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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033362
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】通報設備及び非常通報システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240306BHJP
   G08B 29/06 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
G08B17/00 H
G08B29/06
G08B17/00 L
G08B17/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136898
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079359
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 進
(74)【代理人】
【識別番号】100228669
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 愛規
(72)【発明者】
【氏名】外村 賢昭
【テーマコード(参考)】
5C087
5G405
【Fターム(参考)】
5C087BB06
5C087BB07
5C087BB36
5C087CC04
5C087CC26
5C087DD04
5C087FF01
5C087FF05
5C087FF12
5C087GG08
5C087GG31
5C087GG65
5G405AA02
5G405AA06
5G405CA15
5G405CA17
5G405CA26
5G405DA17
5G405FA25
(57)【要約】      (修正有)
【課題】配線構成を簡易化した上で、操作スイッチのスイッチ端子を経由した信号回線の状態を監視可能とする非常通報システムを提供する。
【解決手段】非常通報システムにおいて、通報設備10(10-1)~10(10-3)は、スイッチ端子4010とスイッチ端子4020とを有し、所定の操作によりスイッチ端子4010とスイッチ端子4020との間を開放する常閉押圧スイッチ40と、常閉押圧スイッチ40に並列に接続されたバイパス抵抗42と、を備え、常閉押圧スイッチ40のスイッチ端子4010から内部配線41を導出すると共に、スイッチ端子4020から内部配線43を導出し、通報設備10(10-1)~10(10-3)を備え、バイパス抵抗42が並列に接続された常閉押圧スイッチ40、信号配線48、58及び内部配線41、43を直列に接続することにより、信号回線の状態を監視可能とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1スイッチ端子と第2スイッチ端子とを有し、所定の操作により前記第1スイッチ端子と前記第2スイッチ端子との間を短絡又は開放する操作スイッチと、
前記操作スイッチに並列に接続されたバイパス抵抗と、
を備え、
前記操作スイッチの第1スイッチ端子から第1配線を導出すると共に、前記操作スイッチの第2スイッチ端子から第2配線を導出し、
前記第1配線及び前記第2配線を、外部の一対の信号配線の間に直接又は間接的に接続して、前記一対の信号線の間に前記バイパス抵抗が並列接続された操作スイッチを直列に接続する信号回線を形成可能としたことを特徴とする通報設備。
【請求項2】
第1スイッチ端子と第2スイッチ端子とを有し、所定の操作により前記第1スイッチ端子と前記第2スイッチ端子との間を短絡又は開放する複数の操作スイッチと、
前記複数の操作スイッチの各々に並列に接続されたバイパス抵抗と、
を備え、
前記複数の操作スイッチの第1スイッチ端子の各々から第1配線を導出すると共に、前記複数の操作スイッチの第2スイッチ端子の各々から第2配線を導出し、
前記第1配線及び前記第2配線を、一方を前記複数の操作スイッチで異なる信号配線とし、他方を前記複数の操作スイッチで共通の信号配線とした外部の一対の信号配線の各々の間に直接又は間接的に接続して、前記一対の信号線の各々の間に前記バイパス抵抗が並列接続された複数の押圧スイッチを直列に接続する信号回線を形成可能としたことを特徴とする通報設備。
【請求項3】
請求項1又は2記載の通報設備において、
複数の接続端子を有する端子台を備え、
前記第1配線及び前記第2配線は、端子台の接続端子を介して、前記一対の信号配線の各々の間に接続されたことを特徴とする通報設備。
【請求項4】
請求項1記載の通報設備を複数設けた非常通報システムであって、
前記操作スイッチは、非常時に押される非常通報スイッチであり、
前記信号回線の状態を監視する回線監視部を備え、
前記回線監視部からの第1信号配線を、最終段の通報設備の前記第1配線又は前記第2配線の何れを除く前記第1配線及び前記第2配線に順次接続し、
前記回線監視部からの第2信号配線を、前記最終段の前記第1信号配線が接続されない前記第1配線又は前記第2配線の何れに終端抵抗を介して接続することにより、
前記バイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチ、前記第1乃至第2信号配線及び前記第1乃至第2配線を直列に接続して、前記回線監視部から前記バイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチを経由して前記回線監視部に戻る前記信号回線である非常通報回線の状態を監視可能としたことを特徴とする非常通報システム。
【請求項5】
請求項2記載の通報設備を複数設けた非常通報システムであって、
前記操作スイッチは、非常時に押される非常通報スイッチであり、
前記信号回線の状態を監視する回線監視部を備え、
前記回線監視部からの前記複数の操作スイッチで異なる第1信号配線の各々を、最終段の通報設備の前記第1配線の各々又は前記第2配線の各々の何れを除く前記第1配線の各々及び前記第2配線の各々に順次接続し、
前記回線監視部からの前記複数の操作スイッチで共通とした第2信号配線を、前記最終段の前記第1信号配線が接続されない前記第1配線の各々又は前記第2配線の各々の何れに終端抵抗を介して接続することにより、
前記複数の操作スイッチ毎に固有の前記バイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチ、前記第1信号配線及び前記第1乃至第2配線の各々と前記複数の操作スイッチで共通とした第2信号配線を直列に接続して、前記回線監視部から前記バイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチを経由して前記回線監視部に戻る前記信号回線である非常通報回線の状態を監視可能としたことを特徴とする非常通報システム。
【請求項6】
請求項4又は5記載の非常通報システムにおいて、
前記非常通報回線に流れる配線電流に基づき、前記非常通報回線の状態として、少なくとも正常、断線、操作スイッチの操作を判定することを特徴とする非常通報システム。
【請求項7】
請求項6記載の非常通報システムにおいて、
前記一対の信号線の各々の間に接続される前記バイパス抵抗の抵抗値を全ての同じ値とし、
前記非常通報回線に流れる配線電流に基づき、前記非常通報回線の状態として、更に操作スイッチが操作された通報設備の作動数を判定することを特徴とする非常通報システム。
【請求項8】
請求項6記載の非常通報システムにおいて、
前記一対の信号線の各々の間に接続される前記バイパス抵抗の抵抗値を前記通報設備毎に異なる所定の値とし、
前記非常通報回線に流れる配線電流に基づき、前記非常通報回線の状態として、更に操作スイッチが操作された通報設備の作動数及び又は操作スイッチが操作された通報設備を判定することを特徴とする非常通報システム。
【請求項9】
請求項4又は5記載の非常通報システムにおいて、
前記非常通報回線に流れる配線電流に基づき、前記非常通報回線の状態として、少なくとも配線の劣化を判定することを特徴とする非常通報システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作スイッチを備えた通報設備及び通報設備を複数備えた非常通報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高速道路や自動車専用道路などのトンネル内には、トンネル非常用設備として消火栓装置が設置されている。消火栓装置は、消火栓扉を備えた筐体内の消火栓収納部に消火用ホースと消火栓弁を含むバルブ類が収納され、消火器扉を備えた筐体内の消火器収納部に、例えば2本の消火器が収納されている。また一般的に、消火栓装置はトンネル長手方向に所定の間隔、例えば50メートル間隔で設置されている。
【0003】
また、消火栓装置と一体に設けられる非常通報装置は、赤色表示灯、発信機(手動通報装置)、消防隊が消火ポンプを起動するときに使用するポンプ起動装置、消火栓弁の操作に連動するポンプ起動連動装置、発信機が押されたことを示す応答ランプ、及びメンテナンス時等に電気室に設置される防災受信盤との間で通話を行うための電話ジャック等を備えている。
【0004】
また、トンネル非常用設備により構築される従来の非常通報システムは、防災受信盤からの信号配線にトンネル内に設置した発信機を接続し、発信機が操作された場合に発信機から防災受信盤へ発信信号として火災通報信号を送信して、防災受信盤に火災警報を出力させると共に、例えばトンネル入口の電光表示板にトンネル進入禁止を表示させている。また、従来の非常通報システムでは、防災受信盤が発信機に対する信号配線の断線監視機能を有している(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、従来の非常通報システムにあっては、防災受信盤からの信号配線の途中から分岐して複数の接続配線を導出して発信機に接続しており、接続配線は監視されていない問題がある。例えば、消火栓装置と一体に設けられる非常通報装置の発信機への配線は消火栓装置の筐体内に設けられた端子台を介して行われているが、防災受信盤から端子台までの信号配線については断線監視ができているが、端子台から発信機までの内部配線(接続配線)については断線監視ができていない。
【0006】
この問題を解決するため、押圧スイッチ(操作スイッチ)と、複数の端子を有する端子台と、を備え、押圧スイッチの一方のスイッチ端子から2つの内部配線を導出し、端子台の2つの端子に接続し、他方のスイッチ端子から他の2つの内部配線を導出し、端子台の他の2つの端子に接続した通報設備を発信機に適用して、防災受信盤からの信号配線を端子台に接続して信号配線と内部配線を直列に接続することで、防災受信盤からの信号配線だけでなく、端子台から押圧スイッチに至る内部配線も監視することができるようにしている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018-073023号公報
【特許文献2】特開2022-087053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、内部配線の監視を可能とする従来の通報設備にあっては、内部配線の断線を監視するために、操作スイッチのスイッチ端子の各々から2つの内部配線を導出して、それぞれ端子台の2つの接続端子に接続する必要があり、内部配線の数及び使用する端子台の接続端子の数が増大して配線構成が複雑となると共に、内部配線の増加により配線量が増えるため断線が発生する度合が増加する問題がある。
【0009】
また、発信機が設けられた非常通報装置と一体化した消火栓装置にあっては、発信機が備える操作スイッチ以外に、発信機の押圧操作を条件に防災受信盤からの応答信号により応答ランプを点灯させる応答点灯スイッチ(発信機の連動スイッチとなる操作スイッチ)、消防隊の押釦操作によりオンしてポンプ起動信号を送信するポンプ起動装置が備える操作スイッチ、及び消火栓弁開閉レバーの開操作によりオンしてポンプ起動信号を送信するポンプ起動連動装置が備える押圧スイッチ等の複数の操作スイッチが設けられており、これらの操作スイッチについても、防災受信盤からの信号配線だけでなく、端子台から各スイッチまでの内部配線も監視できるように必要がある。
【0010】
しかしながら、内部配線の監視を可能とする従来の通報設備にあっては、複数の操作スイッチが設けられた場合を想定しておらず、複数の操作スイッチを備える設備・装置に従来の通報設備を適用すると、操作スイッチの数に応じて、内部配線、信号配線及び使用する端子台の接続端子の数が増加し、結果として非常通報システムとしての配線構成が複雑化して設備コストが嵩むと共に、配線量の増加に伴い断線が発生する度合も高まることとなる。
【0011】
本発明は、配線構成を簡易化した上で、操作スイッチのスイッチ端子を経由した信号回線の状態を監視可能とする通報設備及び非常通報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(第1発明の通報設備)
第1発明の通報設備であって、
第1スイッチ端子と第2スイッチ端子とを有し、所定の操作により第1スイッチ端子と第2スイッチ端子との間を短絡又は開放する操作スイッチと、
操作スイッチに並列に接続されたバイパス抵抗と、
を備え、
操作スイッチの第1スイッチ端子から第1配線を導出すると共に、操作スイッチの第2スイッチ端子から第2配線を導出し、
第1配線及び第2配線を、外部の一対の信号配線の間に直接又は間接的に接続して、一対の信号線の間にバイパス抵抗が並列接続された操作スイッチを直列に接続する信号回線を形成可能としたことを特徴とすることを特徴とする。
【0013】
(複数の操作スイッチを備えた第2発明の通報設備)
第2発明の通報設備であって、
第1スイッチ端子と第2スイッチ端子とを有し、所定の操作により第1スイッチ端子と第2スイッチ端子との間を短絡又は開放する複数の操作スイッチと、
複数の操作スイッチの各々に並列に接続されたバイパス抵抗と、
を備え、
複数の操作スイッチの第1スイッチ端子の各々から第1配線を導出すると共に、複数の操作スイッチの第2スイッチ端子の各々から第2配線を導出し、
第1配線及び第2配線を、一方を複数の操作スイッチで異なる信号配線とし、他方を複数の操作スイッチで共通の信号配線とした外部の一対の信号配線の各々の間に直接又は間接的に接続して、一対の信号線の各々の間にバイパス抵抗が並列接続された複数の操作スイッチを直列に接続する信号回線を形成可能としたことを特徴とする。
【0014】
(通報設備の端子台)
複数の接続端子を有する端子台を備え、
第1配線及び第2配線は、端子台の接続端子を介して、一対の信号配線の各々の間に接続される。
【0015】
(第1発明の通報設備を複数設けた非常通報システム)
第1発明の通報設備を複数設けた非常通報システムであって、
操作スイッチは、非常時に押される非常通報スイッチであり、
信号回線の状態を監視する回線監視部を備え、
回線監視部からの第1信号配線を、最終段の通報設備の第1配線又は第2配線の何れを除く第1配線及び第2配線に順次接続し、
回線監視部からの第2信号配線を、最終段の第1信号配線が接続されない第1配線又は第2配線の何れに終端抵抗を介して接続することにより、
バイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチ、第1乃至第2信号配線及び第1乃至第2配線を直列に接続して、回線監視部からバイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチを経由して回線監視部に戻る信号回線である非常通報回線の状態を監視可能としたことを特徴とする。
【0016】
(第2発明の通報設備を複数設けた非常通報システム)
第2発明の通報設備を複数設けた非常通報システムであって、
操作スイッチは、非常時に押される非常通報スイッチであり、
信号回線の状態を監視する回線監視部を備え、
回線監視部からの複数の操作スイッチで異なる第1信号配線の各々を、最終段の通報設備の第1配線の各々又は第2配線の各々の何れを除く第1配線の各々及び第2配線の各々に順次接続し、
回線監視部からの複数の操作スイッチで共通とした第2信号配線を、最終段の第1信号配線が接続されない第1配線の各々又は第2配線の各々の何れに終端抵抗を介して接続することにより、
複数の操作スイッチ毎に固有のバイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチ、第1信号配線及び第1乃至第2配線の各々と複数の操作スイッチで共通とした第2信号配線を直列に接続して、回線監視部からバイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチを経由して回線監視部に戻る信号回線である非常通報回線の状態を監視可能としたことを特徴とする。
【0017】
(正常、断線及びスイッチ操作の判定)
非常通報回線に流れる配線電流に基づき、非常通報回線の状態として、少なくとも正常、断線、操作スイッチの操作を判定する。
【0018】
(スイッチ操作された通報設備の作動数の判定)
一対の信号線の各々の間に接続されるバイパス抵抗の抵抗値を全ての同じ値とし、
非常通報回線に流れる配線電流に基づき、非常通報回線の状態として、更に操作スイッチが操作された通報設備の作動数を判定する。
【0019】
(スイッチ操作された通報設備の判定)
一対の信号線の各々の間に接続されるバイパス抵抗の抵抗値を通報設備毎に異なる所定の値とし、
非常通報回線に流れる配線電流に基づき、非常通報回線の状態として、更に操作スイッチが操作された通報設備を判定する。
【0020】
(配線の劣化の判定)
一対の信号線の各々の間に接続されるバイパス抵抗の抵抗値を全ての同じ値とし、
非常通報回線に流れる配線電流に基づき、非常通報回線の状態として、少なくとも配線の劣化を判定する。
【発明の効果】
【0021】
(第1発明の通報設備及び非常通報システムの効果)
第1発明の通報設備及び非常通報システムによれば、外部(回線監視部)からの一対の信号配線の間にバイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチが直列に接続された信号回線を形成可能であるから、通報設備の配線を含めた信号回線の状態を監視することを可能とする。また、操作スイッチが開成状態(スイッチ端子間の開放状態、オフ状態)であれば、操作スイッチに並列に接続されるバイパス抵抗を経由し、操作スイッチが閉成状態(スイッチ端子間の短絡状態、オン状態)であれば操作スイッチを経由して配線電流が流れることから、通常時と操作スイッチが操作された場合で信号回線に流れる配線電流に変化があり、スイッチ操作を合わせて判定することを可能とする。また、1つのスイッチ端子から1つの配線を導出するだけで良く、配線構成を簡単なものとすることができる。
【0022】
(複数の操作スイッチを備えた第2発明の通報設備及び非常通報システムの効果)
第2発明の通報設備にあっては、基本的に第1発明の通報設備及び非常通報システムと同様の効果が得られるが、更に、操作スイッチの数に関わらず、第2信号回線は1種類で構成できることから、複数の操作スイッチを備えた場合でも配線構成を簡単なものとすることができる。
【0023】
(正常、断線、スイッチ操作、スイッチ操作された通報設備の作動数、スイッチ操作された通報設備及び配線の劣化の判定の効果)
また、非常通報回線に流れる配線電流の違いから、正常、断線、スイッチ操作、スイッチ操作された通報設備の作動数、スイッチ操作された通報設備及び配線の劣化等を判定することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】非常通報システムの概要を示した説明図である。
図2】消火栓装置を示した説明図である。
図3】1つの常閉押圧スイッチを備えた通報設備を複数備えた非常通報システムを示した説明図である。
図4】常常閉押圧スイッチの作動数に対応した線間抵抗と配線電流の関係を一覧形式で示した説明図である。
図5図2の消火栓装置に適用した通報設備を備えた非常通報システムを示した説明図である。
図6図5の通報設備に続く最終段に位置する通報設備を示した説明図である。
図7図3の常閉押圧スイッチを常開押圧スイッチとした非常通報システムを示した説明図である。
図8】常開押圧スイッチの作動数に対応した線間抵抗と配線電流の関係を一覧形式で示した説明図である。
図9図4の常閉押圧スイッチを常開押圧スイッチとした非常通報システムを示した説明図である。
図10図9の通報設備に続く最終段に位置する通報設備を示した説明図である。
図11図3の常閉押圧スイッチをc接点スイッチとした非常通報システムを示した説明図である。
図12図4の常閉押圧スイッチをc接点スイッチとした非常通報システムを示した説明図である。
図13図12の通報設備に続く最終段に位置する通報設備を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、本発明に係る通報設備及び非常通報システムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態により、本発明が限定されるものではない。
【0026】
[実施形態の基本的な概念]
まず、実施形態の基本的概念について説明する。実施形態は、概略的に第1スイッチ端子と第2スイッチ端子とを有し、所定の操作により第1スイッチ端子と第2スイッチ端子との間を短絡又は開放する操作スイッチと、操作スイッチに並列に接続されたバイパス抵抗と、を備えた通報設備、及び当該通報設備と信号回線の状態を監視する回線監視部を備えた非常通報システムであって、より具体的には、非常時として火災の発生時に押されて発信信号として火災通報信号を出力する発信機(手動通報装置)の押圧スイッチのような非常時に押される非常通報スイッチを備えた通報設備、上位装置として機能する防災受信盤に通報設備を接続して、防災受信盤により異常として火災を監視すると共に、回線監視部からバイパス抵抗が並列に接続された押圧スイッチを経由して回線監視部に戻る信号回線である非常通報回線の状態を監視する非常通報システムに関するものである。
【0027】
実施形態に於いて、操作スイッチは常閉式の押圧スイッチであり、例えば常閉接点(所謂b接点)を有し、操作部である押圧部を押圧操作することで接点間を開放する。また、操作スイッチは常開式の押圧スイッチでも良く、常閉式の押圧スイッチは例えば常開接点(所謂a接点)を有し、操作部である押圧部を押圧操作することで接点間を閉じて導通する。
【0028】
尚、通報設備が適用できるのは発信機に限らず、操作スイッチを備える設備、機器等であれば当該通報設備は適用し得るものである。また、回線監視部は、防災受信盤に設けられても良いし、防災受信盤とは別に設けられても良い。
【0029】
「通報設備」の実施形態は、1つの操作スイッチを備えた第1実施形態(第1発明)と、複数の操作スイッチを備えた第2実施形態(第2発明)に分けられる。
【0030】
まず、「第1実施形態(第1発明)の通報設備」は、操作スイッチの第1スイッチ端子から第1配線を導出すると共に、操作スイッチの第2スイッチ端子から第2配線を導出し、第1配線及び第2配線を、外部の一対の信号配線の間に直接又は間接的に接続して、一対の信号線の間にバイパス抵抗が並列接続された操作スイッチを直列に接続する信号回線を形成可能としたことを特徴とする。
【0031】
また、第1実施形態(第1発明)の通報設備を複数設けた非常通報システムでは、回線監視部からの第1信号配線を、最終段の通報設備の第1配線又は第2配線の何れを除く第1配線及び第2配線に順次接続し、回線監視部からの第2信号配線を、最終段の第1信号配線が接続されない第1配線又は第2配線の何れに終端抵抗を介して接続することにより、バイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチ、第1乃至第2信号配線及び第1乃至第2配線を直列に接続して、回線監視部からバイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチを経由して回線監視部に戻る信号回線である非常通報回線の状態を監視可能としている。
【0032】
ここで、「スイッチ端子」とは、実質的に操作スイッチの接点そのものを含み得る概念であり、例えば操作スイッチの接点を有する導体プレートに直接スイッチ端子が設けられていても良い。もちろん、スイッチ内部に於いて各接点と対応するスイッチ端子との間が短い配線や他の導体部品等で接続されていても良い。尚、操作スイッチは、通常時又は所定の操作がされた場合にスイッチ端子間(スイッチ端子の一方と他方の間)を導通せず、その逆の状態の場合(通常に導通しないのであれば所定の操作がされた場合)にスイッチ端子間を導通するものであれば良く、実施形態の押圧スイッチに限定されず、例えばスライドスイッチ等、各種のスイッチが適用できる。また、ロック式、ノンロック式等、各種のスイッチ方式が適用できる。
【0033】
また、「信号配線」とは、通報設備の外部から通報設備の第1、2配線に直接又は間接的に接続される配線であり、非常通報システムにあっては、回線監視部から通報設備に対して導出されるものである。ここで、「信号配線が直接的に接続される」とは、言葉の通りに、第1、2配線に信号配線が直接的に接続されることを指し、「信号配線が間接的に接続される」とは、通報設備が備える端子台の接続端子やその他の配線を介して信号配線が接続されることを指す。尚、端子台(端子台を備える端子箱)は、通報設備の内部に設けられても良いし、その外部に設けられても良い。
【0034】
そして、「信号配線」及び「配線」の各々を接続し、一対の信号線の間にバイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチを直列接続(介挿)したものを「信号回線」とし、回線監視部は当該「信号回線」の状態を監視する。また、操作スイッチが非常通報スイッチである非常通報システムは、回線監視部に接続された信号回線である「非常通報回線」の状態を監視する。つまり、「信号回線」とは、バイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチを含む「回路」を指し、「非常通報回線」とは、信号回線に対して更に回線監視部を含む「回路」を指すこととなる。
【0035】
また、回線監視部及び非常通報システムにて監視される「回線の状態」とは、信号回線又は非常通報回線を形成する配線全体の状態や介挿した操作スイッチの操作状態を含み、例えば配線全体の状態として、配線の断線、接続部の接触不良等に起因する導通不良、腐食劣化等に起因する絶縁不良、短絡等の状態を含み、操作スイッチの操作状態として、操作スイッチの操作の有無に限らず、更にその詳細として操作スイッチが操作された通報設備の作動数や、操作スイッチが操作された通報設備の情報を含み得る概念である。
【0036】
また、「初段の通報設備」とは、回線監視部との配線接続で最も近い位置となる通報設備のことであり、逆に最も遠い位置となる通報設備は「最終段の通報設備」とする。
【0037】
尚、スイッチ端子、信号配線、配線に対して「第1」又は「第2」と付しているが、これは区別するための付記しているものに過ぎず、「第○」と付されていることで発明を限定するものではない。例えば、第1実施形態の通報設備では、押圧スイッチの第1スイッチ端子から第1配線が導出され、第2スイッチ端子から第2配線が導出されるが、これは押圧スイッチの何れのスイッチ端子から1つの配線が導出され、そのスイッチ端子とは異なるスイッチ端子から異なる1つの配線が導出される全ての発明を含み、「第〇」という用語により発明が限定されるものではない。また、これは、「第2実施形態(第2発明)の通報設備(非常通報システム)」においても同様であるが、複数の実施形態において同じ名称(第1配線等)が使用されていても必ずしも同じものを指すわけではなく、各実施形態(発明)で独立した概念としている。
【0038】
続いて、複数の押圧スイッチを備える「第2実施形態(第2発明)の通報設備」は、複数の操作スイッチの第1スイッチ端子の各々から第1配線を導出すると共に、複数の操作スイッチの第2スイッチ端子の各々から第2配線を導出し、第1配線及び第2配線を、一方を複数の操作スイッチで異なる信号配線とし、他方を複数の操作スイッチで共通の信号配線とした外部の一対の信号配線の各々の間に直接又は間接的に接続して、一対の信号線の各々の間に複数の操作スイッチを直列に接続する信号回線を形成可能としたことを特徴とする。
【0039】
また、第2実施形態(第2発明)の通報設備を複数設けた非常通報システムでは、回線監視部からの複数の操作スイッチで異なる第1信号配線の各々を、最終段の通報設備の第1配線の各々又は第2配線の各々の何れを除く第1配線の各々及び第2配線の各々に順次接続し、回線監視部からの複数の操作スイッチで共通とした第2信号配線を、最終段の第1信号配線が接続されない第1配線の各々又は第2配線の各々の何れに終端抵抗を介して接続することにより、複数の操作スイッチ毎に固有のバイパス抵抗が並列に接続された操作スイッチ、第1信号配線及び第1乃至第2配線の各々と複数の操作スイッチで共通とした第2信号配線を直列に接続して、回線監視部から操作スイッチを経由して回線監視部に戻る信号回線である非常通報回線の状態を監視可能としている。
【0040】
また、非常通報システムは、非常通報回線に流れる配線電流に基づき、非常通報回線の状態として、少なくとも正常、断線、押圧スイッチの操作を判定し、更に押圧スイッチが操作された通報設備の作動数や押圧スイッチが操作された通報設備を判定するようにしても良い。
【0041】
ここで、操作スイッチが常閉式の操作スイッチであり、通報設備を3つ備える非常通報システムの場合で考えてみると、まず「正常」の場合には、終端抵抗の抵抗値により定まる配線電流が流れ、「断線」の場合には、配線電流は略ゼロとなりほとんど流れない。そして、何れの通報設備で操作スイッチが操作された場合には、その操作スイッチが開成状態となり、並列接続されているバイパス抵抗側に配線電流が流れることになり、1つのバイパス抵抗と終端抵抗の抵抗値により定まる配線電流が流れることとなる。また、2つの通報設備で操作スイッチが操作された場合には、2つのバイパス抵抗と終端抵抗の抵抗値により定まる配線電流が流れ、3つの通報設備で操作スイッチが操作された場合には、3つのバイパス抵抗と終端抵抗の抵抗値により定まる配線電流が流れることになる。
【0042】
そのため、正常の場合、1つの通報設備で操作スイッチが操作された場合、2つの通報設備で操作スイッチが操作された場合、3つの通報設備で操作スイッチが操作された場合で、異なる配線電流が流れるようにバイパス抵抗及び終端抵抗の抵抗値を調整することで、押圧スイッチが操作された通報設備の作動数を含めて、正常、断線、押圧スイッチの操作を判定することができる。
【0043】
また、更に、1つの通報設備で操作スイッチが操作された場合、2つの通報設備で操作スイッチが操作された場合については、どの通報設備で操作が行われたかを含めて場合分けすると、それぞれ3パターンが考えられる。そのため、正常の場合、1つの通報設備で操作スイッチが操作された場合、2つの通報設備で操作スイッチが操作された場合、3つの通報設備で操作スイッチが操作された場合で、異なる配線電流が流れるようにすると共に、更に1つの通報設備で操作スイッチが操作された場合及び2つの通報設備で操作スイッチが操作された場合のそれぞれ3パターンの場合について異なる配線電流が流れるように、バイパス抵抗及び終端抵抗の抵抗値を調整することで、操作スイッチが操作された通報設備についても判定することができる。また、操作スイッチが操作された通報設備を判定できるようにした場合には、必然的に押圧スイッチが操作された通報設備の作動数も判定することができる。
【0044】
以下、具体的な実施形態を説明する。以下に示す具体的な実施形態では、「操作スイッチ」は「常閉式の常閉押圧スイッチ(b接点スイッチ)」であり、「回線監視部」は「防災受信盤の1つの機能として設けられ、スイッチ操作の判定に加えて配線全体の状態として配線の断線を監視するもの」であり、防災受信盤から通報設備の端子台までの配線及び通報設備の端子台から別の通報設備の端子台までの配線を「信号配線」とし、端子台から押圧スイッチのスイッチ端子までの配線を「内部配線」とし、第2実施形態については、「通報設備」を「トンネル非常通報システムの消火栓装置」に適用した場合で説明する。さらに、その他の実施形態として「操作スイッチ」を「常開式の常開押圧スイッチ(a接点スイッチ)」、「切替スイッチ(c接点スイッチ)」とした場合について説明する。
【0045】
[実施形態の具体的内容]
実施形態の具体的内容について、以下のように分けて説明する。
a.通報設備と非常通報システムの概要
b.第1実施形態の通報設備と非常通報システム
b1.通報設備の構成
b2.非常通報システムの配線構成
b3.非常通報回線の状態監視機能と動作
b3-1.正常及び断線の判定
b3-2.スイッチ操作の判定
b3-3.スイッチ操作された通報設備の作動数の判定
c.消火栓装置に適用した第2実施形態の通報設備と非常通報システム
c1.通報設備の構成
c2.発信機が備える常閉押圧スイッチに対する構成
c3.ポンプ起動装置及びポンプ起動連動装置が備える常閉押圧スイッチに対する構成
c4.応答ランプに対応した常開押圧スイッチに対する構成
d.操作スイッチを常開押圧スイッチとした実施形態
d1.操作スイッチを常開押圧スイッチとした第1実施形態
d2.操作スイッチを常開押圧スイッチとした第2実施形態
e.操作スイッチをc接点スイッチとした実施形態
e1.操作スイッチをc接点スイッチとした第1実施形態
e2.操作スイッチをc接点スイッチとした第2実施形態
f.本発明の変形例
【0046】
[a.通報設備と非常通報システムの概要]
まず、通報設備と非常通報システムの概要について説明する。当該説明にあっては、非常通報システムの概要を示した図1、及び通報設備を適用する消火栓装置を示した図2を参照する。
【0047】
図1に示すように、非常通報システムは、信号ケーブル14により、例えばトンネル施設の電気室等に設置された上位装置として機能する防災受信盤12にトンネル内の長手方向の単位区画ごとに設置された、例えば3台の通報設備10(10-1)-10(10-3)が順次接続されている。尚、設置される通報設備の数は任意である。
【0048】
また、防災受信盤12は通報設備10(10-1)~10(10-3)に接続された信号ケーブル14の断線を、通報設備10(10-1)~10(10-3)の内部配線を含めて監視している。
【0049】
通報設備10(10-1)~10(10-3)は、少なくとも1つの常閉押圧スイッチを備え、非常時に押すと常閉押圧スイッチが開成し、防災受信盤12は、信号配線及び内部配線を含む非常通報回線(信号回線)に流れる配線電流に基づきスイッチ操作を判別して、防災受信盤12では実質的に火災通信号を受信したことに相当する動作が行われる。また、通報設備10(10-1)~10(10-3)は、例えばトンネル内に設置され、常閉押圧スイッチを備える発信機等を備える消火栓装置に適用されるものである。
【0050】
ここで、通報設備10(10-1)~10(10-3)は、自身から見て配線接続上防災受信盤12に近い通報設備を「上流側」とし、防災受信盤12から遠い通報設備を「下流側」とする。また、通報設備10(10-1)~10(10-3)の内、防災受信盤12に対して配線接続上最も近い位置に接続される通報設備10(10-1)を「初段」とし、最も遠い位置に接続される通報設備10(10-3)を「最終段」とする。
【0051】
また、信号ケーブル14には、商用交流電源を対象とする強電用の信号ケーブルと所定の直流電圧電源を対象とする弱電用の信号ケーブル等が含まれ、弱電用の信号ケーブルは1又は複数の非コモン側の信号ケーブルとコモン側の信号ケーブルで構成されるものを含む。尚、ここでの「非コモン側の信号ケーブル」とは、防災受信盤12のプラス端子に対応して配線される信号ケーブルであり、「コモン側の信号ケーブル」とは、防災受信盤12のマイナス端子に対応して配線される信号ケーブルである。
【0052】
次に図1に示した通報設備10(10-1)~(10-3)が適用される消火栓装置について説明する。図2に示すように、消火栓装置11は、内部が消火栓収納部となる筐体11aと内部が消火器収納部となる筐体11bとに分割された構造であり、筐体11a,11bの前面に化粧枠13a,13bが装着されている。
【0053】
筐体11aの化粧枠13aの扉開口部は上下に分割され、扉開口部の下側にヒンジにより下向きに開く前傾式の消火栓扉17が設置され、扉開口部の上側にヒンジにより上向きに開く保守扉18が設置され、その内部である消火栓収納部に消火用ホースと消火栓弁を含むバルブ類が収納されている。
【0054】
筐体11bの化粧枠13bの扉開口部の左側には、ヒンジにより左向きに横開きする消火器扉19が設けられ、内部である消火器収納部に、例えば2本の消火器を収納可能としている。また、消火器扉19の下側には覗き窓が設けられ、外部から消火器の有無を確認可能としている。
【0055】
化粧枠13bの扉開口部の右側には、ヒンジにより右向きに横開きする電装扉20が設けられている。電装扉20には非常通報装置を構成するものとして、例えば赤色表示灯22、発信機24及び応答ランプ26が設けられ、電装扉20の筐体11b内側には電話ジャックが設けられている。赤色表示灯22は常時点灯し、消火栓装置11の設置場所が遠方から分かるようにしている。
【0056】
発信機24は火災時に押される押釦式の常閉押圧スイッチを備え、発信機24の押釦を押込み操作すると、常閉押圧スイッチのスイッチ接点が開成し、防災受信盤12で非常通報回線(信号回線)に流れる配線電流に基づき発信機24のスイッチ操作が判別され、防災受信盤12に実質的に火災通信号を受信したことに相当する動作として、火災警報を出力させると共に、例えばトンネル入口に設置された電光表示板にトンネルへの進入禁止するための表示等の非常用設備の連動制御を行わせる。このような常閉押圧スイッチを備えた発信機24は、後の説明で明らかにする本実施形態の通報設備が適用できる箇所である。
【0057】
応答ランプ26は、防災受信盤がスイッチ操作を判別した場合に防災受信盤12から送信された応答信号により点灯する。また、応答ランプ26は、発信機24の常閉押圧スイッチに連動する応答点灯用の常開押圧スイッチを介して防災受信盤12に接続され、発信機24の常閉押圧スイッチの開成に連動した応答点灯用の常開押圧スイッチの閉成を条件に点灯するようにしている。
【0058】
筐体11aの右側はバルブ類収納部となり、外部から引き込まれた給水配管に、給水栓、消火栓弁及び自動調圧弁を介して消火用ホースが接続されている。消火栓弁は消火栓弁開閉レバーにより開閉操作され、消火栓弁開閉レバーを開操作するとポンプ起動連動装置34の常閉押圧スイッチが開成し、防災受信盤12は非常通報回線(信号回線)に流れる配線電流に基づきポンプ起動連動装置34のスイッチ操作を判別して消火ポンプ設備の起動等の制御を行う。また、保守扉18を開放した内部には消防隊が使用するポンプ起動装置32が設けられ、ポンプ起動装置32が操作されると常閉押圧スイッチが開成し、防災受信盤12は非常通報回線(信号回線)に流れる配線電流に基づきポンプ起動装置32のスイッチ操作を判別して消火ポンプ設備の起動等の制御を行う。ポンプ起動装置32の常閉押圧スイッチとポンプ起動連動装置34の常閉押圧スイッチは直列に接続され、防災受信盤12は何れか一方のスイッチ操作を判別して消火ポンプ設備の起動等の制御を行うようにしている。このような常閉押圧スイッチを備えたポンプ起動装置32及びポンプ起動連動装置34は、後の説明で明らかにする本実施形態の通報設備が適用できる箇所である。
【0059】
消火器扉19の背後となる筐体11bの内部背面には端子台を備えた端子箱25a,25bが配置されている。端子箱25aの端子台には、防災受信盤からの強電用の信号ケーブル(信号配線)が接続されると共に、赤色表示灯22に対しての内部配線が接続されている。
【0060】
また、端子箱25bの端子台には、防災受信盤からの弱電用の信号ケーブル(信号配線)が接続されると共に、発信機24、応答ランプ26、電話ジャック、ポンプ起動装置32及びポンプ起動連動装置34に対しての内部配線が接続されている。
【0061】
[b.第1実施形態の通報設備と非常通報システム]
続いて、1つの常閉押圧スイッチを備えた第1実施形態の通報設備と非常通報システムについて説明する。当該説明にあっては、1つの常閉押圧スイッチを備えた通報設備を複数備えた非常通報システムを示した図3、及び常閉押圧スイッチの作動数に対応した線間抵抗と配線電流の関係を一覧形式で示した図4を参照する。尚、図4(A)に常閉押圧スイッチの作動数に対応した線間抵抗と配線電流の関係を示し、図4(B)にその一例を示している。
【0062】
(b1.通報設備の構成)
通報設備の構成について説明する。通報設備10(10-1)は、常閉押圧スイッチ40、バイパス抵抗42及び端子台44を備える。常閉押圧スイッチ40は、通常時はスイッチ接点を図示のように閉成し、押された際にスイッチ接点を開成する「b接点スイッチ」であり、2つのスイッチ端子4010,4020を有し、図2の発信機24、ポンプ起動装置32及びポンプ起動連動装置34の常閉押圧スイッチに適用できる。
【0063】
バイパス抵抗42は、常閉押圧スイッチ40の2つのスイッチ端子4010,4020の間に、常閉押圧スイッチ40と並列となるように接続され、所定の抵抗値R1を有する。端子台44は、複数の接続端子を有するが、その内の2つの接続端子4410,4420が使用される。
【0064】
通報設備10(10-1)の配線構成は、常閉押圧スイッチ40のスイッチ端子4010と端子台44の接続端子4410の間を内部配線41で接続し、常閉押圧スイッチ40のスイッチ端子4020と端子台44の接続端子4420の間を内部配線43で接続している。また、端子台44の接続端子4410、4220には信号配線48が接続されることとなる。
【0065】
通報設備10(10-2)~(10-3)についても基本的に通報設備10(10-1)と同様となるが、最終段の通報設備10(10-3)については、端子台44の接続端子4220に信号配線48が接続されない点、端子台の接続端子4230を使用して、端子台44の接続端子4220と接続端子4230の間に断線監視のための終端抵抗46を接続している点、接続端子4230に信号配線50が接続される点で異なる。ここで、終端抵抗46は所定の抵抗値R0を有する。
【0066】
(b2.非常通報システムの配線構成)
次に、図3の通報設備10(10-1)~(10-3)を備えた非常通報システムの配線構成について説明する。信号配線48を、防災受信盤12のプラス端子と通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4410、通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4420と通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4410との間、通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4420と通報設備10(10-3)の端子台44の接続端子4410との間に接続し、信号配線50を、防災受信盤12のマイナス端子と通報設備10(10-3)の端子台44の接続端子4430との間に接続する。
【0067】
これにより、防災受信盤12のプラス端子からマイナス端子までの間で、信号配線48、50、内部配線41、43及びバイパス抵抗42が並列接続された常閉押圧スイッチ40が、通報設備10(10-3)の終端抵抗46を介して直列に接続されることとなる。
【0068】
(b3.非常通報回線の状態監視機能と動作)
次に、図3の非常通報回線(信号回線)の状態監視機能と動作について説明する。通報設備10(10-1)~10(10-3)の各々に設けられたバイパス抵抗42の抵抗値R1の抵抗値及び終端抵抗46の抵抗値R0は任意であるが、バイパス抵抗42の抵抗値は全て同じ抵抗値としてR1=60kΩとし、終端抵抗の抵抗値はR0=24kΩとして説明する。
【0069】
(b3-1.正常及び断線の判定)
まず、防災受信盤12による正常及び断線の判定について説明する。通常時、通報設備10(10-1)~10(10-3)の常閉押圧スイッチ40は全て閉成していることから、バイパス抵抗42が並列接続された常閉押圧スイッチ40のスイッチ端子4010とスイッチ端子4020との間は短絡状態であり、防災受信盤12のプラス端子とマイナス端子との間の抵抗値は、終端抵抗46の抵抗値R0(=24kΩ)となっている。ここで、防災受信盤12がプラス端子とマイナス端子との間に監視電圧として直流48ボルトの電圧Vを印加したとすると、通常時に防災受信盤12のプラス端子とマイナス端子との間には配線電流I(=V/R0)として2.00mA(=48V/24kΩ)の配線電流が流れることとなる。
【0070】
これに対して、信号配線48、50及び通報設備10(10-1)~10(10-3)の内部配線41、43、の何れかで断線が発生した場合には、防災受信盤12のプラス端子とマイナス端子と間には配線電流Iが流れなくなる。
【0071】
このため、通常時に流れる配線電流2.00mAを基準電流Ir0とし、防災受信盤12は、プラス端子とマイナス端子との間に流れる配線電流Iを検出し、検出した配線電流Iが基準電流Ir0又は基準電流Ir0に対して所定の範囲内、例えば基準電流Ir0を中心に所定の電流幅±ΔIとなる電流範囲Ir01(=Ir0-ΔI)~Ir02(=Ir0+ΔI)に入っている場合には、信号配線48,50及び通報設備10(10-1)~10(10-3)の内部配線を含む非常通報回線(信号回線)の状態は正常と判定すると共に、通報設備10(10-1)~10(10-3)の常閉押圧スイッチ40の何れも操作されていない(通報設備の作動数n=0)と判定する。また、防災受信盤12は、検出した配線電流Iが零又は零に近い所定値である場合には、非常通報回線(信号回線)の状態を断線と判定して、例えば断線障害警報を出力する。
【0072】
(b3-2.スイッチ操作の判定)
次に、防災受信盤12による通報設備10(10-1)~10(10-3)のスイッチ操作の判定について説明する。例えば、トンネル内での車両事故などに伴い火災が発生した等の非常時に、道路利用者が通報設備10(10-1)の常閉押圧スイッチ40を押したとすると、そのスイッチ接点が開成して、常閉押圧スイッチ40のスイッチ端子4010とスイッチ端子4020との間は開放状態となり、防災受信盤12のプラス端子とマイナス端子との間の抵抗値は、直列に接続された終端抵抗46とスイッチ操作された通報設備10(10-1)のバイパス抵抗42を足したR0+R1(=84kΩ)となり、配線電流Iは、通常時の2mAから0.57mA(=48V/84kΩ)に低下する。
【0073】
このため、通報設備10(10-1)~10(10-3)の何れか1つでスイッチ操作が行われた場合に流れる配線電流0.57mAを基準電流Ir1とし、防災受信盤12は、検出した配線電流Iが基準電流Ir1又は基準電流Ir1に対して所定の範囲内、例えば基準電流Ir1を中心に所定の電流幅±ΔIとなる電流範囲Ir11(=Ir1-ΔI)~Ir12(=Ir1+ΔI)に入っている場合には、非常通報回線(信号回線)の状態として、通報設備10(10-1)~10(10-3)の何れか1つでのスイッチ操作(通報設備の作動数n=1)と判定し、スイッチ操作に基づく所定の制御を行う。所定の制御として、例えば常閉押圧スイッチ40が発信機の常閉押圧スイッチである場合には、防災受信盤12は、火災警報を出力すると共に所定の非常用設備の連動制御を行う。
【0074】
(b3-3.スイッチ操作された通報設備の作動数の判定)
次に、防災受信盤12によるスイッチ操作された通報設備10(10-1)~10(10-3)の作動数nの判定について説明する。非常時にあっては、通報設備10(10-1)~10(10-3)の内の複数の設備でスイッチ操作が行われる場合があることから、防災受信盤12はそのスイッチ操作された通報設備の作動数nを判定する。尚、スイッチ操作された通報設備の作動数n=0の場合の判定について、前述した「b3-1.正常及び断線の判定」の正常の判定と同様であり、スイッチ操作された通報設備の作動数n=1の場合には、前述した「b3-2.スイッチ操作の判定」の判定と同様となるため、その説明は省略する。
【0075】
ここで、スイッチ操作された通報設備の作動数nが1つ、2つ、3つと増加した場合には、終端抵抗46に直列に接続されるバイパス抵抗42の数が増加することから、防災受信盤12のプラス端子とマイナス端子と間の抵抗値は、図4(A)に示すように、Ro+R1(=84kΩ)、R0+2R1(=144kΩ)、R0+3R1(=204kΩ)と増加し、配線電流Iは、図4(B)に示すように、0.57mA、0.33mA(=48V/144kΩ)、0.24mA(=48V/204kΩ)と減少する。
【0076】
このため、通報設備の作動数nが2つである場合に流れる配線電流0.33mAを基準電流Ir2とし、通報設備の作動数nが3つである場合に流れる配線電流0.24mAを基準電流Ir3とし、防災受信盤12は、検出した配線電流Iが基準電流Ir2又は基準電流Ir2に対して所定の範囲内、例えば基準電流Ir2を中心に所定の電流幅±ΔIとなる電流範囲Ir21(=Ir2-ΔI)~Ir22(=Ir2+ΔI)に入っている場合には、非常通報回線(信号回線)の状態として、通報設備の作動数nが2つと判定し、検出した配線電流Iが基準電流Ir3又は基準電流Ir3に対して所定の範囲内、例えば基準電流Ir3を中心に所定の電流幅±ΔIとなる電流範囲Ir31(=Ir3-ΔI)~Ir32(=Ir3+ΔI)に入っている場合には、非常通報回線(信号回線)の状態として、通報設備の作動数nが3つと判定する。
【0077】
そして、防災受信盤12は、判定した通報設備の作動数nに応じて所定の制御を行う。例えば常閉押圧スイッチ40が発信機の常閉押圧スイッチである場合には、防災受信盤12は、火災警報を出力すると共に、所定の非常用設備の連動制御を行い、更にスイッチ操作された通報設備の作動数nを表示する。また、防災受信盤12で判定されたスイッチ操作された通報設備の作動数nが多いほど、火災の危険度が高いと判断することができ、火災の危険度に応じた消火活動や避難誘導を促す警報を出力することが可能となる。
【0078】
また、防災受信盤12での判定条件の各々は任意であるが、例えば以下に示すように、通報設備の作動数n=0(正常)の場合の判定条件の電流範囲をIr01~Ir02とし、通報設備の作動数n=1の場合の判定条件の電流範囲をIr11~Ir12とし、通報設備の作動数n=2の場合の判定条件の電流範囲をIr21~Ir22とし、通報設備の作動数n=3の場合の判定条件の電流範囲をIr31~Ir32、断線の場合の判定条件をIr4以下とし、Ir01=Ir12、Ir11=Ir22、Ir21=Ir32、Ir31=Ir4とする。
Ir01<I≦Ir02 :正常(作動数n=0)と判定。
Ir11<I≦Ir12(=Ir01):スイッチ操作(作動数n=1)と判定。
Ir21<I≦Ir22(=Ir11):スイッチ操作(作動数n=2)と判定。
Ir31<I≦Ir32(=Ir21):スイッチ操作(作動数n=3)と判定。
I≦Ir4(=Ir31) :断線と判定。
【0079】
これにより、防災受信盤12で全ての電流値について、正常(通報設備の作動数n=0)、断線、スイッチ操作(通報設備の作動数n=1~3)の何れかを判定することができる。
【0080】
[c.消火栓装置に適用した第2実施形態の通報設備と非常通報システム]
図2の消火栓装置に適用した第2実施形態の通報設備と非常通報システムについて説明する。当該説明にあっては、図2の消火栓装置に適用した通報設備を備えた非常通報システムを示した図5及び図6を参照する。
【0081】
(c1.通報設備の構成)
通報設備の構成について説明する。通報設備10(10-1)は、発信機24、ポンプ起動装置32及びポンプ起動連動装置34の各々が備える常閉押圧スイッチ40、54、56、応答ランプ26に対応して設けられた応答ランプ26の応答点灯条件を設定する常開押圧スイッチ52、常閉押圧スイッチ40、54、56の各々に並列に接続されるバイパス抵抗42、58、60及び端子台44を備える。通報設備10(10-2)~(10-3)についても基本的に通報設備10(10-1)と同様となるが、最終段の通報設備10(10-3)については、断線監視のために、終端抵抗46、66、68を更に備える。
【0082】
ここで、常開押圧スイッチ52とは、通常時はスイッチ接点を開成し、押された際にスイッチ接点を閉成する「a接点スイッチ」である。また、発信機24は、常閉押圧スイッチ40と応答ランプ26に対応した常開押圧スイッチ52を備えた2回路のスイッチであり、常開押圧スイッチ52は常閉押圧スイッチ40の押込操作に連動する。
【0083】
(c2.発信機が備える常閉押圧スイッチに対する構成)
発信機24が備える常閉押圧スイッチ40に対する構成について説明する。図5に示すように、通報設備10(10-1)の常閉押圧スイッチ40は、2つのスイッチ端子4010,4020を有し、所定の抵抗値R1を有するバイパス抵抗42がスイッチ端子4010,4020の間に並列に接続される。また、常閉押圧スイッチ40に対応して、端子台42の接続端子4410、4420を使用し、常閉押圧スイッチ40のスイッチ端子4010と端子台42の接続端子4410との間を内部配線41で接続し、スイッチ端子4020と端子台42の接続端子4420との間を内部配線43で接続している。
【0084】
この点は、通報設備10(10-2)~(10-3)についても基本的に通通報設備10(10-1)と同様となるが、最終段の通報設備10(10-3)については、図6に示すように、端子台44の接続端子4470を使用して、端子台44の接続端子4420と接続端子4470の間に断線監視のための所定の抵抗値R0を有する終端抵抗46が接続されている点で異なる。尚、接続端子4470は、発信機24が備える常閉押圧スイッチ40に限らず、全ての押圧スイッチについて使用する接続端子である。
【0085】
次に、常閉押圧スイッチ40に対する非常通報システムの配線構成について説明する。信号配線48を、防災受信盤12の常閉押圧スイッチ40に対応したプラス端子と通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4410との間、通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4420と通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4410との間、通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4420と通報設備10(10-3)の端子台44の接続端子4410との間に接続し、信号配線50を、防災受信盤12のマイナス端子と通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4440との間、通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4440と通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4440との間、通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4440と通報設備10(10-3)の端子台44の接続端子4470との間、に接続する。尚、端子台44の接続端子4440は、常開押圧スイッチ52に対応して使用する接続端子であり、信号配線50は、発信機24が備える常閉押圧スイッチ40に限らず、全ての押圧スイッチについて共通の信号配線としている。
【0086】
これにより、防災受信盤12の常閉押圧スイッチ40に対応したプラス端子からマイナス端子までの間で、信号配線48、50、内部配線41、43及びバイパス抵抗42が並列接続された常閉押圧スイッチ40が、通報設備10(10-3)の終端抵抗46を介して直列に接続されることとなる。
【0087】
防災受信盤12による常閉押圧スイッチ40に対する非常通報回線の状態監視機能と動作については、基本的に第1実施形態で説明した内容と同様になることから、その説明は省略する。
【0088】
(c3.ポンプ起動装置及びポンプ起動連動装置が備える常閉押圧スイッチに対する構成)
ポンプ起動装置32が備える常閉押圧スイッチ54及びボンプ起動連動装置34が備える常閉押圧スイッチ56に対する構成について説明する。通報設備10(10-1)の常閉押圧スイッチ54は、2つのスイッチ端子5410,5420を有し、所定の抵抗値R1を有するバイパス抵抗58がスイッチ端子5410,5420の間に並列に接続される。常閉押圧スイッチ56も同様であり、2つのスイッチ端子5610,5620を有し、所定の抵抗値R1を有するバイパス抵抗60がスイッチ端子5610,5620の間に並列に接続される。
【0089】
また、常閉押圧スイッチ54、56に対応して、端子台42の接続端子4450、4460を使用し、常閉押圧スイッチ54のスイッチ端子5410と端子台42の接続端子4450との間を内部配線55で接続し、常閉押圧スイッチ56のスイッチ端子5620と端子台42の接続端子4460との間を内部配線57で接続し、常閉押圧スイッチ54のスイッチ端子5420と常閉押圧スイッチ56のスイッチ端子5610を内部配線59で接続することで、常閉押圧スイッチ54、56を直列に接続している。
【0090】
尚、バイパス抵抗は常閉押圧スイッチ54,56の直列回路と並列に1つ接続するようにしてもよい。即ち、この場合には常閉押圧スイッチ54の接続端子5410と常閉押圧スイッチ56のスイッチ端子5620の間に1つのバイパス抵抗を接続することとなる。
【0091】
この点は、通報設備10(10-2)~(10-3)についても基本的に通通報設備10(10-1)と同様となるが、最終段の通報設備10(10-3)については、図6に示すように、端子台44の接続端子4470を使用して、端子台44の接続端子4460と接続端子4470の間に断線監視のための所定の抵抗値R0を有する終端抵抗68が接続されている点で異なる。
【0092】
次に、常閉押圧スイッチ54、56に対する非常通報システムの配線構成について説明する。信号配線64を、防災受信盤12の常閉押圧スイッチ54、56に対応したプラス端子と通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4450との間、通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4460と通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4450との間、通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4460と通報設備10(10-3)の端子台44の接続端子4450との間に接続し、信号配線50を、防災受信盤12のマイナス端子と通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4440との間、通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4440と通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4440との間、通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4440と通報設備10(10-3)の端子台44の接続端子4470との間に接続する。
【0093】
これにより、防災受信盤12の常閉押圧スイッチ54、56に対応したプラス端子からマイナス端子までの間で、信号配線50、64、内部配線55、57、59、バイパス抵抗58が並列接続された常閉押圧スイッチ54及びバイパス抵抗60が並列接続された常閉押圧スイッチ56が、通報設備10(10-3)の終端抵抗68を介して直列に接続されることとなる。
【0094】
防災受信盤12による常閉押圧スイッチ54、56に対する非常通報回線の状態監視機能と動作については、基本的に第1実施形態で説明した内容と同様になるが、スイッチ操作と判定した場合には、消火ポンプ設備の起動等の制御を行うこととなる。尚、ポンプ起動装置32の常閉押圧スイッチ54又はポンプ起動連動装置34の常閉押圧スイッチ56については、同時に操作されることはほとんどないことから、何れか一方のスイッチ操作を判定した場合に消火ポンプ設備の起動等の制御を行うものとしている。
【0095】
(c4.応答ランプに対応した常開押圧スイッチに対する構成)
応答ランプ26に対応した常開押圧スイッチに対する構成について説明する。通報設備10(10-1)の常開押圧スイッチ52は、2つのスイッチ端子5210,5220を有する。また、常開押圧スイッチ52に対応して、端子台42の接続端子4430、4440を使用し、常開押圧スイッチ52のスイッチ端子5210と端子台42の接続端子4430との間を内部配線51で接続し、スイッチ端子5220と端子台42の接続端子4460との間を応答ランプ26を介して内部配線53で接続している。
【0096】
この点は、通報設備10(10-2)~(10-3)についても基本的に通通報設備10(10-1)と同様となるが、最終段の通報設備10(10-3)については、図6に示すように、端子台44の接続端子4470を使用して、端子台44の接続端子4430と接続端子4470の間に断線監視のための所定の抵抗値R0を有する終端抵抗66が接続されている点で異なる。
【0097】
次に、常開押圧スイッチ52に対する非常通報システムの配線構成について説明する。信号配線62を、防災受信盤12の常開押圧スイッチ52に対応したプラス端子と通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4430との間、通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4430と通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4430との間、通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4430と通報設備10(10-3)の端子台44の接続端子4430との間に接続し、信号配線50を、防災受信盤12のマイナス端子と通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4440との間、通報設備10(10-1)の端子台44の接続端子4440と通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4440との間、通報設備10(10-2)の端子台44の接続端子4440と通報設備10(10-3)の端子台44の接続端子4470との間に接続する。
【0098】
これにより、防災受信盤12の常開押圧スイッチ52に対応したプラス端子からの信号配線62とマイナス端子からの信号配線50との間に、通報設備10(10-1)~(10-3)の常開押圧スイッチ52が並列に接続されることとなる。
【0099】
防災受信盤12による常開押圧スイッチ52に対する非常通報回線の状態監視機能と動作については、常開押圧スイッチ52が常閉押圧スイッチ40に連動するスイッチであることから、スイッチ操作の判定は行われず、終端抵抗66の抵抗値で決まる所定の配線電流に基づく条件により正常と判定し、零又は零に近い所定の断線判定値以下の配線電流を検出した場合には断線と判定する。尚、通報設備10(10-1)~10(10-3)の内部配線51、53は断線監視対象から外れている。
【0100】
[d.操作スイッチを常開押圧スイッチとした実施形態]
続いて、前述した第1実施形態及び第2実施形態の常閉押圧スイッチを常開押圧スイッチとした場合の実施形態について説明する。
【0101】
(d1.操作スイッチを常開押圧スイッチとした第1実施形態)
まず、第1実施形態の常閉押圧スイッチを常開押圧スイッチとした場合について説明する。当該説明にあっては、1つの常開押圧スイッチを備えた通報設備を複数備えた非常通報システムを示した図7、及び常開押圧スイッチの作動数に対応した線間抵抗と配線電流の関係を一覧形式で示した図8を参照する。尚、図8(A)に常開押圧スイッチの作動数に対応した線間抵抗と配線電流の関係を示し、図8(B)にその一例を示している。
【0102】
図7に示す非常通報システムは、図3に示した非常通報システムと基本的に同様であるが、通報設備10(10-1)~10(10-3)が備える常閉押圧スイッチ40を、スイッチ端子8010、8020を有する常開押圧スイッチ80とした点で異なる。
【0103】
また、非常通報回線の状態監視機能と動作についても、基本的に図3に示した非常通報システムと同様に、防災受信盤12が配線電流Iを検出して、正常、断線、スイッチ操作の判定及びスイッチ操作された通報設備の作動数について判定を行うが、正常及びスイッチ操作の判定の際に検出される配線電流Iが異なることとなる。
【0104】
通常時、通報設備10(10-1)~10(10-3)の常開押圧スイッチ80は全て開成していることから、バイパス抵抗42が並列接続された常開押圧スイッチ80のスイッチ端子4010とスイッチ端子4020との間は開放状態であり、防災受信盤12のプラス端子とマイナス端子との間の抵抗値は、図8に示すように、直列に接続された通報設備10(10-1)~10(10-3)のバイパス抵抗42と終端抵抗46の抵抗値を足したR0+3R1(=204kΩ)となっている。このため、通常時に防災受信盤12のプラス端子とマイナス端子との間には配線電流I(=V/R0)として0.24mA(=48V/204kΩ)の配線電流が流れることとなる。
【0105】
また、通報設備10(10-1)~10(10-3)の何れで常開押圧スイッチ80が押された場合には、その常開押圧スイッチ80のスイッチ接点が閉成して、スイッチ端子8010とスイッチ端子8020との間は短絡状態となり、防災受信盤12のプラス端子とマイナス端子との間の抵抗値は、操作された常開押圧スイッチ80に並列に接続されたバイパス抵抗42の抵抗値分だけ通常時よりも減り、図8に示すように、R0+2R1(=144kΩ)となり、配線電流Iは、通常時の0.24mAから0.33mA(=48V/144kΩ)に増加する。
【0106】
そして、スイッチ操作された通報設備の作動数nが1つから2つ、3つと増加した場合には、終端抵抗46に直列に接続されるバイパス抵抗42の数が減少していくことから、防災受信盤12のプラス端子とマイナス端子と間の抵抗値は、図8に示すように、R0+R1(=84kΩ)、R0(=24kΩ)と減少し、配線電流Iは、0.57mA(=48V/84kΩ)、2.00mA(=48V/24kΩ)と増加する。
【0107】
つまり、常閉押圧スイッチとした場合には、通常時(スイッチ操作された通報設備の作動数=0)からスイッチ操作された通報設備の作動数nが1つ、2つ、3つと増加すると、防災受信盤12のプラス端子とマイナス端子と間の抵抗値は増えて、配線電流Iは減少するのに対して、常開押圧スイッチとした場合には、通常時(スイッチ操作された通報設備の作動数=0)からスイッチ操作された通報設備の作動数nが1つ、2つ、3つと増加すると、防災受信盤12のプラス端子とマイナス端子と間の抵抗値は減り、配線電流Iは増加することとなる。
【0108】
(d2.操作スイッチを常開押圧スイッチとした第2実施形態)
続いて、第2実施形態の常閉押圧スイッチを常開押圧スイッチとした場合について説明する。当該説明にあっては、図2の消火栓装置に適用した常閉押圧スイッチを常開押圧スイッチとした通報設備を備えた非常通報システムを示した図9及び図10を参照する。
【0109】
図9及び図10に示す非常通報システムは、図5及び図6に示した非常通報システムと基本的に同様であるが、通報設備10(10-1)~10(10-3)の発信機24が備える常閉押圧スイッチ40を、スイッチ端子8010、8020を有する常開押圧スイッチ80とし、ポンプ起動装置32が備える常閉押圧スイッチ54を、スイッチ端子8210、8220を有する常開押圧スイッチ82とし、及びボンプ起動連動装置34が備える常閉押圧スイッチ56を、スイッチ端子8410、8420を有する常開押圧スイッチ84とする点で異なる。
【0110】
また、防災受信盤12による常開押圧スイッチ80、82、84に対する非常通報回線の状態監視機能と動作については、基本的に第1実施形態で説明した内容と同様であるから、その説明は省略する。
【0111】
[e.操作スイッチをc接点スイッチとした実施形態]
続いて、前述した第1実施形態及び第2実施形態の常閉押圧スイッチをc接点スイッチとした場合の実施形態について説明する。尚、c接点スイッチとは、スイッチ端子として3つのスイッチ端子を持ち、スイッチ操作されることで1つ所定のスイッチ端子に対するその他の2つのスイッチ端子の何れかの接続を切り替えることができるスイッチのことである。
【0112】
(e1.操作スイッチをc接点スイッチとした第1実施形態)
まず、第1実施形態の常閉押圧スイッチをc接点スイッチとした場合について説明する。当該説明にあっては、1つのc接点スイッチを備えた通報設備を複数備えた非常通報システムを示した図11を参照する。
【0113】
図11に示す非常通報システムは、図3に示した非常通報システムと基本的に同様であるが、通報設備10(10-1)~10(10-3)が備える常閉押圧スイッチ40を、スイッチ端子9010、9020、9030を有するc接点スイッチ90とした点で異なる。
【0114】
また、c接点スイッチ90のスイッチ端子9010は内部配線41により端子台44の接続端子4410に接続され、スイッチ端子9020は内部配線43により端子台44の接続端子4420に接続され、スイッチ端子9030はバイパス抵抗42を介して内部配線43により端子台44の接続端子4420に接続される。
【0115】
また、c接点スイッチ90は、通常時には、図11の実線で示したように、スイッチ端子9010とスイッチ端子9020を接続した状態とし、スイッチ操作が行われた場合には、図11の点線で示したように、スイッチ端子9010とスイッチ端子9030とを接続した状態に切り替わるスイッチとしている。
【0116】
また、非常通報回線の状態監視機能と動作については、基本的に図3に示した非常通報システムと同様であるから、その説明は省略する。
【0117】
また、c接点スイッチ90を、通常時には、スイッチ端子9010とスイッチ端子9030を接続した状態とし、スイッチ操作が行われた場合には、スイッチ端子9010とスイッチ端子9020とを接続した状態に切り替わるスイッチとしても良く、この場合の非常通報回線の状態監視機能と動作については、基本的に図5に示した非常通報システムと同様である。
【0118】
(e2.操作スイッチをc接点スイッチとした第2実施形態)
続いて、第2実施形態の常閉押圧スイッチをc接点スイッチとした場合について説明する。当該説明にあっては、図2の消火栓装置に適用した常閉押圧スイッチをc接点スイッチとした通報設備を備えた非常通報システムを示した図12及び図13を参照する。
【0119】
図12及び図13に示す非常通報システムは、図5及び図6に示した非常通報システムと基本的に同様であるが、通報設備10(10-1)~10(10-3)の発信機24が備える常閉押圧スイッチ40を、スイッチ端子9010、9020、9030を有するc接点スイッチ90とし、ポンプ起動装置32が備える常閉押圧スイッチ54を、スイッチ端子9210、9220、9230を有するc接点スイッチ92とし、及びボンプ起動連動装置34が備える常閉押圧スイッチ56を、スイッチ端子9410、9420、9430を有するc接点スイッチ94とする点で異なる。
【0120】
また、c接点スイッチ90のスイッチ端子9010は内部配線41により端子台44の接続端子4410に接続され、スイッチ端子9020は内部配線43により端子台44の接続端子4420に接続され、スイッチ端子9030はバイパス抵抗42を介して内部配線43により端子台44の接続端子4420に接続される。
【0121】
また、c接点スイッチ92のスイッチ端子9210は内部配線51により端子台44の接続端子4450に接続され、c接点スイッチ92のスイッチ端子9220は内部配線59によりc接点スイッチ94のスイッチ端子9410に接続され、c接点スイッチ92のスイッチ端子9030はバイパス抵抗58を介して内部配線59によりc接点スイッチ94のスイッチ端子9410に接続され、
c接点スイッチ94のスイッチ端子9240は内部配線57により端子台44の接続端子4460に接続され、c接点スイッチ94のスイッチ端子9430はバイパス抵抗60を介して内部配線59により端子台44の接続端子4460に接続される。
【0122】
また、c接点スイッチ90、92、94は、通常時には、図12及び図13の実線で示したように、スイッチ端子9010、9210、9410とスイッチ端子9020、9220、9420を接続した状態とし、スイッチ操作が行われた場合には、図12及び図13の点線で示したように、スイッチ端子9010、9210、9410とスイッチ端子9030、9230、9240とを接続した状態に切り替わるスイッチとしている。尚、c接点スイッチ90、92、94を、通常時には、スイッチ端子9010、9210、9410とスイッチ端子9030、9230、9240を接続した状態とし、スイッチ操作が行われた場合には、スイッチ端子9010、9210、9410とスイッチ端子9020、9220、9420とを接続した状態に切り替わるスイッチとしても良い。
【0123】
また、防災受信盤12によるc接点スイッチ90、92、94に対する非常通報回線の状態監視機能と動作については、基本的に第1実施形態で説明した内容と同様であるから、その説明は省略する。
【0124】
[f.本発明の変形例]
本発明による通報設備及び非常通報システムの変形例について説明する。本発明の通報設備及び非常通報システムは、上記の実施形態以外に、以下の変形を含むものである。
【0125】
(通報設備)
上記の実施形態では、トンネル非常通報システムの消火栓装置に適用した通報設備を一例として挙げたが、適用させる装置・設備等は任意であり、例えば防災受信盤に接続される手動通報装置に通報設備を適用してもよい。手動通報装置は、発信機を備えており、発信機の押圧スイッチに対して同様に配線構成することで、内部配線を含む信号回線の断線監視を可能とする。
【0126】
(通報設備に設けられる押圧スイッチ及び使用する端子台の接続端子の数)
上記の実施形態で示した通報設備に設けられる押圧スイッチの数や押圧スイッチの数に対応して使用される端子台の接続端子の数は一例に過ぎず、これに限定されず、押圧スイッチの数に対応して適当な通報設備を構成し、当該通報設備を防災受信盤からの信号配線に接続して非常通報システムを構成して、内部配線を含む信号回線の断線監視を可能とする。
【0127】
(スイッチ操作された通報設備の判定)
上記の実施形態にあっては、複数の通報設備に設けた常閉押圧スイッチに並列接続したバイパス抵抗の抵抗値を同一としているが、常閉押圧スイッチ毎に異なる抵抗値のバイパス抵抗を接続することで、防災受信盤は異なる抵抗値に対応した配線電流の検出値からスイッチ操作された通報設備を特定して判定することを可能とする。
【0128】
(配線の劣化の判定)
また、配線電流に基づき、断線監視に加えて配線の劣化を判定するようにしても良い。例えば配線電流が所定の値を超えることで、配線の絶縁劣化を検出するようにしても良いし、配線電流が所定の値を下回ることで、配線の断線予兆を検出するようにしても良い。
【0129】
(その他)
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0130】
10(10-1)~10(10-3):通報設備
11:消火栓装置
11a,11b:筐体
12:防災受信盤
13a,13b:化粧枠
14:信号ケーブル
17:消火栓扉
18:保守扉
19:消火器扉
20:非常通報扉
22:赤色表示灯
24:発信機
25a,25b:端子箱
26:応答ランプ
32:ポンプ起動装置
34:ポンプ起動連動装置
40、54、56:常閉押圧スイッチ
4010、4020、5410、5420、5610、5620:スイッチ端子
41、43、51、53、55、57、59:内部配線
42、58、60:バイパス抵抗
44:端子台
4410,4420,4430,4440,4450,4460,4470:接続端子
46、66、68:終端抵抗
48、50、62、64:信号配線
52、80、82、84:常開押圧スイッチ
5210、5220、8010、8020、8210、8220、8410、8420:スイッチ端子
90、92、94:c接点スイッチ
9010、9020、9030、9210、9220、9230、9410、9420、9430:スイッチ端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13