(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033335
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】除草剤
(51)【国際特許分類】
A01N 37/02 20060101AFI20240306BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20240306BHJP
A01N 37/10 20060101ALI20240306BHJP
A01N 37/04 20060101ALI20240306BHJP
A01N 37/06 20060101ALI20240306BHJP
A01M 21/04 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
A01N37/02
A01P13/00
A01N37/10
A01N37/04
A01N37/06
A01M21/04 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136859
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000100539
【氏名又は名称】アース製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100202430
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 千香子
(72)【発明者】
【氏名】杉山 正明
【テーマコード(参考)】
2B121
4H011
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121CC05
2B121EA25
4H011AB01
4H011BB06
4H011BC20
4H011DD03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】天然由来成分を有効成分として、根から植物を枯死させることが出来て、短期間で除草効果が得られる除草剤を提供すること。
【解決手段】下記一般式(1)または下記一般式(2)で表される脂肪酸エステルから選択される1種以上を、有効成分として含有する除草剤。
(式中、R
1は炭素数1~20の炭化水素基を示し、R
2は炭素数3の不飽和の炭化水素基を示す。)
(式中、R
3は炭素数1~18の2価の炭化水素基を示し、R
2は各々独立して炭素数3の不飽和の炭化水素基を示す。)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)または下記一般式(2)で表される脂肪酸エステルから選択される1種以上を、有効成分として含有する除草剤。
【化1】
(式中、R
1は炭素数1~20の炭化水素基を示し、R
2は炭素数3の不飽和の炭化水素基を示す。)
【化2】
(式中、R
3は炭素数1~18の2価の炭化水素基を示し、R
2は各々独立して炭素数3の不飽和の炭化水素基を示す。)
【請求項2】
前記一般式(1)または前記一般式(2)で表される脂肪酸エステルから選択される1種以上を、固体担体に担持させた請求項1に記載の除草剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の除草剤を、土壌表面若しくは土壌中に施用することを特徴とする、根から植物を枯死させる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然成分である特定の化学構造を有する脂肪酸のエステル化合物を有効成分とする除草剤及び、この除草剤を土壌表面若しくは土壌中に施用する、根から植物を枯死させる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
雑草は、その生育を制御しないと繁茂し美観を損ねるばかりでなく、土壌中の養分を吸収してしまい、雑草以外の植物(例えば、農作物や園芸植物等)が生育障害や品質低下を引き起こし大きな損害を与える。また、雑草の繁茂は、農業害虫や不快害虫等の住処を提供することになり、生活環境が悪化するなどの悪影響が懸念される。これら雑草を制御する方法として、様々な除草剤が使用されてきた。グリホサート等のアミノ酸系やベンタゾン等のスルホニルウレア系に代表される、化学合成系除草成分を含有する製剤が汎用されているが、使用者の安全志向の向上により、天然成分由来の除草剤のニーズが高まってきている。天然成分由来の除草剤として、d-リモネン(特許文献1)、酢酸(特許文献2)などが利用されている。しかし、これら天然成分由来の除草活性成分は、散布した植物の接触部位にのみ枯死反応を起こすものが多く、付着が不十分な部位から再生を生じやすく、根部まで枯死させることが難しいという問題がある。また、除草効果を高めるために有効成分量を高くすると、特有の臭いや皮膚刺激といった問題が発生するものもある。
このような状況から、雑草に対して優れた除草効果を有する、天然成分由来の薬剤の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2008-531718号公報
【特許文献2】特開平05-051302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、天然成分である特定の化学構造を有する脂肪酸のエステル化合物を有効成分として、根から植物を枯死させることが出来て、短期間で除草効果が得られる除草剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、天然成分である特定の化学構造を有する脂肪酸のエステル化合物が、根から植物を枯死させる効果を発揮し、短期間で優れた除草効果が得られることを新たに見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0006】
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.下記一般式(1)または下記一般式(2)で表される脂肪酸エステルから選択される1種以上を、有効成分として含有する除草剤。
【化1】
(式中、R
1は炭素数1~20の炭化水素基を示し、R
2は炭素数3の不飽和の炭化水素基を示す。)
【化2】
(式中、R
3は炭素数1~18の2価の炭化水素基を示し、R
2は各々独立して炭素数3の不飽和の炭化水素基を示す。)
2.前記一般式(1)または前記一般式(2)で表される脂肪酸エステルから選択される1種以上を、固体担体に担持させた1.に記載の除草剤。
3.1.または2.に記載の除草剤を、土壌表面若しくは土壌中に施用することを特徴とする、根から植物を枯死させる方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明の除草剤は、根から植物を枯死させる効果と即効的な除草効果、これら2つの優れた効果を発揮するものである。
本発明の除草剤は、有効成分を固体担体に担持させて固形製剤とすることにより、植物の根に本発明の有効成分を直接作用させることができ、より簡便に優れた除草効果を得ることができる。
また、本発明の除草剤は、除草を目的とする植物の根元周りの土壌表面や土壌中に施用することにより、ピンポイントな除草効果を得ることが出来、周囲の育成植物に対する薬害の心配がないという特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例の「除草効果確認試験5」における、3つの試験区画の試験検体処理前、処理2週間後、処理3カ月後のそれぞれを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
<一般式(1)で表される脂肪酸エステル>
本発明の除草剤の有効成分の1つは、下記一般式(1)で表される脂肪酸エステルから選択される1種以上である。
【化3】
(式中、R
1は炭素数1~20の炭化水素基を示し、R
2は炭素数3の不飽和の炭化水素基を示す。)
一般式(1)におけるR
1は、炭素数1~20の炭化水素基を示す。この炭化水素基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基の鎖式炭化水素基と、シクロアルキル基の脂環式炭化水素基を含み、鎖式炭化水素基と脂環式炭化水素基は、芳香族炭化水素基も含む炭化水素基からなる置換基を有していても良い。置換基を有する場合も、R
1の合計の炭素数は1~20の範囲である。鎖式炭化水素基の置換基としてはアルキル基が好ましく、脂環式炭化水素基の置換基としてはシクロアルキル基が好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基、1-メチル-1-プロペニル基、1-メチル-2-プロペニル基、1,2-ジメチル-1-プロペニル基、1-エチル-2-プロペニル基、3-ブテニル基、4-ペンテニル基、5-ヘキセニル基、6-ヘプテニル基、7-オクテニル基、8-ノネニル基、9-デセニル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、例えばエチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、1-メチル-2-プロピニル基、1,1-ジメチル-2-プロピニル基、1-エチル-2-プロピニル基、2-ブチニル基、4-ペンチニル基、5-ヘキシニル基、6-ヘプチニル基、7-オクチニル基、8-ノニニル基、9-デシニル基等が挙げられる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロへプチル基等が挙げられる。
一般式(1)におけるR
1としては、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基が結合した炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキル基により置換されていても良いフェニル基が結合した炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキル基が結合した炭素数3~6のシクロアルキル基が好ましく、炭素数1~7のアルキル基、炭素数2~7のアルケニル基、炭素数5、6のシクロアルキル基、炭素数5、6のシクロアルキル基が結合した炭素数1~4のアルキル基、フェニル基が結合した炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルキル基が結合した炭素数5、6のシクロアルキル基がより好ましい。
一般式(1)におけるR
2は、炭素数3の不飽和の炭化水素基を示す。中でも、アリル基、プロパルギル基が好ましく、アリル基がより好ましい。
一般式(1)で表される脂肪酸エステルとしては、例えば、酢酸アリル、ヘキサン酸アリル、ヘプタン酸アリル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、ノナン酸アリル、フェニル酢酸アリルが好適な化合物として挙げられる。
【0010】
本発明の除草剤の有効成分の1つは、下記一般式(2)で表される脂肪酸エステルから選択される1種以上である。
【化4】
(式中、R
3は炭素数1~18の2価の炭化水素基を示し、R
2は各々独立して炭素数3の不飽和の炭化水素基を示す。)
一般式(2)におけるR
3は、炭素数1~18の2価の炭化水素基を示す。この炭化水素基は、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基の鎖式炭化水素基、シクロアルキレン基の脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基を含み、2価の鎖式炭化水素基と脂環式炭化水素基は、芳香族炭化水素基も含む炭化水素基からなる置換基を有していても良い。置換基を有する場合も、R
3の合計の炭素数は1~18の範囲である。2価の鎖式炭化水素基の置換基としてはシクロアルキル基が好ましく、2価の脂環式炭化水素基の置換基としてはアルキル基が好ましい。
アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、n-プロピレン基、1-メチルエチレン基、n-ブチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、2,2-ジメチルエチレン基、n-ペンチレン基、n-へキシレン基、n-ヘプタレン基、n-オクチレン基、2-エチル-n-へキシレン基等が挙げられる。
アルケニレン基としては、例えば、エテニレン基、プロペニレン基、ブテニレン基、ペンテニレン基、へキセニレン基、ヘプテニレン基、オクテニレン基、ノネニレン基、デセニレン基等が挙げられる。
アルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、へキシニレン基、ヘプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基等が挙げられる。
シクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロへプチレン基等が挙げられる。
芳香族基としては、例えば、フェニレン基等が挙げられる。
一般式(2)におけるR
3としては、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数2~10のアルケニレン基、炭素数3~6のシクロアルキレン基、炭素数3~6シクロアルキル基が置換した炭素数1~4のアルキレン基、炭素数1~4アルキル基が置換した炭素数3~6のシクロアルキレン基、フェニレン基が好ましく、炭素数1~8のアルキレン基、炭素数2~8のアルケニレン基、炭素数5、6のシクロアルキレン基、炭素数5、6のシクロアルキル基が置換した炭素数2~4のアルキレン基、炭素数1~4アルキル基が置換した炭素数5、6のシクロアルキレン基、フェニレン基がより好ましい。
一般式(2)におけるR
2の定義及び好適な範囲は、一般式(1)におけるR
2と同じである。
一般式(2)で表される脂肪酸エステルとしては、例えば、マレイン酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、フタル酸ジアリルが好適な化合物として挙げられる。
本発明の除草剤の有効成分としては、一般式(1)、(2)で表される脂肪酸エステルを単独で含有しても良いし、1種以上を併用して含有しても良い。
【0011】
本発明の除草剤は、一般式(1)、(2)で表される脂肪酸エステルから選択される1種以上の有効成分を、そのまま施用しても良いが、製剤化されたものを施用することが好ましい。
製剤型としては、例えば油剤、乳剤、水和剤、フロアブル剤(水中懸濁剤、水中乳濁剤等)、マイクロカプセル剤、粉剤、粒剤、錠剤、液剤、スプレー剤、エアゾール剤等が挙げられる。その中でも、除草を目的とする植物の根元周りの土壌表面や土壌中に施用しやすいことから、粉剤、粒剤、錠剤等の固形製剤が本発明の除草剤の製剤型として好適である。
本発明の除草剤は、一般式(1)、(2)で表される脂肪酸エステルから選択される1種以上の有効成分を、固体担体に担持させた固形製剤とすることが好ましい。
固体担体としては、例えば、クレー、タルク、炭酸カルシウム、ベントナイト、ジークライト、セリサイト、酸性白土、珪石、石英、硫黄、ゼオライト、カオリン、珪藻土、ホワイトカーボン、活性炭、合成含水酸化珪素、セラミック、炭酸カルシウム、水和シリカ、塩化カルシウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、植物粉末(例えば小麦粉、大豆粉、おがくず、ヤシガラ等)、更には、グルコース、フルクトース、マルトース、シュークロース、ラクトース等の単糖類、二糖類、及び多糖類等が挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。また、ガラス質中空体、合成樹脂中空体、木粉、及びコルク等の水面浮遊基剤も必要に応じて併用することが出来る。これらは、1種または2種以上を併用してもよい。
本発明の除草剤を固形製剤とする場合は、本発明の有効成分を固体担体に担持させて得ることが出来る。固形製剤の中でも、人の手で目的とする場所に確実かつ簡便に施用でき、製剤の微粉の付着や吸入などが無く安全性上の問題が少ない点からも、粒剤が好適である。
【0012】
本発明における粒剤について説明すると、軽石、ゼオライト等の多孔質担体に、必要に応じて下記に示す液体担体を用いて本発明の有効成分を噴霧または含浸させて均一に吸着させた「含浸粒剤」、珪石、炭酸カルシウム等の非吸油性担体の表面に、本発明の有効成分と必要に応じて製剤用補助剤を、PVA等の結合剤を用いて被覆した「表面被覆(コーティング)粒剤」、さらに、本発明の有効成分及び固体担体と、必要に応じて製剤用補助剤を含有する混合物に、水を加えて混練して得られた混練物を造粒し、次いで、得られた造粒物を乾燥し、必要により解砕、篩分、整粒等を行うことにより得られる「押出粒剤」を挙げることができる。これらの粒剤は、押出し造粒機、転動造粒機、噴霧乾燥造粒機等にて粒状成型物とすることにより得ることができる。
本発明における粒剤に好適な粒状の固体担体としては、ベントナイト、ゼオライト、珪石、軽石等の天然鉱物を乾燥、粉砕し、篩分した粒状の担体と、あらかじめ押出造粒法により調製した本発明の有効成分を含まない空粒等が挙げられる。その固体担体は、粒径が0.1~5mmの範囲が好ましく、0.5~2mmの範囲がより好ましく、粒径が0.5~1mmの範囲のものがさらに好ましい。固体担体の粒径は、篩(メッシュ)によるふるい分けにより確認することができる。
【0013】
製剤化の際に用いられる液体担体としては、例えばアルコール類(メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール等)、エーテル類(ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、乳酸エチル等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、芳香族または脂肪族炭化水素類(キシレン、トルエン、アルキルナフタレン、フェニルキシリルエタン、ケロシン、軽油、ヘキサン、シクロヘキサン等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等)、ニトリル類(アセトニトリル、イソブチロニトリル等)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシド等)、ヘテロ環系溶剤(スルホラン、γ-ブチロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N-オクチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン)、酸アミド類(N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等)、炭酸アルキリデン類(炭酸プロピレン等)、植物油(大豆油、綿実油等)、植物精油(オレンジ油、ヒソップ油、レモン油等)、及び水が挙げられる。
水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水、ろ過処理した水、滅菌処理した水、地下水などが用いられる。
【0014】
製剤化の際に用いられる界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤を用いることができる。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマーアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル(例、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンラウレート)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリエチレングリコール脂肪酸エーテルなどが挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、例えば、硫酸アルキル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)フェニルエーテル硫酸またはポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー硫酸のナトリウム、カルシウムまたはアンモニウムの各塩;スルホン酸アルキル、ジアルキルスルホサクシネート、アルキルベンゼンスルホン酸(例、ドデシルベンゼンスルホン酸など)、モノ-またはジ-アルキルナフタレン酸スルホン酸、ナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物、リグニンスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸またはポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホサクシネートのナトリウム、カルシウム、アンモニウムまたはアルカノールアミン塩の各塩;ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレン、モノ-またはジ-アルキルフェニルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレンベンジル(またはスチリル)化フェニルエーテルホスフェート、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマーホスフェートのナトリウムまたはカルシウム塩などの各塩が挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、例えば第4級アンモニウム塩、アルキルアミン塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルオキサイドなどが挙げられる。両性界面活性剤としては、例えばアルキルベタイン、アミンオキシドなどが挙げられる。
【0015】
製剤化の際に用いられるガス状担体としては、例えばブタンガス、フロンガス、(HFO、HFC等の)代替フロン、液化石油ガス(LPG)、ジメチルエーテル、及び炭酸ガスが挙げられる。
本発明の除草剤は、製剤調製時に用いられている慣用の凍結防止剤、消泡剤、防腐剤、酸化防止剤及び増粘剤等を添加することができる。
【0016】
本発明の除草対象である雑草は、家庭菜園や花壇等の周辺に生育し、育成作物に害を与える植物として認識される。また、家屋周辺、空き地、芝生地、庭園、駐車場、墓地などに自然に生育し、その土地の美観を損ない、防災上の問題を発生させたりする植物として認識される。本発明では、これらいずれの植物も除草対象の雑草として含む。これらの雑草としては、具体的には、種子植物を挙げることができ、さらに具体的には広範囲の1年生/多年生の広葉雑草及びイネ科雑草を挙げることができる。
本発明の除草対象として代表的な雑草を以下に例示するが、これらに限定されるものではない。
広葉雑草としては、例えばアサガオ、ベルベットリーフ、ヒルガオ、シロツメクサ、タンポポ、ツボスミレ、チドメグサ、メドハギ、ヤブガラシ、セイタカアワダチソウ、アレチノギク、アメリカセンダングサ、イタドリ、イヌガラシ、イヌタデ、イヌビユ、オオイヌノフグリ、オオバコ、オナモミ、カキドオシ、カタバミ、カナムグラ、カヤツリグサ、カラスノエンドウ、ギシギシ、コニシキソウ、ジシバリ、シロザ、スカシタゴボウ、スギナ、スベリヒユ、タケニグサ、ツユクサ、ドクダミ、ナズナ、ノゲシ、ノボロギク、ノミノフスマ、ハコベ、ルリハコベ、ハハコグサ、ハマスゲ、ハルジオン、ヒメジョオン、ヒメムカシヨモギ、ブタクサ、ホトケノザ、ミミナグサ、ヤエムグラ、ヨモギ、ワルナスビ等が挙げられる。
イネ科雑草としては、例えばイヌビエ、エノコログサ、キンエノコロ、ムラサキエノコロ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウ、ニワホコリ、アキメヒシバ、メヒシバ、カゼクサ、カモガヤ(オーチャードグラス)、ススキ、スズメノヒエ、チガヤ、チカラシバ、ヨシ、ササ類が挙げられる。
中でも、キク科、シソ科、ナデシコ科、サクラソウ科に属する雑草に対する除草効果が高く、ヒメジョオン、ホトケノザ、ミミナグサ、ルリハコベに対する除草効果に優れている。
【0017】
本発明の除草剤は、除草したい場所1平方メートル当たり、一般式(1)、(2)で表される脂肪酸エステルから選択される1種以上の有効成分を、好ましくは0.5~50重量部、より好ましくは1.5~20重量部となる量で施用する。施用する時期は、雑草の発生状況に応じて適宜選択すればよい。施用頻度は、雑草の発生を確認したら、1~2週間に1回程度の頻度で施用するのがよい。施用手段は特に制限されない。
本発明の除草剤は、有効成分濃度が1~20重量%の製剤、好ましくは2~15重量%の製剤、より好ましくは3~10重量%の製剤を、除草したい場所1平方メートル当たり有効成分量が1.5~20重量部となる程度に施用することが、優れた除草効果を得るうえで好適である。
本発明の除草活性を増強する方法の適用場所、または、本発明の除草剤を使用する場所としては、家庭菜園、花壇、家屋周辺、空き地、芝生地、庭園、駐車場、墓地、樹木地、潅木地、ゴルフ場などが例示できるが、これらに制限されるものではなく、目的に応じて適宜使用することが可能である。
【実施例0018】
以下、処方例及び試験例等により、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
まず、本発明の除草剤の試験検体例を示す。なお、実施例において、特に明記しない限り、部は重量部を意味する。
【0019】
<除草効果確認試験1>
(1)試験検体
実施例1
ヘキサン酸アリル(富士フイルム和光純薬株式会社製)5重量部と、天然ゼオライトを乾燥・粉砕したもの(粒子径:0.5~1mm)を使用して、全体量を100重量部として、実施例1の除草剤試験検体を調製した。詳しくは、ゼオライトをポリ袋に入れ、ヘキサン酸アリルをゼオライトに滴下後、ポリ袋を閉じて袋ごと振ってヘキサン酸アリルをゼオライトに含侵させた。
比較例1
ノナン酸(東洋合成工業株式会社製)5重量部と、実施例1と同じゼオライトを使用して、全体量を100重量部として、比較例1の除草剤試験検体を実施例1と同様に調製した。
比較例2
塩化ナトリウム(チータムソルト社製)のみからなる、比較例2の除草剤試験検体を調製した。
比較例3
市販剤(ネコソギエースV粒剤、レインボー薬品株式会社製)を、比較例3の除草剤試験検体とした。比較例3の市販剤の有効成分は、ヘキサジノン、DBN(2,6-ジクロロベンゾニトリル)、DCMU([3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素)の3成分である。
【0020】
(2)除草効果確認試験方法
直径12cm育苗ポットに結球レタスを生育させ、地上部が約10cmの植物体を供試植物として、試験検体毎に3つ供した。
試験検体を、供試植物の地上部に触れないようにして、土壌表面に処理した。実施例1、比較例1及び比較例2は、200g/m2となるように処理し、比較例3は市販剤に記載の使用方法に従い、30g/m2処理した。処理後、試験検体を処理した土壌表面に降雨を想定して水を10mL散布して、処理後から14日間にわたり供試植物の地上部が枯死するまでの期間を確認し、「速効性」の評価として下記評価基準に従い6段階で評価し、2つの供試植物の平均の値を算出した。
また、根に対する除草効果は、経時的に根を直接観察して確認することは難しいので、地上部の葉の一部に黄変が見られはじめた段階で、供試植物の1つを土壌から引き抜いて根部の状態を確認した。供試植物は、根が枯死すると根の強度が落ちて脆くすぐに千切れる状態となり、次いで「根と地上部との接続部」が変色し、水分が抜けて細くなる事象が確認されたので、この「接続部」を観察して「根に対する効果」として下記評価基準に従い6段階で評価した。
[速効性の評価基準]
「5」:処理開始から1日以内に枯死する。
「4」:処理開始から2~3日後に枯死する。
「3」:処理開始から4~5日後に枯死する。
「2」:処理開始から6~7日後に枯死する。
「1」:処理開始から8~14日の間に枯死する。
「0」:影響なく、成長している。
[根に対する効果の評価基準]
「5」:根と地上部の接続部が完全に黒ずみ、容易に根と地上部が分離する。
「4」:根と地上部の接続部の80%以上に黒ずみが確認できるが完全には黒ずんではおらず、容易に根と地上部が分離する。
「3」:根と地上部の接続部の50%以上80%未満に黒ずみが確認でき、容易に根と地上部が分離する。
「2」:根と地上部の接続部で50%未満の黒ずみが確認でき、地上部を持ち上げると根と分離する。
「1」:根と地上部の接続部に変色が確認できるが、地上部を持ち上げても根とは分離しない。
「0」:影響が確認できない。
なお、処理後の水やりに関してはポット底部より吸水させることで行った。
実施例1、比較例1~3の「速効性の評価」と「根に対する効果の評価」の結果を、下記表1にまとめて示す。
【0021】
【0022】
表1に示すとおり、本発明の具体例であるヘキサン酸アリルを有効成分とする実施例1の除草剤は、除草活性を有することが公知であるノナン酸を有効成分とする比較例1の除草剤に比べて、「速効性」に優れた除草効果を発揮することが確認された。さらに、実施例1の除草剤は、根から供試植物を枯死させる効果に優れることも明らかとなった。
また、浸透圧ストレスにより植物体の吸水を阻害して枯死させる塩化ナトリウムを含有する比較例2や、市販剤の比較例3に比べても、本発明の具体例であるヘキサン酸アリルを有効成分とする実施例1の除草剤は、「速効性」に優れた除草効果を発揮することが確認された。この「速効性」は、根から供試植物を枯死させる作用メカニズムに起因するものと推測される。市販剤の比較例3に含まれる有効成分は、根から地上部に移行し、その後、光合成やセルロース合成などの代謝を阻害して植物を枯死させる。そのため、根に直接影響を与えて枯死させる本発明の有効成分の方が、速効性に優れる可能性が示唆された。
【0023】
<除草効果確認試験2>
(1)試験検体
上記「除草効果確認試験1」の実施例1のヘキサン酸アリルに代えて、下記表2に示した有効成分を用いて、実施例2、3及び比較例4~6の除草剤を調製し、それぞれの試験検体とした。
(2)除草効果確認試験方法
直径12cm育苗ポットにリーフレタスを生育させ、地上部の高さが約5cmの植物体を供試植物として、試験検体毎に3つ供した。
上記「除草効果確認試験1」の供試植物を代える以外は同様の方法により確認試験を行い、同じ評価基準に基づいて評価した。
実施例2、3及び比較例4~6の有効成分と、「速効性の評価」と「根に対する効果の評価」の結果を、下記表2にまとめて示す。
【0024】
【0025】
表2に示すとおり、本発明の具体例であるノナン酸アリル、ヘプタン酸アリルを有効成分とする実施例2、3の除草剤は、エステル部分が炭素数3の飽和アルキル基であるヘキサン酸プロピルや、プロピオン酸プロピルを有効成分とする比較例4、5の除草剤に比べて、「速効性」に優れた除草効果を発揮し、根から供試植物を枯死させる効果に優れることも明らかとなった。また、カルボニル基は有するもののエステル構造を有さないアリルイオノンを有効成分とする比較例6に比べても、本発明の具体例である実施例2、3は、「速効性」に優れた除草効果を発揮し、根から供試植物を枯死させる効果に優れることも確認された。
【0026】
<除草効果確認試験3>
(1)試験検体
上記「除草効果確認試験1」の実施例1のヘキサン酸アリルに代えて、酢酸アリル(実施例4)、フェニル酢酸アリル(実施例5)、アジピン酸ジアリル(実施例6)、シクロヘキサンプロピオン酸アリル(実施例7)、マレイン酸ジアリル(実施例8)、フタル酸ジアリル(実施例9)、ヘキサン酸ビニル(比較例7)を有効成分とする実施例4~9、比較例7の除草剤を調製し、それぞれを試験検体とした。
また、市販剤(草退治E粒剤、住友化学園芸株式会社製)を、比較例8の除草剤試験検体とした。比較例8の市販剤の有効成分は、ヘキサジノンとDBN(2,6-ジクロロベンゾニトリル)の2種類である。
【0027】
(2)除草効果確認試験方法
直径8cm育苗ポットにメランポジウムを生育させ、地上部が約10cmの植物体を供試植物として、試験検体毎に2つ供した。
試験検体を、供試植物の地上部に触れないようにして、土壌表面に200g/m2となるように処理した。なお、比較例8のみ市販剤に記載の使用方法に従い、30g/m2となるように処理した。処理後、試験検体を処理した土壌表面に降雨を想定して水を10mL散布して、処理後から14日間にわたり供試植物の地上部を観察し、萎れや変色等の異常が確認されるまでの期間を観測し、「速効性」の評価として下記評価基準に従い6段階で評価し、2つの供試植物の平均の値を算出した。
また、根に対する除草効果は、上記「除草効果確認試験1、2」により「根に対する除草効果」は、前述のとおり根と地上部の接続部の黒ずみにより評価可能であると判断できたので、供試植物を引き抜くことなく、地上部の葉の一部に黄変が確認された段階で、根と地上部の接続部を観察して、「根に対する効果」として下記評価基準に従い6段階で評価し、2つの供試植物の平均値を算出した。
[速効性の評価基準]
「5」:処理開始から1日以内に異常が確認される。
「4」:処理開始から2~3日後に異常が確認される。
「3」:処理開始から4~5日後に異常が確認される。
「2」:処理開始から6~7日後に異常が確認される。
「1」:処理開始から8~14日の間に異常が確認される。
「0」:影響なく、成長している。
[根に対する効果の評価基準]
「5」:根と地上部の接続部の全体に黒ずみが確認される。
「4」:根と地上部の接続部の70%以上100%未満に黒ずみが確認される。
「3」:根と地上部の接続部の40%以上70%未満に黒ずみが確認される。
「2」:根と地上部の接続部の20%以上40%未満に黒ずみが確認される。
「1」:根と地上部の接続部の20%未満に黒ずみが確認される。
「0」:根と地上部の接続部が正常であり、影響を確認されない。
なお、処理後の水やりに関してはポット底部より吸水させることで行った。
実施例1、4~9、比較例7、8の「速効性の評価」と「根に対する効果の評価」の結果を、下記表3にまとめて示す。
【0028】
【0029】
表3に示すとおり、本発明の具体例であるヘキサン酸アリル、酢酸アリル、フェニル酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、シクロヘキサンプロピオン酸アリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリルを有効成分とする実施例1、4~9の除草剤は、エステル部分が炭素数2のアルケニル基であるヘキサン酸ビニルを有効成分とする比較例7の除草剤や市販剤の比較例8に比べて、「速効性」に優れた除草効果を発揮し、根から供試植物を枯死させる効果に優れることも明らかとなった。
特に、アジピン酸ジアリル、マレイン酸ジアリルを有効成分とする実施例6、8の除草剤が、速効性や根に対する効果に優れた除草効果を発揮することが確認された。
【0030】
<除草効果確認試験4>
(1)試験検体
上記「除草効果確認試験3」と同じ、実施例1、4~9、比較例7、8の試験検体を使用した。
(2)除草効果確認試験方法
直径10cm育苗ポットにキュウリを生育させ、地上部が約20cmの植物体を供試植物として、試験検体毎に2つ供した。
試験検体を、供試植物の地上部に触れないようにして、土壌表面に200g/m2となるように処理した。なお、比較例8のみ市販剤に記載の使用方法に従い、30g/m2となるように処理した。処理後、試験検体を処理した土壌表面に降雨を想定して水を10mL散布して、処理後から14日間にわたり供試植物の地上部を観察し、萎れや変色等の異常が確認されるまでの期間を観測し「速効性」の評価として下記評価基準に従い6段階で評価し、2つの供試植物の平均の値を算出した。
また、根に対する除草効果は、上記「除草効果確認試験1、2」により、本発明の除草剤は、供試植物の根が枯死して根の強度が落ちて脆くすぐに千切れる状態になり、次いで、根と地上部の接続部は水分が抜けて細くなり、地上部を支えられなくなる状況が確認されているので、地上部の葉の一部に黄変が確認された段階で根と地上部の接続部の太さを確認し、「根に対する効果」として下記評価基準に従い2段階で評価した。
[速効性の評価基準]
「5」:処理開始から3日以内に異常が見られる。
「4」:処理開始から4~5日後に異常が見られる。
「3」:処理開始から6~7日後に異常が見られる。
「2」:処理開始から8~10日の間に異常が見られる。
「1」:処理開始から11~14日の間に異常が見られる。
「0」:影響なく、成長している。
[根に対する効果の評価基準]
「有」:根と地上部の接続部が細くなっているのが確認できる。
「無」:根と地上部の接続部が正常であり、影響を確認できない。
なお、処理後の水やりに関してはポット底部より吸水させることで行った。
【0031】
【0032】
表4に示すとおり、本発明の具体例であるヘキサン酸アリル、酢酸アリル、フェニル酢酸アリル、アジピン酸ジアリル、シクロヘキサンプロピオン酸アリル、マレイン酸ジアリル、フタル酸ジアリルを有効成分とする実施例1、4~9の除草剤は、エステル部分が炭素数2のアルケニル基であるヘキサン酸ビニルを有効成分とする比較例7の除草剤や市販剤の比較例8に比べて、「速効性」に優れた除草効果を発揮し、根から供試植物を枯死させる効果に優れることも明らかとなった。
なお、市販剤の比較例8は、キュウリ地上部に対する除草効果は確認されたものの、根に対する効果は確認されなかった。
【0033】
<除草効果確認試験5>
(1)試験検体
上記「除草効果確認試験1」と同じ、実施例1、比較例2の試験検体を使用した。
(2)除草効果確認試験方法
屋外の雑草(カタバミ、アレチノギク、ヒメジョオンなど)が繁茂する場所(兵庫県赤穂市内、2022年5~8月)を選び、雑草の繁茂状況が同じ縦50cm×横50cmの試験区画を3つ設定し、1つの試験区画は無処理区とした。その他2つの試験区画それぞれに、実施例1、比較例2の試験検体を土壌表面に200g/m
2となるように処理した。処理後、シャワーホースを用いて土壌表面がしっかり濡れるまで水を散布し、3つの試験区画の雑草の状態を約3カ月間観察し、実施例1と比較例2の試験検体を処理した試験区画の除草効果、抑草効果を確認した。
図1は、3つの試験区画の試験検体処理前、処理2週間後、処理3カ月後のそれぞれの写真である。
また、除草効果及び抑草効果は、
図1の各写真を画像解析ソフトImageJにより、各試験区画内の面積に対して雑草がどの程度の割合を占めるかを解析した。その結果を下記表5に示す。なお、
図1の各写真は、縦50cm×横50cmの試験区画と一致するものであり、実測では0.25m
2である。
【0034】
【0035】
表5に示すとおり、本発明の具体例であるヘキサン酸アリルを有効成分とする実施例1の試験検体は、屋外においても優れた除草効果が得られることが、さらに、その除草・抑草効果は3カ月間持続することも確認された。この本発明の優れた除草効果は、植物の根部を枯死させる効果に起因するものと考えられる。
また、浸透圧ストレスにより植物体の吸水を阻害して枯死させる塩化ナトリウムの比較例2に比べても、本発明の具体例である実施例1の除草剤は、優れた除草効果を発揮することが明らかとなった。
本発明の除草剤は、根から植物を枯死させる効果と即効的な除草効果、この2つの優れた効果を発揮するものである。特に、植物の根部を枯死させ得るので、高い除草効果が得られるため有用である。
また、本発明の除草剤は、除草を目的とする植物の根元周りの土壌表面や土壌中に施用することにより、ピンポイントな除草効果を得ることが出来、周囲の育成植物に対する薬害の心配がないという特徴を有する。