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特開2024-33383放出量推定装置、放出量推定方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033383
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】放出量推定装置、放出量推定方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/02 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G01M3/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136926
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】池田 孝
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 啓太
(72)【発明者】
【氏名】荒川 宜彬
(72)【発明者】
【氏名】神原 信幸
(72)【発明者】
【氏名】乾 正幸
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 秀和
(72)【発明者】
【氏名】石本 芳隆
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA11
2G067CC04
2G067DD04
2G067DD06
(57)【要約】
【課題】検査対象からのガスの放出量を精度よく推定することができる放出量推定装置を提供する。
【解決手段】検査対象を撮影した検査画像に基づいて漏洩するガスの噴流を検知する検知部と、前記検査画像に基づいて前記検査対象の噴流出口の大きさを示す出口径を計測する出口径計測部と、前記検査画像に基づいて前記噴流のポテンシャルコア領域の流速を算出する速度算出部と、前記出口径および前記噴流の流速に基づいて前記噴流の体積を算出する体積算出部と、前記検査画像における前記ポテンシャルコア領域の輝度値と、前記ガスの濃度および前記ガスを撮影した画像の輝度値の関係を定めたガス濃度-輝度テーブルとに基づいて、漏洩する前記ガスの濃度を示す漏洩ガス濃度を推定する濃度推定部と、前記噴流の体積および前記漏洩ガス濃度に基づいて前記ガスの放出量を推定する放出量推定部と、を備える放出量推定装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象から漏洩するガスの放出量を推定する放出量推定装置であって、
前記検査対象を撮影した検査画像に基づいて前記検査対象から漏洩する前記ガスの噴流を検知する検知部と、
前記検査画像に基づいて前記検査対象の噴流出口の大きさを示す出口径を計測する出口径計測部と、
前記検査画像に基づいて前記噴流のポテンシャルコア領域の流速を算出する速度算出部と、
前記出口径および前記噴流の流速に基づいて前記噴流の体積を算出する体積算出部と、
前記検査画像における前記ポテンシャルコア領域の輝度値と、前記ガスの濃度および前記ガスを撮影した画像の輝度値の関係を定めたガス濃度-輝度テーブルとに基づいて、漏洩する前記ガスの濃度を示す漏洩ガス濃度を推定する濃度推定部と、
前記噴流の体積および前記漏洩ガス濃度に基づいて前記ガスの放出量を推定する放出量推定部と、
を備える放出量推定装置。
【請求項2】
前記速度算出部は、複数の検査画像のうち、第1検査画像の前記噴流出口側における前記噴流の外縁部の特徴点の位置と、前記第1検査画像よりも任意のフレーム数後の検査画像である第2検査画像における前記特徴点の位置との差に基づいて前記噴流の前記ポテンシャルコア領域の流速を算出する、
請求項1に記載の放出量推定装置。
【請求項3】
前記ガス濃度-輝度テーブルは、前記ガスの厚みに応じて異なる複数のテーブルを有し、
前記濃度推定部は、前記出口径に基づいて漏洩する前記ガスの厚みを推定し、推定した前記ガスの厚みに対応する前記テーブルに基づいて、前記漏洩ガス濃度を推定する、
請求項1に記載の放出量推定装置。
【請求項4】
前記濃度推定部は、
前記ポテンシャルコア領域内の所定範囲のピクセルの輝度値の平均値に基づいて、前記漏洩ガス濃度を推定し、
前記噴流の流速に応じて前記所定範囲の大きさを変更する、
請求項1から3の何れか一項に記載の放出量推定装置。
【請求項5】
検査対象から漏洩するガスの放出量を推定する放出量推定方法であって、
前記検査対象を撮影した検査画像に基づいて前記検査対象から漏洩する前記ガスの噴流を検知するステップと、
前記検査画像に基づいて前記検査対象の噴流出口の大きさを示す出口径を計測するステップと、
前記検査画像に基づいて前記噴流のポテンシャルコア領域の流速を算出するステップと、
前記出口径および前記噴流の流速に基づいて前記噴流の体積を算出するステップと、
前記検査画像における前記ポテンシャルコア領域の輝度値と、前記ガスの濃度および前記ガスを撮影した画像の輝度値の関係を定めたガス濃度-輝度テーブルとに基づいて、漏洩する前記ガスの濃度を示す漏洩ガス濃度を推定するステップと、
前記噴流の体積および前記漏洩ガス濃度に基づいて前記ガスの放出量を推定するステップと、
を有する放出量推定方法。
【請求項6】
検査対象から漏洩するガスの放出量を推定する放出量推定装置に、
前記検査対象を撮影した検査画像に基づいて前記検査対象から漏洩する前記ガスの噴流を検知するステップと、
前記検査画像に基づいて前記検査対象の噴流出口の大きさを示す出口径を計測するステップと、
前記検査画像に基づいて前記噴流のポテンシャルコア領域の流速を算出するステップと、
前記出口径および前記噴流の流速に基づいて前記噴流の体積を算出するステップと、
前記検査画像における前記ポテンシャルコア領域の輝度値と、前記ガスの濃度および前記ガスを撮影した画像の輝度値の関係を定めたガス濃度-輝度テーブルとに基づいて、漏洩する前記ガスの濃度を示す漏洩ガス濃度を推定するステップと、
前記噴流の体積および前記漏洩ガス濃度に基づいて前記ガスの放出量を推定するステップと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、放出量推定装置、放出量推定方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスの漏洩を検知する技術として、ガス吸収波長(以下、「特定波長」とも記載する。)を検知できる赤外線カメラやレーザ光吸収分光装置などのガス検知ユニットを無人飛行体に搭載し、上空からガス配管のガス漏れを検査する手法がある(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ガスが漏洩している場合、その漏洩箇所では特定波長が吸収されるため、例えばガス検知ユニットがカメラである場合、撮影した画像には漏洩ガスを示す黒い影が現れる。ガス濃度によって特定波長の吸収量が変わることから、この黒い影はガス濃度に応じた濃淡が現れる。よって、この黒い影が検出され、濃淡度合いが分析されることで、ガス漏洩の検知およびガス濃度の計測が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6703756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、特定波長吸収による可視化であるために、特に特定波長吸収が多く画像上で黒く見える場所に対しては、局所的にガス濃度が高いのか、ガスが存在する高さ方向の領域が大きい(厚みがある)のかを区別することが困難であった。このため、ガス配管等のガス漏洩箇所からどのくらいの量のガスが放出されているかを精度よく推定できない可能性があった。
【0006】
本開示の目的は、検査対象からのガスの放出量を精度よく推定することができる放出量推定装置、放出量推定方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様によれば、検査対象から漏洩するガスの放出量を推定する放出量推定装置は、前記検査対象を撮影した検査画像に基づいて前記検査対象から漏洩する前記ガスの噴流を検知する検知部と、前記検査画像に基づいて前記検査対象の噴流出口の大きさを示す出口径を計測する出口径計測部と、前記検査画像に基づいて前記噴流のポテンシャルコア領域の流速を算出する速度算出部と、前記出口径および前記噴流の流速に基づいて前記噴流の体積を算出する体積算出部と、前記検査画像における前記ポテンシャルコア領域の輝度値と、前記ガスの濃度および前記ガスを撮影した画像の輝度値の関係を定めたガス濃度-輝度テーブルとに基づいて、漏洩する前記ガスの濃度を示す漏洩ガス濃度を推定する濃度推定部と、前記噴流の体積および前記漏洩ガス濃度に基づいて前記ガスの放出量を推定する放出量推定部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様によれば、検査対象から漏洩するガスの放出量を推定する放出量推定方法は、前記検査対象を撮影した検査画像に基づいて前記検査対象から漏洩する前記ガスの噴流を検知するステップと、前記検査画像に基づいて前記検査対象の噴流出口の大きさを示す出口径を計測するステップと、前記検査画像に基づいて前記噴流のポテンシャルコア領域の流速を算出するステップと、前記出口径および前記噴流の流速に基づいて前記噴流の体積を算出するステップと、前記検査画像における前記ポテンシャルコア領域の輝度値と、前記ガスの濃度および前記ガスを撮影した画像の輝度値の関係を定めたガス濃度-輝度テーブルとに基づいて、漏洩する前記ガスの濃度を示す漏洩ガス濃度を推定するステップと、前記噴流の体積および前記漏洩ガス濃度に基づいて前記ガスの放出量を推定するステップと、を有する。
【0009】
本開示の一態様によれば、プログラムは、検査対象から漏洩するガスの放出量を推定する放出量推定装置に、前記検査対象を撮影した検査画像に基づいて前記検査対象から漏洩する前記ガスの噴流を検知するステップと、前記検査画像に基づいて前記検査対象の噴流出口の大きさを示す出口径を計測するステップと、前記検査画像に基づいて前記噴流のポテンシャルコア領域の流速を算出するステップと、前記出口径および前記噴流の流速に基づいて前記噴流の体積を算出するステップと、前記検査画像における前記ポテンシャルコア領域の輝度値と、前記ガスの濃度および前記ガスを撮影した画像の輝度値の関係を定めたガス濃度-輝度テーブルとに基づいて、漏洩する前記ガスの濃度を示す漏洩ガス濃度を推定するステップと、前記噴流の体積および前記漏洩ガス濃度に基づいて前記ガスの放出量を推定するステップと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
上記態様によれば、検査対象からのガスの放出量を精度よく推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態に係る監視システムの全体構成を示す概略図である。
図2】一実施形態に係る放出量推定装置の機能構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る検査画像の一例を示す図である。
図4】噴流の特性を説明するための第1の図である。
図5】噴流の特性を説明するための第2の図である。
図6】一実施形態に係る放出量推定装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図7】一実施形態に係るガス濃度-輝度テーブルの一例を示す図である。
図8】一実施形態に係るガス濃度の試験設備の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(放出量推定装置の全体構成)
以下、図面を参照しながら実施形態について詳細に説明する。
図1は、一実施形態に係る監視システムの全体構成を示す概略図である。
監視システム1は、ガス配管9からのガスGの漏洩を検知した場合に、漏洩するガスGの放出量を推定する。ガス配管9は、ガス利用サイトなどに設置され、内部にガスGを流通させるための配管である。ガス配管9は、本実施形態に係る放出量推定装置10の検査対象の一例である。他の実施形態では、例えばガスGの貯蔵タンクなどを検査対象としてもよい。
【0013】
図1に示すように、監視システム1は、放出量推定装置10と、移動体20と、カメラ30とを備える。
【0014】
移動体20は、例えばドローンなどの無人機であり、予め設定された監視経路に従って、または、操作者の操作指示に従って、ガス配管9の設置エリア内を移動する。
【0015】
カメラ30は、移動体20に搭載され、ガス配管9を撮影する。カメラ30は、例えばガスGのガス吸収波長(特定波長)を検知可能な赤外線カメラである。また、カメラ30は、移動体20およびガス配管9の位置関係に応じて撮影範囲Rの向き(撮影方向)を変更することにより、ガス配管9の上面、側面などの各部位を撮影可能である。
【0016】
移動体20が設置エリア内を移動中に、カメラ30はガス配管9を常時撮影する。また、移動体20は、カメラ30が撮影したガス配管9の画像(以下、検査画像とも記載する。)を放出量推定装置10に逐次送信する。
【0017】
放出量推定装置10は、移動体20と通信可能に接続される。放出量推定装置10は、移動体20取得したガス配管9の検査画像に基づいてガス配管9からのガスGの漏洩を検知した場合に、漏洩するガスGの放出量を推定する。
【0018】
なお、図1には、放出量推定装置10がガス配管9の設置エリアから離れた監視拠点に設けられる例が示されているが、これに限られることはない。他の実施形態では、放出量推定装置10は移動体20に内蔵されてもよい。
【0019】
(放出量推定装置の機能構成)
図2は、一実施形態に係る放出量推定装置の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、放出量推定装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信インタフェース14とを備える。
【0020】
プロセッサ11は、所定のプログラムに従って動作することにより、検知部110、出口径計測部111、速度算出部112、体積算出部113、濃度推定部114、放出量推定部115としての機能を発揮する。
【0021】
検知部110は、カメラ30がガス配管9を撮影した検査画像を移動体20を通じて取得する。検知部110は、取得した検査画像に基づいて、ガス配管9から漏洩するガスGの噴流Fを検知する。
【0022】
出口径計測部111は、検査画像に基づいてガス配管9の噴流出口91の大きさを示す出口径を計測する。
【0023】
速度算出部112は、検査画像に基づいて噴流Fの流速を算出する。
【0024】
体積算出部113は、噴流出口91の出口径および噴流の流速に基づいて噴流Fの体積を算出する。
【0025】
濃度推定部114は、検査画像に基づいてガス配管9から漏洩するガスGの濃度(漏洩ガス濃度)を推定する。具体的には、濃度推定部114は、噴流Fの流速から検査画像における噴流Fのポテンシャルコア領域におけるガスGの濃度を推定する。また、濃度推定部114は、ガスGの濃度およびガスGを撮影した画像の輝度値の関係を定めたテーブルと、検査画像のポテンシャルコア領域の輝度値とに基づいて、漏洩ガス濃度を推定する。
【0026】
放出量推定部115は、噴流Fの体積および濃度推定部114で推定された漏洩ガス濃度に基づいてガスGの放出量を推定する。
【0027】
メモリ12は、プロセッサ11の動作に必要なメモリ領域を有する。
【0028】
ストレージ13は、いわゆる補助記憶装置であって、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等である。
【0029】
通信インタフェース14は、外部装置(移動体20)との間で各種情報の送受信を行うためのインタフェースである。
【0030】
なお、放出量推定装置10のプロセッサ11が実行する所定のプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶される。また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。さらに、このプログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。更に、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0031】
(噴流の特性について)
図3は、一実施形態に係る検査画像の一例を示す図である。
例えば、図1に示すように、ガス配管9の側面からガスGが漏洩したとする。図3に示す検査画像は、ガスGの漏洩箇所(噴流出口91)および噴流Fを上方から(実線で示す移動体20の位置から)撮影したものである。
【0032】
本実施形態では、カメラ30はガスGの特定波長を検知可能な赤外線カメラであり、ガスGの漏洩箇所を含むガス配管9を撮影すると、図3に示すように、ガスGの噴流Fが黒い影として映った検査画像を得る。背景が同じ輻射条件であれば、ガスGの濃度が高いほど、または、ガスGの厚みが大きいほど、検査画像の黒い影が濃くなる。しかしながら、上記したように、単に黒い影の濃淡度合いを分析したのみでは、ガスGの濃度が高いのか、ガスGの厚みが大きいのかを区別することが困難であり、ガスGの放出量を精度よく推定することができない可能性があった。このため、本実施形態に係る放出量推定装置10は、以下に説明する噴流Fの特性を利用して、ガスGの放出量を推定する。
【0033】
図4は、噴流の特性を説明するための第1の図である。
図5は、噴流の特性を説明するための第2の図である。
図4に示すように、ある任意の流速以上の噴流Fは、ポテンシャルコアP1という運動量を保持する三角形状の領域を持つ。噴流FのポテンシャルコアP1を含む領域(以下、ポテンシャルコア領域P2とも記載する。)では、外乱の影響を受けにくいとされる。また、外乱のないポテンシャルコア領域P2およびその外部の流れの広がり特性は定式化されている。
【0034】
ポテンシャルコア領域P2よりも下流側の完全発達領域P3では、噴流Fの最大流速umは一様に低下するものの、最大流速umの低下幅は出口条件(出口流速U0、到達距離x、出口径b0)の関数であり、その周辺の流速uの減少(速度分布)は、図5に示すようなガウス分布で表現される。図5の縦軸は流速uを最大流速umで正規化した値、横軸はλ=y/xを表す。したがって、ポテンシャルコア領域P2および完全発達領域P3の噴流Fの幅方向Dwへの広がり(速度分布の裾の広がり)も、理想的な条件であれば出口条件で一意に定めることができる。
【0035】
見かけ上、噴流Fは外乱によって揺らぎ、形が非定常的に変動する。揺らいでいる部分がポテンシャルコア領域P2の外側で外部と積極的に運動量を交換している領域とみなすならば、噴流Fの出口条件は外乱の影響が少ないと考えられる。このため、出口条件から求めたガスGの体積流量および濃度を用いることで、従来技術と比較して高い精度でガスの漏洩流量を算出することが可能となる。したがって、本実施形態に係る放出量推定装置10は、検査画像から噴流Fの出口条件を求め、この出口条件に基づいて、漏洩するガスGの濃度および放出量を推定する。
【0036】
(放出量推定装置の処理フロー)
図6は、一実施形態に係る放出量推定装置の処理の一例を示すフローチャートである。
以下、図6を参照しながら、放出量推定装置10が漏洩するガスGの濃度および放出量を推定する処理の流れについて説明する。
【0037】
まず、検知部110は、移動体20から取得した検査画像(図3)に基づいて、ガス配管9から漏洩するガスGの噴流Fを検知する(ステップS1)。検査画像からガスGの漏洩(噴流F)を検知する技術は既知であるため、詳細な説明を省略する。
【0038】
次に、出口径計測部111は、検査画像に基づいて、出口条件の1つである噴流出口91の出口径を計測する(ステップS2)。本実施形態では、図4に示すように、噴流出口91の形状を円形と仮定し、出口径を噴流出口91の半径b0とする。
【0039】
次に、速度算出部112は、出口条件の1つである噴流Fの流速(出口流速)を算出する(ステップS3)。噴流出口91におけるガスGの流速は、ポテンシャルコアP1内の流速と一致する。また、ポテンシャルコア領域P2の噴流F外縁部において、ガスGの流速は理想的には図5に例示すしたようなガウス分布となる。ポテンシャルコア領域P2よりもさらに後流となると、外縁部はガスGの運動交換で乱れが大きいが、噴流出口91付近であれば、外縁部のガスGの流速はガウス分布に近いはずである。このため、速度算出部112は、検査画像の噴流出口91付近の外縁部の流速からポテンシャルコア内の流速を推定し、噴流出口91付近の流速を推定する。なお、噴流Fの外縁部の流速を求める理由は、噴流Fの中央部と比較して、周囲の流体との濃度差によって噴流Fの形状および輝度の特徴をとらえやすく、比較的正確に速度を求められるためである。
【0040】
速度算出部112は、オプティカルフローなどの流速計測技術を利用して、噴流出口91付近における噴流Fの外縁部の流速を算出する。例えば、速度算出部112は、任意の検査画像(第1検査画像)から、噴流出口91側(噴出方向Dfの上流側)における噴流Fの外縁部の特徴点p(ピクセル)を抽出する。例えば、特徴点pは、任意のピクセル領域を設けた際に、領域中心と、ピクセル領域内の輝度の差分量の積算値が閾値以上の点(いわゆるコーナー)である。ポテンシャルコア領域P2では外乱の影響を受けにくく、その外縁部(幅方向Dwの端部)における拡散量は小さい。したがって、噴流出口91付近から抽出した特徴点pは、nフレーム後(nは任意の値)に特徴点p’の位置に移動したときも、形状および輝度は保たれていると想定される。このような想定のもと、速度算出部112は、nフレーム後の検査画像(第2検査画像)から特徴点pと同じ輝度値を有するピクセルを、特徴点pの移動先(特徴点p’)として抽出する。速度算出部112は、時系列に連続する2つの検査画像における特徴点p,p’のピクセル座標の差から、噴流Fのポテンシャルコア領域P2の外縁部の流速uを算出する。なお、特徴点p,p’は噴流Fの外縁部の特徴的な形状を示す、複数のピクセルからなる領域であってもよい。
【0041】
なお、他の実施形態では、例えば、移動体20にさらにレーザ照射装置を搭載し、PIV(Particle Image Velocimetry)の技術を利用して、噴流Fの流速を算出するようにしてもよい。
【0042】
次に、体積算出部113は、半径b0に基づく噴流出口91の面積A、および噴流Fの流速から噴流Fの体積Vを算出する(ステップS4)。例えば、噴流Fの体積Vは、噴流Fの到達位置xにおける最大流速umの予測式(1)、および最大流速umに対する幅方向Dwの流速uの予測式(2)に基づいて、式(3)により求められる。
【0043】
【数1】
【0044】
【数2】
【0045】
【数3】
【0046】
次に、濃度推定部114は、ガスGの濃度と輝度値との関係を表すガス濃度-輝度テーブルT(図7)を用いて、検査画像から漏洩ガス濃度(密度)を推定する(ステップS5)。
【0047】
図7は、一実施形態に係るガス濃度-輝度テーブルの一例を示す図である。
図7の縦軸はガス濃度(体積モル濃度、質量モル濃度、または質量%濃度)、横軸は輝度値を表す。また、ガス濃度-輝度テーブルTは、ガスの厚み毎に異なるテーブルT1,T2,T3,T4,…を有する。
【0048】
図8は、一実施形態に係るガス濃度の試験設備の一例を示す図である。
ガス濃度-輝度テーブルTは、事前に図8に示す試験設備8を用いて作成されたものである。試験設備8は、試験管80と、黒体炉81と、濃度計82と、カメラ83とを備える。カメラ83は、カメラ30と同じカメラであり、本実施形態ではガスGの特定波長を検知可能な赤外線カメラである。
【0049】
試験管80は透明な試験管であり、内部に予混合状態におけるガス濃度を変更したガスGが入れられる。試験管80にはガスGの吸気口および排気口が設けられており、濃度計82を確認しながらガスGの吸気および排気を行い、試験管80内のガス濃度を変更可能となっている。カメラ83は、ガス濃度を変更する度に試験管80内のガスGおよび黒体炉81を撮影した画像を放出量推定装置10に出力する。
【0050】
放出量推定装置10の濃度推定部114は、カメラ83がガス濃度毎に撮影した画像から、黒体炉81が映っている領域の輝度値を測定する。この輝度値が、ガスGのガス濃度に対応する輝度値である。濃度推定部114は、ガス濃度および画像から測定した輝度値を関連付けて、ガス濃度-輝度テーブルTを作成し、ストレージ13に記録する。
【0051】
また、濃度推定部114は、試験管80の長さL(すなわち、ガスGの厚み)を変更して撮影した画像から、ガスの厚み別にガス濃度-輝度テーブルT1,T2,T3,T4,…(図7)を作成する。これにより、噴流出口91の半径b0に応じたガスGの厚みに応じたガス濃度を推定することが可能となる。
【0052】
ガスGは噴流Fとなる前は予混合状態であると仮定し、ポテンシャルコアP1ではこの予混合状態が維持されていると考える。このため、濃度推定部114は、ステップS5において、まず、検査画像における噴流Fのポテンシャルコア領域P2の輝度値を測定する。このとき、濃度推定部114は、ポテンシャルコア領域P2の幅方向Dwの中心部、且つ噴流出口91に近い側における所定範囲のピクセルの輝度値の平均値を、検査画像におけるポテンシャルコア領域P2の輝度値として算出する。また、所定範囲の大きさは、ステップS3で算出した噴流Fの流速に応じて変更してもよい。
【0053】
また、濃度推定部114は、ステップS2で計測された噴流出口91の半径b0に基づいてガスGの厚みを推定し、推定したガスGの厚みに対応するガス濃度-輝度テーブルTを読み出す。そして、濃度推定部114は、検査画像から測定したポテンシャルコア領域P2の輝度値と、ガス濃度-輝度テーブルTとに基づいて、ガスGの濃度を推定する。
【0054】
次に、放出量推定部115は、ステップS4で算出した噴流Fの体積Vに、ステップS5で推定したガスGの濃度を乗じて、ガスGの放出量(質量流量)を推定する(ステップS6)。
【0055】
(作用効果)
以上のように、本実施形態に係る放出量推定装置10は、ガス配管9を撮影した検査画像に基づいて噴流出口91の出口径(半径b0)を計測する出口径計測部111と、検査画像に基づいて噴流Fのポテンシャルコア領域P2の流速を算出する速度算出部112と、半径b0および噴流Fの流速に基づいて噴流Fの体積Vを算出する体積算出部113と、検査画像における噴流Fのポテンシャルコア領域P2の輝度値と、ガス濃度-輝度テーブルTとに基づいて漏洩ガス濃度を推定する濃度推定部114と、噴流Fの体積Vおよび漏洩ガス濃度に基づいてガスGの放出量を推定する放出量推定部115と、を備える。
【0056】
このようにすることで、放出量推定装置10は、噴流Fの特性を利用して、精度よくガスGの放出量を推定することができる。
【0057】
例えば、試験により得られるガス濃度-輝度テーブルTは、ガスGの予混合状態におけるガス濃度と輝度値の関係を表したものである。このため、検査画像に映るガスGの黒い影のうち、拡散量が大きい領域(例えば、完全発達領域P3)の輝度を測定した場合、正確な漏洩ガス濃度を計測することができない。しかしながら、本実施形態では、濃度推定部114は、予混合状態を維持しているとポテンシャルコアP1を含むポテンシャルコア領域P2の輝度測定し、ガス濃度-輝度テーブルTと照らし合わせるので、漏洩ガス濃度を精度よく推定することができる。また、体積は温度によって変化する可能性があるため、体積および漏洩ガス濃度から、ガスGの放出量(質量流量)を求めることにより、正確なガスGの漏洩量を計測することができる。
【0058】
さらに、速度算出部112は、下流側(完全発達領域P3)よりも比較的拡散量が小さいポテンシャルコア領域P2の流速を算出することにより、噴流Fの流速を精度よく算出することができる。
【0059】
また、速度算出部112は、任意の検査画像における噴流出口91側における噴流Fの外縁部の特徴点pの位置と、任意のフレーム数後の検査画像における特徴点p’の位置との差に基づいて、噴流Fのポテンシャルコア領域P2の流速を算出する。
【0060】
速度算出部112は、このように噴流出口91側の特徴点p,p’から流速を算出することにより、より確実にポテンシャルコア領域P2の範囲内の流速を求めることができる。また、噴流Fの外縁部の流速uから、速度分布に基づいて噴流Fの最大流速umを算出することが可能である。
【0061】
また、ガス濃度-輝度テーブルTは、ガスGの厚みに応じて異なる複数のテーブルT1,T2,T3,T4,…を有し、濃度推定部114は、噴流出口91の半径b0に基づいて漏洩するガスGの厚みを推定し、推定したガスGの厚みに対応するテーブルに基づいて、漏洩ガス濃度を推定する。
【0062】
上記したように、従来の技術では、画像の輝度値からガスの濃度が濃いのかガスの厚みが大きいのかを区別することは困難であり、ガス濃度を正確に推定できない可能性があった。これに対し、本実施形態では、濃度推定部114は、噴流出口91の半径b0からガスGの厚みを推定し、ガスGの厚みに応じたガス濃度-輝度テーブルを利用することにより、漏洩ガス濃度を精度よく推定することができる。
【0063】
また、濃度推定部114は、ポテンシャルコア領域P2内の所定範囲のピクセルの輝度値の平均値に基づいて漏洩ガス濃度を推定する。また、濃度推定部114は、噴流Fの流速に応じて所定範囲の大きさを変更する。
【0064】
このようにすることで、濃度推定部114は、流速に応じて、ポテンシャルコアP1が存在すると推測される領域の輝度を適切に測定することができる。上記したように、ポテンシャルコアP1では予混合状態が維持されているので、ポテンシャルコアP1の輝度およびガス濃度-輝度テーブルTから、より精度よく漏洩ガス濃度を推定することができる。
【0065】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0066】
上述した実施形態に係る放出量推定装置10は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、放出量推定装置10の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することで放出量推定装置10として機能するものであってもよい。このとき、放出量推定装置10を構成する一部のコンピュータが移動体20の内部に搭載され、他のコンピュータが移動体20の外部に設けられてもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、カメラ30が移動体20に搭載される例について説明したが、これに限られない。例えば、他の実施形態では、カメラ30はガス配管9の設置エリア内に所定間隔毎に設置された固定カメラであってもよい。
【0068】
さらに、上述した実施形態では、放出量推定装置10の濃度推定部114がガス濃度-輝度テーブルTを作成する例について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、ガス濃度-輝度テーブルTは放出量推定装置10以外の他のコンピュータで作成されてもよい。
【0069】
また、上述した実施形態では、ガスGの厚み毎に複数のガス濃度-輝度テーブルTを作成する例について説明したが、これに限られることはない。他の実施形態では、例えば試験設備8の試験管80とカメラ83との離間距離を変えて、離間距離毎のガス濃度-輝度テーブルTをさらに作成してもよい。この場合、濃度推定部114は、カメラ30とガス配管9との離間距離に応じてテーブルを切り替えて用いることにより、より精度よくガス濃度を推定することが可能となる。
【0070】
<付記>
上述の実施形態に記載の放出量推定装置、放出量推定方法、およびプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0071】
(1)第1の態様によれば、検査対象9から漏洩するガスGの放出量を推定する放出量推定装置10は、検査対象9を撮影した検査画像に基づいて検査対象9から漏洩するガスGの噴流Fを検知する検知部110と、検査画像に基づいて検査対象9の噴流出口91の大きさを示す出口径を計測する出口径計測部111と、検査画像に基づいて噴流Fのポテンシャルコア領域P2の流速を算出する速度算出部112と、出口径および噴流Fの流速に基づいて噴流Fの体積を算出する体積算出部113と、検査画像におけるポテンシャルコア領域P2の輝度値と、ガスGの濃度およびガスを撮影した画像の輝度値の関係を定めたガス濃度-輝度テーブルTとに基づいて、漏洩するガスGの濃度を示す漏洩ガス濃度を推定する濃度推定部114と、噴流Fの体積および漏洩ガス濃度に基づいてガスGの放出量を推定する放出量推定部115と、を備える。
【0072】
このようにすることで、放出量推定装置10は、噴流Fの特性を利用して、精度よくガスGの放出量を推定することができる。
【0073】
例えば、試験により得られるガス濃度-輝度テーブルTは、ガスGの予混合状態におけるガス濃度と輝度値の関係を表したものである。このため、検査画像に映るガスGの黒い影のうち、拡散量が大きい領域(例えば、完全発達領域P3)の輝度を測定した場合、正確な漏洩ガス濃度を計測することができない。しかしながら、本実施形態では、濃度推定部114は、予混合状態を維持しているとポテンシャルコアP1を含むポテンシャルコア領域P2の輝度を測定し、ガス濃度-輝度テーブルTと照らし合わせるので、漏洩ガス濃度を精度よく推定することができる。また、体積は温度によって変化する可能性があるため、体積および漏洩ガス濃度から、ガスGの放出量(質量流量)を求めることにより、正確なガスGの漏洩量を計測することができる。
【0074】
さらに、速度算出部112は、下流側(完全発達領域P3)よりも比較的拡散量が小さいポテンシャルコア領域P2の流速を算出することにより、噴流Fの流速を精度よく算出することができる。
【0075】
(2)第2の態様によれば、第1の態様に係る放出量推定装置10において、速度算出部112は、複数の検査画像のうち、第1検査画像の噴流出口91側における噴流Fの外縁部の特徴点pの位置と、第1検査画像よりも任意のフレーム数後の検査画像である第2検査画像における特徴点p’の位置との差に基づいて噴流Fのポテンシャルコア領域P2の流速を算出する。
【0076】
速度算出部112は、このように噴流出口91側の特徴点p,p’から流速を算出することにより、より確実にポテンシャルコア領域P2の範囲内の流速を求めることができる。また、噴流Fの外縁部の流速uから、速度分布に基づいて噴流Fの最大流速umを算出することが可能である。
【0077】
(3)第3の態様によれば、第1または第2の態様に係る放出量推定装置10において、ガス濃度-輝度テーブルTは、ガスGの厚みに応じて異なる複数のテーブルを有し、濃度推定部114は、出口径に基づいて漏洩するガスGの厚みを推定し、推定したガスGの厚みに対応するテーブルに基づいて、漏洩ガス濃度を推定する。
【0078】
このようにすることで、濃度推定部114は、噴流出口91の半径b0からガスGの厚みを推定し、ガスGの厚みに応じたガス濃度-輝度テーブルを利用することにより、漏洩ガス濃度を精度よく推定することができる。
【0079】
(4)第4の態様によれば、第1から第3の何れか一の態様に係る放出量推定装置10において、濃度推定部114は、ポテンシャルコア領域P2内の所定範囲のピクセルの輝度値の平均値に基づいて、漏洩ガス濃度を推定し、噴流Fの流速に応じて所定範囲の大きさを変更する。
【0080】
このようにすることで、濃度推定部114は、流速に応じて、ポテンシャルコアP1が存在すると推測される領域の輝度を適切に測定することができる。ポテンシャルコアP1では予混合状態が維持されているので、ポテンシャルコアP1の輝度およびガス濃度-輝度テーブルTから、より精度よく漏洩ガス濃度を推定することができる。
【0081】
(5)第5の態様によれば、検査対象9から漏洩するガスGの放出量を推定する放出量推定方法であって、検査対象9を撮影した検査画像に基づいて検査対象から漏洩するガスGの噴流Fを検知するステップと、検査画像に基づいて検査対象の噴流出口91の大きさを示す出口径を計測するステップと、検査画像に基づいて噴流Fのポテンシャルコア領域P2の流速を算出するステップと、出口径および噴流Fの流速に基づいて噴流Fの体積を算出するステップと、検査画像におけるポテンシャルコア領域P2の輝度値と、ガスGの濃度およびガスGを撮影した画像の輝度値の関係を定めたガス濃度-輝度テーブルTとに基づいて、漏洩するガスGの濃度を示す漏洩ガス濃度を推定するステップと、噴流Fの体積および漏洩ガス濃度に基づいてガスGの放出量を推定するステップと、を有する。
【0082】
(6)第6の態様によれば、プログラムは、検査対象9から漏洩するガスGの放出量を推定する放出量推定装置10に、検査対象9から漏洩するガスGの放出量を推定する放出量推定方法であって、検査対象9を撮影した検査画像に基づいて検査対象から漏洩するガスGの噴流Fを検知するステップと、検査画像に基づいて検査対象の噴流出口91の大きさを示す出口径を計測するステップと、検査画像に基づいて噴流Fのポテンシャルコア領域P2の流速を算出するステップと、出口径および噴流Fの流速に基づいて噴流Fの体積を算出するステップと、検査画像におけるポテンシャルコア領域P2の輝度値と、ガスGの濃度およびガスGを撮影した画像の輝度値の関係を定めたガス濃度-輝度テーブルTとに基づいて、漏洩するガスGの濃度を示す漏洩ガス濃度を推定するステップと、噴流Fの体積および漏洩ガス濃度に基づいてガスGの放出量を推定するステップと、を実行させる。
【符号の説明】
【0083】
1 監視システム
9 ガス配管(検査対象)
91 噴流出口
10 放出量推定装置
11 プロセッサ
110 検知部
111 出口径計測部
112 速度算出部
113 体積算出部
114 濃度推定部
115 放出量推定部
12 メモリ
13 ストレージ
14 通信インタフェース
20 移動体
30 カメラ
8 試験設備
80 試験管
81 黒体炉
82 濃度計
83 カメラ
P1 ポテンシャルコア
P2 ポテンシャルコア領域
P3 完全発達領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8