張った状態で装着される。また、脱着腕部33は、装着状態で屈曲部55を境に後端が上向きに弾性変形する。脱着腕部33は、このときの弾性復元力(図中矢線)により当接部63が溝底21に当接する。
【0048】
また、脚部39は、溝底21からの反力により基板35に接近する方向に弾性変形される。このときの弾性復元力により連結本体部31は、がたつきなく基板35が溝底対向面27に押し付けられる。これにより、連結具11は、係止爪37が係止凹部29に係止するとともに、掛爪65が幅広溝25の溝内面に弾接することで、接合面17に形成した溝19への装着が完了する。
【0049】
次に、部材結合構造の部材連結手順を説明する。
【0050】
図9は、連結前の一方の部材13と他方の部材15の側断面図である。
部材結合構造を備える一方の部材13と、他方の部材15とを連結するには、例えば一方の部材13の溝19に連結具11を装着する。他方の部材15の溝19はなにも装着しない。なお、部材結合構造は、一方の部材13になにも装着せず、他方の部材15に連結具11が装着されてもよい。
【0051】
一方の部材13と、他方の部材15とを連結するには、接合面17が平行となるように対向させて、一方の部材13に装着された連結具11の連結本体部31を、他方の部材15のほぞ溝23に対向させる。次いで、連結本体部31のガイド部49と、結合爪43と、抜け止め爪45とを他方の部材15のほぞ溝23へ差し込む。この際、連結具11は、他方の部材15から受ける反力により連結本体部31が溝底21に落ち込まないように、規制突起41と支持突部61とにより支えられることになる。
【0052】
連結本体部31は、他方の部材15のほぞ溝23に差し込まれると、相互に接近する方向に撓んだ結合爪43と抜け止め爪45とが弾性復元力により元の状態に拡開する。これにより、部材結合構造は、結合爪43の引き寄せ斜面71が溝底対向面27の縁に接し、抜け止め爪45の係止面73が溝底対向面27に係止して、一方の部材13と他方の部材15との連結が完了する。
【0053】
図10は、部材結合構造を家具の連結部に適用した例の説明図である。
棚等の家具では、天板と側板との連結に部材結合構造を適用することができる。天板を一方の部材13とし側板を他方の部材15とすれば、天板13の背面17には、短辺に沿って2つの溝19を離間して形成する。側板15の木口面17には、天板13に設けた2つの溝19に対応する2つの溝19を形成する。天板13は、上下を反転させてそれぞれの溝19に連結具11を装着する。側板15は、上下を反転させて木口面17の2つの溝19に、天板13から突出する連結本体部31が差し込まれるように組み付ける。天板13と側板15とは、連結本体部31が側板15のほぞ溝23に真っ直ぐ差し込まれることで、ワンアクションで連結が完了する。
【0054】
次に、部材結合構造における部材同士の分解手順を説明する。
【0055】
図11は、連結解除途中における部材同士の側断面図である。
連結具11を用いて連結された部材13,15同士を分解するには、部材13,15同士を溝19の長手方向に相対的にスライドする。相対的なスライドは、一方の部材13と他方の部材15との双方を、溝19の長手方向に沿って逆向きにスライドしてもよく、一方の部材13または他方の部材15のいずれか一方をスライドして他方の部材15の幅広溝25に、連結本体部31を移動してもよい。
【0056】
図12は、部材13,15同士が分離された部材結合構造の側断面図である。
部材結合構造は、一方の部材13に装着されている連結具11の連結本体部31が、他方の部材15の幅広溝25に到達したら、双方の部材を離反方向に移動する。これにより、連結具11は、係止爪37と、結合爪43と、抜け止め爪45とが、他方の部材15のほぞ溝23から外れ、他方の部材15の幅広溝25から連結本体部31が抜去される。これにより、部材13,15同士の分解が完了する。
【0057】
次に、連結具11の部材からの抜去手順を説明する。
【0058】
図13は、溝19から連結具11を取り外す際の指掛け状態の側断面図である。
連結具11を溝19から抜去するには、脱着腕部33の掛爪65側の先端に設けられた指掛け部69に指を掛け、脱着腕部33側を幅広溝25から持ち上げる。
【0059】
図14は、脱着腕部33が幅広溝25から引き起こされる途中の側断面図である。
連結具11は、指掛け部69が持ち上げられると、脱着腕部33が屈曲部55を境に上向きに折り曲げられる。連結具11は、掛爪65が、幅広溝25から外れる位置まで引き上げられる。
【0060】
図15は、ほぞ溝23から連結本体部31を引き出し途中の側断面図である。
連結具11は、掛爪65が幅広溝25から引き上げられたら、連結本体部31を幅広溝25へ向かって指で押す。これにより、連結本体部31は、ほぞ溝23から幅広溝25へ向かってスライドして引き出される。スライドの際、脱着腕部33は、ガイドリブ67が幅広溝25の溝端部に乗り上がることにより、引っ掛かることなくスライドし、幅広溝25から引き上げられる方向へさらに折り曲げられる。
【0061】
図16は、連結本体部31が幅広溝25から引き上げられる途中の側断面図である。
連結具11は、幅広溝25へ向かってさらにスライドされることにより、ほぞ溝23から抜け出て、幅広溝25への移動される。その際、脱着腕部33は、補強リブ59の傾斜面が幅広溝25の溝端部に乗り上げることで、ほぼ幅広溝25から抜け出た状態となる。この状態で、部材結合構造は、連結本体部31が幅広溝25から取り外されて、一方の部材13からの連結具11の脱着が完了する。
【0062】
次に、第1実施形態の作用を説明する。
【0063】
第1実施形態に係る組立家具の部材結合構造では、部材13,15同士の接合面17が、連結具11によって結合される。それぞれの接合面17には、同方向に長い溝19が形成される。連結具11は、部材同士に設けられた一対の溝19に渡って設けられる。一対の溝19は、同一形状で形成される。溝19は、長手方向半部がほぞ溝23となり、他の長手方向半部がほぞ溝23を有さない幅広溝25となる。このため、溝加工用の刃(例えばエンドミル)の交換や、加工制御を変更することなく、容易に一対の溝19が形成可能となる。
【0064】
溝19は、ほぞ溝23の溝内面に形成された係止凹部29を有する。連結具11は、係止凹部29に係止する係止爪37と、幅広溝25の溝内面に弾接する掛爪65とを備える。連結具11は、これら係止爪37及び掛爪65を、ほぞ溝23の係止凹部29及び幅広溝25の溝内面のそれぞれに係止、弾接することで、専用の工具や簡易な工具でさえ不要で接着剤を使用せずに溝19への容易な装着が可能となる。
【0065】
また、連結具11は、部材13,15同士を結合するための連結本体部31と、溝19への係止・係止解除を可能とするための脱着腕部33とを備える。脱着腕部33は、連結本体部31に対して揺動自在に連結される。
【0066】
連結具11は、溝19への装着時、連結本体部31に対して脱着腕部33を屈曲部55の位置で屈曲させることによって、連結本体部31をほぞ溝23に、その長手方向に沿わせて滑り込ませることができる。連結具11は、連結本体部31がほぞ溝23に挿入されたなら、屈曲させた脱着腕部33を弾性復帰させて、幅広溝25に落とし込むことで、幅広溝25の溝内面に掛爪65を弾接できる。これにより、連結具11は、容易に溝19への装着が可能となる。
【0067】
図17は、連結具11によって連結された一方の部材13と他方の部材15の断面図である。
一方の部材13における溝19に装着された連結具11は、脱着腕部33の弾性復元力と、一対の脚部39の弾性復元力とによって、ほぞ溝23から一対のガイド部49と、結合爪43と、抜け止め爪45とを突出させた状態に保持する。これにより、連結具11は、がたつきなく溝19に装着される。また、連結具11は、他方の部材15との結合時、規制突起41と、支持突部61とが溝底21に当接することで、溝底21への沈み込みが規制される。
【0068】
図18は、
図17のC-C断面図をその拡大図とともに表した連結爪47の説明図である。
溝19に装着された連結具11は、ほぞ溝23から結合爪43と抜け止め爪45とが突出する。結合爪43と抜け止め爪45とは、相互に接近方向に可撓可能なように溝幅方向に離間して配置される。
【0069】
結合爪43は、差し込まれる側のほぞ溝23における溝底対向面27の縁に当接状態となる引き寄せ斜面71を備える。結合爪43は、部材13,15同士を連結した状態において、自身の弾性復元力によって部材13,15同士を引き寄せる効果を発揮する。すなわち、他方の部材15は、弾性復元力によって引き寄せ斜面71が溝底対向面27を押圧することで、一方の部材13に接近する方向に付勢させる。
【0070】
一方、抜け止め爪45は、ほぞ溝23の溝底対向面27に掛かり、抜け止めとなる。抜け止め爪45は、結合爪43が溝底対向面27の縁に当接した状態において、溝底対向面27との間に若干のクリアランスを有してもよい。クリアランスは、木部加工の誤差やねじれ等に対応する。これら結合爪43と抜け止め爪45とは、差し込まれる側のほぞ溝23に、1動作(ワンアクション)で組み付けが完了する。
【0071】
連結具11は、連結本体部31の爪形状を結合爪43と抜け止め爪45とで組合せることにより、部材連結時の結合状態を維持できるとともに、容易に外れにくくでき、且つ部材同士を引き寄せて、がたつきにくい結合状態を得ることができる。
【0072】
しかも、連結具11は、溝19からの抜去時には、掛爪65を引きあげて幅広溝25の溝内面との弾接を解除すれば、脱着腕部33を再び屈曲させて、幅広溝25から持ち上げることができる。脱着腕部33を持ち上げればスライド移動が可能となり、ほぞ溝23から連結本体部31を引き出すことができる。これにより、連結具11は、専用の工具を使用せずに容易に溝19から抜去できる。
【0073】
これに加え、この組立家具の部材結合構造では、部材同士の接合面17に形成した一対の溝19が、一つの連結具11により結合できるので、それぞれの溝19に連結具等を装着しなければならない部材結合構造に比べ、部品点数を減らすことができる。
【0074】
図19(a)はガイド部49により連結本体部31の差し込みがガイドされる部材結合構造の側断面図、(b)は(a)と向きが逆となった溝19へ連結本体部31の差し込みがガイドされる部材結合構造の側断面図である。
この組立家具の部材結合構造では、連結本体部31が、結合爪43と抜け止め爪45とを溝19の長手方向の両側から挟む一対のガイド部49を有する。ガイド部49は、結合爪43と抜け止め爪45とほぼ同じ突出長で突出する。それぞれのガイド部49は、間に挟む結合爪43と抜け止め爪45とに対し、ガイド部スリット51を介して離間している。ガイド部スリット51は、他方の溝19のほぞ溝23に結合爪43と抜け止め爪45とが差し込まれるとき、相互に接近方向に撓む結合爪43と抜け止め爪45との移動を許可するよう働く。
【0075】
結合爪43と抜け止め爪45とは、溝19の長手方向の両側にガイド面53を有する一対のガイド部49に挟まれることにより、差し込まれる側のほぞ溝23との間に生じている相対的な位置ずれが吸収され、ほぞ溝23に差し込みやすくなる。この位置ずれは、ガイド部49のガイド面53が、ほぞ溝23の溝開口縁に摺接することにより生じた反力によって調整がなされる。また、ガイド部49は、一対で設けられていることにより、溝19の向きが逆となった場合であっても、一方が必ずほぞ溝23の溝端部に摺接することになる。その結果、差し込まれる側のほぞ溝23にガイド部49が進入する際、ガイド面53がほぞ溝23の開口縁に摺接して相互に位置決めされ、結合爪43と抜け止め爪45が差し込まれる側のほぞ溝23に正規の位置で、すなわち必ず対向位置となって係合されるようになる。
【0076】
第1実施形態に係る部材結合構造に用いられる連結具11の着脱方法では、連結具11の装着に際しては、係止爪37を先端側として幅広溝25に落とし込んだ後、ほぞ溝23に滑り込ませるようにスライド挿入して係止爪37を係止凹部29に係止する。脱着腕部33は、掛爪65を幅広溝25に押し込んで、掛爪65を溝内面に弾接する。これにより、連結具11は、溝19への装着が完了する。
【0077】
連結具11の溝19からの抜去に際しては、脱着腕部33の掛爪65を指で引き上げて、溝内面から掛爪65を離反させる。掛爪65が溝内面から離反した脱着腕部33は、幅広溝25から持ち上げることが可能となる。連結具11は、脱着腕部33が幅広溝25から持ち上げられることにより、ほぞ溝23から先端側が引き出し可能となる。これにより、連結具11は、溝19からの抜去が容易に行えるようになる。
【0078】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態を説明する。
【0079】
図20は、第2実施形態に係る組立家具の部材結合構造における連結具75と部材の分解斜視図である。なお、第2実施形態においては
図1~
図19に示した部材・部位と同一の部材・部位には同一の符号を付し重複する説明は省略するものとする。
第2実施形態に係る部材結合構造は、連結具75の連結本体部77が、第1実施形態と異なる。脱着腕部79は、ガイドリブ67が設けられない点が第1実施形態と異なる。一方の部材13と他方の部材15に設けられる溝19の形状は、第1実施形態と同じである。
【0080】
連結具75は、溝19の長手方向に沿って連続する連結本体部77と脱着腕部79とを有し一方の溝19に装着される。連結本体部77は、一方の溝19のほぞ溝23に配設され、係止凹部29に掛かる係止爪37を有する。
【0081】
連結本体部77は、第2実施形態では、一対の結合爪43と、二対の抜け止め爪45とから構成される連結爪81を有する。
【0082】
一対の結合爪43は、接合面17から突出されて、相互に接近方向に撓むように溝幅方向に離間して、他方の溝19のほぞ溝23に接合面17に垂直な方向で差し込まれる。二対の抜け止め爪45は、一対の結合爪43を溝19の長手方向の両側から挟む。つまり、連結本体部77の長手方向中央に設けられた一対の結合爪43は、連結本体部77の長手方向一端に設けられた一対の抜け止め爪45と、連結本体部77の長手方向他端に設けられた他の一対の抜け止め爪45とによって挟まれる。
【0083】
換言すれば、連結本体部77の一側部には、溝19の長手方向に沿ってそれぞれ一つの抜け止め爪45と、結合爪43と、抜け止め爪45とが並び、連結本体部77の他側部には、溝19の長手方向に沿ってそれぞれ一つの抜け止め爪45と、結合爪43と、抜け止め爪45とが並んでいる。抜け止め爪45と結合爪43との間には、分割用スリット83が設けられ、抜け止め爪45と結合爪43とは、相互に干渉せずに弾性変形するように形成されている。
【0084】
なお、これら結合爪43と抜け止め爪45との組合せは、上記した一対の結合爪43と二対の抜け止め爪45との構成の他に、一対の抜け止め爪45と、その両側に二対となる結合爪43として構成してもよく、さらには、溝19の長手方向に沿う並び数を増やしてもよく、それぞれが分割用スリット83を介して配設されればよい。
【0085】
連結本体部77は、連結爪81を基板85の長手方向両側から挟む一対のガイド部87を備える。ガイド部87は、連結爪81よりも低くなって基板85から突出する。それぞれのガイド部87は、突出先端に、他方の溝19のほぞ溝23への差し込みを案内するガイド面53を有する。ガイド面53は、基板85の長手方向両側に向かうに従って基板85に接近する例えば傾斜面で形成される。
【0086】
基板85は、第2実施形態では、真直な短冊板状とされ、連結本体部77と脱着腕部79との境が屈曲部55となる。これにより、脱着腕部79は、連結本体部77に対して、屈曲部55を中心に揺動自在となる。脱着腕部79の端には、一方の溝19の幅広溝25に配設されるとともに、幅広溝25の溝内面に弾接する掛爪65が設けられる。
【0087】
図21は、連結具75を後方斜め下から見た斜視図である。
第2実施形態の脱着腕部79は、当接板57が、補強リブ59よりも下方へ突出する。脱着腕部79は、第1実施形態と異なり、掛爪65と当接板57との間に、ガイドリブ67が設けられていない。
【0088】
図22(a)は第2実施形態に係る部材結合構造の分解側断面図、(b)は(a)のD-D断面図である。
連結具75は、一方の部材13の溝19に装着して使用される。一方の部材13の溝19に装着された連結具75は、一方の部材13のほぞ溝23から一対のガイド部87と、二対の抜け止め爪45と、一対の結合爪43とが突出する。突出したこれらガイド部87と、結合爪43と、抜け止め爪45とは、他方の部材15のほぞ溝23に差し込まれて抜け止めされる。これにより、一方の部材13と他方の部材15とは、連結具75を介して結合される。
【0089】
次に、第2実施形態の作用を説明する。
【0090】
この部材結合構造では、部材同士の接合面17が、連結具75によって結合される。それぞれの接合面17には、同方向に長い溝19が形成される。連結具75は、部材同士に設けられた一対の溝19に渡って設けられる。一対の溝19は、同一形状で形成される。溝19は、長手方向半部がほぞ溝23となり、他の長手方向半部がほぞ溝23を有さない幅広溝25となる。このため、溝加工用の刃(例えばエンドミル)の交換や、加工制御を変更することなく、容易に一対の溝19が形成可能となる。
【0091】
溝19は、ほぞ溝23の溝内面に形成された係止凹部29を有する。連結具75は、係止凹部29に係止する係止爪37と、幅広溝25の溝内面に弾接する掛爪65とを備える。連結具75は、これら係止爪37及び掛爪65を、ほぞ溝23の係止凹部29及び幅広溝25の溝内面のそれぞれに係止、弾接することで、専用の工具や簡易な工具でさえ不要で接着剤を使用せずに溝19への容易な装着が可能となる。
【0092】
また、連結具75は、部材同士を結合するための連結本体部77と、溝19への係止・係止解除を可能とするための脱着腕部79とを備える。脱着腕部79は、連結本体部77に対して揺動自在に連結される。
【0093】
連結具75は、溝19への装着時、連結本体部77に対して脱着腕部79を屈曲させることによって、連結本体部77をほぞ溝23に、その長手方向に沿わせて滑り込ませることができる。連結具75は、連結本体部77がほぞ溝23に挿入されたなら、屈曲させた脱着腕部79を弾性復帰させて、幅広溝25に落とし込むことで、幅広溝25の溝内面に掛爪65を弾接できる。連結具75は通常時、基板85が水平で、溝19内に装着されると屈曲部55を境に緩やかなヘ字状に曲がる。連結具75は、基板85の弾性復元力で、溝19内に留まるように作用する。これにより、連結具75は、容易に溝19への装着が可能となる。
【0094】
図23は、連結具75によって連結された一方の部材13と他方の部材15の断面図である。
一方の部材13における溝19に装着された連結具75は、脱着腕部79の弾性復元力と、一対の脚部39の弾性復元力とによって、ほぞ溝23から一対のガイド部87と、一対の結合爪43と、二対の抜け止め爪45とを突出させた状態に保持する。これにより、連結具75は、がたつきなく溝19に装着され、溝の加工成形の際に発生するおそれのある誤差も吸収することができる。また、連結具75は、他方の部材15との結合時、規制突起41が溝底21に当接することで、溝底21への沈み込みが規制される。
【0095】
図24(a)は
図23のE-E断面図、(b)は
図23のF-F断面図である。
連結具75は、ほぞ溝23から一対の結合爪43と、二対の抜け止め爪45とが突出する。一対の結合爪43は、相互に接近方向に可撓するように溝幅方向に離間して配置される。また、一対の抜け止め爪45も、相互に接近方向に可撓するように溝幅方向に離間して配置される。一対の抜け止め爪45は、一対の結合爪43を溝19の長手方向の両側から挟んで二対が設けられている。
【0096】
結合爪43は、差し込まれる側のほぞ溝23における溝底対向面27の縁に当接状態となる引き寄せ斜面71を備える。結合爪43は、部材13,15同士を連結した状態において、自身の弾性復元力によって部材同士を引き寄せる効果を発揮する。すなわち、他方の部材15は、弾性復元力によって引き寄せ斜面71が溝底対向面27を押圧することで、一方の部材13に接近する方向に付勢させる。
【0097】
一方、抜け止め爪45は、ほぞ溝23の溝底対向面27に掛かり、抜け止めとなる。
これら結合爪43と抜け止め爪45とは、差し込まれる側のほぞ溝23に、1動作(ワンアクション)で組み付けが完了する。
【0098】
連結具75は、連結本体部77の爪形状を結合爪43と抜け止め爪45とで組合せることにより、部材連結時の結合状態を維持できるとともに、容易に外れにくくでき、且つ部材同士を引き寄せて、がたつきにくい結合状態を得ることができる。
【0099】
図25は、脱着腕部79が幅広溝25から引き起こされた連結具75の側断面図である。
しかも、連結具75は、溝19からの抜去時には、掛爪65を引き上げて幅広溝25の溝内面との弾接を解除すれば、脱着腕部79を再び屈曲させて、幅広溝25から持ち上げることができる。脱着腕部79を持ち上げれば、ほぞ溝23から連結本体部77を引き出すことができる。これにより、連結具75は、専用の工具を使用せずに容易に溝19から抜去できる。
【0100】
これに加え、この組立家具の部材結合構造では、部材同士の接合面17に形成した一対の溝19が、一つの連結具75により結合できるので、それぞれの溝19に連結具等を装着しなければならない部材結合構造に比べ、部品点数を減らすことができる。その結果、部材同士の接合面17の加工を同一形状にでき、専用工具を用いずに容易に、且つがたつきなく組み立てでき、しかも、廃棄時には素材の異なる連結具75の取り外しが容易に行えることで分別が簡単となる。
【0101】
次に、第2実施形態の変形例を説明する。
【0102】
図26は、可撓用スリット89を脱着腕部91に備える連結具75の斜視図である。
連結具75は、脱着腕部91が、掛爪65の溝内面からの離反を許容する可撓用スリット89を有していてもよい。可撓用スリット89は、当接板57と掛爪65との間に設けられる。
【0103】
図27は、可撓用スリット89を脱着腕部91に備えた変形例に係る連結具75の側面図である。
当接板57は、補強リブ59よりも溝底21に向かって突出する。当接板57は、補強リブ59と反対側の面に、可撓用スリット89を隔てて、当接板57と平行な掛爪形成板93を有する。掛爪65は、この掛爪形成板93の下端から斜め上向きに延出する。掛爪65は、幅広溝25に押し込まれると、掛爪形成板93が可撓用スリット89を狭める方向に弾性変形して幅広溝25への掛爪65の押し込みを可能とする。
【0104】
この部材結合構造では、連結具75が、幅広溝25の溝内面に弾接している掛爪65によって、最終的に溝19に固定された状態となっている。この固定状態では、ほぞ溝23の係止凹部29にも係止爪37が係止しているので、連結具75は、長手方向の両端が溝内面に係止及び弾接して抜け止めされる。
【0105】
連結具75は、溝19からの抜去時、先ず、掛爪65の弾接が解除される。すなわち、掛爪65が溝内面から離反されれば、脱着腕部91が幅広溝25から持ち上げ可能な状態となる。脱着腕部91が幅広溝25から持ち上げられれば、ほぞ溝23からの連結本体部77の引き出しが可能となる。つまり、部材結合構造では、係止爪37及び掛爪65を係止及び弾接するしっかりとした装着を実現しつつ、連結具75の抜去時には、脱着腕部91に設けた可撓用スリット89によって、抜去のための初動となる掛爪65の弾接解除が容易に行えるようになっている。その結果、連結具75を溝19から脱着するに際し、可撓用スリット89を狭める方向に脱着腕部91を変形させ、幅広溝25の溝内面に弾接している掛爪65を溝内面から離反させることで、脱着腕部91を溝19から持ち上げやすくして、接合面17から連結具75を容易に抜去できる。
【0106】
なお、上述した各実施形態では、部材13,15同士の結合時に、ほぞ溝23に対して、接合面17に垂直な方向で連結本体部31,77を差し込む例を述べたが、連結具11,75が装着された部材に対向する部材の溝19の幅広溝25に連結本体部31,77を配置して接合面17に垂直な方向で差し込み、その後にほぞ溝23へ連結本体部31,77を滑り込ませ、すなわち溝19の長手方向へスライドさせることで互いを嵌め合い部材13,15同士を結合するような手順としてもよい。
【0107】
図28は、連結本体部の変形例に係る連結具81の側面図である。
また、上述した各実施形態に示した連結本体部31,77の形状は、接合面17に平行となるような直線状の形状のほか、
図28に示すような湾曲形状の連結本体部83としてもよい。
この連結本体部83は、上述した各実施形態と異なり、結合爪43と抜け止め爪45とを長手方向で一体化した形状としている。具体的には、連結本体部83の長手方向の両端部分を抜け止め爪45、中途部分を結合爪43として構成し、この結合爪43を基板35の方向へ緩やかに寄るように湾曲形成している。また、結合爪43の基板35との間には空間部85が形成され、結合爪43の可撓性を付与するようになっている。
なお、この連結本体部83を備えた連結具81は、上記したように、部材13,15同士の連結の際に、連結具81が装着された部材13に対向する部材15の溝19の幅広溝25に連結本体部83を配置して接合面17に垂直な方向で差し込み、その後にほぞ溝23へ連結本体部83を滑り込ませ、すなわち溝19の長手方向へスライドさせることで互いを嵌め合い、部材13,15同士を結合するような手順とする。
【0108】
従って、本実施形態に係る部材結合構造によれば、部材13,15同士の接合面17の加工を同一形状にでき、専用工具を用いずに容易に、且つがたつきなく組み立てでき、しかも、廃棄時には素材の異なる連結具11(75)の部材からの取り外しが容易に行えることで分別が簡単となる。
【0109】
また、本実施形態に係る連結具11(75)の着脱方法によれば、接合面17への連結具11(75)の装着時、係止爪37を先端側として幅広溝25に落とし込み、脱着腕部33(79)側を折り曲げて、先端側をほぞ溝23へ滑り込ませ、係止爪37を係止凹部29に係止した後、脱着腕部33(79)側を幅広溝25に押し込むことにより、掛爪65を幅広溝25の溝内面に弾接して連結具11(75)を容易に装着できる。接合面17からの連結具11(75)の抜去時には、掛爪65を引き上げて溝内面から離反させることにより、脱着腕部33(79)側を幅広溝25から持ち上げて折り曲げ、ほぞ溝23から先端側を引き出すことで、連結具11(75)を溝19から容易に取り出すことができる。
【符号の説明】
【0110】
11…連結具
17…接合面
19…溝
21…溝底
23…ほぞ溝
25…幅広溝
27…溝底対向面
29…係止凹部
31…連結本体部
33…脱着腕部
37…係止爪
43…結合爪
45…抜け止め爪
49…ガイド部
53…ガイド面
65…掛爪
75…連結具
77…連結本体部
79…脱着腕部
87…ガイド部
89…可撓用スリット