(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033314
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
B60K 20/02 20060101AFI20240306BHJP
B60K 20/06 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B60K20/02 G
B60K20/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136828
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 誠
(72)【発明者】
【氏名】稲村 友峰
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 琢也
(72)【発明者】
【氏名】小林 耕司
【テーマコード(参考)】
3D040
【Fターム(参考)】
3D040AA01
3D040AA10
3D040AA13
3D040AA22
3D040AA40
3D040AB01
3D040AC36
3D040AD05
3D040AD15
3D040AF07
3D040AF29
(57)【要約】
【課題】シフト操作が容易なシフト装置を提供する。
【解決手段】シフト装置10では、ステアリング12に操作パネル22が配置されており、シフト操作の際、操作パネル22の操作面22Aに指Fを接触されると接触位置が検出され、接触位置を基準位置として操作面22A上に各シフト位置が設定される。また、ディスプレイ24の表示面24Aには、操作面22A上に設定された各シフト位置に対応されて、シフト位置38の各々が設定される。これにより、シフト装置10では、表示面24Aを見ながらなぞり操作を行うことで、操作面22Aを見ることなく変速機34のシフトレンジを容易に変更できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作面上において操作部が接触されることで接触位置が基準位置に設定されると共に、前記基準位置に対して複数のシフト位置の各々の相対位置が設定され、前記基準位置に接触された前記操作部が前記操作面上に接触されながら前記シフト位置の何れかに移動されることで該シフト位置が選択され、選択された前記シフト位置に応じて車両の変速機のシフトレンジが変更される操作選択手段と、
前記操作面上において前記基準位置が設定されると共に、前記シフト位置の各々の前記相対位置が設定されることで、前記操作面上の各位置に対応されて前記基準位置及び前記シフト位置の各々が表示面に表示される表示手段と、
を含むシフト装置。
【請求項2】
前記操作面上における前記基準位置は、前記変速機のシフトレンジに対応するシフト位置とされる、ことを含む請求項1に記載のシフト装置。
【請求項3】
前記操作面上における前記基準位置は、前記シフト位置の選択開始位置とされる、ことを含む請求項1に記載のシフト装置。
【請求項4】
前記基準位置に対する複数の前記シフト位置の各々は、予め設定されている順に配列される、ことを含む請求項1に記載のシフト装置。
【請求項5】
前記操作選択手段は、車両の操舵のためのステアリング体に配置されている、ことを含む請求項1に記載のシフト装置。
【請求項6】
前記表示手段は、車両の操舵のためのステアリング体に配置されている、ことを含む請求項1に記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイワイヤ方式のシフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の入力装置では、機能凹部が接触されて、自動変速機のシフトレンジが変更される。この入力装置では、変速機のシフトレンジが変更される際、機能凹部の位置が把握されて接触される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開102014009355号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事実を鑑みて成されたものであり、自動変速機のシフトレンジを変更するシフト操作が容易なシフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1の態様のシフト装置は、操作面上において操作部が接触されることで接触位置が基準位置に設定されると共に、前記基準位置に対して複数のシフト位置の各々の相対位置が設定され、前記基準位置に接触された前記操作部が前記操作面上に接触されながら前記シフト位置の何れかに移動されることで該シフト位置が選択され、選択された前記シフト位置に応じて車両の変速機のシフトレンジが変更される操作選択手段と、前記操作面上において前記基準位置が設定されると共に、前記シフト位置の各々の前記相対位置が設定されることで、前記操作面上の各位置に対応されて前記基準位置及び前記シフト位置の各々が表示面に表示される表示手段と、を含む。
【0006】
第2の態様のシフト装置は、第1の態様において、前記操作面上における前記基準位置は、前記変速機のシフトレンジに対応するシフト位置とされる、ことを含む。
【0007】
第3の態様のシフト装置は、第1の対応において、前記操作面上における前記基準位置は、前記シフト位置の選択開始位置とされる、ことを含む。
【0008】
第4の態様のシフト装置は、第1から第3の何れか1の態様において、前記基準位置に対する複数の前記シフト位置の各々は、予め設定されている順に配列される、ことを含む。
【0009】
第5の態様のシフト装置は、第1から第4の何れか1の態様において、前記操作選択手段は、車両の操舵のためのステアリング体に配置されている、ことを含む。
【0010】
第6の態様のシフト装置は、第1から第5の何れか1の態様において、前記表示手段は、車両の操舵のためのステアリング体に配置されている、ことを含む。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様のシフト装置では、選択操作手段の操作面に操作部が接触されることで、基準位置が設定されると共に、複数のシフト位置の何れかが選択可能とされ、何れかのシフト位置が選択されることで、変速機のシフトレンジが選択されたシフト位置に応じたシフトレンジに変更される。また、表示手段は、操作面に設定された基準位置及び各シフト位置を操作面上に設定された位置に対応させて表示面に表示する。
【0012】
ここで、操作選択手段は、操作部が操作面上に接触した位置を基準位置として、基準位置に対する各シフト位置の相対位置が設定される。また、表示手段は、操作面上の基準位置及び各シフト位置に対応する位置を表示面に表示する。
【0013】
これにより、表示手段の表示面を見ることで、操作部が接触している操作選択手段の操作面上の位置を把握できる。また、操作部の接触位置に応じて基準位置及び基準位置に対する各シフト位置が表示されるので、操作面に対する基準位置からの移動によりシフト位置を選択でき、変速機のシフトレンジを変更するシフト操作が容易になる。
【0014】
第2の態様のシフト装置では、操作面上における基準位置を変速機のシフトレンジに対応するシフト位置としている。これにより、変速機のシフトレンジを変更する際のシフト位置の選択を容易にできる。
【0015】
第3の態様のシフト装置では、操作面上における基準位置を、シフト位置の選択開始位置としている。これにより、変速機のシフトレンジを変更する際のシフト位置の選択を容易にできる。
【0016】
第4の態様のシフト装置では、基準位置に対する複数のシフト位置の各々の相対位置を設定する際、シフト位置の各々が予め設定されている順に配列される。これにより、基準位置に対する各シフト位置の把握が容易になり、シフト位置の選択が容易となる。
【0017】
第5の態様のシフト装置では、操作選択手段が車両の操舵のためのステアリング体に配置されている。これにより、乗員は、ステアリング体を把持する手によって効率的にシフト位置を選択できる。
【0018】
第6の態様のシフト装置では、表示手段が車両の操舵のためのステアリング体に配置されている。これにより、乗員は、視線を大きく動かすことなく、基準位置及び各シフト位置を把握できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係るシフト装置を示す概略構成図である。
【
図2】操作パネル及びディスプレイの概略構成を示す正面図である。
【
図3】(A)及び(B)は、各々操作パネルへの接触位置及びディスプレイの表示の具体例を示す正面図である。
【
図4】(A)~(C)は、各々第1実施形態に適用できるシフト位置の設定例を示す操作パネル及びディスプレイの正面図である。
【
図5】第2実施形態に係るシフト装置を示す概略構成図である。
【
図6】(A)~(C)は、各々第2実施形態に適用できるシフト位置とHP位置の設定例を示す操作パネル及びディスプレイの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1には、本発明の第1実施形態に係るシフト装置10が概略構成図にて示されている。なお、図面では、シフト装置10の右方が矢印RHにて示され、シフト装置10の上方が矢印UPにて示されている。また、図面には、シフト装置10の表側が示されている。
【0021】
図1に示すように、シフト装置10が搭載された車両には、車両の操舵(転舵輪の転舵)を担うステアバイワイヤ式のステアリング装置(図示省略)が設置されており、ステアリング装置は、車両の操舵に用いられるステアリング体としてのステアリング12を備えている。ステアリング12は、車両の運転席に着座する乗員(運転者)の車両前側に配置されている。なお、シフト装置10の上方及び右方が、車両の上方及び車幅方向右側とされている。また、シフト装置10は表側が車両後側とされている。
【0022】
ステアリング12は、乗員が左手で把持する把持部としての左側のグリップ14L、及び乗員が右手で把持する把持部としての右側のグリップ14Rを備えている。グリップ14L、14Rは各々略棒状とされており、グリップ14L、14Rは、乗員が把持し易い形状(握り易い形状)とされて、各々長手方向が略上下方向(直進操舵位置における略上下方向)とされている。
【0023】
ステアリング12は、グリップ14L、14Rがボス部16を挟んで対で配置されており、ステアリング12は、グリップ14L、14Rの各々の上部がステー部18によりボス部16に連結されている。また、ステアリング12は、グリップ14Lの下部とグリップ14Rの下部とが連結部14Aにより連結され、連結部14Aの車幅方向の中間部がボス部16の下部に連結されており、ステアリング12は、車幅方向に長い略矩形状とされた異形ステアリングとされている。なお、ステアリング12(ステアリング体)は、略矩形状に限らず、円環状であってもよく、楕円形状やD形状などのフラットボトム形状であってもよく、H形状などであってもよい。
【0024】
ステアリング装置は、ステアリングシャフト(図示省略)を備えており、ステアリングシャフトは、軸線方向が車両前後方向とされて車体に回転可能に支持されている。ステアリングシャフトの車両後端には、ステアリング12のボス部16が取付けられており、ステアリング12は、ステアリングシャフトを介して車両に回転可能に支持されている。
【0025】
これにより、ステアリング装置では、ステアリング12が右(矢印R方向)回転及び左(矢印L方向)回転されることで、転舵輪(前輪)が右方向及び左方向に転舵される。なお、ステアリング装置では、ステアリング12の回転範囲が右回転及び左回転の各々に半回転以内とされており、ステアリング装置では、乗員がステアリング12を握り替えることなく操舵可能となっている。
【0026】
このステアリング12には、ボス部16と連結部14Aとの間に配置部20が形成されており、配置部20は、車両後側の面が略平坦面などの滑らかな面とされている。
【0027】
シフト装置10は、バイワイヤ式(シフトバイワイヤ式)とされている。シフト装置10は、選択操作手段としての操作パネル22と、表示手段としてのディスプレイ24、操作パネル22、及びディスプレイ24の作動を制御するための制御手段としての制御部26を備えている。
図2には、操作パネル22及びディスプレイ24の各々が正面図にて示されている。
【0028】
ディスプレイ24には、表示媒体として略矩形状のLCD(液晶ディスプレイ)が用いられている。ディスプレイ24には、表示面24Aに各種の情報が表示され、ディスプレイ24は、シフト装置10においてインジケータとして機能する。ディスプレイ24は、インストルメントパネル等の乗員が容易に視認できる位置に取付けられている。なお、ディスプレイ24(表示手段)としては、LCDに限らず有機ELディスプレイが用いられてもよく、表示手段は、デジタル化された各種の情報を表示できればよい。
【0029】
一方、シフト装置10では、操作パネル22がステアリング12の配置部20に配置されている。なお、操作パネル22が配置される配置部20は、乗員の手が容易に届く位置であればよく、ステアリング12の下部に限らず、ボス部16に設けられてもよく、ステー部18に設けられてもよい。
【0030】
操作パネル22には、略矩形状の操作面22Aが設けられており、操作面22Aは、外形形状がディスプレイ24の表示面24Aと略相似形状とされている。なお、ディスプレイ24は、表示面24A内において操作面22Aと略相似形状となる領域が、シフト装置10についての表示領域として用いられるものであってもよい。
【0031】
操作パネル22には、静電容量式の接触センサが設けられており、操作パネル22は、操作部としての乗員の指Fの操作面22Aへの接触及び操作面22A上の指Fの接触位置(位置座標)が検知されるタッチパネルとされている。
【0032】
静電容量式の接触センサとしては、自己容量方式が適用されてもよく、相互容量方式が適用されてもよく、操作パネル22の接触センサには、相互容量方式が適用されている。
【0033】
図2に示すように、操作パネル22には、表側の面(操作面22A)に薄肉で樹脂製(絶縁性)のプレート(又はフィルム)が配置されており(図示省略)、プレートの裏面に電極としての複数の縦電極28、及び複数の横電極30が配置されている。縦電極28及び横電極30は、各々細幅とされており、縦電極28は、長手方向が上下方向とされて幅方向(左右方向)に所要の間隔で配置され、横電極30は、長手方向が左右方向とされて幅方向(上下方向)に所要の間隔で配置されている。これにより、操作パネル22には、操作面22Aに縦電極28と横電極30とが格子状に配置されている。なお、縦電極28と横電極30とは、不図示の絶縁性シートを介して重ねられている。
【0034】
一方、
図1に示すように、シフト装置10の制御部26には、コントローラ(シフトECU)32が設けられている。コントローラ32には、CPU、ROM、RAM、不揮発性のメモリ(ストレージ)等がバスによって接続されたマイクロコンピュータ、及び所要の機能回路が設けられている(いずれも図示省略)。コントローラ32では、CPUがROM及びメモリに記憶されたプログラムを読出してRAMに展開しながら実行することでプログラムに応じた機能が実現される。
【0035】
車両には、変速機(自動変速機)34が設置されている。変速機34は、変速制御ECU36により制御されてシフトレンジ(変速レンジ)がP(パーク)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ及びD(ドライブ)レンジの間で切換えられる。
【0036】
コントローラ32には、変速機34の変速制御ECU36が電気的に接続されている。また、コントローラ32には、操作パネル22及びディスプレイ24が電気的に接続されており、コントローラ32は、操作パネル22及びディスプレイ24の作動を制御する。
【0037】
コントローラ32では、格子状に配列された縦電極28及び横電極30に応じて操作面22A上にxy座標が設定されている。コントローラ32は、操作パネル22の複数の縦電極28、及び複数の横電極30の各々に生じる静電容量(静電容量の変化)を検出して、乗員の指Fが接触している操作面22A上の位置(位置座標)を検出する。
【0038】
ここで、操作パネル22の操作面22Aに乗員の指Fが接触した際、乗員の指Fに対向する(重なる)縦電極28及び横電極30の静電容量が増加すると共に、その縦電極28と横電極30との間の静電容量(寄生容量)も増加する。これにより、格子状に配列した縦電極28及び横電極30の各々の静電容量から乗員の指Fが対向する縦電極28と横電極30(の交点)を特定でき、特定した縦電極28と横電極30の位置から操作面22A上における乗員の指Fの接触位置tの位置座標(xi、yi)を特定できる。
【0039】
コントローラ32は、複数の縦電極28及び横電極30の各々の静電容量(又は静電容量に応じた電圧)を検出することで、操作面22Aに乗員の指Fが接触したか否かを検出し、指Fの接触が検出された場合に接触位置t(位置座標(xi、yi))を検出する。
【0040】
また、コントローラ32では、乗員の指Fの接触を検知すると、接触位置tを基準位置に設定すると共に、複数のシフト位置38について操作面22A上における接触位置tに対する相対位置(操作面22A上の位置座標)を設定する。
【0041】
なお、以下の説明において、操作パネル22の操作面22A上で各シフト位置38の設定は、コントローラ32内において設定するものであり、実際に操作面22A上に表示するものでは無い。また、以下の説明では、コントローラ32内で設定される操作面22A上の各シフト位置38を明瞭とするために、図面において操作面22A上に設定される各シフト位置38を二点鎖線で示している。
【0042】
複数のシフト位置38としては、変速機34のPレンジ、Rレンジ、Nレンジ及びDレンジの各々に対応されたP(パーク)位置38P、R(リバース)位置38R、N(ニュートラル)位置38N、及びD(ドライブ)位置38Dが含まれる。コントローラ32は、複数のシフト位置38の位置座標を設定する際、予め設定された順序で配列されるように設定する。
【0043】
また、コントローラ32は、複数のシフト位置38の各々の位置座標を設定する際、変速制御ECU36から変速機34における現在のシフトレンジを取得し、取得したシフトレンジに対応するシフト位置38を基準位置t(基準位置tの位置座標)に設定する。
【0044】
コントローラ32は、操作面22Aにおける接触位置t、及び接触位置tに対応するシフト位置38を含む複数のシフト位置38の各々の位置(位置座標)を設定すると、複数のシフト位置38の各々をディスプレイ24に表示する。
【0045】
コントローラ32には、操作面22A上のxy座標に対応させて、ディスプレイ24の表示面24A上にXY座標が設定されている。コントローラ32は、操作面22A上の接触位置tの座標位置(xi、yi)を表示面24Aの接触位置Tの座標位置(Xi、Yi)に変換する。また、コントローラ32は、各シフト位置38を操作面22A上の接触位置tに対する相対位置に応じて表示面24A上に設定し、各シフト位置38をディスプレイ24に表示させる。
【0046】
さらに、コントローラ32では、ディスプレイ24に表示される複数のシフト位置38において、変速機34のシフトレンジに対応するシフト位置38と他のシフト位置38とが識別可能となるようにディスプレイ24の表示(表示色)を制御する。また、コントローラ32は、変速機34において変更可能なシフトレンジに対応するシフト位置38が識別可能となるようにディスプレイ24の表示(表示色)を制御する。
【0047】
また、コントローラ32では、乗員の指Fが操作面22A上に接触されながら接触位置tから移動されるなぞり操作が行われることでシフト位置38が選択可能とされ、指Fの移動先のシフト位置38が選択される。コントローラ32は、シフト位置38の何れかが選択されると、選択されたシフト位置38に応じたシフト信号を変速制御ECU36に出力する。変速制御ECU36は、シフト信号が入力されることで、入力されたシフト信号に応じて変速機34のシフトレンジを切換える。
【0048】
次に、第1実施形態に係るシフト装置10の作用を説明する。
シフト装置10では、操作パネル22がステアリング12の配置部20に配置されており、シフト位置38を選択する際、乗員の指Fが操作パネル22の操作面22A上に接触される。
【0049】
操作パネル22の操作面22Aには、複数の縦電極28及び複数の横電極30が格子状に配列されており、コントローラ32は、縦電極28の各々について静電容量に応じた電圧Vxを検出すると共に、横電極30の各々について静電容量に応じた電圧Vy検出する。また、コントローラ32では、縦電極28の電圧Vxに対してしきい値Vxthが設定され、横電極30の電圧Vyに対してしきい値Vythが設定されており、しきい値Vxth、Vythは、各々乗員の指Fが接触していると判定可能な値(電圧)とされている。
【0050】
コントローラ32では、縦電極28の何れかにおいて検出された電圧Vxがしきい値Vxth以上(Vx≧Vxth)であり、横電極30の何れかにおいて検出された電圧Vyがしきい値Vyth以上(Vy≧Vyth)であると、その縦電極28と横電極30との交点に乗員の指Fを接触していると判定し、接触位置tを検出する。なお、乗員の指Fが接触していると判定される状態での経過時間が、所定のしきい値時間(例えば、0.5sec)以上となると、乗員の指Fが接触していると判定すればよい。
【0051】
コントローラ32は、操作面22A上に乗員の指Fの接触位置tを検出すると、操作面22A上においてシフト位置38の各々(P位置38P、R位置38R、N位置38N及びD位置38D)の位置を設定する。この際、コントローラ32は、P位置38P、R位置38R、N位置38N及びD位置38Dが予め設定された順序となるように配列する(例えば、下側から上側に向けて、この順序となるように配列する)。
【0052】
また、コントローラ32は、接触位置tが変速機34のシフトレンジに対応するシフト位置38となるように各シフト位置38の操作面22A上の位置を設定し、操作面22A上に設定した各シフト位置38に対応させて、各シフト位置をディスプレイ24の表示面24Aに表示させる。
【0053】
この際、コントローラ32は、操作面22Aにおける各シフト位置38の配置形状と、表示面24Aにおける配置形状とが略相似形状を成すように各シフト位置38を表示面24Aに表示させる。また、コントローラ32は、変速機34のシフトレンジ(現在のシフトレンジ)に対応するシフト位置38、及び車両の走行状態等に応じて変速機34において変更可能となるシフトレンジに対応するシフト位置38が各々明確になるように、表示面24Aの表示を制御する。
【0054】
また、シフト装置10では、操作面22Aに対してなぞり操作されて乗員の指Fが移動されることで、乗員の指Fの移動位置(最終的な接触位置)に対応するシフト位置38が選択される。コントローラ32は、乗員の指Fが接触位置tからなぞり操作により移動されると、移動された位置(移動が停止した指Fの接触位置)のシフト位置38を選択し、選択したシフト位置38に対応するシフト信号を変速制御ECU36に出力する。これにより、変速制御ECU36が変速機34のシフトレンジを変更することで、操作面22A上のなぞり操作により変速機34のシフトレンジが変更される。
【0055】
ここで、
図3(A)及び
図3(B)を用いて具体例を説明する。
図3(A)には、シフトレンジがNレンジにおいて、乗員が右手の指Fで操作パネル22の操作面22Aに対して上下方向の中間部より下側かつ左右方向の中間部よりも右側を接触した例における操作パネル22及びディスプレイ24が正面図にて示されている。
【0056】
図3(A)に示すように、乗員の指Fが操作面22Aに接触することで、操作面22A上には、接触位置tがN位置38Nに設定されて、下側から順にD位置38D、N位置38N、R位置38R及びP位置38Pが配列されるように設定される。これに伴って、ディスプレイ24の表示面24Aには、上下方向の中間部より下側かつ左右方向の中間部よりも右側にN位置38Nが表示されると共に、下側から順にD位置38D、N位置38N、R位置38R及びP位置38Pが表示される。また、ディスプレイ24では、N位置38Nが他のシフト位置38と異なる色とされる。
【0057】
また、乗員がシフト位置38としてP位置38Pを選択するために操作面22A上をなぞり操作して、指FをP位置38Pに移動させると、コントローラ32は、操作面22A上において指FがP位置38Pに移動したことを検出して、P位置38Pに対応するシフト信号を変速制御ECU36に出力する。変速制御ECU36は、P位置38Pに対応するシフト信号が入力されることで変速機34のシフトレンジをPレンジに変更する。これにより、シフト装置10では、操作面22A上のなぞり操作に応じて変速機34のシフトレンジを変更できる。
【0058】
また、コントローラ32は、車両の走行状態から変速機34がDレンジ以外に変更できない場合(例えば、車両が所定速度以上で前進している場合)、P位置38P及びR位置38Rが赤色などの警告色で表示するか減光して表示する。これにより、シフト装置10では、誤った変速機34のシフトレンジの切換えが行われてしまうのを抑制できる。
【0059】
図3(B)には、シフトレンジがRレンジにおいて、乗員が左手の指Fで操作パネル22の操作面22Aに対して上下方向の中間部より上側かつ左右方向の中間部よりも左側を接触した例における操作パネル22及びディスプレイ24が正面図にて示されている。
【0060】
図3(B)に示すように、乗員の指Fが操作面22Aに接触することで、操作面22A上には、接触位置tがR位置38Rに設定されて、下側から順にD位置38D、N位置38N、R位置38R及びP位置38Pが設定される。これに伴って、ディスプレイ24の表示面24Aには、上下方向の中間部より上側かつ左右方向の中間部よりも左側にR位置38Rが表示されると共に、下側から順にD位置38D、N位置38N、R位置38R及びP位置38Pが表示される。また、ディスプレイ24では、R位置38Rが他のシフト位置38と異なる色で表示される。
【0061】
また、乗員がシフト位置38としてD位置38Dを選択するために操作面22A上をなぞり操作して、指FをD位置38Dに移動させると、コントローラ32は、操作面22A上において指FがD位置38Dに移動したことを検出して、D位置38Dに対応するシフト信号を変速制御ECU36に出力する。変速制御ECU36は、D位置38Dに対応するシフト信号が入力されることで変速機34のシフトレンジをDレンジに変更する。これにより、シフト装置10では、操作面22A上のなぞり操作に応じて変速機34のシフトレンジを変更できる。
【0062】
この際、車両の走行状態から変速機34がNレンジ以外に変更できない場合(例えば、車両が所定速度以上で後進している場合)、P位置38P及びD位置38Dが赤色などの警告色で表示されるか減光されて表示される。これにより、シフト装置10では、誤った変速機34のシフトレンジの切換えが行われてしまうのを抑制できる。
【0063】
このようにシフト装置10では、操作パネル22の操作面22Aに乗員の指Fが接触されると、指Fの接触位置tを基準にして操作面22A上におけるP位置38P、R位置38R、N位置38N及びD位置38Dが設定される。この際、変速機34のシフトレンジに応じたシフト位置38が接触位置tに設定され、P位置38P、R位置38R、N位置38N及びD位置38Dが予め設定された順で配列される。また、ディスプレイ24の表示面24Aには、操作面22A上の設定に合わせてP位置38P、R位置38R、N位置38N及びD位置38Dが表示される。
【0064】
これにより、乗員は、ディスプレイ24の表示面24Aの表示から操作面22Aへの指Fが接触している位置(接触位置)を把握できると共に、現在の変速機34のシフトレンジを把握できる。また、乗員は、表示面24Aの表示から変速機34のシフトレンジを変更するための操作面22A上における指Fの移動方向を把握できるので、変速機34のシフトレンジを容易に変更できる。
【0065】
また、シフト装置10では、乗員の左右の手の何れの指Fが接触しても、接触位置tに応じて各シフト位置38がディスプレイ24の表示面24Aに表示されるので、利き手に関わらず、変速機34のシフトレンジの変更のための操作(シフト操作)が容易になる。
【0066】
さらに、シフト装置10では、ディスプレイ24の表示面24Aに予め設定されている順にシフト位置38を表示するので、シフト位置38を選択する際に、乗員に違和感が生じるのを抑制できる。
【0067】
また、シフト装置10では、操作面22A上への乗員の指Fの接触位置tを変速機34のシフトレンジに対応するシフト位置38とし、ディスプレイ24の表示面24Aに表示する際に、変速機34のシフトレンジに対応するシフト位置38を明示する。これにより、乗員は、効果的に変速機34のシフトレンジ及び指Fの操作面22Aへの接触位置tを把握できる。
【0068】
また、シフト装置10では、操作パネル22がステアリング12に配置されている。これにより、シフト装置10では、乗員がステアリング12を握っている手の移動を抑えることができて、効率的に変速機34のシフトレンジを変更できる。
【0069】
一方、複数のシフト位置38を予め設定している順で操作面22A上に設定して、表示面24Aに表示するようにした場合、変速機34のシフトレンジと操作面22A上への指Fの接触位置tによっては、複数のシフト位置38を予め設定している順に配置するのが難しくなることがある。この場合、乗員に操作面22Aの指Fの触れ直し(接触位置の変更)を促すメッセージのディスプレイ24への表示や図示しないスピーカから音声により発する等して報知するエラー処理を行うようにしてもよい。
【0070】
また、エラー処理に限らず、操作面22A上への指Fの接触位置tに合わせて、シフト位置38の配列を変更するようにしてもよい。
図4(A)、
図4(B)及び
図4(C)には、操作面22A上の接触位置tに応じたシフト位置38の配列例に係る操作パネル22及びディスプレイ24が正面図にて示されている。
【0071】
図4(A)には、変速機34のシフトレンジがNレンジにおいて、乗員の指Fが操作パネル22の操作面22Aの上部に接触した例が示されている。この場合、接触位置tにN位置38Nが設定されるように上側から下側に向けてP位置38P、R位置38R、N位置38N及びD位置38Dを順に設定しようとすると、P位置38P及びR位置38Rを操作面22A上に適切に設定するのが難しくなる。
【0072】
ここから、
図4(A)に示すように、操作面22Aから外れるP位置38Pについては設定を保留し、一部が操作面22Aに係るR位置38Rについては、領域を狭めて設定する。ディスプレイ24の表示面24Aには、操作面22A上の設定に合わせてN位置38N及びD位置38Dを表示する。また、P位置38Pについては非表示にされ、R位置38Rについては、ディスプレイ24の表示面24Aにおいて上下方向を狭めて表示される。すなわち、ドラム状の回転体の上部に表示されているようにR位置38Rを表示することで、N位置38Nの上側にR位置38Rがあり、かつ、表示面24Aの上側(表示面24Aから外れた位置)にP位置38Pが存在することが想定できる表示とする。
【0073】
これにより、D位置38Dは、指Fのなぞり操作により選択できる。また、R位置38Rを選択する場合、なぞり操作に変えて、操作面22A上への接触位置tをずらさずに(操作面22A上において)、又は接触位置tを上側に移動させながら複数回のタッチ操作(タップ操作、例えば2回のタップ操作)を行うようにする。
【0074】
このようにして各シフト位置38の設定位置を、操作面22A上で下方に移動していると見なすための処理を行うことで、R位置38Rを下方に移動させて選択可能にでき、さらに、タップ操作を繰り返すことでP位置38Pを下方に移動させて選択可能にできる。これにより、最初に指Fを操作パネル22の操作面22Aに接触させた際には、操作面22A上に適切に設定できないシフト位置38が生じても、そのシフト位置38の位置を設定できて容易に選択可能にできる。
【0075】
図4(B)には、シフトレンジがDレンジにおいて、乗員の指Fが操作パネル22の操作面22Aの上部に接触した例が示されている。この場合、接触位置tにD位置38Dが設定されるように上側から下側に向けてP位置38P、R位置38R、N位置38N及びD位置38Dを順に設定しようとすると、P位置38P、R位置38R及びN位置38Nを操作面22A上に適切に設定できない。
【0076】
ここから、
図4(B)に示すように、P位置38P、R位置38R、N位置38N及びD位置38Dを上側から下側に向けて順に設定するのではなく、逆にD位置38D、N位置38N、R位置38R及びP位置38Pの順で上側から下側に向けて設定する。
【0077】
これにより、ディスプレイ24の表示面24Aには、上側から下側に向けてD位置38D、N位置38N、R位置38R及びP位置38Pの順で表示されるので、乗員は、表示面24Aの表示を見ながら操作面22A上をなぞり操作することで、各シフト位置38の選択が可能となる。
【0078】
図4(C)には、シフトレンジがNレンジにおいて、乗員の指Fが操作パネル22の操作面22Aの下部でかつ右側部分に接触した例が示されている。この場合、接触位置tにN位置38Nが設定されるように上側から下側に向けてP位置38P、R位置38R、N位置38N及びD位置38Dを順に設定しようとすると、D位置38Dを操作面22A上に設定するのが難しくなる。
【0079】
ここから、
図4(C)に示すように、指Fの接触位置tにN位置38Nを設定し、N位置38Nから上側に向けてR位置38R及びP位置38Pを順に設定する。また、操作面22A上では、N位置38Nの左側に空きスペースがあることからN位置38Nの左側にD位置38Dを配置する。
【0080】
これにより、ディスプレイ24の表示面24Aには、接触位置Tとなる右下(下部の右側)の位置にN位置38Nが表示され、N位置38Nから上側に向けてR位置及びP位置が順に表示され、N位置38Nの左側にD位置38Dが表示される。したがって、表示面24Aの表示を見ながら操作面22A上をなぞり操作することで、各シフト位置38を容易に選択できる。
【0081】
このように、乗員の指Fの接触位置tに変速機34のシフトレンジに応じたシフト位置38を設定する場合、各シフト位置38の配置順序を予め設定した順にする際、表示及び操作方法を変えてもよく、配列方向を変化させてもよい。これにより、表示面24Aの表示を見ながら操作面22A上をなぞり操作により、各シフト位置38の選択を容易にでき、変速機34のシフトレンジの変更のためのシフト位置38の選択操作を容易にできる。
【0082】
〔第2実施形態〕
次に第2実施形態を説明する。
第2実施形態に係るシフト装置50は、基本的構成が上記第1実施形態のシフト装置10とほぼ同様とされている。
図5には、第2実施形態に係るシフト装置50が概略構成図にて示されている。なお、第2実施形態において第1実施形態と同様の機能部品については、第1実施形態と同様の符号を付与して詳細は説明を省略する。
【0083】
図5に示すように、シフト装置50は、選択操作手段としての操作パネル52と、表示手段としてのディスプレイ54と、操作パネル52及びディスプレイ54の作動を制御するための制御手段としての制御部26を備えており、制御部26には、コントローラ56が配置されている。
【0084】
第2実施形態では、シフト装置10の操作パネル22、ディスプレイ24及びコントローラ32に変えて操作パネル52、ディスプレイ54及びコントローラ56が用いられている。操作パネル52及びディスプレイ54は、各々操作パネル52及びディスプレイ24とサイズが異なる略矩形状とされており、操作パネル52及びディスプレイ54は、各々操作パネル22及びディスプレイ24と基本的機能が同様とされている。
【0085】
また、シフト装置50では、各シフト位置38の設定方法が異なり、この点において、コントローラ56がコントローラ32と異なる。なお、操作パネル52は、ステアリング12の配置部20に配置され、ディスプレイ54は、インストルメントパネル等に配置されている。
【0086】
シフト装置50のコントローラ56は、操作部としての乗員の指Fが操作パネル52の操作面52Aに接触されることで、操作面52A上の接触位置t(接触位置tの位置座標(xi、yi))を検出する。また、コントローラ56は、接触位置tに基づいて操作面52A上における各シフト位置38を設定し、これらの設定に応じて各シフト位置38をディスプレイ54の表示面54Aに表示する。この際、コントローラ56は、変速機34のシフトレンジに対応するシフト位置38と他のシフト位置38とが色や明るさが異なるように表示する。また、コントローラ56は、車両の走行状態等に基づき、変速機34において変更可能なシフトレンジに対応するシフト位置38と、変速機34において変更が禁止されるシフトレンジに対応するシフト位置38との間で色や明るさが異なるように表示する。
【0087】
ここで、コントローラ56は、基準位置としてHP(ホームポジション)を適用している。HPは、シフト操作を行う際の選択開始位置とされている。シフト装置50においてHPは、変速機34の現在のシフトレンジに対応するシフト位置38に関連付けられる。
【0088】
コントローラ56は、接触位置tを検出すると、接触位置tをHP位置58に設定する。また、コントローラ56は、操作面52A上に各シフト位置38を所定の配列で設定する。シフト装置50では、操作面52Aに配列するシフト位置38としてR位置38R、N位置38N及びD位置38Dが設定されている。シフト装置50では、シフト位置38の配列を操作面52Aの上側から下側に向けて順にR位置38R、N位置38N及びD位置38Dとしている。
【0089】
コントローラ56は、HP位置58に変速機34の現在のシフトレンジに対応するシフト位置38が隣接するように各シフト位置38を配列する。なお、シフト装置50では、変速機34のPレンジ及びNレンジに対応するシフト位置38としてN位置38Nが適用されている。また、シフト装置50には、特定シフト位置としてのP位置38Pを選択するためのP(パーキング)スイッチ(図示省略)が設置されており、シフト装置50では、Pスイッチが操作されることで、P位置38Pが操作されることでP位置38Pが選択される。
【0090】
このため、変速機34がPレンジである車両の始動時や、変速機34がNレンジにある場合、シフト位置38の配列は、HP位置58にN位置38Nが隣接され、N位置38Nの上側にR位置38Rが配置され、N位置38Nの下側にD位置38Dが配置されるように設定される。
【0091】
シフト装置50では、操作パネル52の操作面52A上で指Fを移動させるなぞり操作により、HP位置58からN位置38Nへ移動可能とされ、さらに、N位置38NからR位置38R又はD位置38Dに移動可能とされる。
図5には、なぞり操作される方向が二点鎖線の矢印にて示されている。
【0092】
これにより、シフト装置50では、HP位置58からN位置38Nに移動されることでN位置38Nが選択され、N位置38NからR位置38R又はD位置38Dの何れかを選択するシフト操作が可能となる。また、シフト装置50(コントローラ56)では、操作面52A上のなぞり操作によりN位置38Nに戻ることでN位置38Nが選択され、さらに、シフト装置50では、Pスイッチが操作されることで、P位置38Pが選択される。
【0093】
このように構成されているシフト装置50では、コントローラ56が操作面52A上に乗員の指Fの接触位置tを検出すると、操作面52A上において接触位置tをHP位置58に設定すると共に、シフト位置38の各々(R位置38R、N位置38N及びD位置38D)の位置を設定する。この際、コントローラ56は、R位置38R、N位置38N及びD位置38Dが予め設定された順序となるように配列する(例えば、下側から上側に向けて、この順序となるように配列する)。また、コントローラ56は、HP位置58に対して各シフト位置38は、左右方向(x軸方向)の一側にずれて配列されるように設定すると共に、変速機34のシフトレンジに対応するシフト位置38がHP位置58に隣接するように設定する。
【0094】
また、コントローラ56は、操作面52A上のHP位置58及びHP位置58に対する各シフト位置38の相対位置に合わせて、各シフト位置38及びHP位置58をディスプレイ54の表示面54Aに表示する。この際、コントローラ56は、接触位置tに対応する表示面54A上の位置(接触位置T)にHP位置58を配置する。
【0095】
さらに、コントローラ56では、表示面54Aに各シフト位置38を表示する際、変速機34のシフトレンジに対応するシフト位置38をHP位置58に隣接配置することで明示する。なお、コントローラ56は、変速機34において変更が禁止されるシフトレンジがあれば、そのシフトレンジに対応するシフト位置38を他のシフト位置38と区別できるように表示してもよい。
【0096】
これにより、シフト装置50では、乗員の指FによりHP位置58からN位置38Nになぞり操作されることでN位置38Nが選択され、N位置38NからR位置38R又はD位置38Dになぞり操作されることで、R位置38R又はD位置38Dが選択される。変速機34では、シフト装置50においてシフト位置38が選択されることで、選択されたシフト位置38に応じてシフトレンジが切換えられる。
【0097】
したがって、シフト装置50では、乗員が操作パネル52の操作面52A上におけるHP位置58の位置を気にすることなく、操作面52Aに指Fを接触させることができ、変速機34のシフトレンジを変更するためのシフト操作が容易になる。また、シフト装置10では、操作面52A及び表示面54Aに予め設定されている順にシフト位置38が設定されるので、現在のシフト位置38から他のシフト位置38へのシフト位置38の選択操作を容易にできる。
【0098】
したがって、シフト装置50においても、第1実施形態のシフト装置10と同様の効果を奏することができる。
【0099】
一方、第2実施形態では、シフト位置38の配列とは別にHP位置58を配置し、HP位置58に関連付けて各シフト位置38を配列した。しかしながら、HP位置58は、シフト位置38の配列中に設定されてもよい。
図6(A)、
図6(B)及び
図6(C)には、第2実施形態におけるシフト位置38及びHP位置58の配列の変形例に係る操作パネル60及びディスプレイ62が正面図にて示されている。なお、
図6(A)~
図6(C)の各々では、変速機34のシフトレンジがPレンジ又はNレンジとしている。
【0100】
図6(A)~
図6(C)に示すように、シフト位置38(R位置38R、N位置38N及びD位置38D)は、長手方向の一側から他側に向けて順に配置される。なお、操作パネル52及びディスプレイ54に変えて用いる操作パネル60及びディスプレイ62を長尺の略矩形状としており、操作パネル60及びディスプレイ62は、長手方向を上下方向(左右方向でもよい)としている。
【0101】
図6(A)に示すように、乗員の指Fが操作パネル60の操作面60Aの上下方向(長手方向)の中心部に接触した場合を示している。この場合、指Fの接触位置tにHP位置58を設定すると、HP位置58は、N位置38Nに近似する(或いは一部が重なる)位置となる。
【0102】
この場合、コントローラ56は、接触位置tにHP位置58を設定し、HP位置58の上下の各々にN位置38Nを設定する(2つのN位置38NをHP位置58の上下に設定する)。なお、2つのシフト位置38の間(R位置38RとN位置38Nの間、及びN位置38NとD位置38Dの間)、及びHP位置58とシフト位置38(N位置38N)の間の各々には、なぞり方向を示す三角記号66が設定される。三角記号66を中心とした所定範囲の領域は、シフト位置38が選択されない領域とされる。
【0103】
これにより、操作パネル60(操作面60A)に触れた指Fにより上側になぞり操作されることで、N位置38N、R位置38Rが順に選択され、変速機34のシフトレンジがNレンジ、Rレンジに順に切換えられる。また、操作パネル60に触れた指Fにより下側になぞり操作されることで、N位置38N、D位置38Dが順に選択され、変速機34のシフトレンジがNレンジ、Dレンジに順に切換えられる。
【0104】
また、
図6(B)に示すように、乗員の指Fが操作パネル60の操作面60Aの上下方向(長手方向)の中心位置よりも下側に接触した場合を示している。すなわち、指Fの接触位置tがN位置38NとD位置38Dとの間となっている状態を示している。この場合、コントローラ56は、N位置38NとD位置38Dとの間にHP位置58を設定し、HP位置58とN位置38N及びD位置38Dの各々との間が所要の間隔となるようにN位置38N及びD位置38Dの位置を設定し、同様にN位置38NとR位置38Rとの間が所要の間隔となるようにR位置38Rを設定する。
【0105】
これにより、操作パネル60に触れた指Fにより上側になぞり操作されることで、N位置38N、R位置38Rが順に選択され、変速機34のシフトレンジがNレンジ、Rレンジに順に切換えられる。また、操作パネル60に触れた指Fにより下側になぞり操作されることでD位置38Dが選択され、変速機34のシフトレンジがNレンジからDレンジに切換えられる。
【0106】
さらに、
図6(A)及び
図6(B)では、R位置38R、N位置38N及びD位置38Dの順で上側から下側に向けてシフト位置38を設定している。これに対して、
図6(C)では、R位置38R、N位置38N及びD位置38Dの順で下側から上側に向けてシフト位置38を配置している。また、
図6(C)では、乗員の指Fが操作パネル60の操作面60Aの上下方向(長手方向)の中心位置よりも上側に接触し、接触位置tがN位置38NとD位置38Dとの間となっている状態を示している。この場合、コントローラ56は、N位置38NとD位置38Dとの間にHP位置58を設定する(HP位置58の上側をD位置38Dとし、下側をN位置38Nとする)。
【0107】
これにより、操作パネル60に触れた指Fにより上側になぞり操作されることでD位置38Dが選択され、変速機34のシフトレンジがNレンジからDレンジに切換えられる。また、操作パネル60に触れた指Fにより下側になぞり操作されることで、N位置38N、R位置38Rが順に選択され、変速機34のシフトレンジがNレンジ、Rレンジに順に切換えられる。
【0108】
このように
図6(A)~
図6(C)の何れにおいても、乗員は、ディスプレイ62の表示面62Aの表示から操作面60A上における指Fの接触位置を把握でき、シフト位置38を変更(変速機34のシフトレンジを変更)する際に、いずれの方向になぞり操作すればよいかを明確に把握できて、シフト操作が容易になる。
【0109】
なお、第1実施形態のシフト装置10及び第2実施形態のシフト装置50は、クリック音やビープ(beep)音などの操作音や音声(アナウンス)などを発する発音手段、あるいは操作パネル22を加振する振動手段などの報知手段を備えてもよい。コントローラ32、52は、シフト位置38がP位置38PからR位置38Rに移動されるなどしてR位置38Rが選択された場合、R位置38Rが選択されたことを示す操作音やアナウンスを発音手段により発生させたり、加振手段により操作パネル22を振動させたりすることで、R位置38Rが選択されて変速機34のシフトレンジがRレンジに切換ることを乗員に報知してもよく、これにより、乗員は、変速機34のシフトレンジがRレンジに切換ることを的確に認識できる。また、コントローラ32、52は、シフト操作のために乗員の指Fが操作パネル22、52に触れた際、発音手段や加振手段により操作パネル22に指が触れたことを乗員に報知してもよく、これにより乗員は、指Fが操作パネル22、52に触れたこと(シフト操作できること)を確認できる。
【0110】
また、以上説明した第1実施形態及び第2実施形態では、操作パネル22とは別にディスプレイ24を設けた。しかしながら、タッチパネル式ディスプレイ等を用いて操作選択手段と表示手段とを一体にしてもよい。
【0111】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、ディスプレイ24をインストルメントパネルに配置した。しかしながら、表示手段は、ステアリング体に配置してもよく、表示手段は、操作選択手段と一体とされてステアリング体に配置されてもよい。これにより、乗員は、視線を大きく動かすことなく、操作面における操作部の接触位置及びシフト位置を容易に把握できて、変速機のシフトレンジの変更のためのシフト操作を円滑にできる。
【0112】
さらに、第1実施形態及び第2実施形態では、ステアリング12の配置部20に操作パネル22を配置した。しかしながら、操作選択手段は、ステアリング体に限らず、乗員が容易に操作できる位置に配置されればよく、インストルメントパネルに配置されてもよく、センターコンソールに配置されてもよい。
【0113】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、操作パネル22における乗員の指Fの接触位置の検出に、複数の縦電極28及び横電極30を格子状に配列し相互容量式の接触センサを適用した。しかしながら、接触位置の検出には、自己容量式の接触センサを適用してもよい。この場合、矩形状の複数の電極を操作面上に縦横(マトリックス状)に配列し、操作部の接触を検出した電極の位置を接触位置としてもよい。
【0114】
また、操作面上の操作部の接触位置の検出には、静電容量式(自己容量式又は相互容量式)に限らず、抵抗膜方式、超音波方式又は光学方式等の各種の位置検出方式を適用できる。
【符号の説明】
【0115】
10、50・・・シフト装置、12・・・ステアリング(ステアリング体)、22、52、60・・・操作パネル(選択操作検出手段)、22A、52A、60A・・・操作面、24、54、62・・・ディスプレイ(表示手段)、24A、54A、62A・・・表示面、32、56・・・コントローラ、34・・・変速機、36・・・変速制御ECU、38(38P、38R、38N、38D)・・・シフト位置、58・・・HP位置(選択開始位置)。