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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033307
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】紙箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/43 20060101AFI20240306BHJP
   B65D 5/64 20060101ALI20240306BHJP
   B65D 5/52 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B65D5/43
B65D5/64 C
B65D5/52 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136818
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】平田 賢一
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA06
3E060BA08
3E060BC04
3E060CA02
3E060CA23
3E060CE07
3E060CE15
3E060CE22
3E060CF05
3E060CG23
3E060DA15
3E060EA06
(57)【要約】
【課題】本発明に係る紙箱によれば、背面側に看板を備えつつ、不正開封を抑止する紙箱を提供することができる。
【解決手段】本発明に係る紙箱1は、上下方向の上側に開口部1aを有し、開口部1aを開閉する天面板3と、前記天面板3と連接される正面板2と、上下方向に交差する前後方向において前記正面板に対向する背面板5と、を有する箱体100と、背面板5に連設されて開口部1aよりも上側に形成される看板20と、を備え、天面板3は、天面板3が閉じた状態で背面板5に接するように設けられ、差込スリット部11が形成された差込片10を有し、背面板5は、看板20よりも下側において、上側に突出し差込スリット部11を挿通する差込突起部51を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向の上側に開口部を有し、
前記開口部を開閉する天面板と、
前記天面板に連設される正面板と、
前記上下方向に交差する前後方向において前記正面板と対向する背面板と、
を有する箱体と、
前記背面板に連設されて前記開口部よりも前記上側に形成される看板と、
を備え、
前記天面板は、前記天面板が閉じた状態で前記背面板に接するように設けられ、差込スリット部が形成された差込片を有し、
前記背面板は、前記看板よりも下側において、前記上側に突出し前記差込スリット部を挿通する差込突起部を有する
紙箱。
【請求項2】
前記背面板または前記看板には、前記前後方向に貫通する吊り下げ孔が設けられている
請求項1に記載の紙箱。
【請求項3】
前記差込突起部と前記吊り下げ孔とは隣り合って形成されている
請求項2に記載の紙箱。
【請求項4】
前記上下方向及び前記前後方向に交差する左右方向における前記吊り下げ孔の幅は、前記差込突起部の前記左右方向の幅よりも大きい
請求項2または請求項3に記載の紙箱。
【請求項5】
前記吊り下げ孔の上端は、前記看板の前記上下方向の全体高さに対して、前記下側から前記上側に60パーセント以上85パーセント以下の高さの位置に配置されている
請求項2または請求項3に記載の紙箱。
【請求項6】
前記上下方向における前記吊り下げ孔の上端から前記看板の上端までの高さは、3mm以上に設定されている
請求項2または請求項3に記載の紙箱。
【請求項7】
前記差込スリット部は、前記上下方向及び前記前後方向に交差する左右方向に沿って形成されている
請求項1または請求項2に記載の紙箱。
【請求項8】
前記差込スリット部は、前記差込片が前記天面板との間に形成する折り曲げ部に形成されている
請求項1または請求項2に記載の紙箱。
【請求項9】
前記差込スリット部は、前記上下方向及び前記前後方向に交差する左右方向に沿って形成されており、
前記差込スリット部の中央部は、前記上下方向のどちらか一方側に湾曲している
請求項1または請求項2に記載の紙箱。
【請求項10】
前記差込突起部は、前記上側に先端部と、前記先端部よりも前記下側に中央部と、を備え、
前記上下方向及び前記前後方向に交差する左右方向における前記先端部の幅は、前記中央部の幅よりも大きい
請求項1または請求項2に記載の紙箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、水やお茶あるいは清涼飲料水などの飲料用容器の中には、一旦開封して内容物に異物や毒物を混入し、再封止して店頭に戻すという悪質ないたずらを防止し、不正開封を抑止するための機能(タンパープルーフ)と呼ばれる工夫が施された容器が知られている。
【0003】
また、紙箱の場合には、係止片をスリットから容器の内側へ挿入して係合(バージンロック)させて、紙箱を破壊しない限り開封することができないようにした紙箱が知られている。例えば、特許文献1には、上蓋に連設された差込フラップに設けられた水平なスリットに、後板に設けられた係止片を差し込んで引っ掛けたバージンロック構造を有する包装箱が記載されている。使用者が紙箱を開封する際は、係止片を切取りが可能なミシン目において、後板のその他の部分から切り離すことで開封できる。特許文献1に記載の包装箱は、切り離された痕跡が包装箱の外観に表れることで開封済であることがわかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-51606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の包装箱は、一見して、係止片をスリットにバージンロックできていても、使用者が意図的に上蓋の角を引っ張ることによって、包装箱を破壊することなく、バージンロックが外されてしまうという問題があった。また、この包装箱は、包装箱の上蓋から突出して、広告を載せたり吊下げ用の孔を設けたりする、いわゆる看板と呼ばれる部分を備えていないため、店頭での陳列の仕方が制限されていた。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、看板を備えつつ、不正開封を抑止する紙箱を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の第一の態様に係る紙箱は、上下方向の上側に開口部を有し、前記開口部を開閉する天面板と、前記天面板と連設される正面板と、前記上下方向に交差する前後方向において前記正面板と対向する背面板と、を有する箱体と、前記背面板に連設されて前記開口部よりも前記上側に形成される看板と、を備え、前記天面板は、前記天面板が閉じた状態で前記背面板に接するように設けられ、差込スリット部が形成された差込片を有し、前記背面板は、前記看板よりも前記下側において、前記上側に突出し前記差込スリット部を挿通する差込突起部を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る紙箱によれば、看板を備えつつ、不正開封を抑止する紙箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第一実施形態に係る紙箱を模式的に示す展開図である。
図2】同紙箱を折り畳み、上側が開口している状態を示す斜視図である。
図3図2の同紙箱の上側が開口している状態を拡大した斜視図である。
図4図2の同紙箱の上側が閉口している状態を拡大した斜視図である。
図5】組立状態の同紙箱を背面側から見た図である。
図6】本発明の第二実施形態に係る紙箱を模式的に示す展開図である。
図7】同紙箱を折り畳み、上側が開口している状態を示す斜視図である。
図8】同紙箱の差込突起部を折り畳み、吊り下げ孔が形成された状態を示す斜視図である。
図9】組立状態の同紙箱を背面側から見た図である。
図10】本発明の第三実施形態に係る紙箱を模式的に示す展開図である。
図11】同紙箱を折り畳み、上側が開口している状態を示す斜視図である。
図12】組立状態の同紙箱を背面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一実施形態)
本発明の第一実施形態について、図1から図5を参照して説明する。また、以下で説明する実施形態や変形例において、相互に対応する構成については同一の符号を付し、重複部分については説明を省略する場合がある。さらに、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0011】
[紙箱1]
図1は、本発明の第一実施形態に係る紙箱1を模式的に示す展開図である。図2は、紙箱1を折り畳み、上側Z1が開口している状態を示す斜視図である。
紙箱1は、図1に示すように、展開された状態(以下、展開状態)の1枚のブランクシートに、所定の方向に沿って形成された複数の折り畳み線(図中の一点鎖線)を備える。この1枚のブランクシートは、図2に示すように、折り畳み線に沿って折り曲げられ、例えば上方に天面板3と、下方に底板6とを設けて上下方向Zに延びる略直方体形状の箱体100と、看板20とを備える紙箱1に形成される。なお、複数の折り畳み線は、波線状のカット線などであってもよい。
【0012】
上述のように折り畳み線に沿って折り曲げられた組立状態の紙箱1において、以下のように方向を定義する。紙箱1が吊り下げられた箱体や、底板6を下方にして載置された箱体における鉛直方向を上下方向Zとする。上下方向Zにおいて、上方は上側Z1とし、下方は下側Z2とする。また、上下方向Zと直交する水平方向を左右方向Xとする。左右方向Xにおいて、一方側を左側X1とし、左側X1の反対側を右側X2とする。また、上下方向Zと左右方向Xとに直交する水平方向を前後方向Yとする。前後方向Yの一方側は、正面側Y1とし、前後方向Yの他方側を背面側Y2とする。ただし、左右方向Xは、上下方向Zと交わればよく、直交していなくてもよい。また、前後方向Yは、上下方向Zと左右方向Xとに交わればよく、上下方向Zと左右方向Xとに直交していなくてもよい。
【0013】
紙箱1は、本実施形態では、組立状態で後述の吊り下げ孔30によって吊り下げられて、前後方向Yの正面側Y1を正面にして店頭に陳列されている。紙箱1に使用される紙は、特に限定されないが、例えば、バージン紙、カード紙、カップ原紙、コートボール紙、チップボール紙などが使用できる。また、紙は、晒しクラフト紙、上質紙などを積層して用いてもよい。紙箱1は、箱体100と、看板20と、を備える。
【0014】
[箱体100]
箱体100は、正面板2と、天面板3と、側面板4と、背面板5と、底板6と、糊代片7とを備える。箱体100は、組立状態で上側Z1に開口部1a(図2参照)を有しており、上側Z1の天面板3によって開口部1aを開閉可能となるように構成される。
【0015】
[正面板2]
正面板2は、図2に示すように、組立状態において、前後方向Yの正面側Y1に配置される。また、このとき正面板2は、紙箱1及び箱体100の正面となる。正面板2は、正面側Y1の表面に情報表示(商品情報等の表示)を設けていてもよい。
【0016】
[天面板3]
天面板3は、図1に示すように、展開状態において下側Z2に設けられた折り畳み線3aを介して正面板2の上側Z1に連設される。天面板3は、図2に示すように、組立状態において、紙箱1及び箱体100の上蓋部分となり、開口部1aを開閉して箱体100に収容された内容物(不図示)が外に飛びだしてしまう虞を防止する。天面板3は、差込片10を有する。
【0017】
[差込片10]
差込片10は、図1に示すように、展開状態において下側Z2に設けられた折り畳み線10aを介して天面板3の上側Z1に連設される。差込片10は、組立状態において、天面板3の背面側Y2の周縁となる折り畳み線10aから下側Z1に向かって設けられ、紙箱1の内部に収容される(図4参照)。折り畳み線10aで折り曲げられた差込片10は、折り畳み線3aを回転軸として、天面板3とともに紙箱1の開口部1aを閉じることができる。差込片10は、組立状態において、背面板5に接している。差込片10は、中央付近に差込スリット部11を有する。
【0018】
図3は、図2の紙箱1の上側Z1が開口している状態を拡大した斜視図である。図4は、図2の紙箱1の上側Z1が閉口している状態を拡大した斜視図である。
【0019】
差込スリット部11は、差込片10において、前後方向Yに切り込まれて形成されたスリット部分である。差込スリット部11は、第一切り込み部11aと、第二切り込み部11bと、第三切り込み部11cとを備える。
【0020】
図3に示すように、第一切り込み部(差込スリット部)11aは、左右方向Xに沿って形成されている。第一切り込み部11aの左右方向Xの幅は、特に限定されないが、例えば、後述の差込突起部51の幅L1に対して、±2mm程度の幅に設定するのが好ましい。
【0021】
第二切り込み部11bは、左右方向Xの左側X1を上下方向Zに切り込まれたスリットである。また、第三切り込み部11cは、左右方向Xの右側X2を上下方向Zに切り込まれたスリットである。
【0022】
図3に示すように、第一切り込み部11aの中央部11eは、上下方向Zの上側Z1に膨らむように湾曲している。ただし、中央部11eは、上下方向Zの下側Z2に膨らんでいてもよく、どちらか一方側に湾曲していればよい。さらに、差込スリット部11は、中央部11eから上側Z1に延びる第四切り込み部11dを備えている。
【0023】
差込スリット部11は、図3及び図4に示すように、第一切り込み部11a、第二切り込み部11bと第四切り込み部11dとの間に第一突起当接部12aを備え、第一切り込み部11a、第三切り込み部11cと第四切り込み部11dとの間に、第二突起当接部12bを形成する。第一突起当接部12a及び第二突起当接部12bは、後述の差込突起部51が差込スリット部11に背面側Y2から挿入方向である正面側Y1に挿通されると同時に正面側Y1に押し込まれて移動する。差込突起部51が差込突起部51の中央部512まで挿通されると、第一突起当接部12a及び第二突起当接部12bは、元の位置に戻る。
【0024】
[側面板4]
側面板4は、正面板2の左右方向Xの両端に連設される。側面板4は、左側X1に左側面板41と、右側X2に右側面板42と、を備える。左側面板41及び右側面板42の二つの側面板4は、組立状態で左右方向Xにおいて互いに対向する。
【0025】
左側面板41は、図1に示すように、上側Z1に設けられた折り畳み線41aを介して左上フラップ411を備え、下側Z2に設けられた折り畳み線41bを介して左下フラップ412を備える。右側面板42は、上側Z1に設けられた折り畳み線42aを介して右上フラップ421を備え、下側Z2に設けられた折り畳み線42bを介して右下フラップ422を備える。左上フラップ411及び右上フラップ421は、図2に示すように、組立状態において、紙箱1の上蓋部分の一部となる。また、左下フラップ412及び右下フラップ422は、組立状態において、紙箱1の底部分の一部となる。
【0026】
[背面板5]
背面板5は、図1に示すように、展開状態において、左側面板41に連設される。また、背面板5は、図2に示すように、組立状態で、前後方向Yにおいて正面板2と対向する。なお、背面板5は、右側面板42に連設されてもよく、左右方向Xのどちらか一方側の側面板4に連設されていればよい。背面板5は、差込突起部51と、ミシン目52とを有する。
【0027】
図5は、組立状態の紙箱1を背面側Y2から見た図である。
差込突起部51は、図1から図4に示すように、上側Z1に突出した矢尻状の突起である。差込突起部51は、図5に示すように、前後方向Yに沿って差込スリット部11に挿通される。差込突起部51は、製造工程において後述の吊り下げ孔30と同時に、背面板5に形成される。差込突起部51は、後述の看板20よりも下側Z2に配置されており、組立状態において紙箱1の内部に収容される差込片の差込スリット部11に差し込むことができる。差込突起部51は、先端部511と、中央部512と、基端部513とを備える。
【0028】
先端部511は、図3に示すように、例えば、上側Z1に頂角を備え、下側Z2に左右方向Xの幅が広い略二等辺三角形状になっている。なお、頂角及び低角は、丸みを帯びていてもよい。先端部511の左右方向Xの幅は、差込突起部51の最大幅であり、差込突起部51の幅L1である。幅L1は、特に限定されないが、20mm~60mm程度に設定されているのが好ましい。この構成により、先端部511は、差込スリット部11に差し込まれる際に作業性が良く、差込スリット部11から抜けにくくなる。
【0029】
中央部512は、先端部511よりも下側Z2に形成され、先端部511と基端部513とを連結する。中央部512の左右方向Xの幅は、先端部511の幅L1よりも狭い。すなわち、先端部511の左右方向Xの幅L1は、中央部512の左右方向Xの幅よりも大きい。また、中央部512の上下方向Zの高さは、2mm以上に設定されているのが好ましい。この構成により、中央部512は、先端部511と基端部513との間に隙間を形成し、先端部511を差込スリット部11に係止しやすくすることができる。
【0030】
また、図3に示すように、中央部512の左側X1の端部から先端部511の左側X1の端部までの長さL2と、中央部512の右側X2の端部から先端部511の右側X2の端部までの長さL3は、略同じである。長さL2及び長さL3は、特に限定されないが、3~10mm程度に設定されているのが好ましい。この構成により、差込突起部51は、先端部511を差込スリット部11に係止させたのち、第一突起当接部12a及び第二突起当接部12bに引っ掛けて外れにくくすることができる。
【0031】
基端部513は、中央部512よりも下側Z2に備えられ、差込突起部51と背面板5とを連結する部分である。
【0032】
ミシン目52は、図3に示すように、差込突起部51の基端部513から下側Z2に向かって形成されている。ミシン目52は、下側Z2に膨らむように円弧状またはコの字状に形成されており、製造工程の際や紙箱1の組立状態において、折れにくくなっている。使用者(不図示)は、ミシン目52が形成されることによって、紙箱1の蓋部分を開封する際に、ミシン目52に沿って切り取ることで容易に紙箱1を開口できる。
【0033】
[底板6]
底板6は、箱体100の下側Z1に設けられる。底板6は、正面底板61と背面底板62とを備える。正面底板61は、図1に示すように、展開状態において上側Z1に設けられた折り畳み線61aを介して正面板2の下側Z2に連設される。背面底板62は、図1に示すように、展開状態において上側Z1に設けられた折り畳み線62aを介して背面板5の下側Z2に連設される。底板6の正面底板61と背面底板62とは、組立状態で上下方向Zにおいて天面板3と対向し、紙箱1及び箱体100の底部分の一部となる。また、正面底板61は、下側Z2に2つの差込部61bを備える。背面底板62は、折り畳み線62a上に2つの差込スリット62bを備える。そして、2つの差込部61bは、組立状態で2つの差込スリット62bに挿通される。
【0034】
[糊代片7]
糊代片7は、展開状態において右側X2に設けられた折り畳み線7aを介して背面板5の左側X1に連設される。糊代片7は、本実施形態では、右側面の一部に貼着されて、箱の組立状態を形成する。
【0035】
[看板20]
看板20は、図1に示すように、展開状態において背面板5の上側Z1に連設される。具体的には、看板20とは、組立状態において天面板3よりも上側Z1に向けて突出している領域のことである。看板20は、中央に左右方向Xに沿う折り畳み線20aを備えており、全体を折り畳み線20aに沿って折り畳むことで、図2に示すような組立状態となる。本実施形態では、看板20は、組立状態において正面側Y1に折り畳まれている。看板20は、組立状態において上側Z1に上端20bを有する。上端20bは、図4に示すように、組立状態において箱体100の天面板3よりも上側Z1に形成され紙箱1の最も上端部分となる。
【0036】
図3から図4に示すように、組立状態において、看板20の正面側Y1の表面20cは、例えば、デザインスペースとして利用できる。具体的には、看板20は、情報表示のための表示スペース(例えば、商品情報スペース、販売促進用の宣伝・広告スペースまたは注意書きスペース等)として利用できる。この構成により、紙箱1は、全体の情報表示のスペースを広げることができる。
【0037】
[吊り下げ孔30]
ここで、紙箱1は、背面板5及び看板20の両方に跨って前後方向Yに貫通した吊り下げ孔30をさらに備えている。吊り下げ孔30は、製造工程において、前後方向Yに打ち抜かれて形成される。なお、差込突起部51は、吊り下げ孔30が打ち抜かれて形成されると同時に形成される。そのため、差込突起部 51と吊り下げ孔30とは隣り合って形成されている。また、差込突起部51は、吊り下げ孔30の上端30a(図3参照)よりも下側Z2に形成されている。
【0038】
吊り下げ孔30は、図3に示すように、上端30aの中央が上側Z1に膨らんだ窪み31を有しており、窪み31は、例えば、図示しない陳列棚等のフックと係合する。また、吊り下げ孔30の左右方向Xの最大の幅L4は、差込突起部51の左右方向Xの幅L1よりも大きい。なお、本実施形態に限定されず、背面板5または看板20のどちらか一方が吊り下げ孔30を備えていてもよい。
【0039】
吊り下げ孔30の上端30aは、例えば看板20の上下方向Zの全体高さに対して、下側Z2から上側Z1に60パーセント以上85パーセント以下の高さの位置に配置されている。具体的には、上下方向Zにおける吊り下げ孔30の上端30aから看板20の上端20bまでの高さは、3mm以上に設定されているのが好ましい。吊り下げ孔30の上端30aは、上記の高さの位置に設定することで、看板20全体の大きさを小さく設定して、紙箱1を吊り下げた際に、吊り下げ孔30の上側Z1に力が与えられていても、十分な強度を有することができる。
【0040】
[収容部21]
なお、本実施形態では、箱体100は、図1に示すように、展開状態において看板の上側Z1に連設された収容部21をさらに備えている。収容部21は、図2から図4に示すように、組立状態において看板20よりも下側Z2に配置され、紙箱1の内部に収容される。
【0041】
[切り欠き部40]
また、紙箱1は、図1に示すように、看板20及び収容部21の両方に跨がるように収容部21の上端から下側Z2に向かって切り欠かれた切り欠き部40をさらに備えている。切り欠き部40は、組立状態において吊り下げ孔30に重なる部分を切り欠かれることで形成される。
【0042】
[紙箱1の動作及び作用]
次に、紙箱1の動作及び作用について説明する。
【0043】
本実施形態において、紙箱1は、1枚のブランクシートに形成された複数の折り畳み線を所定の方向に折り畳まれて組立状態となり、1つの直方体状の箱体100と看板20とを形成する。紙箱1は、組立状態において、天面板3から上側Z1に突出した看板20を備えており、デザインスペースとして利用できる。
【0044】
差込片10は、折り畳まれる際に、図4に示すように、折り畳み線3aを回転軸として回転し、差込片10を紙箱1の内部へ入り込み、紙箱1の上側Z1の開口部1aを天面板3によって閉口しつつ、開かないように固定する。
【0045】
また、同時に差込片10の差込スリット部11は、図4及び図5に示すように、折り畳まれる際に、差込片10が背面板5と天面板3との隙間に差し込まれて背面板5に接すると同時に差込突起部51に挿通される。このとき、第一突起当接部12a及び第二突起当接部12bは、差込突起部51が差込スリット部11に背面側Y2から挿入方向である正面側Y1に挿通されると同時に正面側Y1に押し込まれて移動する。差込突起部51が差込スリット部11に対して、中央部512まで挿通されると、第一突起当接部12a及び第二突起当接部12bは、元の位置に戻る。差込突起部51は、差込スリット部11を挿通した状態で固定される。
【0046】
使用者は、例えば、差込突起部51を差込スリット部11から抜こうとすると、先端部511が第一突起当接部12a及び第二突起当接部12bに当たるため、抜くことができない。そのため、差込突起部51は、上側Z1の開口部1aを閉じた状態にしてロックすることができる。また、使用者が無理に差込突起部51を差込スリット部11から抜くと、差込突起部51の先端部511が破断してしまう。そのため、破断した痕跡が紙箱1の外観に表れることで、開封済であることがわかる。
【0047】
また、紙箱1は、組立状態において、背面側Y2の背面板5及び看板20の両方に跨って前後方向Yに貫通した吊り下げ孔30をさらに備えている。吊り下げ孔30は、陳列棚等のフックと係合して、紙箱1を吊り下げて陳列させることができる。また、吊り下げ孔30は、背面板5及び看板20に形成されているため、吊り下げた際に紙箱1の重力が吊り下げ孔30にかかっても、背面板5及び看板20に力が分散されて紙箱1を破断しにくい。
【0048】
次に、使用者が紙箱1を開封する場合には、ミシン目52に沿って切り取って開封することで容易に上側Z1を開口して、紙箱1の内部に収容された内容物を取り出すことができる。一度ミシン目52を開封すると、開封したことが一目で分かる。また、使用者は、一度ミシン目52を切り取ると、元の状態に戻すことができない。そのため、紙箱1は、いたずら防止効果を発揮することができる。なお、開封後に再封止したい場合には、使用者は、差込片10を紙箱1の内部へ入れ込んで開かないように固定させることで、再封止することができる。
【0049】
本実施形態では、差込突起部51は、看板20よりも下側Z2に配置されている。そのため、差込片10が折り畳まれる際に、差込スリット部11に入り込んで紙箱1の開封をロックすることができる。
【0050】
また、本実施形態では、差込突起部51と吊り下げ孔30とは隣り合って形成されている。そのため、製造工程において、差込突起部51と吊り下げ孔30とは、同時に形成することができ、製造工程を短縮することができる。また、差込突起部51は、吊り下げ孔30の打ち抜きの開口部分に合わせて形成することができるため、差込突起部51のための部品を備えなくてもよい。そのため、紙箱1は、全体の部品点数を削減することができる。
【0051】
また、本実施形態では、吊り下げ孔30の左右方向Xの幅L4は、差込突起部51の左右方向Xの幅L1よりも大きい。そのため、差込突起部51は、折り畳まれる際に、差込スリット部11に入り込みやすい。
【0052】
また、本実施形態では、差込スリット部11は、左右方向Xに沿って形成されており、差込スリット部11の備える第一切り込み部11aの中央部11eは、上下方向Zの上側Z1に膨らむように湾曲している。そのため、差込突起部51は、差込スリット部11に挿通される際に、差込スリット部11を押し込んで挿入しやすい。
【0053】
また、本実施形態では、差込突起部51は、上側Z1に先端部511と、先端部511よりも下側Z2に中央部512と、を備え、先端部511の前記左右方向の幅L1は、中央部512の左右方向Xの幅よりも大きい。この構成により、先端部511は、中央部512よりもと左右方向Xに飛び出した部分を形成し、先端部511を差込スリット部11に係止しやすくすることができる。
【0054】
また、本実施形態では、吊り下げ孔30の上端30aは、看板20の上下方向Zの全体高さに対して、下側Z2から上側Z1に60パーセント以上85パーセント以下の高さの位置に配置されている。具体的には、上下方向Zにおける吊り下げ孔30の上端30aから看板20の上端20bまでの高さは、3mm以上に設定されている。吊り下げ孔30の上端30aは、上記の高さの位置に設定することで、看板20全体の大きさを小さく設定して、紙箱1を吊り下げた際に、吊り下げ孔30の上側Z1に力が与えられていても、十分な強度を有することができる。
【0055】
以上、本発明の第一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0056】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について、図6から図9を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施形態は、いずれも第一実施形態と比較して差込スリット部と、背面板と、吊下げ孔とが異なっている。従って、以下の説明では、第一実施形態との相違点を中心に説明する。
【0057】
図6は、本発明の第二実施形態に係る紙箱1Aを模式的に示す展開図である。図7は、紙箱1Aを折り畳み、上側Z1が開口している状態を示す斜視図である。図8は、紙箱1Aの差込突起部51Aを折り畳み、吊り下げ孔30Aが形成された状態を示す斜視図である。
差込スリット部11Aは、図6に示すように、差込片10Aが天面板3との間に形成する折り畳み線(折り曲げ部)10Aa上に形成されている。差込スリット部11Aは、差込突起部51Aの全体の幅に対して、±2mm程度の幅に設定される。
【0058】
箱体100Aの背面板5Aは、差込突起部51Aと、ミシン目52Aと、を備えている。
【0059】
差込突起部51Aは、図6に示すように、第一実施形態と比較して、形状が異なる。差込突起部51Aは、図8に示すように、看板20に跨って形成され、差込スリット部11Aに入り込む先端部511Aと、先端部511Aと背面板5Aとを連結する基端部513Aとを備える。先端部511Aは、後述の吊り下げ孔30Aに合わせた形状となるように形成されている。先端部511Aと基端部513Aとの間には、折り畳み線51Aaが形成されている。先端部511Aの左右方向Xの幅は、基端部513Aの左右方向Xの幅よりも大きい。
【0060】
ミシン目52Aは、折り畳み線51Aaの下側Z1に形成されている。52Aは、下側Z1に膨らむように円弧状またはコの字状に形成されている。使用者(不図示)は、ミシン目52に沿って切り取ることで容易に紙箱1Aを開口できる。
【0061】
図9は、組立状態の紙箱1Aを背面側Y2から見た図である。
吊り下げ孔30Aは、第一実施形態と比較して、図6に示すように、展開状態において形成されない。吊り下げ孔30Aは、組立状態において、図7から図9に示すように、折り畳み線51Aaより上側Z1の先端部511Aが折り畳まれ、背面板5A上に開口された部分である。
【0062】
[紙箱1Aの動作及び作用]
次に、紙箱1Aの動作及び作用について説明する。
【0063】
本実施形態において、紙箱1Aは、第一実施形態と同様に、1枚のブランクシートに形成された複数の折り畳み線を所定の方向に折り畳まれて、1つの直方体状の箱体100Aと看板20とを形成する。
【0064】
差込スリット部11Aは、折り畳み線10Aa上に形成されている。折り畳み線51Aaより上側Z1の先端部511Aは、折り畳まれて差込スリット部11Aに入り込む。差込スリット部11Aは、差込突起部51Aの全体の幅に対して、±2mm程度の幅に設定される。そのため、先端部511は、差込スリット部11に差し込まれ、基端部513Aにおいて係止すると、差込スリット部11Aから抜けにくくなる。そのため、差込突起部51Aは、上側Z1の開口部1aを閉じた状態にして、ロックすることができる。
【0065】
また、差込スリット部11Aの先端部511Aが折り畳まれる際に、吊り下げ孔30Aが形成される。そのため、紙箱1Aは、第一実施形態と同様に、陳列棚等のフックと係合して、紙箱1Aを吊り下げて陳列させることができる。
【0066】
以上、本発明の第二実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0067】
(第三実施形態)
次に、本発明の第三実施形態について、図10から図12を参照して説明する。以降の説明において、既に説明したものと共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。なお、以下の実施形態は、いずれも第一実施形態と比較して吊下げ孔が異なっている。従って、以下の説明では、第一実施形態との相違点を中心に説明する。なお、本実施形態に係る差込突起部51Bの先端部511Bは、第一実施形態と比較して形状が略二等辺三角形状でなく、略ひし形形状であることを除き、第一実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0068】
図10は、本発明の第三実施形態に係る紙箱1Bを模式的に示す展開図である。図11は、紙箱1Bを折り畳み、上側Z1が開口している状態を示す斜視図である。図12は、組立状態の紙箱1Bを背面側Y2から見た図である。
【0069】
吊り下げ孔30Bは、第一実施形態と比較して、図10に示すように、展開状態において差込突起部51と隣り合っていない。吊り下げ孔30Bは、本実施形態では、看板20上に設けられている。
【0070】
吊り下げ孔30Bは、第一吊り下げ孔301Bと、第一吊り下げ孔301Bよりも上側Z1に第二吊り下げ孔302Bとを備える。第一吊り下げ孔301Bと第二吊り下げ孔302Bとは、組立状態において、図11及び図12に示すように、看板20が折り畳み線20aから折り畳まれると、両方が重なるように、大きさと形状を設定されている。第一吊り下げ孔301Bと第二吊り下げ孔302Bとは、両方が重なった組立状態において、前後方向Yに貫通した吊り下げ孔30Bを形成する。
【0071】
[紙箱1Bの動作及び作用]
次に、紙箱1Bの動作及び作用について説明する。
【0072】
本実施形態において、紙箱1Bは、第一実施形態と同様に、1枚のブランクシートに形成された複数の折り畳み線を所定の方向に折り畳まれて、1つの直方体状の箱体100Bと看板20とを形成する。
【0073】
組立状態において、第一吊り下げ孔301B及び第二吊り下げ孔302Bは、看板20が折り畳み線20aから折り畳まれると、ちょうど前後方向Yに重なり、吊り下げ孔30Bを形成する。吊り下げ孔30Bは、看板20上に設けられるため、陳列棚等のフックに紙箱1を吊り下げやすい。
【0074】
以上、本発明の第三実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の実施形態及び以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0075】
いずれの上記形態においても、本発明に係る紙箱によれば、背面側に看板を備えつつ、不正開封を抑止する紙箱を提供することができる。
【0076】
(変形例)
本発明に係る紙箱は、上述の実施形態に限定されず、例えば、箱体が球体状に丸みを帯びていてもよいし、多角柱状であってもよい。また、紙箱の天面板は、水平に形成されていなくてもよい。また、正面板と背面板と側面とは、上下方向において同程度の高さに設定されていなくてもよい。本発明に係る紙箱は、箱体の持ちやすさや、広告等の情報表示のしやすさを考慮して、任意の寸法または形状に設計することができる。
【0077】
また、発明に係る紙箱は、上述の実施形態に限定されず、複数の紙を用いて形成されていてもよい。
【0078】
また、本発明に係る紙箱の差込スリット部及び差込突起部の数は、特に限定されず、紙箱に複数設けられていてもよい。
【0079】
また、背面板の備える差込突起部の先端部の形状は、特に上述の略二等辺三角形状や略ひし形形状に限定されず、円状やトーラス状であってもよいし、多角形状に形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明に係る紙箱によれば、背面側に看板を備えつつ、不正開封を抑止する紙箱を提供することができるので産業上利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
1、1A、1B 紙箱
100、100A、100B 箱体
1a 開口部
2 正面板
3 天面板
4 側面板
41 左側面板
42 右側面板
5、5A 背面板
51、51A、51B 差込突起部
511、511A、511B 先端部
512 中央部
513、513A 基端部
52、52A ミシン目
6 底板
7 糊代片
10、10A 差込片
10a、10Aa 折り畳み線(折り曲げ部)
11、11A 差込スリット部
20 看板
21 収容部
30、30A、30B 吊り下げ孔
301B 第一吊り下げ孔
302B 第二吊り下げ孔
31 窪み
40 切り欠き部
L1 (差込突起部の)幅
L4 (吊り下げ孔の)幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12