(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033320
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】防水板装置
(51)【国際特許分類】
E06B 5/00 20060101AFI20240306BHJP
E04H 9/14 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
E06B5/00 Z
E04H9/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136838
(22)【出願日】2022-08-30
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(71)【出願人】
【識別番号】000154288
【氏名又は名称】株式会社富士精工本社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】安立 直也
(72)【発明者】
【氏名】加藤 眞也
(72)【発明者】
【氏名】辰川 克利
【テーマコード(参考)】
2E139
2E239
【Fターム(参考)】
2E139AA08
2E139AC10
2E139AC19
2E139AC20
2E239AC04
(57)【要約】
【課題】コンパクトかつ制御性が高い防水板装置を提供する。
【解決手段】ベース3に倒伏位置と起立位置との間を上下に回動可能に枢着された防水板4と、防水板4を起立位置まで押し上げる起立機構5とを備える防水板装置1であって、起立機構5は、外部から供給された交流を直流に変換するAC/DCコンバータ60と、直流駆動のアクチュエータ51と、を備えている。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースに倒伏位置と起立位置との間を上下に回動可能に枢着された防水板と、該防水板を前記起立位置まで押し上げる起立機構とを備える防水板装置であって、
前記起立機構は、外部から供給された交流を直流に変換するAC/DCコンバータと、直流駆動のアクチュエータと、を備えていることを特徴とする防水板装置。
【請求項2】
前記AC/DCコンバータは、水密状態で前記防水板装置内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の防水板装置。
【請求項3】
外部からの配線と、前記AC/DCコンバータからの配線とが水密ボックス内で接続されていることを特徴とする請求項1に記載の防水板装置。
【請求項4】
外部からの制御信号用の配線と、前記アクチュエータからの配線とが前記水密ボックス内で接続されていることを特徴とする請求項3に記載の防水板装置。
【請求項5】
前記AC/DCコンバータと前記アクチュエータを複数セット備え、各セットは渡り配線により接続されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の防水板装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の出入口等に設置される防水板装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば洪水や集中豪雨等により想定以上の大量の水が道路に溢れた場合、家屋、ビル、地下駐車場、地下鉄等の出入口を介して建造物内に水が浸入するおそれがある。そこで、建造物内への水の浸入を防止するために、洪水時に防水板(防水扉)を起立させて建造物の出入口を閉塞することができるようにした防水板装置(防水扉装置)が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の防水板装置の起立機構は、油圧を駆動源として作動する油圧シリンダと、一端部を中心として上下に回動する防水板と、を備えている。洪水等により建物内に浸水が生じる虞がある場合には、油圧ポンプを駆動し、油圧シリンダに油を供給することで防水板を起立させる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-325621号公報(第4頁、第8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような防水板装置にあっては、防水板装置の近くに油圧ポンプや油圧回路等が必要であり、防水板装置周辺に大きな設置スペースが必要であるとともに、油圧シリンダの制御が安定しない虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、コンパクトかつ制御性が高い防水板装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の防水板装置は、
ベースに倒伏位置と起立位置との間を上下に回動可能に枢着された防水板と、該防水板を前記起立位置まで押し上げる起立機構とを備える防水板装置であって、
前記起立機構は、外部から供給された交流を直流に変換するAC/DCコンバータと、直流駆動のアクチュエータと、を備えていることを特徴としている。
この特徴によれば、AC/DCコンバータにより交流を直流に変換してアクチュエータに供給できるため、防水板装置の近くに油圧ポンプ等が必要なく、かつ直流駆動のアクチュエータにより防水板を高い精度で制御できる。また、電力損失の少ない交流を外部からアクチュエータに向けて供給することが可能であるため、防水板装置に遠方から電源を供給できるようになる。
【0008】
前記AC/DCコンバータは、水密状態で前記防水板装置内に配置されていることを特徴としている。
この特徴によれば、AC/DCコンバータを防水板装置内で保護できる。
【0009】
外部からの配線と、前記AC/DCコンバータからの配線とが水密ボックス内で接続されていることを特徴としている。
この特徴によれば、外部からの配線とAC/DCコンバータからの配線との接続部を水密に保護できる。また、異なる種類の外部からの配線を適宜AC/DCコンバータからの配線に接続できる。
【0010】
外部からの制御信号用の配線と、前記アクチュエータからの配線とが前記水密ボックス内で接続されていることを特徴としている。
この特徴によれば、制御信号用の配線とアクチュエータからの配線との接続部を水密に保護できる。また、各配線の取り回しを簡素にできる。
【0011】
前記AC/DCコンバータと前記アクチュエータを複数セット備え、各セットは渡り配線により接続されていることを特徴としている。
この特徴によれば、1つのAC/DCコンバータが故障しても残りのAC/DCコンバータとセットのアクチュエータを駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係る防水板装置における防水板が倒伏位置にあるときの平面図である。
【
図3】
図1のB-B線断面図である。説明の便宜上、奥側の部材の図示を省略している。
【
図4】防水板が起立位置にあるときの平面図である。
【
図6】
図4のD-D線断面図である。説明の便宜上、奥側の部材の図示を省略している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る防水板装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0014】
実施例に係る防水板装置につき、
図1から
図8を参照して説明する。以下においては、防水板の起立方向である屋外側(
図1の紙面上方)を前方、倒伏方向である屋内側を後方として説明する。
【0015】
図1~
図7に示すように、防水板装置1は、建造物の出入口の左右一対の柱2、2間の屋内側の床面に設置され、洪水や集中豪雨等の非常時に後記する防水板4を起立させ、柱2、2の後面に密封状に押し当てることにより、建造物内への水の浸入を防止するものである。
【0016】
防水板装置1は、床面または地中に形成された凹部内に設置されるベースとしての上面が開口する箱形金属製のケース3と、ケース3の前端部の底面に枢着された防水板4と、ケース3の底面に左右に離間して設置された電気(商用電源)を駆動源として作動する起立機構5、5、5と、起立機構5、5、5を外部から制御する制御装置C(
図10参照)と、を備えている。
【0017】
尚、本実施例では、電気を駆動源とする起立機構5が設けられる形態を例示したが、起立機構5の他に電気以外の駆動源(例えば油圧等)で作動する起立機構が設けられていてもよい。
【0018】
防水板4は、金属製の長方形の板材により形成され、その裏面(起立状態において後面)には、複数の補強材7が溶接により縦横に固着されている。防水板4は、一方の長辺が左右複数(実施例では3個)のヒンジ機構8によりケース3の前側の底面に上下方向(前後方向)に回動可能に枢着され、倒伏位置(
図1~
図3参照)と起立位置(
図4~
図6参照)との間を上下方向に回動することができる。
【0019】
倒伏状態での防水板4の前後寸法は、ケース3の前後寸法よりも所要寸法短く形成され、防水板4の後端とケース3の後壁との間に、点検等に使用されるケース3の後部空間Sにアクセス可能な開口9が形成されるようになっている。開口9は、取外し可能なカバープレート10により常時閉塞されている。なお、カバープレート10はヒンジによりケース3に開閉可能に枢着してもよい。
【0020】
防水板4が倒伏位置まで回動すると、その後端部の裏面が、ケース3の後方寄りの底面に立設された左右複数のストッパ杆11の上端に当接し、防水板4の上面と床面Fとがほぼ同一面に整合するようになっている(
図3参照)。また、防水板4が起立位置まで回動すると、防水板4の表面(前面)が左右の柱2、2の後面にシール部材(図示略)を介して密封状に圧接するとともに、下端縁がケース3の前面の設けられたシール部材(図示略)に密封状に圧接して防水性が維持されるようになっている。
【0021】
ケース3の前方寄りの内側面には、ケース3よりも若干高さの低い平面視内向きコ字状の枠部材12、12が固着され、枠部材12の下方のケース3の底面は開口されている。枠部材12、12に生コンクリートを流し込むことにより、ケース3を床面Fの基礎に固定することができる。
【0022】
起立機構5、5、5は、それぞれアクチュエータである直流駆動の電動シリンダ(電動アクチュエータ)51と、電動シリンダ51の駆動力を防水板4に伝達するリンク機構としてのアーム52と、外部から供給された交流を直流に変換するAC/DCコンバータ60と、を備えている。
【0023】
電動シリンダ51は、中空の筒状であるシリンダ513と、シリンダ513に対して前後方向に進退可能なシリンダロッド511とからなるシリンダ部材510と、モータ512とを備えている。電動シリンダ51は公知のものであり、電動シリンダ51の内部には、モータ512により回転させられる軸方向に延びるボールねじ(図示略)が収容されている。また、シリンダロッド511には、ボールねじに対し共回りが規制された状態で螺合するナット(図示略)が固定されている。モータ512によりボールねじが回転すると、ナットがボールねじに沿ってねじ送りされることにより、シリンダロッド511が進退するようになっている。電動シリンダ51を用いると、制御装置Cにより複数の電動シリンダ51を同期させて作動させることができる。
【0024】
ケース3の底面の後部側には、それぞれシリンダブラケット13がボルト止めされ、各シリンダブラケット13の左右の起立片13a、13aには、それぞれ起立機構5、5、5の電動シリンダ51の基端部(後端部)が左右方向を向く枢軸14により上下に回動可能に枢着されている。
【0025】
起立機構5のアーム52は、それぞれ左右に所定寸法離間して対向する左右一対の側板部材521、521と、左右の側板部材521の長手方向の一端部と他端部(倒伏時において前端部と後端部)同士及び一端部寄りの中間部同士を連結する左右方向を向く連結軸522とを備え、一対の側板部材521は、連結軸522により一体をなすようにユニット化されている。各アーム52の一端部と他端部の連結軸522は、側板部材521の外側方に突出し、他端部の連結軸522の左右の突出部には、移動端部である転動ローラ15、15が枢支されている。転動ローラ15,15は、防水板4の裏面に沿って相対移動する(詳細は後述する)。
【0026】
ケース3の底面の前部側には、アームブラケット16がボルト止めされ、各アームブラケット16の左右の起立片16a、16aには、それぞれ起立機構5のアーム52における一端部側の連結軸522の左右の突出部が枢支されている。これにより各アーム52は、一端部(前端部)を中心として上下に回動することができる。
【0027】
各アーム52の中間部の連結軸522の左右方向の中央部には、それぞれ起立機構5のシリンダロッド511の先端部が後述するブラケット30を介して回動可能に枢着されている。各アーム52は、電動シリンダ51の推力により一端部を中心として上向きに回動し、他端部の転動ローラ15により防水板4が押し上げられるようになる。なお、
図3及び
図6に示すように、アーム52の側板部材521には、シリンダロッド511の連結軸522が取付けられる取付孔17が複数設けてあり、防水板4の重量や大きさの違いに対応して、推力やストロークの異なるアクチュエータのシリンダロッドの枢着位置を変更できるようにしてある。
【0028】
防水板4の裏面の補強材7の左右両側部と中央部とには、それぞれ左右一対ずつのレール部材18、18とガード部材19、19とが、各起立機構5に対応して設けられている。なお、左右両側と中央の全てのレール部材18、18及びガード部材19、19は、構造並びに取付形態が同一であるため、以下、右側方のもののみ詳細に説明する。
【0029】
図5~
図7に示すように(防水板が起立した状態で説明する)、補強材7の互いに隣接する縦補強材7a、7aの裏面の上下方向の中央部には、取付基板20が溶接により固定され、この取付基板20の中央部の裏面(後面)に上下方向を向く左右一対のレール部材18、18のフランジ部18aが複数のボルト21により固定されている。また、取付基板20における左右のレール部材18を挟む左右両側には、左右一対のガード部材19、19の外向きフランジ部19a、19aが複数のボルト21により固定されている。
【0030】
レール部材18、18は、後方(防水板4の裏面方向)に突出し、それらの後端面(なお、倒伏状態において下面である。)は、アーム52の転動ローラ15、15を案内する案内面18b、18bとなっている。案内面18bは、始端から終端(
図5、
図6において上端から下端)に向けて、防水板4の裏面方向に徐々に突出する傾斜面となっている。
図6に示すように、左右の案内面(傾斜面)18b、18bの終端には、案内面18bと鈍角に交わる面により段部18cが形成されている。この段部18cには、防水板4が起立位置まで回動したとき、転動ローラ15、15が落ち込むようになっている。
【0031】
ガード部材19、19は、レール部材18、18の案内面18b、18bに沿って延び、後方に突出する側壁部19b、19bと、側壁部19b、19bの後端から左右内側に延びる規制部19c、19cを有している(
図7参照)。規制部19c、19cとレール部材18、18の案内面18b、18bとの対向面は、転動ローラ15、15が通過可能なように離間している。
【0032】
なお、ガード部材19の上下寸法はレール部材18よりも短寸とされ、規制部19cはレール部材18よりもヒンジ機構8側(起立状態の防水板4の下方側)に配置してある。詳しくは、
図5に示すように、規制部19cの始端がレール部材18の始端よりも下方に位置するようにしてある。これは、防水板4が倒伏位置にあるとき、転動ローラ15が案内面18bと規制部19cとの間に位置しないようにするためである。
【0033】
図8に示されるように、制御装置Cは、制御盤C1と操作盤C2とから構成されている。制御盤C1には、外部電源、例えば商用電源から延びる電源用配線LN1が接続されているとともに、操作盤C2から延びる制御信号用配線LN2が接続されている。
【0034】
また、制御盤C1から延びる外部からの配線としての電源用配線LN3と外部からの制御信号用の配線としての制御信号用配線LN4は、水密ボックスとしての接続ボックス50で電源用配線LN5、制御信号用配線LN6に対して電気的に着脱可能に接続されている。
【0035】
また、接続ボックス50から延びる電源用配線LN5は、各電動シリンダ51に接続されたAC/DCコンバータ60に対し渡り配線により接続されている。なお、本実施例では、渡り配線は、接続ボックス50外である形態を例示したが、接続ボックス50内であってもよい。
【0036】
また、接続ボックス50から延びる制御信号用配線LN6は、各電動シリンダ51に対し渡り配線により接続されている。
【0037】
AC/DCコンバータ60は、各電源用配線LN5から供給された商用電源である交流を直流に変換し、電動シリンダ51に供給するようになっている。
【0038】
図1、
図3、
図4、
図6に戻って、接続ボックス50およびAC/DCコンバータ60は、ケース3の後部空間S内に配置されている。尚、
図1、
図3、
図4、
図6では、電源用配線LN5および制御信号用配線LN6の図示を省略している。
【0039】
接続ボックス50は、開閉可能な水密ケース内に電源用配線LN3,LN5および制御信号用配線LN4,LN6の各端部に設けられたコネクタが固定されている。
【0040】
水密ケース内では、電源用配線LN3,LN5の各コネクタが電源用ケーブルにより接続されているとともに、制御信号用配線LN4,LN6の各コネクタが制御信号用ケーブルにより接続されている。各ケーブルの端部は各コネクタに対し着脱可能となっている。
【0041】
尚、本実施例では、水密ケース内に電源用配線LN3,LN5、制御信号用配線LN4,LN6が固定されている形態について説明したが、例えば、水密ケース内でケーブルにより接続された電源入力側コネクタ端子、電源出力側コネクタ端子、制御信号入力側コネクタ端子、制御信号出力側コネクタ端子を固定的に設け、各コネクタ端子に、電源用配線LN3,LN5および制御信号用配線LN4,LN6の各コネクタを接続するようになっていてもよい。
【0042】
また、AC/DCコンバータ60は、コンバータ本体が開閉可能な水密筐体内に収容された構造となっている。
【0043】
次に、防水板装置1の動作及び作用効果について説明する。
図1~
図3に示すように、通常時は防水板4が完全に倒伏した状態にあり、防水板4の上面と床面Fとはほぼ同一面をなしている。洪水や集中豪雨等の緊急時において建造物内への水の浸入を防止する必要が生じた場合には、制御装置Cを操作して各起立機構5を同時に作動させる。
【0044】
各起立機構5を作動させると、アーム52が一端部(前端部)を中心として徐々に上向きに回動する。そして、アーム52の他端部に枢支された転動ローラ15、15が防水板4の裏面のレール部材18、18の案内面18bに当接し、防水板4を徐々に押し上げながら下方に相対移動する。
【0045】
図4~
図6に示されるように、防水板4が起立位置まで回動すると、転動ローラ15がレール部材18の段部18cに落ち込む。
【0046】
防水板4を倒伏位置に復帰させるには、制御装置Cを操作して電動シリンダ51のモータ512を逆回転させる。すると、アーム52が後方に回動し、転動ローラ15が段部18cから離脱する。転動ローラ15はガード部材19の規制部19cに当接し、防水板4が規制部19cを介して倒伏方向に押動される。
【0047】
そして、シリンダロッド511が最小ストローク位置まで縮退すると、モータ512が自動的に停止し、防水板4は倒伏位置まで回動して停止する。
【0048】
以上説明したように、起立機構5は、外部から供給された交流を直流に変換するAC/DCコンバータ60と、直流駆動の電動シリンダ51と、を備えている。これによれば、AC/DCコンバータ60により交流を直流に変換して電動シリンダ51に供給できるため、防水板装置1の近くに油圧ポンプ等が必要なく、かつ直流駆動の電動シリンダ51により防水板4を高い精度で制御できる。また、電力損失の少ない例えば商用電源などの交流を外部から電動シリンダ51に向けて供給することが可能であるため、防水板装置1に遠方から電源を供給できるようになる。
【0049】
また、AC/DCコンバータ60は、水密状態で防水板装置1内に配置されている。具体的には、AC/DCコンバータ60は、コンバータ本体が開閉可能な水密ボックス内に収容された構造となっているため、AC/DCコンバータ60を防水板装置1内で水密に保護できる。また、AC/DCコンバータ60を電動シリンダ51の近くに配置できる。
【0050】
また、接続ボックス50およびAC/DCコンバータ60は、ケース3の後部空間Sに配置されており、開口9を介して外部からアクセス可能となっているため、接続ボックス50やAC/DCコンバータ60、周辺の配線などのメンテナンスを行いやすい。
【0051】
また、外部からの電源用配線LN3と、AC/DCコンバータ60からの電源用配線LN5と、が接続ボックス50内で接続されている。これによれば、電源用配線LN3と電源用配線LN5との接続部を水密に保護できる。
【0052】
また、接続ボックス50には、電源用配線LN3が着脱可能となっているため、電源用配線LN3以外にも適宜異なる種類の電源用配線を電源用配線LN5に接続できる。例えば、電源用配線LN3が断線したときに、新たな電源用配線に交換する作業が簡便になる。
【0053】
また、外部からの制御信号用配線LN4と、電動シリンダ51からの制御信号用配線LN6とが接続ボックス50内で接続されている。これによれば、制御信号用配線LN4と制御信号用配線LN6との接続部を水密に保護できる。
【0054】
また、接続ボックス50には、制御信号用配線LN4が着脱可能となっているため、制御信号用配線LN4以外にも適宜異なる種類の制御信号用配線を制御信号用配線LN6に接続できる。例えば、制御信号用配線LN4が断線したときに、新たな制御信号用配線に交換する作業が簡便になる。
【0055】
また、電源用配線LN3と電源用配線LN5との接続部、および制御信号用配線LN4と制御信号用配線LN6との接続部が接続ボックス50に集約されるため、各配線の取り回しを簡素にできる。
【0056】
また、AC/DCコンバータ60と電動シリンダ51を複数セット備え、各セットは渡り配線により接続されているため、1つのAC/DCコンバータ60が故障しても残りのAC/DCコンバータ60とセットの電動シリンダ51を駆動させることができる。
【0057】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内における追加や変更があっても、本発明に含まれる。
【0058】
例えば、本実施例では、AC/DCコンバータ60が防水板装置1内に配置される形態を例示したが、防水板装置1外に配置されていてもよい。
【0059】
また、前記実施例では、各電動シリンダ51にAC/DCコンバータ60が接続されている形態を例示したが、1つのAC/DCコンバータ60に複数の電動シリンダ51が接続されていてもよい。
【0060】
また、前記実施例では、複数セットの電動シリンダ51およびAC/DCコンバータ60が設けられる形態を例示したが、少なくとも1セットの電動シリンダ51およびAC/DCコンバータ60が設けられていればよい。
【0061】
また、前記実施例では、制御信号用配線LN2,LN4,LN6により電動シリンダ51に伝達される形態を例示したが、制御信号は有線に限られず、無線により電動シリンダ51に伝達されてもよい。