(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033454
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
H02M3/28 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137035
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(71)【出願人】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】衛藤 哲弥
(72)【発明者】
【氏名】高見 親法
(72)【発明者】
【氏名】伊東 淳一
(72)【発明者】
【氏名】日下 佳祐
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大貴
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730BB43
5H730BB81
5H730BB82
5H730BB88
5H730CC01
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730FD11
5H730FD31
5H730FG01
5H730FV01
(57)【要約】
【課題】広範囲の入力電圧に対応することが期待できる電源装置を提供する。
【解決手段】本実施の形態に係る電源装置は、第1スイッチング素子のスイッチングにより、整流回路の出力を所定電圧値の直流電圧に変換する第1コンバータ回路と、第2スイッチング素子のスイッチングにより、整流回路の出力を所定電圧値の直流電圧に変換する第2コンバータ回路と、第1コンバータ回路の第1スイッチング素子及び第1トランスの一次巻線の接続点、並びに、第2コンバータ回路の第2スイッチング素子及び第2トランスの一次巻線の接続点の間に直列接続された切替回路及び第3スイッチング素子と、第1スイッチング素子、第2スイッチング素子又は第3スイッチング素子のオン/オフを制御する駆動回路とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された交流電圧を整流して出力する整流回路と、
第1スイッチング素子のスイッチングにより、前記整流回路の出力を所定電圧値の直流電圧に変換する第1コンバータ回路と、
第2スイッチング素子のスイッチングにより、前記整流回路の出力を所定電圧値の直流電圧に変換する第2コンバータ回路と
を備え、
前記第1コンバータ回路の入力側は、前記整流回路のプラス側出力に接続された前記第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子及び前記整流回路のマイナス側出力の間に一次巻線を接続された第1トランスとを有し、
前記第2コンバータ回路の入力側は、前記整流回路のマイナス側出力に接続された前記第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子及び前記整流回路のプラス側出力の間に一次巻線を接続された第2トランスとを有し、
前記第1スイッチング素子及び前記第1トランスの一次巻線の接続点、並びに、前記第2スイッチング素子及び前記第2トランスの一次巻線の接続点の間に直列接続された切替回路及び第3スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子又は前記第3スイッチング素子のオン/オフを制御し、前記第1コンバータ回路の入力側及び前記第2コンバータ回路の入力側を直列に接続する第1接続状態、並びに、前記第1コンバータ回路の入力側及び前記第2コンバータ回路の入力側を並列に接続する第2接続状態のいずれかに切り替える駆動回路と
を更に備え、
前記第1コンバータ回路の出力側及び前記第2コンバータ回路の出力側は、並列接続されている、
電源装置。
【請求項2】
前記第1コンバータ回路及び前記第2コンバータ回路は、フライバックコンバータ回路である、
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記交流電圧が所定電圧値より低い場合、前記切替回路が前記第1コンバータ回路の入力側から前記第2コンバータ回路の入力側への電流経路を遮断して前記第2接続状態に切り替え、前記駆動回路が前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子を所定周期でスイッチングし、前記第3スイッチング素子を常時オフし、
前記交流電圧が前記所定電圧値より高い場合、前記切替回路が前記第2コンバータ回路の入力側から前記第1コンバータ回路の入力側への電流経路を導通して前記第1接続状態に切り替え、前記駆動回路が前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子を常時オフし、前記第3スイッチング素子を所定周期でスイッチングする、
請求項1又は2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記交流電圧が前記所定電圧値より低く、且つ、前記第1コンバータ回路及び前記第2コンバータ回路の出力電流が所定電流値より低い場合、前記駆動回路は、前記第1スイッチング素子及び前記第2スイッチング素子を所定周期で交互にオンする、
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記切替回路は、第1コンバータ回路の入力側がカソードに接続され、且つ、前記第2コンバータ回路の入力側がアノードに接続されたダイオードである、
請求項1に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力電圧を所定電圧値の出力電圧に変換する電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中の商用電源の入力電圧は広範囲にわたり様々である。広範囲の入力電圧に対応するため、特許文献1においては、トランスの一次巻線を第1の一次巻線と第2の一次巻線とに分割する中間タップと、第1乃至第6のスイッチング素子とを備えるDC/DCコンバータが提案されている。このDC/DCコンバータの一次側回路は、第1、第2、第5、第6のスイッチング素子、又は、第3、第4、第5、第6のスイッチング素子のいずれかにより構成されるHブリッジとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日本国内の商用電源の入力電圧範囲は、AC100~220V程度のものが一般的である。しかし、日本以外の海外では、AC380~460Vあるいはそれ以上の電圧が一般的であり、日本国内向けに設計した電源装置を海外に輸出する場合は、輸出先の各国の入力電圧に応じて再設計する必要がある。
【0005】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、広範囲の入力電圧に対応することが期待できる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る電源装置は、入力された交流電圧を整流して出力する整流回路と、第1スイッチング素子のスイッチングにより、前記整流回路の出力を所定電圧値の直流電圧に変換する第1コンバータ回路と、第2スイッチング素子のスイッチングにより、前記整流回路の出力を所定電圧値の直流電圧に変換する第2コンバータ回路とを備え、前記第1コンバータ回路の入力側は、前記整流回路のプラス側出力に接続された前記第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子及び前記整流回路のマイナス側出力の間に一次巻線を接続された第1トランスとを有し、前記第2コンバータ回路の入力側は、前記整流回路のマイナス側出力に接続された前記第2スイッチング素子と、前記第2スイッチング素子及び前記整流回路のプラス側出力の間に一次巻線を接続された第2トランスとを有し、前記第1スイッチング素子及び前記第1トランスの一次巻線の接続点、並びに、前記第2スイッチング素子及び前記第2トランスの一次巻線の接続点の間に直列接続された切替回路及び第3スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子、前記第2スイッチング素子又は前記第3スイッチング素子のオン/オフを制御し、前記第1コンバータ回路の入力側及び前記第2コンバータ回路の入力側を直列に接続する第1接続状態、並びに、前記第1コンバータ回路の入力側及び前記第2コンバータ回路の入力側を並列に接続する第2接続状態のいずれかに切り替える駆動回路とを更に備え、前記第1コンバータ回路の出力側及び前記第2コンバータ回路の出力側は、並列接続されている。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態による場合は、広範囲の入力電圧に対応することが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施の形態に係る電源装置の構成を示す回路図である。
【
図2】直列運転動作における電源装置1の動作を説明するための模式図である。
【
図3】直列運転動作における電源装置1の動作を説明するための模式図である。
【
図4】直列運転動作における駆動回路40の制御を説明するためのタイミングチャートである。
【
図5】並列運転動作における電源装置1の動作を説明するための模式図である。
【
図6】並列運転動作における駆動回路40の制御を説明するためのタイミングチャートである。
【
図7】単独運転動作における駆動回路40の制御を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態に係る電源装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る電源装置の構成を示す回路図である。本実施の形態に係る電源装置1は、入力端子2a,2b間に印加された交流電圧を、所定電圧値の直流電圧に変換して出力端子3a,3bから出力する、いわゆるAC/DCコンバータである。本図においては、電源装置1の入力端子2a,2bに交流電源4が接続され、出力端子3a,3bに負荷5が接続されている。電源装置1の2つの出力端子3a,3bは、本図において3aがプラス側であり、出力端子3bがマイナス側である。従来のAC/DCコンバータは入力電圧の範囲がAC85V~265V程度のものが一般的であるが、本実施の形態に係る電源装置1は、例えばAC85V~600V程度のワイドレンジ入力に対応するAC/DCコンバータである。
【0011】
本実施の形態に係る電源装置1は、第1フライバックコンバータ10、第2フライバックコンバータ20、整流回路30及び駆動回路40等を備えて構成されている。整流回路30は、入力された交流電圧を整流して直流電圧として出力する回路であり、例えば複数のダイオードをブリッジ接続した全波整流回路が用いられ得る。整流回路30の2つの入力31a,31bは電源装置1の入力端子2a,2bに接続され、電源装置1への入力電圧が整流回路30へ入力される。整流回路30の2つの出力32a,32bは、本図において出力32aがプラス側であり、出力32bがマイナス側である。駆動回路40は、電源装置1の各部を制御する回路であり、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Controller Unit)等の演算処理部、SRAM(Static Random Access Memory)又はDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の記憶部、並びに、電気信号の入出力インタフェース等を備えたIC(Integrated Circuit)が用いられ得る。
【0012】
第1フライバックコンバータ10は、第1スイッチング素子SW1、第1トランスT1及び第1ダイオードD1を備えて構成されている。第1フライバックコンバータ10は、第1トランスT1により入力側と出力側とが絶縁された絶縁型コンバータであり、入力された直流電圧を所定電圧値の直流電圧に昇圧又は降圧して出力する回路である。第1トランスT1は、入力側に対して出力側が逆極性である。
【0013】
第1フライバックコンバータ10の入力側は、第1スイッチング素子SW1及び第1トランスT1の一次巻線が整流回路30の2つの出力32a,32bの間に直列接続された構成である。第1スイッチング素子SW1には例えばMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が用いられ、第1スイッチング素子SW1のドレインが整流回路30のプラス側の出力32aに接続され、第1スイッチング素子SW1のソースが第1トランスT1の一次巻線の一端に接続され、この一次巻線の他端が整流回路30のマイナス側の出力32bに接続される。第1スイッチング素子SW1のゲートは、図示は省略するが、駆動回路40に接続され、駆動回路40により第1スイッチング素子SW1のオン(通電)/オフ(遮断)の切り替えが制御される。
【0014】
第1フライバックコンバータ10の出力側は、第1ダイオードD1及び第1トランスT1の二次巻線が電源装置1の2つの出力端子3a,3bの間に直列接続された構成である。第1ダイオードD1のカソードがプラス側の出力端子3aに接続され、第1ダイオードD1のアノードが第1トランスT1の二次巻線の一端に接続され、この二次巻線の他端がマイナス側の出力端子3bに接続されている。また電源装置1の出力端子3a,3bの間には、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20に共通の出力用のコンデンサCが設けられている。
【0015】
電源装置1に交流電源4から交流電圧が入力され、整流回路30により交流電圧が直流電圧に変換されて第1フライバックコンバータ10へ供給される。この状態で駆動回路40が第1スイッチング素子SW1のオン/オフを周期的に切り替えることにより、第1フライバックコンバータ10は整流回路30からの入力電圧値、第1スイッチング素子SW1のデューティ比及び第1トランスT1の巻数比に応じた電圧値の直流電圧を出力する。第1スイッチング素子SW1がオン状態である場合、第1フライバックコンバータ10の入力側に電流が流れ、この電流により第1トランスT1にエネルギーが蓄えられる。この状態において第1フライバックコンバータ10の出力側は、第1ダイオードD1により電流経路が遮断され、電流は流れない。その後、第1スイッチング素子SW1がオン状態からオフ状態へ切り替えられた場合、第1トランスT1に蓄えられたエネルギーが二次巻線から放出されることにより、第1フライバックコンバータ10の出力側に電流が流れる。この電流は、第1ダイオードD1から出力され、コンデンサCを充電すると共に、電源装置1の出力端子3a,3bに接続された負荷5へ出力される。
【0016】
同様に、第2フライバックコンバータ20は、第2スイッチング素子SW2、第2トランスT2及び第2ダイオードD2を備えて構成されている。第2フライバックコンバータ20は、第2トランスT2により入力側と出力側とが絶縁された絶縁型コンバータであり、入力された直流電圧を所定電圧値の直流電圧に昇圧又は降圧して出力する回路である。第2トランスT2は、入力側に対して出力側が逆極性である。
【0017】
第2フライバックコンバータ20の入力側は、第2トランスT2の一次巻線及び第2スイッチング素子SW2が整流回路30の2つの出力32a,32bの間に直列接続された構成である。第2スイッチング素子SW2には例えばMOSFETが用いられる。第2トランスT2の一次巻線の一端が整流回路30のプラス側の出力32aに接続され、この一次巻線の他端が第2スイッチング素子SW2のドレインに接続され、第2スイッチング素子SW2のソースが整流回路30のマイナス側の出力32bに接続される。第2スイッチング素子SW2のゲートは、図示は省略するが、駆動回路40に接続され、駆動回路40により第2スイッチング素子SW2のオン/オフの切り替えが制御される。
【0018】
第2フライバックコンバータ20の出力側は、第2ダイオードD2及び第2トランスT2の二次巻線が電源装置1の2つの出力端子3a,3bの間に直列接続された構成である。第2ダイオードD2のカソードがプラス側の出力端子3aに接続され、第2ダイオードD2のアノードが第2トランスT2の二次巻線の一端に接続され、この二次巻線の他端がマイナス側の出力端子3bに接続されている。また上述のように、電源装置1の出力端子3a,3bの間には、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20に共通の出力用のコンデンサCが設けられている。
【0019】
整流回路30から第2フライバックコンバータ20へ直流電圧が供給された状態で駆動回路40が第2スイッチング素子SW2のオン/オフを周期的に切り替えることにより、第2フライバックコンバータ20は整流回路30からの入力電圧値、第2スイッチング素子SW2のデューティ比及び第2トランスT2の巻数比に応じた電圧値の直流電圧を出力する。第2スイッチング素子SW2がオン状態である場合、第2フライバックコンバータ20の入力側に電流が流れ、この電流により第2トランスT2にエネルギーが蓄えられる。この状態において第2フライバックコンバータ20の出力側は、第2ダイオードD2により電流経路が遮断され、電流は流れない。その後、第2スイッチング素子SW2がオン状態からオフ状態へ切り替えられた場合、第2トランスT2に蓄えられたエネルギーが二次巻線から放出されることにより、第2フライバックコンバータ20の出力側に電流が流れる。この電流は、第2ダイオードD2から出力され、コンデンサCを充電すると共に、電源装置1の出力端子3a,3bに接続された負荷5へ出力される。
【0020】
このように、本実施の形態に係る電源装置1は、第1フライバックコンバータ10の入力側及び第2フライバックコンバータ20の入力側が整流回路30の出力に対して並列に接続され、且つ、第1フライバックコンバータ10の出力側及び第2フライバックコンバータ20の出力側が並列に接続された構成であるとみなすことができる。即ち本実施の形態に係る電源装置1は、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20が並列に接続された構成であるとみなすことができる。
【0021】
更に、本実施の形態に係る電源装置1は、第1フライバックコンバータ10の第1スイッチング素子SW1及び第1トランスT1の一次巻線の接続点と、第2フライバックコンバータ20の第2スイッチング素子SW2及び第2トランスT2の一次巻線の接続点との間に、切替回路50及び第3スイッチング素子SW3が直列接続されている。本実施の形態に係る電源装置1は、第1スイッチング素子SW1~第3スイッチング素子SW3及び切替回路50を用いて、上述のような第1フライバックコンバータ10の入力側及び第2フライバックコンバータ20の入力側が並列接続された構成と、第1フライバックコンバータ10の入力側及び第2フライバックコンバータ20の入力側が直列接続された構成との切替を行う。
【0022】
切替回路50は、本実施の形態においては、1つのダイオードを用いて構成される。この切替回路50として用いられるダイオードは、カソードが第1スイッチング素子SW1及び第1トランスT1の一次巻線の接続点に接続され、アノードが第3スイッチング素子SW3に接続される。切替回路50は、後述する直列運転時は閉路し、並列運転時は開路する開閉器であっても良い。切替回路の役割は、並列運転時においては、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2が同時にオンすることによる整流回路30の出力端子間の短絡防止であり、直列運転時においては、第2トランスT2の一次巻線から第1トランスT1への一次巻線へ導通を行うことである。
【0023】
第3スイッチング素子SW3は、例えばMOSFETが用いられ、ソースが第2スイッチング素子SW2及び第2トランスT2の一次巻線の接続点に接続され、ドレインが切替回路50に接続されている。第3スイッチング素子SW3のゲートは、図示は省略するが、駆動回路40に接続され、駆動回路40により第3スイッチング素子SW3のオン/オフの切り替えが制御される。
【0024】
駆動回路40が第3スイッチング素子SW3をオフ状態へ切り替えた場合、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20の間の電流経路は切替回路50及び第3スイッチング素子SW3により遮断されるため、上述のように第1フライバックコンバータ10の入力側及び第2フライバックコンバータ20の入力側は並列に接続された状態となる。この状態で駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2のオン/オフを周期的に切り替えることで第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20をそれぞれ個別に動作させることができる。
【0025】
駆動回路40は、第3スイッチング素子SW3をオン状態とすることで第1フライバックコンバータ10の入力側及び第2フライバックコンバータ20の入力側を直列に接続することができる。このときに駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2を共にオフ状態で維持する。第3スイッチング素子SW3がオン状態となり、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2が共にオフ状態となることで、電源装置1は、整流回路30の出力32a,32bの間に、第2トランスT2の一次巻線、第3スイッチング素子SW3、切替回路50及び第1トランスT1の一次巻線が直列接続された構成、即ち第1フライバックコンバータ10の入力側及び第2フライバックコンバータ20の入力側が直列接続された構成となる。この状態において駆動回路40は、第3スイッチング素子SW3のオン/オフを周期的に切り替えることで第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20を共に動作させることができる。
【0026】
また本実施の形態に係る電源装置1は、整流回路30の出力電圧値(即ち、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20への入力電圧値)を測定する電圧測定回路41と、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20の出力電流値を測定する電流測定回路42とを備えている。電圧測定回路41により測定される電圧値と、電流測定回路42により測定される電流値とは、駆動回路40へ入力される。駆動回路40は、入力された電圧値及び電流値に基づいて、切替回路50による回路構成の切り替えと、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2及び第3スイッチング素子SW3のオン/オフ切り替えによる第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20の動作制御とを行う。
【0027】
本実施の形態において駆動回路40は、電圧測定回路41が測定した電圧値が所定電圧値を超えるか否かに基づいて、整流回路30の出力電圧値が高電圧であるか低電圧であるかを判定する。所定電圧値は、例えば300Vとすることができる。ただし所定電圧値は、300Vに限らず、電源装置1の利用目的等に応じて適宜に定められてよい。また駆動回路40は、電流測定回路42が測定した電流値が所定電流値を超えるか否かに基づいて、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20の出力電流値が高電流であるか低電流であるかを判定する。所定電流値は、例えば定格電流値の50%とすることができる。ただし所定電流値はこの値に限らず、電源装置1の利用目的等に応じて適宜に定められてよい。駆動回路40は、これら2つの判定結果の組み合わせに応じて、以下の3通りの動作制御を行う。
(1)高電圧時:直列運転動作
(2)低電圧高電流時:並列運転動作
(3)低電圧低電流時:単独運転動作
【0028】
(1)高電圧時:直列運転動作
図2及び
図3は、直列運転動作における電源装置1の動作を説明するための模式図である。整流回路30の出力電圧が所定電圧値を超える高電圧である場合、出力電流が高電流又は定電流のいずれであるかに関わらず、駆動回路40は、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20を直列運転動作させる。即ち駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2をオフ(遮断)状態として、第1フライバックコンバータ10の入力側及び第2フライバックコンバータ20の入力側を直列に接続する。この状態で駆動回路40は、第3スイッチング素子SW3のオン/オフを周期的に切り替えることで、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20を動作させ、整流回路30の出力電圧を所定電圧値に昇圧又は降圧して負荷5へ出力することができる。
【0029】
直列運転動作において駆動回路40が第3スイッチング素子SW3をオン状態とした場合に、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20の入力側を流れる電流Isw3の経路が
図2に破線の矢印で示されている。電流Isw3は、整流回路30のプラス側の出力32aから第2トランスT2の一次巻線、第3スイッチング素子SW3、切替回路50、第1トランスT1の一次巻線、整流回路30のマイナス側の出力32bの経路で流れる。このときに第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20の出力側に電流は流れない。
【0030】
直列運転動作において駆動回路40が第3スイッチング素子SW3をオフ状態とした場合に、第1フライバックコンバータ10の出力側を流れる電流Io1の経路が
図3に一点鎖線の矢印で示され、第2フライバックコンバータ20の出力側を流れる電流Io2の経路が
図3に破線の矢印で示されている。電流Io1は、第1トランスT1の二次巻線及び第1ダイオードD1を経てコンデンサCに電荷が蓄積されると共に、負荷5へ出力される。電流Io2は、第2トランスT2の二次巻線及び第2ダイオードD2を経てコンデンサCに電荷が蓄積されると共に、負荷5へ出力される。このときに第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20の入力側に電流は流れない。
【0031】
図4は、直列運転動作における駆動回路40の制御を説明するためのタイミングチャートである。本タイミングチャートには、第3スイッチング素子SW3の状態と、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2の状態と、第3スイッチング素子SW3を流れる電流Isw3と、第3スイッチング素子SW3のソースからドレイン間の両端に加わる電圧Vsw3と、第1フライバックコンバータ10の出力電流Io1及び第2フライバックコンバータ20の出力電流Io2との時間的な変化が示されている。
【0032】
直列運転動作において駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2をオフ状態で維持し、第3スイッチング素子SW3のオン/オフを周期的に切り替える。第3スイッチング素子SW3がオフ状態からオン状態へ切り替えられた後に電流Isw3は増加していき、この電流Isw3により第1トランスT1及び第2トランスT2にエネルギーが蓄積される。また第3スイッチング素子SW3がオン状態の場合、電圧Vsw3は0[V」であり、電流Io1及び電流Io2は0[A]である。
【0033】
第3スイッチング素子SW3がオン状態からオフ状態へ切り替えられた場合、電流Isw3は0[A]となり、第1トランスT1及び第2トランスT2に蓄積されたエネルギーが放出されることで電流Io1及び電流Io2が流れる。なお本例では、第1トランスT1及び第2トランスT2が略同じ性能のものが用いられるものとしており、電流Io1及び電流Io2は同じ電流量としている。第3スイッチング素子SW3がオフ状態へ切り替えられた後、時間経過に従って電流Io1及び電流Io2は減少していき、第1トランスT1及び第2トランスT2に蓄積されたエネルギーが消費されることで、最終的に0[A]となる。電圧Vsw3は、第3スイッチング素子SW3がオン状態からオフ状態へ切り替えられた際に所定電圧値まで上昇し、電流Io1及び電流Io2が0[A]となった後、徐々に0[V]まで減少する。
【0034】
(2)低電圧高電流時:並列運転動作
図5は、並列運転動作における電源装置1の動作を説明するための模式図である。整流回路30の出力電圧が所定電圧値を超えない低電圧であり、且つ、出力電流が所定電流値を超える高電流である場合、駆動回路40は、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20を並列運転動作させる。即ち駆動回路40は、第3スイッチング素子SW3をオフ(遮断)状態として、第1フライバックコンバータ10の入力側及び第2フライバックコンバータ20の入力側を並列に接続する。この状態で駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2のオン/オフを周期的に切り替えることで、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20を動作させ、整流回路30の出力電圧を所定電圧値に昇圧又は降圧して負荷5へ出力することができる。なお並列運転動作において駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2のオン/オフ状態が同じになるよう切替を行う。また第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2のオン/オフ状態は完全に同期させずに位相差を設けて切替を行ってもよい。
【0035】
並列運転動作において駆動回路40が第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2をオン状態とした場合に、第1フライバックコンバータ10の入力側を流れる電流Isw1の経路が
図5に一点鎖線の矢印で示され、第2フライバックコンバータ20の入力側を流れる電流Isw2の経路が
図5に破線の矢印で示されている。電流Isw1は、整流回路30のプラス側の出力32aから第1スイッチング素子SW1、第1トランスT1の一次巻線、整流回路30のマイナス側の出力32bの経路で流れる。また電流Isw2は、整流回路30のプラス側の出力32aから第2トランスT2の一次巻線、第2スイッチング素子SW2、整流回路30のマイナス側の出力32bの経路で流れる。このときに第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20の出力側に電流は流れない。
【0036】
並列運転動作において駆動回路40が第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2をオフ状態とした場合に、第1フライバックコンバータ10の出力側を流れる電流Io1の経路及び第2フライバックコンバータ20の出力側を流れる電流Io2の経路は、
図3に示したものと同じであるため、図示及び説明は省略する。
【0037】
図6は、並列運転動作における駆動回路40の制御を説明するためのタイミングチャートである。本タイミングチャートには、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2の状態と、第3スイッチング素子SW3の状態と、第1スイッチング素子SW1を流れる電流Isw1及び第2スイッチング素子SW2を流れる電流Isw2と、第1スイッチング素子SW1のソースからドレイン間の両端に加わる電圧Vsw1及び第2スイッチング素子SW2のソースからドレイン間の両端に加わる電圧Vsw2と、第1フライバックコンバータ10の出力電流Io1及び第2フライバックコンバータ20の出力電流Io2との時間的な変化が示されている。
【0038】
並列運転動作において駆動回路40は、第3スイッチング素子SW3をオフ状態で維持し、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2のオン/オフを周期的に切り替える。第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2がオフ状態からオン状態へ切り替えられた後に電流Isw1及び電流Isw2は増加していき、この電流Isw1及び電流Isw2により第1トランスT1及び第2トランスT2にエネルギーが蓄積される。また第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2がオン状態の場合、電圧Vsw1及び電圧Vsw2は0[V」であり、電流Io1及び電流Io2は0[A]である。
【0039】
第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2がオン状態からオフ状態へ切り替えられた場合、電流Isw1及び電流Isw2は0[A]となり、第1トランスT1及び第2トランスT2に蓄積されたエネルギーが放出されることで電流Io1及び電流Io2が流れる。第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2がオフ状態へ切り替えられた後、時間経過に従って電流Io1及び電流Io2は減少していき、第1トランスT1及び第2トランスT2に蓄積されたエネルギーが消費されることで、最終的に0[A]となる。電圧Vsw1及び電圧Vsw2は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2がオン状態からオフ状態へ切り替えられた際に所定電圧値まで上昇し、電流Io1及び電流Io2が0[A]となった後、徐々に0[V]まで減少する。
【0040】
(3)低電圧低電流時:単独運転動作
整流回路30の出力電圧が所定電圧値を超えない低電圧であり、且つ、出力電流が所定電流値を超えない低電流である場合、駆動回路40は、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20を単独運転動作させる。即ち駆動回路40は、第3スイッチング素子SW3を共にオフ(遮断)状態として、第1フライバックコンバータ10の入力側及び第2フライバックコンバータ20の入力側を並列に接続する。この状態で駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2のオン/オフを周期的に交互に切り替えることで、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20を交互に動作させる。
【0041】
図7は、単独運転動作における駆動回路40の制御を説明するためのタイミングチャートである。本タイミングチャートには、第1スイッチング素子SW1の状態と、第2スイッチング素子SW2の状態と、第3スイッチング素子SW3の状態と、第1スイッチング素子SW1を流れる電流Isw1及び第2スイッチング素子SW2を流れる電流Isw2と、第1スイッチング素子SW1の両端に加わる電圧Vsw1及び第2スイッチング素子SW2の両端に加わる電圧Vsw2と、第1フライバックコンバータ10の出力電流Io1及び第2フライバックコンバータ20の出力電流Io2との時間的な変化が示されている。なお本フローチャートにおいて、第1フライバックコンバータ10に係る電流Isw1、電圧Vsw1及び電流Io1を実線で示し、第2フライバックコンバータ20に係る電流Isw2、電圧Vsw2及び電流Io2を破線で示している。
【0042】
単独運転動作において駆動回路40は、第3スイッチング素子SW3をオフ状態で維持し、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2のオン/オフ状態を交互に切り替える。即ち駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1がオン状態の場合に第2スイッチング素子SW2をオフ状態とし、第2スイッチング素子SW2がオン状態の場合に第1スイッチング素子SW1をオフ状態とする。なお駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2について、それぞれ所定の周期でオン/オフを繰り返すが、オン状態の時間がオフ状態の時間より短くなるように、即ちデューティ比が50%以下となるように切替を行う。また駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1をオン状態からオフ状態へ切り替えるタイミングと、第2スイッチング素子SW2をオフ状態からオン状態へ切り替えるタイミングとの間に、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2が共にオフ状態となる期間を設ける。同様に駆動回路40は、第2スイッチング素子SW2をオン状態からオフ状態へ切り替えるタイミングと、第1スイッチング素子SW1をオフ状態からオン状態へ切り替えるタイミングとの間に、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2が共にオフ状態となる期間を設ける。
【0043】
単独運転動作において駆動回路40は、第3スイッチング素子SW3をオフ状態で維持し、例えば第1スイッチング素子SW1をオン状態とし、第2スイッチング素子SW2をオフ状態とする。この状態において電流Isw1は増加していき、この電流Isw1により第1トランスT1にエネルギーが蓄積される。これに対して電流Isw2は、第2スイッチング素子SW2がオフ状態であるため、流れない。
【0044】
その後、駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1をオン状態からオフ状態へ切り替える。第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2が共にオフ状態となるため、電流Isw1及び電流Isw2は共に流れない。第1スイッチング素子SW1がオン状態からオフ状態へ切り替えられたことで、第1トランスT1に蓄積されたエネルギーが放出され、出力側の電流Io1が流れる。電流Io1は、時間経過に従って減少していき、第1トランスT1に蓄積されたエネルギーが消費されることで、最終的に0[A]となる。
【0045】
駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1をオフ状態へ切り替えた後、所定の時間差を設けて、第2スイッチング素子SW2をオフ状態からオン状態へ切り替える。第2スイッチング素子SW2がオフ状態からオン状態へ切り替えられた後に電流Isw2は増加していき、この電流Isw2により第2トランスT2にエネルギーが蓄積される。
【0046】
その後、駆動回路40は、第2スイッチング素子SW2をオン状態からオフ状態へ切り替える。第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2が共にオフ状態となるため、電流Isw1及び電流Isw2は共に流れない。第2スイッチング素子SW2がオン状態からオフ状態へ切り替えられたことで、第2トランスT2に蓄積されたエネルギーが放出され、出力側の電流Io2が流れる。電流Io2は、時間経過に従って減少していき、第2トランスT2に蓄積されたエネルギーが消費されることで、最終的に0[A]となる。
【0047】
駆動回路40は、第2スイッチング素子SW2をオフ状態へ切り替えた後、所定の時間差を設けて、第1スイッチング素子SW1をオフ状態からオン状態へ切り替える。第1スイッチング素子SW1がオフ状態からオン状態へ切り替えられた後に電流Isw1は増加していき、この電流Isw1により第1トランスT1にエネルギーが蓄積される。以降、駆動回路40は、第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2を交互にオン状態とし、並列に接続した第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20を交互に動作させることで、整流回路30の出力電圧を所定電圧値に昇圧又は降圧して負荷5へ出力する。
【0048】
以上の構成の本実施の形態に係る電源装置1は、入力された交流電圧を整流して出力する整流回路30と、第1スイッチング素子SW1のスイッチングにより整流回路30の出力を所定電圧値の直流電圧に変換する第1フライバックコンバータ10と、第2スイッチング素子SW2のスイッチングにより整流回路30の出力を所定電圧値の直流電圧に変換する第2フライバックコンバータ20とを備える。第1フライバックコンバータ10の入力側は、整流回路30のプラス側の出力32aに接続された第1スイッチング素子SW1と、第1スイッチング素子SW1及び整流回路30のマイナス側の出力32bの間に一次巻線を接続された第1トランスT1とを有する。第2フライバックコンバータ20の入力側は、整流回路30のマイナス側の出力32bに接続された第2スイッチング素子SW2と、第2スイッチング素子SW2及び整流回路30のプラス側の出力32aの間に一次巻線を接続された第2トランスT2とを有する。更に電源装置1は、第1スイッチング素子SW1及び第1トランスT1の一次巻線の接続点、並びに、第2スイッチング素子SW2及び第2トランスT2の一次巻線の接続点の間に直列接続された切替回路50及び第3スイッチング素子SW3と、第1スイッチング素子SW1~第3スイッチング素子SW3のオン/オフを制御し、第1フライバックコンバータ10の入力側及び第2フライバックコンバータ20の入力側を直列に接続する第1接続状態、並びに、第1フライバックコンバータ10の入力側及び第2フライバックコンバータ20の入力側を並列に接続する第2接続状態のいずれかに切り替える駆動回路40とを備える。電源装置1は、第1フライバックコンバータ10の出力側及び第2フライバックコンバータ20の出力側が並列接続される。これにより電源装置1は、駆動回路40が第1スイッチング素子SW1~第3スイッチング素子SW3のオン/オフを適宜に切り替えることで、回路構成を適宜に切り替えることが可能であり、入力電圧の電圧値等に応じて回路構成の切り替えを行うことによって、広範囲の入力電圧に対応することが期待できる。
【0049】
また本実施の形態に係る電源装置1は、2つのフライバックコンバータを用いて構成される。フライバックコンバータは、他の絶縁型コンバータと比較して部品点数が少なく構成できる、並びに、昇圧及び降圧が可能等の利点がある。ただし電源装置1は、フライバックコンバータ以外のコンバータ回路を2つ用いて構成されてよい。例えば、第1トランス及び第2トランスの入力側及び出力側が同極性である、フォワードコンバータであってもよい。
【0050】
また本実施の形態に係る電源装置1は、入力される交流電圧が低く、整流回路30の出力電圧値が所定電圧値より低い場合に、切替回路50が第1フライバックコンバータ10の入力側から第2フライバックコンバータ20の入力側への電流経路を遮断して第2接続状態へ切り替え、駆動回路40が第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2を所定周期でスイッチングし、第3スイッチング素子SW3を常時オフする。また電源装置1は、入力される交流電圧が高く、整流回路30の出力電圧値が所定電圧値より高い場合に、切替回路50が第1フライバックコンバータ10の入力側から第2フライバックコンバータ20の入力側への電流経路を導通して第1接続状態へ切り替え、駆動回路40が第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2を常時オフし、第3スイッチング素子SW3を所定周期でスイッチングする。これにより電源装置1は、入力電圧の高低に応じて回路構成を切り替えることができ、広範囲の入力電圧に対応することが期待できる。なお本実施の形態においては、電源装置1は整流回路30の出力電圧値を測定して制御を行っているが、これに限るものではなく、例えば整流回路30への入力電圧値を測定して制御を行ってもよい。
【0051】
また本実施の形態に係る電源装置1は、整流回路30の出力電圧値が所定電圧値より低く、且つ、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20の出力電流が所定電流値より低い場合、駆動回路40が第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2を所定周期で交互にオンする。また電源装置1は、整流回路30の出力電圧値が所定電圧値より低く、且つ、第1フライバックコンバータ10及び第2フライバックコンバータ20の出力電流が所定電流値より高い場合、駆動回路40が第1スイッチング素子SW1及び第2スイッチング素子SW2を所定周期で同時にオンする。
【0052】
なお本実施の形態においては、第1スイッチング素子SW1、第2スイッチング素子SW2及び第3スイッチング素子SW3をMOSFETとしたが、これに限るものではなく、スイッチング素子はどのような回路素子を用いて構成されてもよく、複数の回路素子の組み合わせで実現されてもよい。
【0053】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0054】
各実施形態に記載した事項は相互に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した独立請求項及び従属請求項は、引用形式に関わらず全てのあらゆる組み合わせにおいて、相互に組み合わせることが可能である。さらに、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも1つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 電源装置
2a,2b 入力端子
3a,3b 出力端子
4 交流電源
5 負荷
10 第1フライバックコンバータ
20 第2フライバックコンバータ
30 整流回路
31a,31b 入力
32a,32b 出力
40 駆動回路
41 電圧測定回路
42 電流測定回路
50 切替回路
C コンデンサ
D1 第1ダイオード
D2 第2ダイオード
SW1 第1スイッチング素子
SW2 第2スイッチング素子
SW3 第3スイッチング素子
T1 第1トランス
T2 第2トランス