(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033459
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】跳ね上げ式門扉
(51)【国際特許分類】
E05F 15/616 20150101AFI20240306BHJP
E06B 11/02 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
E05F15/616
E06B11/02 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137040
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】503428703
【氏名又は名称】オイレスECO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】平塚 鉄也
(72)【発明者】
【氏名】梶田 宇
【テーマコード(参考)】
2E038
2E052
【Fターム(参考)】
2E038BA01
2E038CA32
2E038DD02
2E038DD04
2E052AA05
2E052BA01
2E052BA04
2E052CA06
2E052DA01
2E052DA05
2E052DB01
2E052DB05
2E052EA09
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA06
(57)【要約】
【課題】停電やモータの故障、電気系統の故障等の発生によってモータが稼働しない場合であっても、手動によって扉を開閉することができる跳ね上げ式門扉を提供する。
【解決手段】跳ね上げ式門扉は、直動モータのモータシリンダを第1門柱11aの内部に固定するとともに、第1門柱11aの内部に対するモータシリンダの固定を解除するロック・アンロック機構を有する。跳ね上げ式門扉10Aでは、ロック・アンロック機構によって直動モータのモータシリンダが第1門柱11aの内部に固定されたロック状態において、直動モータを利用して第1及び第2アーム12a,12bの先端部27を上下方向に旋回させて扉13を全開位置と全閉位置とへ旋回させる電動操作と、ロック・アンロック機構によって第1門柱11aの内部に対する直動モータのモータシリンダの固定が解除されたアンロック状態において、扉13を手動によって全開位置と全閉位置とへ旋回させる手動操作とに切り替え可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向へ離間対向する一対の門柱と、基端部が前記門柱の上端部に回転可能に設置されて先端部が上下方向へ旋回する一対のアームと、それらアームの先端部に設置されて該アームに直交し、それらアームの先端部の上方への旋回に伴って全開位置に向かって上方へ旋回するとともに、それらアームの先端部の下方への旋回に伴って全閉位置に向かって下方へ旋回する扉と、前記アームの基端部を回転させる電動機とを有する跳ね上げ式門扉において、
前記電動機が、前記門柱の内部に配置された直動モータであり、前記直動モータが、モータシリンダと、前記モータシリンダの上端から上下方向上方へ上昇して前記アームの先端部を上方へ旋回させるとともに、該モータシリンダの内部に向かって上下方向下方へ下降して前記アームの先端部を下方へ旋回させるモータロッドとを備え、
前記跳ね上げ式門扉が、前記直動モータのモータシリンダを前記門柱の内部に固定するとともに、該門柱の内部に対する該モータシリンダの固定を解除するロック・アンロック機構を有し、
前記跳ね上げ式門扉では、前記ロック・アンロック機構によって前記直動モータのモータシリンダが前記門柱の内部に固定されたロック状態において、前記直動モータを利用して前記アームの先端部を上下方向に旋回させて前記扉を全開位置と全閉位置とへ旋回させる電動操作と、前記ロック・アンロック機構によって前記門柱の内部に対する前記直動モータのモータシリンダの固定が解除されたアンロック状態において、前記扉を手動によって全開位置と全閉位置とへ旋回させる手動操作とに切り替え可能であることを特徴とする跳ね上げ式門扉。
【請求項2】
前記ロック・アンロック機構が、前記直動モータのモータシリンダを支持するシリンダホルダと、前記シリンダホルダに穿孔されて上下方向と交差する径方向へ延びるピン係入孔と、前記門柱の一側壁に位置し、後端開口及び前端ピン突出孔を備えたケーシングと、前記ケーシングに収容された係入ピンと、前記ケーシングに収容されて前記係入ピンを前進させるように付勢する付勢手段と、前記ケーシングの後端開口を囲繞して該ケーシングの後端開口から前端ピン突出孔に向かって傾斜する傾斜開口縁と、前記係入ピンの後端部を支持して基端縁が前記傾斜開口縁に当接しつつ前記後端開口から露出し、時計回り方向又は反時計回り方向へ旋回する切替レバーとを備え、前記ロック・アンロック機構では、前記前進した係入ピンの前端部が前記ケーシングの前端ピン突出孔から突出して前記シリンダホルダのピン係入孔に係入した前記ロック状態において、前記切替レバーを時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方へ旋回させると、前記切替レバーの一端縁が前記傾斜開口縁を摺動しつつ該切替レバーが次第に後退し、前記切替レバーの後退に伴って前記係入ピンが前記付勢手段の付勢力に抗して後退し、該係入ピンの前端部が前記ピン係入孔から退出して前記アンロック状態になる請求項1に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項3】
前記ロック・アンロック機構では、前記係入ピンの前端部が前記ピン係入孔から退出した前記アンロック状態において、前記切替レバーを時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか他方へ旋回させて前記付勢手段の付勢力を復帰させた後、前記手動操作によって前記扉を全開位置と全閉位置とへ旋回させたときに、前記係入ピンの前端部が前記シリンダホルダに穿孔されたピン係入孔に位置すると、前記付勢手段の付勢力によって前記係入ピンの前端部が前進して該ピン係入孔に係入して前記ロック状態になる請求項2に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項4】
前記ロック・アンロック機構が、前記シリンダホルダのピン係入孔に収容され、前記係入ピンの前進又は後退に伴って回転する一対の回転ローラを含み、前記ロック・アンロック機構では、前記係入ピンの前端部が前記ピン係入孔に係入した状態において、前記係入ピンの前端部がそれら回転ローラの間に位置するとともに該係入ピンの前端部の外周面がそれら回転ローラの外周面に当接し、前記係入ピンの前端部が前記ピン係入孔から退出するときに、それら回転ローラが回転して該係入ピンの前端部が該ピン係入孔からスムースに退出する請求項3に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項5】
前記ロック・アンロック機構が、前記門柱の一側壁に固定されて前記直動モータのモータシリンダの外周面を締め付け保持する締結ホルダと、前記締結ホルダの一側壁に設置されて該締結ホルダの締付力を調節可能なカムレバーと、前記締結ホルダに穿孔されたピン係入孔と、前記締結ホルダの外周面に設置された係入ピンと、前記係入ピンを前進させるように付勢する付勢手段とを備え、前記ロック・アンロック機構では、前記係入ピンが前記付勢手段の付勢力によって前進してその前端部が前記ピン係入孔に係入するとともに、前記カムレバーが時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方へ旋回することで、前記締結ホルダに締結力が付与されて該締結ホルダが前記直動モータのモータシリンダの外周面を締め付け保持して前記ロック状態になる請求項1に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項6】
前記ロック・アンロック機構では、前記カムレバーが時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか他方へ旋回することで、前記締結ホルダの締結力が開放され、前記カムレバーをいずれか他方へ旋回させた後、前記係入ピンを後退させて該係入ピンの前端部を前記ピン係入孔から退出させて前記アンロック状態にする請求項5に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項7】
前記ロック・アンロック機構では、前記カムレバーが時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方へ旋回したときに、前記カムレバーが前記係入ピンの後端部に当接するように前記締結ホルダに対する該カムレバーと該係入ピンとの配置が調節され、前記係入ピンの前端部が前記ピン係入孔から退出した状態において、前記カムレバーが前記係入ピンの後端部に当接して該カムレバーの旋回が該係入ピンによって阻止され、前記締結ホルダによる前記直動モータのモータシリンダの外周面の締め付けが開放された前記アンロック状態が維持される請求項6に記載の跳ね上げ式門扉。
【請求項8】
前記ロック・アンロック機構では、前記係入ピンの前端部が前記ピン係入孔から退出した前記アンロック状態において、前記手動操作によって前記扉を全開位置と全閉位置とへ旋回させたときに、前記係入ピンの前端部が前記締結ホルダに穿孔されたピン係入孔に位置すると、前記付勢手段の付勢力によって前記係入ピンの前端部が前進して該ピン係入孔に係入する請求項7に記載の跳ね上げ式門扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、跳ね上げ式門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の中空の角形の支柱と、一端部がそれら支柱に回動自在に支持された一対のアームと、それらアームの他端部に取り付けられ、アームの一方向への回動によって全開位置に向かって上方へ移動するとともに、アームの他方向への回動によって全閉位置に向かって下方へ移動する扉と、電動モータの出力回転軸の回転によってアームを回動させるアーム回動手段と、扉及びアームの自重に抗する跳ね上げ方向の弾性力をアームに付与する弾性力付与手段と、扉の全閉直前位置から全閉位置に向かう上方への移動に抗する抵抗力を扉に付与する抵抗力付与手段と、扉の上方への移動を全閉位置において阻止するとともに、扉の下方への移動を全閉位置において阻止する禁止手段とを有する跳ね上げ式門扉が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
アーム回動手段は、支柱に内蔵された電動モータと、電動モータの出力回転軸の回転をアームに伝達する伝達手段とを備えている。伝達手段は、電動モータとアームとの間に設置され、電動モータの出力回転軸の正方向の回転力及び出力回転軸の逆方向の回動力をアームに伝達する。伝達手段は、電動モータの出力回転軸に連結された回転軸と減速機構とを有し、電動モータの出力回転軸の回転を減速機構によって減速し、減速した出力回転軸の回転を回動軸に伝達する。減速機構は、回転軸に設けられたスパイラルギヤと、回動軸に固定されてスパイラルギヤに歯合する歯列が周縁に形成された歯車とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
跳ね上げ式門扉は、狭い敷地を有効活用可能な省スペース設計であり、主に車庫前に施設される。前記特許文献1に開示の跳ね上げ式門扉は、電動モータによって開閉する電動タイプであり、車に乗ったままリモコン操作によって扉を開閉することができる。しかし、停電や電動モータの故障、電気系統の故障等の発生によって電動モータが稼働しないと、扉を開閉することができず、門扉としての機能を喪失し、車の出庫や入庫ができない。又、特許文献1に開示の跳ね上げ式門扉は、電動モータとして出力回転軸が回転し、電動モータの出力回転軸のトルクを減速機構(ギア機構)を利用してアームに伝達するが、減速機構(ギア機構)を門柱の内部に設置しなければならず、その構造が複雑化し、跳ね上げ式門扉の設置コストを下げることができない。
【0006】
本発明の目的は、停電やモータの故障、電気系統の故障等の発生によってモータが稼働しない場合であっても、手動によって扉を開閉することができる跳ね上げ式門扉を提供することにある。本発明の他の目的は、減速機構(ギア機構)を利用することなく、扉を開閉することができ、構造を簡素化することができるとともに、その設置コストを下げることができる跳ね上げ式門扉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための本発明の前提は、幅方向へ離間対向する一対の門柱と、基端部が門柱の上端部に回転可能に設置されて先端部が上下方向へ旋回する一対のアームと、それらアームの先端部に設置されてアームに直交し、それらアームの先端部の上方への旋回に伴って全閉位置から全開位置に向かって上方へ旋回するとともに、それらアームの先端部の下方への旋回に伴って全開位置から全閉位置に向かって下方へ旋回する扉と、アームの基端部を回転させる電動機とを有する跳ね上げ式門扉である。
【0008】
前記前提における本発明の特徴は、電動機が、門柱の内部に配置された直動モータであり、直動モータが、モータシリンダと、モータシリンダの上端から上下方向上方へ上昇してアームの先端部を上方へ旋回させるとともに、モータシリンダの内部に向かって上下方向下方へ下降してアームの先端部を下方へ旋回させるモータロッドとを備え、跳ね上げ式門扉が、直動モータのモータシリンダを門柱の内部に固定するとともに、門柱の内部に対するモータシリンダの固定を解除するロック・アンロック機構を有し、跳ね上げ式門扉では、ロック・アンロック機構によって直動モータのモータシリンダが門柱の内部に固定されたロック状態において、直動モータを利用してアームの先端部を上下方向に旋回させて扉を全開位置と全閉位置とへ旋回させる電動操作と、ロック・アンロック機構によって門柱の内部に対する直動モータのモータシリンダの固定が解除されたアンロック状態において、扉を手動によって全開位置と全閉位置とへ旋回させる手動操作とに切り替え可能であることにある。
【0009】
本発明の一例としては、ロック・アンロック機構が、直動モータのモータシリンダを支持するシリンダホルダと、シリンダホルダに穿孔されて上下方向と交差する径方向へ延びるピン係入孔と、門柱の一側壁に位置し、後端開口及び前端ピン突出孔を備えて径方向へ延びるケーシングと、ケーシングに収容されて径方向へ前進又は後退する係入ピンと、ケーシングに収容されて係入ピンを前進させるように付勢する付勢手段と、ケーシングの後端開口を囲繞してケーシングの後端開口から前端ピン突出孔に向かって傾斜する傾斜開口縁と、係入ピンの後端部を支持して基端縁が傾斜開口縁に当接しつつ後端開口から露出し、時計回り方向又は反時計回り方向へ旋回する切替レバーとを備え、ロック・アンロック機構では、径方向へ前進した係入ピンの前端部がケーシングの前端ピン突出孔から突出してシリンダホルダのピン係入孔に係入したロック状態において、切替レバーを時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方へ旋回させると、切替レバーの一端縁が傾斜開口縁を摺動しつつ切替レバーが径方向へ次第に後退し、切替レバーの後退に伴って係入ピンが付勢手段の付勢力に抗して径方向へ後退し、係入ピンの前端部がピン係入孔から退出してアンロック状態になる。
【0010】
本発明の他の一例として、ロック・アンロック機構では、係入ピンの前端部がピン係入孔から退出したアンロック状態において、前記切替レバーを時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか他方へ旋回させて前記付勢手段の付勢力を復帰させた後、手動操作によって扉を全開位置と全閉位置とへ旋回させたときに、係入ピンの前端部がシリンダホルダに穿孔されたピン係入孔に位置すると、付勢手段の付勢力によって係入ピンの前端部が前進してピン係入孔に係入してロック状態になる。
【0011】
本発明の他の一例としては、ロック・アンロック機構が、シリンダホルダのピン係入孔に収容され、係入ピンの前進又は後退に伴って回転する一対の回転ローラを含み、ロック・アンロック機構では、係入ピンの前端部がピン係入孔に係入した状態において、係入ピンの前端部がそれら回転ローラの間に位置するとともに係入ピンの前端部の外周面がそれら回転ローラの外周面に当接し、係入ピンの前端部がピン係入孔から退出するときに、それら回転ローラが回転して係入ピンの前端部がピン係入孔からスムースに退出する。
【0012】
本発明の他の一例としては、ロック・アンロック機構が、門柱の一側壁に固定されて直動モータのモータシリンダの外周面を締め付け保持する締結ホルダと、締結ホルダの一側壁に設置されて締結ホルダの締付力を調節可能なカムレバーと、締結ホルダに穿孔されて径方向へ延びるピン係入孔と、締結ホルダの外周面に取り付けられて径方向へ前進又は後退する係入ピンと、係入ピンを前進させるように付勢する付勢手段とを備え、ロック・アンロック機構では、係入ピンが付勢手段の付勢力によって径方向へ前進してその前端部がピン係入孔に係入するとともに、カムレバーが時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方へ旋回することで、締結ホルダに締結力が付与されて締結ホルダが直動モータのモータシリンダの外周面を締め付け保持してロック状態になる。
【0013】
本発明の他の一例として、ロック・アンロック機構では、カムレバーが時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか他方へ旋回することで、締結ホルダの締結力が開放され、カムレバーをいずれか他方へ旋回させた後、係入ピンを後退させて係入ピンの前端部をピン係入孔から退出させてアンロック状態にする。
【0014】
本発明の他の一例として、ロック・アンロック機構では、カムレバーが時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方へ旋回したときに、カムレバーが係入ピンの後端部に当接するように締結ホルダに対するカムレバーと係入ピンとの配置が調節され、係入ピンの前端部がピン係入孔から退出した状態において、カムレバーが係入ピンの後端部に当接してカムレバーの旋回が係入ピンによって阻止され、締結ホルダによる直動モータのモータシリンダの外周面の締め付けが開放されたアンロック状態が維持される。
【0015】
本発明の他の一例として、ロック・アンロック機構では、係入ピンの前端部がピン係入孔から退出したアンロック状態において、手動操作によって扉を全開位置と全閉位置とへ旋回させたときに、係入ピンの前端部が締結ホルダに穿孔されたピン係入孔に位置すると、付勢手段の付勢力によって係入ピンの前端部が前進してピン係入孔に係入する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る跳ね上げ式門扉によれば、ロック・アンロック機構によって直動モータのモータシリンダが門柱の内部に固定されたロック状態において、直動モータを利用してアームの先端部を上下方向に旋回させて扉を全開位置と全閉位置とへ旋回させる電動操作と、ロック・アンロック機構によって門柱の内部に対する直動モータのモータシリンダの固定が解除されたアンロック状態において、扉を手動によって全開位置と全閉位置とへ旋回させる手動操作とに切り替え可能であるから、停電や直動モータの故障、電気系統の故障等の発生によって直動モータが稼働しない場合であっても、手動によって扉を開閉することができ、直動モータの非稼働時であっても門扉としての機能を失うことはなく、跳ね上げ式門扉を利用可能にすることができる。跳ね上げ式門扉は、直動モータのモータロッドの直進動作による駆動力を利用してアームを旋回させることで扉を開閉するから、直動モータの直進動作を利用して手間を要せず自動で扉を開閉することができる。跳ね上げ式門扉は、モータ軸が回転するモータを利用する場合、門柱の内部に減速機構を設置する必要があり、構造が複雑化し、故障の要因が増えるとともに、廉価に設置することができないが、直動モータの直進動作を利用することで減速機構を利用することなく扉を開閉することができ、門柱の内部に減速機構を設置する必要はなく、構造を簡素化することができ、故障の要因を少なくすることができるとともに、その設置コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】バランサー機構及び直動モータの一例を示す斜視図。
【
図3】直動モータに対するロック・アンロック機構の取付状態を示す斜視図。
【
図4】ロック状態を示すロック・アンロック機構の部分拡大側面図。
【
図5】アンロック状態を示すロック・アンロック機構の部分拡大側面図。
【
図6】直動モータを利用した電動操作による扉の開閉を説明する部分拡大図。
【
図9】他の一例として示す跳ね上げ式門扉の斜視図。
【
図10】バランサー機構及び直動モータの他の一例を示す側面図。
【
図11】直動モータ、締結ホルダ、カムレバーの斜視図。
【
図12】ロック・アンロック機構の他の一例を示す拡大断面図。
【
図13】ロック・アンロック機構の操作手順の一例を説明する拡大断面図。
【
図14】係入ピン96が係入孔94に位置しない状態を示す図。
【
図15】直動モータを利用した電動操作による扉の開閉を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
添付の図面を参照し、本発明に係る跳ね上げ式門扉の詳細を説明すると、以下のとおりである。尚、
図1は、一例として示す跳ね上げ式門扉10Aの斜視図である。
図1は、扉13の開閉を直動モータ14によって行う電動操作を示す。
図1では、上下方向を矢印X、幅方向を矢印Yで示し、前後方向を矢印Zで示す。
図2は、バランサー機構15及び直動モータ14の一例を示す斜視図である。
【0019】
跳ね上げ式門扉10A(後記する跳ね上げ式門扉10Bを含む)は、主に車庫に施設され、車庫の開閉に使用される。跳ね上げ式門扉10Aは、一対の第1門柱11a及び第2門柱11bと、一対の第1アーム12a及び第2アーム12bと、扉13及び直動モータ14と、バランサー機構15及びロック・アンロック機構16とを有する。
【0020】
第1及び第2門柱11a,11bは、アルミニウム合金やステンレス鋼等の金属から作られ、上下方向へ長い中空角柱状に成形され、幅方向へ所定寸法離間対向して並んでいる。それら門柱11a,11bは、正面壁17及び後面壁18並びに頂壁19と、内側壁20及び外側壁21と、上端部22と下端部23とを有し、その下端部23が地上に固定されている。それら門柱11a,11bには、それら壁17~21に囲繞された内部収容スペース24が形成されている。第1及び第2門柱11a,11bの上端部22における内側壁20には、後記する回転軸31の内端部が露出している。第1門柱11aの上端部22における内側壁20の正面壁17側には、四角形の開口25が作られている。
【0021】
第1及び第2アーム12a,12bは、アルミニウム合金やステンレス鋼等の金属から作られ、角柱状に成形されて幅方向へ所定寸法離間対向して並んでいる。第1及び第2アーム12a,12bは、基端部26と先端部27とを有し、その基端部26が門柱11a,11bの内側壁20から露出する回転軸31に軸受(図示せず)を介して連結されている。それらアーム12a,12bは、その基端部26の回転によって先端部27が上下方向上方と下方とへ旋回する。アーム12a,12bは、扉13が全閉位置に位置すると前後方向へ倒伏し、扉13が全開位置に位置すると、上下方向へ起立する。
【0022】
扉13は、アルミニウム合金やステンレス鋼等の金属から作られて幅方向へ長い矩形に成形され、それら門柱11a,11bの間に位置している。扉13には、上下方向と幅方向とへ並ぶ多数の開口が形成されている。尚、扉13の正面形状に特に限定はなく、他のあらゆる正面形状の扉13を利用することができる。扉3は、第1及び第2アーム12a,12bに直交し、その両側上部がそれらアーム12a,12bの先端部27に連結手段(ボルト及びナット、溶接)によって連結・固定されている。
【0023】
扉13は、それらアーム12a,12bの先端部27の矢印A1で示す上方への旋回に伴って全閉位置から全開位置に向かって上方へ旋回するとともに、それらアーム12a,12bの先端部27の矢印A2で示す下方への旋回に伴って全開位置から全閉位置に向かって下方へ旋回する。扉13は、それが全閉位置に位置すると、第1及び第2門柱11a,11bと平行するように上下方向へ直状に延び、それが全開位置に位置すると、第1及び第2門柱11a,11bと交差するように前後方向へ直状に延びる。
【0024】
直動モータ14は、モータシリンダ28及びモータロッド29を備え、第1門柱11aの内部収容スペース24に配置されている。モータロッド29は、モータシリンダ28の上端開口から上下方向上方へ上昇してシリンダ28から次第に露出するとともに、上下方向下方へ下降してシリンダ28の内部に次第に進入する。直動モータ14には、電源(図示せず)から電気が給電されている。尚、直動モータ14は、その制御部が所定の通信手段によってリモコン(図示せず)に接続されている。
【0025】
直動モータ14は、跳ね上げ式門扉10Aの第1門柱11aに取り付けられた操作スイッチ(図示せず)によって起動又は停止するとともに、図示しないリモコンの操作によって起動又は停止する。尚、第1及び第2門柱11a,11bとは別に操作スイッチを取り付けたスイッチ門柱が跳ね上げ式門扉10Aの近傍に設置される場合がある。
【0026】
操作スイッチ及びリモコンには、開(ON)ボタン(開操作)、停止(OFF)ボタン、閉(ON)ボタン(閉操作)が作られている。開(ON)ボタンを押すことで、モータロッド29が上下方向上方へ上昇し、閉(ON)ボタンを押すことで、モータロッド29が上下方向下方へ下降する。停止(OFF)ボタンを押すことで、モータロッド29の上昇又は下降が停止する。
【0027】
バランサー機構15は、第1及び第2門柱11a,11bの内部収容スペース24に配置され、扉13が全閉位置から全開位置に向かう開操作時に第1及び第2アーム12a,12bの先端部27に上方への旋回力を付与する。バランサー機構15は、ハウジング30及び回転軸31と、回転板カム32及びチェーン33と、軸ロッド34と、上方当接部材35及び下方当接部材36と、コイルスプリング37とを備えている。
【0028】
ハウジング30は、アルミニウム合金やステンレス鋼等の金属から作られ、上方収容部38及び下方収容部39を有する。ハウジング30は、上方収容部38が上になり下方収容部39が下になった状態で第1及び第2門柱11a,11bの内部収容スペース24に配置されている。ハウジング30の上方収容部38は、門扉11a,11bの正面壁17の側に位置して上下方向へ延びる断面コ字状のガイド40と、ガイド40を挟んで幅方向へ離間対向する一対の回転軸第1支持プレート41及び回転軸第2支持プレート42とから形成されている。回転軸第1及び第2支持プレート41,42には、ガイド40から後方に離間して下方へ延びる延出部分43が作られている。
【0029】
ガイド40は、門扉の上下方向へ延びる第1ガイドプレート44と、第1ガイドプレート44の両側に対向位置して上下方向へ延びる第2ガイドプレート45及び第3ガイドプレート46とから形成されている。第1~第3ガイドプレート44~46は、一体成型されている。回転軸第1支持プレート41は、第2ガイドプレート45の上部に複数のボルト及び複数のナットによって強固に固定されている。回転軸第2支持プレート42は、第3ガイドプレート46の上部に複数のボルト及び複数のナットによって強固に固定されている。回転軸第1支持プレート41と回転軸第2支持プレート42とは、連結ピン47によって連結されている。
【0030】
下方収容部39は、回転軸第1及び第2支持プレート41,42の下端から下方へ延びるガイド40と、ガイド40の下端に取り付けられて前後方向へ延びる軸ロッド支持プレート48と、回転軸第1及び第2支持プレート41,42側の下方収容部39のガイド40に設置・固定された上部軸受49と、上部軸受49から下方へ所定寸法離間対向してガイド40に設置・固定された下部軸受50とから形成されている。下方収容部39を形成する第2ガイドプレート45の上下方向中央には、前後方向後方へ延出する延出部分51が作られている。
【0031】
第2ガイドプレート45の延出部分51には、後記する係入ピン69を挿脱可能な挿通孔52が穿孔(形成)されているとともに、複数の螺着孔(図示せず)が穿孔されている。軸ロッド支持プレート48の中央には、軸ロッド34の後記する下部ロッド63を挿通する挿通孔53が穿孔されている。第1ガイドプレート44が第1及び第2門柱11a,11bの正面壁17に複数のボルト及び複数のナットによって強固に固定されることで、ハウジング30が第1及び第2門柱11a,11bの内部収容スペース24に固定される。
【0032】
第1門柱11aに設置されたハウジング30の下方収容部39には、直動モータ14が配置・収容されている。ハウジング30の下方収容部39では、直動モータ14のモータシリンダ28の上方が上部軸受49に摺動可能に挿通され、直動モータ14のモータシリンダ28の下方が下部軸受50に摺動可能に挿通されている。尚、第2門柱11bに設置されたハウジング30の下方収容部39には、直動モータ14は配置されていない。第2門柱11bの内部収容スペース24には、バランサー機構15のみが設置されている。
【0033】
回転軸31は、上方収容部38の回転軸第1支持プレート41と回転軸第2支持プレート42との間に配置されて幅方向へ延びている。回転軸31は、それら支持プレート41,42に回転可能に取り付けられている。回転板カム32は、ハウジング30の上方収容部38の回転軸第1支持プレート41と回転軸第2支持プレート42との間に配置され、門柱11aの内部収容スペース24であって門柱11aの上端部22に配置されている。
【0034】
回転板カム32は、回転軸31に取り付けられている。回転板カム32は、門柱11aの正面壁17側に位置する第1連結部54と、門柱11aの頂壁19の側に位置する第2連結部55とを有する。回転板カム32の第1連結部54には、連結ピンを介してモータロッド29の先端部57が連結されている。回転板カム32は、回転軸31を中心として時計回り方向と反時計回り方向とへ所定角度回転する。
【0035】
チェーン33は、ハウジング30の上方収容部38の回転軸第1支持プレート41と回転軸第2支持プレート42との間に配置され、門柱11aの内部収容スペース24であって門柱11aの上端部22に配置されている。チェーン33は、回転板カム32の第2連結部55の側に位置する一端部58と、軸ロッド34の側に位置する他端部60と、一端部58及び他端部60の間に延びる中間部59とを有する。
【0036】
チェーン33の一端部58は、連結ピン61を介して回転板カム32の第2連結部55に連結され、チェーン33の他端部60は、連結ピン61を介して軸ロッド34(下部ロッド63)の上端に連結されている。チェーン33は、回転板カム32が反時計回り方向へ回転したときにその中間部59が回転板カム32の上方カム縁62に当接した状態で回転板カム32の上方カム縁62に巻き取り案内される。回転板カム32の上方カム縁62に巻き取られたチェーン33は、回転板カム32が時計回り方向へ回転すると、回転板カム32の第2連結部55から下方へ繰り出される。
【0037】
軸ロッド34は、上下方向へ長い円柱状の金属棒であり、門柱11a,11bの内部収容スペース24に配置され、ハウジング30に位置しつつ回転板カム32の下方に位置して上下方向へ延びている。軸ロッド34は、径が小さい下部ロッド63と、下部ロッド63よりも径が大きく下部ロッド63をその内部に摺動可能に収容した上部ロッド64とを有する。軸ロッド34は、その上部ロッド64の上端がハウジング30の回転軸第1及び第2支持プレート41,42の間に位置し、上部ロッド64の上端が連結ピン61を介してチェーン33の他端部60に連結されている。軸ロッド34の上部ロッド64の上端には、径方向へ張り出すフランジ65が形成されている。
【0038】
軸ロッド34は、その下部ロッド63がガイド40の下端に取り付けられた軸ロッド支持プレート48の挿通孔53に摺動可能に挿通されている。軸ロッド34は、回転板カム32が反時計回り方向へ回転し、チェーン33が回転板カム32の上部カム縁62に巻き取られることで、上方へ移動し、回転板カム32が時計回り方向へ回転し、チェーン33が回転板カム32の第2連結部55から下方へ繰り出されることで、下方へ移動する。
【0039】
上方当接部材35は、ハウジング30の回転軸第1及び第2支持プレート41,42の延出部分43の間に位置し、回転軸第1及び第2支持プレート41,42の延出部分43に複数のボルト及び複数のナットによって強固に固定されている。上方当接部材35の中央には、挿通孔66が穿孔されている。上方当接部材35の挿通孔66には、軸ロッド34の上部ロッド64が摺動可能に挿通されている。下方当接部材36は、軸ロッド34の上部ロッド63の下部に固定されている。
【0040】
コイルスプリング37は、軸ロッド34の上部ロッド64に挿通されて上下方向へ延びている。コイルスプリング37には、圧縮コイルばねが使用されている。コイルスプリング37は、その上端が上方当接部材35に当接し、その下端が下方当接部材36に当接している。上方当接部材35と下方当接部材36との間においてコイルスプリング37は、それが上下方向へ最大に伸長した場合であっても弾性力を発現する。
【0041】
図3は、直動モータ14に対するロック・アンロック機構16の取付状態を示す斜視図である。ロック・アンロック機構16は、直動モータ14のモータシリンダ28(シリンダホルダ67、プレート73を含む)をガイド40に固定するとともに、ガイド40に対するモータシリンダ28(シリンダホルダ67、プレート73を含む)の固定を解除する。
【0042】
ロック・アンロック機構16は、シリンダホルダ67及びケーシング68と、係入ピン69及びピン係入孔70と、切替レバー71及びコイルスプリング72(付勢手段)と、一対のプレート73及び一対の回転ローラ74とから形成されている。シリンダホルダ67は、スチールやステンレス、チタン等の金属又は合成樹脂から作られ、略四角柱状に成形されている。シリンダホルダ67の中央には、挿通開口75が穿孔されている。シリンダホルダ67の挿通開口75には、直動モータ14のモータシリンダ28が挿通される。
【0043】
シリンダホルダ67は、直動モータ14のモータシリンダ28の長さ方向中央に配置されている。シリンダホルダ67は、直動モータ14のモータシリンダ28の外周面を囲繞してモータシリンダ28を回転不能に支持する。シリンダホルダ67には、
図3に示すように、その螺着孔にビス76が螺着され、モータシリンダ28の外周面を締め付けることでモータシリンダ28に固定されている。
【0044】
ピン係入孔70は、第1門扉11aの上端部22における内側壁20に対向するシリンダホルダ67の側壁に穿孔され、径方向へ延びている。ピン係入孔70は、所定の開口容積を有する。シリンダホルダ67の側壁には、ピン係入孔70の直上にピン係入孔70に直交する2つの軸孔77が穿孔され、軸孔77の直上に径方向へ延びる2つの螺着孔78が穿孔されているとともに、ピン係入孔70の両側に径方向へ延びる4つの螺着孔79が穿孔されている。それら螺着孔78,79には、雌螺子が形成されている。
【0045】
ケーシング68は、スチールやステンレス、チタン等の金属又は合成樹脂から作られ、第1門扉11aの上端部22における内側壁20の側に位置し、門柱11aの内側壁20の上端部22に作られた開口25から門柱11aの外側に露出している。ケーシング68は、幅方向内方へ延びる中空収納部80と、中空収納部80から上下方向へ延びる連結板部81とを備えている。
【0046】
ケーシング68の中空収納部80には、その後端に後端開口82が穿孔され、その前端に前端ピン突出孔83が穿孔されている。前端ピン突出孔83は、シリンダホルダ67のピン係入孔70及び第2ガイドプレート45の延出部分51の挿通孔52に連通している。ケーシング68の中空収納部80の後端開口82には、後端開口82を囲繞して後端開口82から前端ピン突出孔83に向かって傾斜する傾斜開口縁84が形成されている。ケーシング68の連結板部81には、上下方向へ並ぶ螺子孔85が穿孔されている。
【0047】
係入ピン69は、スチールやステンレス、チタン等の金属又は合成樹脂から作られ、径方向へ長い円柱棒状に成形されている。係入ピン69は、ケーシング68の中空収納部80に収容されている。係入ピン69の前端部86の後方には、係入ピン69の径方向へ張り出すフランジ87が形成されている。
【0048】
係入ピン69は、その前端部86がケーシング68の中空収納部80において幅方向外方へ前進し又は幅方向内方へ後退し、中空収納部80の前端ピン突出孔83及び第2ガイドプレート45の延出部分51の挿通孔52から外側に突出するとともに、挿通孔52及び前端ピン突出孔83から中空収納部80に後退する。
【0049】
尚、係入ピン69の前端部86が幅方向外方へ前進し、前端部86がシリンダホルダ67のピン係入孔70に係入した状態では、係入ピン69のフランジ87が中空収納部80の前端ピン突出孔83の内側に当接し、係入ピン69の前端部86のそれ以上の前進が阻止されている。
【0050】
切替レバー71は、スチールやステンレス、チタン等の金属又は合成樹脂から作られ、係入ピン69の後端部に連結されて後端部を支持し、係入ピン69と一体になっている。切替レバー71は、係入ピン69と直交してケーシング68の中空収納部80の後端開口82から露出し、係入ピン69と直交する方向へ延びている。切替レバー71は、その基端縁が後端開口82に形成された傾斜開口縁84に当接している。切替レバー71は、それが時計周り方向又は反時計周り方向へ回転する。切替レバー71は、第1門柱11aの開口25から門柱11aの外側に露出している。
【0051】
コイルスプリング72(付勢手段)は、ケーシング68の中空収納部80に収容されている。コイルスプリング72には、圧縮コイルばねが使用されている。コイルスプリング72には、係入ピン69が挿通されている。コイルスプリング72は、その前端が係入ピン69の前端部86のフランジ87に当接し、その後端がケーシング68の後端部に位置している。コイルスプリング72は、ケーシング68の中空収納部80において係入ピン69を径方向へ前進させるようにバネ付勢する。
【0052】
プレート73は、スチールやステンレス、チタン等の金属から作られ、直動モータ14のモータシリンダ28の外周面に平行して上下方向へ延びている。プレート73の対向端部には、螺子孔88が穿孔されている。回転ローラ74は、スチールやステンレス、チタン等の金属から作られ、所定の開口容積を有するピン係入孔70に収容されている。回転ローラ74は、スチールやステンレス、チタン等の金属から作られた軸89に回転可能に挿入されている。それら回転ローラ74は、係入ピン69の前進(係入ピン69のピン係入孔70への進入)又は後退(係入ピン69のピン係入孔70からの退出)に伴って回転する。
【0053】
ロック・アンロック機構16では、ガイド40に設置された上部軸受49及び下部軸受50に直動モータ14のモータシリンダ28を挿通しつつ、モータシリンダ28をシリンダホルダ67の挿通開口75に挿通する。
図3に示すように、シリンダホルダ67をモータシリンダ28の上下方向中央に位置させた後、シリンダホルダ67のピン係入孔70にそれら回転ローラ74を対向させて収容する。
【0054】
次に、シリンダホルダ67のそれら軸孔77に軸89を挿通し、軸89に回転ローラ74を挿通した後、蓋金具90を軸孔77の上に載せ、シリンダホルダ67の軸孔77の直上に穿孔された螺着孔78にビス76を螺着し、ビス76によってシリンダホルダ67を締め付けてモータシリンダ28の中央にシリンダホルダ67を固定し、シリンダホルダ67に蓋金具90を固定する。シリンダホルダ67の軸孔77からの軸89の抜け落ちが蓋金具90によって防止される。軸89に挿通された回転ローラ74はピン係入孔70に回転可能に収容される。
【0055】
シリンダホルダ67に蓋金具90を固定した後、プレート73を直動モータ14のモータシリンダ28の外周面に平行して配置し、それらプレート73の対向端部に穿孔された螺子孔88にビス91を挿入するとともに、ピン係入孔70の両側に穿孔された螺着孔79にビス91を螺着してシリンダホルダ67にそれらプレート73を固定する。シリンダホルダ67にプレート73を固定すると、それらプレート73が直動モータ14のモータシリンダ28の外周面に平行して上下方向へ延びる。
【0056】
シリンダホルダ67及びプレート73を取り付けた直動モータ14をハウジング30の下方収容部39に収容した後、連結ピン56を介してモータロッド29の先端を回転板カム32の第1連結部54に連結する。次に、下方収容部39を形成するガイド40の第2ガイドプレート45の延出部分51にケーシング68の連結板部81を配置し、ケーシング68の連結板部81の螺子孔85と第2ガイドプレート45の延出部分51の螺着孔とにビスを螺着し、第2ガイドプレート45の延出部分51にケーシング68の連結板部81を固定する。
【0057】
図4は、ロック状態を示すロック・アンロック機構16の部分拡大側面図であり、
図5は、アンロック状態を示すロック・アンロック機構16の部分拡大側面図である。
図4,5では、ロック・アンロック機構16を切断面で示す。切替レバー71が上下方向下方へ回転した状態では、
図4に示すように、ケーシング68の中空収納部80に収容されたコイルスプリング72の付勢力によって係入ピン69の前端部86が径方向へ前進し、係入ピン69の前端部86がケーシング68の前端ピン突出孔83から突出してシリンダホルダ67のピン係入孔70に係入し、ピン係入孔70に係入した係入ピン69を介して直動モータ14のモータシリンダ28がガイド40に連結され、モータシリンダ28がガイド40に固定されたロック状態になっている。係入ピン69の前端部86がシリンダホルダ67のピン係入孔70に係入したロック状態では、係入ピン69の前端部86がピン係入孔70に収容されたそれら回転ローラ74の間に位置するとともに、係入ピン69の前端部86の外周面がそれら回転ローラ74の外周面に当接する。
【0058】
図4のロック状態において、切替レバー71を矢印L1で示す時計回り方向又は反時計回り方向へ回転させると、切替レバー71の基端縁がケーシング68の後端開口82に形成された傾斜開口縁84を摺動しつつ、切替レバー71が矢印L2で示す径方向へ次第に後退し、切替レバー71の後退に伴ってケーシング68の中空収納部80において係入ピン69がコイルスプリング72の付勢力に抗して径方向へ次第に後退する。
【0059】
切替レバー71が
図4の状態から上方へ180°回転すると、
図5に示すように、係入ピン69の前端部86がシリンダホルダ67のピン係入孔70から退出し、係入ピン69の前端部86がケーシング68の中空収納部80の前端ピン突出孔83に位置し、係入ピン69による直動モータ14のモータシリンダ28とガイド40との連結が解除され、アンロック状態になる。尚、係入ピン69の前端部86がピン係入孔70から退出するときに、それら回転ローラ74が回転して係入ピン69の前端部86がピン係入孔70からスムースに退出する。
【0060】
切替レバー71を時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方へ回転させてアンロック状態にするときに、シリンダホルダ67に扉13及びアーム12a,12bの荷重が作用すると、その荷重が係入ピン69にかかって係入ピン69に大きな引き抜き抵抗が作用し、係入ピン69をピン係入孔70からスムースに退出させることができず、切替レバー71を相当な力で回転させなければアンロック状態にすることができないが、跳ね上げ式門扉10Aは、ロック状態において係入ピン69の前端部86の外周面がそれら回転ローラ74の外周面に当接し、係入ピン69の前端部86がピン係入孔70から退出するときに、それら回転ローラ74が回転するから、係入ピン69に作用する引き抜き抵抗が回転ローラ74によって軽減され、係入ピン69の前端部86をピン係入孔70からスムースに退出させることができ、ロック状態からアンロック状態に容易に切り替えることができる。
【0061】
図6は、跳ね上げ式門扉10Aにおける直動モータ14を利用した電動操作による扉13の開閉を説明する部分拡大図である。
図6は、扉13が全閉位置にある状態を示す。扉13が全閉位置にある
図6の状態から扉13を開けるには、跳ね上げ式門扉10Aの門柱11a又は門柱11bに取り付けられた操作スイッチの開(ON)ボタンを押し、又は、例えば車に乗りながらリモコンの開(ON)ボタンを押す。尚、電動操作では、開(ON)ボタンを押すと、直動モータ14の制御部が直動モータ14を起動し、直動モータ14のモータロッド29がモータシリンダ28の上端開口から上下方向上方へ上昇してシリンダ28から次第に露出し、モータロッド28が回転板カム32の第1連結部54を上方へ押し上げる。
【0062】
跳ね上げ式門扉10Aでは、モータロッド29によって第1連結部54が上方へ押し上げられることで、回転軸31を中心に回転板カム32が時計回り方向へ回転し、回転板カム32の時計回り方向への回転に伴って回転板カム32の第2連結部55に連結されたチェーン33が回転板カム32の上方カム縁62から下方へ繰り出され、チェーン33が下方へ移動する。チェーン33が上方カム縁62から繰り出されると、軸ロッド34が下方へ次第に移動する。このとき軸ロッド34の上部ロッド64に挿通されて上方当接部材35と下方当接部材36との間に位置するコイルスプリング37の弾性力が作用し、軸ロッド34の下方への移動が助長される。
【0063】
尚、跳ね上げ式門扉10Aの電動操作による開動作では、係入ピン69の前端部86がシリンダホルダ67のピン係入孔70に係入し、係入ピン69を介して直動モータ14のモータシリンダ28がガイド40に連結されているから、ロック・アンロック機構16による直動モータ14のガイド40に対する固定が維持され、電動操作時に直動モータ14が単独で上下方向へ移動することはない。
【0064】
軸ロッド34が下方へ移動すると、コイルスプリング37が上下方向へ伸長し、コイルスプリング37の弾性力が次第に減少する。尚、回転軸31の時計回り方向への回転に伴ってアーム12a,12bが上方へ次第に旋回するとともに、扉13が全閉位置から全開位置に向かって
図1に矢印A1で示す上方へ次第に旋回し、扉13が開く。扉13が全開位置に旋回すると、軸ロッド34の上部ロッド64の上端に形成されたフランジ65が上方当接部材35に当接するとともに、軸ロッド34の上部ロッド64の下端がガイド40の下端に取り付けられた軸ロッド支持プレート48に当接し、軸ロッド34の下方への移動が停止する。尚、跳ね上げ式門扉10Aでは、扉13が全開位置に向かって上方へ旋回中に、操作スイッチ又はリモコンの停止(OFF)ボタンを押すと、直動モータ14が停止し、扉13の旋回が全閉位置と全開位置との間で停止する。再度、開(ON)ボタンを押すことで、扉13が全開位置に向かって上方へ旋回する。
【0065】
扉13が全開位置にあるの状態から扉13を閉めるには、操作スイッチ及びリモコンの閉(ON)ボタンを押す。閉(ON)ボタンを押すと、直動モータ14が起動し、直動モータ14の上昇したモータロッド29が上下方向下方へ下降してモータシリンダ28の上端開口からシリンダ28内部に次第に進入し、コイルスプリング37の弾性力に抗してモータロッド29が回転板カム32の第1連結部54を下方へ押し下げる。尚、跳ね上げ式門扉10Aの電動操作による閉動作では、開動作と同様に、ロック・アンロック機構16による直動モータ14のガイド40に対する固定が維持され、電動操作時に直動モータ14が単独で上下方向へ移動することはない。
【0066】
跳ね上げ式門扉10Aでは、回転板カム32の第1連結部54が下方へ押し下げられることで、回転軸31を中心に回転板カム32が反時計回り方向へ回転し、回転板カム32の反時計回り方向への回転に伴って回転板カム32の第2連結部55に連結されたチェーン33が回転板カム32の上方カム縁62に向かって上方へ移動し、チェーン33が回転板カム32の上方カム縁62に巻き取られる。チェーン33が上方カム縁62に巻き取られることで、軸ロッド34が上方へ次第に移動する。
【0067】
跳ね上げ式門扉10Aでは、軸ロッド34が上方へ移動すると、上方当接部材35と下方当接部材36との離間寸法が次第に縮小し、上方当接部材35と下方当接部材36との間に位置するコイルスプリング37が上下方向へ収縮し、コイルスプリング37の弾性力が次第に増加する。回転軸31の反時計回り方向への回転に伴ってアーム12a,12bが下方へ次第に旋回するとともに、扉13が全開位置から全閉位置に向かって矢印A2で示す下方へ次第に旋回し、扉13が閉まる。
【0068】
扉13が全閉位置に旋回すると、直動モータ14の稼働が停止し、軸ロッド34の下方への移動が停止する。扉13が全閉位置に旋回すると、コイルスプリング37の弾性力が最大になるとともに、アーム12a,12bの先端部27に作用する上方への旋回力が最大になる。尚、跳ね上げ式門扉10Aでは、扉13が全閉位置に向かって下方へ旋回中に、操作スイッチ又はリモコンの停止(OFF)ボタンを押すと、直動モータ14が停止し、扉13の旋回が全閉位置と全開位置との間で停止する。再度、閉(ON)ボタンを押すことで、扉13が全閉位置に向かって下方へ旋回する。
【0069】
図7及び
図8は、跳ね上げ式門扉10Aにおける手動操作による扉13の開閉を説明する図である。
図7は、電動操作で扉13を全開にした状態から手動操作で扉13を全閉にしている状態を示し、
図8は、電動操作で扉13を全閉にした状態から手動操作で扉13を全開にしている状態を示す。跳ね上げ式門扉10Aでは、電動操作によって扉13を開閉する
図6の状態において、停電や電動モータの故障、電気系統の故障等の発生によって電動モータ14が稼働しない場合、電動操作から手動操作に切り替える。
【0070】
電動操作から手動操作に切り替えるには、既述のように、切替レバー71を
図4の状態から上下方向上方へ180°回転させて
図5の状態とし、係入ピン69の前端部86をシリンダホルダ67のピン係入孔70から退出させ、直動モータ14のモータシリンダ28とガイド40の連結を解除し、アンロック状態する。アンロック状態にした後、アーム12a,12b又は扉13を把持し、手動でアーム12a,12b又は扉13を上方へ向かって旋回させる。
【0071】
手動でアーム12a,12b又は扉13を上方へ旋回させると、上部軸受49及び下部軸受50に挿通された直動モータ14のモータシリンダ28が上部軸受49及び下部軸受50を摺動しつつ、直動モータ14(モータロッド29、モータシリンダ28)、シリンダホルダ67、プレート73が一体となって上下方向上方へ次第に移動する。尚、跳ね上げ式門扉10Aでは、扉13の全閉位置においてコイルスプリング37の弾性力が最大になっているとともに、アーム12a,12bの先端部27に作用する上方への旋回力が最大になっているから、アーム12a,12b及び扉13の重量がバランサー機構15のコイルスプリング37の弾性力によって軽減され、わずかな力で扉13が上方へ旋回する(後記する跳ね上げ式門扉10Bも同様)。
【0072】
手動でアーム12a,12bや扉13を上方へ旋回させて直動モータ14(モータロッド29、モータシリンダ28、シリンダホルダ67、プレート73)が上方へ次第に移動すると、直動モータ14のモータロッド29が回転板カム32の第1連結部54を上方へ押し上げ、回転軸31を中心に回転板カム32が時計回り方向へ回転し、回転板カム32の時計回り方向への回転に伴ってチェーン33が回転板カム32の上方カム縁62から下方へ繰り出され、コイルスプリング37の弾性力が作用しつつ軸ロッド34が下方へ次第に移動する。扉13を全閉位置から全開位置に向かって上方へ次第に旋回させ、扉13を開ける。
【0073】
全開位置にある扉13を手動で閉めるには、アーム12a,12bや扉13を把持し、手動でアーム12a,12bや扉13を上下方向下方へ旋回させる。アーム12a,12bや扉13を下方へ旋回させると、直動モータ14のモータシリンダ28が上部軸受49及び下部軸受50を摺動しつつ、直動モータ14(モータロッド29、モータシリンダ28、シリンダホルダ67、プレート73)が下方へ次第に移動し、回転軸31を中心に回転板カム32が反時計回り方向へ回転し、チェーン33が回転板カム32の上方カム縁62に巻き取られるとともに、軸ロッド34が上方へ次第に移動する。扉13を全開位置から全閉位置まで旋回させて扉13を閉める。
【0074】
手動操作では、直動モータ14の稼働が停止した状態において扉13が全開位置と全閉位置とへ旋回した場合、直動モータ14のモータシリンダ28が上部軸受49及び下部軸受50において上下方向へ摺動するとともに、直動モータ14のモータシリンダ28及びモータロッド29、シリンダホルダ67、プレート73が上下方向へ上下動する。扉13を全閉位置に位置させると、上方当接部材45と下方当接部材36との間に位置するコイルスプリング37が上下方向へ収縮し、コイルスプリング37の弾性力が最大に増加する。尚、扉13を手動で全閉位置に位置させたときに、アーム12a,12b及び扉13の重量にコイルスプリング37の弾性力が勝って扉13が自動的に上方へ旋回しないように、コイルスプリング37の弾性力が調節されている。
【0075】
ロック・アンロック機構16では、係入ピン69の前端部86がピン係入孔70から退出したアンロック状態において、切替レバーを時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか他方へ旋回させて前記付勢手段の付勢力を復帰させた後、手動操作によって扉13を全開位置から全閉位置へ旋回させたときに、係入ピン69の前端部86がプレート73の表面に当接した状態で前端部86がプレート73の表面を摺動しつつ、係入ピン69の前端部86がシリンダホルダ67に穿孔されたピン係入孔70に位置すると、コイルスプリン72の付勢力によって係入ピン69の前端部86が前進してピン係入孔70に係入するとともに、切替レバー71が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれかに回転(旋回)しつつ径方向へ前進して
図4に示すロック状態になる。
【0076】
図9は、他の一例として示す跳ね上げ式門扉10Bの斜視図であり、扉13の開閉を直動モータ14によって行う電動操作を示す。
図9では、上下方向を矢印X、幅方向を矢印Yで示し、前後方向を矢印Zで示す。
図10は、バランサー機構15及び直動モータ14の他の一例を示す側面図である。
図11は、直動モータ14、締結ホルダ92、カムレバー93の斜視図である。
図11では、ケーシング95や係入ピン96の図示を省略している。
図12は、ロック・アンロック機構16の他の一例を示す拡大断面図である。
図12では、係入ピン96のピン本体107の前端部109がプレート99のピン係入孔94に係入したロック状態を示す。
【0077】
跳ね上げ式門扉10Bは、一対の第1及び第2門柱11a,11bと、一対の第1及び第2アーム12a,12b及び扉13と、直動モータ14と、バランサー機構15及びロック・アンロック機構16とを有する。第1及び第2門柱11a,11bや第1及び第2アーム12a,12b、扉13、直動モータ14、バランサー機構15は、
図1に示す跳ね上げ式門扉10Aのそれらと同一であるから、
図1と同様の符号を付すとともに
図1の跳ね上げ式門扉10Aの説明を援用することで、跳ね上げ式門扉10Bにおける第1及び第2門柱11a,11bや第1及び第2アーム12a,12b、扉13、直動モータ14、バランサー機構15の説明は省略する。
【0078】
ロック・アンロック機構16は、締結ホルダ92及びカムレバー93と、ピン係入孔94及びケーシング95と、係入ピン96及びコイルスプリング97(付勢手段)と、一対のモータ固定部材98a,98b及びプレート99とから形成されている。締結ホルダ92は、スチールやステンレス、チタン等の金属又は合成樹脂から作られ、略四角柱状に成形されている。締結ホルダ92の中央には、挿通孔100が穿孔されている。締結ホルダ92の挿通孔100には、直動モータ14のモータシリンダ28が挿通される。
【0079】
締結ホルダ92は、直動モータ14のモータシリンダ28の長さ方向中央に配置されている。締結ホルダ92は、直動モータ14のモータシリンダ28の外周面を囲繞してモータシリンダ28を締め付けて支持するとともに、モータシリンダ28の外周面に対する締め付けを解除して直動モータ14の上下方向への移動を可能にする。締結ホルダ92は、ガイド40の第1ガイドプレート44に固定されることで、第1門柱11aの正面壁17に固定される。
【0080】
カムレバー93は、スチールやステンレス、チタン等の金属から作られ、レバー部101とボルト部102とを有する。カムレバー93は、締結ホルダ92の一側壁に設置され、そのレバー部101がピン(図示せず)を介してボルト部102の頂部に旋回可能に連結されているとともに、そのボルト部102が締結ホルダ92の側壁に螺着されている。カムレバー93は、レバー部101がピンを中心に時計周り方向又は反時計周り方向へ旋回する。カムレバー93のレバー部101が時計周り方向又は反時計周り方向のいずれか一方へ旋回することで、締結ホルダ92に締結力が付与され、レバー部101が時計周り方向又は反時計周り方向のいずれか他方へ旋回することで、締結ホルダ92の締結力が解除される。
【0081】
ピン係入孔94は、第1門扉11aの上端部22における内側壁20に対向するプレート99の上下方向中央に穿孔され、径方向へ延びている。ケーシング95は、スチールやステンレス、チタン等の金属又は合成樹脂から作られ、第1門扉11aの上端部22における内側壁20に位置し、第1門柱11aの開口25から門柱11aの外側に露出している。ケーシング95は、その前端部がガイド40の第2ガイドプレート45に固定されている。
【0082】
ケーシング95には、その後端に後端開口103が形成され、その前端に前端ピン突出孔104が形成され、後端開口103と前端ピン突出孔104との間に幅方向内方へ延びる中空収納部105が形成されている。前端ピン突出孔104は、第2ガイドプレート45の挿通孔52に連通している。
【0083】
係入ピン96は、スチールやステンレス、チタン等の金属又は合成樹脂から作られ、ツマミ106とピン本体107とを有する。係入ピン96のピン本体107には、径方向へ張り出すフランジ108が形成されている。係入ピン96は、ピン本体107の前端部109がプレート99に穿孔されたピン係入孔94に向かって幅方向外方へ前進し又は幅方向内方へ後退する。尚、係入ピン96のピン本体107の前端部109が幅方向外方へ前進し、前端部109がプレート99のピン係入孔94に係入した状態では、係入ピン96のフランジ108がプレート99の外面に当接し、前端部109のそれ以上の前進が阻止される。
【0084】
コイルスプリング97は、ケーシング95の中空収納部105に収容されている。コイルスプリング97には、圧縮コイルばねが使用されている。コイルスプリング97には、係入ピン96のピン本体107が挿通されている。コイルスプリング97は、その前端が係入ピン96のピン本体107のフランジ108に当接し、その後端がケーシング95の後端開口103に当接している。コイルスプリング97は、ケーシング95の中空収納部105において係入ピン96のピン本体107の前端部109を径方向へ前進させるように付勢する。
【0085】
それらモータ固定部材98a,98bは、スチールやステンレス、チタン等の金属から作られ、リング状に成形されている。一方のモータ固定部材98aは、直動モータ14のモータシリンダ28の上部に配置・固定され、他方のモータ固定部材98bは、直動モータ14のモータシリンダ28の下部に配置・固定されている。それらモータ固定部材98a,98bのプレートに対向する部位には、2つの螺着孔が穿孔されている。それら螺着孔には、雌螺子が形成されている。
【0086】
プレート99は、スチールやステンレス、チタン等の金属から作られ、直動モータ14のモータシリンダ28の外周面に平行して上下方向へ延びている。プレート99の両端部には、2つの螺子孔110が穿孔され、プレート99の中央部には、ピン係入孔94が穿孔されている。プレート99は、その両端部に穿孔された螺子孔110にビスが挿通されるとともに、そのビスがモータ固定部材98a,98bに穿孔された螺着孔に螺着されることで、それらモータ固定部材98a,98bに固定されている。
【0087】
ロック・アンロック機構16では、直動モータ14とモータ固定部材98a,98bとプレート99とが一体に連結されている。尚、ロック・アンロック機構16では、
図12に示すように、カムレバー93のレバー部101が時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方へ旋回してロック状態になったときに、カムレバー93のレバー部101が係入ピン96のツマミ106の直上に位置するように、締結ホルダ92に対するカムレバー93のレバー部101と係入ピン96(プレート99に形成されたピン係入孔94)との配置が調節されている。
【0088】
図13は、ロック・アンロック機構16の操作手順の一例を説明する拡大断面図であり、
図14は、係入ピン96が係入孔94に位置しない状態を示す図である。
【0089】
図12に示すロック状態では、係入ピン96がコイルスプリング97の付勢力によって径方向へ前進してピン本体107の前端部109がプレート99のピン係入孔94に係入し、カムレバー93のレバー部101が締結位置まで旋回してレバー部101が係入ピン96のツマミ106の直上に位置している。
【0090】
ロック状態では、ピン本体107の前端部109がピン係入孔94に係入し、締結ホルダ92が直動モータ14のモータシリンダ28の外周面を締め付け保持することで、直動モータ14(モータ固定部材98a,98b、プレート99)が締結ホルダ92に連結され、直動モータ14のモータシリンダ28(モータ固定部材98a,98b、プレート99)がガイド40に固定される。
【0091】
図12のロック状態からアンロック状態にする手順に一例は、以下のとおりである。
図12に矢印M1で示すようにカムレバー93のレバー部101を係入ピン96のツマミ106から離間する方向(時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか一方)に旋回させる。カムレバー93のレバー部101を旋回させると、締結ホルダ92の締結力が解除され、締結ホルダ92によるモータシリンダ28の外周面に対する締め付けが解除される。
【0092】
次に、係入ピン96のツマミ106を把持して
図13に矢印M2で示すようにツマミ106を幅方向内方へ引っ張り、コイルスプリング97の付勢力に抗して係入ピン96のピン本体107の前端部109を幅方向内方へ後退させ、前端部109をピン係入孔94から退出させる。前端部109をピン係入孔94から退出させた状態で、係入ピン96のツマミ106を
図13に矢印M3で示すように回す。ツマミ106を回すと、コイルスプリング97の付勢力が作用してるにもかかわらず、係入ピン96のピン本体107の前端部109がピン係入孔94から退出した状態が維持される。締結ホルダ92によるモータシリンダ28の締め付けが解除され、ピン本体107の前端部109がピン係入孔94から退出することで、直動モータ14のモータシリンダ28(モータ固定部材98a,98b、プレート99)のガイド40への固定が解除され、アンロック状態になる。
【0093】
アンロック状態から再びロック状態にする手順の一例は、以下のとおりである。ピン本体107の前端部109をピン係入孔94から退出させた状態で係入ピン96のツマミ106を回した方向とは逆方向へツマミ106を回す。ツマミ106を逆方向へ回すと、コイルスプリング97の付勢力によって、係入ピン96のピン本体107が径方向へ前進し、ピン本体107の前端部109がプレート99のピン係入孔94に再び係入する。
【0094】
次に、
図14に矢印M4に示すようにカムレバー93のレバー部101を係入ピン96のツマミ106に向かう方向(時計回り方向と反時計回り方向とのいずれか他方)に旋回させる。レバー部101がツマミ106に向かって旋回し、
図14に二点鎖線で示すように、レバー部101が締結位置まで旋回してツマミ106の直上に位置すると、締結ホルダ92が直動モータ14のモータシリンダ28の外周面を締め付け保持し、直動モ14のモータシリンダ28(モータ固定部材98a,98b、プレート99)が締結ホルダ92に連結されてロック状態になる。尚、
図14では、係入ピン96が係入孔94に位置しておらず、レバー部101の旋回がツマミ106によって阻止されているから、レバー部101を締結位置まで旋回させることができず、ロック状態にすることができない。
【0095】
図15は、跳ね上げ式門扉10Bにおける直動モータ14を利用した電動操作による門扉の開閉を説明する図である。
図15は、扉13が全閉位置にある状態を示す。扉13が全閉位置にある
図15の状態から扉13を開けるには、跳ね上げ式門扉10Bの門柱11a又は門柱11bに取り付けられた操作スイッチ又はリモコンの開(ON)ボタンを押す。尚、電動操作では、開(ON)ボタンを押すと、直動モータ14が起動し、直動モータ14のモータロッド29がモータシリンダ28の上端開口から上下方向上方へ上昇してシリンダ28から次第に露出し、モータロッド29が回転板カム32の第1連結部54を上方へ押し上げる。尚、電動操作による跳ね上げ式門扉10Bの開動作における回転板カム32、チェーン33、コイルスプリング37、軸ロッド34の動きは、跳ね上げ式門扉10Aのそれらと同一である。
【0096】
尚、跳ね上げ式門扉10Bの電動操作による開動作では、係入ピン96のピン本体107の前端部109が締結ホルダ92及びプレート99のピン係入孔94に係入し、締結ホルダ92が直動モータ14のモータシリンダ28の外周面を締め付け保持し、係入ピン96及び締結ホルダ92を介して直動モータ14のモータシリンダ28がガイド40に連結されているから、直動モータ14のガイド40に対する固定が維持され、電動操作時に直動モータ14(モータ固定部材98a,98b、プレート99)が上下方向へ移動することはない。開動作では、アーム12a,12bが上方へ次第に旋回するとともに、扉13が全閉位置から全開位置に向かって矢印A1で示す上方へ次第に旋回し、扉13が開く。扉13が全閉位置にある状態から扉13を閉める電動操作は、跳ね上げ式門扉10Aのそれと同一である。
【0097】
図16及び
図17は、跳ね上げ式門扉10Bにおける手動操作による扉13の開閉を説明する図である。
図16は、電動操作で扉13を全開にした状態から手動操作で扉13を全閉にしている状態を示し、
図17は、電動操作で扉13を全閉にした状態から手動操作で扉13を全開にしている状態を示す。跳ね上げ式門扉10Bでは、電動操作によって扉13を開閉する
図15の状態において、停電や電動モータの故障、電気系統の故障等の発生によって電動モータ14が稼働しない場合、電動操作から手動操作に切り替える。
【0098】
電動操作から手動操作に切り替えるには、既述のように、カムレバー93のレバー部101を
図12の状態から180°旋回させて
図13の状態とし、締結ホルダ92の締結力を解除して締結ホルダ92によるモータシリンダ28の外周面に対する締め付けを解除する。次に、係入ピン96のツマミ106を幅方向内方へ引っ張り、係入ピン96のピン本体107の前端部109を幅方向内方へ後退させて前端部109をピン係入孔94から退出させ、係入ピン96のツマミ106を回し、ピン本体107の前端部109がピン係入孔94から退出した状態を維持し、アンロック状態する。アンロック状態にした後、アーム12a,12b又は扉13を把持し、手動でアーム12a,12b又は扉13を上方へ向かって旋回させる。
【0099】
手動でアーム12a,12b又は扉13を上方へ旋回させると、締結ホルダ92の挿通孔100に挿通された直動モータ14のモータシリンダ28が締結ホルダ92を摺動しつつ、直動モータ14(モータロッド29、モータシリンダ28)、モータ固定部材98a,98b、プレート99が一体となって上下方向上方へ次第に移動する。扉13を全閉位置から全開位置に向かって上方へ次第に旋回させ、扉13を開ける。尚、手動操作による跳ね上げ式門扉10Bの開動作における回転板カム32、チェーン33、コイルスプリング37、軸ロッド34の動きは、跳ね上げ式門扉10Aのそれらと同一である。
【0100】
全開位置にある扉13を手動で閉めるには、アーム12a,12b又は扉13を把持し、手動でアーム12a,12b又は扉13を上下方向下方へ旋回させる。アーム12a,12b又は扉13を下方へ旋回させると、直動モータ14のモータシリンダ28が締結ホルダ92を摺動しつつ、直動モータ14(モータロッド29、モータシリンダ28、モータ固定部材98a,98b、プレート99)が下方へ次第に移動し、回転軸31を中心に回転板カム32が反時計回り方向へ回転し、チェーン44が回転板カム32の上方カム縁62に巻き取られるとともに、軸ロッド34が上方へ次第に移動する。扉13を全開位置から全閉位置まで旋回させて扉13を閉める。
【0101】
手動操作では、直動モータ14の稼働が停止した状態において扉13が全開位置と全閉位置とへ旋回した場合、直動モータ14のモータシリンダ28が締結ホルダ92において上下方向へ摺動するとともに、直動モータ14のモータシリンダ28及びモータロッド29、モータ固定部材98a,98b、プレート99が上下方向へ上下動する。扉13を全閉位置に位置させると、上方当接部材35と下方当接部材36との間に位置するコイルスプリング37が上下方向へ収縮し、コイルスプリング37の弾性力が最大に増加する。
【0102】
ロック・アンロック機構16では、係入ピン96のピン本体107の前端部109がピン係入孔94から退出したアンロック状態において、係入ピン96のツマミ106を逆方向へ回した後、手動操作によって扉13を全開位置から全閉位置へ旋回させたときに、ピン本体107の前端部109が締結ホルダ92の側壁及びプレート99の上下方向中央に穿孔されたピン係入孔94に位置すると、コイルスプリン97の付勢力によってピン本体107の前端部109が前進してピン係入孔94に係入する。ピン本体107の前端部109がピン係入孔94に係入した後、カムレバー93のレバー部101を係入ピン96のツマミ106に向かって旋回させ、レバー部101をツマミ106の上に当接させ、締結ホルダ92によって直動モータ14のモータシリンダ28の外周面を締め付け保持し、ロック状態にすることができる。
【0103】
跳ね上げ式門扉10Bでは、手動操作によって扉13を全開位置から全閉位置へ旋回させる過程において、係入ピン96のピン本体107の前端部109がプレート99の表面に当接した状態で前端部109がプレート99を摺動するが、その場合、係入ピン96のツマミ106がケーシング95から幅方向内方へ突出している。ツマミ106がケーシング95から突出した状態でカムレバー93のレバー部101を係入ピン96のツマミ106に向かって旋回させたときに、レバー部101が突出したツマミ106に当接してレバー部101を締結位置まで旋回させることができず、締結ホルダ92が直動モータ14のモータシリンダ28の外周面を締め付け保持することはなく、ロック状態にすることができない。
【0104】
跳ね上げ式門扉10A及び跳ね上げ式門扉10Bは、ロック状態からガイド40に対する直動モータ14の固定を解除することができるから、停電や直動モータの故障、電気系統の故障等の発生によって直動モータ14が稼働しない場合であっても、手動によって扉13を確実に開閉することができ、直動モータ14の非稼働時であっても跳ね上げ式門扉10A,10Bとしての機能を失うことはなく、跳ね上げ式門扉10A,10Bを利用可能にすることができる。跳ね上げ式門扉10A及び跳ね上げ式門扉10Bは、それが車庫に設置された場合、直動モータ14の非稼働時であっても手動で扉13の開閉を行って車の出庫や入庫を行うことができる。
【0105】
跳ね上げ式門扉10A及び跳ね上げ式門扉10Bは、直動モータ14のモータロッド29の直進動作による駆動力を利用してアーム12a,12bを旋回させることで扉13を開閉するから、直動モータ14の直進動作を利用して手間を要せず自動で扉13を開閉することができる。モータ軸が回転するモータを利用する場合、第1門柱12aの内部に減速機構を設置する必要があり、構造が複雑化し、故障の要因が増えるとともに、跳ね上げ式門扉10A,10Bを廉価に設置することができないが、跳ね上げ式門扉10A及び跳ね上げ式門扉10Bは、直動モータ14の直進動作を利用することで減速機構を利用することなく扉13を開閉することができ、門柱11a,11bの内部に減速機構を設置する必要はなく、構造を簡素化することができ、故障の要因を少なくすることができるとともに、その設置コストを下げることができる。
【0106】
跳ね上げ式門扉10A及び跳ね上げ式門扉10Bは、コイルスプリング72,97の付勢力を利用して係入ピン69,96の前端部86,109をピン係入孔70,94に自動的に係入させることができ、アンロック状態から手動で直動モータ14をガイド40に固定する場合と比較し、時間と手間とを要せず直動モータ14を容易にガイド40に固定したロック状態することができる。
【0107】
跳ね上げ式門扉10A及び跳ね上げ式門扉10Bは、扉13を手動操作によって全開位置と全閉位置とへ旋回させる過程において、係入ピン69,96の前端部86,109がピン係入孔70,94に位置しなければ、係入ピン69,96の前端部86,109がピン係入孔70,94に係入することはないから、あらかじめ設定したロック位置以外の位置において直動モータ14のモータシリンダ28がガイド40に固定されることはなく、あらかじめ設定されたロック位置において直動モータ14のモータシリンダ28をガイド40に固定するロック状態にすることができる。
【符号の説明】
【0108】
10A 跳ね上げ式門扉
10B 跳ね上げ式門扉
11a 第1門柱
11b 第2門柱
12a 第1アーム
12b 第2アーム
13 扉
14 直動モータ
15 バランサー機構
16 ロック・アンロック機構
17 正面壁
18 後面壁
19 頂壁
20 内側壁
21 外側壁
22 上端部
23 下端部
24 内部収容スペース
25 開口
26 基端部
27 先端部
28 モータシリンダ
29 モータロッド
30 ハウジング
31 回転軸
32 回転板カム
33 チェーン
34 軸ロッド
35 上方当接部材
36 下方当接部材
37 コイルスプリング
38 上方収容部
39 下方収容部
40 ガイド
41 回転軸第1支持プレート
42 回転軸第2支持プレート
43 延出部分
44 第1ガイドプレート
45 第2ガイドプレート
46 第3ガイドプレート
47 連結ピン
48 軸ロッド支持プレート
49 上部軸受け
50 下部軸受け
51 延出部分
52 挿通孔
53 挿通孔
54 第1連結部
55 第2連結部
56 連結ピン
57 先端部
58 一端部
59 中間部
60 他端部
61 連結ピン
62 上方カム縁
63 下部ロッド
64 上部ロッド
65 フランジ
66 挿通孔
67 シリンダホルダ
68 ケーシング
69 係入ピン
70 ピン係入孔
71 切替レバー
72 コイルスプリング
73 プレート
74 回転ローラ
75 挿通開口
76 ビス
77 軸孔
78 螺着孔
79 螺着孔
80 中空収納部
81 連結板部
82 後端開口
83 前端ピン突出孔
84 傾斜開口縁
85 螺子孔
86 前端部
87 フランジ
88 螺子孔
89 軸
90 蓋金具
91 ビス
92 締結ホルダ
93 カムレバー
94 ピン係入孔
95 ケーシング
96 係入ピン
97 コイルスプリング
98a,b モータ固定部材
99 プレート
100 挿通孔
101 レバー部
102 ボルト部
103 後端開口
104 前端ピン突出孔
105 中空収納部
106 ツマミ
107 ピン本体
108 フランジ
109 前端部
110 螺子孔