(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033441
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】照明器具及び照明システム
(51)【国際特許分類】
F21S 8/02 20060101AFI20240306BHJP
F21V 5/02 20060101ALI20240306BHJP
F21V 14/06 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F21S8/02 410
F21V5/02 100
F21V14/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137014
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】505455945
【氏名又は名称】コイズミ照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】藤本 佳史
(72)【発明者】
【氏名】幅多 洋次郎
(57)【要約】
【課題】使用者の眩しさを低減しつつ、使用者の顔に影ができにくい照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具2は、洗面台11より上方で前方を向いている鏡121の上方に位置する。照明器具2は、光源21と、分割部22と、出射部245とを備える。分割部22は、光源21からの光L1を、互いに異なる方向を有する第1光L11と第2光L12とに分割する。出射部245は、鏡121の前方の所定位置に向けて第1光L11を出射するとともに、分割部22により分割された第2光L12を鏡に向けて出射する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面台より上方で前方を向いている鏡の上方に位置する照明器具であって、
光源と、
前記光源からの光を、互いに異なる方向を有する第1光と第2光とに分割する分割部と、
前記鏡の前方の所定位置に向けて前記第1光を出射するとともに、前記分割部により分割された前記第2光を前記鏡に向けて出射する出射部と
を備える、照明器具。
【請求項2】
前記光源を支持するとともに、前記光源から光軸方向に離れた位置で前記分割部を支持する筒状の支持部材と、
前記分割部に設けられる第1係合部と、
前記支持部材に設けられ、前記第1係合部が係合する第2係合部と
をさらに備える、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記光源を支持するとともに、前記光源の光軸方向に離れた位置で前記分割部を支持する筒状の支持部材と、
前記光軸方向に直交する回転軸の周方向に、前記支持部材を前記出射部に対して回動させる回動機構と、
前記周方向における特定位置に前記支持部材を固定する固定部材と
をさらに備え、
前記支持部材が前記特定位置に固定された状態で、前記出射部は、前記第1光の一部を遮る、請求項1に記載の照明器具。
【請求項4】
洗面台と、
前記洗面台の前端及び後端のうち前記後端に近い位置より上方で前方を向いている鏡と、
前記鏡の上端よりも上方に位置する照明器具と
を備え、
前記照明器具は、
光源と、
前記光源からの光を、互いに異なる方向を有する第1光と第2光とに分割する分割部と、
前記鏡の前方の所定位置に向けて前記第1光を出射するとともに、前記分割部により分割された前記第2光を前記鏡に向けて出射する出射部と
を備える、照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具及び照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、洗面化粧台が記載されている。洗面化粧台は、床面に据え付けられる。洗面化粧台は、洗面台と鏡台とを備えている。洗面台の上面には、水栓が位置する。鏡台は、洗面台の上面において水栓より後方の位置から上方へと突出する。鏡台には、鏡及び照明器具が設けられている。鏡は、鏡台の前面で上下方向及び左右方向に拡がっている。照明器具は、鏡よりも上方に位置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、洗面化粧台では、照明器具が使用者の正面付近に位置する。従って、照明器具からの光が使用者の視界に直接入りやすい。その結果、使用者は、照明器具の点灯時に眩しさを感じるおそれがある。眩しさ対策としては、照明器具の位置をより上方にすることが考えられる。しかし、この対策では、使用者の顔には影ができやすくなる。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、使用者の眩しさを低減しつつ、使用者の顔に影ができにくい照明器具及び照明システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に開示する照明器具は、洗面台より上方で前方を向いている鏡の上方に位置する。前記照明器具は、光源と、分割部と、出射部とを備える。前記分割部は、前記光源からの光を、互いに異なる方向を有する第1光と第2光とに分割する。前記出射部は、前記鏡の前方の所定位置に向けて前記第1光を出射するとともに、前記分割部により分割された前記第2光を前記鏡に向けて出射する。
【0007】
本願に開示する照明システムは、洗面台と、鏡と、照明器具とを備える。前記鏡は、前記洗面台の前端及び後端のうち前記後端に近い位置より上方で前方を向いている。前記照明器具は、前記鏡の上端よりも上方に位置する。前記照明器具は、光源と、分割部と、出射部とを備える。前記分割部は、前記光源からの光を、互いに異なる方向を有する第1光と第2光とに分割する。前記出射部は、前記鏡の前方の所定位置に向けて前記第1光を出射するとともに、前記分割部により分割された前記第2光を前記鏡に向けて出射する。
【発明の効果】
【0008】
照明器具及び照明システムによれば、使用者の眩しさを低減しつつ、使用者の顔に影ができにくい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1に示される照明器具の外観斜視図である。
【
図3】
図2に示される線III-IIIに沿う照明器具の断面図である。
【
図4】
図2に示される照明器具から出射された第1光の第1光路と、第2光の第2光路とを示す模式図である。
【
図7】光軸方向から見た時の支持部材を示す図である。
【
図8】
図2に示される照明器具の回動機構の一部を示す分解斜視図である。
【
図9】
図2に示される照明器具の回動機構の残りの部分を示す分解斜視図である。
【
図10】
図2に示される照明器具2の固定部材28を示す分解斜視図である。
【
図11】
図2に示される線XI-XIに沿う照明器具の断面図である。
【
図12】
図2に示される照明器具2の回動機構26の変形例を示す分解斜視図である。
【
図13】可動枠27が第1角度位置P31にあるときの照明器具2を示す斜視図である。
【
図14】
図14は、可動枠27が第2角度位置P32にあるときの照明器具2を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
図1は、実施形態に係る照明システム100を示す模式図である。
図1に示されるように、照明システム100は、例えばホテルの洗面室200に設けられる。照明システム100は、洗面化粧台1と、照明器具2とを備えている。
【0012】
図1には、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸が示されている。Z軸は、鉛直方向である。X軸及びY軸は、水平面に平行である。実施形態では、Z軸はさらに、洗面化粧台1及び照明器具2の各々の上下方向を示す。詳細には、Z軸の正方向及び負方向は、洗面化粧台1及び照明器具2の各々の上方向及び下方向をそれぞれ示す。X軸はさらに、洗面化粧台1の前後方向を示す。詳細には、X軸の正方向及び負方向は、洗面化粧台1及び照明器具2の各々の前方向及び後方向をそれぞれ示す。また、Y軸は、洗面化粧台1及び照明器具2の左右方向を示す。
【0013】
洗面化粧台1は、例えば洗面室200の床面201に設置される。洗面化粧台1は、床面201から間隔をあけた状態で洗面室200の側壁に固定されることもある。洗面化粧台1は、洗面台11と、鏡台12とを有する。
【0014】
洗面台11は、略直方体形状であり、上面11Aを有する。洗面台11は、上面11Aに、洗面ボウル111と、水栓112とをさらに有する。水栓112は、上面11Aにおいて洗面ボウル111の後方向の位置から上方に突出する。水栓112からの水は、洗面ボウル111により受けられる。
【0015】
鏡台12は、上面11Aにおいて洗面ボウル111よりも後方向の位置から突出する。鏡台12は、上下方向において、水栓112と、洗面室200の天井202との間に位置する。鏡台12は、前後方向に薄い略直方体形状である。鏡台12は、前面12Aと、前面12Aに設けられた鏡121とを有する。鏡121は、洗面台11の上面11Aの前端11B及び後端11Cのうち、後端11Cに近い位置より上方向に位置する。鏡121は、前方向を向く鏡面1211を有している。
【0016】
照明器具2は、ダウンライト等である。照明器具2は、天井202において予め定められた位置である取付位置P11に取り付けられる。従って、照明器具2は、鏡121の上端よりも上方向に位置する。
【0017】
以下、照明器具2について詳説する。以下では、特に断り書きが無い場合、「照明器具2」という用語は、「取付位置P11に取り付けられた状態の照明器具2」を意味する。
【0018】
図2は、
図1に示される照明器具2の外観斜視図である。
図3は、
図2に示される線III-IIIに沿う照明器具2の断面図である。
図2及び
図3に示されるように、照明器具2は、光源21と、分割部22と、支持部材23と、固定枠24とを備える。
【0019】
光源21は、基板211と、基板211に実装された面状発光部212とを含む。面状発光部212は、面発光型のLEDアレイ、または面発光型の半導体レーザアレイ等である。光源21は、面状発光部212から、分割部22に向けて光L1を出射する。光源21からの出射光L1は、所定の指向角で拡がる。しかし、
図3では、都合上、指向性を有する光L1のうち、光軸方向D1に平行な光線のみが実線の矢印で代表的に示されている。光軸方向D1は、光軸A11が延びる方向である。光軸A11は、光源21における発光面S11の中心C11を通り、発光面S11に対し垂直な仮想線である。
【0020】
分割部22は、光源21から入射される光L1を、第1方向D11を有する第1光L11と、第2方向D12を有する第2光L12とに分割する。実施形態では、第1光L11と、第2光L12とは、概ね同じ光強度である。第1方向D11は、光軸方向D1に対して前方向に傾いた方向である。従って、第1光L11は、光源21から遠ざかるほど、光軸A11から前方向に離れる。第2方向D12は、光軸方向D1に対して後方向に傾いた方向である。従って、第2光L12は、光源21から遠ざかるほど、光軸A11から後方向に離れる。
【0021】
分割部22は、低損失の透光性材料で作製される光学素子である。この種の材料としては、例えば透明樹脂またはガラスが挙げられる。分割部22は、光源21から光軸方向D1に離れて位置する。即ち、分割部22は、光源21よりも下方向に位置する。分割部22は、光軸方向D1に薄い板状である。また、分割部22は、光軸方向D1から見て略円形である。分割部22の中心軸は、光軸A11に一致する。
【0022】
詳細には、分割部22は、第1外面部221と、光透過部222と、第2外面部223とを有する。第1外面部221は、光源21と光軸方向D1において対向する。第1外面部221は、プリズム形状を有している。第1外面部221には、光源21からの光L1が入射されると、入射光L1を、第1方向D11を有する第1光L11と、第2方向D12を有する第2光L12とに分割する。光透過部222は、第1外面部221と第2外面部223との間に介在する。光透過部222の内部では、第1光L11が第1方向D11へと伝搬し、第2光L12が第2方向D12へと伝搬する。第2外面部223は、第1外面部221から光軸方向D1に離れて位置する。第2外面部223は、光軸方向D1から見て略円形で、光軸A11に直交する平坦面を有する。第2外面部223は、第1光L11を第1方向D11へと出射し、第2光L12を第2方向D12へと出射する。
【0023】
支持部材23は、筒状形状である。支持部材23は、光源21を支持する。支持部材23はさらに、光源21から光軸方向D1に離れた位置で分割部22を支持する。
【0024】
詳細には、支持部材23は、中空で無底の略円錐台状であり、第1開口231と、第2開口232と、内周面233とを有する。
【0025】
第1開口231及び第2開口232の各々は略円形形状である。開口面積に関し、第1開口231は、第2開口232よりも小さい。また、第1開口231と第2開口232との各中心を光軸A11が通過する。第1開口231は、光軸A11の起点側に位置する。第1開口231は、光源21により閉塞される。第2開口232は、分割部22により閉塞される。
【0026】
内周面233は、第1開口231及び第2開口232の外周同士を繋ぐ。内周面233には、例えば金属膜のような光反射膜が形成されている。
【0027】
固定枠24は、分割部22よりも下方向に位置する。固定枠24は、無底筒状であり、第1開口241と、第2開口242と、内周面243とを有する。
【0028】
第2開口242は、固定枠24の下端において、下方向へと開放されている。第2開口242は、上下方向から見て略円形である。第1開口241は、固定枠24において第2開口242よりも上方向に位置する。以下の説明の便宜のため、中心軸A12を定義する。中心軸A12は、第2開口242の中心C12を通り、第2開口242に対し垂直な仮想線である。
【0029】
第1開口241は、固定枠24における上端で、前斜め上方向へと開放されている。第1開口241は、前方向に対して下方向に傾斜している。即ち、第1開口241において前方向の位置ほど第2開口242に近づく。また、開口面積に関して、第1開口241は、第2開口242よりも小さい。第1開口241は、分割部22における第2外面部223と対向している。第1開口241は、第2外面部223と平行または不平行のいずれであってもよい。実施形態では、第1開口241は、透明部材246により閉塞されている。透明部材246は、分割部22と同様に、低損失の透光性材料で作製され、薄い板状である。
【0030】
内周面243は、第1開口241及び第2開口242の外周同士を接続する。
【0031】
固定枠24は、内面部244と、出射部245と、透明部材246とをさらに有する。
【0032】
内面部244は、内周面243において前斜め下方向の隅の部分である。内面部244は、分割部22により分割された第1光L11の一部を偏向(反射)する。換言すると、内面部244は、分割部22により分割された第1光L11の一部を遮る。その結果、分割部22により分割された第1光L11のうち、内面部244により遮光されなかった第1光L11が出射部245から前方向へと出射される。従って、内面部244という簡単な構成で、分割部22により分割された第1光L11の光量が低減される。
【0033】
出射部245は、第2開口242である。出射部245は、鏡121の前方向の所定位置に向けて、内面部244により光量が低減された第1光L11を照明器具2の外部へと出射する。所定位置は、鏡121の使用者300の顔301が占める領域である。また、出射部245は、分割部22により分割された第2光L12を鏡121に向けて照明器具2の外部へと出射する。第2光L12の一部は、鏡121及び上面11Aで反射された後、所定位置に向かう。
【0034】
従って、照明システム100によれば、第1光L11が使用者300の顔301を上方向から照らすとともに、第2光L12が使用者300の顔301を下方向から照らすことができる。また、照明器具2は、鏡台12よりも上方に位置する。そのため、照明器具2から出射される光は、使用者300の目に直接入りにくい。従って、照明システム100及び照明器具2によれば、使用者300の眩しさを低減しつつも使用者300の顔301に影ができにくくなる。
【0035】
次に、照明システム100の効果をさらに詳細に説明する。
図4は、照明器具2から出射された第1光L11の第1光路P21と、第2光L12の第2光路P22とを示す模式図である。
図4に示されるように、照明システム100には、所定位置としての目標領域P23が予め定められている。目標領域P23は、鏡121の前方向で鏡121を使用する代表的な使用者300の顔301を含む。詳細には、目標領域P23は、前後方向において、鏡面1211から前方向に概ね第1距離D21だけ離れた領域である。第1距離D21は、例えば、500mm以上700mm以内の範囲内である。目標領域P23は、上下方向において、床面201(
図1参照)から上方向に概ね第2距離D22だけ離れた位置である。第2距離D22は、例えば、1550mm以上1600mm以内の範囲内である。
【0036】
内面部244により光量が低減された第1光L11は、出射部245から、第1光路P21に沿って伝搬し、鏡121の前方向の所定位置としての目標領域P23に到達する。即ち、第1光路P21は、照明器具2から目標領域P23に直接到達する経路である。第2光L12は、出射部245から、第2光路P22に沿って、鏡面1211及び上面11Aを経由して目標領域P23に到達する。目標領域P23に到達するように、第2方向D12は、第1特定位置P24への方向に合わせられる。第1特定位置P24は、第2光L12が第2光路P22に沿って伝搬し目標領域P23に到達するような鏡面1211上の位置である。
【0037】
内面部244は、目標領域P23における第1光L11の照度と第2光L12の照度との差の絶対値が閾値以下になるように、分割部22により分割された第1光L11の一部を遮光する。即ち、目標領域P23における第1光L11及び第2光L12の均斉度が1に近くなる。これにより、使用者300の顔301に影がさらにできにくくなる。
【0038】
図5は、
図2と
図3とに示される分割部22の側面図である。
図6は、
図5に示される分割部22の平面図である。
図7は、光軸方向D1から見た時の支持部材23を示す図である。
【0039】
以下、
図5と
図6とを参照して、分割部22の詳細な構成について説明する。
図5と
図6とに示されるように、分割部22は、第1外面部221と、光透過部222と、第2外面部223とに加え、第1係合部224をさらに有する。
【0040】
第1外面部221は、複数のプリズム2211を有する。なお、
図5では、都合上、1つのプリズムにのみ参照符号「2211」が付されている。複数のプリズム2211は、入射光L1を第1光L11と第2光L12とに分割する。
【0041】
光透過部222は、外周面222Aを有する。外周面222Aは、光軸方向D1の径方向R1に光軸A11から離れた位置で、光軸方向D1の周方向θ2に沿っている。
【0042】
第1係合部224は、少なくとも1つの凸部2241を有する。凸部2241は、分割部22における光透過部222と一体であり、外周面222A上の少なくとも一カ所から径方向R1に突出する。
【0043】
次に、
図7を参照して、支持部材23の詳細な構成について説明する。
図7には、支持部材23に加えて、支持部材23に取り付けられた分割部22が示されている。
図7に示されるように、支持部材23は、第2開口232と、内周面233とに加えて、周縁部234と、第2係合部235とを有している。
【0044】
周縁部234は、支持部材23の下端部であって、第2開口232の周縁である。
【0045】
第2係合部235は、凸部2241が係合可能な少なくとも1つの凹部2351を有する。凹部2351は、周縁部234における少なくとも一カ所から光軸方向D1の逆方向に窪んでいる。従って、作業者は、照明器具2の製造工程において、分割部22の凸部2241を、周縁部234における凹部2351にはめ込み、分割部22と、支持部材23との位置関係を簡単に決めることができる。その結果、第1外面部221は、入射光L1を、第1方向D11を有する第1光L11と、第2方向D12を有する第2光L12とに分割できる。
【0046】
図8及び
図9は、
図2に示される照明器具2の回動機構26を示す分解斜視図である。
図10は、
図2に示される照明器具2の固定部材28を示す分解図である。
【0047】
図8から
図9に示されるように、照明器具2は、回動機構26と、可動枠27と、固定部材28とをさらに備えている。
【0048】
回動機構26は、光軸方向D1に直交する回転軸A21の周方向θ1に、支持部材23を固定枠24の内面部244に対して回動させる。固定部材28は、周方向θ1における第2特定位置で支持部材23を固定する。従って、支持部材23が第2特定位置に簡単に固定され、その結果、照明器具2を天井202に取り付け易くなる。また、第2特定位置に支持部材23が固定された状態で、内面部244は第1光L11の一部を遮る。
【0049】
詳細には、
図8に示されるように、回動機構26は、二個の突出部材261A,261Bを有する。
【0050】
突出部材261Aは、固定枠24において透明部材246の左右方向における一方側から透明部材246よりも上方向へと突出する。突出部材261Aは、左右方向において薄い形状である。突出部材261Aは、後端2611と、前端2612と、傾斜部2613とを有する。後端2611及び前端2612は、上下方向に沿って延びており、前後方向に離れている。傾斜部2613は、前端2612の下端から延びており、後端2611及び前端2612に対して傾斜する。詳細には、傾斜部2613は、下方向ほど、後方向に傾斜する。突出部材261Aにおいて上端付近には、左右方向に貫通するねじ孔2614が形成されている。
【0051】
なお、突出部材261Aは、固定枠24において透明部材246の左右方向における他方側から透明部材246よりも上方向へと突出する。突出部材261Bは、突出部材261Aと左右方向において対称な形状である。
【0052】
回転軸A21は、突出部材261A,261Bに形成された各ねじ孔2614の中心を通過する仮想線である。
【0053】
また、
図9に示されるように、可動枠27は、筒状形状である。可動枠27は、支持部材23を収容し、支持部材23の外周面236を包囲する(
図3参照)。これにより、支持部材23から漏れた光が照明器具2の外部に出射されることが抑制される。
【0054】
可動枠27は、貫通孔272A,272Bを有する。貫通孔272Aは、可動枠27において、光軸方向D1の端部付近且つ左右方向の一方側の位置に形成される。貫通孔272Aは、可動枠27の外周面271の端部から、光軸A11に向かって左右方向に直線的に延びる。貫通孔272Bは、光軸方向D1の端部付近且つ左右方向の他方側に形成されている。貫通孔272Bは、貫通孔272Aと左右方向において対称な形状である。
【0055】
また、回動機構26は、可動枠27に、位置規制部262A,262Bをさらに備える。位置規制部262Aは、可動枠27において光軸方向D1の端部付近且つ左右方向の一方側の位置に形成される。位置規制部262Aは、貫通孔272Aよりも前方に形成されており、可動枠27から可動枠27の内側へと突出する平坦面2621を有する。平坦面2621は、光軸方向D1及び左右方向に拡がる。位置規制部262Bは、可動枠27において光軸方向D1の端部付近且つ左右方向の他方側に形成されている。位置規制部262Bは、位置規制部262Aと左右方向において対称な形状である。
【0056】
図10に示されるように、回動機構26は、ねじ263A,263Bをさらに備える。ねじ263Aは、貫通孔272Aに挿通された状態で突出部材261Aのねじ孔2614にねじ込まれる。ねじ263Bは、貫通孔272Bに挿通された状態で突出部材261Bのねじ孔にねじ込まれる。ねじ263A,263Bが比較的緩く締め付けられている場合、可動枠27、即ち支持部材23は、回転軸A21の周方向θ1に固定枠24の内面部244に対して回動可能である。それに対し、ねじ263A,263Bが強く締め付けられている場合、回転軸A21の周方向θ1に、可動枠27、即ち支持部材23は、固定枠24の内面部244に対して固定される。従って、ねじ263A,263Bは、固定部材28でもある。
【0057】
図11に示されるように、位置規制部262A,262Bは、周方向θ1における第1角度位置P31及び第2角度位置P32との間で、可動枠27を周方向θ1に回動させる。固定部材28は、第1角度位置P31及び第2角度位置P32との間の第2特定位置で支持部材23を固定可能である。
【0058】
第1角度位置P31は、平坦面2621が前端2612に当接した場合における可動枠27の周方向θ1における位置である。可動枠27が第1角度位置P31にあるとき、光軸A11は、中心軸A12に対し角度θ11(
図13参照)だけ傾く。
【0059】
第2角度位置P32は、平坦面2621が傾斜部2613に当接した場合における可動枠27の周方向θ1における位置である。可動枠27が第2角度位置P32にあるとき、光軸A11は、中心軸A12に対し角度θ12(
図14参照)だけ傾く。
【0060】
角度θ12は、角度θ11よりも大きい。角度θ11は、例えば+5°である。角度θ12は、例えば+15°である。
【0061】
図12は、
図2に示される照明器具2の回動機構26の変形例を示す分解斜視図である。
図13は、可動枠27が第1角度位置P31にあるときの照明器具2を示す斜視図である。
図14は、可動枠27が第2角度位置P32にあるときの照明器具2を示す斜視図である。
【0062】
図12に示されるように、回動機構26は、二個の突出部材261A,261Bに加え、1個のローレットビス265を有する。
【0063】
突出部材261Aには、ねじ孔266A,267Aが形成されている。ねじ孔266A,267Aはいずれも、ローレットビス265のねじ部が螺合し、突出部材261Aを左右方向に貫通する貫通孔である。ねじ孔266Aは、ねじ孔2614よりも前方且つ下方に位置する。ねじ孔267Aは、ねじ孔2614よりも後方且つ下方に位置する。
【0064】
図13に示されるように、可動枠27を第1角度位置P31で固定させる場合、作業者は、ローレットビス265をねじ孔266A,267Aの双方から外す。次に、作業者は、可動枠27を第1角度位置P31に位置させる。次に、作業者は、ローレットビス265のねじ部を、突出部材261Aの外側から内側に向かってねじ孔266Aに挿通し螺合させる。その結果、ローレットビス265のねじ部は、突出部材261Aから内側へと突出する。この時、可動枠27の下端がローレットビス265のねじ部に上方から当接する。その結果、可動枠27は、第1角度位置P31から第2角度位置P32の方に移動しないように固定枠24の内面部244に対して固定される。
【0065】
図14に示されるように、可動枠27を第2角度位置P32で固定させる場合、作業者は、ローレットビス265をねじ孔266A,267Aの双方から外す。次に、作業者は、可動枠27を第2角度位置P32に位置させる。次に、作業者は、ローレットビス265のねじ部を、突出部材261Aの外側から内側に向かってねじ孔267Aに挿通し螺合させる。その結果、ローレットビス265のねじ部は、突出部材261Aから内側へと突出する。この時、可動枠27の下端がローレットビス265のねじ部に上方から当接する。その結果、可動枠27は、第2角度位置P32から第1角度位置P31の方に移動しないように固定枠24の内面部244に対して固定される。
【0066】
なお、変形例では、可動枠27の下端とローレットビス265のねじ部とは、互いに当接する。しかし、これに限らず、可動枠27の下端とローレットビス265のねじ部とは、数mm程度の僅かな隙間を挟んで対向するように構成されてもよい。その場合、隙間は、可動枠27の角度が大きく変動しない程度の寸法とすることが好ましい。
【0067】
変形例では、ローレットビス265は1個であり、突出部材261Aには、ねじ孔266A,267Aが形成されていた。しかし、これに限らず、ローレットビス265が2個であり、突出部材261Aにも、ねじ孔266A,267Aに相当するねじ孔が形成されていてもよい。
【0068】
実施形態及び変形例に係る回動機構26により、照明器具2が取り付けられる天井202(
図1参照)の床面201からの高さに応じて、照明器具2から使用者300の顔301への最適な配光を行うことができる。詳細には、天井202が比較的低い場合、照明器具2から顔301までの距離が近いため、可動枠27を中心軸A12に対して比較的大きく傾ける必要がある。逆に、天井202が比較的高い場合、可動枠27を中心軸A12に対して比較的小さく傾けるだけでよい。例えば、天井202の高さが3000mm未満であれば、光軸A11が中心軸A12に対し角度θ12(即ち、15°)だけ傾くように可動枠27の角度位置が回動機構26により固定される。また、天井202の高さが3000mm以上であれば、光軸A11が中心軸A12に対し角度θ11だけ傾くように可動枠27の角度位置が回動機構26により固定される。
【0069】
以上、図面を参照して本開示の実施形態について説明した。ただし、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0070】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0071】
(1)実施形態では、固定枠24の一部が内面部244であった。しかし、これに限らず、内面部244は、分割部22で分割される第1光L11及び第2光L12の光束を調整することで実現することも可能である。
【0072】
(2)実施形態では、分割部22に凸部2241が設けられ、可動枠27に凹部2351が設けられていた。しかし、これに限らず、可動枠27に凸部2241が設けられ、分割部22に凹部2351が設けられてもよい。
【0073】
(3)照明器具2において、固定枠24の周縁部234には、防湿のためのパッキンが設けられていてもよい。
【0074】
(4)凸部2241及び凹部2351の個数は、1個に限らず、複数であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、照明器具及び照明システムを提供するものであり、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0076】
100 照明システム
1 洗面化粧台
11 洗面台
12 鏡台
121 鏡
2 照明器具
21 光源
22 分割部
23 支持部材
24 固定枠
244 内面部
245 出射部
26 回動機構
27 可動枠
28 固定部材