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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033384
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】海洋自然エネルギマルチ発電装置
(51)【国際特許分類】
   F03D 9/00 20160101AFI20240306BHJP
   F03D 1/06 20060101ALI20240306BHJP
   F03B 13/16 20060101ALI20240306BHJP
   F03B 13/26 20060101ALI20240306BHJP
   H02S 10/00 20140101ALI20240306BHJP
   F03G 6/00 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F03D9/00
F03D1/06 A
F03B13/16
F03B13/26
H02S10/00
F03G6/00 551
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136927
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】712007348
【氏名又は名称】株式会社ドクター中松創研
(72)【発明者】
【氏名】中松 義郎
【テーマコード(参考)】
3H074
3H178
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
3H074AA02
3H074AA06
3H074AA12
3H074BB10
3H074CC03
3H178AA03
3H178AA24
3H178AA43
3H178AA62
3H178AA63
3H178BB31
5F151JA13
5F251JA13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】海上での風力及び波高及び太陽光やその他再生可能エネルギを低コストで有効に活用することができる発電一体設備を提供する。
【解決手段】洋上での発電に於て、風力発電装置1に上下可動電磁力を用いた波動発電装置5を設けて、風と波のエネルギを一体、及び/又は風力発電装置1にソーラ発電装置(パネル)6を、伸展したフロート52の全表面に設け、一体として発電する。また、さらに、潮流、太陽光、水温差を利用した発電装置も一体とするものである。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洋上風力発電に於て、風力による発電及び/又は波動による発電及び/又は太陽光による発電及び/又は温度差発電及び/又は海流発電及び/又は水素製造及び/又は画像表示を行う事を特徴とする海洋自然エネルギマルチ発電装置。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上での風力及び波高及び太陽光を利用する発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
CO2の排出を低減する活動が、活発化している現在、自然エネルギ(再生可能エネルギ)を活用して、発電する事が広く行われている。変換効率は、例えば、ソーラ発電20%、バイオマス発電約20%、地熱発電10~20%、風力発電20~40%であり、風力発電は、高効率であり、国内外で精力的に開発が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-056705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
技術文献1は、本願出願人が発明者である、風力とソーラ発電を複合して行う装置であるが、ソーラ発電は非常に少量であるので、内部機器電源供給程度で自然エネルギ活用した発電と迄はいかず、風力発電を地上に設置する場合、風が強くかつ人里離れた場所に設置し騒音等の問題が起らぬ様に配慮する必要があり場所的な制限が大きい。そこで、海上に風力発電装置を設けようとすると、広大な場所は確保できるが、基礎工事、設置工事、海底ケーブル、洋上変電所等付帯設備、メンテナンスも含めて、膨大な建設費がかかる。
そして、海上で発電するにあたり、その他の自然エネルギを得る事は容易であるにもかかわらず、風のみを用いる事は、自然の利用効率は極めて悪い。海上にて活用していない自然エネルギが多いのである。
海上での風力及び波高及び太陽光やその他再生可能エネルギを発電一体設備として低コストで有効に活用することが本発明解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本課題を解決す手段は、
洋上での発電に於て、風力発電装置に上下可動電磁力を用いた波力発電装置を設け風と波のエネルギを一体、及び/又は風力発電装置に光発電装置(ソーラ)を伸展したフロートの全表面に設け一体、として発電する装置である。
また、さらに、潮流、太陽光、水温差を利用した発電装置も一体とするものである。
【発明の効果】
【0006】
1.洋上の自然エネルギを非常に効率よく電気エネルギとする一石二鳥の効果があり、従来の風力発電より電気単価を下げる事が出来る。
2.従来供給している火力発電等のCO2排出設備を削減でき環境改善となる。
3.風が無いときでも、波動にて発電を継続して可能である。
4.波高が高くなく穏やかな海面の時でも、太陽光にて発電を継続して可能である。
5.潮の干満や潮流による海水の流れで発電を追加する事で、季節による風、太陽光、等の変動によらずに安定して電気を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】公知の方法で有って、着床式の風力発電装置である。
図2】公知の方法で有って、浮体式の風力発電装置である。
図3】本発明第1実施例の全体を示す図である。
図4】本発明第1実施例の波力による発電部分を示す断面図である。
図5】本発明第2実施例の波力による発電部分を示す断面図である。
図6】本発明第3実施例を示す図である。
図7】本発明第4実施例を示す図である。
図8】本発明第5実施例を示す、ナセル102及びブレード101の側面及び正面図である。
図9】本発明第6実施例を示す図である。
図10】本発明第7実施例を示す図である。
図11】本発明第7実施例でブレードの残像広告の例を示す図である。
図12】本発明第8実施例を示す図である。
図13】本発明第9実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
図1図2は、公知の海洋での風力発電装置を示す。
図1は、着床式の風力発電装置1で有って、海底3に基礎部分104を設け、海上2より発電用のタワー103を突出させ、上端に風車101を取り付けた発電設備を有するナセル102を設ける。発電した電気はタワー103内をとおって、海底地下ケーブル4にて陸上受電可能な場所まで送電される。
着床式の風力発電装置1は、海が深いところでは用いられず、遠浅の海岸線に近い部分に設置(例えば水深0~60m)されることとなる。風力発電装置としては、海岸に近いので、外洋の様な強い風でもないのでせっかく建設された基礎土台やインフラ設備は風力活用のみに利用されるのは、非常に効率が悪く、波や太陽光やそのほかの自然に得る事が出来るエネルギ源を効率的にどう用いるかが課題となる。
【0010】
図2は、浮体式の風力発電装置1で有って、タワー103はワイヤー等タワー固定具105にて海底3固定又は漂流させる。本方式は、ある程度深度がある海(例えば水深60m以上)でも用いられる。
海上の深度がある外洋の海岸より遠い場所の程、風力は強く風力発電が有効であるが、逆に海底送電線が数十キロにも及ぶこととなりメンテナンスの難しさやコスト的も課題がある。そして、波や太陽光やそのほかの自然に得る事が出来るエネルギ源を同時に用いる場合は、コストを抑え、シンプルでメンテナンスが容易な構造とする事が課題となる。
【0011】
[第1実施形態]
本発明第1実施例は、図3に示す如く、着床型の風力発電装置1のタワーを利用して波力発電装置5を一体として発電を行うシステムである。
【0012】
着床型の風力発電装置1は、海底3に埋め込まれた地底基礎部分104、その上の支柱であるタワー103、上端にはブレード101と、その回転を電気エネルギに変えたりその他基材が設けられている容器ナセル102で構成される。
そしてタワー103の海面2近傍には波動発電装置5が、タワー103の周囲に設けられる。
波動発電装置5は、内側に磁石(マグネット)51を有するドーナツ型のフロート52及び、タワー103に設けられたコイル53により構成され、コイル53とマグネット51間には空間があり、フロート52が自由に上下できる構造である。
【0013】
動作について説明する。
風力発電は、ナセル102に設けられた、検知部、駆動部にて、風向きを検知し、モータ等にてブレード101を風向きに合わせ、ブレードは回転軸を回転させる。その回転軸はナセル内の発電器に接続されており、電気へ変換し、ケーブル4を通り、海上発電所及び陸上へ送電される。(図示せず)
また、波力による発電は、波2、即ち波力により、フロート52及びマグネット51を上下させ、コイル51に電磁誘導により起電力を発生させ電気を発電する事となる。
コイルサイズや巻き数、マグネットの強度や大きさは、任意で決定し、波力に対して最大の電気エネルギを得られるように調整する。
発生した電気(非正弦波であるが)は、タワー内に設けた変換器(図示せず)を通し、風力発電で発生する電気と同調させ、例えば、交流正弦波で昇圧し、ケーブル4を通し海上変電所及び陸上へ送られる。
【0014】
図4は、本発明の第1実施形態の、コイル53とマグネット51近傍の断面図を示す。コイル53は、タワー103に、複数巻きで複数個、縦又は横に巻かれており、コイル53に間隔を隔ててマグネット510が対峙している。そして、マグネット510はコロ又はベアリング等の上下移動具54にて波高にともない移動可能となっている。図上では上下に動くスペースの記載が無いが、コイル53は分散されコイル53を超えて上下迄フロート52又はマグネット510は移動可能となっている。
コイル53から生じた電力は変換器(表示せず)を通しケーブルに流れるようにすることは図3で説明した通りである。
【0015】
本発明は着床式にて説明したが、着床式に限るものではなく、浮体式に本発明を適用しても良い。
【0016】
本発明第1実施例によると、波力の上下運動を、タワー103を利用して発電する事が出来るので、波力発電装置のコスト低減となり、且つマグネットによる発電方式をとることで、回転駆動部が殆ど存在せずメンテナンス性が良くなる効果がある。
また、構造がシンプルなので、タワー103が台風、暴風雨等に耐える程度で、ブレードに接触しない高さまで、フロートが移動可能としてよく、大きな波に対しても大量の電気を発生させることができる。
【0017】
[第2実施形態]
本発明の第1実施例にて、図5に示す如く、分割した複数のマグネット511を用いたものが第2実施形態である。
例えば風力発電が10MWクラスで有れば、タワー103は直径3m以上となり、第1実施例におけるマグネット510は、巨大で特殊仕様となり非常に高価となる。よって、分割した複数の容易に手に入れる事が出来る市販のマグネット511を用いる。
【0018】
これにより、メンテナンス性が向上し、コスト的に有利となる。
【0019】
[第3実施形態]
本発明第3実施例は、図6に示す如く、第1又は第2実施例のシステムに、ソーラ設備(ソーラパネル)6を設けたものである。
また、さらにナセルの上部にソーラ設備(ソーラパネル)6を設けても良い。
さらに、ブレードや、タワー表面もソーラフィルムを設けても良い
【0020】
波動発電システムのフロート52を展開させて、巾を広くとることで、ソーラ面積を広くする。
例えば50m半径(タワ103は例えば半径2mとする)の波動発電システム上に設けたとすると、1.4MW程度の発電能力となる。
波高が高い時は、本波動発電システムのフロート52及びソーラ6設備は数mの幅に縮める事が出来る。これにより、波、風によるソーラの剥がれ等の破壊を防ぐ。また、波が穏やかな時にウキであるフロート及びソーラ設備を伸展させ、タワー103の周囲でソーラ発電が広範囲でできるようにする。
【0021】
本発明は着床式にて説明したが、着床式に限るものではなく、浮体式に本発明を適用しても良い。
【0022】
本発明第3実施例によると、風力発電装置に、波動発電装置及び/又はソーラ設備を設ける事で、広大なスペースを容易に安価で確保でき、天候の良い日は、海上で遮るものもなく発電を効率的に実施できる。
また、波が穏やかな晴天時は、波動発電のフロート52を用いソーラ発電を行い、風力、波動発電の効率が下がることの補完として発電でき、波が高い時や天候が悪い日は波動発電にて電力を補完し、総合的に再生エネルギの利用効率をあげることができる。
【0023】
[第4実施形態]
本発明第4実施例は、図7に示す如く、図6の第3の実施例に、さらに、風力発電装置1のタワー103の海中部分にスクリュー又はブレードを設け、潮流による発電設備7を設けたものである。
前記スクリュー又はブレードは、潮流の方向に合わせる事が出来るよう、タワーの周囲を回動可能な構造としても良い。
スクリュー又はブレードを支持する軸に発生する回転を、発電機で電気に変換し、ケーブルで陸地へ送電する。
また、海底に、タワーから外部に向かって拡開する仕切り壁を設け早い潮流を発生させ、スクリュー又はブレードを高回転させるようにしても良い。
【0024】
本発明は着床式にて説明したが、着床式に限るものではなく、浮体式に本発明を適用しても良い。
【0025】
本発明第4実施例によると、潮流も利用した発電を一体化することで、潮の流れの強い場所や干満の差が激しい場所で、風力発電設備に潮流による発電設備7も加える事が出来、コストダウンしながら、更に再生エネルギを効率的に利用できる。
【0026】
本発明第5実施例は、図8に示す如く、風力発電装置1のブレード101の表面にソーラー材601を設けたものである。
透明硬質プラスチック等補強材を、ソーラーパネルに例えば圧延接着して設ける事で、ブレード101の外壁を兼ねたブレード用ソーラー材601とし、風雨衝突等に耐えられるように形成するのが好ましい。
さらにブレード101の空中での回転によりに生じる静電気も同時にキャパシタに一時保存しテ利用するのが好ましい。
ソーラー材601にて発生した電気は風車の軸を通り、ナセル内で一時充電され、他の方法で得た電気とともに、ケーブルにより陸地へ送電される。
【0027】
本発明第5実施例によると、風力用のブレードにソーラーパネルを設ける事で、ブレードはねじれているため全ての方向にパネルが向く事になるので、どの時間帯になっても、太陽光を受光する事が出来る効果がある。また、ブレードの外壁も兼ねる事で、単にソーラーパネルを貼り付けるより軽量化が図れる効果がある。
【0028】
本発明第6実施例は、図9に示す如く、浮体式の風力発電装置1に、波動発電装置5、ソーラー発電装置6およびブレードにソーラー材601を設け、蓄電設備(図示せず)も浮体式としたシステムであり、送電線401にて蓄電設備に送電し例えばそこから無線又は蓄電池その物を輸送送信して陸へ電気を供給する。
【0029】
本発明第6実施例によると、浮体式で有るために、陸地から30キロ以上離れた、水深が深い(例えば100m以上)ところに設ける事が出来き、近くに浮体式蓄電設備があるので、移動させることも可能である為、風が強いところや波が高いところに設置可能で、さらに多くの電力を得る事が出来る。また、各発電装置が一体として製造されるため、単体よりコンパクトに建設可能で電力のコストダウンができる。
そして、電気を蓄電池等保存に用いるので、陸地から遠くにシステムを設けても不利になる事は無い。
【0030】
本発明第7実施例は、図10に示す如く、風力発電装置1のブレード101に、LED81を取り付け、点滅回路82にて、図11に示す如く残存現象を用いた文字情報連絡や広告等の画像及び映像を表示する83ことを特徴とする。点滅回路は風速及び風車の回転を検出し、残像が残るように点滅させる。また、風力発電装置のタワーに設けた点滅回路および、陸上より遠隔で処理できる点滅回路を有することで、緊急時にも使用可能である。
【0031】
本発明第7実施例によると、夜間に点灯しておくため、文字情報連絡や、ブイ、灯台の代用ともなる効果があり、さらに風力発電装置1への衝突を事前に回避できる。
【0032】
本発明第8実施例は、図12に示す如く、風力発電装置1のタワー103に海洋温度差発電装置9を設け、海底の深層水92と表層水91を取り入れ、温度差にて発電することを特徴とする。
【0033】
本発明第8実施例によると、陸より離れた所に設置した風翼発電装置での海水を利用するので、温度差を大きくとれるという効果がある。
【0034】
本発明第9実施例は、図13に示す如く、風力発電装置1のタワー103に水素発生装置10を設け、風力等で発電した電気により大気を水素に還元し、水素をエネルギとして活用することを特徴とする。
【0035】
本発明第9実施例によると、風力等で発電した電気を貯めることなく水素製造するので、蓄電設備が小さくてすみ、また、送電によるロスを少なくできる効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0036】
海上での利用再生エネルギを最大限活用し、発電をおこなうことで発電によるCO2発生を低減させ、地球環境を救うことができ、
産業上の利用可能性極めて大である。


【符号の説明】
【0037】
1 風力発電装置
101 ブレード
102 ナセル
103 タワー
104 海底固定基礎
105 ワイヤー等タワー固定具
106 タワー固定具兼用深層水取入管
2 海面
3 海底
4 送電線及び通信ケーブル
401 洋上蓄電設備への送電線及び通信ケーブル
402 ガス送付管
5 波動発電装置
51 マグネット
510 マグネット大
511 マグネット小
52 フロート
53 コイル
54 コロ
6 ソーラー発電装置(パネル)
601 ブレード用ソーラ材
7 潮流による発電設備
8 ブレードにおける残像広告
81 LED
82 点滅回路
83 画像表示例
9 海洋温度差発電装置
91 表層水取り入れ
92 深層水取り入れ
10 水素発生装置


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13