(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033404
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】通信方法、冷凍空調関連システム、及び通信ノード
(51)【国際特許分類】
H04L 12/28 20060101AFI20240306BHJP
F24F 11/54 20180101ALI20240306BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 400
F24F11/54
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136958
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】徳田 三恵春
(72)【発明者】
【氏名】村上 友樹
(72)【発明者】
【氏名】青戸 渉
【テーマコード(参考)】
3L260
5K033
【Fターム(参考)】
3L260AB03
3L260AB04
3L260BA64
3L260JA17
5K033AA03
5K033CB01
5K033DA01
5K033DA11
(57)【要約】
【課題】通信方法、冷凍空調関連システム、及び通信ノードの提供。
【解決手段】冷凍空調関連ユニットの状態変化に関するデータを複数の通信ノードの間で通信する通信方法であって、第一の通信ノードは、第二の通信ノードが前記状態変化を検出した場合に、前記第二の通信ノードが前記データを送信すべき通信ノードへ送信するタイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、生成した前記メッセージを前記第二の通信ノードへ送信するッセージを生成し、生成した前記メッセージを前記第二の通信ノードへ送信する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍空調関連ユニットの状態変化に関するデータを複数の通信ノードの間で通信する通信方法であって、
第一の通信ノードは、
第二の通信ノードが前記状態変化を検出した場合に、前記第二の通信ノードが前記データを送信すべき通信ノードへ送信するタイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、
生成した前記メッセージを前記第二の通信ノードへ送信する
通信方法。
【請求項2】
前記第二の通信ノードは、
前記状態変化を検出した場合、受信した前記メッセージに含まれる前記タイミングに係る情報に基づき、前記データの送信を遅延させる
請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記タイミングは、前記第二の通信ノードに固有に定められる複数のタイミングのうち、前記状態変化を検出した後の最先のタイミングとして決定される
請求項1又は請求項2に記載の通信方法。
【請求項4】
前記タイミングは、前記状態変化を検出してからの経過時間に基づき規定される
請求項1又は請求項2に記載の通信方法。
【請求項5】
前記タイミングは、前記第二の通信ノードの間で同期した基準時間からの経過時間に基づき規定される
請求項1から請求項3の何れか1つに記載の通信方法。
【請求項6】
前記タイミングは、前記データを送信すべき通信ノードの台数及び順序に基づき規定される
請求項1から請求項5の何れか1つに記載の通信方法。
【請求項7】
前記第一の通信ノードは室外機であり、前記第二の通信ノードは室内機である
請求項1から請求項6の何れか1つに記載の通信方法。
【請求項8】
前記第一の通信ノードは、集中制御装置を更に含む
請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
前記第一の通信ノードは、サービスチェッカーを更に含む
請求項7に記載の通信方法。
【請求項10】
前記メッセージは、CoAP(Constrained Application Protocol)により規定される形式を有し、前記タイミングに係る情報は、前記メッセージに含まれるペイロードに記述される
請求項1から請求項9の何れか1つに記載の通信方法。
【請求項11】
冷凍空調関連ユニットの状態変化に関するデータを複数の通信ノードの間で通信する冷凍空調関連システムであって、
第一の通信ノードは、
制御部と、
通信部と
を備え、
前記制御部は、第二の通信ノードが前記状態変化を検出した場合に、前記第二の通信ノードが前記データを送信すべき通信ノードへ送信するタイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、
前記通信部は、前記制御部が生成した前記メッセージを前記第二の通信ノードへ送信する
冷凍空調関連システム。
【請求項12】
冷凍空調関連システムにおける通信ノードであって、
制御部と、
通信部と
を備え、
前記制御部は、他の通信ノードが冷凍空調関連ユニットの状態変化を検出した場合に、前記他の通信ノードがデータを送信すべき通信ノードへ送信するタイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、
前記通信部は、前記制御部が生成した前記メッセージを前記他の通信ノードへ送信する
通信ノード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信方法、冷凍空調関連システム、及び通信ノードに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な冷凍空調関連システムでは、例えば、1つの集中制御装置に複数の室外機を接続し、各室外機に複数の室内機を接続して、通信のためのネットワークを構築している(例えば、特許文献1を参照)。集中制御装置、室外機及び室内機を含む複数の機器の間で種々のデータが送受信され、各機器の集中制御や協調動作等が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、特定の機器における処理負荷の増大を抑えることができる通信方法、冷凍空調関連システム、及び通信ノードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る通信方法は、冷凍空調関連ユニットの状態変化に関するデータを複数の通信ノードの間で通信する通信方法であって、第一の通信ノードは、第二の通信ノードが前記状態変化を検出した場合に、前記第二の通信ノードが前記データを送信すべき通信ノードへ送信するタイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、生成した前記メッセージを前記第二の通信ノードへ送信する。
【0006】
本開示の一側面に係る通信方法は、前記第二の通信ノードは、前記状態変化を検出した場合、受信した前記メッセージに含まれる前記タイミングに係る情報に基づき、前記データの送信を遅延させることが好ましい。
【0007】
本開示の一側面に係る通信方法は、前記タイミングは、前記第二の通信ノードに固有に定められる複数のタイミングのうち、前記状態変化を検出した後の最先のタイミングとして決定されることが好ましい。
【0008】
本開示の一側面に係る通信方法は、前記タイミングは、前記状態変化を検出してからの経過時間に基づき規定されることが好ましい。
【0009】
本開示の一側面に係る通信方法は、前記タイミングは、前記第二の通信ノードの間で同期した基準時間からの経過時間に基づき規定されることが好ましい。
【0010】
本開示の一側面に係る通信方法は、前記タイミングは、前記データを送信すべき通信ノードの台数及び順序に基づき規定されることが好ましい。
【0011】
本開示の一側面に係る通信方法は、前記第一の通信ノードは室外機であり、前記第二の通信ノードは室内機であることが好ましい。
【0012】
本開示の一側面に係る通信方法は、前記第一の通信ノードは、集中制御装置を更に含むことが好ましい。
【0013】
本開示の一側面に係る通信方法は、前記第一の通信ノードは、サービスチェッカーを更に含むことが好ましい。
【0014】
本開示の一側面に係る通信方法は、前記メッセージは、CoAP(Constrained Application Protocol)により規定される形式を有し、前記タイミングに係る情報は、前記メッセージに含まれるペイロードに記述されることが好ましい。
【0015】
本開示の一側面に係る冷凍空調関連システムは、冷凍空調関連ユニットの状態変化に関するデータを複数の通信ノードの間で通信する冷凍空調関連システムであって、第一の通信ノードは、制御部と、通信部とを備え、前記制御部は、第二の通信ノードが前記状態変化を検出した場合に、前記第二の通信ノードが前記データを送信すべき通信ノードへ送信するタイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、前記通信部は、前記制御部が生成した前記メッセージを前記第二の通信ノードへ送信する。
【0016】
本開示の一側面に係る通信ノードは、冷凍空調関連システムにおける通信ノードであって、制御部と、通信部とを備え、前記制御部は、他の通信ノードが冷凍空調関連ユニットの状態変化を検出した場合に、前記他の通信ノードがデータを送信すべき通信ノードへ送信するタイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、前記通信部は、前記制御部が生成した前記メッセージを前記他の通信ノードへ送信する。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、特定の機器における処理負荷の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施の形態に係る冷凍空調関連システムの構成例を示す模式図である。
【
図2】室外機の構成例を説明するブロック図である。
【
図3】室内機の構成例を説明するブロック図である。
【
図4】集中制御装置の構成例を説明するブロック図である。
【
図6】機器間で送受信するメッセージ(電文)のフォーマットを示す概念図である。
【
図7】冷媒制御に関する通信における通信手順を説明するフローチャートである。
【
図8】冷媒制御に関する通信における通信手順を説明するフローチャートである。
【
図9】集中制御に関する通信における通信手順を説明するフローチャートである。
【
図10】集中制御に関する通信における通信手順を説明するフローチャートである。
【
図11】送信タイミングの設定例を説明する説明図である。
【
図12】実施の形態2における通信手順を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、実施の形態に係る冷凍空調関連システムを図面に基づいて具体的に説明する。なお、本技術はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
(実施の形態1)
図1は実施の形態に係る冷凍空調関連システムの構成例を示す模式図である。実施の形態に係る冷凍空調関連システム1は、冷凍空調関連ユニットに関する情報を複数の通信ノードの間で通信するためのシステムである。冷凍空調関連システム1を構成する通信ノードは、集中制御装置10、室外機30、室内機50、中継機器70等の冷凍空調関連機器を含む。通信ノード間で送受信する情報は、冷凍空調関連ユニットに関する情報であり、冷媒制御に関する情報や集中監視操作に関する情報などを含む。ここで、冷凍空調関連ユニットに関する情報とは、機器自体の情報であってもよく、冷凍空調関連機器を構成する一部の要素に関する情報であってもよい。
【0021】
通信ノードは、上記のものに限らず、サービスチェッカー、リモコン(リモートコントローラ)、換気装置、通信装置、制御装置などの種々の冷凍空調関連機器を含んでもよい。以下の説明において、通信ノードとして冷凍空調関連システム1に接続される冷凍空調関連機器を単に機器とも記載する。
【0022】
図1に示す冷凍空調関連システム1では、1つの集中制御装置10と複数の室外機30とが伝送線を介して接続されている。本実施の形態では、複数の機器がデイジーチェイン方式にて接続される。すなわち、集中制御装置10には第1の室外機30が第1の伝送線を介して接続され、第1の室外機30には第2の室外機30が第2の伝送線を介して接続され、第2の室外機30には第3の室外機30が第3の伝送線を介して接続される。ここで、集中制御装置10と複数の室外機30とを接続している複数の伝送線は電気的に導通している。このため、例えば集中制御装置10が送信した信号はデイジーチェイン方式で接続された全ての室外機30にて受信することが可能であり、いずれか1つの室外機30が送信した信号は集中制御装置10及び他の全ての室外機30にて受信可能である。
【0023】
また、冷凍空調関連システム1では、各室外機30に対して複数の室内機50が伝送線を介してデイジーチェイン方式で接続されている。すなわち、1つの室外機30には、第1の室内機50が第1の伝送線を介して接続され、第1の室内機50には第2の室内機50が第2の伝送線を介して接続される。室外機30と複数台の室内機50とを接続している複数の伝送線は電気的に導通しており、いずれかの機器が送信した信号はデイジーチェイン方式で接続された全ての機器にて受信可能である。
【0024】
各室外機30には、集中制御装置10及び他の室外機30との通信を行うための伝送線と、室内機50との通信を行うための伝送線とが接続される。本実施の形態において、この2つの伝送線は室外機30の内部において電気的に導通している。このため、例えば集中制御装置10は、室外機30を経て室内機50と通信を行うことができる。また、第1の室外機30に接続された室内機50は、第1の室外機30及び第2の室外機30を経て、第2の室外機30に接続された他の室内機50と通信を行うことができる。なお、集中制御装置10及び他の室外機30との通信を行うための伝送線と、室内機50との通信を行うための伝送線とは、室外機30内で電気的に遮断されていてもよい。
【0025】
また、冷凍空調関連システム1には中継機器70が含まれてもよい。例えば、伝送線を介して直接的に接続されるべき2つの機器間の距離が長く、伝送線の長さが所定長を超える場合、これら機器間に中継機器70が設けられる。
図1に例示した冷凍空調関連システム1には、2つの室内機50,50の間に接続された中継機器70が2つ設けられている。すなわち、第1の室内機50に対して中継機器70が第1の伝送線を介して接続され、この中継機器70に対して第2の室内機50が第2の伝送線を介して接続されている。
【0026】
中継機器70は、冷凍空調関連システム1のいずれの箇所に設けられてもよい。例えば、集中制御装置10と室外機30との間、2つの室外機30,30の間、室外機30と室内機50との間に中継機器70が設けられてもよい。また、集中制御装置10、室外機30、室内機50以外の各種機器の間に中継機器70が設けられてもよい。なお、中継機器70は必須ではなく、冷凍空調関連システム1は、中継機器70を含まずに構築されてもよい。
【0027】
図2は室外機30の構成例を説明するブロック図である。室外機30は、例えば、制御部31、記憶部32、通信部33、及び接続端子34~36を備える。制御部31は、例えば、マイコンやCPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置により構成される。制御部31は、記憶部32に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、種々の処理を行う。制御部31は、室外機30の各部の動作の制御、並びに、集中制御装置10、他の室外機30、及び室内機50等との通信の制御等の種々の制御処理を行う。制御部31は、時刻情報を出力するクロックや経過時間を計時するためのタイマ等を内蔵する。
【0028】
記憶部32は、例えば、フラッシュメモリやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリ、及び、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)などの揮発性メモリを備える。記憶部32は、制御部31が実行する各種のプログラム、及び、制御部31の制御処理に必要な各種のデータを記憶する。各種のプログラムは不揮発性メモリに記憶される。一方、各種のデータは、揮発性メモリのみに記憶されてもよく、揮発性メモリに記憶させた後に不揮発性メモリにコピーして記憶させてもよい。
【0029】
通信部33は、例えばトランシーバIC(Integrated Circuit)により構成される。通信部33は、室外機30が備える複数の接続端子34~36に接続された伝送線を介して、集中制御装置10、他の室外機30、及び室内機50との間で通信を行う。通信部33は、例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、直交周波数分割多重)方式により送受信するデータの変調を行う。具体的には、通信部33は、2~28MHzの周波数帯域を利用して、マルチキャリアによる伝送を行う。通信部33は、制御部31から与えられた送信データを変調した信号を伝送線に対して出力することでデータを送信すると共に、伝送線上の信号を取得して復調することで得られるデータを受信データとして制御部31へ与える。
【0030】
通信部33はマルチホップ機能を有していてもよい。マルチホップ機能とは、第一の機器より送信された信号を第二の機器が受信した場合、受信した信号と同じ信号を第二の機器が伝送線に対して出力する機能である。受信した信号と同じ信号を各機器が出力することにより、信号の減衰を抑え、信号の伝送距離を延ばすことができる。
【0031】
3つの接続端子34~36は、コネクタ又はソケットなどの電子部品を用いて構成され、通信のための伝送線が着脱可能に接続される。本実施の形態に係る室外機30では、3つの接続端子34~36は、例えば回路基板上の配線パターンを介して電気的に導通していると共に、通信部33に電気的に接続されている。このため、いずれかの接続端子34~36から入力された信号は、他の接続端子34~36から出力されると共に、通信部33へ入力される。また通信部33が出力した信号は、接続端子34~36から出力される。なお本実施の形態において3つの接続端子34~36は、配線パターン等を介して直接的に導通しているが、例えば接続端子34~36の間にフィルタ回路等が設けられてもよい。室外機30が備える接続端子の数は2つ以下又は4つ以上であってもよい。
【0032】
図3は室内機50の構成例を説明するブロック図である。室内機50は、制御部51、記憶部52、通信部53、及び2つの接続端子54,55を備える。制御部51は、マイコンやCPUなどの演算処理装置により構成される。制御部51は、室内機50の各部の動作の制御、並びに、集中制御装置10、室外機30及び他の室内機50等との通信の制御等の種々の制御処理を行う。制御部51は、時刻情報を出力するクロックや経過時間を計時するためのタイマ等を内蔵する。
【0033】
記憶部52は、例えば、フラッシュメモリやEEPROMなどの不揮発性メモリ、及び、DRAMやSRAMなどの揮発性メモリを備える。記憶部52は、制御部51が実行する各種のプログラム、及び、制御部51の制御処理に必要な各種のデータを記憶する。各種のプログラムは不揮発性メモリに記憶される。一方、各種のデータは、揮発性メモリのみに記憶されてもよく、揮発性メモリに記憶させた後に不揮発性メモリにコピーして記憶させてもよい。
【0034】
通信部53は、例えばトランシーバICにより構成される。通信部53は、室外機30の通信部33と同様の機能を有しており、室外機30の通信部33に用いられるICと同じ又は同種のICが用いられ得る。通信部53は、OFDM方式による変調機能、及び、マルチホップ機能を備えており、室内機50が備える接続端子54,55に接続された伝送線を介して、集中制御装置10、室外機30及び他の室内機50等との間で通信を行う。通信部53は、制御部51から与えられた送信データを変調した信号を伝送線に対して出力することでデータを送信すると共に、伝送線上の信号を取得して復調することで得られるデータを受信データとして制御部51へ与える。
【0035】
2つの接続端子54,55は、コネクタ又はソケットなどの電子部品を用いて構成され、通信のための伝送線が着脱可能に接続される。接続端子54,55は、例えば回路基板上の配線パターンを介して電気的に導通していると共に、通信部53に電気的に接続されている。室内機50が備える接続端子の数は1つ又は3つ以上であってもよい。
【0036】
図4は集中制御装置10の構成例を説明するブロック図である。集中制御装置10は、例えば、制御部11、記憶部12、通信部13、表示部14、操作部15、及び接続端子16を備える。制御部11は、CPUなどの演算処理装置により構成される。制御部11は、集中制御装置10の各部の動作の制御、並びに、室外機30及び室内機50等との通信の制御等の種々の制御処理を行う。制御部11は、時刻情報を出力するクロックや経過時間を計時するためのタイマ等を内蔵する。
【0037】
記憶部12は、フラッシュメモリやEEPROMなどの不揮発性メモリ(若しくは、ハードディスク等の磁気記憶装置)、及び、DRAMやSRAMなどの揮発性メモリを備える。記憶部12は、制御部11が実行する各種のプログラム、及び、制御部11の制御処理に必要な各種のデータを記憶する。各種のプログラムは不揮発性メモリに記憶される。一方、各種のデータは、揮発性メモリのみに記憶されてもよく、揮発性メモリに記憶させた後に不揮発性メモリにコピーして記憶させてもよい。
【0038】
通信部13は、例えばトランシーバICにより構成される。通信部13は、室外機30の通信部33及び室内機50の通信部53と同様の機能を有しており、室外機30の通信部33及び室内機50の通信部53に用いられるICと同じ又は同種のICが用いられ得る。通信部13は、OFDM方式による変調機能、及び、マルチホップ機能を備えており、集中制御装置10が備える接続端子16に接続された伝送線を介して、室外機30及び室内機50等との間で通信を行う。通信部13は、制御部11から与えられた送信データを変調した信号を伝送線に対して出力することでデータを送信すると共に、伝送線上の信号を取得して復調することで得られるデータを受信データとして制御部11へ与える。
【0039】
表示部14は、液晶ディスプレイ等により構成されており、制御部11の制御に応じて種々の画像及び文字等を表示する。操作部15は、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作を制御部11へ通知する。例えば操作部15は、機械式のボタン又は表示部14の表面に設けられたタッチパネル等の入力デバイスによりユーザの操作を受け付ける。また例えば操作部15は、マウス及びキーボード等の入力デバイスであってよく、これらの入力デバイスは集中制御装置10に対して取り外すことが可能な構成であってもよい。接続端子16は、例えばコネクタ又はソケット等の電子部品を用いて構成され、通信のための伝送線が着脱可能に接続される。接続端子16は、例えば回路基板上の配線パターンを介して通信部13に電気的に接続されている。集中制御装置10が備える接続端子の数は2つ以上であってもよい。
【0040】
図5は中継機器70の構成例を示すブロック図である。本実施の形態に係る中継機器70は、通信部71及び2つの接続端子72,73等を備えて構成されている。通信部71は、例えばトランシーバIC等を用いて構成されている。通信部71は、室外機30の通信部33、室内機50の通信部53、及び集中制御装置10の通信部13と同様の機能を有しており、これらに用いられるICと同じ又は同種のICが用いられ得る。通信部71は、OFDM方式による変調機能、及び、マルチホップ機能を備えており、中継機器70が備える接続端子72,73に接続された伝送線を介して、集中制御装置10、室外機30、及び室内機50等との間で通信を行う。なお、中継機器70の通信部71は、少なくともマルチホップ機能を備えていればよく、OFDM方式による変調機能を備えていなくてもよい。
【0041】
2つの接続端子72,73は、例えばコネクタ又はソケット等の電子部品を用いて構成され、通信のための伝送線が着脱可能に接続される。接続端子72,73は、例えば回路基板上の配線パターンを介して電気的に導通していると共に、通信部71に電気的に接続されている。中継機器70が備える接続端子の数は1つ又は3つ以上であってもよい。
【0042】
冷凍空調関連システム1は、集中制御装置10、室外機30、室内機50、及び中継機器70等の複数の機器が伝送線を介してデイジーチェイン方式で接続され、OFDM変調方式によるマルチキャリアの通信を行う。複数の機器を接続する複数の伝送線は電気的に導通しており、一の機器が送信した信号は、他の全ての機器にて受信可能である。各機器が受信した信号と同じ信号を伝送線に対して出力するマルチホップ機能を備える場合、送信元からの伝送距離に応じて減衰する信号の強度を高めることで、信号の伝送距離を伸ばすことが可能である。
【0043】
OFDM変調及びマルチホップ機能を用いることができる通信方式として、例えばHD-PLC(High Definition Power Line Communication)の通信方式がある。各機器の通信部は、例えばHD-PLCの通信方式を採用したトランシーバICにより構成されてもよい。なお、HD-PLCの通信方式は電力線を介して通信を行うものであるが、実施の形態に係る冷凍空調関連システム1において各機器は電力線を介して通信を行うのではなく、電力線とは別に設けられた伝送線を介して通信を行う。
【0044】
図6は機器間で送受信するメッセージ(電文)のフォーマットを示す概念図である。実施の形態に係る冷凍空調関連システム1で使用する通信プロトコルは、以下の通りである。物理・データリンク層にはHD-PLC及びイーサネット(登録商標)が使用される。ネットワーク層にはIPv6が使用される。トランスポート層にはUDP(User Datagram Protocol)が使用される。アプリケーション層にはCoAP(Constrained Application Protocol)が使用される。
【0045】
機器間で送受信するメッセージは、各階層に対応するヘッダ(すなわち、HD-PLCヘッダ、IPv6ヘッダ、UDPヘッダ、CoAPヘッダ)と、送信内容を記述するデータとにより構成される。
【0046】
IPv6は冷凍空調関連システム1に好適である。相互乗り入れ可能に接続された種々の機器を共通仕様のIPアドレスによって識別し、通信を行うことができる。
【0047】
UDPは冷凍空調関連システム1に好適である。室外機30に多数の室内機50が接続される場合であっても、TPCのようにコネクションを張らないため、室外機30のメモリを圧迫しない。
【0048】
CoAPは冷凍空調関連システム1に好適である。バイナリ形式メッセージを使用するため、HTTPよりも軽量な通信が可能である。リクエストとレスポンスとの対応がとれ、リクエストに失敗した場合にデータの再送を行うことができる。また、後述のメソッドを指定することにより、機器間で制御、運転状態等に係るデータの取得及び更新を行うことができる。
【0049】
実施の形態では、一の機器(第一の通信ノード)から他の機器(第二の通信ノード)に情報を送信する場合、送信元である第一の通信ノードは、情報の属性を示すコードと、属性に応じて指定する応答の要否を示すタイプとを含んだメッセージを生成し、生成したメッセージを宛先である第二のノードへ送信する。
【0050】
情報の属性を示すコードは、データに対する操作を表しており、メソッドとも呼ばれる。実施の形態では、相手のデータを取得する操作を表す「GET」、相手のデータを更新する操作を表す「SET」、自身のデータを通知する操作を表す「INF」等をメソッドとして用いることができる。データを取得するためには応答が必要であるため、「GET」というメソッドに対しては、応答要をタイプとして指定する。一方、値を更新する操作や情報を通知する操作には応答は不要であるため、「SET」や「INF」というメソッドに対しては、応答不要をタイプとして指定する。なお、メソッドは、上記のものに限定されず、相手のデータを削除する操作を表す「DELETE」等が含まれてもよい。
【0051】
更に、冷凍空調関連システム1で送受信するメッセージにおいて、再送の要否を定義してもよい。例えば、定期的に送信するメッセージについては、何らかの原因で宛先に届かなかった場合であっても、次回の送信タイミングで送信すればよいので、再送は不要である。一方、集中制御装置10の操作部15やリモコンなどでユーザ操作が行われた場合には、比較的短い時間(数秒)で操作結果が反映される必要があり、高い信頼性が要求されるため、再送が必要である。
【0052】
上述したメソッドや応答の要否、再送の要否は、CoAPヘッダに記述することが可能である。「GET」,「SET」,「INF」の各メソッドは、例えばCoAPの定義である「GET」,「POST」,「PUT」をそれぞれ流用すればよく、CoAPヘッダにおいて指定することが可能である。
【0053】
また、応答の要否は、CoAPの「No Server Response」オプションの機能を用いることができる。すなわち、応答が必要な場合には「0」を、応答が不要な場合には「0x32」をそれぞれCoAPヘッダにおいて指定すればよい。
【0054】
更に、再送の要否はCoAPヘッダのタイプ領域に記述される。すなわち、再送要である場合には「CON(= Confirmable-message)」を、再送不要である場合には「NON(= Non-Confirmable message)」を指定すればよい。電文を受信した機器は、CoAPヘッダのタイプ領域を確認し、CONであればACK電文を返信する。送信側は、ACK電文を一定時間受信しない場合、電文の再送を行う。
【0055】
以下、冷凍空調関連システム1における適用例について説明する。
冷凍空調関連システム1における通信は、大別して、冷媒制御に関する通信と、集中制御に関する通信とを含む。冷媒制御に関する通信は、主に冷媒配管で繋がった室外機30と室内機50との間の通信であり、適切に機器を制御して空気調和を行うための通信である。一方、集中制御に関する通信は、室外機30や室内機50を集中制御装置10から集中監視・操作するための通信である。
【0056】
図7及び
図8は冷媒制御に関する通信における通信手順を説明するフローチャートである。冷媒制御に関する通信では、冷媒系統内で1台の室外機30が親となり、複数の室内機50(子)や他の室外機30(親)と通信を行う。
図7のフローチャートでは、簡略化のために、親となる1台の室外機30と子となる1台の室内機50との間の通信手順について説明する。室外機30及び室内機50は、それぞれ通信相手のデータを内部に保持しておき、通信によってそのデータを更新する。室外機30及び室内機50は、内部に保持されたデータを参照して、自機の動作を決定する。
【0057】
室外機30の制御部31は、室内機50のデータを取得するか否かを判断する(ステップS101)。制御部31は、内蔵クロック又は内蔵タイマの出力を参照し、現時点が取得タイミングとして設定されたタイミングに該当するかを判断して、室内機50のデータを取得するか否かを判断すればよい。データを取得するタイミングには、例えば定期的なタイミングが指定される。
【0058】
室内機50のデータを取得すると判断した場合(S101:YES)、制御部31は、メソッドを「GET」、応答の要否を「要」、再送の要否を「NON」に指定したCoAPヘッダを含むメッセージを生成する(ステップS102)。制御部31は、生成したメッセージを通信部33より、宛先の室内機50へ送信する(ステップS103)。
【0059】
室内機50の制御部51は、室外機30から送信されるメッセージを受信した場合、受信したメッセージのCoAPヘッダを確認する。CoAPヘッダにおいて、メソッドが「GET」に指定されている場合、応答の要否は「要」であるため、制御部51は、室外機30が要求するデータを含んだメッセージを生成して室外機30へ返信する(ステップS104)。
【0060】
室外機30の制御部31は、室内機50からの返信メッセージを受信した場合、受信したメッセージに含まれるデータを記憶部32に記憶させる(ステップS105)。ここで、受信したメッセージは、記憶部32が備える揮発性メモリのみに記憶させてもよく、揮発性メモリに記憶させた後に、不揮発性メモリにコピーして記憶させてもよい。
【0061】
次いで、室外機30の制御部31は、室内機50のデータを更新するか否かを判断する(ステップS106)。制御部31は、内蔵クロック又は内蔵タイマの出力を参照し、現時点が更新タイミングとして設定されたタイミングに該当するかを判断して、室内機50のデータを更新するか否かを判断すればよい。データを更新するタイミングには、例えば定期的なタイミングが指定される。
【0062】
室内機50のデータを更新すると判断した場合(S106:YES)、制御部31は、メソッドを「SET」、応答の要否を「不要」、再送の要否を「NON」に指定したCoAPヘッダを含むメッセージを生成する(ステップS107)。制御部31は、生成したメッセージを通信部33より、宛先の室内機50へ送信する(ステップS108)。
【0063】
室内機50の制御部51は、室外機30から送信されるメッセージを受信した場合、受信したメッセージのCoAPヘッダを確認する。CoAPヘッダにおいて、メソッドが「SET」に指定されている場合、応答の要否は「不要」であるため、制御部51は、受信したメッセージに対する返信は行わずに、記憶部52に保持しているデータの更新を行う(ステップS109)。更新対象のデータは、記憶部52が備える揮発性メモリに保持されてもよく、不揮発性メモリに保持されてもよい。
【0064】
次いで、室外機30の制御部31は、自機のデータを室内機50に通知するか否かを判断する(ステップS110)。制御部31は、内蔵クロック又は内蔵タイマの出力を参照し、現時点が通知タイミングとして設定されたタイミングに該当するかを判断して、室内機50に通知するか否かを判断すればよい。室内機50に通知するタイミングには、例えば定期的なタイミングが指定される。また、室内機50に通知するタイミングは、内部状態が変化したタイミングが指定されてもよい。ここで、内部状態の変化とは、機器が備える各種センサやアクチュエータの値の変化や制御状態の変化を表す。
【0065】
室内機50にデータを通知すると判断した場合(S110:YES)、制御部31は、メソッドを「INF」、応答の要否を「不要」、再送の要否を「NON」に指定したCoAPヘッダを含むメッセージを生成する(ステップS111)。制御部31は、生成したメッセージを通信部33より、宛先の室内機50へ送信する(ステップS112)。
【0066】
室内機50の制御部51は、室外機30から送信されるメッセージを受信した場合、受信したメッセージのCoAPヘッダを確認する。CoAPヘッダにおいて、メソッドが「INF」に指定されている場合、応答の要否は「不要」であるため、制御部51は、受信したメッセージに対する返信は行わずに、通知されたデータを記憶部52に記憶させる(ステップS113)。ここで、受信したメッセージは、記憶部52が備える揮発性メモリのみに記憶させてもよく、揮発性メモリに記憶させた後に、不揮発性メモリにコピーして記憶させてもよい。
【0067】
室内機50は、基本的には室外機30からの通信を受けるだけであるが、リモコンが操作されて内部状態が変化した場合等において、室外機30にデータを通知してもよい。
【0068】
室内機50の制御部51は、自機のデータを室内機50に通知するか否かを判断する(ステップS114)。自機の内部状態に変化があり、通知すると判断した場合(S114:YES)、制御部51は、メソッドを「INF」、応答の要否を「不要」、再送の要否を「CON」に指定したCoAPヘッダを含むメッセージを生成する(ステップS115)。制御部51は、生成したメッセージを通信部53より、宛先の室外機30へ送信する(ステップS116)。
【0069】
室外機30の制御部31は、室内機50から送信されるメッセージを受信した場合、受信したメッセージのCoAPヘッダを確認する。CoAPヘッダにおいて、メソッドが「INF」に指定されている場合、応答の要否は「不要」であるが、再送の要否が「CON」であるため、制御部31は、通信部33よりACK電文を返信する(ステップS117)。また、制御部31は、室内機50より受信したメッセージに含まれるデータを記憶部32に記憶させる(ステップS118)。ここで、受信したメッセージは、記憶部32が備える揮発性メモリのみに記憶させてもよく、揮発性メモリに記憶させた後に、不揮発性メモリにコピーして記憶させてもよい。
【0070】
なお、室内機50の制御部51は、ステップS115でメッセージを送信した後、ACK電文を一定時間受信しない場合、メッセージの再送を行う。メッセージの再送を行う場合、制御部51は、送信すべきデータの内容を最新の内容に更新して再送すればよい。
【0071】
図7及び
図8に示すフローチャートでは、データを取得するか否か、相手のデータを更新するか否か、相手にデータを通知するか否かの順序で判断を実行する構成としたが、これらの判断の順序は便宜的なものに過ぎず、任意の順序で実行することが可能である。
【0072】
図9及び
図10は集中制御に関する通信における通信手順を説明するフローチャートである。集中制御に関する通信では、集中制御装置10が各室外機30及び各室内機50を集中監視・操作するための通信を行う。集中制御装置10は、各室外機30及び各室内機50の状態をアイコンにより表示部14に表示し、操作部15を介したアイコン操作により、空調制御やスケジュール運転を行う。
図9及び
図10に示すフローチャートでは、簡略化のために、集中制御装置10と室内機50との間の通信手順について説明する。
【0073】
集中制御装置10の制御部11は、室内機50のデータを取得するか否かを判断する(ステップS121)。制御部11は、内蔵クロック又は内蔵タイマの出力を参照し、現時点が取得タイミングとして設定されたタイミングに該当するかを判断して、室内機50のデータを取得するか否かを判断すればよい。データを取得するタイミングは、例えば定期的なタイミングが指定される。
【0074】
室内機50のデータを取得すると判断した場合(S121:YES)、制御部11は、メソッドを「GET」、応答の要否を「要」、再送の要否を「NON」に指定したCoAPヘッダを含むメッセージを生成する(ステップS122)。制御部11は、生成したメッセージを通信部13より、宛先の室内機50へ送信する(ステップS123)。
【0075】
室内機50の制御部51は、集中制御装置10から送信されるメッセージを受信した場合、受信したメッセージのCoAPヘッダを確認する。CoAPヘッダにおいて、メソッドが「GET」に指定されている場合、応答の要否は「要」であるため、制御部51は、集中制御装置10が要求するデータを含んだメッセージを生成して集中制御装置10へ返信する(ステップS124)。
【0076】
集中制御装置10の制御部11は、室内機50からの返信メッセージを受信した場合、受信したメッセージに含まれるデータを記憶部12に記憶させる(ステップS125)。ここで、受信したメッセージは、記憶部12が備える揮発性メモリのみに記憶させてもよく、揮発性メモリに記憶させた後に、不揮発性メモリにコピーして記憶させてもよい。
【0077】
次いで、集中制御装置10の制御部11は、室内機50のデータを更新するか否かを判断する(ステップS126)。制御部11は、例えば、操作部15を介したアイコン操作やスケジュールによって状態変化が生じた場合、室内機50のデータを更新すると判断する。
【0078】
室内機50のデータを更新すると判断した場合(S126:YES)、制御部11は、メソッドを「SET」、応答の要否を「不要」、再送の要否を「CON」に指定したCoAPヘッダを含むメッセージを生成する(ステップS127)。制御部11は、生成したメッセージを通信部13より、宛先の室内機50へ送信する(ステップS128)。
【0079】
室内機50の制御部51は、集中制御装置10から送信されるメッセージを受信した場合、受信したメッセージのCoAPヘッダを確認する。CoAPヘッダにおいて、メソッドが「SET」に指定されている場合、応答の要否は「不要」であるが、再送の要否が「CON」であるため、制御部51は、通信部53よりACK電文を返信する(ステップS129)。また、制御部51は、「SET」要求に従って、記憶部52に保持しているデータの更新を行う(ステップS130)。更新対象のデータは、記憶部52が備える揮発性メモリに保持されてもよく、不揮発性メモリに保持されてもよい。
【0080】
なお、集中制御装置10の制御部11は、ステップS128でメッセージを送信した後、ACK電文を一定時間受信しない場合、メッセージの再送を行う。メッセージの再送を行う場合、制御部11は、送信すべきデータの内容を最新の内容に更新して再送すればよい。
【0081】
室内機50は、基本的には集中制御装置10からの通信を受けるだけであるが、リモコンが操作されて内部状態が変化した場合等において、集中制御装置10にデータを通知してもよい。
【0082】
室内機50の制御部51は、自機のデータを集中制御装置10に通知するか否かを判断する(ステップS131)。自機の内部状態に変化があり、通知すると判断した場合(S131:YES)、制御部51は、メソッドを「INF」、応答の要否を「不要」、再送の要否を「CON」に指定したCoAPヘッダを含むメッセージを生成する(ステップS132)。制御部51は、生成したメッセージを通信部53より、集中制御装置10へ送信する(ステップS133)。
【0083】
集中制御装置10の制御部11は、室内機50から送信されるメッセージを受信した場合、受信したメッセージのCoAPヘッダを確認する。CoAPヘッダにおいて、メソッドが「INF」に指定されている場合、応答の要否は「不要」であるが、再送の要否が「CON」であるため、制御部11は、通信部13よりACK電文を返信する(ステップS134)。また、制御部11は、室内機50より受信したメッセージに含まれるデータを記憶部32に記憶させる(ステップS135)。ここで、受信したメッセージは、記憶部32が備える揮発性メモリのみに記憶させてもよく、揮発性メモリに記憶させた後に、不揮発性メモリにコピーして記憶させてもよい。
【0084】
なお、室内機50の制御部51は、ステップS133でメッセージを送信した後、ACK電文を一定時間受信しない場合、メッセージの再送を行う。メッセージの再送を行う場合、制御部51は、送信すべきデータの内容を最新の内容に更新して再送すればよい。
【0085】
図9及び
図10に示すフローチャートでは、データを取得するか否か、相手のデータを更新するか否か、相手にデータを通知するか否かの順序で判断を実行する構成としたが、これらの判断の順序は便宜的なものに過ぎず、任意の順序で実行することが可能である。
【0086】
一般には、通信では要求(リクエスト)と応答(レスポンス)との関係を規定するが、本実施の形態では、応答を必要としない場面では、応答の要否を「不要」に指定し、受信した要求に対して応答を返さない構成としている。また、信頼性確保のために電文を再送する場合もあるが、本実施の形態では、必要最小限の場面において電文を再送する構成としている。以上の構成を採用することにより、本実施の形態では、通信帯域を確保すると共に、各機器の負荷を軽減することができる。
【0087】
(実施の形態2)
実施の形態2では、室外機30から室内機50にメッセージを送信することにより、室内機50が状態変化を検出した場合のデータの送信タイミングを指定する構成について説明する。
【0088】
実施の形態2では、室内機50から室外機30に対して、冷凍空調関連ユニットの状態変化に関するデータを送信する場合、室外機30に負荷が集中しないようにタイムスライスを行う。ここで、冷凍空調関連ユニットの状態変化とは、例えば、室内機50が備える各種センサやアクチュエータの値の変化を表す。
【0089】
具体的には、室外機30(第一の通信ノード)は、室内機50(第二の通信ノード)が状態変化を検出した場合、室内機50がデータを送信すべき送信タイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、生成したメッセージを室内機50へ送信する。送信タイミングに係る情報は、例えば、CoAPヘッダに続くデータのペイロードに記述される。室内機50は、メッセージに記述されたタイミングに従ってデータの送信を行うことにより、室外機30への負荷の集中を回避する。
【0090】
図11は送信タイミングの設定例を説明する説明図である。送信タイミングは、複数の室内機50で同期した基準時間からの経過時間に基づき規定され、複数の室内機50のそれぞれに固有のタイミングとして定められる。
図11の例では、3台の室内機50,50,50における送信タイミングを示している。
【0091】
時間T0は3台の室内機50,50,50で同期した基準時間を表す。時間T11,T12,T13,…は、第一の室内機50について定められた送信タイミングを示し、時間T21,T22,T23,…は、第二の室内機50について定められた送信タイミングを示し、時間T31,T32,T33,…は、第三の室内機50について定められた送信タイミングを示している。
【0092】
図11の例では、送信タイミングの周期は各室内機50において共通である。すなわち、T12-T11(=T13-T12=T14-T13=…)=T22-T21(=T23-T22=T24-T23=…)=T32-T31(=T33-T32=T34-T33=…)である。
図11の例では、基準時間と最初の送信タイミングとの時間間隔を各室内機50に固有の値としている。すなわち、T11≠T21≠T31としている。以上のように、各室内機50の送信タイミングを設定することにより、各室内機50の送信タイミングをずらすことができる。
【0093】
各室内機50は、自機に定められた送信タイミングに基づき、状態変化に関する情報を送信することが可能なタイミングを計算する。例えば、集中制御装置10から各室内機50に対して一斉に運転指令を送信したことに伴い、
図11に記入した時間TAで各室内機50において状態変化が検出されたとする。この場合、第一の室内機50では、複数の送信タイミングT11,T12,…のうち、状態変化を検出した後の最先のタイミングはT14であるため、その時間までデータの送信を遅延させる。すなわち、第一の室内機50の遅延時間はT14-TAである。また、第二の室内機50では、複数の送信タイミングT21,T22,…のうち、状態変化を検出した後の最先のタイミングはT23であるため、その時間までデータの送信を遅延させる。すなわち、第二の室内機50の遅延時間はT23-TAである。同様に、第三の室内機50では、複数の送信タイミングT31,T32,…のうち、状態変化を検出した後の最先のタイミングはT33であるため、その時間までデータの送信を遅延させる。すなわち、第三の室内機50の遅延時間はT33-TAである。
【0094】
図11の例では、各室内機50に設定される送信タイミングの周期は一定としたが、2つ以上の室内機50で送信タイミングが重ならないのであれば、室内機50間で異なる周期を設定してもよい。室内機50の送信タイミングは、データを送信すべき室内機50の数やデータを送信すべき室内機50の優先順位等に応じて、適宜設定され得る。
【0095】
更に、室内機50の送信タイミングは、各室内機50が状態変化を検出してからの経過時間に基づき設定されてもよい。例えば、各室内機50が時間TAに状態変化を検出した場合、第一の室内機50はTAから時間T1が経過したタイミングを送信タイミングとし、第二の室内機50は時間TAからT2(≠T1)が経過したタイミングを送信タイミングとし、第三の室内機50は時間TAからT3(≠T1≠T2)が経過したタイミングを送信タイミングとしてもよい。
【0096】
図12は実施の形態2における通信手順を説明するタイミングチャートである。室外機30の制御部31は、各室内機50がデータを送信すべき送信タイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、生成したメッセージを通信部33より各室内機50へ送信することによって、各室外機30に送信タイミングを通知する(ステップS201)。ステップS201では、室外機30から室内機50への通知であるから、制御部31は、メソッドを「INF」、応答の要否を「不要」、再送の要否を「NON」に指定したCoAPヘッダを含み、データのペイロードに各室内機50に固有の送信タイミングを記述したメッセージを生成し、各室内機50へ送信する。
【0097】
各室内機50の制御部51は、室外機30から送信されるメッセージを受信した場合、受信したメッセージのCoAPヘッダを確認する。CoAPヘッダにおいて、メソッドが「INF」に指定されている場合、応答の要否は「不要」であるため、制御部51は、受信したメッセージに対する返信は行わずに、送信タイミングを含むデータを記憶部52に記憶させる(ステップS202~S204)。ここで、受信したメッセージは、記憶部52が備える揮発性メモリのみに記憶させてもよく、揮発性メモリに記憶させた後に、不揮発性メモリにコピーして記憶させてもよい。
【0098】
各室内機50の制御部51は、それぞれが備えるセンサやアクチュエータの状態を監視する。制御部51は、自機の状態変化を検出した場合(ステップS205~S207)、記憶部52に記憶されている送信タイミングに基づき、自機がデータを送信することが可能なタイミングを計算する(ステップS208~S210)。ここで、自機の送信タイミングは、記憶部52が備える揮発性メモリに保持されてもよく、不揮発性メモリに保持されてもよい。
【0099】
各室内機50は、現時点が送信可能なタイミングであるか否かを判断し、送信可能なタイミングであると判断した場合、状態変化に関する情報を含むメッセージを生成し、生成したメッセージを通信部53より室外機30へ送信することによって、室外機30に状態変化を通知する(ステップS211~S213)。ステップS211~S213では、室内機50から室外機30への状態変化に伴う通知であるから、制御部31は、メソッドを「INF」、応答の要否を「不要」、再送の要否を「CON」に指定したCoAPヘッダを含み、状態変化に関する情報をデータに含むメッセージを生成し、室外機30へ送信する。
【0100】
室外機30は、各室内機50から送信されるメッセージを受信する都度、ACK電文を返信すると共に、各室内機50の状態変化に係る情報を記憶部32に記憶させる(ステップS214~S216)。ここで、受信したメッセージは、記憶部32が備える揮発性メモリのみに記憶させてもよく、揮発性メモリに記憶させた後に、不揮発性メモリにコピーして記憶させてもよい。
【0101】
以上のように、実施の形態2では、例えば集中制御装置10から各室内機50に対して一斉に運転指令を送信したことに伴い、各室内機50が同じタイミングで状態変化を検出し、各室内機50から状態変化に関する通知が一斉に実行される状況であっても、各室内機50は各機器に固有に定められた送信タイミングに従って状態変化に関する通知を遅延させるので、受信側の室外機30における負荷集中を回避することができる。
【0102】
本実施の形態では、室外機30から各室内機50に対して送信タイミングを通知する構成としたが、集中制御装置10から各室内機50に対して送信タイミングを通知してもよく、冷凍空調関連ユニットにサービスチェッカーを接続し、サービスチェッカーから各室内機50に送信タイミングを通知してもよい。
【0103】
今回開示された実施形態は、全ての点において例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0104】
1 冷凍空調関連システム
10 集中制御装置
11 制御部
12 記憶部
13 通信部
14 表示部
15 操作部
16 接続端子
30 室外機
31 制御部
32 記憶部
33 通信部
34~36 接続端子
50 室内機
51 制御部
52 記憶部
53 通信部
54~55 接続端子
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍空調関連ユニットの状態変化に関するデータを複数の通信ノードの間で通信する通信方法であって、
第一の通信ノードは、
第二の通信ノードが前記状態変化を検出した場合に、前記第二の通信ノードが前記データを送信すべき通信ノードへ送信するタイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、
生成した前記メッセージを前記第二の通信ノードへ送信する
通信方法。
【請求項2】
前記第二の通信ノードは、
前記状態変化を検出した場合、受信した前記メッセージに含まれる前記タイミングに係る情報に基づき、前記データの送信を遅延させる
請求項1に記載の通信方法。
【請求項3】
前記タイミングは、前記第二の通信ノードに固有に定められる複数のタイミングのうち、前記状態変化を検出した後の最先のタイミングとして決定される
請求項1又は請求項2に記載の通信方法。
【請求項4】
前記タイミングは、前記状態変化を検出してからの経過時間に基づき規定される
請求項1又は請求項2に記載の通信方法。
【請求項5】
前記タイミングは、前記第二の通信ノードの間で同期した基準時間からの経過時間に基づき規定される
請求項1又は請求項2に記載の通信方法。
【請求項6】
前記タイミングは、前記データを送信すべき通信ノードの台数及び順序に基づき規定される
請求項1又は請求項2に記載の通信方法。
【請求項7】
前記第一の通信ノードは室外機であり、前記第二の通信ノードは室内機である
請求項1に記載の通信方法。
【請求項8】
前記第一の通信ノードは、集中制御装置を更に含む
請求項7に記載の通信方法。
【請求項9】
前記第一の通信ノードは、サービスチェッカーを更に含む
請求項7に記載の通信方法。
【請求項10】
前記メッセージは、CoAP(Constrained Application Protocol)により規定される形式を有し、前記タイミングに係る情報は、前記メッセージに含まれるペイロードに記述される
請求項1に記載の通信方法。
【請求項11】
冷凍空調関連ユニットの状態変化に関するデータを複数の通信ノードの間で通信する冷凍空調関連システムであって、
第一の通信ノードは、
制御部と、
通信部と
を備え、
前記制御部は、第二の通信ノードが前記状態変化を検出した場合に、前記第二の通信ノードが前記データを送信すべき通信ノードへ送信するタイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、
前記通信部は、前記制御部が生成した前記メッセージを前記第二の通信ノードへ送信する
冷凍空調関連システム。
【請求項12】
冷凍空調関連システムにおける通信ノードであって、
制御部と、
通信部と
を備え、
前記制御部は、他の通信ノードが冷凍空調関連ユニットの状態変化を検出した場合に、前記他の通信ノードがデータを送信すべき通信ノードへ送信するタイミングに係る情報を含むメッセージを生成し、
前記通信部は、前記制御部が生成した前記メッセージを前記他の通信ノードへ送信する
通信ノード。