(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024003340
(43)【公開日】2024-01-15
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
F16H 63/34 20060101AFI20240105BHJP
B60T 1/06 20060101ALI20240105BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240105BHJP
【FI】
F16H63/34
B60T1/06 G
B60L15/20 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022102415
(22)【出願日】2022-06-27
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】弁理士法人服部国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 知彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 彰洋
【テーマコード(参考)】
3J067
5H125
【Fターム(参考)】
3J067AA21
3J067AB23
3J067BB20
3J067CA22
3J067CA29
3J067DB32
3J067FA57
3J067GA16
5H125AA01
5H125AC12
5H125BA09
5H125CA01
5H125DD07
5H125DD18
5H125EE09
5H125EE41
5H125EE62
5H125EE70
(57)【要約】
【課題】パーキングロック状態を適切に解除可能な車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両制御装置80は、車両100の駆動源である主機モータ70と、パーキングギア35およびパーキングレバー33を有するパーキングロック機構30と、アクチュエータ40と、を備える車両駆動システム90を制御するものであって、主機モータ70の駆動を制御するMG駆動制御部821と、アクチュエータ40の作動状態を判定する作動判定部822と、を備える。MG駆動制御部821は、アクチュエータ40の駆動力にてパーキングギア35とパーキングレバー33とが噛み合っている状態であるパーキングロック状態を解除できない場合に主機モータ70を駆動するトルクアシスト制御において、アクチュエータ40の作動状態に応じて主機モータ70のトルクを変更可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)の駆動源である主機モータ(70)と、
ドライブシャフト(95)に接続されるパーキングギア(35)、および、前記パーキングギアと噛み合い可能であるパーキングレバー(33)を有し、前記パーキングギアと前記パーキングレバーとが噛み合うことで前記ドライブシャフトの回転をロック可能なパーキングロック機構(30)と、
前記パーキングレバーを駆動可能なアクチュエータ(40)と、
を備える車両駆動システム(90)を制御する車両制御装置であって、
前記主機モータの駆動を制御する駆動制御部(821)と、
前記アクチュエータの作動状態を判定する作動判定部(822)と、
を備え、
前記駆動制御部は、前記アクチュエータの駆動力にて前記パーキングギアと前記パーキングレバーとが噛み合っている状態であるパーキングロック状態を解除できない場合に前記主機モータを駆動するトルクアシスト制御において、前記アクチュエータの作動状態に応じて前記主機モータの出力トルクを変更可能である車両制御装置。
【請求項2】
前記駆動制御部は、
前記アクチュエータの駆動力にてパーキングロック状態を解除できない場合、前記主機モータの出力トルクが第1トルク値となるように前記主機モータの駆動を制御し、
前記第1トルク値を出力しても前記アクチュエータの停滞が解消しない場合、前記主機モータの出力トルクが前記第1トルク値より大きい第2トルク値となるように前記主機モータの駆動を制御する請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記駆動制御部は、前記第2トルク値にて前記アクチュエータの停滞が解消された場合、前記主機モータの出力トルクを引き下げる請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記第1トルク値は、車重および車両の傾斜角から設定される値であり、
前記第2トルク値は、前記第1トルク値より大きく、前記主機モータが出力可能なトルク値以下である請求項2または3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、前記パーキングギアと前記パーキングレバーとの噛み合いが解除されるロック解除領域において、前記主機モータの出力トルクを変更する請求項1または2に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記駆動制御部は、前記ロック解除領域における前記主機モータの出力トルクが、前記アクチュエータの停滞が解消されたときのトルクとなるように前記主機モータの駆動を制御する請求項5に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記駆動制御部は、前記パーキングギアと前記パーキングレバーとの噛み合いが解除された後、目標シフトレンジに応じたトルクとなるように前記主機モータの駆動を制御する請求項1に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アクチュエータを介してパーキングロック機構の作動を制御して自動変速部のシフトレンジを切り換える電子制御装置が知られている。例えば特許文献1では、アクチュエータの出力トルクによりパーキングロック機構を解除できない場合、駆動源であるモータジェネレータが、パーキングロック機構を解除可能な駆動トルクを出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、主機モータからのトルクと噛合面圧を低減させるためのトルクとが合っていないと、パーキングロック状態を解除できなかったり、パークロックを解除した際に駆動軸に振動が発生したりする虞がある。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、パーキングロック状態を適切に解除可能な車両制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両制御装置は、車両(100)の駆動源である主機モータ(70)と、パーキングロック機構(30)と、アクチュエータ(40)と、を備える車両駆動システム(90)を制御する。パーキングロック機構は、ドライブシャフト(95)に接続されるパーキングギア(35)、および、パーキングギアと噛み合い可能であるパーキングレバー(33)を有し、パーキングギアとパーキングレバーとが噛み合うことでドライブシャフトの回転をロック可能である。アクチュエータは、パーキングレバーを駆動可能である。
【0007】
車両制御装置は、主機モータの駆動を制御する駆動制御部(821)と、アクチュエータの作動状態を判定する作動判定部(822)と、を備える。駆動制御部は、アクチュエータの駆動力にてパーキングギアとパーキングレバーとが噛み合っている状態であるパーキングロック状態を解除できない場合に主機モータを駆動するトルクアシスト制御において、アクチュエータの作動状態に応じて主機モータの出力トルクを変更可能である。これにより、パーキングロック状態を適切に解除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態による車両駆動システムを示す概略構成図である。
【
図2】第1実施形態によるパーキングロック機構を説明する斜視図である。
【
図3】車両が傾斜している状態を示す説明図である。
【
図4】第1実施形態によるMG制御処理を説明するフローチャートである。
【
図5】第1実施形態によるP抜き制御処理を説明するタイムチャートである。
【
図6】第2実施形態によるMG制御処理を説明するフローチャートである。
【
図7】第2実施形態によるP抜き制御処理を説明するタイムチャートである。
【
図8】第2実施形態によるP抜き制御処理を説明するタイムチャートである。
【
図9】第2実施形態によるP抜き制御処理を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による車両制御装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態を
図1~
図5に示す。
図1に示すように、車両駆動システム90は、主機モータ70、インバータ71、パーキングロック機構30、アクチュエータ40、および、車両制御装置80等を備え、車両100(
図3参照)に搭載される。以下適宜、主機モータ70を「MG」と記載する。
【0011】
主機モータ70は、図示しないバッテリからインバータ71を経由して電力が供給されて回転することによりトルクを発生する電動機としての機能、および、車両100の制動時に駆動されて発電する発電機としての機能を有する、所謂モータジェネレータである。主機モータ70により生じる駆動力は、減速ギア96およびドライブシャフト95を介して車輪98を回転させる。
図1では、車両100の駆動源が主機モータ70である電気自動車の例を示しているが、駆動源として図示しないエンジンを併せ持つハイブリッド車両であってもよい。
【0012】
図2に示すように、パークロックシステム91は、アクチュエータ40、ディテント機構20、および、パーキングロック機構30等を備える。アクチュエータ40は、回転式であって、例えばブラシ付きDCモータおよび減速ギア機構等から構成される。アクチュエータ40は、出力軸15を回転させることで、ディテント機構20の駆動源として機能する。
【0013】
ディテント機構20は、ディテントプレート21、ディテントスプリング25およびディテントローラ26等を有し、アクチュエータ40から出力された回転駆動力を、パーキングロック機構30へ伝達する。また、ディテント機構20は、変速機7と接続されている(
図1参照)。変速機7は、トランスアクスル等であってもよい。なお、
図1では、ディテント機構20の記載を省略した。
【0014】
ディテントプレート21は、出力軸15に固定され、アクチュエータ40により駆動される。ディテントプレート21のディテントスプリング25側には、2つの谷部211、212、および、谷部211、212を隔てる山部215が設けられる。
【0015】
ディテントスプリング25は、弾性変形可能な板状部材であり、先端にディテントローラ26が設けられる。ディテントスプリング25は、ディテントローラ26をディテントプレート21の回動中心側に付勢する。
【0016】
ディテントプレート21に所定以上の回転力が加わると、ディテントスプリング25が弾性変形し、ディテントローラ26が谷部211、212間を移動する。ディテントローラ26が谷部211、212のいずれかに嵌まり込むことで、ディテントプレート21の揺動が規制され、パーキングロック機構30の状態が決定され、シフトレンジが固定される。
【0017】
パーキングロック機構30は、パーキングロッド31、円錐体32、パーキングレバー33、軸部34、および、パーキングギア35を有する。パーキングロッド31は、略L字形状に形成され、一端311側がディテントプレート21に固定される。パーキングロッド31の他端312側には、円錐体32が設けられる。円錐体32は、他端312側にいくほど縮径するように形成される。ディテントローラ26がPレンジに対応する谷部211に嵌まり込む方向にディテントプレート21が回転すると、円錐体32が矢印Pの方向に移動する。
【0018】
パーキングレバー33は、円錐体32の円錐面と当接し、軸部34を中心に揺動可能に設けられる。パーキングレバー33のパーキングギア35側には、パーキングギア35と噛み合い可能な凸部331が設けられる。ディテントプレート21の回転により、円錐体32が矢印P方向に移動すると、パーキングレバー33が押し上げられ、凸部331とパーキングギア35とが噛み合う。一方、円錐体32が矢印notP方向に移動すると、凸部331とパーキングギア35との噛み合いが解除される。
【0019】
パーキングギア35は、減速ギア96を経由してドライブシャフト95と接続しており(
図1参照)、パーキングレバー33の凸部331と噛み合い可能に設けられる。パーキングギア35と凸部331とが噛み合うと、ドライブシャフト95の回転が規制される。
【0020】
シフトレンジがP以外のレンジであるnotPレンジのとき、パーキングギア35はパーキングレバー33によりロックされず、ドライブシャフト95の回転は、パーキングロック機構30により妨げられない。また、シフトレンジがPレンジのとき、パーキングギア35はパーキングレバー33によってロックされ、ドライブシャフト95の回転が規制される。
【0021】
図1に示すように、アクチュエータ40には、回転位置を検出するポジションセンサ68が設けられている。ポジションセンサ68は、アクチュエータ40の内部に設けられており、回転体の回転を連続的に検出可能である。一方、レンジセンサ37は、アクチュエータ40の外部であって、パーキングレバー33の近傍に設けられており、シフトレンジがPレンジおよびnotPレンジの一方から他方へ切り替わったことを判定するセンサである。
【0022】
ポジションセンサ68は、出力軸15の回転位置に換算可能であればいずれの箇所に設けてもよく、例えば最終減速段の1段手前側に設けられる。本実施形態のポジションセンサ68は、最終減速段の1段手前のギアに設けられるマグネットの回転を検出するホールICにより構成されるが、リニアセンサ、エンコーダまたはレゾルバ等であってもよい。以下、ポジションセンサ68の検出値に基づく出力軸15の回転位置をアクチュエータ角度θact、出力軸15に出力されるトルクをアクチュエータトルクTactとする。また、アクチュエータ40には、モータ電流を検出する電流センサ67が設けられる。
【0023】
車両制御装置80は、アクチュエータ制御ユニット(以下、「act-ECU」)81、および、MG制御ユニット(以下、「MG-ECU」)82等を有する。act-ECU81、および、MG-ECU82は、それぞれマイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。ECUにおける各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
【0024】
車両制御装置80は、レンジセンサ37、電流センサ67、ポジションセンサ68および傾斜角センサ87等の各種センサからの検出値を取得し、これらの検出値を各種制御に利用可能である。また、車両制御装置80は、ブレーキECU85や他の制御装置と各種情報を送受信可能に設けられている。
【0025】
act-ECU81は、機能ブロックとして、アクチュエータ駆動制御部811等を有し、ドライバ要求シフトレンジ、ブレーキスイッチからの信号および車速等に基づいてアクチュエータ40への通電を制御することで、パーキングレバー33の動作を制御する。act-ECU81は、アクチュエータ40と一体に設けてもよい。
【0026】
MG-ECU82は、機能ブロックとして、MG駆動制御部821、および、作動判定部822等を有する。MG駆動制御部821は、インバータ71を構成するスイッチング素子のオンオフ作動を制御することで、主機モータ70の駆動を制御する。作動判定部822は、アクチュエータ角度θactに基づき、アクチュエータ40の停滞等、アクチュエータ40の作動状態を判定する。
【0027】
本実施形態では、act-ECU81とMG-ECU82とが別途に設けられているが、1つのECUとして構成してもよい。また、例えば、作動判定部822をact-ECU81側に設ける、と言った具合に、後述の各種判断処理等は、act-ECU81またはMG-ECU82のいずれで実行してもよい。
【0028】
上述の通り、パークロックシステム91は、アクチュエータ40の駆動によりパーキングロック状態(以下適宜、「Pロック状態」)を切替可能に構成されている。
図3に示すように、車両100が傾斜した状態にてロックして停止している場合、車両100の前後方向に、車重Wおよび傾斜角θiに応じた荷重L(式(1)参照)がかかる。
【0029】
L=W×sinθi ・・・(1)
【0030】
例えば坂道駐車中にフットブレーキを作動させずにパーキングギア35をロックしている場合、荷重Lがドライブシャフト95を介してパーキングギア35にトルクとして伝達され、パーキングギア35とパーキングレバー33との噛み合い箇所に面圧が生じる。このような状態にて、パーキングギア35からパーキングレバー33を引き抜くとき、噛み合い箇所にかかる荷重の分、平坦路にある場合より大きなトルクを要する。以下適宜、荷重Lによりパーキングギア35とパーキングレバー33との噛み合い箇所に生じる面圧を「噛合面圧」、パーキングギア35からパーキングレバー33を引き抜くことを「P抜き」とする。
【0031】
アクチュエータ40の出力可能なトルクが比較的小さい場合、車両100の傾斜により噛合面圧が生じており、アクチュエータトルクTactのみでのP抜きができないと、アクチュエータ40が停滞状態となる。また、噛合面圧成分のトルクをアクチュエータ40で賄う場合、アクチュエータ40の体格が大型化する。
【0032】
そこで、P抜き時に必要に応じて主機モータ70を駆動し、噛合面圧成分を低減するトルクを発生させる。以下適宜、主機モータ70にてパーキングロック機構30の噛合面圧を低減させるトルクを発生させる制御をトルクアシスト制御とする。主機モータ70から発生させるトルクは、傾斜角θi、車重W、タイヤ径、および、減速ギア96のギア比等から算出される。しかしながら、算出されたトルクよりも、実際に車輪98から入力されるトルクの方が大きい場合、噛合面圧を十分に下げることができず、P抜きができない虞がある。
【0033】
本実施形態では、P抜き作動時において、傾斜角θiや車重W等から推定されたキャンセルトルクを印加しても、アクチュエータ40の停滞が解消されない場合、さらに主機モータ70のトルクを上昇させることで、パーキングロック状態を解除する。
【0034】
本実施形態のMG制御処理を
図4のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、MG-ECU82にて所定の周期で実行される。以下、ステップS101等の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。
【0035】
S101では、MG-ECU82は、notP切替要求があるか否か判断する。notP切替要求がないと判断された場合(S101:NO)、S102以降の処理をスキップする。notP切替要求があると判断された場合(S101:YES)、S102へ移行する。
【0036】
S102では、MG-ECU82は、アクチュエータ40が駆動中か否か判断する。アクチュエータ40が駆動中でないと判断された場合(S102:NO)、S103へ移行し、アクチュエータ駆動指示をact-ECU81に送信し、アクチュエータ40の駆動を開始する。アクチュエータ40が駆動中であると判断された場合(S102:YES)、S104へ移行する。なお、アクチュエータ40への通電を行っているものの、停滞している場合も、「駆動中」とみなす。
【0037】
S104では、MG-ECU82は、アクチュエータ角度θactに基づき、アクチュエータ40が停滞中か否か判断する。アクチュエータ40が停滞していないと判断された場合(S104:NO)、S108へ移行する。アクチュエータ40が停滞中であると判断された場合(S104:YES)、S105へ移行する。
【0038】
S105では、MG-ECU82は、主機モータ70から出力されるトルクであるMGトルクTmgが設定トルク値Tpに到達したか否か判断する。設定トルク値Tpは、傾斜角θiや車重W等から推定される値であって、固定値としてもよいし、傾斜角θi等に応じて可変であってもよい。なお、傾斜角θiは、傾斜角センサ87の検出値に基づく値としてもよいし、地図データに含まれる道路勾配やサスペンションに設けられたストロークセンサ等に基づく値としてもよい。MGトルクTmgが設定トルク値Tpに到達していないと判断された場合(S105:NO)、S106へ移行し、MGトルクTmgが設定トルク値Tpとなるように、主機モータ70を制御する。図中等、MGトルクTmgが所定の値となるように制御することを「追従制御」とする。MGトルクが設定トルク値Tpに到達していると判断された場合(S105:YES)、S107へ移行する。
【0039】
S107では、MGトルクTmgが設定トルク値Tpではアクチュエータ40の停滞が解消されていないため、MG駆動制御部821は、出力トルクが上限トルク値Tuとなるように、主機モータ70を制御する。なお、応答遅れ等を考慮し、所定の待機時間、設定トルク値Tpを保持した後に、トルク指令値Tmg*を上限トルク値Tuに変更するようにしてもよい。
【0040】
上限トルク値Tuは、設定トルク値Tpより大きく、主機モータ70の仕様に基づく最大トルク以下に設定される。出力トルクが上限トルク値Tuとなるように制御する上限トルク制御において、単位時間あたり(例えば制御周期あたり)のトルク変化量Δtuは、アクチュエータ40の通電開始から所定時間内にてロック解除が完了するように、アクチュエータ40の過熱や通電開始後からの積算通電量が閾値を超えたことによる制御停止時間を考慮して設定される。または、トルク変化量Δtuは、アクチュエータ40の停滞時間が所定時間内となるように設定される。
【0041】
アクチュエータ40が停滞していないと判断された場合(S104:NO)に移行するS108では、MG-ECU82は、主機モータ70が駆動中か否か判断する。主機モータ70が駆動中でないと判断された場合(S108:NO)、S109以降の処理をスキップし、アクチュエータ40の駆動力にてP抜きを実施する。主機モータ70が駆動中であると判断された場合(S108:YES)、S109へ移行する。
【0042】
S109では、MG駆動制御部821は、上限トルク制御中か否か判断する。上限トルク制御中であると判断された場合(S109:YES)、S110へ移行し、MGトルクTmgが設定トルク値Tpに戻るように、主機モータ70を制御する。なお、上限トルク値Tuでの制御を所定時間継続した後に設定トルク値Tpに戻すようにしてもよい。上限トルク制御中でないと判断された場合(S109:NO)、S111へ移行する。
【0043】
S111では、MG駆動制御部821は、Pロック状態が解除されたか否かを判断する。ここでは、アクチュエータ角度θactが解除判定閾値θthに到達した場合、Pロック状態が解除されたと判定する。また、レンジセンサ37の検出値に基づいて判定してもよい。Pロック状態が解除されていないと判断された場合(S111:NO)、S112以降の処理をスキップし、設定トルク値TpでのMG制御を継続する。Pロック状態が解除されたと判断された場合(S111:YES)、S112へ移行する。なお、アクチュエータ40は、本処理とは別制御にて、Pロック解除後の任意のタイミングにて駆動を停止する。
【0044】
S112では、MG駆動制御部821は、MGトルクTmgがエンドトルク値Tendか否か判断する。エンドトルク値Tendは、例えば0等の任意の値であってもよいし、外部制御部から取得される目標シフトレンジに応じたクリープトルク値Tcrとしてもよい。MGトルクTmgがエンドトルク値Tendではないと判断された場合(S112:NO)、S113へ移行し、MGトルクTmgがエンドトルク値Tendとなるように、主機モータ70を制御する。MGトルクTmgがエンドトルク値Tendであると判断された場合(S112:YES)、S114へ移行し、P抜きにおける主機モータ70によるトルクアシスト制御を完了する。この後は、例えば走行トルク等に応じた制御へ移行する。
【0045】
本実施形態のP抜き制御処理を
図5のタイムチャートに基づいて説明する。
図5は、共通時間軸を横軸とし、上段にアクチュエータ角度θact、下段にMGトルクTmgを示す。後述の実施形態におけるタイムチャートも同様である。
図5では、設定トルク値TpでのP抜きが可能であった場合を破線、設定トルク値TpでのP抜きができなかった場合を一点鎖線、設定トルク値Tpから上限トルク値Tuに上げることでP抜き可能であった場合を実線で示した。
【0046】
時刻x10にて、Pロック解除指示が取得されると、アクチュエータ40が駆動される。噛合面圧が大きく、アクチュエータ角度θactが停滞すると、時刻x11にて、トルク指令値Tmg*を設定トルク値Tpとして、トルクアシスト制御を開始する。
【0047】
破線で示すように、噛合面圧が設定範囲内であれば、設定トルク値TpでのアシストによりP抜きが可能であり、時刻xpにてアクチュエータ角度θactが解除判定閾値θthに到達すると、Pロック解除判定され、トルク指令値Tmg*をエンドトルク値Tendとする。この例では、Pロック解除判定されると、エンドトルク値Tendを0または0に近い設定値とし、MGトルクTmgが十分に低下したタイミングcrにて、MGトルクTmgをクリープトルク値Tcrとしている。
【0048】
一点鎖線で示すように、車軸側から入力されるトルクが想定よりも大きいと、設定トルク値Tpでは噛合面圧を十分に下げられない場合がある。この場合、時刻xqにて、アクチュエータ40の過熱等による制御停止モードになると、Pロック状態を解除することができない。
【0049】
そこで本実施形態では、設定トルク値Tpにて主機モータ70によるアシストを行ってもアクチュエータ40の停滞が解消されなかった場合、時刻x12にて、トルク指令値Tmg*を上限トルク値Tuに引き上げる。また、アクチュエータ40の停滞が解消された時刻x13にて、トルク指令値Tmg*を設定トルク値Tpに戻す。動摩擦力は静止摩擦力より小さく、一旦アクチュエータ40が動き出せば、動き出しほどのトルクアシストは不要であるため、Pロック解除前にMGトルクTmgを設定トルク値Tpに戻すことで、Pロック解除時の車両の飛び出しや振動を防ぐ。
【0050】
時刻x14にて、アクチュエータ角度θactが解除判定閾値θthに到達すると、Pロック解除判定され、トルク指令値Tmg*をエンドトルク値Tendとする。以降の処理は、設定トルク値Tpでの停滞解消が可能であった場合と同様であるため、説明を省略する。
【0051】
本実施形態では、Pロック解除時にアクチュエータ40が停滞した場合の主機モータ70によるトルクアシスト制御において、トルク指令値Tmg*を複数段階で設定可能である。詳細には、車重Wおよび傾斜角θi等から推定される設定トルク値Tpよりも大きい値である上限トルク値Tuをトルク指令値Tmg*として設定可能である。これにより、坂道駐車等で、想定よりも実際の負荷が大きい状態であっても、適切にP抜きを行うことができる。
【0052】
以上説明したように、車両制御装置80は、車両100の駆動源である主機モータ70と、パーキングロック機構30と、アクチュエータ40と、を備える車両駆動システム90を制御する。パーキングロック機構30は、ドライブシャフト95に接続されるパーキングギア35、および、パーキングギア35と噛み合い可能であるパーキングレバー33を有し、パーキングギア35とパーキングレバー33とが噛み合うことでドライブシャフトの回転をロック可能である。アクチュエータ40は、パーキングレバー33を駆動可能である。
【0053】
車両制御装置80は、主機モータ70の駆動を制御するMG駆動制御部821と、アクチュエータ40の作動状態を判定する作動判定部822と、を備える。MG駆動制御部821は、アクチュエータ40の駆動力にてパーキングギア35とパーキングレバー33とが噛み合っている状態であるパーキングロック状態を解除できない場合に主機モータ70を駆動するトルクアシスト制御において、アクチュエータ40の作動状態に応じて主機モータ70のトルクを変更可能である。これにより、パーキングロック状態を適切に解除することができる。また、パークロック解除時における振動を抑制可能である。
【0054】
MG駆動制御部821は、アクチュエータ40の駆動力にてパーキングロック状態を解除できない場合、MGトルクTmgが設定トルク値Tpとなるように主機モータ70の駆動を制御し、設定トルク値Tpを出力してもアクチュエータ40の停滞が解消しない場合、MGトルクTmgが設定トルク値Tpより大きい上限トルク値Tuとなるように主機モータ70の駆動を制御する。本実施形態では、設定トルク値Tpは、車重Wおよび車両100の傾斜角θiから設定される値である。上限トルク値Tuは、設定トルク値Tpより大きく、主機モータ70が出力可能なトルク値以下である。
【0055】
これにより、パーキングロック機構30の摩擦や、傾斜角センサ87と実際の車輪98の傾斜のずれ等の影響により設定トルク値Tpにてパーキングロック状態が解除できない場合であっても、MGトルクTmgを上限トルク値Tuに引き上げることで、適切にパーキングロック状態を解除可能である。
【0056】
MG駆動制御部821は、上限トルク値Tuにてアクチュエータ40の停滞が解消された場合、MGトルクTmgを引き下げる。本実施形態では、上限トルク値Tuにてアクチュエータ40の停滞が解消された場合、MGトルクTmgを設定トルク値Tpに戻すが、例えば後述の実施形態の釣り合いトルク値Tbや任意の値となるように制御してもよい。これにより、パーキングロック状態が解除されたときの振動を抑制することができる。
【0057】
(第2実施形態)
第2実施形態を
図6~
図9に示す。第2実施形態は、主にMG制御処理が上記実施形態と異なっているので、この点を中心に説明する。本実施形態のMG制御処理を
図6のフローチャートに基づいて説明する。S201~S208の処理は、
図4中のS101~S108の処理と同様である。
【0058】
アクチュエータ40が停滞しておらず、MG駆動中であると判断された場合(S204:NO、S208:YES)に移行するS209では、MG駆動制御部821は、釣り合いトルク値Tbを設定する。設定トルク値Tpにて停滞解消可能であった場合、釣り合いトルク値Tbは、車重Wおよび傾斜角θiに基づいて演算される値とする。上限トルク値Tuでの制御を行った場合、釣り合いトルク値Tbは、アクチュエータ40が動き出したときのMGトルクTmgに設定される。なお、設定トルク値Tpにて停滞解消可能であった場合にも、アクチュエータ40が動き出したときのMGトルクTmgを釣り合いトルク値Tbとして設定してもよい。釣り合いトルク値Tbが設定済みであれば、その状態を維持する。
【0059】
S210の処理は、
図4中のS109の処理と同様であり、上限トルク制御中であると判断された場合(S210:YES)、S212へ移行し、MGトルクTmgが設定トルク値Tpに戻るように制御する。上限トルク制御中でないと判断された場合(S210:NO)、S211へ移行する。
【0060】
S211では、MG駆動制御部821は、アクチュエータ角度θactがロック解除領域に到達したか否か判定する。ロック解除領域は、アクチュエータ角度θactが、解除判定閾値θthである状態を含み、解除判定閾値θthの前および後の少なくとも一方側に設定される範囲とする。また、角度範囲に替えて、時間や制御回数等で領域を規定してもよい。ロック解除領域に到達していないと判断された場合(S211:NO)、S212へ移行し、トルク指令値Tmg*を設定トルク値Tpとしての制御を継続する。ロック解除領域に到達したと判断された場合(S211:YES)、S213へ移行する。
【0061】
S213では、MG駆動制御部821は、アクチュエータ角度θactがロック解除領域内か否か判断する。アクチュエータ角度θactがロック解除領域でないと判断された場合(S213:NO)、すなわちアクチュエータ角度θactがロック解除領域を超えて駆動された場合、S215へ移行する。S215~S217の処理は、
図4中のS112~S114の処理と同様である。アクチュエータ角度θactがロック解除領域内であると判断された場合(S213:YES)、S214へ移行する。
【0062】
S214では、MG駆動制御部821は、MGトルクTmgが釣り合いトルク値Tbとなるように、主機モータ70を制御する。ここでは、トルク指令値Tmg*を釣り合いトルク値Tbとしてもよいが、制御期間が比較的短い場合、主機モータ70の応答遅れを考慮して釣り合いトルク値Tbに応じて設定された値をトルク指令値Tmg*としてもよい。また、釣り合いトルク値Tbに追従させる制御期間の単位時間あたりのトルク変化量Δtbは、エンドトルク値Tendまでトルクを低下させるときのトルク変化量Δteより大きい値とし、MGトルクTmgが速やかに釣り合いトルク値Tbとなるように制御することが望ましい。
【0063】
本実施形態のP抜き制御処理を
図7~
図9のタイムチャートに基づいて説明する。
図7および
図8は、ロック解除領域が解除判定閾値θthの後側に設定されている場合を説明する。
図7は、設定トルク値Tpにて停滞が解消可能であった場合の例である。時刻x23までの処理は
図5にて説明した処理と同様であって、時刻x20にてPロック解除指示が取得されると、アクチュエータ40の駆動を開始する。時刻x21にてアクチュエータ40が停滞すると、トルク指令値Tmg
*を設定トルク値TpとしてMGトルクアシスト制御を行う。
【0064】
時刻x22にて、アクチュエータ40の停滞が解消し、時刻x23にて、アクチュエータ角度θactが解除判定閾値θthに到達すると、パーキングギア35とパーキングレバー33との噛み合いが外れ、ドライブシャフト95が回転可能となる。
【0065】
このとき、ドライブシャフト95からのトルクと主機モータ70からのトルクとに差があると、差分トルクにより車両100を前進または後退させる挙動となりえるため、車両100に振動が生じる。そこで本実施形態では、ロック解除領域にてドライブシャフト95からのトルクと釣り合うトルクを主機モータ70にて発生させることで、P抜き時の振動が抑制される。
【0066】
その後、トルク指令値Tmg*をクリープトルク値Tcrとして主機モータ70を制御し、時刻x24にてMGトルクTmgがクリープトルク値Tcrに到達する。Pロック解除後のトルク指令値Tmg*を目標シフトレンジに応じたクリープトルク値Tcrとすることで、クリープトルク入力に移行するまでの主機モータ70のトルク変動を避けることができ、振動発生を抑制することができる。なお、MGトルクTmgがクリープトルク値Tcrに到達した後の主機モータ70は、走行トルク等に応じ、別処理にて制御される。
【0067】
図8は、アクチュエータ40の停滞解消に上限トルク値Tuでの制御を行った場合の例である。時刻x30にてPロック解除指示が取得されると、アクチュエータ40の駆動を開始し、時刻x31にてアクチュエータ40が停滞すると、トルク指令値Tmg
*を設定トルク値TpとしてMGトルクアシスト制御を行う。
【0068】
MGトルクTmgが設定トルク値Tpに到達してもアクチュエータ40の停滞が解消されない場合、時刻x32にて、トルク指令値Tmg*を上限トルク値Tuとする。時刻x33にてアクチュエータ40が動き始めると、このときのMGトルクTmgを釣り合いトルク値TbとしてRAM等に記憶しておく。また、時刻x34にて、トルク指令値Tmg*を設定トルク値Tpに戻す。
【0069】
時刻x35にて、アクチュエータ角度θactが解除判定閾値θthに到達すると、トルク指令値Tmg*を釣り合いトルク値Tbとする。上限トルク値Tuでの制御を行った場合、車重Wおよび傾斜角θiから想定されるトルクよりも大きなトルクがドライブシャフト95側にかかっている。そこで、アクチュエータ40が動き出したタイミングのMGトルクTmgを印加することで、実際にドライブシャフト95にかかっているトルクをキャンセル可能であり、振動を抑制することができる。その後、トルク指令値Tmg*をクリープトルク値Tcrとして主機モータ70を制御し、時刻x36にてMGトルクTmgがクリープトルク値Tcrに到達する。
【0070】
図9は、ロック解除領域が解除判定閾値θthの手前側から設定されており、上限トルク値Tuでの制御を行っていない場合を示している。
図9では、ロック解除領域の開始角度をθbとした。時刻x40~時刻x42の処理は、
図7中の時刻x20~時刻x22の処理と同様である。
【0071】
時刻x43にて、アクチュエータ角度θactがロック解除領域の開始角度θbに到達すると、MGトルクTmgが釣り合いトルク値Tbとなるように主機モータ70を制御する。この例では、上限トルク値Tuでの制御を行っていないので、設定トルク値Tpからトルクを下げるように制御しているが、上限トルク値Tuでの制御を行っていた場合には、
図8にて説明したのと同様、設定トルク値Tpからトルクを上げるように制御する。
【0072】
これにより、アクチュエータ角度θactが解除判定閾値θthに到達し、Pロックが解除されるとき、ギアセット周りのトルクが釣り合う状態となっているため、P抜き時の振動を抑制することができる。時刻x44以降の処理は、
図7中の時刻x23以降の処理と同様である。
【0073】
本実施形態では、MG駆動制御部821は、パーキングギア35とパーキングレバー33との噛み合いが解除されるロック解除領域において、MGトルクTmgを変更する。詳細には、MG駆動制御部821は、ロック解除領域におけるMGトルクTmgが、アクチュエータ40の停滞が解消されたときのトルクである釣り合いトルク値Tbとなるように、主機モータ70の駆動を制御する。「アクチュエータ40の停滞が解消されたときのトルク」は、停滞が解消されたときの検出値等に基づく実値であってもよいし、車重Wおよび傾斜角θiに基づく推定値であってもよい。これにより、パーキングロック状態が解除されることで解放される車重Wの傾斜方向成分がキャンセルされるので、P抜きに伴う振動を低減することができる。
【0074】
MG駆動制御部821は、パーキングギア35とパーキングレバー33との噛み合いが解除された後、目標シフトレンジに応じたトルクであるクリープトルク値Tcrとなるように主機モータ70の駆動を制御する。これにより、主機モータ70のトルク変動による振動を抑制することができる。また上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0075】
実施形態では、MG駆動制御部821が「駆動制御部」、MGトルクTmgが「主機モータの出力トルク」、設定トルク値Tpが「第1トルク値」、上限トルク値Tuが「第2トルク値」に対応する。
【0076】
(他の実施形態)
上記実施形態では、例えば設定トルク値から上限トルク値への切り替え等、主機モータの出力トルクを変更する場合、トルク変化量は一定であり、線形的にトルクを変化させている。他の実施形態では、非線形的にトルクを変化させるようにしてもよい。また、パルス状に増減させた制御値を重畳させるようにしてもよい。パルス駆動とすることで、パークロックを解除しやすくすることができる。
【0077】
第2実施形態および第3実施形態では、ロック解除領域において、主機モータの出力トルクを釣り合いトルク値Tbとする。他の実施形態では、傾斜角θiから推定される車両停止中の前後方向の加速度値と、加速度センサの検出値により検出されるパーキングロック解除後の車両の前後方向の加速度値との差分に応じて釣り合いトルク値Tbを補正するようにしてもよい。これにより、車両の振動をより低減することができる。
【0078】
上記実施形態では、ディテント部材であるディテントプレートには2つの谷部が設けられている。他の実施形態では、谷部の数は2つに限らず、3以上であってもよい。また、アクチュエータ、ディテント機構やパーキングロック機構等の構成は、上記実施形態と異なっていてもよい。上記実施形態では、ディテント機構20により、パーキングロック状態を保持する。他の実施形態では、ディテント機構20に替えて、アクチュエータ40自身のセルフロック機構によりパーキングロック状態を保持するように構成してもよい。
【0079】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0080】
30・・・パーキングロック機構
33・・・パーキングレバー
35・・・パーキングギア
40・・・アクチュエータ
70・・・主機モータ
80・・・車両制御装置
81・・・アクチュエータ制御ユニット
82・・・MG制御ユニット
821・・・MG駆動制御部(駆動制御部)
822・・・作動判定部