(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033399
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】バッテリ診断装置
(51)【国際特許分類】
B60L 3/00 20190101AFI20240306BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240306BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240306BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240306BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
B60L3/00 S
B60L50/60
B60L58/10
H02J7/00 P
H02J7/00 Q
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136951
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】菊池 淳
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
5H125
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB01
5G503EA06
5G503EA09
5G503FA06
5H030AA08
5H030AS08
5H030FF42
5H030FF44
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC01
5H125EE23
5H125EE26
(57)【要約】
【課題】バッテリが電動車両に搭載されている状態でバッテリが正常品であるか否かの診断を行うことが可能なバッテリ診断装置を提供する。
【解決手段】電動車両1に搭載されたバッテリ2が正常であるか否かの診断処理を行うバッテリ診断装置3は、バッテリ2から所定の電流値の電流を放電させ、放電開始から所定時間が経過する前に前記バッテリの電圧が下限電圧まで低下した場合、又は、放電開始から前記所定時間が経過するまでの間の前記バッテリからの出力値が放電開始から前記所定時間が経過するまでの間に正規品で新品のバッテリが出力する出力値の所定割合以下である場合に、当該バッテリが正常品ではない可能性があると診断する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動車両に搭載されたバッテリが正常品であるか否かの診断処理を行うバッテリ診断装置であって、
前記バッテリから所定の電流値の電流を放電させ、放電開始から所定時間が経過する前に前記バッテリの電圧が下限電圧まで低下した場合、又は、放電開始から前記所定時間が経過するまでの間の前記バッテリからの出力値が放電開始から前記所定時間が経過するまでの間に正規品かつ新品のバッテリが出力する出力値の所定割合以下である場合に、当該バッテリが正常品ではないと診断することを特徴とするバッテリ診断装置。
【請求項2】
前記バッテリからの出力値に制限がかけられている場合には、当該制限を解除し、前記バッテリから前記制限より高い出力値で放電させて、前記バッテリに対する前記診断処理を行うことを特徴とする請求項1に記載のバッテリ診断装置。
【請求項3】
前記制限より高い出力値は、前記バッテリから電力が供給される前記電動車両の各装置に故障が生じない範囲の出力値のうちの上限値又はそれより小さい出力値に予め設定されていることを特徴とする請求項2に記載のバッテリ診断装置。
【請求項4】
前記所定時間は、前記バッテリが正規品かつ新品のバッテリであると仮定した場合に、当該バッテリから予め設定された前記所定の電流値で電流を放電した際に前記バッテリの電圧が、前記バッテリの中間電圧よりも前記バッテリの下限電圧に近い電圧まで減少する時間として予め設定されていることを特徴とする請求項3に記載のバッテリ診断装置。
【請求項5】
ユーザから診断を行う旨の指示があった場合に、前記バッテリに対する診断処理を行うことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のバッテリ診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリ診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラグインハイブリッド車や電気自動車等の電動車両に搭載されたバッテリの劣化を診断する装置や診断方法が種々開発されている。
例えば、特許文献1では、バッテリの電圧が第1電圧からそれより低い第2電圧に低下するまでにバッテリが放電する電荷量に基づいてバッテリの劣化判断(例えば新品か使用可能か使用不可かの診断)を行う診断装置や診断方法の技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、このようなバッテリの劣化の診断等は、バッテリが正規品である場合、すなわち正規ディーラが提供するバッテリに対して行われることが前提とされている。
そのため、ユーザが電動車両のバッテリを正規ディーラ以外で交換したような場合、バッテリが非正規品に交換されることがある。そして、非正規品のバッテリに対して上記のような診断方法でバッテリの劣化を診断しても、得られた診断結果が信頼できるものかどうかは分からない。
【0005】
また、バッテリが正規品であれば、通常、ラベル管理されているため、バッテリのパッケージを開放するなどしてラベルをチェックすればバッテリが正規品であるかどうかが分かる。
しかし、バッテリが電動車両に一旦搭載されてしまうと、搭載された状態でパッケージを開放するためには、電動車両をディーラに持ち込んだり工具を用いてパッケージを開放したりしなければならず、容易に行えない場合が少なくない。
【0006】
また、ユーザがバッテリを正規ディーラ以外で正規品のバッテリに交換した場合でも、新品のバッテリではなく経年劣化したバッテリである可能性もある。
そして、この場合、経年劣化した正規品のバッテリに対して通常の制御を行っても、制御を的確に行えるかどうかは分からない。
【0007】
なお、以下では、バッテリが正規品であり経年劣化が進んでいない場合を正常である又は正常品であるといい、上記のようにバッテリが非正規品である場合や正規品であってもバッテリの経年劣化が進んだものである場合を正常ではない又は正常品ではないという。
【0008】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、バッテリが電動車両に搭載されている状態でバッテリが正常品であるか否かの診断を行うことが可能なバッテリ診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の問題を解決するために、本発明の一実施の形態は、
電動車両に搭載されたバッテリが正常品であるか否かの診断処理を行うバッテリ診断装置であって、
前記バッテリから所定の電流値の電流を放電させ、放電開始から所定時間が経過する前に前記バッテリの電圧が下限電圧まで低下した場合、又は、放電開始から前記所定時間が経過するまでの間の前記バッテリからの出力値が放電開始から前記所定時間が経過するまでの間に正規品で新品のバッテリが出力する出力値の所定割合以下である場合に、当該バッテリが正常品ではないと診断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バッテリが電動車両に搭載されている状態でバッテリが正常品であるか否かの診断を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】電動車両に搭載されたバッテリ及びバッテリ診断装置を表す概略図である。
【
図2】時間が経過するに従ってバッテリの出力値が低下していくことを表すグラフである。
【
図3A】放電を開始すると正規品のバッテリの電圧が低下していくことを表すグラフである。
【
図3B】放電を開始すると正規品のバッテリの電圧が低下していくことを表すグラフであり、バッテリの電圧の初期値や出力値を説明するグラフである。
【
図4】非正規品のバッテリから放電を行うと所定時間taが経過する前に電圧が下限電圧まで低下する状態を表すグラフである。
【
図5A】非正規品のバッテリでは電圧が低下した後、緩やかに低下する状態にある場合があることを表すグラフであり、バッテリの出力値を説明するグラフである。
【
図5B】非正規品のバッテリでは電圧が低下した後、緩やかに低下する状態にある場合があることを表すグラフであり、バッテリの出力値を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係るバッテリ診断装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態では、電動車両1は、プラグインハイブリッド車や電気自動車等であり、
図1に示すように、バッテリ2が搭載されている。
【0013】
また、バッテリ2には、バッテリ2からの放電やバッテリ2への充電等を制御するBCU(バッテリ制御ユニット)3が接続されている。BCU3は、CPU(Central Processing Unit)等を備えたマイクロプロセッサとして構成されている。
本実施形態では、バッテリ診断装置はBCU3に構築されている。
【0014】
すなわち、BCU3がバッテリ診断装置として機能するように構成されており、以下、バッテリ診断装置3という。なお、バッテリ診断装置をBCU3とは別体の装置として構成することも可能である。
また、本実施形態では、バッテリ診断装置3は、ユーザが携帯するスマーフォン等の携帯端末10と通信を行うことができるようになっている。
【0015】
バッテリ診断装置3は、バッテリ2が電動車両1に搭載された状態で、電動車両1に搭載されたバッテリ2が正常品であるか否かの診断処理を行うようになっている。
以下、バッテリ診断装置3による診断処理について説明する。また、本実施形態に係るバッテリ診断装置3の作用効果についてもあわせて説明する。
【0016】
バッテリ診断装置3は、バッテリ2から所定の電流値(例えば100[A])の電流Iを放電させ、その際のバッテリ2の電圧Vや出力値Oに基づいてバッテリ2が正常品であるか否かの診断処理を行うようになっている。
ここで、バッテリ診断装置3による診断処理について具体的に説明する前に、正規品のバッテリ2に対して設定されている出力値Oに対する制限について説明する。
【0017】
なお、出力値Oと電圧V及び電流Iとの間には、下記(1)式に示すような関係がある。
【数1】
すなわち、出力値Oは、上記(1)式に示すように、電圧Vと電流Iの積を時間積分して算出される。
【0018】
バッテリ2が経年劣化すると、バッテリ2の出力値Oは、通常、
図2に示すように、新品状態(t=0)から時間tが経過するに従って低下していく。
そのため、電動車両1が例えば10年使用されることを見越して、使用開始から通常の使用状態下で10年間使用した時点(
図2におけるt
10参照)でバッテリ2から出力可能な出力値O
10を事前に想定する。
【0019】
そして、BCU3は、バッテリ2が新品の時点から(すなわちバッテリ2の使用開始当初から)バッテリ2からの出力値Oが最大でもO10までしか出力しないように制限してバッテリ2の制御を行うように構成されている場合がある。
このように、バッテリ2の経年劣化を見越して、バッテリ2に対して少なくとも10年間同じ制御のしかたを適用することができるように、バッテリ2からの出力を抑えた状態でバッテリ2の制御を行うように構成されている場合がある。
【0020】
しかし、このような制限をかけた状態では、バッテリ2が正常品であるか否かを診断しづらい。
そのため、本実施形態では、バッテリ診断装置3は、バッテリ2の出力値Oに制限がかけられている場合には制限を解除し、バッテリ2から上記の制限より高い出力値Oa(
図2参照)で放電させて、バッテリ2に対する診断処理を行うようになっている。
【0021】
このように、バッテリ2から高い出力値Oaで放電させると、後述するようにバッテリ2が正規品であるか非正規品であるか等によってバッテリ2の電圧V等の変化のしかたに違いが現れる場合があり、バッテリ2が正常品であるかどうかを診断しやすくなる。
しかし、この場合、例えばバッテリ2から出力可能な出力値Oの最大値Omaxで放電を行うと、バッテリ2から電力の供給を受ける電動車両1内の各装置に過大な電力が供給されてしまい、各装置に故障が生じるおそれがある。
【0022】
そのため、上記の場合に出力する制限より高い出力値Oaは、バッテリ2から電力が供給される各装置に故障が生じない範囲の出力値のうちの上限値又はそれよりやや小さい出力値に予め設定される。
なお、バッテリ2の出力値Oaをバッテリ2から電力が供給される各装置に故障が生じない範囲の出力値のうちの上限値又はそれよりやや小さい出力値に設定しなくてもバッテリ2が正常品であるかどうかを診断することができる場合には、診断処理を行う際のバッテリ2の出力値Oaは適宜の値に設定される。
【0023】
そして、例えば上記のように制限を解除した状態で、バッテリ2から所定の電流値(例えば100[A])の電流Iの放電を開始すると、バッテリ2が正規品かつ新品である場合、
図3Aに示すように、バッテリ2の電圧Vが徐々に低下していく。
すなわち、バッテリ2が正規品かつ新品である場合には、所定時間ta(例えば120[s])が経過した時点で、バッテリ2の電圧Vが初期値Vaから下限電圧Vminあるいはそれに近い電圧になるようにバッテリ2の電圧Vが低下していく。
【0024】
なお、この場合のバッテリ2の電圧Vの初期値Vaは、
図3Bに斜線を付して示す部分の面積として算出されるバッテリ2からの出力値OがOaになる値として予め設定される。
また、上記の所定時間taは、バッテリ2が正規品かつ新品である場合に、バッテリ2から所定の電流値Iaで電流を放電した際にバッテリ2の電圧Vが所定の初期値Vaから第1電圧まで減少する時間として予め設定される。ここで、第1電圧としては、中間電圧(正規品かつ新品のバッテリ2がSOC30%であるときの電圧)よりも下限電圧Vminに近い電圧が適用されるとよい。加えて、第1電圧は、下限電圧Vmin以上の電圧であるとよい。このような設定により、上記の所定時間taは、バッテリ2が正規品かつ新品である場合に、バッテリ2から所定の電流値Iaで電流を放電した際にバッテリ2の電圧Vが所定の初期値Vaから下限電圧Vminあるいはそれに近い電圧まで減少する時間となり、バッテリ2が正常品であるかどうかを診断しやすくなる。
【0025】
一方、非正規品のバッテリ2から、上記の条件で、すなわち正規品かつ新品のバッテリ2について設定した上記の電圧の初期値Vaや電流値Iaで放電を行うと、所定時間taが経過する前にバッテリ2の下限電圧Vminまで低下してしまう場合がある。
すなわち、例えば
図4に示すように、バッテリ2の電圧Vが放電開始から所定時間taが経過する前に下限電圧Vminまで低下してしまい、その時点(図中のtb参照)でバッテリ2から出力される電流値Iaが0になってしまう場合がある。当該電流値Iaが0になるのはバッテリ2を保護するための制御による。
【0026】
なお、バッテリ2が、正規品であっても、経年劣化が進んでいると、上記の放電により所定時間taが経過する前に電圧が下限電圧Vminまで低下する場合がある。
そのため、バッテリ診断装置3は、このように、放電開始から所定時間taが経過する前にバッテリ2の電圧Vが下限電圧Vminまで低下した場合に、電動車両1に搭載されているバッテリ2が正常品ではないと診断するようになっている。
【0027】
また、非正規品のバッテリ2の中には、所定時間taが経過するまでバッテリ2の電圧Vが下限電圧Vminまで低下しないものもある。
そして、例えば
図5Aに示すように、バッテリ2の電圧Vが大きく低下した後、電圧Vが緩やかに低下する状態になり、所定時間taまで電圧Vが下限電圧Vmin以上の状態を保ち続けるものがある。しかし、正規品のバッテリ2ではこのような現象は生じない。
【0028】
そこで、バッテリ診断装置3は、このような場合も、電動車両1に搭載されているバッテリ2が正常品ではないと診断するようになっている。
この場合の判断基準として、放電開始から所定時間taが経過するまでの間のバッテリ2の出力値を用いることができる。
【0029】
すなわち、正常品かつ新品のバッテリ2からの出力値Oaは、上記(1)式に基づいて、
図3Bで斜線を付して示した部分の面積として表すことができた。
それと同様に、
図5Aに示した非正規品のバッテリ2からの出力値Obは、上記(1)式に基づいて、
図5Bで斜線を付して示す部分の面積として表すことができる。
【0030】
そして、バッテリ診断装置3は、放電開始から所定時間taが経過するまでの間のバッテリ2の出力値Obの、所定時間taの間に正規品で新品のバッテリが出力する出力値Oaに対する割合を算出する。
そして、バッテリ診断装置3は、算出した割合が所定割合(例えば80%)以下である場合に当該バッテリ2が正常品ではない可能性があると診断するようになっている。
【0031】
このように、バッテリ2が正常品でない場合、すなわち非正規品である場合又は正規品であっても経年劣化が進んでいる場合、バッテリ2から高い出力値Oaで放電を行うと、バッテリ2が正規品かつ新品である場合とは異なる現象が生じる。
すなわち、バッテリ2が正規品かつ新品である場合、バッテリ2から所定の電流値Iaを所定時間taだけ出力すると、バッテリ2の電圧Vが所定の初期値Vaから下限電圧Vminあるいはそれに近い電圧まで減少する。
【0032】
それに対し、バッテリ2が正常品でない場合、バッテリ2から所定の電流値Iaを出力すると、所定時間taが経過する前にバッテリ2の電圧Vが下限電圧Vminまで低下する(
図4参照)。あるいは、放電開始から所定時間taが経過するまでの間のバッテリ2からの出力値Obが正規品かつ新品のバッテリ2が出力する出力値Oaの所定割合以下になる。
そのため、バッテリ2から高い出力値Oaで放電させてバッテリ2がこれらの状態になるか否かを診断することで、バッテリ2が正常品であるか否かを診断することが可能となる。
【0033】
なお、BCU3は、通常時の制御として、バッテリ2の電圧が下限電圧Vminに近づいた場合に、バッテリ2の出力電流が徐々に小さくなるように制御してもよい。当該制御を「第2電流制限制御」と記す。上記の「通常時」とは、走行時やバッテリ2の通常使用時など診断処理以外のときを意味する。第2電流制限制御によれば、バッテリ2の出力が高い状態のまま下限電圧Vminに達してしまうことが抑制され、それにより、下限電圧Vminの出力制限によってバッテリ2の出力が急激に低下してしまうことを抑制できる。
【0034】
通常時に第2電流制限制御が行われる場合、BCU3は、第2電流制限制御を解除して診断処理を実行してもよい。あるいは、診断処理の所定時間taとして、バッテリ2が正規品かつ新品である場合に、第2電流制限制御が発動される前に放電の時間経過となるように所定時間taが設定されてもよい。第2電流制限制御が解除された診断処理により、あるいは、上記の所定時間taが設定された診断処理により、BCU3は、バッテリ2が正常品であるか否かをより容易に診断することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態に係るバッテリ診断装置3によれば、バッテリ2から所定の電流値Iaの電流の放電を開始してから所定時間taが経過する前に電圧Vが下限電圧Vminまで低下した場合に、バッテリ2が正常品ではないと診断する。
あるいは、放電開始から所定時間taが経過するまでの間のバッテリ2からの出力値Obが正規品かつ新品のバッテリ2が出力する出力値Oaの所定割合以下である場合に、バッテリ2が正常品ではないと診断する。
【0036】
このように、実施形態に係るバッテリ診断装置3では、バッテリ2からの出力値Oあるいは電流値Iや電圧Vに基づいて、バッテリ2が正規品かつ新品である場合には生じない現象が生じた場合に、当該バッテリ2が正常品ではないと診断するように構成した。
そのため、本実施形態に係るバッテリ診断装置3によれば、バッテリ2が正常品であるか否かを診断することが可能となる。
【0037】
また、電動車両1に搭載されたバッテリ2に対して、バッテリ2を電動車両1から取り外したり、バッテリ2のパッケージを開放したり、などをしなくても、バッテリ2が正常品であるか否かを診断することが可能となる。
そのため、本実施形態に係るバッテリ診断装置3によれば、バッテリ2が電動車両1に搭載されている状態でバッテリ2が正常品であるか否かの診断を行うことが可能となる。
【0038】
なお、例えば、ユーザが正規ディーラ以外で非正規品のバッテリ2に交換したことを認識しているような場合、ユーザがバッテリ診断装置3による上記の診断処理を行わなくてもよいと考える場合があり得る。
そのため、ユーザから診断を行う旨の指示があった場合に、バッテリ2に対する診断処理を行うように構成することが可能である。
【0039】
この場合、例えば、バッテリ診断装置3は、上記の診断処理を開始する前にユーザが携帯する携帯端末10(
図1参照)に診断処理を行うかを尋ねる信号を送信するなどして、ユーザの意向を伺う。
そして、ユーザから診断処理を行う旨の指示があった場合に、バッテリ2に対する診断処理を開始し、診断処理を行わない旨の指示があった場合には診断処理を行わないように構成することが可能である。
【0040】
また、上記のように出力値の制限を解除してバッテリ2から高い電圧や電流を放電すると、バッテリ2が非正規品であると異常に発熱する可能性がある。
そのため、バッテリ2の温度が異常に上昇していないことを確認しながら上記の診断処理を行うことが望ましい。
【0041】
なお、本発明が上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
例えば、バッテリ2は、1つのバッテリで構成されていてもよく、複数のバッテリで構成されていてもよい。そして、バッテリ2が複数のバッテリで構成される場合、複数のバッテリのうち1つでも温度が異常に上昇した場合には上記の診断処理を注視するように構成することが望ましい。
【符号の説明】
【0042】
1 電動車両
2 バッテリ
3 バッテリ診断装置
I 電流
Ia 所定の電流値
O 出力値
Oa 正規品で新品のバッテリが出力する出力値、制限より高い出力値
ta 所定時間
V 電圧
Vmin 下限電圧