(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033481
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】配管更新方法及び配管構造
(51)【国際特許分類】
F16L 1/00 20060101AFI20240306BHJP
E03C 1/02 20060101ALI20240306BHJP
【FI】
F16L1/00 T
E03C1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137077
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中上 祐希
【テーマコード(参考)】
2D060
【Fターム(参考)】
2D060AA01
2D060AA10
2D060AB03
2D060AC01
2D060AC05
(57)【要約】
【課題】本発明は、既設の配管を、可撓性を有する配管に更新する作業の容易化を目的とする。
【解決手段】先端に設けられた内側案内磁石22及び既設管42に挿入される内側保持磁石28を有する内側リード線20と、先端に外側案内磁石12が設けられた外側リード線10とを準備する準備工程と、既設管42に挿入した内側案内磁石22に外側案内磁石12を既設管42を介して吸引させた状態で、内側リード線20を既設管42の一端側から他端側まで移動させ、外側リード線10を内側リード線20に追従させて既設管42の一端側から他端側まで沿わせる移動工程と、外側保持磁石18が設けられた更新管44が後端に接続された外側リード線10の先端を引っ張り、更新管44を既設管42に沿わせると共に、内側保持磁石28に既設管42を介して外側保持磁石18を吸引させて更新管44を既設管42に保持させる保持工程と、を備える、配管更新方法。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管に対する挿通方向の先端に設けられた内側案内吸引体及び前記既設管に挿入される内側保持吸引体を有する内側リード線と、挿通方向の先端に前記内側案内吸引体と磁力で吸引する外側案内吸引体が設けられた外側リード線とを準備する準備工程と、
前記既設管の一端側に挿入した前記内側案内吸引体に前記外側案内吸引体を前記既設管を介して吸引させた状態で、前記内側リード線を前記既設管の一端側から他端側まで移動させ、前記外側リード線を前記内側リード線に追従させて前記既設管の一端側から他端側まで沿わせる移動工程と、
前記内側保持吸引体と磁力で吸引する外側保持吸引体が更新管に設けられ、前記更新管が前記外側リード線の後端に接続された状態で、前記外側リード線の前記先端を引っ張り、前記更新管を前記既設管に沿わせると共に、前記内側保持吸引体に前記既設管を介して前記外側保持吸引体を吸引させて前記更新管を前記既設管に保持させる保持工程と、
を備える、配管更新方法。
【請求項2】
前記移動工程では、前記内側保持吸引体を、前記既設管に挿入された状態で、前記既設管を保持する保持部材と径方向に重なる位置に配置する、
請求項1に記載の、配管更新方法。
【請求項3】
前記保持部材との当接した場合に前記保持部材の乗越えを促進する保持部材乗越え部を有している前記外側リード線を用いる、
請求項2に記載の、配管更新方法。
【請求項4】
前記外側保持吸引体は、前記更新管の外周を周方向に覆うように設けられている、
請求項1に記載の、配管更新方法。
【請求項5】
既設管と、
前記既設管の内部に配置された内側保持吸引体と、
前記既設管の外側で前記既設管に沿った状態で、前記既設管を介して前記内側保持吸引体と磁力で吸引する外側保持吸引体によって保持された更新管と、
を備える、配管構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管更新方法及び配管構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、壁面等に固着された支持具に支持された既設の配管に可撓性を有する新しい配管を隣接状態に設け、上記既設の配管と上記新しい配管とを結束手段を用いて一体に固定し、上記既設の配管から上記新しい配管による給水に切り替えることを特徴とする住戸内配管の更新方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の方法では、配管の更新時に壁を壊して施工する場合がある。また、建物によってその構造上、施工者が入れない場合や、作業がしづらい場合がある。
【0005】
本発明は、既設の配管を、可撓性を有する配管に更新する作業の容易化を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の配管更新方法は、既設管に対する挿通方向の先端に設けられた内側案内吸引体及び前記既設管に挿入される内側保持吸引体を有する内側リード線と、挿通方向の先端に前記内側案内吸引体と磁力で吸引する外側案内吸引体が設けられた外側リード線とを準備する準備工程と、前記既設管の一端側に挿入した前記内側案内吸引体に前記外側案内吸引体を前記既設管を介して吸引させた状態で、前記内側リード線を前記既設管の一端側から他端側まで移動させ、前記外側リード線を前記内側リード線に追従させて前記既設管の一端側から他端側まで沿わせる移動工程と、前記内側保持吸引体と磁力で吸引する外側保持吸引体が設けられた更新管が後端に接続された前記外側リード線の前記先端を引っ張り、前記更新管を前記既設管に沿わせると共に、前記内側保持吸引体に前記既設管を介して前記外側保持吸引体を吸引させて前記更新管を前記既設管に保持させる保持工程と、を備える。
【0007】
この配管更新方法では、内側保持吸引体に磁力で吸引する外側保持吸引体が設けられた更新管を、内側保持吸引体が配置された既設管に沿わせ、外側保持吸引体を内側保持吸引体に既設管を介して吸引させることにより、更新管を既設管に沿って保持させる。これにより、この配管更新方法では、住宅壁裏等施工者が入れない部分などの配管を更新することができる。
【0008】
第二態様の発明は、第一態様の配管更新方法において、前記移動工程では、前記内側保持吸引体を、前記既設管に挿入された状態で、前記既設管を保持する保持部材と径方向に重なる位置に配置する。
【0009】
この配管更新方法では、内側保持吸引体が、既設管の保持部材と重なる位置に設けられている。これにより、この配管更新方法では、既設管の保持能力が高い部分で更新管を保持することができるため、更新管が既設管から外れるおそれが低減される。
【0010】
第三態様の発明は、第二態様に記載の配管更新方法において、前記保持部材との当接した場合に前記保持部材の乗越えを促進する保持部材乗越え部を有している前記外側リード線を用いる。
【0011】
この配管更新方法では、外側リード線が、保持部材の乗越えを促進する保持部材乗越え部を有している。これにより、この配管更新方法では、外側リード線を既設管に沿わせる際に、保持部材乗越え部が既設管の保持部材に当たって挿通方向に向かって保持部材を乗り越えるため、外側リード線を既設管に沿わせやすくなる。
【0012】
第四態様の発明は、第一態様から第三態様のいずれか一態様に記載の配管更新方法において、前記外側保持吸引体は、前記更新管の外周を周方向に覆うように設けられている。
【0013】
この配管更新方法では、外側保持吸引体が、更新管の外周を周方向に覆うように設けられている。これにより、この配管更新方法では、保持工程において内側保持吸引体に対して外側保持吸引体が吸引しやすくなるため、更新管を既設管に保持させやすくなる。
【0014】
第五態様の配管構造は、既設管と、前記既設管の内部に配置された内側保持吸引体と、前記既設管の外側で前記既設管に沿った状態で、前記既設管を介して前記内側保持吸引体と磁力で吸引する外側保持吸引体によって保持された更新管と、を備える。
【0015】
この配管構造では、外側保持吸引体が設けられた更新管が内側保持吸引体に磁力で既設管を介して吸引して保持されている。これにより、この配管構造では、既設管に沿って更新管が保持されるため、住宅壁裏など施工者が入れない部分の配管を更新することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、既設の配管を、可撓性を有する配管に更新する作業の容易化ができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示に係る配管更新方法が用いられる、既設の配管構造を示す図である。
【
図4】
図3に続けて、本開示に係る外側リード線の構造を説明する分解図である。
【
図5】本開示に係る配管更新方法の移動工程を説明する図であり、(A)は、内側リード線を既設管に挿入し、外側リード線を内側リード線と吸引させる図、(B)は、外側リード線の先端の歯車部材が保持具を乗り越える図、(C)は、内側リード線を既設管の一端側から他端側まで挿通させ、外側リード線を内側リード線に追従させて既設管の一端側から他端側まで沿わせる様子を示す図である。
【
図6】本開示に係る接続工程を説明する図であり、外側リード線の後端に更新管を接続する図である。
【
図7】
図6に続けて本開示に係る接続工程を説明する図であり、外側リード線の後端に更新管を接続する分解図である。
【
図8】本開示に係る配管更新方法の保持工程を説明する図であり、(A)は、外側リード線を引っ張って更新管を引き込む図、(B)は、更新管の先端の歯車部材が保持具を乗り越える図、(C)は、更新管を既設管の一端側から他端側まで沿わせ、内側保持磁石と外側保持磁石とが吸引し、更新管が既設管に保持された様子を示す図である。
【
図9】本開示に係る配管構造を説明する図であり、更新管が既設管の外側で既設管に沿って保持される様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は等価な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0019】
なお、以下の説明において、「磁力で吸引する」とは、磁石が他の部材と引き合う状態であることをさしており、磁石が別の他の部材と接触している場合、又は他の部材と接触している場合のいずれの場合も含めるものとする。
【0020】
(構成)
図1は、本開示に係る配管更新方法が適用される配管構造の一例を示す建築物の図である。
【0021】
一例として
図1に示される配管構造では、一端を給湯器92等の機器と接続された管体(以後、既設管42と称す)が、他端を建物の内部に引き込まれてヘッダ32に接続され、ヘッダ32に接続された分岐管34を介して給湯器92から給湯設備に通水する。また既設管42は、
図1に示されるように、洗面所や居室等の人が立ち入る場所ではなく、建物の外壁54と内壁52との間に、保持部材56によって保持されながら配管されている。なお、保持部材56及び既設管42は、人工樹脂等の非磁性材料で形成されている。
【0022】
図2は、本開示に係る内側リード線20の一例である。
図2に示されるように、内側リード線20は、一例として鋼線を筒状に編んで形成された長尺の部材であり、長さが既設管42と同程度、又は既設管42よりも長い。また、内側リード線20は、後述する移動工程において、既設管42の内部に挿通することが可能とされている。すなわち、内側リード線20は、その直径が既設管42の内径よりも小さく、既設管42に押し込むことが可能な程度に長さ方向への弾性と、径方向(長さ方向と交差する方向)への可撓性を有している。また、内側リード線20は、既設管42に対する挿通方向の先端に設けられた内側案内吸引体の一例である内側案内磁石22と、内側保持吸引体の一例である内側保持磁石28とを有する。なお、内側保持磁石28は、内側リード線20に一以上設けられており、内側保持磁石28が二以上設けられる場合には後述する所定の間隔を空けて設けられる。
【0023】
内側案内磁石22は、一例として
図2に示されるように、先端側(
図2における図面右側)に向かって丸められると共に、先端とは反対側に内側リード線20が挿入される挿入穴22Hと、内側リード線20が留められる留め部27Cを有している。また、挿入穴22Hに挿入された内側リード線20は、留め部27Cの外側からピンやねじなどの留め具27Pが挿入されることにより内側案内磁石22と接続される。
【0024】
また内側保持磁石28は、一例として
図2に示されるように、内側リード線20に対して外周を周方向に覆うように設けられている。この内側保持磁石28の形状は、後述する移動工程において既設管42に挿入可能であればどのような形状でもよく、既設管42の形状に合わせて適宜設定される。また、内側保持磁石28は、内側リード線20に対しどのように設けられていてもよいが、一例として接着剤で接着されている。
【0025】
なお、内側案内磁石22及び内側保持磁石28は、磁力を有していればどのような材料でもよいが、一例としてネオジム磁石である。
【0026】
続いて、
図3及び
図4は、本開示に係る外側リード線10の一例である。
図3に示されるように、外側リード線10は、内側リード線20と同様に一例として鋼線を筒状に編んで形成された長尺の部材であり、長さが既設管42と同程度、又は既設管42よりも長い部材である。また、外側リード線10は、後述する移動工程において既設管42に沿うこと及び、後述する保持工程において、更新管44を引き込むことが可能とされている。すなわち、外側リード線10は、径方向(長さ方向と交差する方向)への可撓性と、更新管44を引き込むことが可能な程度に長さ方向への強度を有している。また、外側リード線10は、既設管42に対する挿通方向の先端に設けられた外側案内吸引体の一例である外側案内磁石12と、保持部材56と当接した場合に保持部材56の乗越えを促進する保持部材乗越え部の一例である歯車16とを有する。
【0027】
外側案内磁石12は、一例として
図4に示されるように、外側リード線10又は後述する更新管44が挿入される連通孔12Hと、連通孔12Hに挿入された外側リード線10及び更新管44が留められる留め部17Cと、留め部17Cよりも先端側(
図3及び
図4における図面右側)に軸受部16Hを有している。また、連通孔12Hに挿入された外側リード線10は、留め部17Cの外側からピンやねじなどの留め具17Pが挿入されることにより外側案内磁石12と接続される。
【0028】
なお、この外側案内磁石12は、磁力を有していればどのような材料でもよいが、一例としてネオジム磁石である。
【0029】
歯車16は、一例として
図3及び
図4に示すように一対設けられ、
図4に示すように、軸受部16Hに軸16Aを介して回転可能に接続されている。なお、軸16Aは、どのような部材でもよいが、一例として後述する保持工程において、連通孔12Hに挿入された外側リード線10にくい込むことによって外側リード線10と外側案内磁石12とを接続可能なピンが用いられる。
【0030】
なお、本開示において、更新管44は、可撓性を有する管体であり、
図6及び
図7に示すように、前述の外側案内磁石12と接続可能とされると共に、本開示に係る外側保持吸引体の一例である内側保持磁石28と吸引する外側保持磁石18が設けられている。本実施形態では、外側保持磁石18は、環状の形状とされ、
図6に示すように、更新管44の外周を周方向に一周覆うように設けられている。この外側保持磁石18は、後述する保持工程において、内側保持磁石28に既設管42を介して吸引することで更新管44を既設管42に保持させることができればどのような材料でもよいが、一例としてネオジム磁石である。また、外側保持磁石18は、更新管44に対しどのように設けられていてもよいが、一例として接着剤で接着されている。
【0031】
また、更新管44は、可撓性を有する管体であればどのような材料で形成されていてもよいが、一例として保護材で被覆されたポリブデン管である。
【0032】
続いて、一例として
図1に示すように接続された既設管42を給湯器92及びヘッダ32との接続を外した状態から、本開示に係る配管更新方法により配管を更新する手順を、
図5から
図9を適宜参照しながら説明する。
【0033】
(準備工程)
まず準備工程では、作業者は、
図2から
図4に示された、内側リード線20と、外側リード線10とを既設管42の一端側に準備する。より具体的には、作業者は、既設管42を保持する保持部材56の間隔(
図1も参照)に合わせて、内側保持磁石28を、内側リード線20に取り付ける。
【0034】
(移動工程)
次に、移動工程では、作業者は、
図5(A)に示されるように既設管42の一端側から、内側リード線20の内側案内磁石22がある側を既設管42に挿入すると共に、既設管42の外側から既設管42を介して内側案内磁石22に外側案内磁石12を吸引させる。すなわち、内側案内磁石22及び外側案内磁石12は、既設管42の挿通方向の先端に設けられていた状態で挿入されることで、既設管42を介して吸引する。
【0035】
続いて、作業者は、既設管42の一端側から内側リード線20を既設管42に押し込むことによって、内側リード線20を他端に向かって移動させる。この状態では、内側案内磁石22と吸引した外側案内磁石12が、
図5(B)に示されるように、内側リード線20の移動につれて他端側に向かって移動することにより、外側リード線10が
図1に示される内壁52と外壁54との間に引き込まれる。
【0036】
なお、内側リード線20の移動に伴って外側リード線10が移動し、外側リード線10の先端が既設管42の保持部材56に当接した場合、外側案内磁石12の先端に設けられた歯車16が、
図5(B)に示されるように、回転しながら保持部材56を乗り越える。そして、保持部材56を乗り越えた外側案内磁石12は、内側案内磁石22と既設管42を介して吸引する
【0037】
そして、
図5(C)に示されるように、内側リード線20を既設管42に押し込むことによって、作業者は、内側リード線20を他端に向かって移動させると共に、既設管42に沿って外側リード線10を他端に向かって移動させる。言い換えれば、作業者は、既設管42の一端側に挿入した内側案内磁石22に外側案内磁石12を既設管42を介して吸引させた状態で、内側リード線20を既設管42の一端側から他端側まで移動させ、外側リード線10を内側リード線20に追従させて既設管42の一端側から他端側まで沿わせる。
【0038】
また、この状態では、内側リード線20に取り付けられた内側保持磁石28は、既設管42の保持部材56と径方向に重なる位置に配置される。言い換えれば、作業者は、内側保持磁石28を、既設管42に挿入された状態で、既設管42を保持する保持部材56と径方向に重なる位置に配置する。
【0039】
(接続工程)
続いて、作業者は、
図6及び
図7に示すように、外側リード線10の挿入方向の後端と、更新管44の移動方向の先端とを、外側案内磁石12を用いて接続する。なお、この外側案内磁石12は、既設管42の他端まで沿って移動した外側リード線10の先端に設けられた外側案内磁石12を用いてもよく、また別の外側案内磁石12を用いてもよい。
【0040】
(保持工程)
次に、移動工程では、作業者は、
図8(A)に示されるように既設管42の他端側から外側リード線10を引っ張ることによって、更新管44を内壁52と外壁54との間に引き込む。この状態では、外側リード線10に引っ張られることによって更新管44は、既設管42に沿って引き込まれる。
【0041】
なお、外側リード線10を引っ張ることによって更新管44が移動し、更新管44の先端が既設管42の保持部材56に当接した場合、外側リード線10と同様に外側案内磁石12の先端に設けられた歯車16が、
図8(B)に示されるように、回転しながら保持部材56を乗り越える。
【0042】
そして、
図8(C)に示されるように、外側リード線10を引っ張ることによって、更新管44が既設管42の他端側まで到達した状態では、外側保持磁石18が既設管42を介して内側保持磁石28と吸引される。言い換えれば、作業者は、更新管44を既設管42に沿わせると共に、内側保持磁石28に既設管42を介して外側保持磁石18を磁力により吸引させて更新管44を既設管42に保持させる。
【0043】
その後、作業者は、
図9に示されるように、更新管44の一端と他端とを、それぞれ給湯器92とヘッダ32とに接続する。このような手順により、既設管42の外側で既設管42に沿った状態で、既設管42を介して内側保持磁石28と外側保持磁石18によって保持された更新管44を有する配管構造90ができる。
【0044】
(作用効果)
続いて、本開示に係る配管更新方法及び配管構造90の作用及び効果を説明する。
【0045】
本実施形態における配管更新方法は、既設管42に対する挿通方向の先端に設けられた内側案内磁石22及び既設管42に挿入される内側保持磁石28を有する内側リード線20と、挿通方向の先端に内側案内磁石22と磁力で吸引する外側案内磁石12が設けられた外側リード線10とを準備する準備工程と、既設管42の一端側に挿入した内側案内磁石22に外側案内磁石12を既設管42を介して吸引させた状態で、内側リード線20を既設管42の一端側から他端側まで移動させ、外側リード線10を内側リード線20に追従させて既設管42の一端側から他端側まで沿わせる移動工程と、
内側保持磁石28と磁力で吸引する外側保持磁石18が更新管44に設けられ、更新管44が外側リード線10の後端に接続された状態で、外側リード線10の先端を引っ張り、更新管44を既設管42に沿わせると共に、内側保持磁石28に既設管42を介して外側保持磁石18を吸引させて更新管44を既設管42に保持させる保持工程と、を備える。
【0046】
この配管更新方法では、内側保持磁石28に磁力で吸引する外側保持磁石18が設けられた更新管44を、内側保持磁石28が配置された既設管42に沿わせ、外側保持磁石18を内側保持磁石28に既設管42を介して吸引させることにより、更新管44を既設管42に沿って保持させる。これにより、この配管更新方法では、住宅壁裏等施工者が入れない部分などの配管を更新することができる。
【0047】
また、本実施形態における配管更新方法において、移動工程では、内側保持磁石28を、既設管42に挿入された状態で、既設管42を保持する保持部材56と径方向に重なる位置に配置する。
【0048】
この配管更新方法では、内側保持磁石28が、既設管42の保持部材56と重なる位置に設けられている。これにより、この配管更新方法では、既設管42の保持能力が高い部分で更新管44を保持することができるため、更新管44が既設管42から外れるおそれが低減される。
【0049】
また、本実施形態における配管更新方法において、保持部材56との当接した場合に保持部材56の乗越えを促進する保持部材乗越え部を有している外側リード線10を用いる。
【0050】
この配管更新方法では、外側リード線10が、保持部材56の乗越えを促進する保持部材乗越え部を有している。これにより、この配管更新方法では、外側リード線10を既設管42に沿わせる際に、保持部材乗越え部が既設管42の保持部材56に当たって挿通方向に向かって保持部材56を乗り越えるため、外側リード線10を既設管42に沿わせやすくなる。
【0051】
また、本実施形態における配管更新方法において、外側保持磁石18は、更新管44の外周を周方向に覆うように設けられている。
【0052】
この配管更新方法では、外側保持磁石18が、更新管44の外周を周方向に覆うように設けられている。これにより、この配管更新方法では、保持工程において内側保持磁石28に対して外側保持磁石18が吸引しやすくなるため、更新管44を既設管42に保持させやすくなる。
【0053】
また、本実施形態では、既設管42と、既設管42の内部に配置された内側保持磁石28と、既設管42の外側で既設管42に沿った状態で、既設管42を介して内側保持磁石28と磁力で吸引する外側保持磁石18によって保持された更新管44と、を備える。
【0054】
この配管構造90では、外側保持磁石18が設けられた更新管44が、既設管42を介して内側保持磁石28に磁力で吸引されて保持されている。これにより、この配管構造90では、既設管42に沿って更新管44が保持されるため、容易に住宅壁裏など施工者が入れない部分の配管を更新することができる。
【0055】
(変形例)
続いて、本開示に係る変形例を説明する。
【0056】
上述の説明では、外側案内吸引体としての外側案内磁石12及び内側案内吸引体としての内側案内磁石22は、互いに磁石とされていたが、これに変えて、外側案内磁石12又は内側案内磁石22のいずれか一方が磁石であれば、いずれか他方は鋼等の磁性材料で形成された部材とされていてもよい。つまり、外側案内吸引体と内側案内吸引体の一方が、磁性材料で形成された部材であってもよい。
【0057】
また、上述の説明では、外側保持吸引体としての外側保持磁石18及び内側保持吸引体としての内側保持磁石28は、互いに磁石とされていたが、これに変えて、外側保持磁石18又は内側保持磁石28のいずれか一方が磁石であれば、いずれか他方は鋼等の磁性材料で形成された部材とされていてもよい。また、外側保持磁石18又は内側保持磁石28は、電磁石とされていてもよい。つまり、外側保持吸引体と内側保持吸引体の一方が、磁性材料で形成された部材であってもよい。
【0058】
また、上述の説明では、内側保持磁石28は、既設管42に挿入された状態で保持部材56と径方向に重なっていたが、これに限られない。例えば、外側保持磁石18が内側保持磁石28に吸引された状態で更新管44が既設管42と保持が可能であれば、保持部材56と径方向に重ならない位置とされていてもよい。
【0059】
また、上述の説明では、外側リード線10は、保持部材乗越え部の一例として歯車16を有していたが、これに限られない。例えば、外側リード線10は、内側リード線20に追従させて、既設管42の一端側から他端側まで移動可能であれば、歯車16を有していない構成としてもよい。また、歯車16に限らず、ローラ状の回転体が用いられていてもよい。更に、保持部材乗越え部が設けられない構成であってもよい。
【0060】
(その他の変形例)
また、保持工程において、更新管44の先端側の外側案内磁石12は、内側リード線20に吸着することによって、既設管42に沿って移動してもよい。このような場合においても、更新管44を既設管42に沿わせることができる。
【0061】
また、内側保持磁石28が内側リード線20に複数設けられている場合、それぞれの内側保持磁石28は、それぞれ互いに異なる間隔で内側リード線20に設けられていてもよい。この場合、保持工程において、移動途中の更新管44に設けられた外側保持磁石18のそれぞれが、保持工程の完了後に対応する内側保持磁石28以外の内側保持磁石28のそれぞれと吸着してしまい、更新管44が既設管42に保持されてしまうことを防ぐことができる。言い換えれば、保持工程において、移動途中の更新管44が内側保持磁石28によって移動できなくなるおそれを低減することができる。
【0062】
また、保持工程後において、内側リード線20は、内側保持磁石28のみを残して既設管42の内側から除去されていてもよい。このような場合においても、外側保持磁石18が内側保持磁石28と吸引することで、更新管44を既設管42に沿った状態で保持することができる。
【0063】
また、上述の説明において、更新管44は、外側リード線10の後端に接続され、外側リード線10が引っ張られることにより既設管42に沿わされていたが、これに限らない。例えば、外側リード線10と同様に、更新管44の先端に外側保持磁石18が接続された状態で内側リード線20の挿入と共に更新管44を内側リード線20に追従させることにより、更新管44を既設管42に沿わせてもよい。
【0064】
また、上述の説明において、内側リード線20は、内側保持磁石28を有していたが、これに限られない。例えば、既設管42を保持する保持部材56が鋼等の外側保持磁石18に吸引される材料で形成されていれば、内側保持磁石28を有せず、外側保持磁石18が保持部材56と吸引することにより更新管44を保持してもよい。
【0065】
また、上述の説明において、移動工程では、内側リード線20を用いていたが、これに限られない。例えば、既設管42が鋼等の外側案内磁石12に吸引される材料で形成されていれば、内側案内磁石22を有せず、外側案内磁石12が既設管42と吸引することにより外側リード線10を案内してもよい。またこの場合、外側リード線10を用いず、更新管44の先端に外側保持磁石18が接続された状態で内側リード線20の挿入と共に更新管44を内側リード線20に追従させることにより、更新管44を既設管42に沿わせてもよい。
【0066】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0067】
10 外側リード線、12 外側案内磁石、12H 連通孔、16 歯車、16A 軸、16H 軸受部、17C 留め部、17P 留め具、18 外側保持磁石、20 内側リード線、22 内側案内磁石、22H 挿入穴、27C 留め部、27P 留め具、28 内側保持磁石、32 ヘッダ、34 分岐管、42 既設管、44 更新管、52 内壁、54 外壁、56 保持部材、90 配管構造、92 給湯器