(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033301
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】医療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61M 31/00 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
A61M31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136811
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141829
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 牧人
(74)【代理人】
【識別番号】100123663
【弁理士】
【氏名又は名称】広川 浩司
(72)【発明者】
【氏名】松田 勇
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA01
4C066BB10
4C066CC01
(57)【要約】
【課題】生体組織の互いに対向する壁の間において、意図した範囲に薬剤を送達できる医療デバイスを提供する。
【解決手段】生体組織の互いに対向する2つの壁の間に配置される医療デバイス10であって、シャフト部20の先端部に一定の領域を囲む囲い部50を有し、囲い部50は、2つの壁の間に配置された状態で、当該囲い部50と壁の両方または一方とで略閉鎖した空間部Pを形成し、空間部Pに配置される振動子60を有する医療デバイス10である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体組織の互いに対向する2つの壁の間に配置される医療デバイスであって、
シャフト部の先端部に一定の領域を囲む囲い部を有し、
前記囲い部は、前記2つの壁の間に配置された状態で、当該囲い部と前記壁の両方または一方とで略閉鎖した空間部を形成する医療デバイス。
【請求項2】
前記空間部に配置される振動子を有する請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記囲い部は、一方の前記壁と他方の前記壁との間に配置される帯状に形成される請求項1または2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記囲い部は、一方の前記壁を覆うように配置される膜状に形成される請求項1または2に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記囲い部は一部に開口部を有する請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記シャフト部は、先端部に前記囲い部を有する支持シャフトと、該支持シャフトの外周側を覆う外筒と、を有し、
前記支持シャフトは、前記外筒に対して長軸方向に沿って移動可能であり、
前記囲い部は、前記外筒の内部に折り畳まれた状態で収納される請求項1または2に記載の医療デバイス。
【請求項7】
前記シャフト部は、前記囲い部が形成した前記空間部に薬剤を注入する注入ルーメンを有する請求項1または2に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織の互いに対向する壁の間に配置される医療デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
体内に薬剤を送達するため、体内に挿入されるチューブを有し、チューブの先端部には薬剤放出孔を有する医療デバイスが知られている。このような医療デバイスとして、特許文献1に挙げるように、薬剤を効果的に送達するため、超音波振動子によって薬剤を細粒化するものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冠微小血管機能障害においては、冠動脈より末梢側の冠微小血管以降の動脈に十分な血流が供給されず、心筋虚血を生じる。この場合、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)によっても治療を行うことが困難である。このため、心筋組織に対して直接薬剤を送達する処置が考えられる。
【0005】
心筋組織に薬剤を直接送達する処置を低侵襲に行うため、内視鏡を用いることが好ましい。しかし、内視鏡を用いた場合、薬剤を送達する箇所は生体組織の互いに対向する壁に挟まれているため、広い範囲に薬剤を送達することは困難である。特許文献1のように超音波振動子を用いて薬剤を拡散することも考えられるが、この場合は、薬剤を送達する範囲をコントロールするのが難しいため、意図しない箇所に薬剤が拡散するリスクを生じる。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、生体組織の互いに対向する壁の間において、意図した範囲に薬剤を送達できる医療デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明に係る(1)医療デバイスは、生体組織の互いに対向する2つの壁の間に配置される医療デバイスであって、シャフト部の先端部に一定の領域を囲む囲い部を有し、前記囲い部は、前記2つの壁の間に配置された状態で、当該囲い部と前記壁の両方または一方とで略閉鎖した空間部を形成する。
【発明の効果】
【0008】
上記のように構成した医療デバイスは、生体組織の互いに対向する壁の間に略閉鎖された空間部を形成できるので、範囲を限定して薬剤を送達することができる。
【0009】
(2)上記(1)の医療デバイスにおいて、前記空間部に配置される振動子を有してもよい。これにより、医療デバイスは、空間部の範囲に薬剤を効率的に拡散することができる。
【0010】
(3)上記(1)または(2)の医療デバイスにおいて、前記囲い部は、一方の前記壁と他方の前記壁との間に配置される帯状に形成されてもよい。これにより、医療デバイスは、囲い部と生体組織の両側の壁によって閉鎖された空間部を形成できる。
【0011】
(4)上記(1)または(2)の医療デバイスにおいて、前記囲い部は、一方の前記壁を覆うように配置される膜状に形成されてもよい。これにより、医療デバイスは、囲い部と生体組織の一方の壁によって閉鎖された空間部を形成できる。
【0012】
(5)上記(4)の医療デバイスにおいて、前記囲い部は一部に開口部を有してもよい。これにより、医療デバイスは、囲い部の厚みを小さくすることができる。
【0013】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つの医療デバイスにおいて、前記シャフト部は、先端部に前記囲い部を有する支持シャフトと、該支持シャフトの外周側を覆う外筒と、を有し、前記支持シャフトは、前記外筒に対して長軸方向に沿って移動可能であり、前記囲い部は、前記外筒の内部に折り畳まれた状態で収納されてもよい。これにより、医療デバイスは、生体への挿入時には囲い部を外筒に収納しておけるので、目的部位までの挿入を容易にすることができる。
【0014】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つの医療デバイスにおいて、前記シャフト部は、前記囲い部が形成した前記空間部に薬剤を注入する注入ルーメンを有してもよい。これにより、医療デバイスは、薬剤を囲い部が配置された位置に注入できるので、別のデバイスを用いることなく薬剤の注入および拡散を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】医療デバイスの先端部付近の拡大斜視図である。
【
図3】囲い部を外筒に収納した状態における医療デバイスの先端部付近の拡大斜視図である。
【
図4】患者の心臓に対して医療デバイスを挿入した状態の説明図である。
【
図5】囲い部の内側に薬剤を配置した状態における医療デバイスの先端部付近の拡大斜視図である。
【
図6】互いに対向する壁の間に囲い部を配置した断面図である。
【
図7】変形例に係る医療デバイスの先端部付近の拡大斜視図である。
【
図8】囲い部を外筒に収納した状態における変形例に係る医療デバイスの先端部付近の拡大斜視図である。
【
図9】変形例に係る医療デバイスの囲い部付近の底面図である。
【
図10】囲い部に開口部を設けた医療デバイスの先端部付近の拡大斜視図である。
【
図11】振動子を移動可能とした医療デバイスの先端部付近の拡大斜視図である。
【
図12】注入チューブを有する医療デバイスの先端部付近の拡大斜視図である。
【
図13】互いに対向する壁の間に
図12の囲い部を配置した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上、誇張されて実際の比率とは異なる場合がある。また、本明細書では、医療デバイス10の生体に挿入する側を「先端」若しくは「先端側」、操作する手元側を「基端」若しくは「基端側」と称することとする。
【0017】
本実施形態の医療デバイス10は、先端部が心臓の心外膜と壁側心膜との間の空間に挿入され、別デバイスで当該空間に注入されたゲル状の薬剤を一定の範囲で拡散させるために用いられる。この医療デバイス10は、例えば、虚血性心疾患による重症心不全の治療に使用される。本実施形態において薬剤は、治療効果を有する薬の他、細胞、エクソソーム、核酸医薬などを含む。薬剤はゲル状の状態で使用される。
【0018】
医療デバイス10の構成について説明する。
図1に示すように、医療デバイス10は、長尺なシャフト部20と、シャフト部20を支持する手元部30と、を備えている。手元部30は、高周波電流を発振する発振器40に接続されている。
【0019】
シャフト部20は、管状の外筒21を有している。外筒21は、先端内部に囲い部50を収納している。囲い部50は、外筒21の内部に収納された支持シャフト22に支持されている。支持シャフト22は、外筒21に対して長軸方向に沿って移動することができる。囲い部50の内側には、発振器40に接続された振動子60が設けられている。振動子60は、接続体61により手元部30と接続されている。振動子60は、支持シャフト22と共に外筒21に対して長軸方向に沿って移動することができる。
【0020】
手元部30は、支持シャフト22を外筒21に対して移動させる操作ハンドル32と、振動子60の振動を操作する操作部33とを有している。術者は、操作ハンドル32により、囲い部50および振動子60を外筒21に収納、あるいは外筒21から露出させることができる。また、術者は、操作部33を操作することで、発振器40からの高周波電流によって振動子60を超音波振動させることができる。
【0021】
図2に示すように、囲い部50は、帯状体52によって構成されている。帯状体52は、一端部53が支持シャフト22に連結されている。帯状体52は、形状記憶性を有しており、外筒21から露出した状態でループを形成するように変形する。帯状体52の他端部54は、帯状体52の一端部53の近傍に位置する。囲い部50はNi-Tiなどの形状記憶性を有する合金で形成することができる。振動子60は、外筒21の外部に露出した状態で、囲い部50の内側の領域に配置される。
【0022】
囲い部50は、支持シャフト22を外筒21に対し基端側に移動させることで、囲い部50を外筒21の内部に収納することができる。
図3に示すように、囲い部50は、外筒21の内部に収納されることで、折り畳まれた状態となる。
【0023】
シャフト部20を構成する外筒21や支持シャフト22は、例えば、樹脂材料によって形成される。外筒21や支持シャフト22の構成材料としては、特に限定されないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、フッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド樹脂、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂等が挙げられる。外筒21や支持シャフト22は、金属材料によって構成されてもよい。
【0024】
次に、本実施形態の医療デバイス10を用いて生体の処置対象部に薬剤を送達する方法について説明する。術者は、予め、本実施形態の医療デバイス10を準備する。この際の医療デバイス10は、囲い部50と振動子60が外筒21から露出した状態である。医療デバイス10の準備の際に、術者は、囲い部50と振動子60を外筒21に収納した状態とする。
【0025】
術者は、胸腔に内視鏡スコープ100を挿入し、超音波メス(図示しない)や鉗子(図示しない)を使用して医療デバイス10および注入シリンジ110を心臓Sにアクセス可能な状態とする。次に、
図4に示すように、術者は、胸部の切開創から胸腔内に医療デバイス10と注入シリンジ110を挿入する。注入シリンジ110は、ゲル状の薬剤を保持しており、これを心臓Sに対して注入できる。医療デバイス10の先端部は、心臓のうち心筋を覆う心膜の内部、具体的には、心筋に隣接する心外膜と心嚢に隣接する壁側心膜との間に形成される空間状の心膜腔内に挿入される。
【0026】
次に、術者は、支持シャフト22を外筒21に対して先端側に移動させる。これにより、支持シャフト22の先端部に設けられた囲い部50と振動子60が外筒21の先端から露出する。外筒21から露出した囲い部50は、折り畳まれた状態から開いた状態に変形する。
図5に示すように、外筒21から露出した囲い部50は、一定の範囲を取り囲むように開くことができる。
【0027】
心膜腔C内に配置された囲い部50が開くことで、
図6に示すように、囲い部50は、生体組織の互いに対向する壁である心外膜Dと壁側心膜Eとにそれぞれ挟まれるように配置される。このとき、囲い部50は、帯状体52の幅方向両側がそれぞれ心外膜Dと壁側心膜Eに当接し、囲い部50と両側の壁(心外膜Dと壁側心膜E)によって、略閉鎖した空間部Pを形成する。
【0028】
次に、術者は、注入シリンジ110を用いて囲い部50と両側の壁によって形成された空間部Pにゲル状の薬剤120を注入する。これにより、空間部P内にゲル状の薬剤120が配置される。また、ゲル状の薬剤120は、振動子60に接触するように配置される。
【0029】
薬剤120を空間部P内に配置したら、術者は、操作部33を操作して振動子60を振動させる。振動子60が超音波振動することで、接触しているゲル状の薬剤120が拡散される。このとき、薬剤120と振動子60が配置されている空間部Pは、囲い部50と両側の壁によって略閉鎖されているので、薬剤120が空間部Pの外部に拡散されることを抑制できる。このため、医療デバイス10は、薬剤120を一定の範囲で拡散させて、意図しない領域に薬剤120が拡散されることを抑制できる。
【0030】
薬剤120が心膜腔Cの複数箇所に注入されている場合、術者は、医療デバイス10の先端部を移動させ、囲い部50によって形成される空間部P内に薬剤120が配置されるようにすると共に、振動子60を薬剤120に接触させる。そして、術者は、振動子60により薬剤120を空間部P内で拡散させる。全ての薬剤120を拡散させたら、術者は、医療デバイス10とその他デバイスを生体から抜去し、処置を終了する。
【0031】
次に、医療デバイスの変形例について説明する。
図7に示すように、変形例に係る医療デバイス70は、外筒72の内部に支持シャフト73を収納したシャフト部71と、シャフト部71の先端部に設けられる囲い部74と、囲い部74に囲まれるように配置される振動子77と、を有する。囲い部74は、支持シャフト73の先端部に固定された膜状体75によって構成される。膜状体75は、シリコーンなどの柔軟な樹脂などで形成することができる。膜状体75は、外筒72から露出した状態で、ドーム状の形状を有し、生体組織の互いに対向する2つの壁のうち一方の壁を覆うように配置される。
【0032】
図8に示すように、囲い部74は、外筒72に折り畳まれた状態で収納される。
図9に示すように、膜状体75には、当該膜状体75の形状に沿って複数の骨部材76が設けられている。骨部材76は、形状記憶性を有する合金などで細線状に形成されている。骨部材76により、外筒72から露出した膜状体75は、ドーム状の形状に拡張する。
【0033】
囲い部74は、生体組織の互いに対向する2つの壁の間に配置された際には、囲い部74と壁の一方とで略閉鎖した空間部Pを形成する。このように、囲い部74は、一方の壁を覆うような形状であってもよい。
【0034】
図10に示すように、囲い部74は、一部に開口部74aを有していてもよい。開口部74aにより、囲い部74の厚みを小さくすることができる。
【0035】
図11に示すように、振動子60は、囲い部50に囲まれた領域内で移動可能であってもよい。振動子60が移動可能であることで、薬剤をより効率的に拡散させることができる。
【0036】
図12、
図13に示すように、医療デバイス80は、シャフト部81に薬剤120を注入するための注入シャフト84を有していてもよい。注入シャフト84は、外筒82に挿通された支持シャフト83の内部を貫通し、先端部が振動子86の近傍に位置している。注入シャフト84は、内部に注入ルーメン84aを有しており、基端側からゲル状の薬剤120が供給される。
【0037】
医療デバイス80を使用する際には、術者は、医療デバイス80を目的部位に挿入し、生体組織の互いに対向する壁D、Eと囲い部85とで空間部Pを形成する。その上で、術者は、注入ルーメン84aから薬剤120を空間部P内に注入する。薬剤120を空間部Pに注入したら、術者は、振動子86を振動させ、薬剤120を空間部P内で拡散させる。このように、医療デバイス80は、薬剤120の注入のために他のデバイスを用いる必要がない。
【0038】
以上のように、本実施形態に係る(1)医療デバイス10は、生体組織の互いに対向する2つの壁の間に配置される医療デバイス10であって、シャフト部20の先端部に一定の領域を囲む囲い部50を有し、囲い部50は、2つの壁の間に配置された状態で、当該囲い部50と壁の両方または一方とで略閉鎖した空間部Pを形成する。このように構成した医療デバイス10は、生体組織の互いに対向する壁の間に略閉鎖された空間部Pを形成できるので、範囲を限定して薬剤を送達することができる。
【0039】
(2)上記(1)の医療デバイス10において、空間部Pに配置される振動子60を有してもよい。これにより、医療デバイス10は、空間部Pの範囲に薬剤を効率的に拡散することができる。
【0040】
(3)上記(1)または(2)の医療デバイス10において、囲い部50は、一方の壁と他方の壁との間に配置される帯状に形成されてもよい。これにより、医療デバイス10は、囲い部50と生体組織の両側の壁によって閉鎖された空間部Pを形成できる。
【0041】
(4)上記(1)または(2)の医療デバイス70において、囲い部74は、一方の壁を覆うように配置される膜状に形成されてもよい。これにより、医療デバイス70は、囲い部74と生体組織の一方の壁によって閉鎖された空間部Pを形成できる。
【0042】
(5)上記(4)の医療デバイス70において、囲い部74は一部に開口部74aを有してもよい。これにより、医療デバイス70は、囲い部74の厚みを小さくすることができる。
【0043】
(6)上記(1)~(5)のいずれか1つの医療デバイス10において、シャフト部20は、先端部に囲い部50を有する支持シャフト22と、該支持シャフト22の外周側を覆う外筒21と、を有し、支持シャフト22は、外筒21に対して長軸方向に沿って移動可能であり、囲い部50は、外筒21の内部に折り畳まれた状態で収納されてもよい。これにより、医療デバイス10は、生体への挿入時には囲い部50を外筒21に収納しておけるので、目的部位までの挿入を容易にすることができる。
【0044】
(7)上記(1)~(6)のいずれか1つの医療デバイス80において、シャフト部81は、囲い部85が形成した空間部Pに薬剤120を注入する注入ルーメン84aを有してもよい。これにより、医療デバイス80は、薬剤120を囲い部85が配置された位置に注入できるので、別のデバイスを用いることなく薬剤120の注入および拡散を行うことができる。
【0045】
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。上述の実施形態では、医療デバイス10は、心膜腔内に注入された薬剤を拡散して送達するために用いられているが、生体のそれ以外の箇所に対して薬剤を送達するために用いられることもできる。
【符号の説明】
【0046】
10 医療デバイス
20 シャフト部
21 外筒
22 支持シャフト
30 手元部
32 操作ハンドル
33 操作部
40 発振器
50 囲い部
52 帯状体
60 振動子
61 接続体
100 内視鏡スコープ
110 注入シリンジ
120 薬剤
P 空間部
S 心臓
C 心膜腔
D 心外膜
E 壁側心膜