(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033414
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】水素生成方法
(51)【国際特許分類】
C01B 3/08 20060101AFI20240306BHJP
B09B 3/70 20220101ALI20240306BHJP
C22B 7/04 20060101ALI20240306BHJP
B09B 101/55 20220101ALN20240306BHJP
【FI】
C01B3/08 Z
B09B3/70 ZAB
C22B7/04 Z
B09B101:55
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136974
(22)【出願日】2022-08-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-30
(71)【出願人】
【識別番号】522345733
【氏名又は名称】グランドエンタープライズジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】▲こう▼ 俊▲栄▼
(72)【発明者】
【氏名】▲こう▼ 文輝
【テーマコード(参考)】
4D004
4K001
【Fターム(参考)】
4D004AA44
4D004AC05
4D004BA03
4D004CA04
4D004CA12
4D004CA22
4D004CA34
4D004CA35
4D004CA50
4D004CB31
4D004CC01
4D004CC03
4D004CC09
4D004CC15
4K001AA02
4K001BA13
4K001CA06
(57)【要約】
【課題】アルミドロスを無害化する過程で水素を生成する際のコストや設備稼働の無駄を改善する。
【解決手段】本発明は、アルミドロスの残滓となる二次アルミドロスを、粉末状に粉砕する工程、球形に研磨する工程、球形で粉末状の二次アルミドロスを収容する容器内の空気を窒素ガスに置換して脱酸する工程、脱酸する工程を所定時間継続して脱酸状態を維持しつつ水と球形で粉末状の二次アルミドロスとを混合する際、熱を発生する反応の段階の後、前記段階の熱を利用して熱を必要とする反応の段階に分けて行う工程、段階毎に発生したガスを集合させる工程、集合したガスから水素を取り出す工程を有する。
【効果】
熱を伴う反応の段階の熱を、熱が必要な反応の段階に利用するから、エネルギー効率が向上する。段階毎に生じるガスを集合させるので、未反応成分が生じてガス発生量が低減せず、水素生成効率が向上する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミドロスにおける、金属アルミニウム又はアルミ合金を回収するための一次アルミドロスの残滓となる二次アルミドロスを無害化する処理の際に水素を生成する方法であって、二次アルミドロスを粉砕する工程、粉砕した二次アルミドロスの粒子を研磨する工程、研磨した粒子状の二次アルミドロスを収容した容器内を脱酸する工程、脱酸状態を維持しつつ水と二次アルミドロスとを混合する際、少なくとも熱を発生する反応の段階、熱を必要とする反応の段階、に分けて段階的に反応させ、この段階毎に発生したガスを集合させる工程、前記集合したガスから水素を取り出す工程を有する水素生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルミドロスを無害化する過程で、高純度な水素を経済的に得ることができる水素生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素を得る手法としては、天然ガス又はコークスから水素を分離する手法、水を原料として、水電気分解法、高温水蒸気分解法、熱化学法、太陽光利用法などの手法が知られている。また、水と電熱化学反応するアルミニウム又はマグネシウム等の化学反応金属体を用いる手法、あるいはアンモニアを触媒反応させることで得る手法も知られている。
【0003】
例えば特許文献1(特開2004-210591号公報:請求項3,4)には、アルミドロスと水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水酸化カルシウムのいずれかの水溶液とを混合して水素ガスを発生させることが示されている。
【0004】
また、例えば特許文献2(特開2010-1175号公報)にも、水中でアルミドロスと水酸化ナトリウムとを反応させることによりアルミン酸ナトリウムと水素とを生成することが示されている。
【0005】
水素を生成する技術的は手法としては確立され、また、上記の特許文献1,2に示されるように、いわゆる産業廃棄物の処理過程から、つまりアルミドロスの処理過程で副次的に水素を生成(取り出す)ことも知られている。
【0006】
ここで、アルミドロスの廃棄処理について説明する。アルミニウム生産工程では、アルミドロス(アルミ灰)と呼ばれる残滓が発生し、このアルミドロスは日本国内では年間数万トンほど発生し、現時点でリサイクルや処理ルートが確立されていない。アルミドロスの処理の最大の問題は、含有する窒化アルミと金属アルミニウムと水との反応が発熱反応であり、アンモニアや水素を発生するため悪臭や火災・爆発の原因になることである。
【0007】
そこで、従来、未確立であったアルミドロスの処理方法が多数提案されており、大別すると乾式処理と湿式処理とがある。乾式処理はロータリーキルン等で残灰を1000℃以上の高温加熱する手法で、構成相を燃焼酸化により酸化物とすることが出来き、酸化物原料として十分利用可能であったが、エネルギー消費量が大きくコストがかさむといった課題がある。一方、本願で提案する湿式処理はアルミドロスを水に浸漬する手法で、乾式処理法に比べコスト的に優れるがアンモニアの発生が伴うため、排出されるアンモニアの除去が課題となっていた。
【0008】
アルミドロスの主な組成とその含有割合(質量分率)は、金属アルミニウム10~30%、アルミナ20~40%、ケイ素、マグネシウム、鉄の酸化物含有量は7~15%、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムの塩化物及び他の微量のフッ化物の合計が15~30%である。
【0009】
アルミドロスは、リサイクルプロセスにおける金属アルミニウム又はアルミ合金を回収する回数とそれらの含有量に応じて、一次アルミドロスと、二次アルミドロスとに分けられている。
【0010】
一次アルミドロスは、電解アルミナによる金属アルミニウムを生産するプロセスに生成する溶けないスラグである。一次アルミドロス中の金属アルミニウムの含有量は30~85%であり、さらに、フッ化塩、アルミナ、窒化アルミニウム等の物質が含まれる。
【0011】
二次アルミドロスは、一次アルミドロスから金属アルミニウムまたはアルミ合金を回収するプロセスで生成する廃棄スラグである。二次アルミドロス中の金属アルミニウム含有量は5~20%であり、窒化アルミニウム、アルミナ、フッ塩及びシリカなど成分を含有する。
【0012】
アルミドロスの処理の危険性とは、上記した二次アルミドロスが、湿式処理における水または湿気との反応によって、アンモニア(NH3)、メタン(CH4)、ホスフィン(PH3)、水素(H2)、硫化水素(H2S)などの有毒、有害、可燃性、悪臭ガスを生成すること、また、同時に、二次アルミドロスに様々な重金属が存在すること、である。
【0013】
従来、以下の特許文献3~5には、いずれも湿式処理によりアルミドロスを無害化する処理が提案されている。例えば、特許文献3(特開平4-173930号公報)には、アルミドロス中に含まれる金属アルミニウムを回収したもの10重量部に対し、80℃以上の温水100重量部を加え、この混合液の温度を80℃以上に保って3時間以上撹拌・混合させた後、静置して沈降させたスラリーを抜き出し、これを乾燥させることが示されている。
【0014】
また、例えば特許文献4(特開平10-1726号公報)には、アルミドロスに対して、水をドロス/水の重量比率で3/1~1/3の割合で混合し、60~100℃で加熱撹拌した後、300~500℃で加熱することが示されている。
【0015】
さらに、例えば特許文献5(特開平10-8154号公報)には、アルミドロスと水とを摩砕撹拌下に共存させてアルミドロス中の窒化アルミニウムを水と反応させることが示されている。
【0016】
しかしながら、特許文献1~5を含む従来では、水素生成技術においては最終的に水素を得ることが目的であり、アルミドロスの無害化処理技術においては最終的に無害化することが目的であって、その目的達成の手法自体は確立していても、各々の目的を達成する過程において生じる、例えば発生熱などのエネルギー、設備の稼働率、といった経済面でのコストを度外視しており、未だ有効な手法とまでは言えなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】特開2004-210591号公報
【特許文献2】特開2010-1175号公報
【特許文献3】特開平4-173930号公報
【特許文献4】特開平10-1726号公報
【特許文献5】特開平10-8154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
解決しようとする問題は、アルミドロスを湿式処理により無害化する過程で水素を生成する技術は確立されていても、コストや設備稼働の面では未だ無駄があり、経済的には未だ有効な手法には至っていない点である。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明は、アルミドロスにおける、金属アルミニウム又はアルミ合金を回収するための一次アルミドロスの残滓となる二次アルミドロスを無害化する処理の際に水素を生成する方法であって、二次アルミドロスを粉砕する工程、粉砕した二次アルミドロスの粒子を研磨する工程、研磨した粒子状の二次アルミドロスを収容した容器内を脱酸する工程、脱酸状態を維持しつつ水と二次アルミドロスとを混合する際、少なくとも熱を発生する反応の段階、熱を必要とする反応の段階、に分けて段階的に反応させ、この段階毎に発生したガスを集合させる工程、前記集合したガスから水素を取り出す工程を有することとした。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、二次アルミドロスを粉砕し、研磨して、粒子を均一化することで、水を添加する際に生じる化学変化を均質なものとすることができ、また、処理効率が向上する。また、本発明は、研磨した粒子状の二次アルミドロスを収容した容器内を脱酸することで、水を添加して反応した場合の引火や爆発を防ぐことができる。
【0021】
さらに、本発明は、粉砕して研磨した二次アルミドロスと水との化学反応がその全量について確実となり、そして水との反応を段階的に行うことで、発熱を伴う反応の段階の熱を、加熱が必要な反応の段階に利用することができ、エネルギー効率を向上させることができ、かつこの段階毎に生じるガスを集合させるので、1バッチ処理で未反応成分が生じることによって(水素を含んだ)ガス発生量が低減するといったことがなく、つまり水素生成効率が向上する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、アルミドロスを湿式処理により無害化する過程で水素を生成する際の、コストや設備稼働の面の無駄を省くという目的を、アルミドロスにおける、金属アルミニウム又はアルミ合金を回収するための一次アルミドロスの残滓となる二次アルミドロスを無害化する処理の際に水素を生成する方法であって、二次アルミドロスを粉砕する工程、粉砕した二次アルミドロスの粒子を研磨する工程、研磨した粒子状の二次アルミドロスを収容した容器内を脱酸する工程、脱酸状態を維持しつつ水と二次アルミドロスとを混合する際、少なくとも熱を発生する反応の段階、熱を必要とする反応の段階、に分けて段階的に反応させ、この段階毎に発生したガスを集合させる工程、前記集合したガスから水素を取り出す工程を有することで実現した。
【0023】
本発明は、例えば次のようにして、二次アルミドロスを無害化処理する際に水素を生成する。
一次アルミドロスと分別された二次アルミドロスは、密閉された湿気防止容器に保管しておく。無害化処理に供される二次アルミドロスは、湿式処理前に粉砕工程を経る。粉砕工程では、塊状の二次アルミドロスを粉末状する。この粉砕工程を経ることで、後述の水との化学反応において、全量を漏れなく反応させることができる。
【0024】
続いて、粉末状に粉砕された二次アルミドロスを研磨して形状を球形にする。この研磨工程を経ることで、粒子における反応のための表面積を均質かつ最大とすることができ、また、粒子径がほぼ均等で粉末状とされていることから二次アルミドロスの各成分が均質に拡散され、化学反応の精度の向上と、反応時間の短縮が図れ、よって処理効率の向上と化学反応に要するエネルギー消費を抑制できる。また、無害化後の固相取り出しにおいても性状の均質なものとでき、取り扱いが容易となる。
【0025】
研磨工程では、例えばボールミル及び粉末装置で構成される閉回路粉末粉砕設備を採用する。例えば粉砕工程と研磨工程を経た二次アルミドロスは、粒径45μm以上(最大粒径でもおよそ50~60μm)の部分の含有量が5~30%、換言すると粒径45μm未満の部分は70~95%となるまで粉砕、研磨が行われる。
【0026】
粒径が45μm以上であると、上記した化学反応の時間短縮や処理効率の向上に支障をきたし、10μmより小さいと例えば移載時や作業時に意図せず、粉塵として空気中に混じってしまう(舞い上がってしまう)可能性がある。
【0027】
さらに、粉砕工程において、補助研磨剤を添加してもよい。補助研磨剤の使用量は二次アルミドロスの質量に対して0.01~0.1%、好ましくは0.02~0.06%とすればよい。補助研磨剤は0.01%より少ないと粉砕工程後の研磨工程の処理効率が低下し、0.1%より多いと後の水との化学反応時に補助研磨剤が不要な反応を生じる可能性がある。
【0028】
補助研磨剤は、例えば、トリエタノールアミン(10~50%)、トリイソプロパノールアミン(20~30%)、ジエタノールモノイソプロパノールアミン(20~30%)、ジエチレングリコール(10~50%)のいずれか又は複数と、水(10~50%)とからなるものを用いればよい。
【0029】
研磨工程を経た二次アルミドロスは、反応釜に、先に水を投入した後、この水1とした場合の質量比で後述の所定割合で投入するが、本発明では、化学反応により反応釜において引火や爆発が生じることのないように脱酸工程を設けている。
【0030】
脱酸工程は、反応釜の空気(酸素)を、窒素ガスを注入して置換することで行う。水素爆発は、酸素濃度が5%以上、水素濃度が4%以上混ざった状態で、温度が500℃よりも高くなるか、粉体粒子の互いの摩擦による静電気や粉塵爆発に誘引されて生じる可能性があるため、後の水を添加して反応が開始するまでに酸素濃度を5%未満としておく。このようにすることで、湿式処理の課題であった水素生成による爆発を防ぐことができる。
【0031】
続いて、脱酸状態を維持しつつ反応釜に水を投入する。二次アルミドロスと水との質量比は、二次アルミドロス:水=1:2~1:10、好ましくは1:3~1:6とする。二次アルミドロス1に対して水が2より少ないと、固相と液体の練り混ぜは困難、すなわち二次アルミドロスに対して該二次アルミドロスを反応させるべき水が不足し、十分的混和できず、未反応の二次アルミドロスが生じる可能性がある。また、化学反応速度が低減し、処理終了までの時間が大幅に長期化する可能性もある。一方、二次アルミドロス1に対して水が10より多いと、水だけが多くなる結果、単位時間に処理する二次アルミドロスの量が少なくなり、処理効率が悪化すると共に水の消費が増えるだけで経済性が低下することとなる。
【0032】
水は、清水であってもよいし、1サイクル前の反応後で固液分離された液相であってもよい。そして、攪拌しながら反応釜内に二次アルミドロスを上記割合で投入する。すべての二次アルミドロス投入後、脱酸処理を1~30分、好ましくは2~20分、最も好ましくは3~8分継続する。脱酸処理を1分より短い時間で継続した場合は、反応後に発生する様々な気相中の酸素濃度が高くなっている可能性があり、30分より長い時間で継続した場合は、収集すべき反応による生成化合物(気体)まで置換してしまう可能性がある。
【0033】
水と二次アルミドロスを混合して化学反応を生じさせる際において、本発明では、この反応を、熱を発生する反応の段階と、熱を必要とする反応の段階と、の段階を設けて行うこととし、さらに、この段階毎で発生したガス(気相分)は全て集合させておいて、この集合させたガスから水素を取り出すようにしている。なお、気相分以外の固液混合物についても、分別収集され、固相、液相ともに全て無害化できる。
【0034】
すなわち、本発明では、粉末状とされた二次アルミドロスにおいて異なる化学成分が均等に分散されているので反応の偏りや未反応成分の発生が抑制され、結果的に処理全体の時間を大幅に短縮できる。前記の点に併せて、本発明では、個々の成分の反応性及び反応速度、生成物も異なる化学成分が混合した二次アルミドロスについて、効率よくかつ確実に各成分を分別収集するために、以下の三段階の分別処理工程を設けている。
【0035】
第1分別処理工程では、主に窒化アルミニウムを反応させる工程である。第1分別処理工程における条件は、第1分別処理用の反応釜に、二次アルミドロス:水の質量比を1:3~1:10で投入し、反応釜内圧を常圧とすると共に、反応釜内の温度を5~99℃とし、反応時間を2~5時間とする。
【0036】
第1分別処理工程は水と二次アルミドロスとの混合直後から、加熱や触媒などを要せずに、激しくかつ短時間で反応し、大量な熱と共に、ガスが発生する。このときの熱は回収して、後の第2、第3分別処理工程で使用する。また、第1分別処理工程で発生するガスは、回収し、その後の第2分別処理工程及び第3分別処理工程で発生するガスと混合すべく回収し、一旦貯留する。
【0037】
第2分別処理工程は、主に金属アルミニウムを反応させる工程である。第2分別処理工程における条件は、第2分別処理用の反応釜に、二次アルミドロス:水の質量比を1:2~1:10、好ましくは1:3~1:6で投入し、反応釜内圧を常圧とすると共に、反応釜内の温度を、第1分別処理工程で回収した熱を用いて50~99℃とし、反応時間を5~20時間とする。
【0038】
第2分別処理工程では、吸熱反応で、反応時間は比較的長く、熱供給が必要となることから、適量な触媒を使用して、反応を促進させる。触媒としては、水酸化カルシウムを添加すればよく、その添加量は二次アルミドロスの質量に対して1~10%とし、好ましくは飽和水酸カルシウム溶液によってpHを12~13に調整する。
【0039】
第2分別処理工程で発生するガスは、第1分別処理工程及び第3分別処理工程で発生するガスと混合すべく回収し、一旦貯留する。
【0040】
第3分別処理工程は、二次アルミドロスに残存するガス発生成分(未反応成分)を反応によってできる限りすべて反応させ、気相と固液相とを分別する工程である。第3分別処理工程における条件は、第3分別処理用の反応釜に、二次アルミドロス:水の質量比を1:2~1:10、好ましくは1:3~1:6で投入し、反応釜内圧を常圧とすると共に、反応釜内の温度を、第3分別処理工程でも第1分別処理工程で回収した熱を用いて70~99℃とし、反応時間を10~30時間とする。
【0041】
第3分別処理工程は第1、2分別処理工程よりも大きな反応釜を用い、第1、2分別処理工程より反応時間を大幅に延長し、第1、2分別処理工程より高温で処理すると共に、反応釜内に第2分別処理工程で用いた触媒とは別の触媒を添加する。触媒の添加量は、二次アルミドロスの質量に対して1~10%、好ましくは3~8%とする。
【0042】
第3分別処理工程で発生するガスは、一旦貯留された後に、第1分別処理工程及び第2分別処理工程で発生するガスと混合し、多段吸収塔を使用して、混合したガスから水素だけでなく成分毎に分別した気相成分に分離し、水素に関しては、可変圧吸着を用いて精製し、有効成分含有量が99.99%の水素を得る。これにより、固液混合物と分別する。一方、固液混合物は、用途に適した処理を施して再利用に供される。
【0043】
以上のように、反応により生成された化合物を分別収集する工程を三段階に分けて行うことで、反応熱の放出と吸入を繰り返す熱については、具体的には第1段階の放熱を回収して、第2、3分別処理工程における反応に供給することで熱をコントロールしてエネルギーが節約できる。また,各段階の反応時間を反応速度に応じて調整し、全処理工程の効率を向上させることができると共に、反応の激しさ、条件、操作に応じて処理設備や機械などを最適化することもでき、よって全体としての処理時間の短縮と、反応処理の効率向上が可能となり、例えば単位量の水素を製造すうコストは、化石燃料から得るコストの1/3、電解処理から得るコストの1/4とすることができる。
【0044】
また、本発明は、脱酸工程を設けていることで、二次アルミドロスと水とが反応して生成される水素を安全に取り出すことができる。また、反応前に粉砕工程、研磨工程を設けていることで、二次アルミドロス残灰の処理率を大幅に向上させることができると共に、処理後の二次アルミドロスの窒化アルミニウム、金属アルミニウム及び他の物質含有量の残存を極めて少なくできる。
【0045】
なお、上記の反応の条件とした例えば配合条件、温度、気圧、pHなどに用いた数値は、二次アルミドロスの処理全プロセスの効率を向上させ、各種反応生成化合物の品質(気相、固相など)を向上させ、かつ工業化コストを低減するために最適範囲を示している。すなわち、条件範囲を下限、上限を超えることは、二次アルミドロスの処理全プロセスの効率の悪化、各種反応生成化合物の品質の悪化、工業化コストを上昇となる。
【実施例0046】
以下に、本発明の具体的な実施例を示す。
(実施例1)
(1)二次アルミドロスを、ボールミル及び粉末装置で構成される閉回路粉末粉砕設備を使用して粉砕した。このとき、二次アルミドロスの質量に対して0.03%の割合で補助研磨剤を添加した。補助研磨剤は、トリエタノールアミン(30%)、トリイソプロパノールアミン(20%)、ジエチレングリコール(20%)、水(30%)、の組成(質量分率)のものを用いた。
【0047】
(2)粉砕工程の後、研磨工程を上記閉回路粉末粉砕設備において連続的に行って、研磨工程後の、不定形な塊状の二次アルミドロスを45μm以上の粒子が20.5%(このうち最大の粒径は60μm)の球状の粉末状とした。
【0048】
(3)粉砕・研磨後の二次アルミドロスと水とを反応釜に、二次アルミドロスの質量1に対して水を6、つまり1:6の割合で投入した。このとき、反応釜に、まず、上記割合の反応釜内に水を投入する。水は、1回前の処理時の反応後に固液分離された液相を用いた。水を投入後に、窒素ガスにより脱酸を開始し、反応釜内を撹拌しながら二次アルミドロスを投入し、二次アルミドロスを投入完了してから3分後に、脱酸工程を終了した。
【0049】
(4)脱酸時に反応釜から排出されるガス、反応後の二次アルミドロス(固相)について、回収および無害化処理を行った。
【0050】
(4-1)第1分別処理工程では、脱酸後の二次アルミドロス(固相)を第一種反応釜に装入した。第一種反応釜における第1分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:6」、第一種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、釜内初期温度を「30℃」、反応終了時温度を「93℃」となるようにコントロールして「3時間」反応させ、この時に発生する熱は、第2、第3分別処理工程で使用すべく、回収しておく。一方、第一種反応釜から排出されたガスを回収し、第2第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
【0051】
(4-2)第2分別処理工程では、第1分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第二種反応釜に装入した。第二種反応釜における第2分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:6」、第二種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第2分別処理工程開始時に「水酸化カルシウム溶液」を反応釜内に添加し、液相のpH値を「12.5」に調整しつつ、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時93±5℃」となるようにコントロールして「5時間」反応させ、第二種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
【0052】
(4-3)第3分別処理工程では、第2分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第三種反応釜に装入した。第三種反応釜における第3分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:6」、第三種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第3分別処理工程開始時に、組成(質量分率)が炭酸ナトリウム(10%)、水酸化ナトリウム(50%)、錫酸ナトリウム(0.03%)の触媒を二次アルミドロスの質量に対して5%で反応釜内に添加し、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時93±5℃」となるようにコントロールして「12時間」反応させ、第三種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第2分別処理後に発生するガスと混合させた(以下、混合ガスという)。
【0053】
(5)混合ガスを、多段吸収塔を使用して、複数の気相成分と共に吸収し、各々の成分別に分離して安定化した。このとき取り出せる水素は、全気相分の質量割合の99.88%であった。また、水素の純度は99.99%であった。一方、第3分別処理工程を経た後の二次アルミドロス(固液混合)は、圧力過濾装置によって固液分離した。
【0054】
(6)固液分離後の固相を洗浄した。洗浄方法は、固液分離したうちの固相に対する液相の質量比が1:4となるように水を加え、固相中の塩化物イオン(Cl-)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、および重金属の濃度が規定の基準を下回るまで、攪拌し、固液分離を行うことを繰り返した。なお、この洗浄水は、十分に希釈した状態、あるいは処理した状態で所定の排水を行う。
【0055】
以上の処理を行った結果、そのまま放置、廃棄するには有害な二次アルミドロスの全量から、安全に、無害な商用の気相成分に分離して取り出すことができると共に、また、同じく無害な他の材料に転用可能な固液混合物を分離して取り出すことができた。
【0056】
(実施例2)
(1)二次アルミドロスを、ボールミル及び粉末装置で構成される閉回路粉末粉砕設備を使用して粉砕した。このとき、二次アルミドロスの質量に対して0.04%の割合で補助研磨剤を添加した。補助研磨剤は、トリエタノールアミン(20%)、トリイソプロパノールアミン(20%)、ジエチレングリコール(30%)、水(30%)、の組成(質量分率)のものを用いた。
【0057】
(2)粉砕工程の後、研磨工程を上記閉回路粉末粉砕設備において連続的に行って、研磨工程後の、不定形な塊状の二次アルミドロスを45μm以上の粒子が18.3%(このうち最大の粒径は60μm)の球状の粉末状とした。
【0058】
(3)粉砕・研磨後の二次アルミドロスと水とを反応釜に、二次アルミドロスの質量1に対して水を5、つまり1:5の割合で投入した。このとき、反応釜に、まず、上記割合の反応釜内に水を投入する。水は、水道水を用いた。水を投入後に、窒素ガスにより脱酸を開始し、反応釜内を撹拌しながら二次アルミドロスを投入し、二次アルミドロスを投入完了してから4分後に、脱酸工程を終了した。
【0059】
(4)脱酸時に反応釜から排出されるガス、反応後の二次アルミドロス(固相)について、回収および無害化処理を行った。
【0060】
(4-1)第1分別処理工程では、脱酸後の二次アルミドロス(固相)を第一種反応釜に装入した。第一種反応釜における第1分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:5」、第一種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、釜内初期温度を「25℃」、反応終了時温度を「90℃」となるようにコントロールして「4時間」反応させ、この時に発生する熱は、第2、第3分別処理工程で使用すべく、回収しておく。一方、第一種反応釜から排出されたガスを回収し、第2第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
【0061】
(4-2)第2分別処理工程では、第1分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第二種反応釜に装入した。第二種反応釜における第2分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:5」、第二種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第2分別処理工程開始時に「水酸化カルシウム溶液」を反応釜内に添加し、液相のpH値を「12.5」に調整しつつ、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時91±5℃」となるようにコントロールして「6時間」反応させ、第二種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
【0062】
(4-3)第3分別処理工程では、第2分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第三種反応釜に装入した。第三種反応釜における第3分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:5」、第三種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第3分別処理工程開始時に、組成(質量分率)が炭酸ナトリウム(8%)、水酸化ナトリウム(40%)、錫酸ナトリウム(0.02%)の触媒を二次アルミドロスの質量に対して6%で反応釜内に添加し、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時91±5℃」となるようにコントロールして「14時間」反応させ、第三種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第2分別処理後に発生するガスと混合させた(以下、混合ガスという)。
【0063】
(5)混合ガスを、多段吸収塔を使用して、複数の気相成分と共に吸収し、各々の成分別に分離して安定化した。このとき取り出せる水素は、全気相分の質量割合の99.88%であった。また、水素の純度は99.99%であった。一方、第3分別処理工程を経た後の二次アルミドロス(固液混合)は、圧力過濾装置によって固液分離した。
【0064】
(6)固液分離後の固相を洗浄した。洗浄方法は、固液分離したうちの固相に対する液相の質量比が1:5となるように水を加え、固相中の塩化物イオン(Cl-)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、および重金属の濃度が規定の基準を下回るまで、攪拌し、固液分離を行うことを繰り返した。なお、この洗浄水は、十分に希釈した状態、あるいは処理した状態で所定の排水を行う。
【0065】
以上の処理を行った結果、そのまま放置、廃棄するには有害な二次アルミドロスの全量から、安全に、無害な商用の気相成分に分離して取り出すことができると共に、また、同じく無害な他の材料に転用可能な固液混合物を分離して取り出すことができた。
【0066】
(実施例3)
(1)二次アルミドロスを、ボールミル及び粉末装置で構成される閉回路粉末粉砕設備を使用して粉砕した。このとき、二次アルミドロスの質量に対して0.05%の割合で補助研磨剤を添加した。補助研磨剤は、トリエタノールアミン(10%)、エチレングリコールモノイソプロパノールアミン(20%)、ジエチレングリコール(30%)、水(40%)、の組成(質量分率)のものを用いた。
【0067】
(2)粉砕工程の後、研磨工程を上記閉回路粉末粉砕設備において連続的に行って、研磨工程後の、不定形な塊状の二次アルミドロスを45μm以上の粒子が22.4%(このうち最大の粒径は55μm)の球状の粉末状とした。
【0068】
(3)粉砕・研磨後の二次アルミドロスと水とを反応釜に、二次アルミドロスの質量1に対して水を6、つまり1:6の割合で投入した。このとき、反応釜に、まず、上記割合の反応釜内に水を投入する。水は、1回前の処理時の反応後に固液分離された液相を用いた。水を投入後に、窒素ガスにより脱酸を開始し、反応釜内を撹拌しながら二次アルミドロスを投入し、二次アルミドロスを投入完了してから5分後に、脱酸工程を終了した。
【0069】
(4)脱酸時に反応釜から排出されるガス、反応後の二次アルミドロス(固相)について、回収および無害化処理を行った。
【0070】
(4-1)第1分別処理工程では、脱酸後の二次アルミドロス(固相)を第一種反応釜に装入した。第一種反応釜における第1分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:7」、第一種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、釜内初期温度を「28℃」、反応終了時温度を「92℃」となるようにコントロールして「3時間」反応させ、この時に発生する熱は、第2、第3分別処理工程で使用すべく、回収しておく。一方、第一種反応釜から排出されたガスを回収し、第2第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
【0071】
(4-2)第2分別処理工程では、第1分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第二種反応釜に装入した。第二種反応釜における第2分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:7」、第二種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第2分別処理工程開始時に「水酸化カルシウム溶液」を反応釜内に添加し、液相のpH値を「12.7」に調整しつつ、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時92±4℃」となるようにコントロールして「6時間」反応させ、第二種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
【0072】
(4-3)第3分別処理工程では、第2分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第三種反応釜に装入した。第三種反応釜における第3分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:7」、第三種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第3分別処理工程開始時に、組成(質量分率)が炭酸ナトリウム(8%)、水酸化ナトリウム(40%)、錫酸ナトリウム(0.01%)の触媒を二次アルミドロスの質量に対して7%で反応釜内に添加し、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時92±4℃」となるようにコントロールして「17時間」反応させ、第三種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第2分別処理後に発生するガスと混合させた(以下、混合ガスという)。
【0073】
(5)混合ガスを、多段吸収塔を使用して、複数の気相成分と共に吸収し、各々の成分別に分離して安定化した。このとき取り出せる水素は、全気相分の質量割合の99.88%であった。また、水素の純度は99.99%であった。一方、第3分別処理工程を経た後の二次アルミドロス(固液混合)は、圧力過濾装置によって固液分離した。
【0074】
(6)固液分離後の固相を洗浄した。洗浄方法は、固液分離したうちの固相に対する液相の質量比が1:6となるように水を加え、固相中の塩化物イオン(Cl-)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、および重金属の濃度が規定の基準を下回るまで、攪拌し、固液分離を行うことを繰り返した。なお、この洗浄水は、十分に希釈した状態、あるいは処理した状態で所定の排水を行う。
【0075】
以上の処理を行った結果、そのまま放置、廃棄するには有害な二次アルミドロスの全量から、安全に、無害な商用の気相成分に分離して取り出すことができると共に、また、同じく無害な他の材料に転用可能な固液混合物を分離して取り出すことができた。
【0076】
(実施例4)
(1)二次アルミドロスを、ボールミル及び粉末装置で構成される閉回路粉末粉砕設備を使用して粉砕した。このとき、二次アルミドロスの質量に対して0.04%の割合で補助研磨剤を添加した。補助研磨剤は、トリエタノールアミン(10%)、トリイソプロパノールアミン(20%)、ジエチレングリコール(40%)、水(30%)、の組成(質量分率)のものを用いた。
【0077】
(2)粉砕工程の後、研磨工程を上記閉回路粉末粉砕設備において連続的に行って、研磨工程後の、不定形な塊状の二次アルミドロスを45μm以上の粒子が18.3%(このうち最大の粒径は65μm)の球状の粉末状とした。
【0078】
(3)粉砕・研磨後の二次アルミドロスと水とを反応釜に、二次アルミドロスの質量1に対して水を8、つまり1:8の割合で投入した。このとき、反応釜に、まず、上記割合の反応釜内に水を投入する。水は、水道水を用いた。水を投入後に、窒素ガスにより脱酸を開始し、反応釜内を撹拌しながら二次アルミドロスを投入し、二次アルミドロスを投入完了してから3分後に、脱酸工程を終了した。
【0079】
(4)脱酸時に反応釜から排出されるガス、反応後の二次アルミドロス(固相)について、回収および無害化処理を行った。
【0080】
(4-1)第1分別処理工程では、脱酸後の二次アルミドロス(固相)を第一種反応釜に装入した。第一種反応釜における第1分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:8」、第一種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、釜内初期温度を「25℃」、反応終了時温度を「90℃」となるようにコントロールして「4時間」反応させ、この時に発生する熱は、第2、第3分別処理工程で使用すべく、回収しておく。一方、第一種反応釜から排出されたガスを回収し、第2第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
【0081】
(4-2)第2分別処理工程では、第1分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第二種反応釜に装入した。第二種反応釜における第2分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:8」、第二種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第2分別処理工程開始時に「水酸化カルシウム溶液」を反応釜内に添加し、液相のpH値を「12.6」に調整しつつ、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時93±3℃」となるようにコントロールして「7時間」反応させ、第二種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
【0082】
(4-3)第3分別処理工程では、第2分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第三種反応釜に装入した。第三種反応釜における第3分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:8」、第三種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第3分別処理工程開始時に、組成(質量分率)が過酸化水素(2%)、水酸化ナトリウム(20%)、錫酸ナトリウム(0.01%)の触媒を二次アルミドロスの質量に対して6%で反応釜内に添加し、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時93±3℃」となるようにコントロールして「16時間」反応させ、第三種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第2分別処理後に発生するガスと混合させた(以下、混合ガスという)。
【0083】
(5)混合ガスを、多段吸収塔を使用して、複数の気相成分と共に吸収し、各々の成分別に分離して安定化した。このとき取り出せる水素は、全気相分の質量割合の99.88%であった。また、水素の純度は99.99%であった。一方、第3分別処理工程を経た後の二次アルミドロス(固液混合)は、圧力過濾装置によって固液分離した。
【0084】
(6)固液分離後の固相を洗浄した。洗浄方法は、固液分離したうちの固相に対する液相の質量比が1:7となるように水を加え、固相中の塩化物イオン(Cl-)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、および重金属の濃度が規定の基準を下回るまで、攪拌し、固液分離を行うことを繰り返した。なお、この洗浄水は、十分に希釈した状態、あるいは処理した状態で所定の排水を行う。
【0085】
以上のとおり、そのまま放置、廃棄するには有害な二次アルミドロスを無害化処理する際に、二次アルミドロスの全量から、安全かつ経済的に水素を生成することができると共に、水素を含む気相成分に分離して取り出して分離した固液混合物についても他の材料に転用可能な程度まで無害化することができた。