(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024033502
(43)【公開日】2024-03-13
(54)【発明の名称】環境形成装置
(51)【国際特許分類】
G01N 17/00 20060101AFI20240306BHJP
【FI】
G01N17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022137112
(22)【出願日】2022-08-30
(71)【出願人】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100136353
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 建吾
(72)【発明者】
【氏名】久保田 喜士
(72)【発明者】
【氏名】牧野 利明
(72)【発明者】
【氏名】角 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】岡澤 崇司
【テーマコード(参考)】
2G050
【Fターム(参考)】
2G050AA07
2G050EA01
2G050EA02
2G050EA04
(57)【要約】
【課題】計測器を使用することなくノイズの影響箇所を簡易に特定でき、かつ、ノイズの影響レベル等をリアルタイムで評価することが可能な、環境形成装置を得る。
【解決手段】環境形成装置は、制御装置と、ノイズの影響を受け得る少なくとも一つの電気機器と、前記制御装置と通信を行う少なくとも一つの第1通信装置と、を備え、前記第1通信装置は前記電気機器に接続され、前記第1通信装置は、前記制御装置に向けてディジタル信号を送信する第1送信部を有し、前記制御装置は、前記第1送信部が送信したディジタル信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出する第1検出部と、前記第1検出部による検出結果に基づいて、前記電気機器に対するノイズの影響を評価する評価部と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置と、
ノイズの影響を受け得る少なくとも一つの電気機器と、
前記制御装置と通信を行う少なくとも一つの第1通信装置と、
を備え、
前記第1通信装置は前記電気機器に接続され、
前記第1通信装置は、前記制御装置に向けてディジタル信号を送信する第1送信部を有し、
前記制御装置は、
前記第1送信部が送信したディジタル信号を受信する第1受信部と、
前記第1受信部が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出する第1検出部と、
前記第1検出部による検出結果に基づいて、前記電気機器に対するノイズの影響を評価する評価部と、
を有する、環境形成装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つの電気機器は複数の電気機器を含み、
前記少なくとも一つの第1通信装置は複数の第1通信装置を含み、
前記複数の第1通信装置の各々は、前記複数の電気機器の各々に接続され、
前記第1受信部は、前記複数の第1通信装置の各々が有する前記第1送信部が送信したディジタル信号を受信し、
前記第1検出部は、前記複数の第1通信装置の各々に関して、前記第1受信部が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出し、
前記評価部は、前記複数の電気機器の各々に対するノイズの影響を評価する、請求項1に記載の環境形成装置。
【請求項3】
ノイズの影響を受け得る計測機器と、
前記制御装置及び前記計測機器と通信を行う第2通信装置と、
をさらに備え、
前記計測機器は、前記第2通信装置に向けてディジタル信号を送信する第2送信部を有し、
前記第2通信装置は、
前記第2送信部が送信したディジタル信号を受信する第2受信部と、
前記第2受信部が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出する第2検出部と、
前記第2検出部による検出結果を示すデータを前記制御装置に送信する第2送信部と、
を有し、
前記第1受信部はさらに、前記第2送信部が送信したデータを受信し、
前記評価部はさらに、前記第1受信部が受信したデータで示される、前記第2検出部による検出結果に基づいて、前記計測機器に対するノイズの影響を評価する、請求項1に記載の環境形成装置。
【請求項4】
前記評価部による評価結果を示す画像を表示する表示装置をさらに備える、請求項1に記載の環境形成装置。
【請求項5】
前記制御装置は、前記評価部による評価結果を示すデータを記憶する記憶部をさらに有する、請求項1に記載の環境形成装置。
【請求項6】
前記制御装置は制御部をさらに有し、
前記制御部は、前記評価部による評価結果を示すデータを、前記環境形成装置の稼働情報に関連付けて前記記憶部に記憶する、請求項5に記載の環境形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術に係る環境試験用の恒温恒湿装置が、例えば特許文献1に開示されている。当該恒温恒湿装置は、試験室内の環境を調整するための電気機器として、冷凍装置、加熱装置、除湿装置、及び加湿装置を備えている。
【0003】
また、背景技術に係るオシロスコープが、例えば特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-66593号公報
【特許文献2】特許第2817179号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
恒温恒湿装置等の環境形成装置において、出荷前に性能試験を行う場合又は出荷後に故障が発生した場合等には、作業者がオシロスコープ又はノイズデータロガー等の計測器を使用することによって、不具合の原因となり得るノイズの影響箇所を特定する作業を行っている。
【0006】
しかし、これらの計測器を取り扱うには専門知識が必要であるため、使用できる作業者が限定される。従って、オシロスコープ等の計測器を使用することなくノイズの影響箇所を簡易に特定できる手段の実現が望まれる。また、計測器を使用したノイズの影響箇所の特定は事後的な作業であるため、不具合の発生状況の再現が困難な場合もある。そのため、環境形成装置の駆動時にノイズの影響レベル等をリアルタイムで計測できる手段の実現が望まれる。
【0007】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、オシロスコープ等の計測器を使用することなくノイズの影響箇所を簡易に特定でき、かつ、装置駆動時にノイズの影響レベル等をリアルタイムで評価することが可能な、環境形成装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る環境形成装置は、制御装置と、ノイズの影響を受け得る少なくとも一つの電気機器と、前記制御装置と通信を行う少なくとも一つの第1通信装置と、を備え、前記第1通信装置は前記電気機器に接続され、前記第1通信装置は、前記制御装置に向けてディジタル信号を送信する第1送信部を有し、前記制御装置は、前記第1送信部が送信したディジタル信号を受信する第1受信部と、前記第1受信部が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出する第1検出部と、前記第1検出部による検出結果に基づいて、前記電気機器に対するノイズの影響を評価する評価部と、を有する。
【0009】
本態様によれば、第1検出部は、第1受信部が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出し、評価部は、第1検出部による検出結果に基づいて電気機器に対するノイズの影響を評価する。従って、オシロスコープ等の計測器を使用することなくノイズの影響箇所を簡易に特定でき、かつ、装置駆動時にノイズの影響レベル等をリアルタイムで評価することが可能となる。
【0010】
本発明の第2の態様に係る環境形成装置は、第1の態様に係る環境形成装置において、前記少なくとも一つの電気機器は複数の電気機器を含み、前記少なくとも一つの第1通信装置は複数の第1通信装置を含み、前記複数の第1通信装置の各々は、前記複数の電気機器の各々に接続され、前記第1受信部は、前記複数の第1通信装置の各々が有する前記第1送信部が送信したディジタル信号を受信し、前記第1検出部は、前記複数の第1通信装置の各々に関して、前記第1受信部が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出し、前記評価部は、前記複数の電気機器の各々に対するノイズの影響を評価する。
【0011】
本態様によれば、第1検出部は、複数の第1通信装置の各々に関して、第1受信部が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出し、評価部は、複数の電気機器の各々に対するノイズの影響を評価する。従って、環境形成装置内の複数の箇所におけるノイズの測定を同時に実施でき、その結果、ノイズの影響箇所又は伝搬経路等を具体的に特定することが可能となる。
【0012】
本発明の第3の態様に係る環境形成装置は、第1又は第2の態様に係る環境形成装置において、ノイズの影響を受け得る計測機器と、前記制御装置及び前記計測機器と通信を行う第2通信装置と、をさらに備え、前記計測機器は、前記第2通信装置に向けてディジタル信号を送信する第2送信部を有し、前記第2通信装置は、前記第2送信部が送信したディジタル信号を受信する第2受信部と、前記第2受信部が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出する第2検出部と、前記第2検出部による検出結果を示すデータを前記制御装置に送信する第2送信部と、を有し、前記第1受信部はさらに、前記第2送信部が送信したデータを受信し、前記評価部はさらに、前記第1受信部が受信したデータで示される、前記第2検出部による検出結果に基づいて、前記計測機器に対するノイズの影響を評価する。
【0013】
本態様によれば、第2検出部は、第2受信部が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出し、評価部は、第2検出部による検出結果に基づいて計測機器に対するノイズの影響を評価する。従って、電気機器のみならず計測機器に関しても、オシロスコープ等の計測器を使用することなくノイズの影響箇所を簡易に特定でき、かつ、装置駆動時にノイズの影響レベル等をリアルタイムで評価することが可能となる。
【0014】
本発明の第4の態様に係る環境形成装置は、第1~第3のいずれか一つの態様に係る環境形成装置において、前記評価部による評価結果を示す画像を表示する表示装置をさらに備える。
【0015】
本態様によれば、評価部による評価結果を可視化して作業者に提供することが可能となる。
【0016】
本発明の第5の態様に係る環境形成装置は、第1~第4のいずれか一つの態様に係る環境形成装置において、前記制御装置は、前記評価部による評価結果を示すデータを記憶する記憶部をさらに有する。
【0017】
本態様によれば、評価部による評価結果を示すデータは記憶部に記憶されるため、記憶部に記憶されているデータを用いてノイズの発生原因等の詳細な解析を事後的に実施することが可能となる。
【0018】
本発明の第6の態様に係る環境形成装置は、第5の態様に係る環境形成装置において、前記制御装置は制御部をさらに有し、前記制御部は、前記評価部による評価結果を示すデータを、前記環境形成装置の稼働情報に関連付けて前記記憶部に記憶する。
【0019】
本態様によれば、評価部による評価結果を示すデータは、環境形成装置の稼働情報に関連付けて記憶部に記憶されるため、各電気機器の駆動とノイズの発生との因果関係又は相関関係等を詳細に解析することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、オシロスコープ等の計測器を使用することなくノイズの影響箇所を簡易に特定でき、かつ、装置駆動時にノイズの影響レベル等をリアルタイムで評価することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】環境試験装置の全体構成を簡略化して示す図である。
【
図2】環境試験装置の各部の構成を簡略化して示す図である。
【
図3】評価結果の表示態様の第1の例を簡略化して示す図である。
【
図4】評価結果の表示態様の第2の例を簡略化して示す図である。
【
図5】評価結果の表示態様の第3の例を簡略化して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る環境試験装置1の全体構成を簡略化して示す図である。環境試験装置1は、試験の対象物Wが収容される収容部6と、収容部6内の環境を制御する環境制御部5とを備えている。収容部6は、断熱性の筐体によって囲まれたチャンバであり、チャンバの内部に対象物Wが収容される。対象物Wは、例えば、回路基板等の電子部品である。また、環境試験装置1は、制御装置11、表示装置12、電気機器13、通信装置14、計測機器15、及び通信装置16を備えている。
【0024】
少なくとも一つの電気機器13が環境制御部5内に設置される。電気機器13の少なくとも一部は、環境制御部5の外に配置されても良い。本実施形態の例では複数の電気機器13が環境制御部5内に設置される。電気機器13は、収容部6内の空気を加熱する加熱装置を含む。また、電気機器13は、収容部6内の空気を冷却する冷却装置を含む。また、電気機器13は、収容部6内の空気を加湿する加湿装置を含む。また、電気機器13は、収容部6内の空気を除湿する冷凍装置又は除湿装置を含む。電気機器13は、制御装置11からの駆動制御によって、収容部6内の環境の温度、又は温度及び湿度を制御する。なお、環境制御部5の上記構成は一例であり、収容部6内の環境の制御対象によって変更され得る。例えば、環境の制御対象が温度のみであれば加熱装置のみを用いて構成されるものであって良い。また、環境制御部5は、収容部6内の環境の圧力を制御するものであっても良い。この場合、電気機器13は、減圧装置及び/又は加圧装置等を含んでも良い。複数の電気機器13の各々には、通信基板及び/又は入出力基板等の通信装置16(第1通信装置)が接続される。通信装置16は、環境制御部5の外に配置される。通信装置16は、LANケーブル等を用いた通信ネットワーク17を介して、制御装置11に接続される。通信装置16は、電気機器13と制御装置11との間の通信を行う。
【0025】
少なくとも一つの計測機器15が収容部6内に設置される。計測機器15の少なくとも一部は、収容部6の外に配置されても良い。本実施形態の例では複数の計測機器15が収容部6内に設置される。計測機器15は、収容部6内の環境の温度を計測する温度センサを含む。また、計測機器15は、収容部6内の環境の湿度を計測する湿度センサを含む。また、計測機器15は、収容部6内の環境の圧力を計測する圧力センサを含む。温度センサは、熱電対又は測温抵抗体等を用いて構成される。計測機器15は、環境制御部5の冷凍装置又は除湿装置が有する冷凍回路の温度を測定する温度センサを含んでも良い。この場合、温度センサは、環境制御部5内に配置され、又は、収容部6の外かつ環境制御部5の外に配置される。湿度センサは、例えば抵抗式又は静電容量式等の湿度センサである。圧力センサは、感圧素子等を用いて構成され、収容部6が真空チャンバ等である場合にそのチャンバ内圧力を測定する。計測機器15は、環境制御部5の冷凍装置又は除湿装置が有する冷凍配管の保安用圧力を測定する圧力センサを含んでも良い。この場合、圧力センサは、収容部6の外かつ環境制御部5の外に配置される。計測機器15は、後述する通信部90を含む。複数の計測機器15の各々には、通信基板及び/又は入出力基板等の通信装置14(第2通信装置)が接続される。通信装置14は、LANケーブル等を用いた通信ネットワーク17を介して、制御装置11に接続される。通信装置14は、計測機器15と制御装置11との間の通信を行う。
【0026】
電気機器13及び計測機器15は、様々なノイズの影響を受け得る。ノイズは、環境試験装置1の故障又は不具合の原因となり得る。ノイズには、電波として外来する高周波ノイズ、電源ライン等から混入する低周波ノイズ、又は静電気に起因して発生する単発ノイズ等が含まれる。
【0027】
制御装置11は、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ等を用いて構成される。
【0028】
表示装置12は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成される。表示装置12は、タッチパネル式ディスプレイを用いて構成されても良い。
【0029】
環境試験装置1は、環境形成装置の一例である。環境試験装置1は、対象物Wに対して温度ストレス、又は温度ストレス及び湿度ストレスを印加することによって、対象物Wの性能等を評価する。但し、環境形成装置は、対象物Wに対して加熱等の熱処理を行う熱処理装置等であっても良く、対象物Wに対して減圧等の圧力処理を行う真空加熱装置等であっても良い。
【0030】
図2は、環境試験装置1の各部の構成を簡略化して示す図である。
【0031】
制御装置11は、情報処理部21、記憶部22、及び通信部23を有する。情報処理部21は、CPU等のプロセッサを用いて構成される。記憶部22は、HDD、SSD、又は半導体メモリ等を用いて構成される。通信部23は、所定の通信プロトコルに対応した通信モジュールを用いて構成され、送信部41及び受信部42を有する。情報処理部21は、所定のプログラムをCPUが実行することによって実現される機能として、制御部31、評価部32、及び検出部33を有する。各処理部の処理内容については後述する。
【0032】
表示装置12は、表示部51及び表示制御部52を有する。表示部51は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等を用いて構成される。表示制御部52は、表示部51に表示する画像の画像データを生成する。表示部51に表示する画像の詳細については後述する。なお、表示制御部52は表示装置12ではなく制御装置11に実装されても良い。
【0033】
電気機器13には通信装置16が搭載される。通信装置16は、所定の通信プロトコルに対応した通信モジュールを用いて構成され、送信部61及び受信部62を有する。
【0034】
通信装置14は通信部71及び情報処理部72を有する。通信部71は、所定の通信プロトコルに対応した通信モジュールを用いて構成され、送信部81及び受信部82を有する。情報処理部72は、CPU等のプロセッサを用いて構成される。情報処理部72は、所定のプログラムをCPUが実行することによって実現される機能として、検出部83を有する。検出部83の処理内容については後述する。
【0035】
計測機器15は、通信部90を含む。通信部90は、所定の通信プロトコルに対応した通信モジュールを用いて構成され、送信部91及び受信部92を有する。
【0036】
以下、環境試験装置1におけるノイズ評価処理の動作について説明する。ノイズ評価処理は、環境試験装置1による対象物Wに対する環境試験の実行中に行われる。
【0037】
通信装置16の送信部61(第1送信部)は、制御装置11に向けて所定の送信間隔で定期的にディジタル信号を送信する。当該ディジタル信号は、電気機器13による収容部6内の環境制御に関連する信号(例えば制御装置11から電気機器13への駆動制御命令に対する応答信号)であっても良いし、当該環境制御に関連しない信号であっても良い。
【0038】
制御装置11の受信部42(第1受信部)は、複数の通信装置16の各々が有する送信部61が送信したディジタル信号を受信する。
【0039】
制御装置11の検出部33(第1検出部)は、複数の通信装置16の各々に関して、受信部42が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出する。符号誤りの検出方式としては、パリティビット方式、チェックサム方式、又はCRC方式等の周知の誤り検出方式を使用することができる。
【0040】
評価部32は、検出部33による符号誤りの検出結果に基づいて、複数の電気機器13の各々に対するノイズの影響を評価する。例えば、評価部32は、複数の電気機器13の各々に関して、検出部33による符号誤りの検出数(つまりビットエラー数)の瞬時値及び累積値をカウントする。評価部32は、符号誤りの瞬時値が第1の閾値未満である場合には、その電気機器13に対するノイズの影響レベルは低レベル(正常レベル)であると評価する。評価部32は、符号誤りの瞬時値が第1の閾値以上かつ第2の閾値未満である場合には、その電気機器13に対するノイズの影響レベルは中レベル(警告レベル)であると評価する。評価部32は、符号誤りの瞬時値が第2の閾値以上である場合には、その電気機器13に対するノイズの影響レベルは高レベル(異常レベル)であると評価する。但し、評価部32は、符号誤りの累積値を用いて評価しても良い。また、評価部32は、ノイズの影響レベルを2段階で評価しても良く、4段階以上で評価しても良い。また、評価部32は、一つの閾値でノイズの影響を評価するものであっても良い。
【0041】
計測機器15の送信部91(第2送信部)は、通信装置14に向けて所定の送信間隔で定期的にディジタル信号を送信する。当該ディジタル信号は、計測機器15による収容部6内の環境制御に関連する信号(例えば制御装置11から計測機器15への駆動制御命令に対する応答信号)であっても良いし、当該環境制御に関連しない信号であっても良い。
【0042】
通信装置14の受信部82(第2受信部)は、対応する計測機器15の送信部91が送信したディジタル信号を受信する。
【0043】
通信装置14の検出部83(第2検出部)は、受信部82が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出する。符号誤りの検出方式としては、パリティビット方式、チェックサム方式、又はCRC方式等の周知の誤り検出方式を使用することができる。
【0044】
通信装置14の送信部81(第2送信部)は、検出部83による検出結果を示すデータを制御装置11に向けて送信する。
【0045】
制御装置11の受信部42は、送信部81が送信した当該データを受信する。評価部32は、受信部42が受信した当該データで示される、検出部83による検出結果に基づいて、計測機器15に対するノイズの影響を評価する。複数の計測機器15が設置されている場合には、複数の計測機器15の各々に対して通信装置14が接続される。評価部32は、複数の計測機器15の各々に対するノイズの影響を評価する。
【0046】
例えば、評価部32は、複数の計測機器15の各々に関して、検出部83による符号誤りの検出数(つまりビットエラー数)の瞬時値及び累積値をカウントする。評価部32は、符号誤りの瞬時値が第1の閾値未満である場合には、その計測機器15に対するノイズの影響レベルは低レベル(正常レベル)であると評価する。評価部32は、符号誤りの瞬時値が第1の閾値以上かつ第2の閾値未満である場合には、その計測機器15に対するノイズの影響レベルは中レベル(警告レベル)であると評価する。評価部32は、符号誤りの瞬時値が第2の閾値以上である場合には、その計測機器15に対するノイズの影響レベルは高レベル(異常レベル)であると評価する。但し、評価部32は、符号誤りの累積値を用いて評価しても良い。また、評価部32は、ノイズの影響レベルを2段階で評価しても良く、4段階以上で評価しても良い。また、評価部32は、一つの閾値でノイズの影響を評価するものであっても良い。また、評価部32は、電気機器13に対する評価と計測機器15に対する評価とで異なる閾値を使用しても良い。
【0047】
制御部31は、評価部32による評価結果を示すデータを、検出部33,83による符号誤りの検出時刻、及び、環境試験装置1の稼働情報に関連付けて、記憶部22に記憶する。稼働情報には、例えば、複数の電気機器13の各々の駆動状況(例えばオン又はオフ)を示す情報、複数の計測機器15の各々の駆動状況を示す情報、又は、複数の計測機器15の各々の計測結果(例えば温度値、湿度値、又は圧力値)を示す情報が含まれる。
【0048】
また、制御部31は、評価部32による評価結果を示すデータを表示制御部52に入力する。表示制御部52は、制御部31から入力されたデータに基づいて、評価部32による評価結果を示す画像の画像データを生成する。表示部51は、表示制御部52から入力された画像データに基づいて、評価部32による評価結果を示す画像を表示する。
【0049】
図3は、評価結果の表示態様の第1の例を簡略化して示す図である。第1の例において、表示部51には画像G1が表示される。画像G1は評価結果を示すグラフを含む。グラフの横軸は時刻であり、縦軸はエラー数である。エラー数はビットエラー数に相当する。実線で示される棒グラフはビットエラー数の瞬時値であり、破線で示される折れ線グラフはビットエラー数の累積値である。表示部51は、複数の電気機器13及び複数の計測機器15の各々に関する画像G1を表示可能である。
【0050】
図4は、評価結果の表示態様の第2の例を簡略化して示す図である。第2の例において、表示部51には画像G2が表示される。画像G2は評価結果を示す表を含む。表には、時刻、エラー数(瞬時値)、エラー数(累積値)、ノイズレベル、及び稼働情報の各項目が含まれる。時刻は、検出部33,83による符号誤りの検出時刻に相当する。エラー数は、ビットエラー数に相当する。ノイズレベルは、ノイズの影響レベルに相当する。稼働情報には、例えば、複数の電気機器13の各々の駆動状況を示す情報、複数の計測機器15の各々の駆動状況を示す情報、又は、複数の計測機器15の各々の計測結果を示す情報が含まれる。表示部51は、複数の電気機器13及び複数の計測機器15の各々に関する画像G2を表示可能である。
【0051】
図5は、評価結果の表示態様の第3の例を簡略化して示す図である。第3の例において、表示部51には画像G3が表示される。画像G3は評価結果を示す模式図を含む。模式図には、制御装置11を示す図形(11)と、複数の通信装置16の各々を示す図形(16A~16D)と、複数の通信装置14の各々を示す図形(14A,14B)と、複数の計測機器15の各々を示す図形(15A,15B)とが含まれる。また、図形(11)と図形(16A~16D,14A,14B)とを結ぶ経路が、ノイズの影響レベルに応じて色分け等によって識別可能な態様で表示されている。同様に、図形(14A,14B)と図形(15A,15B)とを結ぶ経路が、ノイズの影響レベルに応じて色分け等によって識別可能な態様で表示されている。
【0052】
なお、上記実施形態の例では、ノイズの影響レベルの評価対象を、制御装置11と通信装置16との間の通信、及び、通信装置14と計測機器15との間の通信に限定して説明した。この例に限らず、制御装置11と通信装置14との間の通信、又は、制御装置11と表示装置12との間の通信等を、ノイズの影響レベルの評価対象に含めても良い。
【0053】
このように本実施形態に係る環境試験装置1によれば、検出部33(第1検出部)は、受信部42(第1受信部)が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出し、評価部32は、検出部33による検出結果に基づいて電気機器13に対するノイズの影響を評価する。従って、オシロスコープ等の計測器を使用することなくノイズの影響箇所を簡易に特定でき、かつ、装置駆動時にノイズの影響レベル等をリアルタイムで評価することが可能となる。これによって、装置駆動を継続するか否かを判断することが可能となる。
【0054】
また、本実施形態に係る環境試験装置1によれば、検出部33は、複数の通信装置16(第1通信装置)の各々に関して、受信部42が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出し、評価部32は、複数の電気機器13の各々に対するノイズの影響を評価する。従って、環境試験装置1内の複数の箇所におけるノイズの測定を同時に実施でき、その結果、ノイズの影響箇所又は伝搬経路等を具体的に特定することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態に係る環境試験装置1によれば、検出部83(第2検出部)は、受信部82(第2受信部)が受信したディジタル信号に発生している符号誤りを検出し、評価部32は、検出部83による検出結果に基づいて計測機器15に対するノイズの影響を評価する。従って、電気機器13のみならず計測機器15に関しても、オシロスコープ等の計測器を使用することなくノイズの影響箇所を簡易に特定でき、かつ、装置駆動時にノイズの影響レベル等をリアルタイムで評価することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態に係る環境試験装置1によれば、評価部32による評価結果を可視化して作業者に提供することが可能となる。
【0057】
また、本実施形態に係る環境試験装置1によれば、評価部32による評価結果を示すデータは記憶部22に記憶されるため、記憶部22に記憶されているデータを用いてノイズの発生原因等の詳細な解析を事後的に実施することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態に係る環境試験装置1によれば、評価部32による評価結果を示すデータは、環境試験装置1の稼働情報に関連付けて記憶部22に記憶されるため、各電気機器13の駆動とノイズの発生との因果関係又は相関関係等を詳細に解析することが可能となる。
【符号の説明】
【0059】
1 環境試験装置
11 制御装置
12 表示装置
13 電気機器
14,16 通信装置
15 計測機器
22 記憶部
31 制御部
32 評価部
33,83 検出部
61,81,91 送信部
42,82 受信部