(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033409
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】質問回答支援装置及び質問回答支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/00 20230101AFI20240306BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136966
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】520444797
【氏名又は名称】株式会社Creative Capitalism Japan
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【弁理士】
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(74)【代理人】
【識別番号】100220582
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 達也
(72)【発明者】
【氏名】原 理花子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】質問に対する回答を支援する。
【解決手段】質問回答支援装置1は、対象組織に対してされた質問への回答を支援する。質問回答支援装置1は、複数の組織に対してされた共通の質問を管理する質問管理部11と、複数の組織のそれぞれによる質問への回答内容を管理する回答内容管理部12と、質問管理部11により管理されている質問が対象組織に対してされた場合に、回答内容管理部12により管理されている当該質問への回答内容を対象組織に提示する情報提示部13と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象組織に対してされた質問への回答を支援する質問回答支援装置であって、
複数の組織に対してされた共通の前記質問を管理する質問管理部と、
複数の前記組織のそれぞれによる前記質問への回答内容を管理する回答内容管理部と、
前記質問管理部により管理されている前記質問が前記対象組織に対してされた場合に、前記回答内容管理部により管理されている当該質問への前記回答内容を前記対象組織に提示する情報提示部と、を備える、質問回答支援装置。
【請求項2】
前記質問は、前記対象組織に関する報告書の記載事項に関する内容を含む、請求項1に記載の質問回答支援装置。
【請求項3】
前記情報提示部は、前記質問管理部により管理されている前記質問が前記対象組織に対してされた場合において、前記回答内容管理部により複数の前記組織による当該質問への前記回答内容が管理されているときには、複数の前記組織による当該質問への前記回答内容を集約して前記対象組織に提示する、請求項1に記載の質問回答支援装置。
【請求項4】
前記対象組織と複数の前記組織のそれぞれとの類似度を評価する類似度評価部を備え、
前記情報提示部は、複数の前記組織による当該質問への前記回答内容のうち前記類似度が高い前記組織による前記回答内容を前記類似度が低い前記組織による前記回答内容よりも優先させて前記対象組織に提示する、請求項3に記載の質問回答支援装置。
【請求項5】
前記質問に対して、当該質問の内容を示すタグを付与するタグ付与部と、
新たにされた前記質問と既に前記質問管理部により管理されている前記質問とにおいて前記タグが共通するか否かを判定するタグ共通判定部と、を備え、
前記情報提示部は、前記対象組織に対してされた前記質問と前記タグが共通する別の前記質問への前記回答内容を前記対象組織に提示する、請求項1に記載の質問回答支援装置。
【請求項6】
複数の前記組織のそれぞれによる前記質問への前記回答内容に応じた当該質問の質問者による評価情報を管理する評価情報管理部を備え、
前記情報提示部は、前記質問管理部により管理されている前記質問が前記対象組織に対してされた場合に、当該質問への前記回答内容及び当該回答内容に応じた前記評価情報を前記対象組織に提示する、請求項1に記載の質問回答支援装置。
【請求項7】
前記回答内容を開示することを許可するか否かに関する開示可否情報を複数の前記組織のそれぞれから取得する開示可否情報取得部を備え、
前記情報提示部は、前記回答内容を開示することを許可する前記開示可否情報が前記開示可否情報取得部により取得された前記組織による前記回答内容を前記対象組織に提示する、請求項1に記載の質問回答支援装置。
【請求項8】
前記対象組織を構成する構成員に関する構成員情報を管理する構成員情報管理部を備え、
前記質問管理部は、前記対象組織に対してされた前記質問に回答すべき前記構成員を設定し、当該構成員に当該質問への回答を要求する、請求項1に記載の質問回答支援装置。
【請求項9】
前記質問管理部は、前記対象組織に対してされた前記質問の内容と前記構成員情報とに基づいて、当該質問に回答すべき前記構成員を選択する、請求項8に記載の質問回答支援装置。
【請求項10】
対象組織に対してされた質問への回答を支援する質問回答支援装置としてコンピュータを機能させる質問回答支援プログラムであって、
前記コンピュータを、
複数の組織に対してされた共通の前記質問を管理する質問管理部と、
複数の前記組織のそれぞれによる前記質問への回答内容を管理する回答内容管理部と、
前記質問管理部により管理されている前記質問が前記対象組織に対してされた場合に、前記回答内容管理部により管理されている当該質問への前記回答内容を前記対象組織に提示する情報提示部と、として機能させる、質問回答支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、質問回答支援装置及び質問回答支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、企業等の組織は、社会への取り組みの状況を他者に向けて発信することがある。例えば、当該組織が持続可能な社会の実現に向けてどのような取り組みを行っているかを報告書(例えば、サステナビリティレポート)にまとめて開示する場合がある。このような報告書においては、一例として、いわゆるSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に紐づけられた項目が開示される。特許文献1には、組織の価値を評価するために、組織の非財務情報であるこのような取り組みの状況を数値化する技術が開示されている。
【0003】
また、このような報告書を作成するに際して、外部機関からの評価結果(いわゆる勝手格付結果)を記載する場合がある。このため、各組織は、外部機関からの評価結果の向上を図るために、外部機関からの質問に適切に回答することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、外部機関からの質問に対して適切に回答することは必ずしも容易ではない。例えば、外部機関からの質問に対して実際に回答する回答者は、その質問の内容を把握した上で、当該組織における状況を適切な文言で回答する必要がある。したがって、このような質問に対する回答を支援するような技術が求められている。
【0006】
そこで、本開示に係る質問回答支援装置及び質問回答支援プログラムは、質問に対する回答を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る質問回答支援装置(1)は、対象組織に対してされた質問への回答を支援する質問回答支援装置(1)であって、複数の組織に対してされた共通の質問を管理する質問管理部(11)と、複数の組織のそれぞれによる質問への回答内容を管理する回答内容管理部(12)と、質問管理部(11)により管理されている質問が対象組織に対してされた場合に、回答内容管理部(12)により管理されている当該質問への回答内容を対象組織に提示する情報提示部(13)と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る質問回答支援プログラム(P)は、対象組織に対してされた質問への回答を支援する質問回答支援装置(1)としてコンピュータ(C)を機能させる質問回答支援プログラム(P)であって、コンピュータ(C)を、複数の組織に対してされた共通の質問を管理する質問管理部(11)と、複数の組織のそれぞれによる質問への回答内容を管理する回答内容管理部(12)と、質問管理部(11)により管理されている質問が対象組織に対してされた場合に、回答内容管理部(12)により管理されている当該質問への回答内容を対象組織に提示する情報提示部(13)と、として機能させる。
【0009】
これらの質問回答支援装置(1)及び質問回答支援プログラム(P)の少なくともいずれかによれば、例えば外部機関等から複数の組織に対してされた共通の質問と、複数の組織のそれぞれによる当該質問への回答内容と、が管理される。そして、管理されている質問が対象組織に対してされた場合に、管理されている当該質問への回答内容が対象組織に提示される。このようにして、例えば外部機関等からの質問に対する回答を容易にすることができる。よって、質問に対する回答を支援することが可能となる。また、質問回答支援装置(1)によれば、外部機関等からの質問に適切に回答可能とすることで、当該外部機関からの評価結果を向上させることができ、ひいては、当該対象組織へのESG関連投資又は融資の可能性の増大、及び、当該対象組織の企業価値の向上に寄与し得る。
【0010】
本開示の一態様に係る質問回答支援装置(1)では、質問は、対象組織に関する報告書の記載事項に関する内容を含んでもよい。これによれば、対象組織に関する報告書の作成を容易にすることができる。
【0011】
本開示の一態様に係る質問回答支援装置(1)では、情報提示部(13)は、質問管理部(11)により管理されている質問が対象組織に対してされた場合において、回答内容管理部(12)により複数の組織による当該質問への回答内容が管理されているときには、複数の組織による当該質問への回答内容を集約して対象組織に提示してもよい。これによれば、例えば外部機関等からの質問に対する複数の回答例を参照しやくすくなるため、質問に対する回答を一層好適に支援することが可能となる。
【0012】
本開示の一態様に係る質問回答支援装置(1)は、対象組織と複数の組織のそれぞれとの類似度を評価する類似度評価部(14)を備え、情報提示部(13)は、複数の組織による当該質問への回答内容のうち類似度が高い組織による回答内容を類似度が低い組織による回答内容よりも優先させて対象組織に提示してもよい。これによれば、例えば業態、規模、経営方針といった特徴の類似した他の組織による回答内容を参照しやすくなるため、質問に対する回答を一層好適に支援することが可能となる。
【0013】
本開示の一態様に係る質問回答支援装置(1)は、質問に対して、当該質問の内容を示すタグを付与するタグ付与部(15)と、新たにされた質問と既に質問管理部(11)により管理されている質問とにおいてタグが共通するか否かを判定するタグ共通判定部(16)と、を備え、情報提示部(13)は、対象組織に対してされた質問とタグが共通する別の質問への回答内容を対象組織に提示してもよい。これによれば、質問を内容によって分類し、内容の似た質問への回答内容を参照可能になるため、質問に対する回答を一層好適に支援することが可能となる。
【0014】
本開示の一態様に係る質問回答支援装置(1)は、複数の組織のそれぞれによる質問への回答内容に応じた当該質問の質問者による評価情報を管理する評価情報管理部(17)を備え、情報提示部(13)は、質問管理部(11)により管理されている質問が対象組織に対してされた場合に、当該質問への回答内容及び当該回答内容に応じた評価情報を対象組織に提示してもよい。これによれば、質問への回答内容だけでなく、その内容で回答した場合に質問者からどのような評価を受けるかを対象組織に知得させることが可能となる。
【0015】
本開示の一態様に係る質問回答支援装置(1)は、回答内容を開示することを許可するか否かに関する開示可否情報を複数の組織のそれぞれから取得する開示可否情報取得部(18)を備え、情報提示部(13)は、回答内容を開示することを許可する開示可否情報が開示可否情報取得部(18)により取得された組織による回答内容を対象組織に提示してもよい。これによれば、質問への回答内容を開示することを望まない組織は、回答内容を秘匿することが可能となる。
【0016】
本開示の一態様に係る質問回答支援装置(1)は、対象組織を構成する構成員に関する構成員情報を管理する構成員情報管理部(19)を備え、質問管理部(11)は、対象組織に対してされた質問に回答すべき構成員を設定し、当該構成員に当該質問への回答を要求してもよい。これによれば、質問への回答を複数の構成員に割り振ることが可能となる。
【0017】
本開示の一態様に係る質問回答支援装置(1)では、質問管理部(11)は、対象組織に対してされた質問の内容と構成員情報とに基づいて、当該質問に回答すべき構成員を選択してもよい。これによれば、質問への回答を好適な構成員に割り振ることが可能となる。
【0018】
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態における構成要素の符号を本開示の一例として示したものであって、本開示を実施形態の態様に限定するものではない。
【発明の効果】
【0019】
このように、本開示に係る質問回答支援装置及び質問回答支援プログラムは、質問に対する回答を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る質問回答支援装置の機能的な構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、質問回答支援装置の物理的な構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、質問回答支援装置により実行される回答受付処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、質問回答支援装置により実行される回答提示処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、質問回答支援プログラムのモジュール構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して例示的な実施形態について説明する。なお、各図における同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係る質問回答支援装置1の機能的な構成を示すブロック図である。
図2は、質問回答支援装置1の物理的な構成を示すブロック図である。
図1及び
図2に示される質問回答支援装置1は、対象組織に対してされた質問への回答を支援する装置である。また、質問回答支援装置1は、対象組織に関する報告書の作成を支援してもよい。質問回答支援装置1は、組織に対して回答が求められた質問(質問票、すなわちアンケート)に対する回答を支援する機能(以下、「外部機関質問票支援機能」という)、及び、組織の状態に関するレポートの作成を支援する機能(以下、「組織レポート作成機能」という)を具備している。
【0023】
「組織」とは、例えば企業等の団体であってもよい。組織は、当該組織が持続可能な社会の実現に向けてどのような取り組みを行っているかをサステナビリティレポート等の報告書にまとめて開示してもよい。一例として、このような報告書においては、いわゆるSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に紐づけられた項目が開示される。
【0024】
組織は、質問者である外部機関(登録された所定の機関であってもよく、それ以外の任意の団体であってもよい)からの質問(質問票、すなわちアンケート)への回答が求められる場合がある。質問は、組織が報告書を作成するために必要な内容(すなわち、報告書の記載事項に関する内容)を含んでいてもよい。あるいは、質問は、組織が報告書を作成するために必要な内容とは無関係の内容を含んでいてもよい。質問回答支援装置1は、組織がこのような質問に回答することを支援する装置である。なお、複数の組織に対して共通の質問がされる場合がある。
【0025】
具体的な質問の例としては、例えば、「組織においてCSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任)及びCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)に関する専任部署を設置しているか」、「独占禁止法等に関するコンプライアンスについて、どのように考えているか」、「コンプライアンス委員会を設置しているか」、又は「サステナビリティ経営に関する方針及び規定を定めているか」といったものが挙げられる。なお、質問は、組織(対象組織)の状態に関するものであればよく、上述した例に限定されない。
【0026】
「対象組織」とは、質問回答支援装置1の外部機関質問票支援機能及び組織レポート作成機能の少なくともいずれかを利用しようとしている団体等である。対象組織は、上述した組織のうちの一つであってもよく、上述した組織のうちの一つでなくてもよい。また、対象組織は、複数の団体が集合したグループであってもよい。
【0027】
組織及び対象組織は、ユーザとも称される。後述するユーザ端末2は、これらのユーザにより使用される端末を意味している。すなわち、ユーザ端末2は、組織により使用される端末であってもよく、対象組織により使用される端末であってもよい。
【0028】
以下の説明において、「報告書」とは、質問回答支援装置1の外部機関質問票支援機能を利用して作成されるものであってもよく、組織レポート作成機能を利用して作成されるものであってもよく、外部機関質問票支援機能と組織レポート作成機能との両方を利用して作成されるものであってもよい。上述したように、報告書は、サステナビリティレポートであってもよく、それ以外のもの(例えば、外部機関からの質問への回答書等)であってもよい。また、報告書には、外部機関からの評価結果(いわゆる勝手格付結果)が記載されてもよい。なお、このような外部機関からの評価結果は、当該外部機関から各組織に対してされた質問の回答結果に応じたものであってもよい。
【0029】
質問回答支援装置1は、例えばネットワークを介して後述するユーザ端末2と通信可能なコンピュータC(サーバ)として構成されている。質問回答支援装置1は、物理的な構成として、制御演算装置、記憶装置、及び入出力装置を備えている。制御演算装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)100等のコントローラにより構成されており、演算処理を実行するとともに記憶装置及び入出力装置の制御を行う。記憶装置は、例えば主記憶装置及び補助記憶装置を有している。主記憶装置は、例えばRAM(Random Access Memory)101により構成されている。また、補助記憶装置は、例えばROM(Read Only Memory)102により構成されている。入出力装置は、例えば外部からデータを入力されて記憶装置に送信する入力装置103、及び、例えば制御演算部により演算されて記憶装置に記憶された演算結果を外部に出力する出力装置104を有している。これらのCPU100、RAM101、ROM102、入力装置103、及び出力装置104のそれぞれは、互いにバス105を介して接続されている。
【0030】
質問回答支援装置1は、例えば、ROM102に記憶されているプログラムをRAM101に読み込み、RAM101に読み込まれたプログラムをCPU100によって実行することにより、所定の処理を実行する。具体的には、質問回答支援装置1は、ROM102に記憶されている質問回答支援プログラムPをRAM101に読み込み、RAM101に読み込まれた質問回答支援プログラムPをCPUによって実行することにより、後述する回答受付処理及び回答提示処理の少なくともいずれかを実行する。なお、質問回答支援装置1を構成するコンピュータCは、物理的に、上述した構成とは異なる構成を備えていてもよい。
【0031】
ユーザ端末2について説明する。ユーザ端末2は、ユーザにより使用される端末である。ユーザ端末2は、例えばネットワークを介して質問回答支援装置1と通信可能なコンピュータを備えている。ユーザ端末2は、物理的な構成として、制御演算装置、記憶装置、及び入出力装置を備えており、これらの各装置の機能は一般的なコンピュータと同様である。ユーザ端末2は、例えばスマートフォン、タブレット、ノートパソコン、デスクトップパソコン等であってもよい。ここでは、ユーザ端末2は複数存在しているものとする。
【0032】
次に、質問回答支援装置1の機能的な構成について説明する。質問回答支援装置1は、機能的には、大別して外部機関質問票支援部10及び組織レポート作成部30を具備している。
【0033】
[外部機関質問票支援部]
外部機関質問票支援部10は、外部機関質問票支援機能を実現するための構成である。外部機関質問票支援部10は、質問管理部11、回答内容管理部12、情報提示部13、類似度評価部14、タグ付与部15、タグ共通判定部16、評価情報管理部17、開示可否情報取得部18、及び構成員情報管理部19を備えている。
【0034】
質問管理部11は、複数の組織に対してされた共通の質問を管理する。まず、質問管理部11は、外部機関等から質問を受け付け、受け付けた質問を記録する。このとき、質問管理部11は、後述するタグ付与部15により質問にタグが付与された場合には、質問とタグとを互いに紐づけて記録する。
【0035】
また、質問管理部11は、後述する構成員情報管理部19により構成員情報が管理されている場合には、組織(対象組織)に対してされた質問に回答すべき構成員を設定し、当該構成員に当該質問への回答を要求する。具体的には、質問管理部11は、設定した構成員が保有する端末(ユーザ端末2)等に電子メール等の電子的通信手段を用いて質問を通知してもよい。質問管理部11は、構成員を設定する際には、質問の内容に応じた構成員を選択してもよい。換言すると、質問管理部11は、組織(対象組織)に対してされた質問の内容と構成員情報とに基づいて、当該質問に回答すべき構成員を選択してもよい。例えば、後述するタグ付与部15により質問にタグが付与された場合には、当該タグと各構成員の属性(所属又は専門分野等)とを比較して、当該質問に回答すべき構成員を選択してもよい。あるいは、質問管理部11は、過去に同様の質問に回答した実績のある構成員を、当該質問に回答すべき構成員として選択してもよい。
【0036】
回答内容管理部12は、各組織による質問への回答内容を管理する。回答内容管理部12は、質問管理部11により管理されている質問(質問の内容)と紐づけて、当該質問への回答内容を管理する。回答内容管理部12は、後述する開示可否情報取得部18により質問への回答内容を開示することを許可するか否かに関する開示可否情報を取得している場合には、開示可否情報と紐づけて、各組織による当該質問への回答内容を管理してもよい。また、回答内容管理部12は、後述する構成員情報管理部19により構成員情報が管理されている場合には、当該質問に回答した構成員と紐づけて、当該質問への回答内容を管理してもよい。
【0037】
回答内容管理部12は、各組織から質問への回答内容を受信して、データとして蓄積する。回答内容管理部12は、回答内容を受信する際に、当該回答内容の根拠となる証拠も併せて受信可能である。
【0038】
情報提示部13は、質問管理部11により管理されている質問(つまり、質問管理部11により管理されている質問と内容の共通する質問)が対象組織に対してされた場合に、回答内容管理部12により管理されている当該質問への回答内容(各組織による回答の内容)を対象組織に提示する。情報提示部13は、対象組織に対してされた質問が回答内容管理部12により管理されている質問であるか否かを所定の判定基準(以下、「異同判定基準」という)に基づいて判定し、対象組織に対してされた質問が回答内容管理部12により管理されている質問であると判定した場合に、回答内容管理部12により管理されている当該質問への回答内容を対象組織に提示してもよい。異同判定基準は、2つの質問の内容が完全同一であるか否かであってもよく、2つの質問の内容が実質的に同一であるか否かであってもよい。情報提示部13は、例えば対象組織により使用されるユーザ端末2に対して質問への回答内容を送信することにより、当該質問への回答内容を対象組織に提示してもよい。
【0039】
情報提示部13は、質問管理部11により管理されている質問が対象組織に対してされた場合において、回答内容管理部12により複数の組織による当該質問への回答内容が管理されているときには、複数の組織による当該質問への回答内容を集約して対象組織に提示してもよい。すなわち、質問者である外部機関が複数の組織に対して共通の質問をして、当該質問に対して各組織がそれぞれ回答している場合には、これらの回答内容を集約して対象組織に提示してもよい。「集約して提示する」とは、単にまとめて提示することであってもよく、並べ替え等の所定の処理を行って提示することであってもよい。
【0040】
情報提示部13は、後述する類似度評価部14により対象組織と各組織との類似度が評価されている場合には、複数の組織による当該質問への回答内容のうち類似度が高い組織による回答内容を類似度が低い組織による回答内容よりも優先させて対象組織に提示してもよい。「優先させて提示する」とは、順序の上で先に提示することであってもよく、より目立つような態様で(例えば着色して)提示することであってもよい。
【0041】
情報提示部13は、後述するタグ付与部15により質問に対してタグが付与されている場合において、新たにされた質問と既に質問管理部11により管理されている質問とにおいてタグが共通すると後述するタグ共通判定部16により判定されたときには、対象組織に対してされた質問とタグが共通する別の質問への回答内容を対象組織に提示してもよい。つまり、タグが共通することが異同判定基準に含まれていてよい。異同判定基準は、タグが共通することのみであってもよく、タグが共通することに加えて別の基準も含んでいてもよい。なお、異同判定基準は、タグが共通することを含まなくてもよい。
【0042】
情報提示部13は、後述する評価情報管理部17により各組織による質問への回答内容に応じた当該質問の質問者による評価情報が管理されている場合において、質問管理部11により管理されている質問が対象組織に対してされたときに、当該質問への回答内容及び当該回答内容に応じた評価情報を対象組織に提示してもよい。評価情報について、詳しくは後述する。
【0043】
情報提示部13は、後述する開示可否情報取得部18により回答内容を開示することを許可する開示可否情報をいずれかの組織から取得している場合には、当該組織(回答内容を開示することを許可する開示可否情報が開示可否情報取得部18により取得された組織)による回答内容を対象組織に提示してもよい。逆に、情報提示部13は、後述する開示可否情報取得部18により回答内容を開示することを許可しない開示可否情報をいずれかの組織から取得している場合には、当該組織(回答内容を開示することを許可しない開示可否情報が開示可否情報取得部18により取得された組織)による回答内容を対象組織に提示しなくてもよい。換言すると、情報提示部13は、自組織の回答内容を他組織に開示することを許可している組織の回答内容に限り、対象組織に提示してもよい。このように、開示可否情報取得部18により回答内容を開示することを許可する開示可否情報を取得した場合に、情報提示部13は回答内容を他の組織にシェアする機能を実現する。
【0044】
類似度評価部14は、対象組織と各組織との類似度を評価する。類似度評価部14は、例えば対象組織及び各組織の業種等に基づいて類似度を評価してもよい。あるいは、類似度評価部14は、対象組織及び各組織の業態、規模、又は経営方針等に基づいて類似度を評価してもよい。類似度評価部14は、対象組織及び各組織をGICS(Global Industry Classification Standard:グローバル産業分類標準)に準拠した業種(セクター)に分類することによって、対象組織と各組織との類似度を評価してもよい。類似度評価部14は、たとえば類似度をスコア化してもよい。類似度評価部14は、対象組織と各組織との類似度を互いに比較して、類似度の高低を判別可能であってもよい。
【0045】
タグ付与部15は、質問に対して、当該質問の内容を示すタグを付与する。具体的には、タグ付与部15は、質問管理部11により管理される質問に対してタグを付与する。「タグ」とは、質問の内容に応じたグループ名であり、当該質問の内容を端的に表現する。タグは、例えば「ガバナンス系」、「内部統制系」、「気候変動系」といったカテゴリ分けであってもよい。タグ付与部15は、新たに質問がされたときに、新たにされた当該質問に対してタグを付与してもよい。タグ付与部15は、一つの質問に対して複数のタグを付与してもよい。タグ付与部15は、質問の内容を解析して、好適なタグを自動的に選択して付与してもよい。この場合、タグ付与部15は、質問に含まれる個々のワードに応じたタグを付与してもよく、機械学習を用いて質問全体に基づいて選択されるタグを付与してもよい。あるいは、タグ付与部15は、質問に対して、ユーザ端末2等を介してユーザ又は管理者により指定されたタグを付与してもよい。
【0046】
タグ共通判定部16は、新たにされた質問と既に質問管理部11により管理されている質問とにおいてタグが共通するか否かを判定する。タグ共通判定部16は、新たにされた質問及び既に質問管理部11により管理されている質問の少なくともいずれかに複数のタグが付与されている場合には、これらの複数のタグの全てが共通している場合に(完全一致)、タグが共通すると判定してもよい。あるいは、タグ共通判定部16は、新たにされた質問及び既に質問管理部11により管理されている質問の少なくともいずれかに複数のタグが付与されている場合には、これらの複数のタグの少なくとも一部が共通している場合に(部分一致)、タグが共通すると判定してもよい。
【0047】
評価情報管理部17は、各組織による質問への回答内容に応じた当該質問の質問者による評価情報を管理する。質問の質問者は、各組織による質問への回答内容に応じて当該組織を評価する。「評価」とは、各組織が当該質問に係る項目について合格基準に達しているか否か(合否)の評価であってもよく、各組織が当該質問に係る項目について獲得した得点(達成度)の評価であってもよく、各組織の回答内容に対する質問者のコメントであってもよい。「評価情報」とは、このような評価の結果に関する情報である。評価情報管理部17は、各組織による質問への回答内容を質問者に送信し、質問者から評価情報を受信してもよい。評価情報管理部17は、評価情報を、当該組織及び当該質問と紐づけて管理してもよい。
【0048】
開示可否情報取得部18は、開示可否情報を各組織から取得する。「開示可否情報」とは、質問への回答内容を開示することを許可するか否かに関する情報である。具体的には、開示可否情報は、質問に対する自組織の回答内容を、他組織(例えば、自組織とは別の組織である対象組織)に開示することを許可するか否かに関する情報である。開示可否情報には、回答内容を開示することを許可する開示可否情報、及び、回答内容を開示することを許可しない開示可否情報が含まれる。
【0049】
構成員情報管理部19は、構成員情報を管理する。「構成員情報」とは、組織(例えば、対象組織)を構成する構成員に関する情報である。一例として、組織が企業である場合には、構成員は当該企業の社員又は役員等であってもよい。構成員情報は、各構成員の属性(所属又は専門分野等)を含んでもよく、各構成員が過去に回答した実績のある質問の情報を含んでもよい。構成員情報管理部19は、例えばユーザ端末2から構成員情報を受信することにより、構成員情報を取得してもよい。
【0050】
[組織レポート作成部]
組織レポート作成部30は、組織レポート作成機能を実現するための構成である。組織レポート作成部30は、設定部31、サステナビリティマネジメント部32、対照表作成部33、データ分析部34、自主アンケート作成部35、サステナビリティレポート作成部36、及びヘルプ情報提示部37を備えている。
【0051】
設定部31は、質問回答支援装置1における各種設定を行う。例えば、設定部31は、新たに登録されるユーザ(組織)のアカウントの設定を行う。また、設定部31は、各ユーザの構成員の設定及び変更、プロジェクトの管理等を行う。
【0052】
サステナビリティマネジメント部32は、ユーザがサステナブル経営(持続可能な社会の実現に向けた経営)を行うための目標等の設定及び管理を行う。サステナビリティマネジメント部32は、サステナブル経営の目標となるマテリアリティ(社会的重要課題)を設定する。また、サステナビリティマネジメント部32は、設定されたマテリアリティからテーマを設定する。さらに、サステナビリティマネジメント部32は、設定されたテーマに沿った目標を設定するとともに、設定した目標を達成するための活動及び指標を設定する。サステナビリティマネジメント部32は、これらの各項目について、ユーザ端末2からの入力を受け付ける。
【0053】
サステナビリティマネジメント部32は、設定したマテリアリティに対応するパーパス、課題、テーマ、活動、ステークホルダー、又は資源等を設定する。例えば、パーパスとしては「地球との共存」、課題としては「温暖化」、テーマとしては「気候変動」、活動としては「2025年までにScope1CO2排出量を50%削減」等であってもよい。また、サステナビリティマネジメント部32は、各マテリアリティをSDGsのいずれかの項目に紐づける。例えば、SDGsの項目としては「13番」等であってもよい。
【0054】
対照表作成部33は、サステナビリティマネジメント部32により設定されたマテリアリティが、複数のスタンダード(標準)のそれぞれにおいて要求される開示項目の要件を満たしているか否かの一覧表(対照表)を作成する。具体的には、対照表作成部33は、必要な定量データの情報の入力を受け付け、受け付けた情報に基づいて例えばISSB(International Sustainability Standards Board)、GRI(Global Reporting Initiative)、及びSASB(Sustainability Accounting Standards Board)等において要求される開示項目の要件を満たしているか否かの対照表を作成する。対照表作成部33は、後述する自主アンケート作成部35により取得された自主アンケートへの回答に基づいて、定量データの情報を取得してもよい。対照表作成部33は、作成した対照表をユーザ端末2に送信してもよい。
【0055】
データ分析部34は、サステナビリティマネジメント部32により設定されたマテリアリティ(又は、テーマ等)、及び、対照表作成部33が受け付けた定量データの情報を分析する。具体的には、データ分析部34は、マテリアリティ(又は、データ等)及び定量データの情報に基づいて図表(グラフ又はテーブル)を生成する。データ分析部34は、生成した図表をユーザ端末2に送信してもよい。データ分析部34は、生成した図表のデータをCSV(Comma Separated Values)ファイル形式等でユーザ端末2に送信してもよい。
【0056】
データ分析部34は、ユーザ端末2から図表の作成条件を受け付け、受け付けた作成条件に応じた図表を生成する。例えば、データ分析部34は、対象とする時期(期)を限定した図表を生成可能である。また、データ分析部34は、二酸化炭素の排出量、女性管理職の割合、再生可能エネルギーの使用量等に関する図表を選択的に生成可能である。
【0057】
自主アンケート作成部35は、ユーザによる自主的なアンケート(以下、「自主アンケート」という)を作成する。「自主アンケート」とは、ユーザが任意の相手に対して回答を要求する質問であり、上述した外部機関による質問(質問票、すなわちアンケート)とは異なる。自主アンケートは、例えばユーザのステークホルダー、消費者、サプライヤー、又は自社社員等に対して回答を要求するものである。自主アンケート作成部35は、自主アンケートとして、例えば選択式、複数選択式、及び記述式の質問を作成可能である。自主アンケート作成部35は、例えばユーザによって入力された情報に基づいて自主アンケートを作成し、作成した自主アンケートを相手に送信する。また、自主アンケート作成部35は、自主アンケートを送信した相手から、アンケートの回答を受信する。自主アンケート作成部35は、送信した自主アンケートに対する回答数、及び、各自主アンケートの回答期限等を一覧表示可能である。自主アンケート作成部35は、自主アンケートに対する回答の傾向示す円グラフ等の図表を生成可能である。
【0058】
サステナビリティレポート作成部36は、報告書を作成する。例えば、サステナビリティレポート作成部36は、報告書としてサステナビリティレポートを作成する。サステナビリティレポート作成部36は、外部機関質問票支援部10及び組織レポート作成部30の少なくともいずれかにより取得又は生成された情報を用いて、報告書を作成してもよい。具体的には、サステナビリティレポート作成部36は、サステナビリティマネジメント部32により設定されたマテリアリティ、テーマ、目標、活動、又は指標等を組み込んだ報告書を作成してもよい。また、サステナビリティレポート作成部36は、外部機関質問票支援部10により管理されている質問、回答内容、当該回答内容の根拠となる証拠、当該質問の質問者による評価情報、又は構成員情報等を組み込んだ報告書を作成してもよい。
【0059】
サステナビリティレポート作成部36は、外部機関質問票支援部10及び組織レポート作成部30の少なくともいずれかにより取得又は生成された情報を、基本的なテンプレートに沿って報告書を作成する。サステナビリティレポート作成部36は、ユーザ端末2からの操作により、作成した報告書を編集可能である(例えば、文言又は図表等の追加・削除・変更、デザインの変更)。サステナビリティレポート作成部36は、外部機関からの評価結果(いわゆる勝手格付結果)を含む報告書を作成してもよい。
【0060】
サステナビリティレポート作成部36は、作成した報告書を電子データとして出力する。例えば、サステナビリティレポート作成部36は、作成した報告書の電子データをディスプレイに出力することにより、ディスプレイ上に報告書を表示させてもよい。また、サステナビリティレポート作成部36は、作成した報告書の電子データを記録媒体に記録してもよい。また、サステナビリティレポート作成部36は、ネットワークを介して、作成した報告書の電子データをユーザ端末2等の外部端末に送信してもよい。
【0061】
ヘルプ情報提示部37は、質問回答支援装置1の操作方法又はメンテナンス方法等に関するヘルプ項目を提示する。ヘルプ情報提示部37は、ユーザ端末2からの要求に応じて、ユーザ端末2に対してヘルプ項目に関する情報を送信してもよい。
【0062】
[回答受付処理]
質問回答支援装置1により実行される回答受付処理について説明する。
図3は、質問回答支援装置1により実行される回答受付処理を示すフローチャートである。
図3に示される回答受付処理は、複数の組織に対してされた共通の質問に対する各組織の回答内容を受け付けて、後述する回答提示処理に適した状態で記録する処理である。
【0063】
ステップS10において、質問回答支援装置1の質問管理部11は、外部機関等から質問を受け付け、受け付けた質問を記録する。具体的には、質問管理部11は、外部機関等から各組織に対してされた質問を記録する。その後、回答受付処理はステップS12に移行する。
【0064】
ステップS12において、質問回答支援装置1のタグ付与部15は、質問管理部11が受け付けた質問(質問管理部11が記録した質問)に対して、当該質問の内容を示すタグを付与する。これに伴い、質問管理部11は、質問とタグとを互いに紐づけて記録する。その後、回答受付処理はステップS14に移行する。
【0065】
ステップS14において、質問回答支援装置1の回答内容管理部12は、各組織から質問への回答内容を受信して、データとして蓄積する。すなわち、回答内容管理部12は、質問管理部11により管理されている質問(質問の内容)と紐づけて、当該質問への回答内容を管理する。その後、回答受付処理はステップS16に移行する。
【0066】
ステップS16において、質問回答支援装置1の開示可否情報取得部18は、質問への回答内容を開示することを許可するか否かに関する開示可否情報を各組織から取得する。これに伴い、回答内容管理部12は、開示可否情報と紐づけて、各組織による回答内容を管理する。その後、回答受付処理はステップS18に移行する。
【0067】
ステップS18において、質問回答支援装置1の評価情報管理部17は、各組織による質問への回答内容に応じた当該質問の質問者による評価情報を受け付ける。具体的には、評価情報管理部17は、各組織による質問への回答内容を質問者に送信するとともに、質問者から評価情報を受信する。その後、評価情報管理部17は、評価情報を、当該組織及び当該質問と紐づけて管理する。以上により、回答受付処理は終了する。このような回答受付処理が1回又は複数回繰り返された後、回答提示処理が実行される。
【0068】
[回答提示処理]
質問回答支援装置1により実行される回答提示処理について説明する。
図4は、質問回答支援装置1により実行される回答提示処理を示すフローチャートである。
図4に示される回答提示処理は、過去にいずれかの組織に対してされた質問と同様の質問が対象組織に対してされた場合に、各組織による当該質問への回答内容を対象組織に提示する処理である。回答提示処理は、例えば回答受付処理が1回又は複数回繰り返された後に実行される。
【0069】
ステップS20において、質問回答支援装置1の構成員情報管理部19は、ユーザ端末2から対象組織の構成員情報を受け付ける。構成員情報管理部19は、受け付けた構成員情報を対象組織と紐づけて管理する。その後、回答提示処理はステップS22に移行する。
【0070】
ステップS22において、質問回答支援装置1の質問管理部11は、外部機関等から質問を受け付け、受け付けた質問を記録する。具体的には、質問管理部11は、外部機関等から対象組織に対してされた質問を記録する。その後、回答提示処理はステップS24に移行する。
【0071】
ステップS24において、質問回答支援装置1のタグ付与部15は、質問管理部11が受け付けた質問(質問管理部11が記録した質問)に対して、当該質問の内容を示すタグを付与する。これに伴い、質問管理部11は、質問とタグとを互いに紐づけて記録する。その後、回答提示処理はステップS26に移行する。
【0072】
ステップS26において、質問回答支援装置1のタグ共通判定部16は、新たにされた質問と既に質問管理部11により管理されている質問とにおいてタグが共通するか否かを判定する。タグ共通判定部16は、既に質問管理部11により管理されている質問のうち、新たにされた質問とタグが共通する質問を抽出する。その後、回答提示処理はステップS28に移行する。
【0073】
ステップS28において、質問回答支援装置1の質問管理部11は、外部機関等から受け付けた質問に対して回答すべき構成員を選択する。質問管理部11は、ユーザ端末2からの指定により、質問に対し回答すべき構成員を選択してもよい。あるいは、質問管理部11は、構成員情報管理部19により管理されている構成員情報、及び、タグ付与部15により質問に付与されたタグに基づいて、質問に対し回答すべき構成員を選択してもよい。その後、回答提示処理はステップS30に移行する。
【0074】
ステップS30において、質問回答支援装置1の情報提示部13は、評価情報管理部17により管理されている評価情報を読み出す。具体的には、情報提示部13は、各組織による質問への回答内容に応じた当該質問の質問者による評価情報を記憶装置等から取得する。その後、回答提示処理はステップS32に移行する。
【0075】
ステップS32において、質問回答支援装置1の類似度評価部14は、対象組織と各組織との類似度を評価する。そして、類似度評価部14は、対象組織との類似度が所定の基準を上回る(すなわち、一定の水準以上に類似している)組織を抽出する。その後、回答提示処理はステップS34に移行する。
【0076】
ステップS34において、質問回答支援装置1の情報提示部13は、類似度評価部14により対象組織との類似度が所定の基準を上回る組織として抽出された組織のうち、回答内容を開示することを許可する開示可否情報を開示可否情報取得部18により取得されている組織を抽出(選別)する。その後、回答提示処理はステップS36に移行する。
【0077】
ステップS36において、質問回答支援装置1の質問管理部11は、組織(対象組織)に対してされた質問に回答すべき構成員に当該質問への回答を要求する。具体的には、質問管理部11は、設定した構成員が保有するユーザ端末2等に電子メール等の電子的通信手段を用いて質問を通知してもよい。その後、回答提示処理はステップS38に移行する。
【0078】
ステップS38において、質問回答支援装置1の情報提示部13は、回答内容管理部12により管理されている当該質問への回答内容を対象組織(具体的には、質問に回答すべき構成員)に提示する。特に、情報提示部13は、既に質問管理部11により管理されている質問のうち、対象組織に新たにされた質問とタグが共通する質問について、当該質問への回答内容を対象組織に提示する。このとき、情報提示部13は、回答内容と併せて、各組織による当該質問への回答内容に応じた当該質問の質問者による評価情報を、対象組織に提示する。以上により、回答受付処理は終了する。
【0079】
[質問回答支援プログラム]
質問回答支援プログラムPのモジュール構成について説明する。
図5は、質問回答支援プログラムPのモジュール構成を示すブロック図である。
図5に示される質問回答支援プログラムPは、コンピュータCを質問回答支援装置1として機能させるプログラムである。
【0080】
質問回答支援プログラムPは、大別してメインモジュールMM、外部機関質問票支援モジュールM10、及び組織レポート作成モジュールM30を具備している。メインモジュールMMは、コンピュータCを統括的に制御する部分である。
【0081】
外部機関質問票支援モジュールM10は、質問管理モジュールM11、回答内容管理モジュールM12、情報提示モジュールM13、類似度評価モジュールM14、タグ付与モジュールM15、タグ共通判定モジュールM16、評価情報管理モジュールM17、開示可否情報取得モジュールM18、及び構成員情報管理モジュールM19を備えている。外部機関質問票支援モジュールM10を実行することにより実現される機能は、上述した外部機関質問票支援部10が有する機能と同一である。具体的には、質問管理モジュールM11、回答内容管理モジュールM12、情報提示モジュールM13、類似度評価モジュールM14、タグ付与モジュールM15、タグ共通判定モジュールM16、評価情報管理モジュールM17、開示可否情報取得モジュールM18、及び構成員情報管理モジュールM19のそれぞれを実行することにより実現される機能は、上述した質問管理部11、回答内容管理部12、情報提示部13、類似度評価部14、タグ付与部15、タグ共通判定部16、評価情報管理部17、開示可否情報取得部18、及び構成員情報管理部19のそれぞれが有する機能と同一である。
【0082】
組織レポート作成モジュールM30は、設定モジュールM31、サステナビリティマネジメントモジュールM32、対照表作成モジュールM33、データ分析モジュールM34、自主アンケート作成モジュールM35、サステナビリティレポート作成モジュールM36、及びヘルプ情報提示モジュールM37を備えている。組織レポート作成モジュールM30を実行することにより実現される機能は、上述した組織レポート作成部30が有する機能と同一である。具体的には、設定モジュールM31、サステナビリティマネジメントモジュールM32、対照表作成モジュールM33、データ分析モジュールM34、自主アンケート作成モジュールM35、サステナビリティレポート作成モジュールM36、及びヘルプ情報提示モジュールM37のそれぞれを実行することにより実現される機能は、上述した設定部31、サステナビリティマネジメント部32、対照表作成部33、データ分析部34、自主アンケート作成部35、サステナビリティレポート作成部36、及びヘルプ情報提示部37のそれぞれが有する機能と同一である。
【0083】
なお、質問回答支援プログラムPは、メインモジュールMM、質問管理モジュールM11、回答内容管理モジュールM12、及び情報提示モジュールM13以外の少なくともいずれかのモジュールを備えていなくてもよい。
【0084】
[作用及び効果]
以上説明したように、質問回答支援装置1は、対象組織に対してされた質問への回答を支援する質問回答支援装置1であって、複数の組織に対してされた共通の質問を管理する質問管理部11と、複数の組織のそれぞれによる質問への回答内容を管理する回答内容管理部12と、質問管理部11により管理されている質問が対象組織に対してされた場合に、回答内容管理部12により管理されている当該質問への回答内容を対象組織に提示する情報提示部13と、を備える。
【0085】
質問回答支援プログラムPは、対象組織に対してされた質問への回答を支援する質問回答支援装置1としてコンピュータCを機能させる質問回答支援プログラムPであって、コンピュータCを、複数の組織に対してされた共通の質問を管理する質問管理部11と、複数の組織のそれぞれによる質問への回答内容を管理する回答内容管理部12と、質問管理部11により管理されている質問が対象組織に対してされた場合に、回答内容管理部12により管理されている当該質問への回答内容を対象組織に提示する情報提示部13と、として機能させる。
【0086】
質問回答支援装置1及び質問回答支援プログラムPの少なくともいずれかによれば、例えば外部機関等から複数の組織に対してされた共通の質問と、複数の組織のそれぞれによる当該質問への回答内容と、が管理される。そして、管理されている質問が対象組織に対してされた場合に、管理されている当該質問への回答内容が対象組織に提示される。このようにして、例えば外部機関等からの質問に対する回答を容易にすることができる。よって、質問に対する回答を支援することが可能となる。また、質問回答支援装置1によれば、外部機関等からの質問に適切に回答可能とすることで、当該外部機関からの評価結果を向上させることができ、ひいては、当該対象組織へのESG関連投資又は融資の可能性の増大、及び、当該対象組織の企業価値の向上に寄与し得る。
【0087】
質問回答支援装置1では、質問は、対象組織に関する報告書の記載事項に関する内容を含んでいる。これによれば、対象組織に関する報告書の作成を容易にすることができる。
【0088】
質問回答支援装置1では、情報提示部13は、質問管理部11により管理されている質問が対象組織に対してされた場合において、回答内容管理部12により複数の組織による当該質問への回答内容が管理されているときには、複数の組織による当該質問への回答内容を集約して対象組織に提示する。これによれば、例えば外部機関等からの質問に対する複数の回答例を参照しやくすくなるため、質問に対する回答を一層好適に支援することが可能となる。
【0089】
質問回答支援装置1は、対象組織と複数の組織のそれぞれとの類似度を評価する類似度評価部14を備え、情報提示部13は、複数の組織による当該質問への回答内容のうち類似度が高い組織による回答内容を類似度が低い組織による回答内容よりも優先させて対象組織に提示する。これによれば、例えば業態、規模、経営方針といった特徴の類似した他の組織による回答内容を参照しやすくなるため、質問に対する回答を一層好適に支援することが可能となる。
【0090】
質問回答支援装置1は、質問に対して、当該質問の内容を示すタグを付与するタグ付与部15と、新たにされた質問と既に質問管理部11により管理されている質問とにおいてタグが共通するか否かを判定するタグ共通判定部16と、を備え、情報提示部13は、対象組織に対してされた質問とタグが共通する別の質問への回答内容を対象組織に提示する。これによれば、質問を内容によって分類し、内容の似た質問への回答内容を参照可能になるため、質問に対する回答を一層好適に支援することが可能となる。
【0091】
質問回答支援装置1は、複数の組織のそれぞれによる質問への回答内容に応じた当該質問の質問者による評価情報を管理する評価情報管理部17を備え、情報提示部13は、質問管理部11により管理されている質問が対象組織に対してされた場合に、当該質問への回答内容及び当該回答内容に応じた評価情報を対象組織に提示する。これによれば、質問への回答内容だけでなく、その内容で回答した場合に質問者からどのような評価を受けるかを対象組織に知得させることが可能となる。
【0092】
質問回答支援装置1は、回答内容を開示することを許可するか否かに関する開示可否情報を複数の組織のそれぞれから取得する開示可否情報取得部18を備え、情報提示部13は、回答内容を開示することを許可する開示可否情報が開示可否情報取得部18により取得された組織による回答内容を対象組織に提示する。これによれば、質問への回答内容を開示することを望まない組織は、回答内容を秘匿することが可能となる。
【0093】
質問回答支援装置1は、対象組織を構成する構成員に関する構成員情報を管理する構成員情報管理部19を備え、質問管理部11は、対象組織に対してされた質問に回答すべき構成員を設定し、当該構成員に当該質問への回答を要求する。これによれば、質問への回答を複数の構成員に割り振ることが可能となる。
【0094】
質問回答支援装置1では、質問管理部11は、対象組織に対してされた質問の内容と構成員情報とに基づいて、当該質問に回答すべき構成員を選択する。これによれば、質問への回答を好適な構成員に割り振ることが可能となる。
【0095】
[変形形態]
上述した実施形態は、当業者の知識に基づいて変更又は改良が施された様々な形態により実施可能である。
【0096】
例えば、上述した実施形態において、質問回答支援装置1は、外部機関質問票支援機能、及び、組織レポート作成機能の両方を具備している。しかし、質問回答支援装置1は、外部機関質問票支援機能のみを少なくとも具備していればよく、組織レポート作成機能については具備していなくてもよい。
【0097】
また、上述した実施形態において、外部機関は、登録された所定の機関、又は、それ以外の任意の団体等である。しかし、外部機関は、これらのような団体又は組織でなくてもよく、例えば個人であってもよい。この場合、外部機関は、外部者と読み替えられてもよい。
【0098】
また、上述した実施形態において、質問回答支援装置1は単一のコンピュータCにより実現されている。しかし、質問回答支援装置1は、複数のコンピュータCにより協働して実現されてもよい。また、質問回答支援装置1は、サーバと、当該サーバと通信するユーザ端末2上で実行されるアプリケーション(プログラム)と、により協働して実現されてもよい。また、質問回答支援装置1は、ユーザ端末2上で実行されるアプリケーション(質問回答支援プログラムP)により実現されてもよい。
【0099】
また、上述した実施形態において、構成員情報管理部19は外部機関質問票支援部10に含まれている。しかし、構成員情報管理部19は組織レポート作成部30に含まれていてもよく、この場合、外部機関質問票支援部10は構成員情報を組織レポート作成部30から取得してもよい。同様に、外部機関質問票支援部10に含まれる各機能部は組織レポート作成部30に含まれていてもよく、組織レポート作成部30に含まれる各機能部は外部機関質問票支援部10に含まれていてもよい。つまり、上述した実施形態においては、質問回答支援装置1が有する各機能を外部機関質問票支援部10と組織レポート作成部30とに便宜的に割り振っているものであってもよく、各機能は任意の機能グループにそれぞれ振り分けられてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 質問回答支援装置
2 ユーザ端末
10 外部機関質問票支援部
11 質問管理部
12 回答内容管理部
13 情報提示部
14 類似度評価部
15 タグ付与部
16 タグ共通判定部
17 評価情報管理部
18 開示可否情報取得部
19 構成員情報管理部
30 組織レポート作成部
31 設定部
32 サステナビリティマネジメント部
33 対照表作成部
34 データ分析部
35 自主アンケート作成部
36 サステナビリティレポート作成部
37 ヘルプ情報提示部
C コンピュータ
P 質問回答支援プログラム