(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033490
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】フェンス
(51)【国際特許分類】
E04H 17/14 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
E04H17/14 102A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137098
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】江田 毅
【テーマコード(参考)】
2E142
【Fターム(参考)】
2E142AA03
2E142EE00
2E142HH03
2E142HH13
2E142HH21
(57)【要約】
【課題】 施工性の良いフェンスの提供。
【解決手段】 柱1a,1b,…と、柱1a,1b,…に架設した横材2,2,…と、カバー材3とを備え、横材2は、長手方向端部に外れ止め部材4を有し、外れ止め部材4は、横材2の長手方向の収縮を許容する状態で柱1aと係合する係合部5を有し、カバー材3は、柱1aに取付けてあり、横材2の長手方向端部が柱1aとカバー材3との間に位置している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱と、柱に架設した横材と、カバー材とを備え、横材は、長手方向端部に外れ止め部材を有し、外れ止め部材は、横材の長手方向の収縮を許容する状態で柱と係合する係合部を有し、カバー材は、柱に取付けてあり、横材の長手方向端部が柱とカバー材との間に位置していることを特徴とするフェンス。
【請求項2】
柱と、柱の見付面に上下方向に間隔をおいて取付けた横材と、カバー材とを備え、横材は、長手方向端部に端部部品を有し、端部部品は、横材の下方又は上方に突出しており、下の横材の端部部品の下端を位置決め部品に突き当て、その上から他の横材を順次重ねることで、端部部品により横材間に間隔を形成してあり、カバー材は、柱に取付けてあり、横材の長手方向端部が柱とカバー材の間に位置していることを特徴とするフェンス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、地面に支柱を間隔をおいて立設し、複数の支柱間に跨って横材を上下方向に間隔をおいて取付けて構成したフェンスが知られている。かかるフェンスにおいては、施工性の向上が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、施工性の良いフェンスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明によるフェンスは、柱と、柱に架設した横材と、カバー材とを備え、横材は、長手方向端部に外れ止め部材を有し、外れ止め部材は、横材の長手方向の収縮を許容する状態で柱と係合する係合部を有し、カバー材は、柱に取付けてあり、横材の長手方向端部が柱とカバー材との間に位置していることを特徴とする。
【0005】
請求項2記載の発明によるフェンスは、柱と、柱の見付面に上下方向に間隔をおいて取付けた横材と、カバー材とを備え、横材は、長手方向端部に端部部品を有し、端部部品は、横材の下方又は上方に突出しており、下の横材の端部部品の下端を位置決め部品に突き当て、その上から他の横材を順次重ねることで、端部部品により横材間に間隔を形成してあり、カバー材は、柱に取付けてあり、横材の長手方向端部が柱とカバー材の間に位置していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の発明によるフェンスは、柱と、柱に架設した横材と、カバー材とを備え、横材は、長手方向端部に外れ止め部材を有し、外れ止め部材は、横材の長手方向の収縮を許容する状態で柱と係合する係合部を有し、カバー材は、柱に取付けてあり、横材の長手方向端部が柱とカバー材との間に位置しているので、外れ止め部材の係合部を柱と係合させることで横材を柱間に容易に取付けでき、施工性が良い。しかも、外れ止め部材の係合部が柱と係合することで、風荷重等で横材が引っ張られても横材の長手方向端部が柱とカバー材の間から抜けるのを防止できる。さらに、外れ止め部材の係合部は、横材の長手方向の収縮を許容する状態で柱と係合していることで、横材が熱で長手方向に収縮しても横材が破損したりすることがない。
【0007】
請求項2記載の発明によるフェンスは、柱と、柱の見付面に上下方向に間隔をおいて取付けた横材と、カバー材とを備え、横材は、長手方向端部に端部部品を有し、端部部品は、横材の下方又は上方に突出しており、下の横材の端部部品の下端を位置決め部品に突き当て、その上から他の横材を順次重ねることで、端部部品により横材間に間隔を形成してあり、カバー材は、柱に取付けてあり、横材の長手方向端部が柱とカバー材の間に位置しているので、横材を順次重ねるだけで横材間に間隔を形成しながら横材を柱の見付面に配置できるので、施工性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】(a)は柱の周辺を拡大して示す正面図であり、(b)はA-A断面図、(c)はB-B断面図である。
【
図2】(a)は本発明のフェンスの一実施形態を示す正面図、(b)は同平面図である。
【
図4】
図1のA-A位置における断面図であって、(a)は初期状態、(b)は横材が伸びた状態、(c)は横材が縮んだ状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1,2は、本発明に係るフェンスの一実施形態を示している。本フェンスは、道路と敷地の境界部に設置されるものであり、地面に間隔をおいて立設した柱1a,1b,…と、柱1a,1b,…間に上下方向に間隔をおいて架設した横材2,2,…と、柱1a,1b,…の道路側の見付面に取付けたカバー材3とで構成されている。横材2は、3本の柱1a,1b,1aに跨って架設されている。
【0010】
支柱1a,1bは、
図1に示すように、アルミニウム合金の押出形材で略矩形断面の中空状に形成してあり、道路側の見付面に凹部8を長手方向に沿って有している。凹部8内には、左右方向の中央側に向けて開口する鉤状の係合部9,9が左右方向に離間して形成してある。さらに、凹部8の底部には左右方向の中央位置に矩形断面の溝10が形成してある。一番下の横材2より下方の凹部8内には、
図2,3に示すように、位置決め部品6が取付けてある。
【0011】
横材2は、樹脂で形成した長い板状の部材であり、
図1(b)に示すように、長手方向の両端部の敷地側の面に、外れ止め部材を兼ねる端部部品4が取付けてある。端部部品4は、アルミニウム合金の押出形材で形成したものであり、横材に取付く取付部11と、取付部11から敷地側に離間して設けてあり、横材2の長手方向の中央側に向けて開口する鉤状に形成された係合部5を有している。
取付部11は、横材2の長手方向の端面に係止する位置決め片11aと、ねじ受け溝11bを有しており、端部部品4は、位置決め片11aを横材2の長手方向の端面に係止して位置決めした状態で取付部11を横材2の敷地側面に当接させ、道路側から横材2に挿通したねじ12をねじ受け溝11bに螺入することで横材2に取付けてある。端部部品4は、
図3に示すように、上下の横材2同士の間の間隔7の長さ分だけ、横材2の下縁より下方に突出している。
端部部品4の係合部5は、
図1(b)に示すように、柱1aの凹部8内に設けた係合部9と互い違いの向きで見込方向に重合するように配置されている。柱1aの係合部9の先端9aと端部部品4の係合部5の底部5bとの間、端部部品4の係合部5の先端5aと柱1aの係合部9の底部9bとの間には、それぞれ5mm程度の隙間13が設けてある。
【0012】
図1に示すように、上下の横材2,2の間の柱1aの道路側の見付面には、スペーサー14が取付けてある。そして、スペーサー14と横材2,2,…に跨るように柱1aの道路側にカバー材3を配置し、道路側からのねじ15でカバー材3とスペーサー14を柱1aに共締めしている。横材2,2,…は、
図1(b)に示すように、長手方向の端部が支柱1aとカバー材3との間に位置し、これにより横材2,2,…の長手方向端部が支柱1aとカバー材3とで挟持されている。
【0013】
横材2,2,…の長手方向の中央部は、
図2に示すように、中間の柱1bの見付面に道路側からのねじ16で固定してある。中間の柱1bの凹部8は、目板17を取付けて塞いである。
【0014】
本フェンスは、先に説明したように、横材2,2,…の長手方向端部に外れ止め部材を兼ねる端部部品4が取付けてあり、端部部品4の係合部5が柱1aの凹部8内に設けた係合部9と互い違いの向きで見込方向に重合するように配置されていることで(
図1(b)参照)、風荷重等により横材2が引っ張られたときに、横材2の端部部品4の係合部5が支柱1aの係合部9と係止することで、横材2の長手方向端部が柱1aとカバー材3との間から抜けるのを防ぐことができる。
また、
図4(a)に示すように、初期状態で柱1aの係合部9の先端9aと端部部品4の係合部5の底部5bとの間、端部部品4の係合部5の先端5aと柱1aの係合部9の底部9bとの間に、それぞれ5mm程度の隙間13が設けてあるので、
図4(b)に示すように、横材2が熱で長手方向に伸びたとき、
図4(c)に示すように、横材2が長手方向に縮んだときに、その伸びや縮みを吸収し、許容することができる。
【0015】
次に、本フェンスの施工手順を説明する。まず、柱1a,1b,1a,…を地面に所定の間隔をあけて立設する。横材2の長手方向端部を支持する柱1aには下部に位置決め部品6を取付け、横材2の長手方向中央部を支持する中間の柱1bには目板17を取付けて凹部8を塞いでおく。
次に、
図3に示すように、予め長手方向両端部に端部部品4を取付けておいた横材2を、端部部品4の係合部5を柱1aの係合部9に係合させて、柱1aの上端から順次挿入する。一番下の横材2は、端部部品4の下端が位置決め部品6に当接して所定の高さに位置決めされ、その上に重ねて配置される2番目以降の横材2は、端部部品4が横材2の下縁より下方に突出していることで、下方に隣接する横材2との間に一定の間隔7が形成される。
次に、柱1aの道路側の見付面の横材2同士の間にスペーサー14を両面テープ等で貼り付ける。
次に、柱1aの道路側にカバー材3をあてがい、ねじ15で固定する。
最後に、横材2,2,…の長手方向中央部を中間の支柱1bにねじ16で固定する。
【0016】
以上に述べたように本フェンスは、柱1a,1b,…と、柱1a,1b,…に架設した横材2,2,…と、カバー材3とを備え、横材2は、長手方向端部に外れ止め部材(端部部品)4を有し、外れ止め部材4は、横材2の長手方向の収縮を許容する状態で柱1aと係合する係合部5を有し、カバー材3は、柱1aに取付けてあり、横材2の長手方向端部が柱1aとカバー材3との間に位置しているので、外れ止め部材4の係合部5を柱1aと係合させることで横材2を柱1a,1b,1a間に容易に取付けでき、施工性が良い。しかも、外れ止め部材4の係合部5が柱1aと係合することで、風荷重等で横材2が引っ張られても横材2の長手方向端部が柱1aとカバー材3の間から抜けるのを防止できる。さらに、外れ止め部材4の係合部5は、横材2の長手方向の収縮を許容する状態で柱1aと係合していることで、横材2が熱で長手方向に収縮しても横材2が破損したりすることがない。
外れ止め部材4は、係合部5が柱1aに対して左右方向に余裕をもって係合しているので、横材2の長手方向の収縮を吸収し、許容することができる。
外れ止め部材4は、ねじ受け溝11bを有し、横材2にねじ受け溝11bに螺入するねじ12で取付けてあるので、外れ止め部材4に雌ねじ孔を形成する必要がなく、且つ上下方向の任意の位置でねじ止めできるため、外れ止め部材4の横材2への取付けが容易である。
【0017】
また本フェンスは、柱1a,1b,…と、柱1a,1b,…の見付面に上下方向に間隔をおいて取付けた横材2,2,…と、カバー材3とを備え、横材2は、長手方向端部に端部部品4を有し、端部部品4は、横材2の下方又は上方に突出しており、下の横材2の端部部品4の下端を位置決め部品6に突き当て、その上から他の横材2,2,…を順次重ねることで、端部部品4により横材2,2間に間隔7を形成してあり、カバー材3は、柱1aに取付けてあり、横材2の長手方向端部が柱1aとカバー材3の間に位置しているので、横材2,2,…を順次重ねるだけで横材2,2間に間隔7を形成しながら横材2,2,…を柱1aの見付面に配置できるので、施工性が良い。
端部部品4は、柱1aの長手方向にスライド可能に係合する係合部5を有するので、係合部5を柱1aと係合させつつ柱1aの上端から順次落とし込むことで横材2を簡単に取付けできるので、施工性が一段と向上する。
【0018】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。柱の断面形状、材質は、適宜変更することができる。横材は、樹脂製のものに限らず、木製、アルミ製等であってもよい。外れ止め部材の材質、断面形状は、適宜変更することができる。端部部品は、柱との係合部を有しないものであってもよい。また端部部品は、横材の上方に突出するものであってもよい。
【符号の説明】
【0019】
1a,1b 柱
2 横材
3 カバー材
4 端部部品(外れ止め部材)
5 係合部
6 位置決め部品
7 間隔