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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033305
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】医療廃棄物処理設備
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/60 20220101AFI20240306BHJP
   B09B 101/65 20220101ALN20240306BHJP
【FI】
B09B3/60 ZAB
B09B101:65
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136816
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】517306640
【氏名又は名称】株式会社下瀬微生物研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】下瀬 眞一
【テーマコード(参考)】
4D004
【Fターム(参考)】
4D004AA48
4D004BA03
4D004CA03
4D004CA15
4D004CA18
4D004CA22
4D004CA42
4D004CA46
4D004CB31
4D004CB43
4D004CB45
(57)【要約】
【課題】医療機関の敷地内で効率的かつ安全に医療廃棄物を処理することができ、処理コストを削減可能な医療廃棄物処理設備を提供する。
【解決手段】微生物を利用して医療廃棄物の有機成分を分解させ、医療廃棄物から生成される発酵乾燥物を排出する発酵乾燥装置2を備えている。発酵乾燥装置2は、密閉容器21と真空ポンプ25と収容部加熱部Hと攪拌装置22とを含んでいる。また、発酵乾燥装置2が収容される感染リスク室Rと、発酵乾燥装置2から排出される発酵乾燥物を移送する排出コンベヤ4と、感染リスク室Rと仕切壁W1によって隔てられる非感染室Sと、を備える。また、排出コンベヤ4の始端部は、感染リスク室R内の発酵乾燥装置2に接続されている。排出コンベヤ4の途中部は、仕切壁W1を貫通している。排出コンベヤ4の終端部は、非感染室S内に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療廃棄物を収容する収容部を有する密閉容器と、前記収容部を減圧する収容部減圧部と、前記収容部を加熱する収容部加熱部と、前記収容部内で前記医療廃棄物を撹拌する攪拌部材を有する攪拌装置とを含み、微生物を利用して前記医療廃棄物の有機成分を分解させ、前記医療廃棄物から生成される発酵乾燥物を排出する発酵乾燥装置と、
前記発酵乾燥装置が収容される感染リスク室と、
前記発酵乾燥装置から排出される前記発酵乾燥物を移送する排出コンベヤと、
前記感染リスク室と仕切壁によって隔てられる非感染室と、を備え、
前記排出コンベヤの始端部は、前記感染リスク室内の前記発酵乾燥装置に接続され、
前記排出コンベヤの途中部は、前記仕切壁を貫通し、
前記排出コンベヤの終端部は、前記非感染室内に配置されている、
ことを特徴とする医療廃棄物処理設備。
【請求項2】
前記発酵乾燥装置の前記収容部に前記医療廃棄物を投入するための原料移送部を有し、
前記感染リスク室は、前記発酵乾燥装置が収容される機器エリアと、前記原料移送部の始端部に設けられた投入口から人が前記医療廃棄物を投入するための投入エリアと、を有し、
前記投入口は、前記投入エリアと前記機器エリアとを仕切る感染リスク室内部壁に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の医療廃棄物処理設備。
【請求項3】
前記感染リスク室は、外気を前記感染リスク室内に導入するための第1吸気口と、前記感染リスク室内の空気を室外へ排出する第1排気口とを有し、
前記非感染室は、外気を前記非感染室内に導入するための第2吸気口と、前記非感染室内の空気を室外へ排出する第2排気口とを有し、
前記第1排気口および前記第2吸気口に、HEPAフィルタを取り付ける、
ことを特徴とする請求項2に記載の医療廃棄物処理設備。
【請求項4】
前記感染リスク室は、第1出入口部を有し、前記非感染室は、第2出入口部を有し、
前記第1出入口部と前記第2出入口部は、前記仕切壁を挟んで対向する位置に設けられ、
前記第1吸気口は、前記第1出入口部側に設けられ、
前記第2吸気口は、前記第2出入口部側に設けられ、
前記第1排気口および前記第2排気口は、前記仕切壁側に設けられている、
ことを特徴とする請求項3に記載の医療廃棄物処理設備。
【請求項5】
前記感染リスク室は、オゾン水を噴霧する第1噴霧ノズルを有し、
前記非感染室は、前記第1噴霧ノズルから噴霧されるオゾン水よりも低濃度のオゾン水を噴霧する第2噴霧ノズルを有している、
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の医療廃棄物処理設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機関の敷地内で発生した医療廃棄物を処理する医療廃棄物処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
病院などの医療機関では、医療廃棄物が発生する。医療廃棄物は、感染性廃棄物と非感染性廃棄物に大別される。感染性廃棄物は、伝染病の二次感染のおそれがある有害菌が付着している可能性がある。例えば、感染性廃棄物には、手袋、おむつ、ガーゼなどの固形物、血清、血液などの液物が含まれている。感染性廃棄物では、二次感染を防ぐために、厳重な管理が要求されている。
【0003】
感染性廃棄物は焼却して処理される。感染性廃棄物の焼却施設は、医療機関の敷地内に設置される場合と、外部の委託業者により医療機関外の敷地に設置される場合がある。外部の委託業者に感染性廃棄物の処理を依頼する場合、委託業者の行動が明確になっている必要がある。すなわち、委託業者が運搬途中で感染性廃棄物を不法投棄しないように管理する必要がある。そこで、従来、医療廃棄物の物流状況をリアルタイムで管理できるようにする医療廃棄物処理システムが考案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003-319979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、医療機関が特許文献1のような医療廃棄物処理システムを使用しつつ委託業者に感染性医療廃棄物の処理を委託した場合には、医療機関における処理委託コストが嵩むという問題があった。
【0006】
また、医療機関が委託業者に感染性廃棄物の処理を委託せずに医療機関の敷地内で感染性廃棄物を処理する場合も問題があった。具体的に説明すると、医療機関では、感染性廃棄物の他に非感染性廃棄物も大量に発生する。医療機関の敷地内に設けた従来の焼却施設では、感染性廃棄物の焼却を行うために、感染性廃棄物と非感染性廃棄物とを分別する必要があった。この分別作業には、医療機関の関係者の多大な労力を必要としていた。また、医療機関の敷地内で感染性廃棄物を処理する場合において、医療機関の敷地内の焼却施設には、二次感染を発生させないための機能が求められていた。
【0007】
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、その目的は、医療機関の敷地内で効率的かつ安全に医療廃棄物を処理することができ、処理コストを削減可能な医療廃棄物処理設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために本明細書に開示する発明は、以下のように構成されている。すなわち、第1の発明は、医療廃棄物を収容する収容部を有する密閉容器と、前記収容部を減圧する収容部減圧部と、前記収容部を加熱する収容部加熱部と、前記収容部内で前記医療廃棄物を撹拌する攪拌部材を有する攪拌装置とを含み、微生物を利用して前記医療廃棄物の有機成分を分解させ、前記医療廃棄物から生成される発酵乾燥物を排出する発酵乾燥装置と、前記発酵乾燥装置が収容される感染リスク室と、前記発酵乾燥装置から排出される前記発酵乾燥物を移送する排出コンベヤと、前記感染リスク室と仕切壁によって隔てられる非感染室と、を備え、前記排出コンベヤの始端部は、前記感染リスク室内の前記発酵乾燥装置に接続され、前記排出コンベヤの途中部は、前記仕切壁を貫通し、前記排出コンベヤの終端部は、前記非感染室内に配置されている、ことを特徴とする。
【0009】
第1の発明によれば、発酵乾燥装置は、収容部加熱部により、微生物が活性化する温度まで、収容部内の温度を上昇させることができる。また、発酵乾燥装置は、収容部減圧部により、医療廃棄物に含まれる水分の沸点を低下させることができる。これにより、発酵乾燥装置は、微生物が活性化する温度において医療廃棄物に含まれる水分を沸騰させることにより、短時間で医療廃棄物の発酵乾燥を効率よく行うことができる。また、発酵乾燥装置は、収容部加熱部により収容部内を高温にすることによって、収容部内を殺菌することができる。殺菌、発酵および乾燥を収容部内で連続的に行うことができるので、発酵乾燥装置は、感染性廃棄物と非感染性廃棄物との両方を同時に処理することができる。
【0010】
これにより、従来のように医療機関の敷地内で感染性廃棄物と非感染性廃棄物とを分別する作業は必要ない。感染性廃棄物および非感染性廃棄物は、医療機関の敷地内で短時間に一括して処理できる。医療機関の敷地内での処理は、委託にかかる費用が必要ない。その結果、医療廃棄物処理設備は、感染性廃棄物を外部委託する場合と比較して、処理コストを削減することができる。また、発酵乾燥物は、バイオマス燃料として利用することができる。発酵乾燥物のバイオマス燃料としての利用は、処理コストの削減に寄与する。
【0011】
また、医療廃棄物処理設備は、発酵乾燥装置が収容される感染リスク室と、前記感染リスク室と仕切壁によって隔てられる非感染室とを備えている。非感染室には、排出コンベヤの終端部が配置されている。この構成によれば、二次感染のおそれがない発酵乾燥物が排出されるエリアは、二次感染に気をつける必要があるエリアと完全に分けることができる。これにより、非感染室で発酵乾燥物の取り扱いを行う際、作業者は、服装などに気を遣う必要がなく安全に作業ができる。
【0012】
第2の発明では、第1の発明において、前記発酵乾燥装置の前記収容部に前記医療廃棄物を投入するための原料移送部を有し、前記感染リスク室は、前記発酵乾燥装置が収容される機器エリアと、前記原料移送部の始端部に設けられた投入口から人が前記医療廃棄物を投入するための投入エリアと、を有し、前記投入口は、前記投入エリアと前記機器エリアとを仕切る感染リスク室内部壁に設けられている、ことを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、感染リスク室において投入エリアと機器エリアとを完全に分けることができる。この構造は、発酵乾燥装置に何等かのトラブルが生じたとしても、密閉容器の収容部内の医療廃棄物および蒸気に作業者が触れるのを防ぐことができる。また、投入エリアで医療廃棄物を投入口に投入する作業者は、投入口の部分のみ二次感染に気を付けるだけでよく、投入作業が安全かつ効率的に行うことができる。
【0014】
第3の発明では、第1または第2の発明において、前記感染リスク室は、外気を前記感染リスク室内に導入するための第1吸気口と、前記感染リスク室内の空気を室外へ排出する第1排気口とを有し、前記非感染室は、外気を前記非感染室内に導入するための第2吸気口と、前記非感染室内の空気を室外へ排出する第2排気口とを有し、前記第1排気口および前記第2吸気口に、HEPAフィルタを取り付ける、ことを特徴とする。
【0015】
第3の発明は、二次感染のおそれをさらに低減して安全性を高めることができる。また、第3の発明は、発酵乾燥物が保管される非感染室をクリーンに保つことにより、発酵乾燥物の品質を維持することができる。具体的に説明すると、感染リスク室には、外部から医療廃棄物とともに有害菌も持ち込まれる。一旦感染リスク室内に持ち込まれた有害菌は外部に放出させない必要がある。そこで、感染リスク室内の空気を室外へ排出する第1排気口にHEPAフィルタを取り付けることにより、有害菌の外部放出が防がれている。一方で、非感染室では、医療廃棄物に含まれる有害菌は存在しない。この非感染室では、室内をクリーンに保つため、外部の雑菌を進入させない必要がある。そこで、非感染室に外気を導入するための第2吸気口にHEPAフィルタを取り付けることにより、雑菌の進入が防がれている。
【0016】
第4の発明では、第3の発明において、前記感染リスク室は、第1出入口部を有し、前記非感染室は、第2出入口部を有し、前記第1出入口部と前記第2出入口部は、前記仕切壁を挟んで対向する位置に設けられ、前記第1吸気口は、前記第1出入口部側に設けられ、前記第2吸気口は、前記第2出入口部側に設けられ、前記第1排気口および前記第2排気口は、前記仕切壁側に設けられていることを特徴とする。
【0017】
第4の発明によれば、医療廃棄物を持ち込む作業者が出入りする第1出入口部と、発酵乾燥物を取り扱う作業者が出入りする第2出入口部とは、互いに離れた位置に配置される。これにより、医療廃棄物を持ち込む作業者の動線と発酵乾燥物を取り扱う作業者の動線とが重ならないようにできる。そのため、作業者の二次感染のおそれをより低減することができる。
【0018】
また、第4の発明では、感染リスク室の第1吸気口と非感染室の第2吸気口とが互いに離れた位置に配置される。一方で、感染リスク室の第1排気口と非感染室の第2排気口とは、互いに近い位置に配置される。これにより、感染リスク室の第1排気口から排出された空気が非感染室の第2吸気口から非感染室内に入ることが抑制できる。そのため、非感染室内に医療廃棄物の有害菌が進入することが抑制できる。
【0019】
第5の発明では、第1~第4のいずれか一つの発明において、前記感染リスク室は、オゾン水を噴霧する第1噴霧ノズルを有し、前記非感染室は、前記第1噴霧ノズルから噴霧されるオゾン水よりも低濃度のオゾン水を噴霧する第2噴霧ノズルを有している、ことを特徴とする。
【0020】
第5の発明によれば、感染リスク室および非感染室の両方にオゾン水を噴霧することにより、両方の室内空間の殺菌を行うことができる。これにより、さらに安全な医療廃棄物処理設備にできる。また、もともと医療廃棄物の有害菌のない非感染室においては、感染リスク室よりもオゾン水濃度を低くすることにより、オゾン水の噴霧コストを設備全体として低減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る医療廃棄物処理設備によれば、医療機関の敷地内で効率的かつ安全に医療廃棄物を処理することができ、医療廃棄物の処理コストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係る医療廃棄物処理設備の側面断面図である。
図2】本実施形態の医療廃棄物処理設備の平面断面図である。
図3】本実施形態の医療廃棄物処理設備のシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る医療廃棄物処理設備1の側面断面図である。図2は、本実施形態の医療廃棄物処理設備1の平面断面図である。図3は、本実施形態の医療廃棄物処理設備1のシステム構成図である。図1図3において、医療廃棄物処理設備1は、病院の敷地内に設置される。医療廃棄物処理設備1は、病棟などの病院の敷地内で発生した医療廃棄物を、病院の敷地内で処理する。処理される医療廃棄物には、感染性廃棄物と非感染性廃棄物の両方が含まれる。感染性廃棄物としては、例えば、固形物と液物がある。固形物としては、例えば、手袋、おむつおよびガーゼがある。液物としては、例えば、血清および血液がある。また、非感染性廃棄物としては、食品残渣、剪定枝などがある。病院の敷地内では、これらの医療廃棄物が大量に発生する。医療廃棄物処理設備1は、大量の医療廃棄物を効率良く安全に処理することができる。
【0025】
医療廃棄物処理設備1は、例えば直方体の建物内に各種装置を設けた構造をしている。医療廃棄物処理設備1の建物には、例えば、40フィート海上コンテナを利用することができる。医療廃棄物処理設備1は、直方体形状の感染リスク室Rと直方体形状の非感染室Sとを備えている。感染リスク室Rと非感染室Sとは隣接している。感染リスク室Rと非感染室Sとは、仕切壁W1によって隔てられている。
【0026】
感染リスク室Rは、医療廃棄物に含まれる有害菌に作業者が触れる可能性のある部屋である。感染リスク室Rには、発酵乾燥装置2が収容されている。発酵乾燥装置2は、微生物を利用して医療廃棄物の有機成分を分解させ、医療廃棄物から生成される発酵乾燥物を排出する。感染リスク室Rは、機器エリアr2と、投入エリアr1とを有している。機器エリアr2には、発酵乾燥装置2が収容される。投入エリアr1には、作業者が医療廃棄物を投入する投入口31が設けられる。
【0027】
投入口31は、投入エリアr1と機器エリアr2とを仕切る感染リスク室内部壁W2に設置されている。投入エリアr1を形成する4方の側壁のうち、感染リスク室内部壁W2に対向する側壁には、第1出入口部61が設けられている。作業者は、この第1出入口部61から投入エリアr1に入って医療廃棄物の投入作業を行う。なお、感染リスク室内部壁W2には、図2に示すように、投入エリアr1と機器エリアr2との間を行き来できるようにするための内部出入口部67が設けられている。
【0028】
また、投入エリアr1の側壁には、第1操作盤C1が取り付けられている。第1操作盤C1は、医療廃棄物を投入する際に駆動させる装置(後述の破砕機32および原料投入コンベヤ33)を操作するために用いられる。
【0029】
機器エリアr2には、発酵乾燥装置2の収容部21dに医療廃棄物を投入するための原料移送部3が設けられている。原料移送部3の始端部には、投入口31が設けられている。原料移送部3の終端部は、発酵乾燥装置2に接続されている。原料移送部3は、破砕機32と、原料投入コンベヤ33とを有している。破砕機32は、投入口31から投入された医療廃棄物に大きな固形物があった場合に、その固形物を発酵乾燥装置2で処理しやすくするために破砕する。原料投入コンベヤ33は、破砕された医療廃棄物を発酵原料投入口21aへ移送する。発酵原料投入口21aは発酵乾燥装置2の上部に設けられている。
【0030】
発酵乾燥装置2は、図1に示すように、ベースフレーム部B1の上に設けられている。ベースフレーム部B1と機器エリアr2の床面との間には、計量装置Gが設けられている。計量装置Gは、発酵乾燥装置2の収容部21dに投入された医療廃棄物の計量を行うために設けられている。発酵乾燥装置2は、図1図3に示すように、密閉容器21と攪拌装置22と凝縮部23とを有している。密閉容器21は、例えば略円筒状の耐圧タンクを用いて構成される。密閉容器21は、ベースフレーム部B1上に密閉容器取付ベースB3を介して取り付けられている。密閉容器21は、医療廃棄物を収容部21dに収容する。また、密閉容器21の収容部21dでは、後述する収容部減圧部としての真空ポンプ25による減圧と後述する収容部加熱部Hによる加熱が行われる。密閉容器21は、収容部21dを大気圧以下に保持するように気密に形成されている。
【0031】
図3に示すように、密閉容器21の周壁部には、加熱ジャケット24が設けられている。加熱ジャケット24は、加熱用蒸気通路8aおよびドレン水通路8bによってボイラ8と接続されている。ボイラ8は、感染リスク室Rと非感染室Sとを備えた建物の外に設置されている。ボイラ8は、他の使用目的で病院に既に備わっていたものを使用できる。加熱用蒸気通路8aおよびドレン水通路8bは、感染リスク室Rを形成する側壁または天井壁を貫通している。
【0032】
ボイラ8で発生した加熱用蒸気は、加熱用蒸気通路8aを通じて加熱ジャケット24に供給される。上記収容部加熱部Hは、加熱ジャケット24およびボイラ8によって構成されている。
【0033】
密閉容器21の上部には、発酵原料投入口21aが設けられている。この発酵原料投入口21aは、原料投入コンベヤ33と接続されている。発酵原料投入口21aには、破砕機32および原料投入コンベヤ33から送られてきた発酵原料としての医療廃棄物が投入される。また、密閉容器21の上部には、案内部21cが突設されている。案内部21cは、加熱された医療廃棄物から発生する蒸気を凝縮部23へ案内する。また、密閉容器21の後壁下部には、医療廃棄物が発酵された後の発酵乾燥物を排出するための発酵乾燥物排出口21bが設けられている。
【0034】
攪拌装置22は、攪拌シャフト22aと攪拌板22bと電動モータ22cとを有している。攪拌シャフト22aは、密閉容器21の収容部21dにおいて密閉容器21の長手方向に延在している。攪拌部材としての攪拌板22bは、攪拌シャフト22aの軸方向に離間して複数個攪拌シャフト22aに設けられている。電動モータ22cは、ベースフレーム部B1上にモータ取付ベースB2を介して取り付けられている(図1参照)。電動モータ22cは、攪拌シャフト22aを所定の回転速度で回転駆動させる。
【0035】
医療廃棄物が発酵原料投入口21aから投入されると、医療廃棄物は、攪拌シャフト22aおよび攪拌板22bの回転駆動によって、攪拌されながら、加熱ジャケット24に供給された加熱用蒸気の熱によって加熱される。また、医療廃棄物は、加熱および攪拌されながら密閉容器21の長手方向で発酵乾燥物排出口21bの方に送られる。
【0036】
密閉容器21内の医療廃棄物には、微生物が添加される。添加する微生物としては、複数種類の土着菌をベースとし、これを予め培養した複合有効微生物群が好ましく、通称、SHIMOSE 1/2/3群がコロニーの中心になる。なお、SHIMOSE 1は、FERM BP-7504(経済産業省産業技術総合研究所生命工学工業技術研究所特許微生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1-3)に、2003年3月14日に国際寄託されたもの)である。SHIMOSE 2は、FERM BP-7505(SHIMOSE1と同様に国際寄託されたもの)であり、塩に耐性を有するピチアファリノサ(Pichiafarinosa)に属する微生物である。SHIMOSE 3は、FERM BP-7506(SHIMOSE 1と同様に国際寄託されたもの)であり、スタフィロコッカス(Staphylococcus)に属する微生物である。
【0037】
凝縮部23は、密閉容器21の案内部21cと接続管26を介して接続されている。凝縮部23は、一対のヘッド23aによって支持された複数の冷却管23bを備えている。冷却管23bの冷却水は、案内部21cから凝縮部23へ入った蒸気と熱交換することにより、高温になる。高温になった冷却管23bの冷却水は、クーリングタワー5において冷却される。冷却管23bとクーリングタワー5との間には、第1冷却水通路5aと第2冷却水通路5bとが設けられている。
【0038】
クーリングタワー5は、感染リスク室Rと非感染室Sとを備えた建物の外に設置されている。クーリングタワー5は、他の使用目的で病院に既に備わっていたものを使用できる。第1冷却水通路5aおよび第2冷却水通路5bは、感染リスク室Rを形成する側壁または天井壁を貫通している。
【0039】
クーリングタワー5は、受水槽5d、汲み上げポンプ5e、ノズル5f、流下部5g、および、ファン5hを有している。受水槽5dには、凝縮部23から排出された冷却水が第1冷却水通路5aを通って流入する。汲み上げポンプ5eは、受水槽5dから冷却水を汲み上げる。ノズル5fは、汲み上げられた冷却水を流下部5gに向けて噴射する。ファン5hは、冷却水が流下部5gを流下する間、流下部5gに向けて送風を行う。冷却水は、ファン5hからの送風を受けて温度が低下する。冷却水は、流下部5gを流下した後、再び受水槽5dに流入する。
【0040】
第2冷却水通路5bの途中部には、冷却水ポンプ5iが設けられている。クーリングタワー5で冷却された冷却水は、冷却水ポンプ5iによって送水され、第2冷却水通路5bを通って凝縮部23に戻される。凝縮部23に戻された冷却水は、複数の冷却管23b内を流通する間に。医療廃棄物の蒸気と熱交換して温度が上昇する。温度上昇した冷却水は、第1冷却水通路5aを通って再びクーリングタワー5に流入する。つまり、冷却水は凝縮部23とクーリングタワー5との間に設けられた第1冷却水通路5aおよび第2冷却水通路5bを循環する。
【0041】
加熱された医療廃棄物から発生する蒸気は凝縮部23において凝縮する。クーリングタワー5では、上述のように循環する冷却水の他に、凝縮部23において凝縮した凝縮水も注水される。具体的に説明すると、凝縮部23には、連通路27が接続されている。凝縮部23において生成した凝縮水は、凝縮部23および連通路27の内部に滞留する。連通路27には、真空ポンプ25が接続されている。真空ポンプ25は、感染リスク室Rの機器エリアr2に設置されている。この真空ポンプ25が密閉容器21の収容部21dを減圧する上述の収容部減圧部として機能する。このため、真空ポンプ25は、連通路27を介して凝縮部23から空気および凝縮水を吸い出すように作動する。
【0042】
また、真空ポンプ25は、案内部21cおよび接続管26を介して収容部21dの空気および蒸気を凝縮部23に導く。真空ポンプ25によって凝縮部23から吸い出された凝縮水は、凝縮水通路5cによってクーリングタワー5の受水槽5dに導かれる。凝縮水通路5cは、感染リスク室Rを形成する側壁または天井壁を貫通している。
【0043】
クーリングタワー5の受水槽5dに導かれた凝縮水は、冷却水と混ざり合って冷却される。なお、凝縮水には、収容部21dの医療廃棄物に添加されたものと同じ微生物が含まれているので、凝縮水に含まれる臭気成分等は微生物によって分解される。このため、凝縮水に含まれる臭気は密閉容器21の外部へ発散しない。
【0044】
発酵乾燥装置2は、上述のように構成されている。密閉容器21の発酵原料投入口21aから投入された医療廃棄物は、ボイラ8の加熱用蒸気によって加熱された加熱ジャケット24によって加熱される。すると、医療廃棄物に含まれる水分は飽和水蒸気になる。この飽和水蒸気による高圧蒸気殺菌により、医療廃棄物に含まれる有害菌を殺菌する。次に、微生物が、密閉容器21の収容部21dの医療廃棄物に添加される。そして、収容部21dは、真空ポンプ25の駆動によって減圧され、減圧の効果によって水の沸点は低下する。これにより、収容部21dは50~60℃に維持されつつ、医療廃棄物に含まれる水分が沸騰されるようになる。また、医療廃棄物の発酵は、攪拌装置22の攪拌板22bで攪拌されることにより、促進される。医療廃棄物が発酵された後の発酵乾燥物は、発酵乾燥物排出口21bから排出される。
【0045】
医療廃棄物処理設備1は、図1図3に示すように、発酵乾燥物排出口21bに始端部が接続される排出コンベヤ4を備えている。排出コンベヤ4は、発酵乾燥装置2から排出される発酵乾燥物を移送する。排出コンベヤ4の途中部は、仕切壁W1を貫通している。排出コンベヤ4の終端部は、非感染室S内に配置されている。
【0046】
機器エリアr2の床部には、図2に示すように、第1オゾン水生成器66が設置されている。機器エリアr2の天井壁には、図1に示すように、第1噴霧ノズル65が設けられている。第1オゾン水生成器66と第1噴霧ノズル65とは、図示省略の送水配管によって接続されている。第1オゾン水生成器66で生成されたオゾン水は、第1噴霧ノズル65から機器エリアr2に噴霧される。
【0047】
機器エリアr2の側壁には、図2に示すように、第2操作盤C2が取り付けられている。第2操作盤C2は、発酵乾燥装置2および排出コンベヤ4を操作するために設けられている。上記第1操作盤C1の操作頻度と比較して、第2操作盤C2の操作頻度は少ない。第1操作盤C1は、投入口31から医療廃棄物を投入するたびに、破砕機32および原料投入コンベヤ33を操作するために使用される。発酵乾燥装置2の収容部21dが満載になるまでには、医療廃棄物の投入を複数回行う必要がある。そのため、収容部21dが満載になるまで複数回第1操作盤C1が操作される。これに対し、第2操作盤C2は、収容部21dが満載になると操作される。その結果、第1操作盤C1と第2操作盤C2との間に操作頻度の差が生じる。
【0048】
感染リスク室Rは、図1に示すように、外気を感染リスク室R内に導入するための第1吸気口62と、感染リスク室R内の空気を室外へ排出する第1排気口63とを有している。第1吸気口62は、第1出入口部61側に設けられている。第1排気口63は、仕切壁W1側に設けられている。具体的には、第1吸気口62は、投入エリアr1の天井壁であって第1出入口部61の近傍に設けられている。第1排気口63は、機器エリアr2の天井壁であって仕切壁W1の近傍に設けられている。
【0049】
第1排気口63には、第1HEPAフィルタ64(High Efficiency Particulate Air Filter)が取り付けられている。この第1HEPAフィルタ64は、感染リスク室R内に外部から医療廃棄物とともに持ち込まれた有害菌を外部に放出させないために設けられている。
【0050】
感染リスク室内部壁W2には、図2に示すように、通気口68が設けられている。第1吸気口62から導入された空気は、通気口68を通過するとともに第1HEPAフィルタ64を通過して、第1排気口63から排出される。なお、感染リスク室Rは、図示省略の排気ユニットを使用することにより、常時負圧になるように制御される。これにより、第1出入口部61および第1吸気口62から感染リスク室R内の空気が外部に出ていくことがない。
【0051】
非感染室S内には、上述のように排出コンベヤ4の終端部が配置されている。排出コンベヤ4の終端部には、図1に示すように、排出口4aが設けられている。排出コンベヤ4によって、発酵乾燥物が発酵乾燥物排出口21bから排出口4aまで移送される。発酵乾燥物には、医療廃棄物に含まれていた有害菌が存在しない。したがって、作業者が発酵乾燥物に触れたとしても二次感染のおそれはない。発酵乾燥物は、バイオマス燃料として利用が可能である。排出口4aから排出された発酵乾燥物は、保存容器90に移し替えられる。発酵乾燥物が入った保存容器90は、非感染室S内に複数保存される。
【0052】
非感染室Sは、第2出入口部71を有している。第2出入口部71は、非感染室Sを形成する4方の側壁のうち、感染リスク室内部壁W2に対向する側壁に設けられている。上述の第1出入口部61と第2出入口部71は、仕切壁W1を挟んで対向する位置に設けられている。
【0053】
非感染室Sの床部には、図2に示すように、第2オゾン水生成器76が設置されている。非感染室Sの天井壁には、図1に示すように、第2噴霧ノズル75が設けられている。第2オゾン水生成器76と第2噴霧ノズル75とは、図示省略の送水配管によって接続されている。第2オゾン水生成器76で生成されたオゾン水は、第2噴霧ノズル75から非感染室S内に噴霧される。第2噴霧ノズル75は、第1噴霧ノズル65から噴霧されるオゾン水よりも低濃度のオゾン水を噴霧するように構成されている。
【0054】
非感染室Sには、図2に示すように、医療廃棄物処理設備1全体を制御するためのシステム制御盤77が配置されている。
【0055】
非感染室Sは、図1に示すように、外気を非感染室S内に導入するための第2吸気口72と、非感染室S内の空気を室外へ排出する第2排気口73とを有している。第2吸気口72は、第2出入口部71側に設けられている。第2排気口73は、仕切壁W1側に設けられている。具体的には、第2吸気口72は、非感染室Sの天井壁であって第2出入口部71の近傍に設けられている。第2排気口73は、非感染室Sの天井壁であって仕切壁W1の近傍に設けられている。
【0056】
第2吸気口72には、第2HEPAフィルタ74が取り付けられている。この第2HEPAフィルタ74は、非感染室S内に外部の雑菌を進入させないために設けられている。第2吸気口72から第2HEPAフィルタ74を通過して導入された空気は、第2排気口73から排出される。なお、非感染室Sは、図示省略の排気ユニットを使用することにより、常時負圧になるように制御される。これにより、第2出入口部71および第2吸気口72から非感染室S内の空気が外部に出ていくことがない。
【0057】
以上のとおり、本実施形態に係る医療廃棄物処理設備1は、微生物を利用して医療廃棄物の有機成分を分解させ、医療廃棄物から生成される発酵乾燥物を排出する発酵乾燥装置2を備えている。発酵乾燥装置2は、医療廃棄物を収容する収容部21dを有する密閉容器21と、収容部21dを減圧する収容部減圧部としての真空ポンプ25と、収容部21dを加熱する収容部加熱部Hと、収容部21d内で医療廃棄物を撹拌する攪拌板22bを有する攪拌装置22とを含んでいる。
【0058】
また、医療廃棄物処理設備1は、発酵乾燥装置2が収容される感染リスク室Rと、発酵乾燥装置2から排出される発酵乾燥物を移送する排出コンベヤ4と、感染リスク室Rと仕切壁W1によって隔てられる非感染室Sと、を備えている。また、排出コンベヤ4の始端部は、感染リスク室R内の発酵乾燥装置2に接続されている。排出コンベヤ4の途中部は、仕切壁W1を貫通している。排出コンベヤ4の終端部は、非感染室S内に配置されている。
【0059】
上記構成によれば、発酵乾燥装置2は、収容部加熱部Hにより、微生物が活性化する温度まで、収容部内の温度を上昇させることができる。また、発酵乾燥装置2は、真空ポンプ25により、医療廃棄物に含まれる水分の沸点を低下させることができる。これにより、発酵乾燥装置2は、微生物が活性化する温度において医療廃棄物に含まれる水分を沸騰させることにより、短時間で医療廃棄物の発酵乾燥を効率よく行うことができる。また、発酵乾燥装置2は、収容部加熱部Hにより収容部内を高温にすることによって、収容部21d内を殺菌することができる。殺菌、発酵および乾燥が収容部21d内で連続的に行うことができるので、発酵乾燥装置2は、感染性廃棄物と非感染性廃棄物との両方を同時に処理することができる。
【0060】
これにより、従来のように医療機関の敷地内で感染性廃棄物と非感染性廃棄物とを分別する作業は必要ない。感染性廃棄物および非感染性廃棄物は、医療機関の敷地内で短時間に一括して処理できる。医療機関の敷地内で医療廃棄物を処理すれば、医療機関は委託に費用を掛ける必要が無くなる。その結果、医療機関は、感染性廃棄物の処理を外部委託する場合と比較して、感染性廃棄物の処理コストを削減することができる。また、発酵乾燥物は、バイオマス燃料として利用することができる。発酵乾燥物のバイオマス燃料としての利用は、処理コストの削減に寄与する。
【0061】
また、上記実施形態において、医療廃棄物処理設備1は、発酵乾燥装置2が収容される感染リスク室Rと、感染リスク室Rと仕切壁W1によって隔てられる非感染室Sとを備えている。非感染室Sには、排出コンベヤ4の終端部が配置されている。
【0062】
上記構成によれば、二次感染のおそれがない発酵乾燥物が排出されるエリアは、二次感染に気をつける必要があるエリアと完全に分けることができる。これにより、非感染室Sで発酵乾燥物の取り扱いを行う際、作業者は、服装などに気を遣う必要がなく安全に作業ができる。
【0063】
また、上記実施形態において、医療廃棄物処理設備1は、発酵乾燥装置2の収容部21dに医療廃棄物を投入するための原料移送部3を有している。感染リスク室Rは、発酵乾燥装置2が収容される機器エリアr2と、原料移送部3の始端部に設けられた投入口31から作業者が医療廃棄物を投入するための投入エリアr1と、を有している。投入口31は、投入エリアr1と機器エリアr2とを仕切る感染リスク室内部壁W2に設けられている。
【0064】
上記構成によれば、感染リスク室Rにおいて投入エリアr1と機器エリアr2とを完全に分けることができる。この構造は、発酵乾燥装置2に何等かのトラブルが生じたとしても、密閉容器21の収容部21d内の医療廃棄物および蒸気に作業者が触れるのを防ぐことができる。また、投入エリアr1で医療廃棄物を投入口31に投入する作業者は、投入口31の部分のみ二次感染に気を付けるだけでよく、投入作業が安全かつ効率的に行うことができる。
【0065】
また、上記実施形態において、感染リスク室Rは、外気を感染リスク室R内に導入するための第1吸気口62と、感染リスク室R内の空気を室外へ排出する第1排気口63とを有している。非感染室Sは、外気を非感染室S内に導入するための第2吸気口72と、非感染室S内の空気を室外へ排出する第2排気口73とを有している。また、第1排気口63および第2吸気口72には、第1HEPAフィルタ64、第2HEPAフィルタ74が取り付けられている。
【0066】
上記構成によれば、二次感染のおそれをさらに低減して安全性を高めることができる。また、上記構成は、発酵乾燥物が保管される非感染室Sをクリーンに保つことにより、発酵乾燥物の品質を維持することができる。すなわち、第1排気口63に第1HEPAフィルタ64を取り付けることにより、有害菌の外部放出が防がれる。また、非感染室Sに外気を導入するための第2吸気口72に第2HEPAフィルタ74を取り付けることにより、非感染室S内への雑菌の進入が防がれる。
【0067】
また、上記実施形態において、感染リスク室Rは、第1出入口部61を有し、非感染室Sは、第2出入口部71を有している。第1出入口部61と第2出入口部71は、仕切壁W1を挟んで対向する位置に設けられている。第1吸気口62は、第1出入口部61側に設けられ、第2吸気口72は、第2出入口部71側に設けられている。第1排気口63および第2排気口73は、仕切壁W1側に設けられている。
【0068】
上記構成によれば、医療廃棄物を持ち込む作業者が出入りする第1出入口部61と、発酵乾燥物を取り扱う作業者が出入りする第2出入口部71とは、互いに離れた位置に配置される。これにより、医療廃棄物を持ち込む作業者の動線と発酵乾燥物を取り扱う作業者の動線とが重ならないようにできる。そのため、作業者の二次感染のおそれをより低減することができる。
【0069】
また、上記構成では、感染リスク室Rの第1吸気口62と非感染室Sの第2吸気口72とが互いに離れた位置に配置される。一方で、感染リスク室Rの第1排気口63と非感染室Sの第2排気口73とは、互いに近い位置に配置される。これにより、感染リスク室Rの第1排気口63から排出された空気が非感染室Sの第2吸気口72から非感染室S内に入ることが抑制できる。そのため、非感染室S内に医療廃棄物の有害菌が進入することが抑制できる。
【0070】
また、上記実施形態において、感染リスク室Rは、オゾン水を噴霧する第1噴霧ノズル65を有し、非感染室Sは、第1噴霧ノズル65から噴霧されるオゾン水よりも低濃度のオゾン水を噴霧する第2噴霧ノズル75を有している。
【0071】
上記構成によれば、感染リスク室Rおよび非感染室Sの両方にオゾン水を噴霧することにより、両方の室内空間の殺菌を行うことができる。また、もともと医療廃棄物の有害菌のない非感染室Sにおいては、感染リスク室Rよりもオゾン水濃度を低くすることにより、オゾン水の噴霧コストを設備全体として低減することができる。
【0072】
今回、開示した実施形態は全ての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。本発明の技術的範囲は、上述した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、本発明の技術的範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 医療廃棄物処理設備
2 発酵乾燥装置
3 原料移送部
4 排出コンベヤ
8 ボイラ
21 密閉容器
21d 収容部
22 攪拌装置
22b 攪拌板(攪拌部材)
23 凝縮部
24 加熱ジャケット
25 真空ポンプ(収容部減圧部)
31 投入口
61 第1出入口部
62 第1吸気口
63 第1排気口
64 第1HEPAフィルタ
65 第1噴霧ノズル
71 第2出入口部
72 第2吸気口
73 第2排気口
74 第2HEPAフィルタ
75 第2噴霧ノズル
H 収容部加熱部
R 感染リスク室
S 非感染室
r1 投入エリア
r2 機器エリア
W1 仕切壁
W2 感染リスク室内部壁
図1
図2
図3